JP4585174B2 - 地籍処理支援システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地籍調査などの地籍に関する作業を支援する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国における土地に関する記録の約半分は、明治時代の地租改正によって作られた公図をもとにしたもので、土地の境界が不明確であったり、測量も不正確であったりするために、土地の実態を正確に把握することができない。
そこで、国土の開発、保全、利用の高度化と地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的、総合的に調査することを目的に、昭和26年以来、国土調査法に基づいて地籍調査が行われている。
地籍調査とは、一筆ごとの土地について、地番、地目、境界、登記簿に記載された所有者に関する調査確認を行ない、境界に関する測量、面積測量後、その成果として、地籍図と地籍簿を作成するものである。
そして、このような地籍調査の作業は、典型的には、まず、調査区域に関する公図及び土地登記簿等の資料を収集し、所有者・地目・面積等を一筆毎に調べ、地番のもれが無いことを確認し、各筆の境界と地番を表した地図である地籍調査図素図と、地目や所有者などの情報を各筆毎にまとめた地籍調査票等の調査資料を作成し、作成した調査資料を参考に、調査担当者が、現地で一筆毎に所有者や隣接地所有者等と共に土地の境界の確認を行い、確認された境界に「杭」を打って、測量を行い、地積測量の結果を取りまとめ、地籍簿案や地積図を作成することにより行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように公図は明治時代の地租改正によって作られたもの等、古いものが多く、その視認性が悪い。したがって、単に公図を複写したものを地籍調査図素図として用いたのでは、作業を充分に効率的に行うことができない。
また、地籍調査図素図と地籍調査票との対応づけは、調査担当者が地番などを頼りに、対応する地籍調査票を探し出すことなどにより行わなければならないなど、地籍調査図素図と地籍調査票を一体として作業を行うことができないために、作業を充分に効率的に行うことができなかった。たとえば、現地において地籍調査図素図上で、直接的に各筆に関する地目、所有者などの情報を確認することができなかったり、地籍調査図素図上で見い出されたある筆の地籍調査票の誤りを、地籍調査図素図上から直接修正したりすることができない。
【0004】
そこで、本発明は、地籍調査などの地籍処理の作業を、より効率的に行えるように支援することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題達成のために、筆図形画像を表示する画像表示手段と、筆図形画像上への筆を表す筆図形の描画操作をユーザより受付け、描画操作を受け付けた筆図形を前記筆図形画像に描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する、当該筆図形が表す筆の地籍属性項目の設定操作をユーザより受付け、設定操作を受け付けた地籍属性項目を、当該筆図形の属性として設定する属性処理部と、ユーザによって選択された筆図形に設定されている前記属性を表示する属性表示手段とを備えた地籍処理支援システムを提供する。
【0006】
このような地籍処理支援システムによれば、描画した筆図形に対して地籍属性項目を予め属性として設定しておくことにより、これら地籍属性項目を地籍調査時等に、表示した筆図形画像上の筆図形から直接参照できるようになる。
【0007】
ここで、このような地籍処理支援システムにおいては、公図を表す公図画像データを記憶する公図記憶手段を設け、公図画像データが表す画像を、前記筆図形画像の下絵画像として表示するようにしても良い。
このようにすることにより、公図画像データを下図として、地籍調査図素図の構成要素となる、筆を表す筆図形や筆界点を表す筆界点図形を描画することができ、筆図形画像としての地籍調査図素図の作成が容易化される。
また、前記課題達成のために、本発明は、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に地番を属性として設定する地番設定手段とを有し、前記地番設定手段は、地番が属性として設定されていない各筆図形について、順次、当該筆図形を選択筆図形として選択し、選択筆図形の前記筆図形画像上の表示を他の筆図形と区別可能な表示形態に変更し、選択筆図形に設定する地番の入力を受け付けて、入力された地番を選択筆図形に設定する処理を行うことを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0008】
このような地籍処理支援システムによれば、自動的に地番が設定されていない筆図形が選択されて識別可能に示され、当該筆図形に対する地番の設定の受付が行われるので、ユーザの各筆図形に対する地番設定作業が容易化される。
また、本発明は、前記課題のために、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、筆界点を表す筆界点図形の描画操作をユーザより受付けて、筆界点図形を前記筆図形画像上に描画する筆界点図形描画手段と、描画された筆界点図形を描画順に結ぶ線分と、ユーザ操作に応じて開始時点と終了時点が定まる描画シーケンス中において最後に描画された筆界点図形と前記描画シーケンス中に最初に描画された筆界点図形とを結ぶ線分を辺とする多角形を、前記筆図形として描画する筆界点図形追従筆図形描画手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0009】
このような地籍処理支援システムによれば、ユーザは、筆界点図形を順次描画していくだけで、これら筆界点図形が境界を表す筆の筆図形が自動的に描画されるので、筆図形と筆界点図形をそれぞれ描画する手間が省け、作業が効率化する。
【0010】
また、さらに、本発明は、筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定する地番設定手段と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に設定されている筆識別情報を検索のキーとして、当該筆図形が表す筆の筆データを検索し、検索した筆データから前記地籍属性項目を読み出して、当該筆図形の属性として設定する属性読み込み手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0011】
このような地籍処理支援システムによれば、各筆の地籍項目を管理する地籍データベースを利用して、各筆図形が表す筆の地籍属性項目を、各筆に対応する筆図形に設定することができるようになる。
また、前記課題達成のために、本発明は、筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する、地番を含む筆識別情報と所定の地籍属性項目とを含む属性の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた属性を当該筆図形に対して設定する地番設定手段と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に属性として設定されている筆識別情報を検索のキーとして、当該筆図形が表す筆の筆データを検索し、検索した筆データに、当該筆図形に属性として設定されている前記地籍属性項目を登録する登録手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0012】
このような地籍処理支援システムによれば、筆図形画像上の筆図形をポータルとして、各筆の地籍項目を管理する地籍データベースの、その筆図形に対応する筆の筆データの地籍属性項目を設定したり更新することができるようになる。
また、さらに、本発明は前記課題達成のために、筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定する地番設定手段と、前記筆図形画像に描画された筆図形のうち、当該筆図形に設定されている筆識別情報と同じ筆識別情報が登録された筆データが存在しない筆図形を抽出し、抽出した筆図形の前記筆図形画像上の表示を、他の筆図形と区別可能な表示形態に変更する余り筆図形チェック手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0013】
このような地籍処理支援システムによれば、各筆の地籍項目を管理する地籍データベースを利用して、余分な筆図形の存在や、筆図形への筆識別情報の誤設定や未設定をチェックすることができるようになる。
また、本発明は、前記課題達成のために、筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定する地番設定手段と、前記筆毎の筆データのうち、当該筆データに登録されている筆識別情報と同じ筆識別情報が登録された筆図形が存在しない筆データを抽出し、抽出した筆データの識別を出力する余り筆データチェック手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0014】
このような地籍処理支援システムによれば、各筆の地籍項目を管理する地籍データベースを利用して、筆図形の不足や、筆図形への筆識別情報の誤設定や未設定をチェックすることができるようになる。
また、さらには、本発明は、筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、筆図形画像を表示する画像表示手段と、前記筆図形画像上へ各々筆を表す筆図形を描画する図形処理部と、前記筆図形画像に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定する地番設定手段と、前記筆データに登録されている地籍属性項目に対する検索条件を受付け、受け付けた検索条件に合致する筆データを検索し、検索した筆データと同じ筆識別情報が登録された筆図形を、他の筆図形と区別可能な表示形態に変更する筆検索手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システムを提供する。
【0015】
このような地籍処理支援システムによれば、所望の条件に合致する地籍属性項目を持つ筆を筆図形画像上で地理的に示すことができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る地籍処理支援システムについて説明する。
地籍処理支援システムは、ハードウエア的には、CPUや、主記憶や、外部記憶装置や、キーボードやマウスやペンタブレットデバイスなどの入力装置や、CRTやLCDなどの表示装置等の、コンピュータとしての一般的な構成を備えたコンピュータ(デスクトップ型、ノート型、タブレット型のパーソナルコンピュータ等)であり、CPUが外部記憶装置に予め格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、プロセス等として、その機能が実現される。ただし、地籍処理支援システムは、地籍調査現地において使用可能なように携帯型のコンピュータを用いて構成することが望ましい。
【0017】
図1に、このような地籍処理支援システムの機能構成を示す。
図示するように、機能的には、地籍処理支援システムは、表示装置1、入力装置2、プリント装置3、地籍データベース4、入出力制御部5、素図作成部6、地籍データベース利用アプリケーション7を備えている。ここで、素図作成部6、地籍データベース利用アプリケーション7は、たとえば、地籍処理支援システムが稼働するコンピュータのオペレーティングシステム上で稼働するアプリケーションプロセスであり、入出力制御部5は、たとえば、表示装置1や入力装置2やプリント装置3と各アプリケーションプロセスとの間の入出力を制御する、オペレーティングシステムによって各アプリケーションプロセスに提供される機能部である。
【0018】
そして、図示するように素図作成部6は、表示装置1や入力装置2を用いてユーザに提供するGUIを制御するGUI制御部61、素図作成部6の動作全体を統括する処理制御部62、地籍調査図素図の編集処理を行う図形処理部63、地籍調査図素図上の各筆などに与える属性の編集を行う属性処理部64、地籍調査図素図の入出力制御部5を介したプリント装置3での印刷を処理する図面出力処理部65、地籍データベース4の参照や編集を行うリンク処理部66と、1または複数の調査図素図データを格納した素図データ格納部67とを有する。
【0019】
次に、地籍データベース4の内容と、素図データ格納部67に格納される調査図素図データについて説明する。
図2a、bに示すように、地籍データベース4には、調査前データと、調査後データが格納されている。
調査前データは、地籍調査前に作成する地籍調査票に対応するものであり、各々が一筆に対応して設けられている調査前レコードの集合である。そして、各調査前レコードには、調査前レコードの識別子である調査前ID、対応する筆が含まれる公図の公図番号を示す調査図番号、地籍調査の調査年度、対応する筆が含まれる地区を表す調査地区を登録する他、対応する筆の大字、対応する筆の小字、対応する筆の地番、対応する筆の現況地目、対応する筆の登記上の地目、対応する筆の地積、対応する筆の所有者の氏名や住所などを表す所有者情報、対応する筆の管理者の氏名や住所を表す管理者情報などが、調査地区に関する公図や土地登記簿等の資料に基づき登録されている。
【0020】
一方、調査後データは、地籍調査後に作成する地籍簿案の資料となるものであり、各々が一筆に対応して設けられた、対応する筆の調査結果を登録する調査後レコードの集合である。そして、各調査後レコードには、調査後レコードの識別子である調査後ID、対応する筆の調査前レコードの調査前ID、対応する筆が含まれる公図を示す調査図番号、地籍調査の調査年度、対応する筆が含まれる調査地区を登録する他、対応する筆の大字、対応する筆の小字、対応する筆の地番、対応する筆の現況地目、対応する筆の登記上の地目、対応する筆の地積、対応する筆の所有者の氏名や住所などを表す所有者情報、対応する筆の管理者の氏名や住所を表す管理者情報などが、調査結果に基づき登録される。
【0021】
ここで、前述した地籍データベース利用アプリケーションは、たとえば、このような調査前データの編集や帳票出力を行うアプリケーションや、調査後データの編集や帳票出力を行うアプリケーションなどである。
さて、次に、素図作成部6の素図データ格納部67に格納される調査図素図データは、各々地籍調査図素図毎に設けられた調査図素図データが格納される。そして、この調査図素図データには、調査図素図に対応する調査地区の公図をイメージスキャンして生成した画像データである公図画像データと、地籍調査図素図の図形データである調査図素図図形データと、地籍調査図素図内の各図形要素に与えた属性の集合である調査前属性データと、リンク設定情報とが含まれる。
【0022】
ここで、属性が与えられる図形要素としては、筆を表すポリゴンと、筆界点を表す筆界点図形とがある。
そして、調査前属性データは、ポリゴンに対して与えた属性のデータであるポリゴン属性データと、筆界点図形に対して与えた属性のデータである筆界点属性データとを含む。
調査前属性データのポリゴン属性データには、属性が与えられるポリゴンの識別子を示す対応ポリゴンと、対応するポリゴンが道路や水路や白地といった長狭物を表している場合に、道路と水路と白地のうちのいずれを表しているのかを示す種別と、筆属性が与えれる。筆属性は、当該筆の大字や小字や地番が登録される。また、筆属性には、当該筆の調査前レコードに登録されている現地地目や地目といった各種情報を登録することができる。ただし、このような筆の調査前レコードに登録されている現地地目や地目といった各種情報に代えて、当該筆の調査前レコードへのリンクを登録するようにしても良い。
【0023】
次に、調査前属性データの筆界点属性データには、対応する筆界点図形を示す対応ノード、筆界点図形の種別(たとえば、筆界点図形がシンボルとして表す杭や鋲の種類など)、筆界点図形に与えた識別番号または名称である筆界点ラベルが登録される。
【0024】
さて、前述したように、調査図素図データの調査図素図図形データは、地籍調査図素図の図形データを含む。より具体的には、調査図素図形データは、図2cに示すように、調査前図形レイヤと、コメントレイヤと、調査前筆界点レイヤとよりなる画像を規定しており、これら各レイヤの図形データを含む。調査前図形レイヤは前述した地籍調査図素図のポリゴンと地番を描画するレイヤであり、コメントレイヤは必要に応じてコメントを描画するレイヤであり、調査前筆界点レイヤは前述した地籍調査図素図の筆界点図形と筆界点図形に与えた筆界点ラベルを描画するレイヤである。
【0025】
なお、以上説明した調査図素図データは、単一のファイルとして形成されたものでなく、複数のファイルの集合として形成されるものであってかまわない。
さて、最後にリンク設定情報には、調査図素図データが表す地籍調査図素図が表す地区と、地積調査図素図が用いられる地籍調査の調査年度と、調査前データとのリンクのキーとする項目であるキー項目が登録される。このリンク設定情報の地区と調査年度は、調査図素図データが表す地籍調査図素図に対応する地籍調査票に対応する調査前レコードを弁別するために用いられ、リンクキー項目は、調査図素図データが表す地籍調査図素図内の各筆に対応する調査前レコードを特定するために用いられる。
【0026】
以下、このような地籍調査作業支援システムの素図作成部6の動作について、作業の流れに沿って説明する。
素図作成部6の処理制御部62は、まず、新規地籍調査図素図作成の指示を受けると、図3に示す作業ウインドウをGUI制御部61を介して表示装置1に表示する。
図示するように、作業ウインドウは、上部に設けた新規ボタン、開くボタン、設定ボタン、保存ボタン、印刷ボタン、拡大ボタン、縮小ボタン、移動ボタン、リンクボタン、検索ボタン、筆属性編集ボタン、終了ボタンからなるコマンドボタン列301と、左部に設けた素図表示エリア302と、右部に設けた、ポリゴンツールウインドウ、筆界点ツールウインドウ、基本属性設定ツールウインドウ、チェックツールウインドウ、レイヤツールウインドウ、コメントツールウインドウよりなるツールウインドウ群303が設けられている。なお、ツールウインドウ群303の各ツールウインドウは、各ツールウインドウ上部に設けたタブの選択により、アクティブとなって最前面に表示されると共に、ツールウインドウ内の操作を受け付けるツールウインドウが最前面に表示されたツールウインドウに切り替えられる。
【0027】
各ツールウインドウやコマンドボタンの操作はGUI制御部61を介して処理制御部62によって受け付けられ、処理制御部62は操作に応じた処理を自身で行うか、操作に応じた処理を図形処理部63や属性処理部64や図面出力処理部65に行わせる。
【0028】
さて、ユーザより、コマンドボタン列301の新規ボタンの操作があったならば、処理制御部62は、適当な入力ウインドウを表示して作成する新規調査図素図の調査図素図データの名称を受付、受け付けた名称の調査図素図データを新規に作成し、処理対象の調査図素図データとする。
【0029】
次に、ユーザのコマンドボタン列301の設定ボタンの操作を受け付けたならば、処理制御部62は、適当なファイル選択ウインドウを表示して、ユーザより公図画像データとして用いる画像データファイルの指定を受付、受け付けた画像データファイルを公図画像データとして、調査図素図データに含める。また、適当な選択ウインドウを表示して、作成する地籍調査図素図が表す地区である調査地区と、地籍調査図素図が用いられる地籍調査の調査年度の指定と、調査前データとのリンクのキーとするキー項目を地番のみするか地番と大字の組み合わせにするか地番と大字と小字の組み合わせにするかの指定を受け付け、調査図素図データのリンク設定情報に登録する。
【0030】
そして、処理制御部62は、図形処理部63に、図3に示すように、素図表示エリア302に、調査図素図データの公図画像データが表す画像を描画、表示させる。ここで、図形処理部63は、素図表示エリア302に、公図画像レイヤと、調査図素図図形データが表す調査前図形レイヤと、コメントレイヤと、調査前筆界点レイヤを、下から当該記載順に重ねた画像を表示する。すなわち、公図画像データが表す画像は、最下方の公図画像レイヤに描画、表示される。
【0031】
さて、このようにして、公図画像が表示されたならば、ユーザはこの画像を下図として用いて、その上に地籍調査図素図を作成する。
すなわち、たとえば、まず、ポリゴンツールウインドウを用いて、筆を表すポリゴンを作成する。
図4gに示すように、ポリゴンツールウインドウは、作成ツールエリア401、併合ツールエリア402、分割ツールエリア403、修正ツールエリア404を有する。
そして、作成ツールエリア401のライン入力ボタンが操作されたばらば、図形処理部63は、処理制御部62、GUI制御部61を介して、順次、ユーザの線入力操作(たとえば、ポインティングデバイスによる線分の始点と終点のポイント操作)を受付け、図4aに示すように、素図表示エリア302中で調査前図形レイヤに直線411を描画していく。そして、作成ツールエリア401の作成ボタンが操作されたならば、図4bに示すように、それまでに描画した線分の交点を頂点とし、辺同士が交差しないポリゴン412を生成し、調査前図形レイヤに描画すると共に、先に描画した線分を消去する。そして、属性処理部64に作成したポリゴンの識別子を通知することにより、属性処理部64によって作成したポリゴンの識別子を対応ポリゴンとして持つポリゴン属性データを調査図素図データに作成させる。
【0032】
一方、併合ツールエリア402の選択ボタンが操作された場合、図形処理部63は、ユーザの複数のポリゴン選択操作(たとえば、ポインティングデバイスによるポリゴン内のポイント操作)を受付け、受け付けたポリゴンを選択状態に設定する。そして、実行ボタンが操作されたならば、選択状態にあるポリゴンを合体させ、一つのポリゴンに変換する。すなわち、図4cの斜線掛で示した二つのポリゴン421、422が選択されたポリゴンであれば、この二つのポリゴンを図4dに斜線掛で示した一つのポリゴン423に変換する。そして、変換前の複数のポリゴンの識別子と変換後のポリゴンの識別子を属性処理部64に通知し、属性処理部64によって変換前の複数のポリゴンのポリゴン属性データを、変換後のポリゴンのポリゴン属性データに置き換える。
【0033】
次に、分割ツールエリア403の点入力ボタンが操作された場合には、図形処理部63は、ユーザの複数のポイント(始点、終点、折れ点)指定による線作成操作(たとえば、ポインティングデバイスによる線分アンカーポイントの設定操作)を受付け、線を調査前図形レイヤに描画する。そして、その後、選択ボタンが操作されたならば分割するポリゴンの選択操作を受付け、実行ボタンの操作によって選択されたポリゴンを描画した線を境界線として分割した二つのポリゴンに変換する。そして、変換前のポリゴンの識別子と変換後の二つのポリゴンの識別子を属性処理部64に通知し、属性処理部64によって変換前のポリゴンのポリゴン属性データを、変換後の二つのポリゴンのポリゴン属性データに置き換える。
【0034】
一方、線入力ボタンが操作された場合には、前記点入力ボタンによる複数のポイント(始点、終点、折れ点)指定による線作成操作に代えて、直線作成操作を受付けて直線を描画し、その後の選択ボタンや実行ボタンの操作に応じて、ポリゴンの選択と選択されたポリゴンの描画直線を分割線とする分割を同様に行う。
【0035】
すなわち、たとえば、図4eに示すように、点入力ボタンや線入力ボタンによって、線分431が描画され、選択ボタンによって斜線掛けしたポリゴン432が選択された場合には、実行ボタンの操作に応じて、図fに示すように選択された二つのポリゴン433、434に二分割する。
【0036】
次に、修正ツールエリア404は、削除ボタンや移動ボタンやスタイル変更ボタンの操作に応じて、ポリゴンの削除や、移動や、色や線などのスタイルの変更などの修正を受け付けるためのエリアであり、これらのボタンの操作とその後のポリゴンの操作に応じて図形処理部63は、ポリゴンの削除やポリゴンやポリゴンの辺や頂点の移動によるポリゴンの形状変更やスタイル変更などを行う。なお、ポリゴンが削除された場合、属性処理部64は削除されたポリゴンのポリゴン属性データを削除する。
【0037】
ユーザは、次に、このようにして作成した各ポリゴンに、基本的な属性を設定する。
この設定は、基本属性設定ツールウインドウを用いて行われる。
図5gに示すように、基本属性設定ツールウインドウには、字設定ツールエリア501、地番設定ツールエリア502、長狭物設定ツールエリア503、筆界点設定ツールエリア504が設けられている。
ユーザは、まず字設定ツールエリア501を利用して、各ポリゴンに大字と小字を設定する。
まず、属性処理部64は、大字入力ボックスと小字入力ボックスに大字と小字の入力を受け付ける。そして、入力された大字と小字を設定するポリゴンの選択を、矩形選択ボタンまたは多角形選択ボタンまたは個別選択ボタンの操作に応じて受け付ける。すなわち、矩形選択ボタンが操作された場合には、図5aに示すように、図形処理部63を介して素図表示エリア302上での矩形領域511の指定操作を受付、受け付けた矩形領域に一部でも含まれるポリゴン512?516を選択されたポリゴンとして受け付ける。また、多角形選択ボタンが操作された場合には、図5bに示すように、図形処理部63を介して素図表示エリア302上での多角形領域518の指定操作を受付、受け付けた多角形領域に一部でも含まれるポリゴン512、514?517を選択されたポリゴンとして受け付ける。また、個別選択ボタンが操作された場合には、図形処理部63を介して素図表示エリア302上でのポイント指定操作を受付、受け付けたポイントを含むポリゴンを選択されたポリゴンとして受け付ける。
【0038】
そして、調査図素図データの選択された各ポリゴンについて、そのポリゴンの識別子が対応ポリゴンに登録されているポリゴン属性データの筆属性に、字設定ツールエリア501の大字入力ボックスと小字入力ボックスで受け付けた大字と小字とを登録する。
【0039】
次にユーザは、各ポリゴンに対して地番設定ツールエリア502を用いて地番を設定する。
すなわち、属性処理部64は、地番設定ツールエリア502の次へボタンが操作されたならば、対応するポリゴン属性データの筆属性に地番が設定されていないポリゴンを一つ選択し、図形処理部63に、選択したポリゴンを素図表示エリア302上で強調表示させる。そして、地番入力ボックスに地番が入力され、再び、次へボタンが操作されたならば、選択したポリゴンのポリゴン属性データの筆属性に地番入力ボックスに入力された地番を登録する。そして、対応するポリゴン属性データの筆属性に地番が設定されていない次のポリゴンが残っている場合には、そのポリゴンを一つ選択し、同様に地番入力ボックスへの地番入力を受け付け、次へボタンの操作に応じて選択したポリゴンのポリゴン属性データの筆属性に地番入力ボックスに入力された地番を登録する。以降同様に、次へボタンが操作される度に、対応するポリゴン属性データの筆属性に地番が設定されていないポリゴンを順次選択し、地番の入力を受付、受け付けた地番を選択したポリゴンのポリゴン属性データの筆属性に登録していく。なお、次へボタンが操作された状態で、対応するポリゴン属性データの筆属性に地番が設定されていない次のポリゴンが残っていない場合には、選択されたポリゴンのポリゴン属性データの筆属性に入力された地番を登録し、処理を終了する。
【0040】
この結果、たとえば、図5cに示すように、3つの地番が登録されていないポリゴン521?523がある場合には、図5d、e、fに示すように、地番が登録されていないポリゴンが521、522、523の順に順次、自動的に選択されて強調表示され、その地番が設定されていくことになる。
【0041】
ユーザは、次に、長狭物設定ツールエリア503を利用して、長狭物を表すポリゴンに長狭物特有の属性を設定する。すなわち、属性処理部64は、長狭物設定ツールエリア503の表記ラジオボタンでポリゴンに対応する長狭物が道路であるか水路であるか白地であるかの指定を受付、地目入力ボックスで地目の入力を受付け、色選択ボックスでポリゴンの色の選択を受け付ける。
【0042】
そして、長狭物設定ツールエリア503の選択ボタンが押されたならば、図形処理部63を介して素図表示エリア302上でユーザのポリゴンの選択操作を受付け、図形処理部63に選択されたポリゴン色を色選択ボックスで選択された色に変更させる。また、調査図素図データの選択されたポリゴンの識別子が対応ポリゴンに登録されているポリゴン属性データの種別に表記ラジオボタンで指定された道路、水路、白地の区別を、筆属性に地目入力ボックスに入力された地目を登録する。
【0043】
このようにして、各ポリゴンの基本的な属性を登録したならば、ユーザは次に、筆界点図形を、図6fに示す筆界点ツールウインドウを用いて作成していく。
すなわち、図形処理部63は、筆界点ツールウインドウの、ラベル設定オプションエリア601において、ラジオボタンによる筆界点図形のラベルを自動生成するか否かの指定の受付と、初期値入力ボックスと増分入力ボックスによるラベルを自動生成する場合の初期値と増分との指定を受け付ける。また、ポリゴン生成オプションエリア602のラジオボタンにおいて、筆界点図形と共にポリゴンを生成するかどうかの指定を受け付ける。
【0044】
そして、これらオプションを反映した筆界点図形の生成を行う。まず、ポリゴン生成オプションエリア602において、筆界点図形と共にポリゴンを生成しないことが指定されている場合の、筆界点図形の生成動作について説明する。
この場合、図形処理部63は、図形選択エリア603でユーザによって選択されているシンボル図形(青杭や赤杭や青鋲や赤鋲や真鍮境界や筆界基準やペンキなどの現実の杭の種別を表す図形)を、図6aに示すように、筆界点図形611として、素図表示エリア302上でユーザがポイントした位置に対応する調査前筆界点レイヤ上の位置に描画し表示する処理を繰り返す。また、この場合に、図形選択エリア603のラジオボックスでスナップオプションが指定されている場合には、ユーザのポイント位置をポリゴンの頂点にスナップする(頂点付近のポイントを頂点のポイントとして処理する)。また、この場合に、筆界点図形のラベルを自動生成するオプションが指定されている場合には、描画した筆界点図形のラベル612として、筆界点図形を描画する度に指定された初期値から指定された増分づつ増加させた数値を描画する。
【0045】
また、図形処理部63は、描画した筆界点図形の識別子と種別(シンボル図形の種別)と描画した筆界点図形について生成したラベルを属性処理部64に通知し、属性処理部64は通知された識別子を対応ノードとする筆界点属性データを調査図素図データの調査前属性データ中に作成し、通知された種別とラベルを筆界点種別と筆界点ラベルとして登録する。
【0046】
次に、ポリゴン生成オプションエリア602において、筆界点図形と共にポリゴンを生成することが指定されている場合の、筆界点図形の生成動作について説明する。
この場合の動作も、図形処理部63は、筆界点図形と共にポリゴンを生成しないことが指定されている場合と同様に筆界点図形とラベルの描画と筆界点属性データの生成及び登録を行うが、図6b,c,d,eに示すように、2番目以降の筆界点図形を描画する度に、前に描画した筆界点図形611と今回描画した筆界点図形を結ぶ線分613を描画し、最初に描画した筆界点図形がポイントされたならば、最後に描画した筆界点図形と最初に描画した筆界点図形を結ぶ線分を描画し、描画した以上の線分を辺とするポリゴン614を生成する点が異なる。また、この場合、図形処理部63は、属性処理部64に作成したポリゴンの識別子を通知することにより、属性処理部64によって作成したポリゴンの識別子を対応ポリゴンとして持つポリゴン属性データを調査図素図データに作成させる。
【0047】
さて、ユーザは、このようにして作成した筆界点図形の削除や移動等の修正を、修正ツールエリア604を用いて行うことができる。修正エリアの削除ボタンや移動ボタンは、その操作によって、筆界点図形の削除や、移動を受け付けるためのボタンであり、これらのボタンの操作とその後の素図表示エリア302上での筆界点図形の操作に応じて図形処理部63は、筆界点図形の削除や移動を行う。なお、筆界点図形が削除された場合、属性処理部64は削除された筆界点図形の筆界点属性データを削除する。また、筆界点図形の移動を行う場合、図形処理部63は、ユーザの指定に応じて、筆界点図形が設定されたポリゴンやポリゴンの辺やポリゴンの頂点を筆界点図形と共に移動する。たとえば、筆界点図形のドラッグアンドドロップ操作に応じて、ドラッグされた筆界点図形と筆界点図形がその辺上に設定されたポリゴンまたはポリゴンの辺またはポリゴンの頂点をドロップ位置に移動する。
【0048】
また、筆界点図形の、筆界点ラベルや筆界点種別は、図5の基本属性設定ウインドウの筆界点設定ツールエリア504を用いて、設定または修正することができる。すなわち、属性処理部64は、筆界点種別入力ボックスと筆界点ラベル入力ボックスに、シンボル図形の種別と筆界点ラベルが入力され、選択ボタンが操作されると、素図表示エリア302上で筆界点図形の選択を受付け、受け付けた筆界点図形の筆界点属性データの筆界点ラベルに、筆界点ラベル入力ボックスに入力された値を設定する。また、図形処理部63に、選択された筆界点図形を、筆界点種別入力ボックスで指定されたシンボル図形の筆界点図形に変更させると共に、そのラベルとして筆界点ラベル入力ボックスに入力された値を描画させる。
【0049】
次に、ユーザは、このようにしてポリゴンと筆界点図形の作成と、基本属性の設定が終了したならば、チェックツールウインドウを用いて、そのチェックを行う。
図7dに示すように、チェックツールウインドウには、図形チェックツールエリア701と、属性チェックツールエリア702が設けられている。
図形処理部63は、図形チェックツールエリア701の重複チェックボタンが操作されると、調査前図形エリアの各ポリゴンに図7aに示すような他のポリゴンとの重なり合い711がないかどうかを調べ、重なり合いがあれば、重なりを持つ各ポリゴンを強調表示する。また、図形処理部63は、図形チェックツールエリア701の隙間チェックボタンが操作されると、図7bに示すようなポリゴン間の隙間712がないかどうかを調べ、存在する場合には、隙間に隣接するポリゴンまたは隙間に隣接するポリゴンの辺または隙間を強調表示する。
【0050】
ユーザは、このような表示より、ポリゴンの重なりや隙間を認識したならば、前述したポリゴンツールウインドウの修正ツールエリア404を用いてポリゴンを修正する。
次に、属性チェックツールエリア702の属性余りチェックが操作された場合には、属性処理部64は、リンク処理部66に、調査図素図データのリンク設定情報に設定されている調査地区と調査年度が登録されている全ての調査前レコードを地籍データベース4の調査前データ中から検索させると共に、検索された各調査前レコードのリンク設定情報に登録されているキー項目(地番または地番と大字の組み合わせまたは地番と大字と小字の組み合わせ)と同じ値を、筆属性のキー項目の値として持つポリゴン属性データを検索させる。そして、属性処理部64は、対応するポリゴン属性データを検索できなかった調査前レコードを余り調査前レコードとして抽出し、抽出した余り調査前レコードの情報の一覧(たとえば、各余り調査前レコードの調査前IDと大字、小字、地番の一覧)を作成し、作成した一覧を表示出力するか、または、テキストファイルとして記憶する。
【0051】
ユーザは、この表示や一覧よりポリゴンの不足や基本属性の設定の不足や誤設定がないかどうかを確認し、不足があれば、必要なポリゴンの作成や必要な基本属性の設定を前述のように行う。
一方、属性チェックエリアの図形余りボタンが操作された場合には、属性処理部64は、逆に、調査図素図データの各ポリゴン属性データについて、調査図素図データのリンク設定情報に設定されている調査地区と調査年度が登録されている調査前レコードであって、筆属性のリンク設定情報に設定されているキー項目と同じ値を、キー項目の値として持つ調査前レコードをリンク処理部66に検索させる。そして、対応する調査前レコードを検索できなかったポリゴン属性データを余りポリゴン属性データとして抽出し、抽出した余りポリゴン属性データの情報の一覧(たとえば、余りポリゴン属性データに登録されている大字、小字、地番の一覧)を作成、作成した一覧を表示出力するか、または、テキストファイルとして記憶する。また、図形処理部63に、図7cに示すように、余りポリゴン属性データにポリゴン識別子が登録されているポリゴン713を属性チェックツールエリア702の余り図形色選択ボックスで選択されている色で表示させる。
【0052】
ユーザは、このような表示や一覧より基本属性を登録していないポリゴンや基本属性を誤設定したポリゴンや不要ポリゴンの存在を認識し、当該ポリゴンの基本属性を前述のように設定したり、ポリゴンの削除を行ったりする。
次に、レイヤツールウインドウは、調査図素図図形データが表す各画像のレイヤの表示非表示の設定を受け付けるウインドウであり、図形処理部63は表示に設定されたレイヤのみを素図表示エリア302に合成表示する。また、このレイヤツールウインドウでは、地番や筆界点図形のラベルを表示するか否かの設定を受け付ける。そして、図形処理部63は、表示の設定が成されている場合にのみ、地番や筆界点図形のラベルを表示する。
【0053】
次に、コメントツールウインドウは、コメントレイヤへの文字列の描画を受け付けるためのウインドウであり、図形処理部63はコメントツールウインドウを介してユーザより受け付けた文字列を、コメントレイヤの、ユーザが指定した位置に描画する。
【0054】
次に、図形処理部63は、図3の作業ウインドウのコマンドボタン列301の拡大ボタンが操作された場合には、素図表示エリア302の調査図素図図形データが表す画像の表示を拡大し、コマンドボタン列301の縮小ボタンが操作された場合には、素図表示エリア302の調査図素図図形データが表す画像の表示を縮小し、コマンドボタン列301の移動ボタンが操作された場合には素図表示エリア302に表示する、調査図素図図形データが表す画像の範囲をユーザ操作に応じて移動する。
【0055】
次に、コマンドボタン列301のリンクボタンが操作された場合には、属性処理部64は以下の処理を行う。
すなわち、調査図素図データの各ポリゴン属性データについて、調査図素図データのリンク設定情報に設定されている調査地区と調査年度が登録されている調査前レコードであって、筆属性のリンク設定情報に設定されているキー項目と同じ値を、キー項目の値として持つ調査前レコードを検索する。そして、検索した調査前レコードに登録されているキー項目以外の項目の値を、ポリゴン属性データの筆属性の同項目の値に登録する。ただし、種別が長狭物であるポリゴン属性データの筆属性に地目に値が既に登録されている場合には、これを検索した調査前レコードに登録されている地目で置き換えるかどうかをユーザに問い合わせ、置き換えが指示された場合にのみ、これを置き換える。そして、置き換えないことが指示された場合には、逆に、ポリゴン属性データの筆属性に地目の値を、検索した調査前レコードに登録されている地目に登録する。
【0056】
次に、図3の作業ウインドウ上部のコマンドボタン列301の検索ボタンが操作された場合には、属性処理部64は、図8aに示すような検索ウインドウを表示し、上部の検索エリア801で、ユーザから1または複数の検索項目と検索値の組を検索条件として受け付ける。検索項目としてはポリゴン属性テーブルの筆属性の任意の項目を受け付ける。
【0057】
そして、検索エリア801の検索ボタンが操作されたならば、検索条件に合致するポリゴン属性データを抽出し、抽出したポリゴン属性データの情報の一覧を検索結果エリア802の一覧表示エリア803に表示する。ここで、一覧に表示するポリゴン属性データの情報として、ポリゴン属性データ中のどの項目の値を用いるかは、検索項目に設定された項目に応じて予め定めておく。たとえば、全ての検索項目として所有者が、全ての検索値として氏名が指定された場合には、検索値として指定された氏名のいずれかが所有者として筆属性に登録されている全てのポリゴン属性データを検索し、図示するように、検索したポリゴン属性データの筆属性に登録されている所有者氏名と住所とを、抽出したポリゴン属性データの情報の一覧として、検索結果エリア802内に設けた一覧表示エリア803に表示する
また、この一覧中には、抽出した各ポリゴン属性データに対応するポリゴンの色の指定を受け付けるための色選択ボックス811が、そのポリゴン属性データの情報を表示した行の先頭に設けられており、検索結果エリア802の塗り実行ボタンの操作に応じて、属性処理部64は、図形処理部63に各ポリゴン属性データに対応するポリゴンの塗り色を、対応する各ポリゴン属性データについて指定された塗り色に変更させる。ただし、属性処理部64は、検索結果エリア802の一覧表示エリア803の下の共通色を使用ラジオボタンがチェックされている場合には、塗り実行ボタンの操作に応じて、図形処理部63に、その下の共通色選択ボックスで選択された色に、抽出した全てのポリゴン属性データに対応するポリゴンの色を変化させる。
【0058】
次に、図3の作業ウインドウ上部の属性編集ボタンが操作された場合には、属性処理部64は、素図表示エリア302上でいずれかのポリゴンの選択を受け付け、図8bに示すように受け付けたポリゴンのポリゴン属性データの筆属性の各項目の登録内容821を表した属性編集ウインドウを表示する。この属性編集ウインドウには、筆属性の各項目の値を変更するための入力ボックス822が各項目に対応して設けられており、更新ボタンが操作されると、属性処理部64は、選択されたポリゴンのポリゴン属性データの筆属性の入力ボックスに値が入力された項目を入力された値に更新する。また、選択されたポリゴンのポリゴン属性データに対応する調査前レコードの、入力ボックスに値が入力された項目と同じ項目の値を入力された値に更新する。これにより、ユーザは、調査図素図の表示上で、調査前レコードの項目を編集することができるようになる。なお、ポリゴン属性データに対応する調査前レコードとは、リンク処理部66を用いて検索した、調査図素図データのリンク設定情報に設定されている調査地区と調査年度が登録されている調査前レコードであって、そのポリゴン属性データの筆属性のリンク設定情報に設定されているキー項目と同じ値を、キー項目の値として持つ調査前レコードである。
【0059】
さて、図3の作業ウインドウのコマンドボタン列301の保存ボタンが操作された場合には、処理制御部62が調査図素図データの素図データ格納部67への保存を行う。また、コマンドボタン列301の開くボタンが操作された場合には、処理制御部62は、素図データ格納部67に格納されている調査図素図データのうちからの一つの調査図素図データの選択をユーザから受け付け、選択を受け付けた調査図素図データを読み出し、処理対象の調査図素図データとして、ユーザが以上の処理を行うことを可能とする。また、コマンドボタン列301の印刷ボタンが操作された場合には、図面出力処理部65は、ユーザより印刷対象とするレイヤの指定や筆界点図形のラベルや地番を印刷対象に含めるか否かの指定や印刷縮尺の指定を受け付け、調査図素図図形データが表す画像のレイヤのうちのユーザが指定した1または複数のレイヤを合成した画像の、ユーザ指定縮尺によるプリント装置3への印刷出力を行う。したがって、ユーザは、調査前図形レイヤまたは調査前図形レイヤと調査前筆界点レイヤを印刷対象レイヤとして指定することにより、調査図素図のハードコピーを出力することができる。そして、コマンドボタン列301の終了ボタンが操作された場合には、素図作成部6は、その処理を終了する。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態においては、ポリゴンを描画するレイヤをさらに追加し、このレイヤに描画されたポリゴンと地籍データベース4の調査後データを、前記調査前図形レイヤと調査前データとをリンクさせたのと同様にリンクし、追加したレイヤ上の選択したポリゴン図形の調査後データの各項目の表示や、更新を作業ウインドウから行うことを可能とするようにしても良い。また、この場合において、追加したレイヤに描画するポリゴンは、地籍調査によって得られた測量データを元に図形処理部63において自動生成するようにすることが好ましい。
【0061】
または、以上の実施形態においては、調査図素図を作成することに代えて地籍調査において得られた測量データを元に自動生成した各々筆を表すポリゴンを調査前図形レイヤに描画し、調査前データに代えて調査後データを描画した各ポリゴンにリンクさせるようにしても良い。
また、以上の実施形態ではポリゴン属性データの筆属性に調査前レコードの各項目の値を属性として読み込み、読み込んだ値を属性の表示や検索に用いたが、前述のように筆属性には対応する調査前レコードへのリンクのみを記述しておき、属性の表示や検索は、筆属性に記述された調査前レコードの各項目を用いて行うようにしてもよい。ただし、この構成は、調査図素図データの利用時に、常に調査前データが必要となる。いいかえれば、以上の実施形態で示した構成は、一旦、ポリゴン属性データの筆属性に調査前レコードの各項目の値を属性として読み込んだ後は、調査前レコードを必要とすることなしに、調査図素図上の各筆の属性の表示や検索が可能となる。すなわち、調査図素図データ単体での利用が可能であるため、素図作成部6のアプリケーションをインストールした携帯型のコンピュータに調査前レコードからの項目読み込み済みの調査図素図データを格納すれば、調査現地に当該コンピュータを携帯し、任意に調査図素図上での各筆の属性の表示や属性による検索を行うことが可能となる。
【0062】
以上のように本実施形態によれば、地籍調査図素図の作成や編集を容易に行うことができると共に、地籍調査図素図の表示上から地籍調査票の元となる調査前データの確認や編集を行うことができる。
よって、たとえば、本地籍処理支援システムを調査現地に携帯し、現地において、地籍調査図素図を表示させて地籍調査の参考としたり、表示した地籍調査図素図上で、直接的に各筆に関する地目、所有者などの情報を確認したりすることができる。また、地籍調査図素図作成中などに地籍調査図素図上で見い出されたある筆の地籍調査票の誤りを、地籍調査図素図上から直接修正したりすることができる。
【0063】
したがって、本実施形態によれば、ユーザは地籍調査などの地籍に関する作業を、より効率的に行えるようになる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ユーザは、地籍調査等の地籍処理の作業を、より効率的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る地籍処理支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る地籍処理支援システムが備える各種データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る地籍処理支援システムが表示する作業ウインドウを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るポリゴン編集動作を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基本属性設定動作を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る筆界点図形編集動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るチェック動作を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る検索及び属性編集動作を示す図である。
【符号の説明】
1…表示装置、2…入力装置、3…プリント装置、4…地籍データベース、5…入出力制御部、6…素図作成部、7…地籍データベース利用アプリケーション、61…GUI制御部、62…処理制御部、63…図形処理部、64…属性処理部、65…図面出力処理部、66…リンク処理部、67…素図データ格納部、301…コマンドボタン列、302…素図表示エリア、303…ツールウインドウ群。
Claims (9)
- 各筆の境界と地番を表した地図である筆地図を表示する筆地図表示手段と、
前記筆地図に各々筆を表す図形である筆図形を描画する図形処理部と、
前記筆地図に描画された各筆図形に地番を属性として設定する地番設定手段とを有し、
前記地番設定手段は、地番が属性として設定されていない筆図形を一つ探索し、当該探索した一つの筆図形を選択筆図形として選択し、選択筆図形の前記筆地図上の表示を他の筆図形と区別可能な表示形態に変更し、選択筆図形に設定する地番の入力を受け付けて、入力された地番を選択筆図形に設定する処理を繰り返し行うことを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆界点を表す筆界点図形の描画操作をユーザより受け付けて、筆界点図形を前記筆地図に描画する筆界点図形描画手段と、
描画された筆界点図形を描画順に結ぶ線分と、ユーザ操作に応じて開始時点と終了時点が定まる描画シーケンス中において最後に描画された筆界点図形と前記描画シーケンス中に最初に描画された筆界点図形とを結ぶ線分を辺とする多角形を、前記筆図形として描画する筆界点図形追従筆図形描画手段とを有することを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
属性読み込み手段とを有し、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定し、
前記属性読み込み手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に設定されている筆識別情報を検索のキーとして、当該筆図形が表す筆の筆データを検索し、検索した筆データから前記地籍属性項目を読み出して、当該筆図形の属性として設定もしくは表示することを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
登録手段とを有し、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する、地番を含む筆識別情報と所定の地籍属性項目とを含む属性の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた属性を当該筆図形に対して設定し、
前記登録手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に属性として設定されている筆識別情報を検索のキーとして、当該筆図形が表す筆の筆データを検索し、検索した筆データに、当該筆図形に属性として設定されている前記地籍属性項目を登録することを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
余り筆図形チェック手段とを有し、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定し、
前記余り筆図形チェック手段は、前記筆地図に描画された筆図形のうち、当該筆図形に設定されている筆識別情報と同じ筆識別情報が登録された筆データが存在しない筆図形を抽出し、抽出した筆図形の前記筆地図上の表示を、他の筆図形と区別可能な表示形態に変更することを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
余り筆データチェック手段とを有し、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定し、
前記余り筆データチェック手段は、前記筆毎の筆データのうち、当該筆データに登録されている筆識別情報と同じ筆識別情報が登録された筆図形が存在しない筆データを抽出し、抽出した筆データの識別を出力することを特徴とする地籍処理支援システム。 - 請求項1記載の地籍処理支援システムであって、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
筆検索手段とを有し、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた地番を含む筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定し、
前記筆検索手段は、前記筆データに登録されている地籍属性項目に対する検索条件を受け付け、受け付けた検索条件に合致する筆データを検索し、検索した筆データと同じ筆識別情報が登録された筆図形を、他の筆図形と区別可能な表示形態に変更することを特徴とする地籍処理支援システム。 - コンピュータによって読みとられ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
各筆の境界と地番を表した地図である筆地図を表示する筆地図表示手段と、
前記筆地図に各々筆を表す図形である筆図形を描画する図形処理部と、
前記筆地図に描画された各筆図形に地番を属性として設定する地番設定手段として機能させ、
前記地番設定手段は、地番が属性として設定されていない筆図形を一つ探索し、当該探索した一つの筆図形を選択筆図形として選択し、選択筆図形の前記筆地図上の表示を他の筆図形と区別可能な表示形態に変更し、選択筆図形に設定する地番の入力を受け付けて、入力された地番を選択筆図形に設定する処理を繰り返し行うことを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項8記載のコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、
筆毎に地番を含む筆識別情報と他の地籍属性項目を登録した筆データを記憶した地籍データベースと、
属性読み込み手段として機能させ、
前記地番設定手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に対する地番を含む筆識別情報の設定操作をユーザから受け付けて、設定操作を受け付けた筆識別情報を当該筆図形に対して当該筆図形の属性として設定し、
前記属性読み込み手段は、前記筆地図に描画された各筆図形に設定されている筆識別情報を検索のキーとして、当該筆図形が表す筆の筆データを検索し、検索した筆データから前記地籍属性項目を読み出して、当該筆図形の属性として設定もしくは表示することを特徴とするコンピュータプログラム。
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