図1は、本発明の実施の一形態である搬送ロボット30を簡略化して示す正面図である。搬送ロボット30は、複数設けられ、被搬送物31を予め定める搬送径路に沿って移動させる。搬送ロボット30は、搬送方向上流X2の搬送ロボット30から被搬送物31を受取り、受取った被搬送物31を搬送方向下流X1の搬送ロボット30に受渡す。これによって被搬送物31は、搬送経路に沿って順次搬送される。たとえば被搬送物31は、自動車のボディなどの重量が大きいものである。本実施の形態では、被搬送物31は、搬送ロボット30によって搬送される間に、加工位置に配置されて加工ロボットによって加工される。
搬送ロボット30は、搬送現場に固定される基台33と、基台33に対して角変位可能に設けられるアームと、アームを角変位するアーム駆動手段を有する。搬送ロボット30は、アーム駆動手段によってアームを移動させることによって、アームに連結される被搬送物31を搬送経路に沿って移動させる。
搬送ロボット30は、基台33と、複数のアームおよびリンク34〜40と、複数のアーム36,38〜40をそれぞれ個別に変位駆動するアーム駆動手段42〜45とを含む。アームおよびリンク34〜40は、下部リンク34と、上部リンク35と、第1アーム36と、補助リンク37と、第2アーム38と、第3アーム39と、第4アーム40とを含む。またアーム駆動手段42〜45は、第1アーム36を変位駆動する第1アーム駆動手段42と、第2アーム38を変位駆動する第2アーム駆動手段43と、第3アーム39を変位駆動する第3アーム駆動手段44と、第4アーム40を変位駆動する第4アーム駆動手段45とを含む。
第2アーム38の一端部38aは、上部リンク35に連結される。第2アーム38の他端部38bは、第3アーム39の一端部39aに連結される。第3アーム39の他端部39bは、第4アーム40の一端部40aに連結される。第2アーム38〜第4アーム40は、隣接するアーム同士、相互に角変位可能に連結される。また搬送ロボット30は、保持する被搬送物31の姿勢を保持するために、姿勢調整体41と、姿勢調整体41を変位駆動する姿勢調整体駆動手段46とを含む。姿勢調整体41は、第4アーム40の他端部40bに連結される。姿勢調整体41には、被搬送物31を保持する保持手段であるテーブル50が装着される。
図2は、搬送ロボット30が基準姿勢に変形した状態を示す正面図である。基準姿勢は、鉛直な方向に各アーム36〜40がそれぞれ延びて、第4アーム40の一端部40aが第3アーム39の一端部39aよりも下方に変形した姿勢である。基準姿勢において、各アーム37〜40は、基準平面となる床面に近づくことが可能な限界の距離となる限界高さHc以上に形成される。また第2アームの一端部38aは、床面からの高さが予め定められる基準高さH0に設定される。また各アームは、基準姿勢に変形した状態で、基準平面に近づくことが可能な限界の距離となる限界高さHc以上に設定される。すなわち第2アーム38の長さY2と第3アームの長さY3とを加算した値(Y2+Y3)は、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から限界高さHcを減算した値(H0−Hc)以下に設定される。なお、限界高さHcは、各リンクの形状、モータおよび減速機の寸法によって決定される。
図3は、搬送ロボット30の姿勢変化状態を示す図である。搬送ロボット30は、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な力の一部を、第2アーム38に与えるアーム姿勢維持手段60を含む。第1アーム36が予め定める姿勢となる第1角度θ1に維持されるとともに、第2アーム38が予め定める姿勢となる第2角度θ2に維持されるときに、第2アーム38の他端部98bであって第3アームの一端部39aが、アーム姿勢維持手段60によって支持される。第1角度θ1は、鉛直な仮想軸線に対して、第1アーム36の軸線が傾斜する角度である。また第2角度θ2は、鉛直な仮想軸線に対して、第2アーム38の軸線が傾斜する角度である。またアーム姿勢維持手段60は、弾性体によって実現される。
図4は、第2アーム38がアーム姿勢維持手段60によって支持された状態における第4アームの位置変化を示すための図である。図4(1)〜図4(4)に示すように、アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38の姿勢が維持された状態であっても、第3および第4アーム39,40が角変位することによって、被搬送物の位置を変化させることができる。
さらに本実施の形態では、下部リンク34と上部リンク35と第1アーム36と補助リンク37とで四節回転機構が構成されるので、基台33から被搬送物31を離した位置に配置した場合であっても、小さい動力を有する変位駆動手段によって、第1アーム36を変位駆動することができる。これによって被搬送物をより確実に遠くに搬送させることができる。
また第1アーム36に第2アーム38が連結され、第2アーム38に第3アーム39が連結され、第3アーム39に第4アーム40が連結される。これによって基台33に対して第1アーム36が予め定める位置に維持された状態であっても、第2アーム38〜第4アーム40を角変位することによって、第4アーム40に装着される保持手段を広範囲に移動可能とすることができる。この保持手段に被搬送物が保持されることによって、被搬送物を移動可能な範囲を大きくすることができる。
たとえば狭い空間に複数のロボットが配置される場合、第1アーム36を予め定める角度に維持した状態でないと、他のロボットに干渉する場合、本実施の形態に従えばこのような場合であっても、第2アーム38〜第4アーム40を変位させることによって、被搬送物を任意の位置および姿勢に移動させることができる。またたとえば第2アーム38をアーム姿勢維持手段60によって支えて、第2アーム38の姿勢を維持した場合であっても、第3アーム39および第4アーム40を変位させることによって、被搬送物を任意の位置に移動させることができる。このとき、第2アーム38をアーム姿勢維持手段60によって支えることによって、第1アーム36および第2アーム38に動力を与える駆動手段に必要な動力を小さくすることができる。
図5は、搬送ロボット30を示す正面図である。図6は、搬送ロボット30による被搬送物31の搬送状態を示す正面図である。基台33は、生産工場などの搬送現場の床32に固定される。下部リンク34は、基台33に対して一体に形成される。上部リンク35は、下部リンク34に対して上方Z1に配置される。下部リンク34および上部リンク35は、互いに平行に延び、本実施の形態では水平にそれぞれ延びる。第1アーム36および補助リンク37は、下部リンク34と上部リンク35とをそれぞれ連結する。上部リンク35は、第1アーム36および補助リンク37によって下部リンク34に連結された状態で、下部リンク34に対して角変位自在に設けられる。
このように搬送ロボット30は、下部リンク34、上部リンク35、第1アーム36および補助リンク37によって、四節回転機構、いわゆるハイブリットリンク機構を実現する。上部リンク35は、下部リンク34と平行な状態を保った状態で、基台33に対して搬送方向Xに移動可能となる。なお、搬送方向Xは、被搬送物31が搬送される方向である。本実施の形態では、搬送方向Xは、水平に延びる。
第1アーム36は、下部リンク34の搬送方向一方側端部34aと上部リンク35の搬送方向一方側端部35aとを連結する。第1アーム36は、その一端部36aが下部リンク34の搬送方向一方側部34aに連結され、その他端部36bが上部リンク35の搬送方向一方側端部35aに連結される。第1アーム36は、下部リンク34に設定される第1回転軸線J1まわりに角変位可能に設けられる。また第1アーム36は、上部リンク35に設定される第2回転軸線J2まわりに角変位可能に設けられる。
第1回転軸線J1は、水平な方向でかつ、搬送方向Xに垂直な方向である幅方向Yに延び、下部リンク34と第1アーム36との連結部分を通過する。また第2回転軸線J2は、第1回転軸線J1と平行に延び、上部リンク35と第1アーム36の連結部分を通過する。第1アーム駆動手段43は、第1アーム36を第1回転軸線J1まわりに角変位駆動する。
補助リンク37は、下部リンク34の搬送方向他方側端部34bと上部リンク35の搬送方向他方側端部35bとを連結する。補助リンク37は、その一端部37aが下部リンク34の搬送方向他方側端部34bに連結され、その他端部37bが上部リンク35の搬送方向他方側端部35bに連結される。補助リンク37は、下部リンク34に設定される第3回転軸線J3まわりに角変位可能に設けられる。また補助リンク37は、上部リンク35に設定される第4回転軸線J4まわりに角変位可能に設けられる。
第3回転軸線J3は、第1回転軸線J1と平行に延び、下部リンク34と補助リンク37との連結部分を通過する。第4回転軸線J4は、第1回転軸線J1と平行に延び、上部リンク35と補助リンク37との連結部分を通過する。
第2アーム38〜第4アーム40は、順次連結されて直動リンク機構、いわゆるシリアルリンク機構を実現する。具体的には、第2アーム38は、その一端部38aが上部リンク35の搬送方向中間部35cに連結される。第2アーム38は、上部リンク35に設定される第5回転軸線J5まわりに角変位可能に設けられる。第5回転軸線J5は、第1回転軸線J1と平行に延び、上部リンク35と第2アーム38との連結部分を通過する。第2アーム駆動手段43は、第2アーム38を第5回転軸線J5まわりに角変位駆動する。
第3アーム39は、その一端部39aが第2アーム38の他端部38bに連結される。第3アーム39は、第2アーム38に設定される第6回転軸線J6まわりに角変位可能に設けられる。第6回転軸線J6は、第1回転軸線J1と平行に延び、第2アーム38と第3アーム39との連結部分を通過する。第3アーム駆動手段44は、第3アーム39を第6回転軸線J6まわりに角変位駆動する。
第4アーム40は、その一端部40aが第2アーム39の他端部39bに連結される。第4アーム40は、第3アーム39に設定される第7回転軸線J7まわりに角変位可能に設けられる。第7回転軸線J7は、第1回転軸線J1と平行に延び、第3アーム39と第4アーム40との連結部分を通過する。第4アーム駆動手段45は、第4アーム40を第7回転軸線J7まわりに角変位駆動する。
姿勢調整体41は、第4アーム40の他端部40bに連結される。姿勢調整体41は、第4アーム40に設定される第8回転軸線J8まわりに回転可能に設けられる。第8回転軸線J8は、第1回転軸線J1と平行に延び、第4アーム40と姿勢調整体41との連結部分を通過する。姿勢調整体駆動手段46は、姿勢調整体41を第8回転軸線J8まわりに角変位駆動する。
姿勢調整体41は、保持手段が装着される。保持手段は、被搬送物31を着脱自在に保持可能であることが望ましい。本実施の形態は、保持手段は、テーブル50によって実現される。テーブル50は、被搬送物31を乗載するとともに、被搬送物31を着脱自在に保持する保持機構を有してもよい。また姿勢調整体41は、搬送方向Xまわり、幅方向Yまわりおよび上下方向Zまわりの姿勢を手動で調整可能に形成される。これによってテーブル50の位置を微調整して、テーブル50に乗載される被搬送物31を安定して搬送することができる。
第1〜第4アーム36,38〜40をそれぞれ個別に変位駆動することによって、テーブル50を任意の高さに保った状態で、水平に移動させることができる。本実施の形態では、第1〜第4アーム36,38〜40および姿勢調整体41を連動してそれぞれ個別に変位駆動させることによって、テーブル50を任意の姿勢および高さに保った状態で、水平に移動させることができる。
搬送ロボット30は、制御手段55をさらに含む。制御手段55は、第1アーム駆動手段42、第2アーム駆動手段43、第3アーム駆動手段44、第4アーム駆動手段45および姿勢調整体駆動手段46を制御する。たとえば前記各駆動手段42〜46は、サーボモータによって実現され、制御手段55は、ロボットコントローラによって実現される。この場合、ロボットコントローラは、各サーボモータに流す電流を調整する。制御手段55は、被搬送物31を予め定める移動経路に沿って移動するために、各サーボモータに流す電流値を演算し、演算結果に従った電流を各サーボモータに与える。
制御手段55は、予め定められるプログラムを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されるプログラムを実行する演算部と、演算部の演算結果を出力して各駆動手段42〜46に駆動指令を与える出力部と、操作者からの指示および各駆動手段からの角変位情報を取得する入力部とを備える。記憶部は、メモリによって実現され、演算部は、CPUなどの演算回路によって実現される。
制御手段55は、上述したように各アーム駆動手段42〜45を連動して動作させることによって、テーブル50を水平に移動させることができる。さらに姿勢調整体駆動手段46を連動して動作させることによって、被搬送物31の姿勢を一定に保った状態で、テーブル50を水平に移動させることができる。
また搬送ロボット30は、第2アーム38の姿勢を維持するアーム姿勢維持手段60,61を備える。アーム姿勢維持手段60,61は、第2アーム38の他端部38bに当接し、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な力の一部を第2アーム38に与える。アーム姿勢維持手段60,61は、基台33に対して搬送方向両方向X1,X2にそれぞれ設けられる。搬送方向下流X1のアーム姿勢維持手段60は、第2アーム38の他端部38bが搬送方向下流X1に移動した場合に、第2アーム38の他端部38bが当接し、第2アーム38に上方に向かう力を与える。また搬送方向上流X2のアーム姿勢維持手段61は、第2アーム38の他端部38bが搬送方向上流X2に移動した場合に、第2アーム38の他端部38bに当接し、第2アーム38に上方に向かう力を与える。
図7は、搬送ロボット30のアーム構成を説明するために搬送ロボット30を示す正面図である。第1回転軸線J1と第2回転軸線J3との間の第1距離L1と、第2回転軸線J2と第4回転軸線J4との間の第2距離L2とは、等しく形成される。また第1回転軸線J1と第2回転軸線J2との間の第3距離L3と、第3回転軸線J3と第4回転軸線J4との間の第4距離L4とは等しく形成される。これによって下部リンク34と、上部リンク35と、第1アーム36と、第2アーム38とによって、大略的に平行四辺形が形成される。
また第2回転軸線J2と第5回転軸線J5との間の第5距離L5と、第4回転軸線J4と第5回転軸線J5との間の第6距離L6とはほぼ等しく形成される。また第5回転軸線J5と第6回転軸線J6との間の第7距離L7と、第6回転軸線J6と第7回転軸線J7との間の第8距離L8とはほぼ等しく形成される。また前記第7距離と前記第8距離とを足し合わせた長さは、第7回転軸線J7と第8回転軸線J8との間の第9距離L9とほぼ等しく形成される。また第9距離L9は、第3距離L3および第4距離L4とほぼ等しく形成される。また各リンクとアームとは枢着されることによって連結される。同様にアーム同士は、枢着されることによって連結される。
図7に示すように、アーム姿勢維持手段60,61は、第2アーム38の他端部38bが、第5回転軸線J5から水平方向に離反した状態で、第2アーム38の他端部38bに下方から当接する。またアーム姿勢維持手段60,61は、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な力の一部を第2アーム38に与える。本実施の形態では、テーブル50に被搬送物31が保持された状態で、第2アーム38の他端部38bに上向きの力を与える。
上述したようにアーム姿勢維持手段60,61は、基台33の搬送方向両方向X1,X2に固定される。これら2つのアーム姿勢維持手段60,61は、同じ構成であるので、2つのうち搬送方向下流X1のアーム姿勢維持手段60について説明し、搬送方向上流X2のアーム姿勢維持手段61についての説明は、省略する。
図8は、アーム姿勢維持手段60を示す断面図である。アーム姿勢維持手段60は、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な力の一部を第2アーム38に与える。すなわち第2アーム38は、第2アーム駆動手段43とアーム姿勢維持手段60とから与えられる力によって、重力に抗して任意の姿勢に維持可能である。
アーム姿勢維持維持手段60は、当接体62と、保持体63と、反力発生体64とを備える。当接体62は、予め定める変位方向、本実施の形態では上下方向Zに移動可能に設けられ、第2アーム38に当接する。保持体63は、当接体62を上下方向Zに変位可能に保持する。反力発生体64は、自然状態から当接体62が上下方向Zに変位した変位量に応じた反力を当接体62に与える。具体的には、第2アーム38の他端部38bが当接体62に当接し、第2アーム38が当接体62を下方Z2に変位させると、反力発生体64は、当接体62を介して、当接体62の変位量に応じた力を第2アーム38に与える。
アーム姿勢維持手段60は、当接体62の変位方向に平行となる予め定める基準軸線100が設定される。当接体62、保持体63および反力発生体64は、基準軸線100に対して同軸に形成される。以下、当接体62が第2アーム38に反力を与える方向を上方101とし、当接体62が第2アーム38から力を与えられる方向を下方102と称する。
保持体63は、基準軸線100と同軸の円筒状に形成される。当接体62は、部分的に保持体63から突出した状態で、残余の部分が保持体63の内部空間に収容される。当接体62は、つば部66と、突出部67と、軸部68と、当接部81とを含んで形成される。つば部66、突出部67、軸部68および当接部81は、当接体62が保持体63に保持された状態で、基準軸線100と同軸に配置される。
つば部66は、保持体63の内周面65の全周にわたって臨む円板状に形成される。突出部67は、つば部66に連結され、つば部66から上方101に突出する。突出部67は、円柱状に形成され、つば部66の直径よりも小さく形成される。突出部67は、つば部66が保持体63に収容された状態で、保持体63の外方に突出する。軸部68は、つば部66に連結され、つば部66から下方102に突出する。軸部68は、円柱状に形成され、つば部66の直径よりも小さく形成される。
突出部67は、その上方101側端部に、当接部81が設けられる。当接部81は、第2アーム38と当接する。当接部81は、円板状に形成され、突出部67に比べてその直径が大きく形成される。当接部81のうち、第2アーム38が当接する姿勢維持側当接面85は、上方101に凸な曲面に形成される。姿勢維持側当接面85は、基準軸線100が通過する通過点85aが最も上方101に突出するように形成され、曲面または球面に形成される。
姿勢維持側当接面85を形成する当接面形成部分81aは、衝撃吸収性を有するとともに第2アーム38に対して摩擦抵抗の少ない合成樹脂、たとえば6ナイロンによって形成される。これによって第2アーム38が当接部81に衝突したときの衝撃を吸収することができる。また第2アーム38を姿勢維持側当接面85に対して円滑に摺動させることができる。また当接面形成部分81aは、当接部81の残余の部分に対してボルトによって連結され、着脱自在に形成される。これによって当接面形成部分81aが磨耗した場合に、新しい当接面形成部分81aに取り替えることができる。
保持体63は、外側筒70と、底部69と、内側筒71と、フランジ部72とを含んで形成される。外側筒70、底部69、内側筒71およびフランジ部72は、基準軸線100と同軸に形成される。外側筒70は、円筒状に形成される。内側筒71は、外側筒70の内側に配置される。底部69は、各筒70,71の下方側端部に設けられる。底部69は、外側筒70の内周部と内側筒71の外周部とに連なり、リング状に形成される。内側筒71は、外側筒70に比べて、軸線方向寸法が短く形成される。
フランジ部72は、外側筒70の上方側端部に設けられ、外側筒70から半径方向外方に向かって突出する。外側筒70の内周面は、当接体62のつば部66の外周面に臨む。外側筒70の内周径と、つば部66の外周径とは、ほぼ同じ大きさに形成される。本実施の形態では、外側筒70とつば部66との間を塞ぐために、シール部材99がつば部66に設けられる。また内側筒71の内周面は、当接体62の軸部68の外周面に臨む。内側筒71の内周径と、軸部68の外周径とは、ほぼ同じ大きさに形成される。軸部68は、内周筒71の内部空間を挿通する。
フランジ部72には、蓋体80が固定される。蓋体80は、リング状に形成され、基準軸線100に同軸に形成される。蓋体80は、外側筒70の上方側の開口を覆う。また蓋体80は、突出部67が挿通する挿通孔が形成される。挿通孔は、突出部67の外径とほぼ同じ大きさに形成され、つば部66および当接部81よりも小さく形成される。蓋体80がフランジ部72に固定された状態で、蓋体80の挿通孔に突出部67が挿通することで、当接体62が保持体63から抜出ることが阻止される。保持体63と蓋体80とは、ボルトなどのねじ部材83によって、着脱可能に連結される。当接体62は、突出部67が蓋体80の挿通孔に挿通し、かつ軸部68が内側筒71の開口に挿通した状態で、上下方向Zに移動可能に形成される。
反力発生体64は、たとえば圧縮コイルバネ64によって実現される。圧縮コイルバネ64は、外側筒70の内部空間に収容され、基準軸線100に同軸に配置される。圧縮コイルバネ64は、その下方側端部64bが底部69に当接し、上方側端部64aがつば部66に当接する。圧縮コイルバネ64は、軸部68の半径方向外方を全周にわたって覆う。圧縮コイルバネ64は、圧縮された状態で保持体63に収容される。これによって圧縮コイルバネ64は、保持体63に対して上方101に向かう力をつば部66に与える。当接体62は、つば部66を介して圧縮コイルバネ64から力が与えられても、つば部66が蓋体80に当接することによって、保持体63から抜出ることが阻止される。
自然状態では、圧縮コイルバネ64によって、つば部66が蓋部80に当接し、当接体62は、上方Z1に向かう力を蓋部80に与える。第2アーム38が当接体62に当接し、下方に向かう力を与えた場合、当接体62は、圧縮コイルバネ64のバネ力に抗して、下方に変位する。このとき当接体62は、自然状態に対して下方102に変位した変位量xに、圧縮コイルバネ64のバネ定数kを積算した力であって、上方に向かう力を第2アーム38に与える。
本実施の形態では、当接体62が第2アーム38に与える力を変更可能に形成される。たとえばフランジ部72と蓋部80との間に、間隔調整部材となるスペーサを介在させてもよい。スペーサが介在されることによって、自然状態における保持体63と蓋体80との間の軸線方向距離を大きくすることができ、圧縮コイルバネ64が当接体62を押圧する力を調整することができる。また蓋体80に対する底部69の位置を調整するなどの他の方法を用いて、第2アーム38が当接体62に当接したときに、当接体38が第2アーム38に与える力を調整してもよい。たとえば、被搬送物31の重量に応じて、圧縮コイルバネ64が当接体62に与える力を変更することによって、被搬送物31が変更される場合にも対応することができ、汎用性を向上することができる。
基台33は、アーム姿勢維持手段60を支持する支持手段82が連結される。支持手段82は、ボルトなどのねじ部材84によってアーム姿勢維持手段60を着脱自在に固定する。支持手段82に固定されたアーム姿勢維持手段60は、基台33から搬送方向Xに予め定められた位置に配置される。これによってロボット設置現場において、アーム姿勢維持手段60とロボットとの位置調整を行う必要がなく、教示作業を短縮することができる。
蓋部80と突出部67との間には、軸受86とシール部材87とが介在される。具体的には、蓋部80に滑り軸受86が設けられ、滑り軸受86よりも上方101にシール部材87が設けられる。また、内側筒71と軸部68との間には、軸受74とシール部材73とが介在される。具体的には、内側筒71に滑り軸受74が設けられ、滑り軸受74よりも下方102にシール部材73が設けられる。本実施の形態の滑り軸受86,74は、潤滑剤を含有する。これによって高荷重に耐えることができ、また潤滑油を給油することなく用いることができる。なお、各シール部材87,73は、保持体63の内部空間に粉塵が浸入することを防ぎ、たとえばオイルシールによって実現される。各シール部材87,73が設けられることによって、保持体33の内部空間は、密封された状態となる。
このように当接体62は、保持体63に対して当接体の変位方向に並ぶ2つの滑り軸受86,74を介して、保持体63に保持される。これによって基準軸線100に対して斜め方向120に進んで、第2アーム38が当接体62に当接する場合であっても、滑り軸受86,74によって、当接体62を円滑に変位方向に移動させることができる。言換えると、当接体62と保持体63との間で、当接体62の変位方向の変位を阻止する力となるこじれ力が発生することを抑制することができる。これによって第2アーム38が斜め方向120に当接体62に当接する場合であっても、上方に向かう力を第2アーム38に確実に与えることができる。
蓋体80には、つば部66に臨む位置に、上部衝撃吸収部材88が貼り付けられる。上部衝撃吸収部材88は、合成樹脂、たとえば6ナイロンによって実現される。このような上部衝撃吸収部材88は、軸線100まわりに周方向に等間隔に複数設けられる。第2アーム38によって、当接体62に与えられる下方向きの力が解消された場合に、つば部66は、上部衝撃吸収部材88に衝突する。上部衝撃吸収部材88に衝突することによって、騒音および衝撃を低減することができる。
また蓋体80には、当接体62の当接部81に臨む位置に、下部衝撃吸収部材89が貼り付けられる。下部衝撃吸収部材88は、合成樹脂、たとえば6ナイロンによって実現される。このような下部衝撃吸収部材89は、軸線100まわりに周方向に等間隔で設けられる。第2アーム38によって、当接体62に下方向きの力が与えられた場合に、当接部81は、蓋部80に衝突するおそれがある。本実施例では、当接部81は、下部衝撃吸収部材89に衝突するので、衝突による騒音および衝撃を低減することができる。
また当接体62の移動に関してダンピング性を有するようにすることが好ましい。ダンピング性を与えることによって、力を与えられた当接体62が急激に変位方向に変位することを阻止することができる。これによって当接体62が保持体63に衝突した場合における振動を低減することができる。本実施の形態では、保持体63の内部空間は、シール部材87,73によって密封されているので、保持体63の内部空間のうち、つば部66の上方の空間と、つば部66の下方の空間とを連通する貫通孔75が形成されることが好ましい。貫通孔75の大きさが適切に設定されることによって、当接体62が変位方向に変位したときに、内部空間のうち、つば部66の上方の空間と、つば部66の下方の空間とにわたる空気の移動を抑制することができる。これによって簡単な構成でダンパ機能を実現することができる。当接体62がダンパ機能を実現することで、当接体62が急激に移動することを防ぐことができる。なお、当接体62の移動に関してダンパ機能を有するための構成については、他の構成を用いてもよい。これによって当接体62に与えられる力が変化したときに、当接体62が振動することを抑制することができる。
被搬送物31の重量が大きい場合、その重量を受け持つために圧縮コイルバネのバネ定数kも大きく設定される。本実施の形態では、当接体62がダンピング性を有することによって、第2アームが当接体62から短時間に離れても、当接体62のつば部66が蓋体80に当接したときの衝撃を少なくすることができる。また下部衝撃吸収部材89が設けられることによって、さらにその衝撃を低減することができる。
図9は、第2アーム38に与えられる力を説明するために搬送ロボット30を簡略化して示す平面図である。被搬送物31を保持したテーブル50を第5回転軸線J5から水平方向に離反した位置に移動させた場合、第2アーム38は、第5回転軸線J5まわりに重力による第1モーメント力M1が与えられる。第1モーメント力M1は、第2アーム38の他端部38bを下方に移動させる方向の力となる。各アームの自重が被搬送物31に比べて小さいと仮定した場合、第1モーメント力M1は、被搬送物31の自重Fと、第5回転軸線J5から第8回転軸線J8までの水平方向距離L10とを積算した値(F・L10)となる。したがって第1モーメント力M1は、テーブル50を第5回転軸線J5から離反すればするほど大きくなる。また被搬送物31の自重が大きいほど大きくなる。
また第2アーム38がアーム姿勢維持手段60の当接体62に当接し、当接体62を下方に変位させると、第2アーム38は、アーム姿勢維持手段60から第2モーメント力M2が与えられる。第2モーメント力M2は、第2アーム38の他端部38bを上方に移動させる方向の力となる。圧縮コイルバネ64のバネ定数をkとし、圧縮コイルバネ64に力が与えられていない自然状態の軸線方向寸法に対して、第2アーム38が当接して縮小した軸線方向寸法との差を変位量xとすると、第2モーメント力M2は、バネ定数kと、変位量xと、第5回転軸線J5から当接体62が第2アーム38に当接した位置までの水平方向距離L11とを積算した値であって、第1モーメント力M1と反対方向の力(−k・x・L11)となる。
このように第2アーム38は、アーム姿勢維持手段60から第2モーメントM2が与えられることによって、第2アーム駆動手段43は、第1モーメントM1から第2モーメントM2を抗した第3モーメント力M3を駆動力として与えるだけで、第2アーム38の姿勢を維持することができる。比較例として、アーム姿勢維持手段60が搬送ロボット30に設けられない場合には、第2アーム駆動手段43は、第1モーメント力M1に抗する力が必要であり、第2アーム駆動手段43に必要な駆動力が、アーム姿勢維持手段60が設けられる場合に比べて大きくなる。
したがって本実施の形態のように、アーム姿勢維持手段60が設けられることによって、小さい駆動力を有する第2アーム駆動手段43を用いて、被搬送物31を水平方向に移動させた状態で、第2アーム38の姿勢を維持することができる。また小さい剛性の第2アーム38を用いて、第2アーム38の姿勢を維持することができる。同様に、アーム姿勢維持手段60が与えられることによって、小さい駆動力を有する第1アーム駆動手段42を用いて、第1アーム36の姿勢を維持することができる。また小さい剛性の第1アーム36を用いて、第1アーム36の姿勢を維持することができる。
被搬送物31を搬送方向下流X1の搬送ロボット30に受渡した場合、第1モーメント力M1が解除される。この場合、第2アーム駆動手段43は、第2アーム38の姿勢を維持するためには、第2モーメント力M2に抗した力、すなわち第2アームの他端部38bを下方に移動させる方向の力を第2アーム38に与える必要がある。第2アーム駆動手段43の駆動力よりも、第2モーメント力M2によって第2アーム38に与えられる力が大きい場合には、第2アーム38の姿勢を維持することができず、第2アーム38が振動してしまう。したがって第2モーメント力M2は、第2アーム駆動手段43の最大駆動力よりも小さく設定されるように、圧縮コイルバネ64のバネ定数k、変位量x、および第2アームに対する当接位置L11を決定することが好ましい。
このことは、第1アーム駆動手段42であっても同様である。なお、上述した説明では、アームの自重など搬送ロボットの自重について、省略したが実際には、搬送ロボットの自重を考慮して、圧縮コイルバネ64のバネ定数k、変位量x、および第2アームに対する当接位置L11を決定することが好ましい。
本実施の形態では、アーム姿勢維持手段60の当接部81は、上下方向Zに変位可能となる。したがって第2アーム38を当接部81に当接させる当接位置を教示する場合、上下方向Zの位置が少々ずれた場合であっても、アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38の姿勢を維持するための力を第2アーム38に与えることができる。すなわち第2アーム38をアーム姿勢維持手段60に当接する位置の許容範囲が大きく、第2アームの教示動作を簡単に行うことができる。
またアーム姿勢維持手段60から第2アーム38に力が与えられた状態であっても、第2アーム駆動手段43が第2アーム38に駆動力を与え続ける。これによってアーム姿勢維持手段60に第2アーム38を当接させる前後で、第2アーム駆動手段43の制御方法を大きく変更する必要がなく、第1および第2アーム駆動手段43の制御が容易となる。
図10は、第1アーム36および第2アーム38の姿勢を維持した状態で、第3アーム39および第4アーム40を連動して変位駆動した状態を示す正面図である。本実施の形態では、第2アーム38に第3アーム39および第4アーム40が連結されており、第2アーム38に対する第3アーム39の変位動作と、第3アーム39に対する第4アーム40の変位動作とを連動して行わせることができる。
これによって図10に示すように、第2アーム38をアーム姿勢維持手段60の当接体62に当接させた状態で、任意の高さHを維持した状態で、テーブル50を水平方向に変位することができる。また上述したようにアーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に上方に移動する力が与えられることによって、被搬送物31を保持したテーブル50が、被搬送物31を水平方向に遠くに搬送することができる。
図11は、第2アーム38とアーム姿勢維持手段60の当接体62とが当接した状態を示す断面図である。第2アーム38は、当接体62に当接するアーム側当接面90が平面状に形成される。アーム側当接面90は、第6回転軸線J6を通過し、第6回転軸線J6に垂直な半径線110に垂直な平面に形成される。アーム側当接面90は、当接体62の姿勢維持側当接面85との摺動性をよくするために滑らかに形成される。アーム側当接面90は、第2アーム38が当接体62に当接した状態で、アーム姿勢維持手段60の基準軸線100と、前記半径線110とが等しくなるように設定される。
第2アーム38が、搬送方向下流X1のアーム姿勢維持手段60に当接することと、搬送方向上流X2のアーム姿勢維持手段61に当接することとがある場合、アーム側当接面90は、各アーム姿勢維持手段60,61に対応した位置にそれぞれ形成される。
図12は、第2アーム38の他端部38bがアーム姿勢維持手段60に斜めに近づく状態を示す断面図である。図13は、第1比較例における第2アーム38の他端部38bがアーム姿勢維持手段60に斜めに近づく状態を示す断面図である。図14は、第2比較例における第2アーム38の他端部38bがアーム姿勢維持手段60に斜めに近づく状態を示す断面図である。
搬送時間を短縮するため、第2アーム38の他端部38bが、アーム姿勢維持手段60の基準軸線100に対して斜めとなる方向120から、当接体62に近づく場合がある。この場合、アーム側当接面90が平面状に形成されることによって、図12に示すように当接体62の姿勢維持側当接面85の頂点付近85aに当接する。さらに第2アーム38が変位すると、アーム側当接面90が姿勢維持側当接面85の頂点付近85aに点接触または線接触した状態で、アーム側当接面90が摺動して、アーム姿勢維持手段60の軸線100と半径線110とが一致する。
これに対してアーム側当接面90が球面状に形成される場合には、図13に示すように、アーム側当接面90は、姿勢維持側当接面85の頂点85aから離れた位置85bに当接する。さらに第2アーム38が変位すると、第2アーム38の他端部38bは、当接体62を水平方向に押し付けて変位する。この場合、当接体62が変位方向に円滑に変位しないおそれがある。
また姿勢維持側当接面85が平面に形成される場合には、図14に示すように、第2アーム38と姿勢維持側当接面85とが面接触した状態で、第2アーム38のアーム側当接面90を摺動する。この場合、アーム側当接面90と姿勢維持側当接面85とを平行な状態で当接させるために、第2アーム38の移動経路を正確に教示する必要がある。したがって教示作業が困難となる。
本実施の形態では、図12に示すように、姿勢維持側当接面85が曲面に形成され、アーム側当接面90が平面に形成されることによって、第1比較例に比べて、アーム側当接面90が姿勢維持側当接面85に当接した状態で、当接体62に与えられる水平方向の力を少なくすることができる。またアーム接触時に当接体62に与えられる衝撃を減らすことができ、アーム姿勢維持手段60の寿命を延ばすことができる。また第2比較例に比べて、第2アームの移動経路の教示作業を簡単に決定することができる。また搬送ロボット30が重量の大きい被搬送物31を搬送する場合、搬送状態によっては、当接位置がずれるおそれがある。この場合であっても当接状態の許容範囲を大きくすることができ、確実に第2アーム38に上向きの力を与えることができる。
図15は、第2アームの当接前の状態を示す拡大図である。図16は、第2の比較例における当接前の状態を示す拡大図である。本実施の形態の第2アーム38は、第1アーム36と連動して移動させることによって、アーム側当接面90は、搬送方向Xに移動するとともに水平面に対して傾斜した状態から水平面に平行となるように段階的に変位する。図15および図16には、当接部81に近づくアーム側当接面90の変化を、二点差線90A,90B,90Cによって模式的に示す。
図15に示すように、姿勢維持側当接面85が湾曲している場合、姿勢維持側当接面85に角部分などの鋭利な部分が形成されず、アーム側当接面90が姿勢維持側当接面85に当接した状態で、第2アーム38を予め定める位置に円滑に移動させることができる。これに対して、図16に示すように、姿勢維持側当接面85が平面状に形成される場合、姿勢維持側当接面85の角部分95とアーム側当接面90が当接するおそれがある。アーム側当接面90が角部分95に当接すると、第2アーム38およびアーム姿勢維持手段60が振動するとともに、姿勢維持側当接面85が損傷するおそれがある。したがって図15に示すように、姿勢維持側当接面85が湾曲することによって、第2アーム38およびアーム姿勢維持手段60に与えられる衝撃を低減することができる。これによって搬送時間を短縮させるために、搬送速度を高速にすることができる。
図17は、基準状態の搬送ロボット30を示す正面図である。図18は、基準状態の搬送ロボット30を示す側面図である。基準状態の搬送ロボット30は、図17に示すように、第1回転軸線J1と第3回転軸線J3との中央を挿通して鉛直に延びる仮想線29に沿って、第5回転軸線J5〜第7回転軸線J8が並ぶ。
また図18に示すように、下部リンク34は、基台33から上方Z1に突出する。搬送方向Xと上下方向Zとに直交する方向を幅方向Yとすると、第1アーム36および補助リンク37は、下部リンク34に対して幅方向一方Y1に配置される。第2アーム38は、第1アーム36に対して幅方向他方Y2に配置される。第3アーム39は、第2アーム36に対して幅方向他方Y2に配置される。第4アーム40は、第3アーム39に対して幅方向他方Y2に配置される。本実施の形態では、下部リンク34の幅方向寸法L1は、第2アーム38の幅方向寸法L2とほぼ同寸法に形成され、下部リンク34は、第1アーム36と第3アーム39との間に配置される。第2アーム38に対して、第3アーム39および第4アーム40が幅方向Yにずれた位置に設けられることによって、第2アーム39とアーム姿勢維持手段60とを当接させた状態であっても、第3アーム39および第4アーム40を変位駆動することができる。
図19は、テーブル50を示す正面図である。テーブル50は、略U字状に形成される。テーブル50は、姿勢調整体41に装着された状態で、幅方向Yに沿って延びる一対の伸延部51,52と、一対の伸延部51,52の幅方向一端部を連結する連結部53とが形成される。テーブル50は、幅方向一方Y1および上下方向Zに開放する開放空間43が形成される。また、姿勢調整体41は、テーブル50の連結部53の中間部分に連結される。姿勢調整体41は、被搬送物31を保持する保持機構を有してもよい。保持機構は、制御手段55の指令によって被搬送物31を着脱することができる。
図20は、2つの搬送ロボット30A,30Bが被搬送物31を受渡す状態を示す正面図であり、図21は、受渡す状態の2つの搬送ロボット30A,30Bを示す平面図である。なお、2つの搬送ロボット30A,30Bを区別するため、搬送方向下流X1の搬送ロボットに関して参照符号にAを追記し、搬送方向上流X2の搬送ロボットに参照符号Bを追記する。
被搬送物31の搬送経路が、搬送ロボット30の搬送可能領域よりも大きい場合、複数の搬送ロボット30A,30Bが用いられる。複数の搬送ロボット30A,30Bは、搬送経路に沿って間隔を開けて並べられる。搬送方向上流X2に配置される上流搬送ロボット30Aが被搬送物31を搬送方向下流X1に搬送した状態で、搬送方向下流X1に配置される下流搬送ロボット30Bが、搬送方向上流X2に配置される上流搬送ロボット30Aから被搬送物31を受取り、受取った被搬送物31を搬送方向下流X1に搬送する。
図22は、搬送ロボット30の被接合物の搬送動作を示すフローチャートである。搬送ロボット30の制御手段55は、各駆動手段42〜46を制御して、テーブル50の姿勢を維持した状態で、テーブル50を移動させる。まず、ステップa0で、制御手段55は、搬送動作の指令が与えられると、ステップa1に進み、搬送動作を開始する。
ステップa1では、テーブル50を搬送方向上流X2の受取り位置に移動させるように、各駆動手段42〜46を制御する。テーブル50が受取り位置に移動し、搬送方向上流X2の搬送ロボットから被搬送物31を受取り、テーブル50に被搬送物50を保持すると、ステップa2に進む。
ステップa2では、予め定める高さを維持した状態で、被搬送物31を搬送方向下流X1に移動させる。搬送途中に他の加工ロボットによって加工動作が行われる場合には、加工位置で待機し、加工ロボットによる加工が完了すると、再び被搬送物31を搬送方向下流X1に移動させる。制御手段55は、テーブル50を搬送方向下流X1の受渡し位置に移動させると、ステップa3に進む。
ステップa3では、テーブル50による被搬送物50の保持を解除して、搬送方向下流X1の搬送ロボットに被搬送物31を受渡し、ステップa4に進む。ステップa4では、搬送動作が継続されるか否かを判断する。搬送動作が継続されない場合には、ステップa5に進み、ステップa5で搬送動作を終了する。ステップa4において、搬送動作が継続される場合には、搬送方向上流X2の被搬送物50を再び受取る動作を行う。具体的には、ステップa6に進む。ステップa6では、テーブル50を搬送方向上流X2へ移動させ、ステップa1に戻る。
このように制御手段55が、各駆動手段42〜46を制御することによって、搬送ロボット30は、搬送方向上流X2から順次搬送される被搬送物31を搬送方向下流X1に搬送することができる。
図23は、搬送ロボットによる被搬送物31の受取り動作および受渡し動作を説明するための図である。搬送ロボットの被搬送物31の受取り動作および受渡し動作は、図23(1)〜図23(7)の順に行われる。図23には、搬送方向上流X2の搬送ロボット30Aを、上流搬送ロボットとし、そのテーブルの参照符号を50Aとする。また搬送方向下流X1の搬送ロボット30Bを、下流搬送ロボットとし、そのテーブルの参照符号を50Bとする。また搬送方向上流X2のテーブル50Aの移動経路を2点差線102で示し、搬送方向下流X1のテーブル50Bの移動経路を一点鎖線103で示す。
搬送方向上流X2の搬送ロボット30Aの被接合物31の受渡し位置と、搬送方向下流X1の搬送ロボット30Bの被接合物31の受取り位置とは、ほぼ同じ位置101に設定される。
図23(1)〜図23(4)に示すように、上流搬送ロボット30Aは、テーブル50Aに被搬送物31を保持させた状態で、テーブル50Aを搬送方向下流X1に水平に移動させて、受渡し位置101まで移動させる。図23(5)〜図23(6)に示すように、上流搬送ロボット30Aは、テーブル50Aを受渡位置101から下方に移動させ、下方の受渡完了位置104に移動させる。なお、本実施の形態では、受渡完了位置104は、受渡し位置101よりも下方でかつ、搬送方向下流X1に設定される。図23(7)に示すように、上流搬送ロボット30Aは、テーブル50Aを受渡完了位置104に移動させると、受渡完了位置104から搬送方向上流X2に水平に移動させる。
図23(1)〜図23(2)に示すように、下流搬送ロボット30Bは、テーブル50Bが被搬送物31を乗載可能な状態で、テーブル50Bを搬送方向上流X2に水平に移動させて、受取り準備位置105まで移動させる。なお、本実施の形態では、受取り準備位置105は、受取り位置101よりも下方でかつ、搬送方向上流X2に設定される。図23(3)〜図23(4)に示すように、下流搬送ロボット30Bは、テーブル50Bを受取り準備位置105に移動させると、受取り準備位置105から上方に移動させ、受取り位置101に移動させる。図23(5)〜図23(7)に示すように、下流搬送ロボット30Bは、テーブル50Bを受取り位置101に移動させると、受取り位置101から搬送方向下流X1に水平に移動させる。
各テーブル50A,50Bは、被搬送物31を乗載可能に形成される。また各テーブル50A,50Bは、受渡し位置101と、受取り位置101とに同時にそれぞれ配置可能に形成される。受取り動作および受渡し動作にあたって、まず、図23(1)に示すように、上流テーブル50Aを受渡し位置101に向かって水平に移動させるとともに、下流テーブル50Bを受取り準備位置105に移動させる。
図23(2)に示すように、下流テーブル50Bが受取り準備位置105に達すると、下流テーブル50Bを図23(3)に示すように、受取り位置101に移動させる。上流テーブル50Aと下流テーブル50Bが干渉することを避けて、上流テーブル50Aを受渡し位置101に移動させ、下流テーブル50Bを受取り位置101に移動させる。この状態で、上流テーブル50Aは、被搬送物31のチャックを解除する。また下流テーブル50Bは、被搬送物41をチャック可能な状態にする。
図23(4)に示すように、上流テーブル50Aが受渡し位置101に移動し、下流テーブル50Bが受取り位置101に移動した状態では、各テーブル50A,50Bは、被搬送物31を乗載する乗載面が同一面となる。すなわち被搬送物31は、上流テーブル50Aと下流テーブル50Bとの両方に乗載された状態となる。
この状態から、図23(5)に示すように、上流テーブル50Aを下降させて、受渡し完了位置104に移動させることによって、被搬送物31を上流テーブル50Aから下流テーブル50Bに移し換えることができる。下流テーブル50Bは、被搬送物31を受取ると、その被搬送物31をチャックする。
次に図23(6)〜図23(7)に示すように、下流搬送ロボット30Bは、下流テーブル50Bを、搬送方向下流X1に水平に移動する。また上流搬送ロボット30Aは、上流テーブル50Aを受渡完了位置104に移動させ、受渡完了位置104に移動させた後、搬送方向上流X2に水平に移動させる。このようにして、被搬送物31の受渡し動作および受取り動作が行われる。なお、被搬送物31の受渡し動作および受取り動作は、アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に上向きの力を与えた状態で、第1アームおよび第2アームの姿勢を維持し、第3アーム39および第4アーム40が変位して実現される。これによって小さい駆動力の第2アーム駆動手段を用いて、基台33から離反した位置で、被搬送物31の移替えを行うことができる。また上流ロボットと下流ロボットとが、協調動作することによって待機時間を減らすことができる。
図24は、搬送ロボット30の動作の一部を示す正面図である。搬送ロボット30は、図24(1)〜図24(6)の順で、テーブル移動動作を行う。図24は、被搬送物31を保持した搬送ロボット30が基準状態にあるときから、受渡し位置101へ移動するまでの動作を示す。
制御手段55は、基準状態から搬送方向下流X1にテーブル50の姿勢を維持した状態で水平に移動させる。制御手段55は、各駆動手段42〜46を制御して、第1〜第4アームを変位駆動して、図24(1)〜図24(3)に示すように、テーブル50の姿勢を維持した状態で、搬送方向下流X1に水平に移動させる。
制御手段55は、テーブル50を搬送方向下流X1に移動させる過程において、第2アーム36をアーム姿勢維持手段60の当接体62に当接させるように、各駆動手段42〜46を制御する。図24(4)に示すように、当接体62に当接する位置に第2アーム36を移動させると、第1アーム35および第2アーム36の姿勢を維持するように、第1アーム駆動手段42および第2アーム駆動手段43に指令を与える。このとき、第2アーム38には、アーム姿勢維持手段60から上方に向かう力が与えられる。
そしてアーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に上方に向かう力が与えられた状態で、第3アーム39および第4アーム40を第2アーム38に対して変位させて、図24(5)に示すようにテーブルをさらに搬送方向下流X1に移動させる。制御手段55は、図24(6)に示すように、テーブルを搬送方向下流X1に移動させて受渡し位置101に配置する。なお、制御手段55が搬送方向上流X2の受取り位置から基準状態となる位置まで移動させる手順は、上述した手順と逆の手順を行うことによって実現される。
図25は、ステップa2における制御手段55の動作を具体的に示すフローチャートである。まず、ステップb0で、アーム姿勢維持手段60によって、第2アーム38に上方に向かう力を与えた状態で、被搬送物31を受取るとステップb1に進む。
ステップb1では、第1アーム35および第2アーム38の姿勢を維持した状態で、第3アーム39および第4アーム40を連動して変位させて、テーブル50を水平に搬送方向下流X1に移動させる。テーブル50が基台33に近接した予め定める近接位置に移動すると、ステップb2に進む。なお、近接位置は、アーム姿勢維持手段60による維持的な力を受けなくとも、第2アーム38の姿勢を維持可能なテーブルの位置である。
ステップb2では、制御手段55は、第1〜第4アーム36,38〜40を連動して変位させて、テーブル50を水平に搬送方向下流X1に移動させる。このとき搬送ロボット30は、基準状態を経て、第2アーム38を基台33よりも搬送方向下流X1に移動する。搬送途中において、他の加工装置によって加工がなされる場合、加工がなされる加工位置にテーブル50を移動させ、ステップb3に進む。
ステップb3では、加工装置における加工が完了するまで待機し、加工装置における加工が完了すると、ステップb4に進む。ステップb4では、制御手段55は、第1〜第4アーム36,38〜40を連動して変位させて、テーブル50を水平に搬送方向下流X1に移動させる。テーブル50が基台33から離反した予め定める離反位置に移動すると、ステップb5に進む。なお、離反位置は、アーム姿勢維持手段60による維持的な力を受けなければ、第2アーム38の姿勢を維持することが困難なテーブル50の位置である。なお離反位置に移動した状態で、第2アーム38は、アーム姿勢維持手段60の当接体62に当接し、当接体62から上方に向かう力が与えられる。
ステップb5では、第1アーム35および第2アーム38の姿勢を維持した状態で、第3アーム39および第4アーム40を連動して変位させて、テーブル50を水平に搬送方向下流X1に移動させて、受渡し位置101にテーブルを移動させ、ステップb6に進む。ステップb6では、第2アーム38の搬送方向下流X1への移動動作を終了する。
図26は、搬送ロボット30の動作の一部を示す正面図である。搬送ロボット30は、図26(1)〜図26(5)の順で、テーブル移動動作を行う。図26は、受渡し位置101を通過して、被搬送物31を搬送方向下流X1の搬送ロボットに受け渡した状態から、テーブル50を搬送方向上流X2に搬送する動作を示す。
図26(1)に示すように、受渡し位置からテーブル50を下降させることによって、受渡し動作を行い、図26に示すように、搬送方向下流X1の搬送ロボットに被搬送物31を受渡す。被搬送物31を受け渡した搬送ロボットの制御手段55は、第3アーム39および第4アーム40を変位駆動して、図26(2)に示すように、テーブル50を下降させて受渡し位置101から受渡し完了位置104までテーブル50を下降させると、テーブル50を搬送方向上流X2に水平方向に移動させる。
テーブル50を搬送方向上流X2に移動させる過程においては、第1アーム35および第2アーム38を変位駆動する。このときは、被搬送物50を受渡した後の状態であるので、アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に維持的な力を与えなくても、第2アーム駆動手段43によって第2アーム38を変位駆動することができる。このようにして、図26(3)〜図26(5)に示すように、第1アーム36および第2アーム38を含む各アーム36,38〜40を変位させて、テーブル50を搬送方向上流X2に移動させる。なお、制御手段55が搬送方向上流X2の受取り準備位置に移動させる手順は、上述した手順と逆の手順を行うことによって実現される。すなわち受渡し完了位置104および受取り準備位置105に達したときに、第2アーム38がアーム姿勢維持手段60の当接体62に当接し、アーム姿勢維持手段60から第2アーム38に上方に向かう力が与えられる状態であれば、テーブル移動過程において、第1〜第4アーム36,38〜40を連動して変位してもかまわない。
以上のように本実施の形態に従えば、第2アーム38の他端部38bが上部リンク35に対して水平方向に離反した状態で、アーム姿勢維持手段60が、第2アーム38に当接し、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な力の一部を第2アーム38に与える。これによって第2アーム駆動手段43は、第2アーム38の姿勢を維持するために必要な駆動力が小さくてすむ。すなわち、小さい駆動手段を第2アーム駆動手段43として用いて、第2アーム38の姿勢を維持することができる。同様に小さい剛性のアームを第2アーム38として用いることができる。また小さい駆動力の駆動手段を第1アーム駆動手段として用いることができるとともに、小さい剛性のアームを第1アーム36として用いることができる。
これによって、第1および第2アーム駆動手段42,43を小型化することができ、ひいては搬送ロボット30自体を小型化することができる。また従来技術のようにアームの姿勢を維持するためにアームの構成を複雑にする必要がない。したがって簡単な構成で、可搬質量が大きく、かつ小型化が可能なロボットを実現することができる。
また上述したように、アーム姿勢維持手段60から第2アーム38に力が与えられた状態であっても、第2アーム駆動手段43が第2アーム38に駆動力を与えつづける。これによってアーム姿勢維持手段60に第2アーム38を当接させる前後で、第2アーム駆動手段43の制御方法を大きく変更する必要がなく、制御方法が複雑となることがない。これによって制御手段55に記憶させるプログラムを容易に作成することができる。
またアーム姿勢維持手段60は、上方に移動する方向の力を第2アーム38に与えることによって、被搬送物31の重量が大きい場合であっても、基台33に対して水平方向に離反した位置に搬送することができる。またロボットが加工ロボットの場合、加工装置部分が大きい場合であってもロボットの姿勢を任意の位置で維持することができる。
当接体62は、変位方向に変位可能に設けられ、変位量xによって第2アーム38に与える力が変化する。したがって第2アーム38に装着されるエンドエフェクタまたは被搬送物31の重量が変更された場合であっても、つりあう状態が存在する。したがってエンドエフェクタおよび被搬送物31の重量が変更されても、第2アーム38の姿勢を維持することができ、汎用性を向上することができる。また当接体62が変位方向に変位可能であることによって、第2アーム38を当接体62に当接させる位置を正確に教示しなくても、当接体62に第2アーム38を当接させることができる。
また、上部リンク35と下部リンク34と第1アーム36と補助リンク37とで、四節回転機構を構成する。これによって四節回転機構を用いない直動リンク機構のロボットに比べて、小さい駆動力を有する駆動手段によって第1アーム駆動手段43を実現することができる。また被搬送物31を水平移動させる場合、上部リンク35に対して第2アーム38を変位駆動することによって、直動リンク機構のロボットに比べて第2アーム38の変位量を小さくすることができる。これによって第2アーム駆動手段43がモータによって実現される場合、小さい回転速度のモータを用いることができる。
また第3アーム39および第4アーム40が設けられることによって、被搬送物31を低い体勢で移動させることができるので、搬送に必要な占有領域を小さくすることができる。また搬送途中で、他の加工ロボットが加工を行う場合、高さの低い加工ロボットを用いることができ、加工ロボットの大型化を防ぐことができる。また姿勢調整体41が、各アームに連動して変位することによって、エンドエフェクタとなるテーブル50の姿勢を一定に保つことができる。これによってテーブル50について、姿勢を一定に保った状態で移動させることができる。したがってロボットが搬送および加工を行う場合など、作業性を向上することができる。またアーム姿勢維持手段60が基台33に連結されることによって、ロボットの設置作業を短時間で行うことができる。これによって利便性を向上することができる。
アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に与える最大の力が、第2アーム駆動手段43の駆動力よりも小さく設定されることによって、第2アーム38に与えられる変位方向一方、たとえば下方向きの力が変動した場合であっても、第2アームの姿勢を維持することができる。これによって第2アーム38の振動を抑えて、ロボットによる作業性を向上することができる。
たとえばロボット30が被搬送物31を保持した状態から被搬送物31を他のロボットに受け渡した場合などには、第2アーム38に与えられる下向きの力が低下する。このとき、アーム姿勢維持手段60が第2アーム38に力を与えていると、アーム姿勢維持手段60が第2アーム38に与える力のほうが、第2アーム38がアーム姿勢維持手段60に与える力よりも大きくなる。アーム姿勢維持手段60が第2アーム38に与える力は、第2アーム駆動手段43の駆動力よりも小さく設定される。この場合、当接体62が第2アーム38に与える力のほうが、第2アーム38が当接体62に与える力よりも大きくなっても、第2アーム駆動手段43の駆動力によって第2アーム38が上方に変位することを阻止することができる。
またアーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に与えることが可能な力を調整することによって、被搬送物31の重量の変化に対応することができ、汎用性を向上することができる。またアーム側当接面90が平面状に形成され、姿勢維持側当接面85が曲面に形成されて、アーム側当接面90と姿勢維持側当接面85とが点接触または線接触することによって、アーム姿勢維持手段60に変位方向以外の方向の力がアームから与えられることを抑えることができる。
また当接体62は、滑り軸受86,74によってこじれ力の発生が抑えられて、変位方向に変位する。これによって第2アーム38の進入方向にかかわらず、当接体62を変位方向に変位させることができる。したがってアーム姿勢維持手段60は、第2アーム38に確実に反力を与えることができる。
また当接体62がダンピング性を有するので、第2アーム38が急激に変位することを防ぐことができる。たとえば、アーム姿勢維持手段60によって第2アーム38に力を与えた状態で、第2アーム38が保持した被搬送物31を他のロボットに受渡した場合に、被搬送物31から与えられる重力による力が解消され、アーム姿勢維持手段60によって上方に向かう力が、第2アーム駆動手段43によって与えられる力よりも瞬間的に大きくなった場合であっても、当接体62が急激に移動することが抑制される。これによって被搬送物31を受け渡した直後であっても、第2アーム38がアーム姿勢維持手段60によって上方に変位することを阻止することができ、第2アーム38が振動することを防ぐことができる。また圧縮コイルバネのバネ定数kを大きいものを用いることができ、重量が大きい被搬送物31を搬送する場合であっても、基台33から水平方向に離反した位置に配置することができる。
搬送物が大型になる場合には、被搬送物31を保持した状態でアームが振動すると、振動を減衰させることが困難となるが、当接体62にダンピング性を与えることによって、第2アーム38が振動する要因を減らすことによって、被搬送物31を安定して搬送することができる。また当接体62の振動を抑制することができ、当接体62が振動した状態で、第2アームが当接体62に当接することを防ぐことができる。
以上のような本実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、実施の形態では、搬送ロボットについて説明したが、搬送ロボット以外のロボットにも適用することができる。たとえば加工ロボットにも用いることができる。
またロボットのアーム構成については限定しない。またアーム姿勢維持手段60は、上方に向かう力を第2アーム38に与えるとしたが、上方以外の方向に力を与えてもよい。本実施の形態では、アーム姿勢維持手段60は、第2アーム38に上方の力を与えるとしたが、第2アーム38以外のアームに姿勢を保持するための力を与えてもよい。第2アーム38における基部は、上部リンクとなる。アーム姿勢維持手段60が、第2アーム以外のアームに力を与える場合、力を与えるアームに対して基台側のアームが基部となる。
また反力発生手段64として、圧縮コイルバネを用いたが反力を与える手段であれば、他の手段であってもよい。たとえば空気バネ、ゴム、エアシリンダまたは油圧シリンダを用いてもよい。なお、圧縮コイルバネを用いた場合には、動力を必要とせず簡単な構成で反力発生手段を実現することができる。また本実施の形態では、複数の搬送ロボットの被搬送物31の受取り及び受渡しによって、被搬送物31を順次搬送経路に沿って搬送するとしたが、一台の搬送ロボットで被搬送物31を搬送してもよい。また第2アームに合成樹脂を貼り付けて、衝撃吸収性および摺動性を向上してもよい。
図27は、本発明の他の実施の形態である搬送ロボット30Aの動作を示すための図である。他の搬送ロボット30Aは、図1に示す搬送ロボット30に比べて、アーム姿勢維持手段60が設けられていない構成であって、その他の構成については同様である。したがって同一の参照符号を付し、説明を省略する。
搬送ロボット30Aは、第1アーム36が下部リンク33に対して予め定める角度傾斜して、言い換えると鉛直仮想線に対して予め定める角度θ1傾斜して、規定変位姿勢に変形する。規定変位姿勢における第2アーム38の一端部38aと基準平面との鉛直方向の距離をHとする。第1アーム36の長さをY1とし、第2アーム38の長さをY2とし、第3アーム39の長さをY3とし、第4アーム40の長さをY4とする。なお、各アームの長さは、注目するアームに対して、そのアームが隣接する一方のアームと連結される連結位置から、そのアームが隣接する他方のアームと連結される連結位置までの長さに設定される。
搬送ロボット30Aの第2アームの長さY2は、第1アーム36が規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38aと基準平面との前記垂直方向の規定姿勢距離Hから、搬送ロボット30Aの各アームが基準平面に垂直方向に近づくことが可能な限界の距離となる限界高さHcを減算した第1設定値(H−Hc)以下に形成される。
図27では、第2アーム38の長さY2は、第1設定値(H−Hc)と等しく設定される。これによって図2に示すように、規定変位姿勢状態において、第2アーム38の他端部38bが最も下方に達した状態であっても、限界高さHc未満となることが防がれる。また図2と同様に、第2アーム38の長さY2と第3アームの長さY3とを加算した値(Y2+Y3)は、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から限界高さHcを減算した値(H0−Hc)以下に設定される。
これによって図27(1)〜図27(4)に示すように、第4アーム40の姿勢を保った状態でかつ、各アーム37〜40が限界高さ未満Hcとなることなく、第4アーム40を水平に移動させることができる。また基準姿勢状態であっても、各アームが限界高さHc未満になることがなく、被搬送物を保持することができる。なお、比較例として図36に示す搬送ロボット20Aであっても、規定姿勢距離Hが高ければ、被搬送物を最も基台から放した状態から近づけることができるが、規定姿勢距離Hが低い場合には、各アームが限界高さ以下となってしまう。これに対して本実施の形態では、第2アーム38〜第4アーム40を有するので、規定姿勢距離Hが低くても、被搬送物を移動させることができる。言い換えると、低い体勢で被搬送物を搬送させることができる。したがって図27に示す搬送ロボットに従えば、第1アーム36の角度を固定して、ロボットを低い体勢に保った状態で、被搬送物を広い範囲に動作することができる。これによって戻り時間を素早くすることができ、サイクルタイムの短縮を図ることができる。
図28は、第2アーム38が長い場合と短い場合とで被搬送物を搬送可能な最大範囲を比較して示す図である。図28に示すように、第2アーム38の姿勢を一定に保った場合、第2アーム38の長さY2を短くしたほうが長くした場合に比べて、第4アーム40の先端に保持される被搬送物を予め定められる量ΔY遠くに搬送することができる。
図29は、第2アーム38が過度に短い場合に、第2アーム38を基台側へ動作させた状態を示す図である。図29に示すように、第2アーム38が短すぎると、第3アーム39が長くなってしまう場合がある。この場合、第1アーム36を規定変位姿勢に保った状態で、第4アーム40の姿勢を一定に維持して変位させた場合、第3アーム39が限界高さHc未満に達してしまい、被搬送物を移動可能な領域が小さくなるおそれがある。
図30は、第2アーム38と第3アーム39との関係を示す図である。図30(1)に示すように、第1の設定条件として、基準姿勢においては、第2アーム38の長さY2と第3アーム39の長さY3とを加算した値(Y2+Y3)は、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から限界高さHcを減算した値(H0−Hc)以下に設定される。
また図30(2)に示すように、第2の設定条件として、第3アーム39の長さY3から第2アーム38の長さY2を減算した値(Y3−Y2)は、規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38aと基準平面との前記垂直方向の高さHから限界高さHcを減算した値(H−Hc)以下に設定される。言い換えると、第2アーム38の長さY2は、前記限界高さHcと第3アーム39の長さY3とを加算した値(Hc+Y3)から、規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38aと基準平面との前記垂直方向の高さHを減算した値(Hc+Y3−H)以上に設定される。
したがって、第1および第2の設定条件をまとめると、第2アーム38の長さL2は、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38aと基準平面との前記垂直方向の距離Hを減算した値(H0−H)の半分以上に設定される。
第1および第2の設定条件を満たすような長さに第2アーム38および第3アーム39が設定されることによって、図29に示す状態になることを防いで、第4アーム40を基台側に移動させることができる。具体的には、図31に示すように第4アーム40を基台側に移動させることができる。
また図30(3)に示すように、第4アーム40の長さY4は、基準姿勢において第4アーム40の一端部40aから床面までの距離をH1とすると、Y4=H1(H0−(Y2+Y3))で表わされる。前式を整理することによって、第4アーム40の長さY4は、基準姿勢において第4アーム40の一端部40aから床面までの距離をH1から限界高さHcを減算した値(H1−Hc)以下に設定される。
たとえば図27に示す搬送ロボット30Aの各アームの寸法の一例を以下に述べると、第2アーム38の長さY2が405mmである。また第3アーム39の長さY3が405mmである。また第4アーム40の長さY4が800mmである。また基準姿勢において第4アーム40の他端部40bから床面までの距離H1が1010mmである。基準姿勢において、第2アームの一端部38aの床面からの高さH0は、1020mmである。また限界高さHcは、210mmである。また規定変位姿勢に変形した状態における第2アームの一端部と基準平面との前記垂直方向の距離Hは、620mmに設定される。
上述した各アームの寸法の一例は、上述した第1および第2の設定条件を満たす。具体的には、第2アーム38の長さY2と第3アーム39長さとを加算した値(Y2+Y3)は、810mmであって、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から限界高さHcを減算した値(H0−Hc)、すなわち810以下に設定されている。
また第3アーム39の長さY3から第2アーム38の長さY2を減算した値(Y3−Y2)は、ゼロであって、規定変位姿勢に変形した状態における第2アームの一端部と基準平面との前記垂直方向の高さHから限界高さHcを減算した値(H−Hc)、すなわち410以下に設定されている。
また第2アーム38の長さY2は、405mmであって、基準姿勢における第2アーム38の一端部38aから床面までの距離H0から、限界高さHcを減算した値(H0−H)の半分、すなわち200以上に設定される。また第2アーム38の長さY2は、405mmであって、規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38aと基準平面との前記垂直方向の高さHから限界高さHcを減算した値(H−Hc)、すなわち410以下に設定されている。
また第4アーム40の長さY4は、800mmであって、H1−(H0−(Y2+Y3))である800mmに設定されている。したがって搬送ロボット30Aは、上述した全ての条件を満たしている。
図32は、本発明の搬送ロボット30,30Aの可動位置を示すための図である。図32(1)は、図1に示す搬送ロボット30を示し、図32(2)は、図27に示す搬送ロボット30Aを示し、図32(3)は、図36に示す比較例の搬送ロボット20Aを示す。各搬送ロボット30,30A,20Aは、対応する寸法が等しいとする。また第2アーム38が水平な状態で姿勢が維持されているとし、被搬送物の位置する高さH11は、規定変位姿勢に変形した状態における第2アーム38の一端部38a高さH以上であるとする。
図1に示す本発明の搬送ロボットは、
となる場合に、図32(1)に示すように、被搬送物をロボット側へ移動することが限界となる。このときの基台に設定される基準位置から第4アーム40の他端部40bまでの水平距離となるリーチΔX3は、次式によって表わされる。
図27に示す本発明の搬送ロボット30Aは、図32(2)に示すように、(H0−H)/2≦Y2≦H−Hcと成るときに、被搬送物をロボット側へ移動することが限界となる。このときの基台に設定される基準位置から第4アーム40の他端部40bまでの水平距離となるリーチΔX2は、次式によって表わされる。
図36に示す比較例の搬送ロボット20Aは、図32(3)に示す姿勢によって被搬送物をロボット側へ移動することが限界となる。このときの基台に設定される基準位置から第4アーム40の他端部40bまでの水平距離となるリーチΔX1は、次式によって表わされる。
上記条件の場合、ΔX2<X3<X1となる。したがって本発明の搬送ロボット30,30Aは、比較例の搬送ロボット20Aに比べてロボット側へ被搬送物を移動させることができる。したがって、本実施の形態の搬送ロボットは、第1アーム38を所定の位置に配置した状態で、第4アーム40の姿勢を維持して被搬送物を低い姿勢で搬送することができる。また基準姿勢において、各アーム37〜40が限界高さHc以下となることが防がれる。
また本発明の他の本実施の形態として以下の形態が可能である。
(1)基部と、
一端部が基部に連結され、基部に対して変位可能に設けられるアームと、
基部に対してアームを変位駆動するアーム駆動手段と、
アームの他端部が基部に対して予め定める方向に離反した状態でアームに当接し、アームの姿勢を維持するために必要な力の一部をアームに与えるアーム姿勢維持手段とを含むことを特徴とするロボット。
アーム駆動手段によってアームを変位することによって、アームを予め定める経路に沿って移動させることができる。アームの他端部は、基部に対して予め定める方向に離反した状態で、アーム姿勢維持手段に当接する。アーム姿勢維持手段が、アームに力を与えることによって、アーム駆動手段は、アームの姿勢を維持するために必要な駆動力が小さくてすむ。すなわち、小さい駆動力を有する駆動手段をアーム駆動手段として用いて、アームの姿勢を維持することができる。また小さい剛性のアームを用いることができ、従来技術のようにアーム構成を複雑化する必要がない。
またアーム姿勢維持手段からアームに力が与えられた状態であっても、アーム駆動手段がアームに駆動力を与えつづける。これによってアーム姿勢維持手段にアームを当接する前後で、アーム駆動手段の制御方法を変更する必要がない。
(2)アーム姿勢維持手段は、アームの他端部が基部に対して水平方向に離反した状態でアームに当接し、アームに与えられる重力に抗するために必要な力の一部をアームに与えることを特徴とするロボット。
アーム姿勢維持手段によってアームに力を与えることによって、重力に起因してアームに力が与えられる場合に、小さい駆動力を有するアーム駆動手段を用いて、アームの姿勢を維持することができる。
(3)アーム姿勢維持手段は、アームに当接する当接体と、当接体を予め定める変位方向に変位可能に保持する保持体と、当接体がアームによって変位方向に変位した変位量に応じた反力を当接体に与える反力発生体とを備えることを特徴とするロボット。
アームが当接体に当接すると、アームから与えられる力によって当接体は、変位方向一方に変位する。当接体は、自然状態から変位方向一方に変位する変位量に応じた反力、すなわち変位方向他方の力をアームに与える。当接体がアームに与える力は、当接体の変位方向の変位量が大きくなるにつれて大きくなる。アームは、アーム駆動手段の駆動力と、当接体から与えられる反力とによって変位方向他方に向かう力が与えられるとともに、重力などによって変位方向一方に向かう力が与えられる。これによってアームに与えられる力が釣合い、アームの姿勢が維持される。
当接体は、変位方向に変位可能に設けられ、変位方向の変位量が変化することによってアームに与える力が変化する。したがってアームに装着される被搬送物の重量が変化した場合であっても、つりあう状態が存在する。したがって被搬送物の重量が変化しても、アームの姿勢を維持することができ、汎用性を向上することができる。また当接体が変位方向に変位可能であることによって、アームが当接体に当接する許容範囲が広くなり、アームを当接体に当接させる位置を正確に教示しなくてもよい。
(4)基台と、
基台に設けられる下部リンクと、
下部リンクの上方に設けられる上部リンクと、
下部リンクと上部リンクとを連結し、上部リンクおよび下部リンクに対して変位自在に設けられる第1アームと、
下部リンクと上部リンクとを連結し、上部リンクおよび下部リンクに対して変位自在に設けられる補助リンクと、
一端部が上部リンクに連結され、上部リンクに対して変位自在に設けられる第2アームと、
第1アームを下部リンクに対して変位駆動する第1アーム駆動手段と、
第2アームを上部リンクに対して変位駆動する第2アーム駆動手段とを含み、
アーム姿勢維持手段は、第2アームの他端部が上部リンクに対して水平方向に離反した状態で、第2アームに当接することを特徴とするロボット。
上部リンクと下部リンクと第1アームと補助リンクとで、四節回転機構、いわゆるハイブリットリンクを構成する。これによって四節回転機構を用いない直動リンク機構、いわゆるシリアルリンクを構成するロボットに比べて、小さい駆動力を有する駆動手段によって第1アーム駆動手段を実現することができる。また上部リンクに対して第2アームを変位させて、第2アームの他端部を上部リンクに対して水平方向に離反した場合、第2アームは、アーム姿勢維持手段によって上方に向かう力が与えられる。これによって小さい駆動力を有する駆動手段によって、第2アーム駆動手段を実現することができる。
(5)第2アームに連結され、第2アームに対して変位自在に設けられる第3アームと、
第3アームに連結され、第3アームに対して変位自在に設けられる第4アームと、
第3アームを第2アームに対して変位駆動する第3アーム駆動手段と、
第4アームを第3アームに対して変位駆動する第4アーム駆動手段とをさらに含み、
第3アームおよび第4アームは、第2アームがアーム姿勢維持手段に当接した状態で変位自在に設けられることを特徴とするロボット。
第2アームがアーム姿勢維持手段に当接した状態で、第3アームおよび第4アームを連動して変位させることによって、第4アームの先端部を基台に対して水平方向に離反させることができる。また第1アーム部は、四節回転機構を有する。したがって第4アームの先端部が基台に対して水平方向に離反した姿勢を保った状態であっても、第1および第2アーム駆動手段に必要な駆動力を小さくすることができる。また第2アームよりも第4アームの先端部を水平方向に離れた状態で、任意の位置に移動させることができる。
(6)第4アームに変位自在に設けられ、被搬送物を保持する保持手段が装着される姿勢調整体と、
姿勢調整体を第4アームに対して変位駆動する姿勢調整体駆動手段とをさらに含むことを特徴とするロボット。
姿勢調整体駆動手段を用いて姿勢調整体を変位することによって、第4アームが変位した場合であっても、被搬送物の姿勢を一定に保つことができる。これによって被搬送物の姿勢を一定に保った状態で、被搬送物を移動させることができる。
(7)アーム姿勢維持手段は、基台に連結されることを特徴とするロボット。
アーム姿勢維持手段が基台に連結されることによって、アーム姿勢維持手段が基台に対して別体に設けられる場合に比べて、アーム姿勢維持手段とアームとの位置合わせを別途行う必要がない。アーム姿勢維持手段にアームが当接するアーム当接位置を予め設定することが可能であり、ロボットの設置現場でアーム当接位置を決定する必要がない。またアーム姿勢維持手段がアームと別体に設けられることによって、アーム姿勢維持手段がアームに搭載される場合に比べて、アームを軽量化することができ、アーム駆動手段の負荷を減らすことができる。
(8)アーム姿勢維持手段がアームに与える力は、アーム駆動手段の最大駆動力よりも小さく設定されることを特徴とするロボット。
ロボットが被搬送物を保持した状態から被搬送物を他のロボットに受渡した場合などには、アームに与えられる下向きの力が低下する。このとき、アーム姿勢維持手段がアームに力を与えていると、アーム姿勢維持手段がアームに与える力のほうが、アームがアーム姿勢維持手段に与える力よりも大きくなる。本発明では、アーム姿勢維持手段がアームに与える力は、アーム駆動手段の最大駆動力よりも小さく設定される。したがって仮に、アーム姿勢維持手段がアームに与える力のほうが、アームがアーム姿勢維持手段に与える力よりも大きくなっても、アーム駆動手段の駆動力によってアームが上方に変位することを阻止することができる。なお、アームに与えられる力が上下方向以外の方向の力であっても同様の効果を得ることができる。
(9)アーム姿勢維持手段は、アームに与える力が調整可能に構成されることを特徴とするロボット。
アーム姿勢維持手段によってアームに与える力を調整することによって、搬送すべき被搬送物の重量が変更される場合であっても、柔軟に対応することができ、汎用性を向上することができる。
(10)アーム姿勢維持手段がアームに当接する部分と、アームが当接体に当接する部分との少なくともいずれか一方は、その外周面が曲面に形成されることを特徴とするロボット。
アームとアーム姿勢維持手段とを点接触または線接触させることができる。アームは、アーム姿勢維持手段が力を与える方向に対して斜めに移動してアーム姿勢維持手段に当接し、アーム姿勢維持手段を摺動して、予め定められる当接位置に移動する場合がある。このような場合、アームとアーム姿勢維持手段とを点接触または線接触させることによって、アームとアーム姿勢維持手段とを接触させた後、アームを当接位置まで滑らかに移動させることができる。これによってアームとアーム姿勢維持手段との当接部分の損傷を低減することができる。
(11)アーム姿勢維持手段は、アームに当接する当接体と、当接体を予め定める変位方向に変位可能に保持する保持体と、当接体がアームによって変位方向に変位した変位量に応じた反力を当接体に与える反力発生体とを備え、
当接体は、滑り軸受を介して保持体に保持されることを特徴とするロボット。
当接体は、当接体の変位方向に交差する力がアームから与えられた場合でも、滑り軸受によって円滑に変位方向に移動することができる。アームは、アーム姿勢維持手段が力を与える方向に対して斜めに移動してアーム姿勢維持手段に当接し、アーム姿勢維持手段を摺動して、予め定められる当接位置に移動する場合がある。このような場合、当接体が変位方向に円滑に移動可能に構成されるので、アームの進入方向にかかわらず、当接体を変位方向に変位させることができる。
(12)アーム姿勢維持手段は、アームに当接する当接体と、当接体を予め定める変位方向に変位可能に保持する保持体と、当接体がアームによって変位方向に変位した変位量に応じた反力を当接体に与える反力発生体とを備え、
当接体は、移動に関してダンピング性を有することを特徴とするロボット。
当接体がダンピング性を有するので、当接体が急激に変位することを防ぐことができる。これによって当接体とアームとが衝突した場合、および当接体からアームが離反した場合など、当接体に与えられる力が変化した場合に、当接体が振動することを抑えることができる。
(13)被搬送物を保持した状態で、水平方向に搬送する搬送ロボットであることを特徴とするロボット。
ロボットは、搬送ロボットであり、アームに被搬送物を保持させて、被搬送物を搬送経路上流から搬送経路下流に搬送させる。本実施の形態のロボットは、基部、たとえば基台に対して水平方向に離反した位置にアームを移動させることができ、被搬送物を低い姿勢で、水平方向に移動させることができる。