JP4002089B2 - パンチ組立体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチプレスに使用するパンチ組立体に係り、さらに詳細には、例えばハイト調整等を容易に行うことのできるパンチ組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る先行例として、例えば実公平7−50024号公報がある。上記先行例に係るパンチ組立体101は次のごとき構成である。すなわち、図3に示すように、円筒形状のパンチガイド103内に、下端部に切刃部105Aを備えたパンチドライバ105を上下動可能に嵌合して設け、前記パンチガイド103から上方向へ突出した前記パンチドライバ105の上端部に形成した雄ねじ部105Bにパンチヘッド107が螺合してある。
【0003】
上記パンチヘッド107は、前記雄ねじ部105Bに螺合した筒状ねじ部107Aの上部にフランジ部107Bを備えた構成である。そして、上記筒状ねじ部107Aの外周面にテーパ部107Cが形成してあり、かつ前記筒状ねじ部107Aの内周面から前記フランジ部107Bの外周面に至るスリット(図示省略)が形成してある。
【0004】
前記パンチヘッド107の筒状ねじ部107Aには、前記テーパ部107Cに嵌合離脱自在のリング部材109が設けてあり、このリング部材109と止めねじ111を介して前記パンチガイド103の上部に取付けたリテーナカラー113との間には、極めて強力なストリッパスプリング115が弾装してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとき従来の構成においては、ストリッパスプリング115の作用によってパンチヘッド107のテーパ部107Cにリング部材109が強力に嵌合され、パンチヘッド107に形成したスリットの間隔が狭くなるように挟圧されるので、パンチドライバ105の上端部の雄ねじ部105Bとパンチヘッド107の筒状ねじ部107Aとの螺合状態が固くなって緩みが生じ難くなるという効果がある。
【0006】
しかし、パンチドライバ105の切刃部105Aに摩耗が生じ、再研磨のために分解する場合や、ハイト調整のためにパンチドライバ105とパンチヘッド107との上下位置関係を微調整しようとする場合、パンチドライバ105に対してパンチヘッド107を回転することが中々厄介であるという問題がある。
【0007】
すなわち、パンチ組立体101を分解する場合には、止めねじ111を弛めてパンチドライバ105等をパンチガイド103から上方向に抜き出した後、パンチヘッド107におけるフランジ部107Bの複数箇所に設けたねじ孔107Dにボルトを螺入し、この複数のボルトによってリング部材109を押し下げ、パンチヘッド107のテーパ部107Cとリング部材109との嵌合を解除する。または適宜の治具を用いて前記テーパ部107Cとリング部材109との嵌合を解除する。その後、パンチドライバ105に対してパンチヘッド107を回すことにより、パンチドライバ105からパンチヘッド107を取り外すものである。
【0008】
上述のごとく、パンチドライバ105からパンチヘッド107を取り外すとき、テーパ部107Cとリング部材109との嵌合を解除した状態にあるものの、パンチドライバ105に対してパンチヘッド107を手等によって容易に回すことができないという問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、筒状のパンチガイド内に、切刃部を下端部に備えたパンチドライバを上下動可能に設け、このパンチドライバの上端部に形成した雄ねじ部に螺合したパンチヘッドに、前記雄ねじ部に螺合した筒状ねじ部を備えると共にフランジ部を備え、かつ前記筒状ねじ部の外周面にテーパ部を設けると共に前記筒状ねじ部の内周面から前記フランジ部の外周面に至るスリットを前記パンチヘッドに設け、前記筒状ねじ部の前記テーパ部と嵌合離脱自在のリング部材と前記パンチガイドの上部に着脱可能のリテーナカラーとの間にストリッパ用弾性部材を弾装した構成のパンチ組立体において、前記パンチヘッドに対して前記リング部材を押し下げるための複数の押下げねじを前記パンチヘッドに備え、前記パンチヘッドの前記スリット内に、当該スリットを広げるためのスリット広げ部材を備え、前記押下げねじによって前記リング部材が押し下げられて前記テーパ部から前記リング部材が離脱されるに従って前記スリットを広げるために、前記スリット広げ部材は前記リング部材に連結してあり、かつ下部側よりも上部側が大きくなる錐体の形状である。
【0011】
請求項に係る発明は、請求項1に記載のパンチ組立体において、前記パンチヘッドと前記リテーナカラーとを所定の間隔に保持可能の間隔保持部材を備えているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、本発明の実施の形態に係るパンチ組立体1は、円筒形状のパンチガイド3内に、下端部に切刃部5Aを備えたパンチドライバ5が上下動可能に嵌入してあり、パンチガイド3から上方向に突出したパンチドライバ5の上端部には雄ねじ部5Bが形成してある。そして、上記雄ねじ部5Bにはパンチヘッド7が着脱可能に螺合してある。
【0013】
上記パンチヘッド7には、前記雄ねじ部5Bに螺合した筒状ねじ部9が形成してあると共にフランジ部11が形成してあり、上記筒状ねじ部9の外周面には従来の構成と同様にテーパ部9Tが形成してある。また、前記パンチヘッド7には、前記筒状ねじ部9の内周面から前記フランジ部11の外周面に至るスリット13(図2参照)が形成してあると共に、前記テーパ部9Tに嵌合離脱自在のリング部材15を下方向へ相対的に押し下げ可能の複数の押下げねじ17がフランジ部11の複数箇所に上下動可能に下側から螺入してある。
【0014】
そして、前記スリット13の部分には、下側が狭くなるテーパ孔等のごとき係合孔19が形成してあり、この係合孔19内には、パンチヘッド7に対して相対的に下降することによって前記スリット13の幅を拡げる作用をなすスリット広げ部材21が係合してある。
【0015】
上記スリット広げ部材21は、例えばテーパピン等のごとく下部側よりも上部側が大きくなる錐体よりなるものであって、本実施の形態においては、スリット広げ部材21は止めねじを介して前記リング部材15と一体的に連結してある。
【0016】
前記パンチドライバ5の上部側を囲繞して前記パンチガイド3の上部に着脱可能に取付けたリテーナカラー23と前記リング部材15との間には、極めて強力なストリッパスプリング等のごとき弾性部材25が弾装してある。前記リテーナカラー23は、当該リテーナカラー23の下側小径部分に嵌合したOリング27を介して前記パンチガイド3に着脱可能に設けられている。
【0017】
そして、前記リテーナカラー23には、前記弾性部材25等を内包する態様の筒状体29の下端部が適宜の止め具31によって固定してあり、この筒状体29の上端部内周面に内方向へ突出して形成した係止部33は、前記パンチヘッド7のフランジ部11の上面外周側に形成した係合部35と係合してある。上記筒状体29は、弾性部材25に抗してパンチヘッド7を下降することは許容するものの、上記弾性部材25の作用によって上昇することを規制し、前記パンチヘッド7とリテーナカラー23との間隔を所定の間隔に保持する間隔保持部材として機能すると共に安全カバーの機能を奏するものである。
【0018】
以上のごとき構成において、パンチ組立体1をパンチプレスに装着し、パンチプレスにおいて上下動自在のストライカによってパンチヘッド7を打圧すると、先ず、パンチ組立体1を上下動可能に支持したリフタースプリング(図示省略)が圧縮され、パンチガイド3の下部が打抜き加工すべきワークの上面に当接し、下側に配置してあるダイとの間にワークを挟圧すると、次に、弾性部材25に抗してパンチヘッド7、パンチドライバ5が下降され、前記ワークの打抜き加工が行われるものである。
【0019】
なお、パンチ組立体1によってワークの打抜き加工を行う作用は、例えば前記先行例のパンチ組立体と同様であるので、より詳細な説明は省略する。
【0020】
ところで、例えば、パンチドライバ5における切刃部5Aの再研磨を行うべく分解する場合には、パンチガイド3からリテーナカラー23を上方向へ引き抜いた後、パンチヘッド7の複数箇所に螺着した押下げねじ17を弾性部材25に抗して下降せしめ、当該押下げねじ17によってリング部材15を押し下げると、パンチヘッド7における筒状ねじ部9のテーパ部9Tからリング部材15が下方向に離脱する。
【0021】
上述の如くパンチヘッド7に対してリング部材15を下降すると、テーパ部9Tからリング部材15が離脱されて、弾性部材25の付勢力に起因する筒状ねじ部9の締付力が解除されることになる。そして、前記リング部材15の下降に従ってスリット広げ部材21が一体的に下降し、スリット13を広げるので、パンチドライバ5の雄ねじ部5Bと筒状ねじ部9との噛み合が緩められることとなり、前記雄ねじ部5Bに対して筒状ねじ部9を回転して取り外すことがより容易になるものである。
【0022】
さらに、前記構成によれば、前記弾性部材25の付勢力はパンチヘッド7の係合部35を介して筒状体29の係止部33で受けることとなり、筒状ねじ部9とパンチドライバ5の雄ねじ部5Bとの螺合部分には、前記弾性部材25の付勢力が作用することがないので、パンチヘッド7に対してパンチドライバ5をさらに容易に回転することができ、パンチヘッド7からパンチドライバ5を下方向へ容易に取り外すことができるものである。
【0023】
したがって、パンチドライバ5の再研磨のためにパンチヘッド7からパンチドライバ5を取り外すことが容易であり、また、再研磨後に、ハイト調整のためにパンチドライバ5とパンチヘッド7との上下位置を微調整する場合、ハイト調整を容易に行い得るものである。
【0024】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、パンチヘッドに形成したスリットを広げることによって、パンチドライバの雄ねじ部とパンチヘッドとの螺合部の噛み合を緩めることができる。したがって、パンチヘッドに対してパンチドライバを容易に回すことができ、パンチ組立体の組立分解及びハイト調整を容易に行うことができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパンチ組立体の構成を示す断面説明図である。
【図2】図1に示したパンチヘッドの平面説明図である。
【図3】従来のパンチ組立体の構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 パンチ組立体
3 パンチガイド
5 パンチドライバ
5A 切刃部
5B 雄ねじ部
7 パンチヘッド
9 筒状ねじ部
11 フランジ部
13 スリット
15 リング部材
17 押下げねじ
19 係合孔
21 スリット広げ部材
23 リテーナカラー
25 弾性部材
29 筒状体
33 係止部
35 係合部

Claims (2)

  1. 筒状のパンチガイド内に、切刃部を下端部に備えたパンチドライバを上下動可能に設け、このパンチドライバの上端部に形成した雄ねじ部に螺合したパンチヘッドに、前記雄ねじ部に螺合した筒状ねじ部を備えると共にフランジ部を備え、かつ前記筒状ねじ部の外周面にテーパ部を設けると共に前記筒状ねじ部の内周面から前記フランジ部の外周面に至るスリットを前記パンチヘッドに設け、前記筒状ねじ部の前記テーパ部と嵌合離脱自在のリング部材と前記パンチガイドの上部に着脱可能のリテーナカラーとの間にストリッパ用弾性部材を弾装した構成のパンチ組立体において、前記パンチヘッドに対して前記リング部材を押し下げるための複数の押下げねじを前記パンチヘッドに備え、前記パンチヘッドの前記スリット内に、当該スリットを広げるためのスリット広げ部材を備え、前記押下げねじによって前記リング部材が押し下げられて前記テーパ部から前記リング部材が離脱されるに従って前記スリットを広げるために、前記スリット広げ部材は前記リング部材に連結してあり、かつ下部側よりも上部側が大きくなる錐体の形状であることを特徴とするパンチ組立体。
  2. 請求項1に記載のパンチ組立体において、前記パンチヘッドと前記リテーナカラーとを所定の間隔に保持可能の間隔保持部材を備えていることを特徴とするパンチ組立体。
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