JP4583528B2 - 金型装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばタレットパンチプレスなどのごときパンチプレスに装着して使用される金型装置に係り、さらに詳細には、パンチボディを上下動自在に嵌入支持したパンチガイドの下端部にストリッパプレートを着脱自在に備えた金型装置であって、上記パンチガイドとストリッパプレートとの間に僅かのガタ付きもない金型装置に関し、またハイト調整を工具を用いることなく容易に行い得る金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばタレットパンチプレスのごときパンチプレスにおけるパンチホルダ(上部タレット)に装着して使用される金型装置としてのパンチ金型は、上記パンチホルダに上下動自在に支持される円筒形状のパンチガイド内に、下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入支持し、上記パンチガイドの上部に装着したリテーナカラーと前記パンチボディの上端部に螺着したパンチヘッドとの間に強力なストリッパスプリングを弾装した構成である。そして、パンチガイドの下端部に、前記パンチ刃部の断面形状に対応した形状の穴を形成したストリッパプレートを備えた構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パンチガイドの下端部にストリッパプレートを着脱可能に備えた構成においては、パンチガイドに対して下方向から嵌合装着する形式と、パンチガイドの下端部に形成した横方向(パンチガイドの軸心に対して直交する方向)のガイド部に対してストリッパプレートを横方向から着脱する形式とがある。
【0004】
パンチガイドに対してストリッパプレートを下方向から嵌合着脱する形式においては、ストリッパプレートとパンチガイドとの嵌合状態が比較的強固であり、かつ上下方向に僅かの間隙もないように密着されるので望ましいものである。
【0005】
しかし、パンチガイドの下端部に形成した横方向のガイド部に対してストリッパプレートを横方向から着脱する形式においては、パンチガイドとストリッパプレートとの間に上下方向の微小間隙が存在し、パンチガイドの上下動時に上記微小間隙の存在による異常音を発生すると共に、パンチボディの下端部に備えたパンチ刃部の周囲とストリッパプレートの穴周面との間の微小間隙からオイルミスト等の流体を噴出せしめようとするとき、上記流体がパンチガイドとストリッパプレートとの間の微小間隙から逃げ易く、前記流体を効果的に噴出できないことがあるという問題があった。
【0006】
ところで、ハイト調整を行い得るパンチ金型としては、ストリッパースプリングの付勢力に影響されることなくハイト調整を行うことのできる金型が開発されており、その先行例として、例えば特開平10−244327号公報がある。この先行例においては、ストリッパースプリングを内装したスプリングカラー内にハンチヘッドが埋設された態様であって、ハイト調整時には前記スプリングカラーからパンチヘッドを大きく突出せしめる必要があり、ハイト調整の操作が厄介であると共に、全体的構成が比較的複雑であるという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、パンチボディを上下動自在に嵌入支持したパンチガイドの下端部にストリッパプレートを着脱自在に備えた金型装置において、前記パンチガイドの下端部に、ストリッパプレートを横方向に着脱自在に支持するストリッパホルダを上下動自在に設け、前記パンチガイドの下部に水平に突設した複数のガイドピンと係合したガイド孔を、前記ストリッパホルダに傾斜して設けると共に当該ガイド孔の下部に接続した下部孔を設け、前記パンチガイドに対してストリッパホルダを回動して前記ストリッパホルダを上昇したときに、前記下部孔と前記ガイドピンとが係合して前記ストリッパホルダを上昇位置に固定状態に保持する構成であり、上記ストリッパホルダが上昇されたときに、当該ストリッパホルダに支持されたストリッパプレートが前記パンチガイドの下端部に密着する構成である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の金型装置において、パンチガイドの下端部に、当該パンチガイドとストリッパプレートとの間を気密的に保持するためのシール部材を設けた構成である。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、本発明の一実施の形態に係る金型装置1において、パンチヘッドがストライカによって打圧され、最下降した状態が示されている。上記金型装置1は、例えばタレットパンチプレスにおける上部タレット等のごときパンチホルダ(図示省略)に上下動自在に支持される円筒形状のパンチガイド3を備えており、このパンチガイド3内には、上記パンチガイド3の下端部に備えたストリッパプレート5を貫通する下端部にパンチ刃部7を備えたパンチボディ9が上下動自在に嵌入支持されている。
【0011】
上記パンチガイド3の上部には、例えばオーリングのごとき止め具11を介してリテーナカラー13が着脱可能かつ回転可能に取付けてあり、リテーナカラー13には円筒形状のスプリングカラー15の下端部が止め具17を介して嵌合固定してある。そして、上記スプリングカラー15とリテーナカラー13はピン19等を介して相対的に回転しないように一体的に固定されている。
【0012】
そして、前記リテーナカラー13を上下動自在に貫通して上方向に延伸したパンチボディ9の上端部にはパンチヘッド21が上下調節可能に螺着してあり、このパンチヘッド21と前記リテーナカラー13との間には強力なストリッパスプリング23が弾装してある。上記パンチヘッド21には、前記スプリングカラー15に設けた上下方向の長孔25に上下動自在に係合した係止ピン27が設けてあって、パンチヘッド21とスプリングカラー15との相対的な回転を規制してある。
【0013】
付勢手段としての前記ストリッパスプリング23の付勢力によるパンチヘッド21の上方向への移動を規制するために、スプリングカラー15の上端部内周面には昇降規制部としての環状の段差部15Aが形成してある。そして、前記パンチヘッド21に備えたフランジ部21Fが上記段差部15Aに当接することによって上昇が規制されるものである。
【0014】
前記パンチボディ9とパンチヘッド21との螺合関係を調節してハイト調整を行うために、前記パンチガイド3の上端部に備えたフランジ3Fの部分には、図2に示すように、押しボタン29が径方向(図2においては左右方向)に移動自在に設けられている。この押しボタン29は弾装したコイルスプリングのごとき弾性部材31によって外方向へ押圧付勢されているが、上記押しボタン29を上下に貫通したストッパピン33の下端部がパンチガイド3に形成した径方向の溝35に係合していることにより、抜け出るようなことはないものである。
【0015】
前記ストッパピン33の上端部は、前記リテーナカラー13の下面に形成した周溝37と、この周溝37の外側に所定ピッチで円周方向に形成した複数の係合凹部39とに交互に係合するように設けられており、常態においては、弾性部材31の作用によって押しボタン29が外方向に押圧されてストッパピン33の上端部は上記係合凹部39に係合した状態にあり、パンチガイド3に対するリテーナカラー13の回転を阻止した固定状態にある。
【0016】
上記構成において、パンチヘッド21のフランジ部21Fがスプリングカラー15の段差部15Aに当接した状態にあるときに、弾性部材31の付勢力に抗して押しボタン29を内方向へ押圧し、ストッパピン33の上端部を係合凹部39から離脱して内側の周溝37の位置に位置せしめると、パンチガイド3に対してリテーナカラー13を相対的に回転可能になる。
【0017】
したがって、上述のごとき状態においてパンチガイド3に対してリテーナカラー13を回転すると、スプリングカラー15及び係止ピン27を介してパンチヘッド21がパンチボディ9に対して相対的に回転されることとなり、パンチボディ9とパンチヘッド21との螺合状態が調節されることになる。すなわち、パンチヘッド21に対してパンチボディ9を相対的に上下に調節できることとなり、ハイト調整が行われ得るものである。この際、ストリッパースプリング23の付勢力はスプリングカラー15の段差部15Aでもって受けているので、上記付勢力に影響されることなく、パンチボディ9に対してパンチヘッド21を軽く回動することができるものである。
【0018】
上述のごとくパンチヘッド21を回転調節した後、押しボタン29の押圧を解除すると、弾性部材31の付勢力によって押しボタン29が外方向に移動されて、ストッパピン33の上端部は別個の係合凹部39に係合して、前記リテーナカラー13の相対的な回転を阻止する状態となる。
【0019】
すなわち、上記構成により、工具を用いることなしにハイト調整(パンチヘッドの上面からパンチボディ9におけるパンチ刃部7までの寸法の調節)を行い得ることは勿論のこと、パンチヘッド21あるいはスプリングカラー15を上下方向に操作する必要がなく、その構成が比較的簡単であると共に操作が容易なものである。
【0020】
前記パンチボディ9には、従来のパンチボディと同様に、パンチガイド3に形成したキー溝に係合したキー41が設けられていると共に、前記パンチヘッド21を打圧自在のストライカ43に形成した流体孔(図示省略)と連通する流体孔45が形成してある。この流体孔45は、前記ストライカ43から供給されるオイルミスト等の流体を前記パンチガイド3の下端部に導き、前記パンチ刃部7の周囲から前記流体を噴出せしめるべく作用するものである。
【0021】
前記パンチガイド3の下端部には、前記ストリッパプレート5を横方向(パンチガイドの軸心に対して直交する方向)に着脱自在に支持する円筒形状のストリッパホルダ47が上下動自在に装着されている。上記ストリッパホルダ47を上下動するために、上記ストリッパホルダ47の複数箇所には、パンチガイド3の下端部に水平に突設した複数のガイドピン49と係合したガイド孔51が形成してある。このガイド孔51は、図4に示すように、水平な上部孔51Aと下部孔51Bとを傾斜部でもって接続した構成である。
【0022】
したがって、上記ガイド孔51の下部孔51Bにガイドピン49を係合した状態においては、パンチガイド3に対してストリッパホルダ47が上昇した状態にあり、ガイドピン49が上部孔51Aに係合するようにストリッパホルダ47を相対的に回動すると、パンチガイド3に対してストリッパホルダ47は相対的に下降されることになる。
【0023】
上記ストリッパホルダ47に対してストリッパプレート5を水平方向に着脱するために、ストリッパホルダ47には、ストリッパプレート5の周面に形成した周溝5Gと係脱自在の凸条部53を内周面に備えており、かつ図5に示すように、上記ストリッパプレート5の外径にほぼ等しい切欠部55が水平に形成してある。
【0024】
なお、上記ストリッパホルダ47の方向性とストリッパプレート5の方向性とを常に等しく保持するために、ストリッパホルダ47には位置決めピン57が設けてあり、ストリッパプレート5には上記位置決めピン57に着脱方向に係脱自在の係合凹部59が形成してある。そして、前記パンチガイド3の下端部とストリッパプレート5との間の気密性を保持するために、パンチガイド3の下端部にはOリングのごときシール部材61が設けてある。
【0025】
なお、前記パンチガイド3に対して前記ストリッパホルダ47が所定の位置的関係を維持するように、パンチガイド3には、ストリッパホルダ47に形成した複数の凹部に係合離脱自在のボールプランジャ63(図3参照)が設けられている。
【0026】
以上のごとき構成において、ストリッパスプリング23の作用によってパンチボディ9が最上昇されてパンチヘッド21のフランジ部21Fがスプリングカラー15の段差部15Aに当接し、かつパンチボディ9のパンチ刃部7がストリッパプレート5から上方向に抜けた状態にあるとき(図1には、ストライカ43によって最下降された状態が示されている)、ストリッパホルダ47のガイド孔51における上部孔51Aにガイドピン49が係合するようにストリッパホルダ47を回動すると、パンチガイド3に対してストリッパホルダ47は相対的に下降する。
【0027】
この状態において、切欠部55を経てストリッパホルダ47に対してストリッパプレート5の着脱交換が水平方向に行われる。ストリッパホルダ47にストリッパプレート5を装着した状態において、ガイドピン49が下部孔51Bに係合するようにストリッパホルダ47を回動すると、パンチホルダ3に対してストリッパホルダ47が相対的に上昇され、ストリッパプレート5がシール部材61を押圧しパンチガイド3の下端部に密着される。
【0028】
したがって、パンチガイド3の下端部とストリッパプレート5との間に微小間隙を生じるようなことがなく気密性が保持されると共に、パンチング加工時に僅かなガタ付き等に起因する異音を発生するようなことがなくなるものである。
【0029】
なお、前述のごとく、パンチガイド3に対してストリッパホルダ47を相対的に上昇,下降せしめたとき、ボールブンジャ63の付勢力によってストリッパホルダ47の固定状態が保持されて、上昇位置及び下降位置に保持されるものであって、安易に移動するようなことはないものである。
【0030】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、パンチガイドに対してストリッパプレートを横方向に着脱する構成であっても、パンチガイドとストリッパプレートとの間に微小間隙が生じることのないように気密的に保持することができ、オイルミスト等の流体が周囲に逃げることを防止できると共に、加工時に異常音を発することを防止でき、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る金型装置の断面説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る金型装置の主要部分の拡大断面説明図である。
【図3】パンチガイドに対するストリッパホルダの取付構造を示す断面説明図である。
【図4】パンチガイドに対するストリッパホルダの取付構造を示す側面説明図である。
【図5】パンチガイドに対するストリッパホルダの取付構造を示す底面説明図である。
【符号の説明】
1 金型装置
3 パンチガイド
5 ストリッパプレート
7 パンチ刃部
9 パンチボディ
13 リテーナカラー
15 スプリングカラー
21 パンチヘッド
29 押しボタン
33 ストッパピン
47 ストリッパホルダ
49 ガイドピン
51 ガイド孔
53 凸条部
55 切欠部
61 シール部材

Claims (2)

  1. パンチボディを上下動自在に嵌入支持したパンチガイドの下端部にストリッパプレートを着脱自在に備えた金型装置において、前記パンチガイドの下端部に、ストリッパプレートを横方向に着脱自在に支持するストリッパホルダを上下動自在に設け、前記パンチガイドの下部に水平に突設した複数のガイドピンと係合したガイド孔を、前記ストリッパホルダに傾斜して設けると共に当該ガイド孔の下部に接続した下部孔を設け、前記パンチガイドに対してストリッパホルダを回動して前記ストリッパホルダを上昇したときに、前記下部孔と前記ガイドピンとが係合して前記ストリッパホルダを上昇位置に固定状態に保持する構成であり、上記ストリッパホルダが上昇されたときに、当該ストリッパホルダに支持されたストリッパプレートが前記パンチガイドの下端部に密着する構成であることを特徴とする金型装置。
  2. 請求項1に記載の金型装置において、パンチガイドの下端部に、当該パンチガイドとストリッパプレートとの間を気密的に保持するためのシール部材を設けたことを特徴とする金型装置。
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