JP4587135B2 - 炭化けい素発熱体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性に優れ、特にハロゲンガスや水素などの腐食性ガスに曝される雰囲気下に使用される抵抗発熱体として好適に用いることのできる炭化けい素発熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化けい素焼結体は耐熱性、耐熱衝撃性、耐蝕性、高温強度特性などに優れており、また抵抗値が発熱体に適した値を有しているため、従来から高温用の抵抗発熱体として有用されている。
【0003】
炭化けい素焼結体は、SiC粉末を押出し成形法や鋳込み成形法などによって、ロッド、パイプ、シートなどの所定の形状に成形し、熱処理して再結晶化する方法、SiC粉末と炭素の混合粉末を成形し、成形体に高温で溶融した金属Siを含浸して熱処理し、炭素とSiの固相−液相反応によって生成したSiCの二次粒子によりSiC粉末を結合させる反応焼結法、あるいは焼結助材を用いる常圧焼結法、などの方法により製造されている。
【0004】
このうち、再結晶炭化けい素焼結体はSiC粉末に有機バインダーを混合して、所定の形状に成形したのち焼成処理することにより製造されるので、大型で複雑形状の焼結体を得ることができ、また焼結助材などの添加による不純物の混入もないので、純度が高く、電気抵抗特性などの物理的性状も安定しているため発熱体として広く用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
再結晶法による炭化けい素焼結体は、SiC粉末に有機バインダーを混合して成形した成形体を2100℃以上の高温で熱処理して、表面拡散および蒸発凝縮などのプロセスを経て、SiC粉末の粒成長によりSiC粒子間が結合され、組織が形成されるものであるから、組織構造にはSiC粒子とSiC粒子の結合部が存在し、この結合部の太さや数は、機械的強度や電気的特性を支配するだけでなく、化学的耐久性いわゆる寿命についても大きな支配的要因となっている。
【0006】
すなわち、このSiC粒子間の結合部は他の部分に比べて耐蝕性や強度が低いために、腐食性ガス雰囲気に曝された場合にはこの結合部が侵食されて劣化し、長期に亘って安定して使用することが困難となる欠点がある。
【0007】
特に、塩素、フッ素などのハロゲンガスや水素ガスのような腐食性の強いガス雰囲気に曝される場合には、侵入した腐食性ガスによりSiC粒子間の結合部が侵食されて、比較的短期間で発熱体として使用することができなくなる問題点がある。
【0008】
本発明者らは、再結晶質のSiC焼結体からなる炭化けい素発熱体の有する上記問題点を解消するために、鋭意研究を進めた結果、再結晶質の炭化けい素焼結体を構成するSiC粒子間の結合部の表面に、Al2 O3 とCaOおよびNa2 Oからなる複合組成物を析出し、更にその組成を特定することにより、耐久性に優れた炭化けい素発熱体が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は上記の知見に基づいて完成したもので、その目的は耐蝕性が高く、腐食性ガス雰囲気中において長期に亘って安定に使用することのできる耐久性に優れた再結晶質の炭化けい素発熱体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による炭化けい素発熱体は、発熱部が再結晶質SiCからなり、再結晶質SiCのSiC粒子間の結合部の表面に、Al2O350〜80wt%、CaO10〜35wt%、Na2O2〜10wt%の組成からなるAl2O3/CaO/Na2O複合組成物を析出させるとともに、SiC粒子間の結合部の表面にSiO 2 が生成してなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化けい素発熱体は再結晶質SiCからなるものであり、再結晶質SiCは常法に従って製造される。すなわち、粒度調整したSiC粉末に水あるいはアルコールなどの溶媒、およびポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどの有機バインダーを加えて混合し、押し出し成形やプレス成形などの常用の手段により成形して、所望の成形体を作製する。次いで、成形体を2100℃以上の温度に加熱して焼成処理することにより再結晶質SiC成形体が得られる。
【0012】
このようにして得られた再結晶質SiC成形体の組織は、粒成長したSiC粒子相互が互いに結合した組織構造からなり、SiC粒子間の結合部の周辺には空隙が存在するため、通常15〜30%程度の気孔率を有している。この再結晶質SiCからなる炭化けい素発熱体をハロゲンガスや水素ガスなどの腐食性ガス雰囲気下で使用した場合には、これらの腐食性ガスが炭化けい素発熱体表面から内部に侵入して、主にSiC粒子間の結合部が侵食され、再結晶質SiCの組織構造の劣化を招き、使用寿命が短縮化することになる。
【0013】
本発明の炭化けい素発熱体は、このSiC粒子間の結合部の表面に、Al2 O3 50〜80wt%、CaO10〜35wt%、Na2 O2〜10wt%の組成からなる耐熱性および耐蝕性に優れたAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物を析出させた組織構造としたことを特徴とするものである。すなわち、腐食性ガスに対する耐蝕性の高いAl2 O3 を主成分とし、耐酸化性を付与するために機能するCaO、更に、SiC粒子間の結合部との密着性を高めるために機能するNa2 OからなるAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物の成分およびその組成を特定することにより、耐熱、耐蝕性が高く、耐久性に優れた長寿命の炭化けい素発熱体の提供を可能にしたものである。
【0014】
析出するAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物の組成を上記範囲に設定する理由は、Al2 O3 の組成比が50wt%未満であると耐蝕性に劣り、一方80wt%を越えるとSiC粒子間の結合部との接合力が低下し、また耐酸化性も劣ることとなる。また、CaOが10wt%を下回ると耐酸化性が充分でなく、35wt%を上回ると耐蝕性の低下を招くこととなり、Na2 Oが2wt%未満では結合部との接合力が低く、密着性に劣り、また10wt%を越えると耐蝕性が劣る結果となるためである。
【0015】
このように、本発明の炭化けい素発熱体は、再結晶質SiCのSiC粒子間の結合部の表面に、Al2 O3 50〜80wt%、CaO10〜35wt%、Na2 O2〜10wt%の組成からなる耐熱性および耐蝕性に優れたAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物を析出させた組織構造とした点に特徴を有し、その結果、耐蝕性、耐酸化性、密着性などの性能向上を図ることが可能となる。
【0016】
本発明の炭化けい素発熱体は、Al2 O3 、CaOおよびNa2 Oの微粉を所定の重量比で分散させた水分散液やアルミナゾルにCaOおよびNa2 CO3 の微粉を混合して調製した水分散液、あるいはAl、CaおよびNaの水溶性塩類を所定の重量比で溶解した水溶液、を塗布や浸漬などの手段で再結晶質SiC成形体に含浸し、乾燥、熱処理して、SiC粒子間の結合部の表面にAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物を析出することにより製造される。
【0017】
熱処理は1300℃以上の温度で4時間以上行うことが好ましく、この熱処理によりAl2 O3 /CaO/Na2 Oの複合組成物がSiC粒子とSiC粒子の結合部の表面に析出し、焼き付けられて結合部に密着した状態で形成される。なお、この熱処理時にSiC粒子間の結合部のSiCの一部が酸化されてSiO2 が生成するが、生成したSiO2 はNa2 Oとともに結合部との密着性の向上に有効機能する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0019】
常法により、直径20mm、発熱部長250mm、両端部の端部長各250mm、全長750mmの棒状の再結晶質SiC成形体からなる炭化けい素発熱体を作製した。
【0020】
実施例1
この炭化けい素発熱体の発熱部に、Al2O3微粉69wt%、CaO微粉24wt%、Na2O微粉7wt%の割合で混合し、有機バインダー、分散剤を添加して作製した水分散液を含浸し、乾燥したのち、大気中1380℃の温度に加熱して、4時間保持した。この熱処理によりSiC粒子間の結合部の表面に、Al2O3/CaO/Na2O複合組成物を析出させて、本発明の炭化けい素発熱体を製造した。なお、この熱処理時にSiC粒子間の結合部のSiCの一部が酸化されてSiO 2 が生成する。
【0021】
次に、腐食性ガス雰囲気中における耐久性を試験するために、この炭化けい素発熱体を箱型式抵抗炉にセットし、炉内雰囲気を変えて、炉内温度1300℃、表面負荷密度5W/cm2 の条件で1000時間操炉した。炉内雰囲気としては、水蒸気雰囲気、窒素ガス雰囲気およびフッ素ガス雰囲気に、それぞれ保持した。
【0022】
比較例1
上記の常法により作製した炭化けい素発熱体の発熱部に、水分散液を含浸することなくそのまま用いた未処理の炭化けい素発熱体について、実施例1と同一の条件で腐食性ガス雰囲気中における耐久性試験を行った。
【0023】
比較例2
上記の常法により作製した炭化けい素発熱体の発熱部に、被覆処理を施して、ガラス質コート、Si3 N4 コート、SiCコートを各形成した炭化けい素発熱体について、実施例1と同一の条件で腐食性ガス雰囲気中における耐久性試験を行った。
【0024】
この操炉試験の前後における炭化けい素発熱体の電気抵抗を測定して、抵抗増加率を求め、得られた結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1の結果から、実施例1の炭化けい素発熱体は、未処理品である比較例1およびコート品である比較例2に比べて、水蒸気、窒素ガス、フッ素ガスのいずれの雰囲気においても抵抗の増加率が小さく、安定していることが判る。特にフッ素ガス雰囲気中における耐蝕性に優れていることが認められる。
【0027】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の炭化けい素発熱体によれば、発熱部を形成する再結晶質SiCのSiC粒子間の結合部の表面に、Al2 O3 が50〜80wt%、CaOが10〜35wt%、Na2 Oが2〜10wtの組成からなるAl2 O3 /CaO/Na2 O複合組成物が析出されているので耐熱性や耐蝕性が著しく向上し、水蒸気雰囲気やハロゲンガス雰囲気などの腐食性ガス雰囲気中において、安定に長期間に亘って使用することが可能となる。したがって、本発明は腐食性ガス雰囲気で用いる耐久性に優れた炭化けい素発熱体として工業上極めて有用である。
Claims (1)
- 発熱部が再結晶質SiCからなり、再結晶質SiCのSiC粒子間の結合部の表面に、Al2O350〜80wt%、CaO10〜35wt%、Na2O2〜10wt%の組成からなるAl2O3/CaO/Na2O複合組成物を析出させるとともに、SiC粒子間の結合部の表面にSiO 2 が生成してなることを特徴とする炭化けい素発熱体。
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JP36410999A JP4587135B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 炭化けい素発熱体 |
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ID=18481003
Family Applications (1)
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JP36410999A Expired - Lifetime JP4587135B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 炭化けい素発熱体 |
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- 1999-12-22 JP JP36410999A patent/JP4587135B2/ja not_active Expired - Lifetime
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