JP4587514B2 - 金型交換方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチプレスの上部、下部タレットの金型交換領域でパンチとダイを交換する金型交換方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図8に示されているように、タレットパンチプレス201における本体フレームには円盤状の回転可能な上部タレット203と円盤状の回転可能な下部タレット205が上下に対向して設けられており、上部タレット203には多数のパンチPが周方向へ適宜に設けたパンチ装着穴207に着脱自在に設けられており、下部タレット205には多数のダイDが周方向へ適宜に設けたダイ装着穴209に着脱自在に設けられている。
【0003】
また、タレットパンチプレス201には、多数のパンチPとダイDを収納する金型収納装置と上部、下部タレット203,205との間に、パンチPを交換するパンチ交換アーム211とダイDを交換するダイ交換アーム213とを備えた金型交換装置215(ATC装置)が設けられている。
【0004】
交換すべきパンチPとダイDは上部タレット203と下部タレット205の回転によりパンチ交換領域217及びダイ交換領域219に位置決め可能であり、上部タレット203と下部タレット205の回転軸221,223は偏心位置にあるので、パンチ交換領域217とダイ交換領域219に位置するパンチPとダイDがパンチ交換アーム211とダイ交換アーム213により同時に自動交換可能に構成されている。
【0005】
上部、下部タレット203,205のパンチ装着穴207とダイ装着穴209にパンチP、ダイDを挿入又は抜き取る場合には、図8に示されているようにパンチ交換アーム211とダイ交換アーム213がほぼ水平面で旋回方向(R方向)及びほぼ水平方向のスライド方向(S方向)へ移動されて上記のパンチ装着穴207とダイ装着穴209の上方へ位置決めされる。次いで、パンチP、ダイDがパンチ装着穴207とダイ装着穴209へ挿入又は抜脱されるべくパンチ交換アーム211とダイ交換アーム213がZ軸方向に上下動される。
【0006】
上記の各軸(R軸、S軸、Z軸)の位置決めはサーボモータ等のサーボ駆動装置によりサーボ制御されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の金型交換方法及びその装置においては、上部、下部タレット203,205のパンチ装着穴207、ダイ装着穴209とパンチP、ダイDは高精度に加工されているので、パンチ装着穴207、ダイ装着穴209とパンチP、ダイDとのクリアランスはミクロン単位である。そのために、機械(金型交換装置215やタレットパンチプレス201)のガタ等のために上述したパンチ交換アーム211とダイ交換アーム213の各軸(R軸、S軸、Z軸)の位置決めが少しでもずれると、パンチ装着穴207とパンチP、ダイ装着穴209とダイDが競り合ってしまうので、パンチP、ダイDの挿入又は抜き取りは困難になるという問題点があった。特に、パンチPは上部タレット203のパンチ装着穴207との接触面が大きいので難易度は大きくなる。
【0008】
パンチ交換アーム211とダイ交換アーム213をZ軸方向に移動せしめてパンチP、ダイDを挿入又は抜き取りするときに最も重要なのは、R方向とS方向の位置決めである。前述したようにパンチ交換アーム211とダイ交換アーム213の各軸(R軸、S軸、Z軸)の位置決めは全てサーボモータの制御にて行われているが、機械ガタや組み付け精度といったズレがある場合にはこのズレをR方向及びS方向の補正で調整する必要がある。
【0009】
このR方向及びS方向の補正をサーボ制御で行うためには、旋回方向(R方向)と直線方向(S方向)の組合せによって上部、下部タレット203,205のパンチ装着穴207とダイ装着穴209の1ポイントに位置決めしなければならないので、補正パラメータ値を決めるのに手間がかかるという問題点があった。
【0010】
また、パンチPを挿脱するときに微小に位置がずれた場合にR方向及びS方向の補正をサーボ制御で行うと、この制御が複雑であり且つ困難であるために、パンチPとパンチ装着穴207が一層競り合ってしまって挿入又は抜き取りができなくなるという問題点があった。
【0011】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、パンチ交換アームとダイ交換アームにより上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴にパンチとダイの挿入及び抜き取りを容易に実現し得る金型交換方法及びその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の金型交換方法は、パンチプレスの上部、下部タレットの金型交換領域で金型交換装置のパンチ交換アームによりパンチを交換すると共にダイ交換アームによりダイを交換する際、
前記パンチ交換アームとダイ交換アームをほぼ水平方向に移動せしめる水平方向移動軸のサーボ駆動装置と、ほぼ水平面で旋回方向に移動せしめる旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とをサーボ制御オンして上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴の上方へ移動位置決めした後、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下動せしめるときに、パンチ交換アームとダイ交換アームを前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とを、パンチとダイのそれぞれの下端の角部に備えたR部又はテーパ部が上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴のそれぞれの入口に備えたテーパ部に倣って移動しての装着完了するまで、又は抜取り完了までサーボオフとすることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、パンチ交換アームとダイ交換アームが上部、下部タレットのパンチ装着穴及びダイ装着穴の上方へ位置決めされた後に、パンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向移動軸と旋回方向移動軸のサーボ制御がオフとなるので、パンチ保持部とダイ保持部がパンチ装着穴とダイ装着穴の位置に対して微小にずれていても、パンチとダイの抜き取り又は挿入時にはパンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向と旋回方向がパンチ装着穴とダイ装着穴に倣って移動されて補正されるためにパンチとダイの抜き取り又は挿入がスムーズである。
【0014】
請求項2によるこの発明の金型交換装置は、パンチプレスの上部、下部タレットの金型交換領域でパンチを交換するパンチ交換アームと、ダイを交換するダイ交換アームとを備えた金型交換装置において、
前記パンチ交換アームとダイ交換アームをほぼ水平方向に移動せしめる水平方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを旋回方向に移動せしめる旋回方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下方向に移動せしめる上下方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、
前記パンチ交換アームとダイ交換アームを前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とをサーボ制御オンして上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴の上方へ移動位置決めした後、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下動せしめる時に、前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置を、パンチとダイのそれぞれの下端の角部に備えたR部又はテーパ部が上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴のそれぞれの入口に備えたテーパ部に倣って移動しての装着完了するまで、又は抜取り完了するまでサーボオフとする指令を与える指令部を備えた制御装置を設けてなることを特徴とするものである。
【0015】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、パンチ交換アームとダイ交換アームが上部、下部タレットのパンチ装着穴及びダイ装着穴の上方へ位置決めされた後に、パンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向移動軸と旋回方向移動軸のサーボ制御がオフとなるので、パンチ保持部とダイ保持部がパンチ装着穴とダイ装着穴の位置に対して微小にずれていても、パンチとダイの抜き取り又は挿入時にはパンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向と旋回方向がパンチ装着穴とダイ装着穴に倣って移動されて補正されるためにパンチとダイの抜き取り又は挿入がスムーズである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の金型交換方法及びその装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図2及び図3を参照するに、本実施の形態に係わるタレットパンチプレス1は、ベース3の両側に立設したサイドフレーム5,7に上部フレーム9の両側が支持された態様のフレーム構造に構成されている。上部フレーム9の下部には円盤状の上部タレット11が回転自在に装着されており、この上部タレット11には図2及び図3に示されているように多種類のパンチPを着脱可能に装着する多数のパンチ装着穴13が周方向へ適宜に設けられている。
【0018】
ベース3の上面には、上部タレット11に対向した円盤状の下部タレット15が回転自在に装着されており、この下部タレット15には図2及び図3に示されているように多種類のパンチPと対向した多数のダイDを着脱可能に装着する多数のダイ装着穴17が周方向へ適宜に設けられている。
【0019】
図2及び図3を参照するに、上部、下部タレット11,15はタレット用サーボモータ19等の駆動手段により同方向へ同期して回転されるものである。
【0020】
なお、上部タレット11には所望のパンチ装着穴13のパンチPの交換が行われる空間としてのパンチ交換領域21が設けられており、下部タレット15には所望のダイ装着穴17のダイDの交換が行われる空間としてのダイ交換領域23が設けられている。
【0021】
上部、下部タレット11,15との同期回転により、多数のパンチ装着穴13のうちの所望のパンチ装着穴13がパンチ交換領域21の所定位置に位置決めされると共に、多数のダイ装着穴17のうちの所望のダイ装着穴17がダイ交換領域23の所定位置に位置決めされるように構成されている。
【0022】
また、ダイ交換領域23の所望のダイ装着穴17のダイDを容易に交換可能とするために、ダイ交換領域23の上方に上部タレット11が位置しないようにする。つまり、上部タレット11は下部タレット15より小型に構成されると共に上部タレット11の回転軸25と下部タレット15の回転軸27の軸心がずれて構成されている。
【0023】
また、上部フレーム9の下面におけるほぼ中央部には、図2に示されているようにラム29(打圧部材)が上下動自在に装着されている。このラム29は、上部、下部タレット11,15の回転軸25、27によってラム29の下方のパンチング加工位置31へ割出し位置決めされたパンチPが打圧されるものである。
【0024】
なお、タレットパンチプレス1のフレーム構造の中央部にはギャップ部33が備えられており、このギャップ部33に固定テーブル35が設けられている。この固定テーブル35の左右両側(図3において上下両側)には、可動テーブル37が設けられている。なお、固定テーブル35の上面にはワークWを移動可能に支持するためのフリーベアリング39が多数設けられている。
【0025】
可動テーブル37の上面における図3の左側端部には、左右の可動テーブル37を連結するキャレッジベース41が固定テーブル35を跨いで設けられている。
【0026】
また、フレームの左側端にY軸駆動モータ43が設けられている。このY軸駆動モータ43の駆動によりキャレッジベース41が左右の可動テーブル37と一体となってY軸方向へ移動するものである。
【0027】
キャレッジベース41には、ワークWを把持する左右のワーククランパ45を備えたキャレッジ47がX軸方向(図3において上下方向)へ移動自在に設けられており、X軸駆動モータ49によりX軸方向へ移動されるものである。
【0028】
以上のように、タレットパンチプレス1にはY軸駆動モータ43及びX軸駆動モータ49によりワークWを前後左右方向へ移動位置決めするためのワークWの移動位置決め装置51が設けられており、この移動位置決め装置51は数値制御等の制御装置(図示省略)によって制御されワークWをパンチPとダイDとの間の適宜位置へ位置決めするものである。
【0029】
したがって、上部タレット11に装着したパンチPと下部タレット15に装着したダイDとの間に、板状のワークWが位置決めされた後に、ラム29によってパンチPが打圧されることにより、パンチPとダイDとの協働によってワークWにパンチング加工が行われるのである。
【0030】
また、図2、図3及び図4を参照するに、タレットパンチプレス1に隣接した位置には多数のパンチP及び多数のダイDを着脱可能に収納する金型収納装置53が設けられている。
【0031】
より詳しくは、金型収納装置53はベースフレーム55の中央部に支柱57が立設され、この支柱57には上下方向に延びた回転部材59が収納サーボモータ61の駆動により回転可能に設けられている。
【0032】
回転部材59には円盤状のパンチストレージ63が設けられており、このパンチストレージ63にはパンチPを着脱可能に収納する多数のパンチ収納部65が周方向へ適宜に設けられている。
【0033】
また、回転部材59には円盤状のダイストレージ67がパンチストレージ63に上下に対向した位置に一体的に設けられており、ダイストレージ67にはダイDを着脱可能に収納する多数のダイ収納部69が周方向へ適宜に設けられている。
【0034】
また、金型収納装置53には所望のパンチ収納部65のパンチPの取出しが行われる空間としてのパンチ取出し領域71と、所望のダイ収納部69のダイDの取出しが行われる空間としてのダイ取出し領域73が設けられており、多数のパンチ収納部65のうちの所望のパンチ収納部65がパンチ取出し領域71の所定位置に位置決めされると共に、多数のダイ収納部69のうちの所望のダイ収納部69のダイDがダイ取出し領域73の所定位置に位置決めされるように構成されている。
【0035】
収納サーボモータ61は制御装置(図示省略)に電気的に接続されており、この制御装置には多数のパンチPとダイDの配置状態などの情報を記憶するメモリ及びこのメモリの情報から所望のパンチPとダイDを選定する演算装置が接続されている。
【0036】
図2、図3及び図4を参照するに、タレットパンチプレス1と金型収納装置53との間にはパンチP及びダイDの交換を行う金型交換装置75が設けられている。
【0037】
より詳しくは、金型交換装置75はベースフレーム55にガイドフレーム77が立設されており、このガイドフレーム77に上部昇降体79及び下部昇降体81が昇降可能に設けられている。上部昇降体79は上部昇降体用サーボモータ83及びボールねじ85の作動により昇降するものであって、下部昇降体81は下部昇降体用サーボモータ87及びボールねじ89の作動により昇降するものである。
【0038】
上部昇降体79にはパンチPを着脱自在に保持するパンチ保持部91を先端に備えたパンチ交換アーム93が旋回軸95を介してほぼ水平面でR方向に旋回可能に支持されており、下部昇降体81にはダイDを着脱可能に保持するダイ保持部97を先端に備えたダイ交換アーム99が旋回軸101を介してほぼ水平面でR方向に旋回可能に支持されている。
【0039】
パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99を同期してほぼ水平面で旋回させるため、ガイドフレーム77には旋回サーボモータ103に連動連結するスプライン軸105が上下方向に延びて設けられており、このスプライン軸105は旋回方向移動軸としての例えば旋回軸95,101にギア機構107,109を介して連動連結されている。
【0040】
なお、スプライン軸105は上部昇降体79の穴及び下部昇降体81の穴にそれぞれ貫通しており、パンチ保持部91はパンチアームスライド用サーボモータ111及び水平方向移動軸としての例えばボールねじ113の作動によりパンチ交換アーム93の延長線上のほぼ水平方向へスライド(S方向)可能に構成される。ダイ保持部97はダイアームスライド用サーボモータ115及び水平方向移動軸としての例えばボールねじ117の作動によりダイ交換アーム99の延長線上のほぼ水平方向へスライド(S方向)可能に構成されている。
【0041】
したがって、旋回サーボモータ103の駆動によりスプライン軸105が回転してパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99がほぼ水平面で旋回方向(R方向)に旋回される。また、パンチアームスライド用サーボモータ111とダイアームスライド用サーボモータ115によりパンチ保持部91とダイ保持部97がパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99のS方向へ移動される。
【0042】
図5を参照するに、制御装置119は、中央処理装置としてのCPU121に加工プログラムやワークWの形状、板厚、材質、加工形状などの加工条件といった種々のデータを入力するための入力手段としての例えばキーボードのごとき入力装置123と、種々のデータを表示せしめるCRTごとき表示装置125と、入力装置123から入力された上記の種々のデータを記憶するメモリ127が接続されている。
【0043】
さらに、上記のCPU121には、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99を上部、下部タレット11,15のパンチ装着穴13とダイ装着穴17の上方へ移動位置決めしてからパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99を上下動せしめる時に、R方向の駆動装置としての旋回サーボモータ103と、S方向の駆動装置としてのパンチアームスライド用サーボモータ111とダイアームスライド用サーボモータ115を、パンチPとダイDが上部、下部タレット11,15のパンチ装着穴13とダイ装着穴17へ装着完了するまで、又は抜取り完了するまでサーボ制御OFFとする指令を与える指令部129が接続されている。なお、前記CPU121には上部昇降体用サーボモータ83、下部昇降体用サーボモータ87が接続されている。
【0044】
上記構成により、上部、下部タレット11,15のパンチPとダイDの金型が交換される動作について説明する。
【0045】
図1を参照するに、上部、下部タレット11,15のパンチPとダイDが抜き取られる場合について説明すると、上部、下部タレット11,15が回転されて所望のパンチ装着穴13及びダイ装着穴17が金型交換の目的ステーションとしての所定のパンチ交換領域21とダイ交換領域23に位置決めされる(ステップS1)。
【0046】
ロボットアームとしてのパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が図6に示されているようにR方向に旋回されると共にパンチ保持部91とダイ保持部97がS方向に移動されて上部、下部タレット11,15の目的ステーションの上方へ位置決めされる。つまり、パンチ保持部91はパンチ交換領域21のパンチ装着穴13の上方へ、ダイ保持部97はダイ交換領域23のダイ装着穴17の上方へそれぞれ位置決めされる(ステップS2)。
【0047】
この位置決め完了後に制御装置119の指令部129から指令が与えられ、R方向の旋回サーボモータ103のサーボ制御がオフなる。また、S方向のパンチアームスライド用サーボモータ111とダイアームスライド用サーボモータ115のサーボ制御がオフとなる(ステップS3)。
【0048】
パンチ交換アーム93は上部昇降体用サーボモータ83の作動により下降されてZ方向の位置決めが行われ、目的ステーションのパンチ装着穴13のパンチPがパンチ保持部91に保持される。ダイ交換アーム99は下部昇降体用サーボモータ87の作動により下降されてZ方向の位置決めが行われ、目的ステーションのダイ装着穴17のダイDがダイ保持部97に保持される。
【0049】
このとき、R方向の旋回サーボモータ103と、S方向のパンチアームスライド用サーボモータ111とダイアームスライド用サーボモータ115のサーボ制御がオフとなっているので、例えばパンチ保持部91とパンチPの位置が微小にずれていても、パンチ保持部91がパンチPを把持するときにパンチ交換アーム93のR方向とS方向はパンチ装着穴13のパンチPの位置に倣って移動することになるので自動的に微調整に補正されてパンチPがパンチ保持部91で把持される。
【0050】
ダイ保持部97でダイDを把持するときも同様に、ダイ交換アーム99のR方向とS方向はダイ装着穴17のダイDの位置に倣って移動することになるので自動的に微調整に補正されてダイDはダイ保持部97で把持される(ステップS4)。
【0051】
したがって、上部、下部昇降体用サーボモータ83,87の作動によりパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が上昇すると、パンチPとダイDはパンチ装着部とダイ装着部からスムーズに抜き取られる(ステップS5)。
【0052】
金型抜き取りが完了した時点で、R方向の旋回サーボモータ103と、S方向のパンチアームスライド用サーボモータ111とダイアームスライド用サーボモータ115のサーボ制御がオンとなり、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が金型収納装置53のパンチ取出し領域71とダイ取出し領域73へ旋回される(ステップS6)。
【0053】
一方、金型収納装置53は回転部材59が回転されて、空のパンチ収納部65とダイ収納部69がパンチ取出し領域71とダイ取出し領域73に位置決めされ、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が下降してパンチPとダイDが空のパンチ収納部65とダイ収納部69に収納される。パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が一旦上昇し、旋回し、待機する(ステップS7)。
【0054】
再び図1を参照するに、上部、下部タレット11,15のパンチ装着穴13とダイ装着穴17へパンチPとダイDが挿入される場合について説明すると、基本的には上述した金型の抜き取りの場合と同様である。
【0055】
パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が待機位置から再び旋回、下降し、パンチ取出し領域71とダイ取出し領域73に位置する所望のパンチPとダイDがパンチ交換アーム93とダイ交換アーム99により取り出される。再び、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99がR方向に旋回され、パンチ保持部91とダイ保持部97がS方向に移動されて上部、下部タレット11,15の目的ステーションの上方へ位置決めされる(ステップS1及びS2)。
【0056】
位置決め完了後に、R方向とS方向のサーボ制御がオフとなり、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99は下降されて上部、下部タレット11,15の目的ステーションの空のパンチ装着穴13へパンチPが挿入され、空のダイ装着穴17へダイDが挿入されてZ方向の位置決めが行われる。
【0057】
このとき、R方向とS方向のサーボ制御がオフとなっているので、例えばパンチ保持部91とパンチ装着穴13の位置が微小にずれていても、図7に示されているようにパンチ交換アーム93のR方向とS方向はパンチPの下端の角部のR部又はテーパ部がパンチ装着穴13の入口のテーパ部に倣って移動することになるので自動的に微調整に補正される。したがって、パンチPはパンチ装着部13へスムーズに挿入される。ダイDも同様である(ステップS3〜S5)。
【0058】
金型挿入が完了した時点で、R方向とS方向のサーボ制御がオンとなり、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99が上昇し待機位置へ旋回される(ステップS6及びS7)。
【0059】
上記のように交換されたパンチPとダイDは、再び上部、下部タレット11,15が回転されて所定のパンチング加工位置31に位置決めされ、ワークWがパンチング加工される。
【0060】
以上のように、パンチ保持部91とダイ保持部97がパンチ装着穴13とダイ装着穴17の位置に対して微小にずれていても、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99のR方向とS方向のサーボ制御がオフとなるので、パンチ交換アーム93とダイ交換アーム99のR方向とS方向はパンチ装着穴13及びダイ装着穴17の位置に倣って移動して自動的に微調整に補正される。パンチとダイの抜き取り又は挿入時にパンチ装着穴13及びダイ装着穴17に競り合って噛み込むという事態がなくなる。
【0061】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0062】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、パンチ交換アームとダイ交換アームが上部、下部タレットのパンチ装着穴及びダイ装着穴の上方へ位置決めされた後に、パンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向移動軸と旋回方向移動軸のサーボ制御をオフとすることにより、パンチ保持部とダイ保持部がパンチ装着穴とダイ装着穴の位置に対して微小にずれていても、パンチとダイの抜き取り又は挿入時にはパンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向と旋回方向をパンチ装着穴とダイ装着穴に倣って移動して微調整の補正が行われるのでパンチとダイの抜き取り又は挿入をスムーズに行える。
【0063】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、パンチ交換アームとダイ交換アームが上部、下部タレットのパンチ装着穴及びダイ装着穴の上方へ位置決めされた後に、パンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向移動軸と旋回方向移動軸のサーボ制御をオフとすることにより、パンチ保持部とダイ保持部がパンチ装着穴とダイ装着穴の位置に対して微小にずれていても、パンチとダイの抜き取り又は挿入時にはパンチ交換アームとダイ交換アームの水平方向と旋回方向をパンチ装着穴とダイ装着穴に倣って移動して微調整の補正が行われるのでパンチとダイの抜き取り又は挿入をスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、金型交換方法のフローチャート図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すもので、金型交換装置を備えたタレットパンチプレスの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示すもので、金型交換装置を備えたタレットパンチプレスの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すもので、金型交換装置の部分的な斜視図である。
【図5】制御装置のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の金型交換装置の模式的な動作説明図である。
【図7】本発明の実施の形態の金型交換装置の部分的な動作説明図図である。
【図8】従来の金型交換装置の模式的な動作説明図である。
【符号の説明】
1 タレットパンチプレス
11 上部タレット
13 パンチ装着穴
15 下部タレット
17 ダイ装着穴
19 タレット用サーボモータ
21 パンチ交換領域
23 ダイ交換領域
75 金型交換装置
83 上部昇降体用サーボモータ(上下方向移動軸のサーボ駆動装置)
87 下部昇降体用サーボモータ(上下方向移動軸のサーボ駆動装置)
91 パンチ保持部
93 パンチ交換アーム
95,101 旋回軸
97 ダイ保持部
99 ダイ交換アーム
103 旋回サーボモータ(旋回方向移動軸のサーボ駆動装置)
105 スプライン軸
111 パンチアームスライド用サーボモータ
(水平方向移動軸のサーボ駆動装置)
115 ダイアームスライド用サーボモータ
(水平方向移動軸のサーボ駆動装置)
119 制御装置
121 CPU
127 メモリ
129 指令部

Claims (2)

  1. パンチプレスの上部、下部タレットの金型交換領域で金型交換装置のパンチ交換アームによりパンチを交換すると共にダイ交換アームによりダイを交換する際、
    前記パンチ交換アームとダイ交換アームをほぼ水平方向に移動せしめる水平方向移動軸のサーボ駆動装置とほぼ水平面で旋回方向に移動せしめる旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とをサーボ制御オンして上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴の上方へ移動位置決めした後、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下動せしめるときに、前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とを、パンチとダイのそれぞれの下端の角部に備えたR部又はテーパ部が上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴のそれぞれの入口に備えたテーパ部に倣って移動しての装着完了するまで、又は抜取り完了までサーボ制御オフとすることを特徴とする金型交換方法。
  2. パンチプレスの上部、下部タレットの金型交換領域でパンチを交換するパンチ交換アームと、ダイを交換するダイ交換アームとを備えた金型交換装置において、
    前記パンチ交換アームとダイ交換アームをほぼ水平方向に移動せしめる水平方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを旋回方向に移動せしめる旋回方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下方向に移動せしめる上下方向移動軸のサーボ駆動装置を設け、
    前記パンチ交換アームとダイ交換アームを前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置とをサーボ制御オンして上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴の上方へ移動位置決めした後、前記パンチ交換アームとダイ交換アームを上下動せしめる時に、前記水平方向移動軸のサーボ駆動装置と旋回方向移動軸のサーボ駆動装置を、パンチとダイのそれぞれの下端の角部に備えたR部又はテーパ部が上部、下部タレットのパンチ装着穴とダイ装着穴のそれぞれの入口に備えたテーパ部に倣って移動しての装着完了するまで、又は抜取り完了するまでサーボ制御オフとする指令を与える指令部を備えた制御装置を設けてなることを特徴とする金型交換装置。
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