JP4580119B2 - ガス中の不純物分析方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス中の不純物分析方法及び装置に関し、詳しくは、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、酸素(O)中に含まれている微量不純物を連続的に測定することが可能なガス中の不純物分析方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
半導体製造分野や電機部品製造分野等の電気産業の様々な分野で、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、酸素等が利用されているが、特に半導体製造分野では、大規模集積回路の製造のため、高純度なガスの供給が要求されている。ガスの純度は、半導体製造プロセスの歩留まりに大きな影響を与えるため、連続的にそれらの純度を監視する必要がある。
【0003】
前記ガス中に含まれる不純物として、特に窒素は、配管のパージ等に使用され、また、空気の主成分でもあるため、外部からプロセスガス中に混入しやすく、さらに、不活性であるため、精製器による除去が最も困難で、除去能力を早く低下させる不純物として知られている。
【0004】
そのため、特に高価なクリプトンやキセノン中の不純物窒素を監視するためには、測定に使用するガスの消費量が少なく、かつ、連続的に監視できる微量窒素濃度モニターの必要性が高まっている。
【0005】
従来、クリプトン、キセノン、酸素中の微量窒素の測定には、GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析計)が用いられていたが、GC−MSは高価である上に、間欠的にしか測定できないため、窒素濃度のリアルタイム連続監視には不向きであった。
【0006】
その他の窒素分析法として、GC−TCD(熱伝導度検出器ガスクロマトグラフィー)やGC−PID(光イオン化検出器ガスクロマトグラフィー)も利用されているが、これらも間欠的にしか測定できないため、不純物濃度のリアルタイム連続監視には不向きであった。
【0007】
さらに、GC以外でガス中の窒素濃度を測定する方法として、グロー放電を利用した発光分析法がある。この方法は、放電管内部に陽極及び陰極からなる一対の金属電極を備え、その間に試料ガスを供給し、直流電圧を印加することによって試料ガスを放電させ、それによって生じた窒素の発光を分離して検出する方法である。
【0008】
しかしながら、グロー放電は、原理的に気体の正イオンが陰極に衝突し、二次電子を放出させると同時に、陰極表面を分解して金属粒子を放出することがあるため、ガスを汚染するおそれがあるだけでなく、時間経過とともに電極が劣化してしまい、安定した発光を得ることが困難であるという問題点があった。
【0009】
このような問題を解決するため、金属電極がガラス等の絶縁物質で覆われており、試料ガスと金属電極とを接触させることなく放電させるタイプのアルゴン又はヘリウム用簡易型窒素分析計が市販されている。この分析計は、放電を維持するのに十分高い交流電圧が電極に印加されており、試料ガスは、一定流量で放電管内に供給され、放電管内において電子衝突によりエネルギーを吸収することによって励起される。これは気体分子が高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に落下する際に、輻射エネルギーの放出つまり発光をもたらす。
【0010】
この発光波長は、励起された気体分子に固有であるため、窒素の発光波長のみを干渉フィルターで透過させることにより、ガス中の窒素濃度を測定することができる。特に、この簡易型窒素分析計で利用されるアルゴン中の窒素濃度は、337nm±5nmや357nm±5nmの波長の光を干渉フィルターで分離し、電気信号に変換することにより測定している。
【0011】
しかしながら、このような簡易型窒素分析計だけでは、クリプトンやキセノン、酸素中の窒素濃度を測定することが困難であり、アルゴンやヘリウムといった希ガス中の窒素しか測定できなかった。さらに、酸素ガスは支燃性ガスであるため、高電圧の印加された放電セルに導入して放電させることは、保安上危険を伴うなどの問題点があった。
【0012】
したがって、従来の簡易型窒素分析計でクリプトンやキセノン、酸素中の窒素濃度を測定するためには、前段にGCを取付けてクリプトンやキセノン、酸素中の窒素をキャリヤーガスとして用いるアルゴン又はへリウム中の窒素となるように濃縮変換して測定する必要があり、リアルタイムで窒素濃度を測定することができないばかりでなく、装置コストが高くなるという問題点があった。
【0013】
そこで本発明は、上述のような簡易型窒素分析計を使用して、クリプトンやキセノン、酸素中の不純物窒素の濃度を連続的に測定することが可能なガス中の不純物分析方法及び装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のガス中の不純物分析方法は、試料ガス中に含まれる測定対象不純物よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガスと試料ガスとを混合して放電管内に導入し、放電により生じた光を集光し、前記不純物に特有の発光波長を抽出して検出器に導入し、検出された光の強度に応じて不純物濃度を連続的に測定することを特徴としている。
【0015】
特に、本発明のガス中の不純物分析方法は、前記試料ガスが、クリプトン、キセノン、酸素のいずれか一種又はこれらの混合ガスであること、前記不純物が、窒素、水分、メタンの少なくとも一種であること、前記不活性ガスが、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素のいずれか一種又はこれらの混合ガスであることを特徴とし、さらに、前記不活性ガスと試料ガスとが混合した混合ガス中の試料ガスの濃度が1〜10%であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明のガス中の不純物分析装置は、試料ガスの経路と、該試料ガス中に含まれる不純物よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガスの経路と、前記試料ガスと不活性ガスとを混合する混合手段と、該混合手段で混合した混合ガスを放電管内に導入する経路と、放電管内での放電により生じた光を集光する手段と、前記不純物に特有の発光波長を抽出する手段と、抽出された光の強度を検出する検出器とを備えていることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、図2は、本発明の不純物分析装置における実験用装置の一形態例を示す系統図である。この分析装置は、ガラスで覆われた内部電極11と、その外周側に配置された外部電極12とを有する放電管13に、試料ガスを導入する試料ガス導入経路14と、該試料ガス中に含まれる不純物よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガスを導入する不活性ガス導入経路15と、前記試料ガスと不活性ガスとを混合する混合部16と、該混合部16で混合した混合ガスを放電管13内に導入する混合ガス導入経路17と、放電管13から混合ガスを導出する排気経路18と、放電管13内での放電により生じた光を集光する手段であるレンズ19と、集光された光の強度を検出する分光器21とを備えている。
【0018】
さらに、前記試料ガス導入経路14及び不活性ガス導入経路15には、試料ガス及び不活性ガスの流量を設定するための流量制御器22,23がそれぞれ設けられており、前記排気経路18には、放電管13内の圧力を安定化させるための圧力制御器24が設けられている。また、前記内部電極11と外部電極12とは、放電用高圧電源25に接続されている。
【0019】
測定対象となる不純物を含んだ試料ガスは、試料ガス導入経路14から流量制御器22を通って所定流量で導入され、前記不純物を実質的に含まない不活性ガスは、不活性ガス導入経路15から流量制御器23を通って所定流量で導入される。試料ガスと不活性ガスとは、前記混合部16で混合した後、混合ガス導入経路17を通って放電管13内に導入される。
【0020】
放電管13内では、放電用高圧電源25から内部電極11及び外部電極12に印加された高電圧交流によって放電が発生し、この放電によってガスが発光する。放電管13内の発光は、放電管13の一端に設けられた石英窓13aを通り、レンズ19で集光されて分光器21に入射する。分光器21からは、入射光の強度が電気信号に変換されて出力される。
【0021】
このように形成した分析装置において、試料ガスとして窒素を含有するアルゴンを導入して発光スペクトルを測定すると、図3に示すように、337nm付近に窒素の発光による大きなシグナルが得られる。一方、試料ガスとして窒素を含有するクリプトンを導入した場合は、図4に示すように、窒素の発光による大きなシグナルを得ることができない。また、試料ガスとして窒素を含むキセノンや、窒素を含む酸素を導入した場合も、クリプトンのときと同様に窒素を分析可能なシグナルを得ることができない。
【0022】
一方、上記同様の試料ガスに、測定対象不純物である窒素よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガス、この場合は、窒素のイオン化ポテンシャル15.58eVよりも高いイオン化ポテンシャルを有するアルゴン(15.76eV)やヘリウム(24.59eV)、ネオン(21.56eV)といった希ガスを単独で、あるいは混合して前記試料ガスに添加混合して同様に発光スペクトルを測定すると、図5に示すように、316nm付近、337nm付近、357nm付近、380nm付近に、窒素の発光によるシグナルを得ることができる。
【0023】
したがって、クリプトン、キセノン、酸素のような試料ガス中に不純物として含まれている窒素を分析する際には、窒素のイオン化ポテンシャルよりも高いイオン化ポテンシャルを有するアルゴン、ヘリウム、ネオンのいずれか一種又はこれらの混合ガスを添加混合した状態で放電管13内に導入することにより、前記波長付近、具体的には、316±1nm、337±1nm、357±5nm、380±5nmのうち少なくとも一つの波長の発光強度を測定することにより、不純物窒素の分析を行うことができる。このとき、試料ガスは、放電管13に連続して供給した状態で上記分析を行えるので、窒素濃度のリアルタイム連続監視が可能となる。さらに、試料ガスが酸素の場合であっても、前記アルゴンやヘリウム、ネオンによって希釈された状態になるので、高電圧の印加された放電管13に導入して放電させたときの保安上の問題も解決できる。
【0024】
図1は、ガス中の特定の不純物を分析するための分析装置の一形態例を示す系統図である。なお、以下の説明において、前記形態例の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0025】
この分析装置は、放電管13内で発光してレンズ19で集光した光の中で、測定対象不純物に特有の発光波長を抽出する手段として干渉フィルター20を設けるとともに、該干渉フィルター20で抽出された光の強度を検出して電気信号に変換する検出器31と、該検出器31からの電気信号を増幅するアンプ32と、アンプ32からの信号を表示する表示部33と、検出器31の駆動用電源34とを設けている。
【0026】
試料ガス及び該試料ガスに混合される不活性ガスは、前記試料ガス導入経路14及び不活性ガス導入経路15から流量制御器22,23でそれぞれ所定の流量に調節されて導入され、前記混合部16で混合した後、混合ガス導入経路17を通って放電管13内に導入される。放電管13内のガスは、該放電管13内の圧力を安定化させるための圧力制御器24を通って排気経路18から導出される。
【0027】
放電管13の内外に配置された内部電極11及び外部電極12には、放電用高圧電源25から高電圧が印加されており、両電極間の放電によってガスが発光する。放電によって発生した光は、放電管13に設けられた石英窓13aを通り、レンズ19で集光されて干渉フィルター20に至る。この干渉フィルター20では、測定対象不純物に対応した波長を抽出して透過させる。前記検出器31は、干渉フィルター20を透過した光の強度を電気信号に変換し、この電気信号が前記アンプ32によって信号増幅された後、前記表示部33に出力される。
【0028】
前記干渉フィルター20は、測定対象不純物に特有の発光波長を選択的に透過するものが用いられ、試料ガス中に存在する他のガス成分からの発光に影響されず、かつ、測定対象が窒素の場合は、前述の316±1nm、337±1nm、357±5nm、380±5nmの少なくとも一つの波長、測定対象が水分の場合は308±5nm及び280±5nmのいずれか又は双方の波長、測定対象がメタンの場合は430±5nmの波長を透過するものが用いられる。また、これらの半値幅は、一つの発光ピークのみを抽出する場合は、1〜5nmが好ましいが、複数の発光ピークをまとめて抽出したいときは、5〜30nmの広範囲の干渉フィルターを利用してもよい。また、干渉フィルター20の代わりに、分光器等の他の特定波長抽出手段を利用してもよい。
【0029】
試料ガス中の不純物濃度が非常に高い場合は、前記波長で測定を行うと発光強度が強すぎて検出器31を飽和させ、正確な測定結果が得られないことがある。
このような場合には、発光強度が弱くなるように、放電電圧を低下させたり、検出器31への入射光量を低減したり、低感度な波長、例えば窒素の場合は316±1nm、357±5nm、380±5nmを使用して測定するなどの方法を採用すればよい。
【0030】
試料ガスと不活性ガスとの混合割合は、予測される不純物濃度やガス流量、放電管13の構成や検出器31の能力等によって適当に設定すればよいが、通常は、不活性ガスと試料ガスとが混合した混合ガス中の試料ガスの濃度が1〜10%の範囲になるように両者の流量を調節することが好ましい。この混合ガス中の試料ガス濃度が1%未満であったり、試料ガス濃度が10%を超えたりすると、いずれの場合も発光強度が低下する傾向にあるため、高精度な分析が困難となることがある。
【0031】
また、放電管13内のガス流量や圧力は、試料ガス供給源における試料ガスの流量や圧力によって任意に選択できるが、一般的には、放電管13内に導入するガスの総流量を、管内のガスの線速度が1cc/min(25℃、1atm)以上になるようにすればよく、放電管13内の圧力は、1kPa〜0.3MPaの範囲が適当である。
【0032】
前記試料ガスに混合する不活性ガスは、測定対象不純物の濃度が数ppbレベルの高純度な精製ガスであることが好ましいが、必要な検出下限が高い場合には、一般的な純度(不純物濃度:<0.5ppm)のものであってもよい。
【0033】
また、試料ガスに混合する不活性ガスは、試料ガスの種類及び測定対象不純物の種類に応じて選択すればよく、試料ガス及び測定対象不純物と同じものではなく、これらとは別種のガスで、測定対象不純物よりも高いイオン化ポテンシャルを有している不活性ガスならばよい。
【0034】
試料ガス中の不純物濃度は、あらかじめ検量線を作成しておき、同一条件で測定したときの発光強度から算出することができる。不純物濃度を求める方法は、表示部33に演算装置を組込み、その演算機能により濃度を算出して表示してもよいし、表示部33の代わりにパソコンを用いて演算させてもよい。
【0035】
前記検出器31は、光電子増倍管であることが望ましいが、フォトダイオードやフォトダイオードアレイを用いて光信号を電気信号に変換してもよい。また、検出器31と検出器駆動用電源34、アンプ32の代わりに、これらが一体化した検出器モジュールを使用してもよい。
【0036】
さらに、放電管13内での放電を安定させるため、排気経路18に圧力制御器24を設けることが好ましいが、比較的ラフな濃度測定や装置のコストダウンを図りたいときなどは、これを設置しなくても測定は可能である。また、混合部16は、単に配管を接続するだけでもよいが、ガス同士を均一に混合するためのガス混合器を設置することもできる。
【0037】
このように、従来はGC等を必要とした不純物窒素の分析を、窒素よりイオン化ポテンシャルの高い不活性ガス、すなわち、アルゴン、ヘリウム、ネオンのいずれか一種又はこれらの混合ガスを所定の混合割合で試料ガスに添加混合し、この混合ガスをガラス等で遮断された電極を備えた放電管13内に導入するとともに、放電を維持するのに十分高い交流電圧を電極に印加することにより、窒素特有の発光波長を得ることができる。
【0038】
したがって、この放電により生じた光をレンズにより集光し、干渉フィルターで特定波長のみを抽出透過させて検出器31で発光強度を測定することにより、クリプトンやキセノンあるいは酸素中に微量に存在する不純物窒素をリアルタイムで連続的に分析することができる。また、不活性ガスを混合するだけであり、大気圧下での分析が可能であるから、低コストかつ安定した状態で分析することが可能となる。
【0039】
さらに、図1に示す本発明の分析装置は、不活性ガス導入経路15からアルゴン、ヘリウム、ネオンのような窒素よりも高いイオン化ポテンシャルを有する不活性ガスを導入することにより、従来はGCを必要としていたクリプトン、キセノン、酸素のような試料ガス中の不純物窒素を分析することができ、しかも、試料ガスがアルゴン、ヘリウム、ネオンのときの不純物窒素も、不活性ガス導入経路15からの不活性ガスの導入を行うことなく分析することができる。
【0040】
したがって、半導体製造分野や電機部品製造分野等で用いられているアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、酸素中に含まれている微量の不純物窒素を1台の分析装置で分析することができる。これにより、アルゴン、ヘリウム、ネオン用の窒素分析装置と、クリプトン、キセノン、酸素用の窒素分析装置とそれぞれ備えておく必要がなくなり、管理する手間や装置コストを大幅に削減することができる。
【0041】
さらに、従来の簡易型窒素分析計では、クリプトンやキセノン中の窒素を分析するためには、GCを別途必要としており、装置コストが高くなるだけでなく、リアルタイム分析が困難であったが、本発明の分析装置では、GCを必要とせずに、各種試料ガスにおける各種不純物分析を、リアルタイムにかつ高精度で行えるという利点もある。
【0042】
加えて、分析に必要とする試料ガスの量が少なくて済むので、例えば、クリプトンやキセノンは、これらに比べて安価なアルゴンに対して2%程度を混合すればよく、試料ガス量として0.02cc/min程度であっても十分な分析を行うことが可能であるため、高価なクリプトンやキセノンの消費量を極めて低く抑えることができ、これらを使用する各種装置におけるガスコストの低減を図ることもできる。
【0043】
【実施例】
参考例1
図2に示す装置を利用して、試料ガス導入経路14から窒素を含まないアルゴンと、窒素を0.44%含むアルゴンとをそれぞれ放電管13内に導入し、それぞれの発光スペクトルを測定した。放電電圧は交流10000V、放電管内圧力は大気圧、放電管に供給するガスの総流量は50cc/minとした。その結果、窒素を含むアルゴンの場合には、図3に示すように、337nm付近や357nm付近に強い発光シグナルが得られた。
【0044】
参考例2
図2に示す装置を利用して、試料ガス導入経路14から窒素を含まないクリプトン、窒素を0.45%含むクリプトンとをそれぞれ放電管13内に導入し、それぞれの発光スペクトルを測定した。放電電圧は交流10000V、放電管内圧力は大気圧、放電管に供給するガスの総流量は50cc/minとした。その結果、図4に示すように、窒素を含むクリプトンの場合であっても明確なシグナルを得ることができなかった。すなわち、参考例1,2から、アルゴン中の窒素はそのまま分析できるが、クリプトン中の窒素はそのままでは分析できないことがわかる。
【0045】
実施例1
図2に示す装置を利用して、試料ガス導入経路14から窒素を0.45%含むクリプトンを、不活性ガス導入経路15からアルゴンをそれぞれ供給した。混合後の混合ガスにおけるクリプトンの濃度が2%になるように流量を調節した。放電電圧は交流10000V、放電管内圧力は大気圧、放電管に供給するガスの総流量は50cc/minとした。その結果、図5に示すように、窒素を0.45%含むクリプトンにアルゴンを混合した混合ガスからは、337nm付近や357nm付近に窒素特有の強い発光シグナルが得られた。この発光シグナルは、参考例2では見られなかったものであるから、窒素を含むクリプトンにアルゴンを添加混合したことによって発生したものであることがわかる。
【0046】
実施例2
図2に示す装置を利用して、試料ガス導入経路14から窒素を540ppm含むクリプトンを、不活性ガス導入経路15からアルゴンをそれぞれ供給した。そして、流量制御器22,23により、混合ガス中のクリプトンの濃度を1〜10%に変化させ、クリプトンの濃度と窒素の発光強度との関係を調べた。放電電圧は交流10000V、放電管内圧力は大気圧、放電管に供給するガスの総流量は100cc/min、測定波長は337nmとした。その結果、図6に示すように、クリプトンの濃度が2%付近のときに最も発光強度が強くなることがわかる。
【0047】
実施例3
図2に示す装置を利用して、試料ガス導入経路14から窒素を含むクリプトンを、不活性ガス導入経路15からアルゴンをそれぞれ供給した。そして、クリプトン中の窒素濃度を0ppm、90ppm、180ppmに変化させて窒素濃度と発光強度との関係を調べた。放電電圧は交流10000V、放電管内圧力は大気圧、放電管に供給するガスの総流量は50cc/min、混合ガス中のクリプトンの濃度は2%、測定波長は337nmとした。その結果、図7に示すように、クリプトン中の窒素濃度と発光強度とには直線性があることから、比例関係があることがわかる。これにより、クリプトン中の不純物窒素を高精度で分析できることがわかる。また、クリプトンをキセノンに代えて同様の実験を行ったが、同様の結果を得ることができた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来はGCで分離するなどの前処理操作を必要としていたクリプトンやキセノン、酸素中の窒素濃度を連続的にリアルタイムで分析することが可能となる。また、分析装置も、試料ガスに混合する不活性ガスの経路を追加するだけでよいので、装置コストの上昇もほとんどない。
さらに、本発明の分析装置は、様々な試料ガス中の各種不純物の分析にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の不純物分析装置の一形態例を示す系統図である。
【図2】本発明の不純物分析装置における実験用装置の一形態例を示す系統図である。
【図3】参考例1におけるアルゴン中の窒素の発光スペクトルを示す図である。
【図4】参考例2におけるクリプトン中の窒素の発光スペクトルを示す図である。
【図5】実施例1におけるアルゴン・クリプトン混合ガス中の窒素の発光スペクトルを示す図である。
【図6】実施例2における混合ガス中のクリプトンの濃度と窒素の発光強度との関係を示す図である。
【図7】実施例3におけるクリプトン中の窒素濃度と窒素の発光強度との関係を示す図である。
【符号の説明】
11…内部電極、12…外部電極、13…放電管、13a…石英窓、14…試料ガス導入経路、15…不活性ガス導入経路、16…混合部、17…混合ガス導入経路、18…排気経路、19…レンズ、20…干渉フィルター、21…分光器、22,23…流量制御器、24…圧力制御器、25…放電用高圧電源、31…検出器、32…アンプ、33…表示部、34…駆動用電源

Claims (6)

  1. 試料ガス中に含まれる測定対象不純物よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガスと試料ガスとを混合して放電管内に導入し、放電により生じた光を集光し、前記不純物に特有の発光波長を抽出して検出器に導入し、検出された光の強度に応じて不純物濃度を連続的に測定することを特徴とするガス中の不純物分析方法。
  2. 前記試料ガスが、クリプトン、キセノン、酸素のいずれか一種又はこれらの混合ガスであることを特徴とする請求項1記載のガス中の不純物分析方法。
  3. 前記不純物が、窒素、水分、メタンの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載のガス中の不純物分析方法。
  4. 前記不活性ガスが、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素のいずれか一種又はこれらの混合ガスであることを特徴とする請求項1記載のガス中の不純物分析方法。
  5. 前記不活性ガスと試料ガスとが混合した混合ガス中の試料ガスの濃度が1〜10%であることを特徴とする請求項1記載のガス中不純物分析方法。
  6. 試料ガスの経路と、該試料ガス中に含まれる測定対象不純物よりもイオン化ポテンシャルの高い不活性ガスの経路と、前記試料ガスと不活性ガスとを混合する混合手段と、該混合手段で混合した混合ガスを放電管内に導入する経路と、放電管内での放電により生じた光を集光する手段と、前記不純物に特有の発光波長を抽出する手段と、抽出された光の強度を検出する検出器とを備えていることを特徴とするガス中の不純物分析装置。
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