JP4579369B2 - 止水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流水路を一時的に閉鎖する止水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面形状が円形や矩形の流水路を、その補修工事や延長工事等の際のように一時的に止水する必要があるとき、一般に流水路内にチューブ状の袋体を入れ、その袋体内に空気や水等の流体を圧入して袋体の外周を流水路の内周壁に密着させることによって止水する方法がとられている。
【0003】
しかし、流水路が管状の閉止路は上記の方法でよいが、上部のない開放路の場合には、その開放されている上部には膨らんだ袋体を支持する壁面がないために流体を圧入した袋体はその上部では支持される対象がなく袋体の外周が流水路の内周壁に密着しないことになり、止水装置として使えないという問題がある。
そこで、そのような開放路の場合には、両側壁に支持部を突出させて取り付け、その支持部間に木材板を縦幅方向に順次立てて積み上げて支持することにより止水板を形成して堰状体にして止水したり、簡易な場合には土嚢を積み上げて止水することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、開放路による流水路は、止水板や土嚢によって止水しているが、それらは両側壁や床板との密着性が悪くさらにその隅部における水密性が悪いために止水効果が悪いという問題があり、さらに、組み立て、取り外しの作業性が悪いという問題もある。
【0005】
また、閉止路による流水路は、袋体と壁面との摩擦力および袋体の膨張圧力とによって袋体を支持固定するために、止水距離が短い場合は袋体の長さも短く、その場合、水圧に耐えるために袋体の膨張圧力を大きくしなければならない。そのためにはその膨張圧力に耐えられる強度を有する壁面を構成しなければならなくなり、建設費が大きくなって経済性が非常に悪いという問題がある。
【0006】
【課題を解決する手段】
そこで本発明は、流水路の両側壁にそれぞれ間隔をあけて二つのガイドを固定させた自立機構を設け、該流水路の両側壁間より短く、かつ、少なくとも一部が対向配置された両ガイドの自由端間より長い幅とした剛性材製の板状の止水壁本体を設け、その外周を、その止水壁本体の外周形状に合った内周形状を有し、かつ、外周形状を流水路の断面の内周形状とした弾性体製、水膨潤性材料製もしくは塑性変形材料製の板状の止水部材の内周に合わせ、前記自立機構に前記止水壁本体および止水部材を配置することにより止水部材の外周が流水路の両側壁および床板に密着して水密状態を形成して流水を止めることを特徴とする。
このように、止水壁本体を自立機構によって流れに対抗して自立させることにより、一時的に流水を止めることができると共に確実に止水性をたもたせることができることになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態例を図面を用いて説明する。
第1実施の形態例
図1は正面説明図、図2は平面説明図であり、図において、1は流水路、2はこの流水路1の所望個所に設けた自立機構である。
【0008】
この自立機構2は、先端が自由端となるように流水路1の側壁3に所定の間隔をあけてガイド4、5をボルト等によって固定させて取り付ける。このようにしたガイド4、5を両側壁3に対向させた状態で配置する。
6は止水壁本体であり、金属、合成樹脂、木材等の剛性の高い材料による板状体もしくは箱状体である。
【0009】
この止水壁本体6の形状は図面では逆台形を示しているが、この形状に限るものではなく、矩形、舟形等どのような形状でもよい。また、その幅は両側壁3間より短く、対向配置された両ガイド4、5の自由端間より長い。したがって止水壁本体6をガイド4、5間に配置したときにその両端がそれぞれガイド4、5の自由端に係止する長さとなっている。
【0010】
なお、この止水壁本体6は図示する如く一枚の板状体もしくは箱状体で一体に形成したものでもよいが、大きさや重量を考慮して複数の板状体もしくは箱状体に分割し、順次重ねて上記の形状を構成するようにしてもよい。
7は止水部材であり、この止水壁本体6と流水路1の両側壁3および床板8との間に配置する。この止水部材7はゴムや合成樹脂等からなる弾性材や水膨潤ゴム、ベントナイト、水膨潤樹脂等の水膨潤性を有する材料さらには粘土等の荷重によって塑性変形を起こす材料等からなり、その外周形状は流水路1の断面の内周形状であり、内側形状は止水壁本体6の外形が合う形状である。外周は流水路1の両側壁3および床板8に密着し、内側は止水壁本体6の外周に密着するようになっている。
【0011】
この止水部材7も一体に形成したものでもよいが、大きさや重量を考慮して複数に分割し、上記の形状を構成するようにしてもよい。
また、この止水部材7はゴムや合成樹脂製のチューブ状の袋状体でもよく、現場において流体を注入して膨らますことによって止水部材7を形成するようにすることができ、しかも、加圧の強さによって止水部材7と流水路1の両側壁3および床板8との密着程度を調節することができるために、流水路の大きさ、深さ、水量等に応じて最適な密着力を選択することができる。
【0012】
このような構成の止水壁を構成するには、まず、所定間隔をあけてガイド4、5を両側壁3に対向させた状態で配置して自立機構2を構成する。
つぎに、上記ガイド4、5間に止水部材7を配置し、その外周を流水路1の両側壁3面および床板8面に沿わせる。
そこで、止水壁本体6をガイド4、5間に配置し、その外周を上記止水部材7の内形に合わせることにより、止水壁本体6の重量も加わって、止水壁本体6の外周は止水部材7に密着し、さらに止水部材7の外周は流水路1の両側壁3面および床板8面に密着して各部材の接続個所はそれぞれ水密状態を形成することができる。
【0013】
また、止水壁本体6の外周に予め止水部材7をボルトやかみ合わせ等により一体に取り付けた状態に構成してもよい。
この場合は、現場工事において、止水壁本体6を設置する前に止水部材7を設置するという作業が省けて一度の作業で設置が可能となると共に止水壁本体6と止水部材7とを確実に密着させることができ、両者の接続部の水密性の信頼性が向上する。
【0014】
この止水壁本体6の外周に止水部材7を一体に構成した場合、止水部材7がチューブ状の袋状体であると膨らまさない状態で設置作業を行うことができるために一層作業効果は向上し、設置後に袋状体内に流体を圧入し、さらに、流体を抜いた状態で解体作業を行うことができるために解体作業も円滑に行うことができる。
【0015】
第2実施の形態例
図3は正面説明図、図4は平面説明図であり、図において、1は流水路、2はこの流水路1の所望個所に設けた自立機構である。
この自立機構2は、上記第1実施の形態例における両側壁に分割されたガイド4、5を一体に連続させた構成であり、ガイド4、5の両端をボルト等によってそれぞれ側壁3面に固定させて取り付けた構造である。
【0016】
止水壁本体6および止水部材7は上記第1実施の形態例と同様である。図面では止水壁本体6は箱状体を示し、その止水壁本体6内に水、砂もしくはコンクリート等を充填させた例である。
このように止水壁本体6を箱状体で形成すると、止水壁本体6を軽量に構成することができると共に設置後に中空部に水、砂もしくはコンクリート等を入れることにより所望の重量を得ることができ、これによって止水部材7と両側壁3面等との密着性の確保や止水壁本体6の浮き上がりを防ぐことができる。さらに解体作業時にはそれらの水、砂もしくはコンクリート等を取り去ることにより、軽量の止水壁本体6に戻すことができる。
【0017】
9は止水壁本体6の浮き上がり防止部材であり、止水壁本体6の両端の上方に両側壁3面に突出させて取り付けることにより止水壁本体6の浮き上がりを防止することができる。これは上記第1実施の形態例においても同様に構成することができ、止水壁本体6が軽量な場合に有効である。
このような上記各実施の形態例において、止水部材7を断面形状がU字形やV字形のゴムや合成樹脂等のシート材で構成すると止水効果において有効であり、さらに、止水部材7の外周の流水路の壁面と接触する個所に突条を設けておくことも同様に止水効果を高めることができ、その突条を止水部材7と異なる材料、例えば柔軟な材料や発泡体によるとさらなる効果が確保できる。
【0018】
また、止水部材7および流路面の水や流下物と接触する表面にゴムや合成樹脂等の耐磨耗性、耐衝撃性等に優れた弾性材による保護層を形成することにより耐久性を向上させることができる。
さらには、上記各実施の形態例における止水部材7を、ゴムや合成樹脂等の弾性材の中に天然繊維、合成繊維、金属繊維等による織布や不織布、合成樹脂板もしくは金属板等の拘束材を埋設した構造としてもよい。
【0019】
止水部材7をこのように構成すると、止水壁本体6の重量による荷重が止水部材7にかかった場合に止水部材7の過度な圧縮変形を防ぐことができると共に過荷重がかかったときの止水部材7の破損を防ぐことができる。さらに、袋状体等の場合には加圧による止水部材7の膨張変形量を少なくすることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によると、流水路の所望の両側壁に自立機構を設け、この自立機構によって止水壁本体を流路の断面方向に配置して自立させ、その止水壁本体の外周と両側壁および床板との間に弾性材や塑性材等からなる止水部材を介在させたことにより、止水壁本体を自立機構によって流れに対抗して自立させることができることにより長期にわたって流水を止めることができると共に確実に止水性をたもたせることができる効果がある。
【0021】
また、止水壁本体および止水部材を軽量に構成することができるために設置作業および解体作業が容易となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態例を示す正面説明図
【図2】同平面説明図
【図3】第2実施の形態例を示す正面説明図
【図4】同平面説明図
【符号の説明】
1 流水路
2 自立機構
3 側壁
4、5 ガイド
6 止水壁本体
7 止水部材
8 床板
9 浮き上がり防止部材
Claims (5)
- 流水路の両側壁にそれぞれ間隔をあけて二つのガイドを固定させた自立機構を設け、該流水路の両側壁間より短く、かつ、少なくとも一部が対向配置された両ガイドの自由端間より長い幅とした剛性材製の板状の止水壁本体を設け、その外周を、その止水壁本体の外周形状に合った内周形状を有し、かつ、外周形状を流水路の断面の内周形状とした弾性体製、水膨潤性材料製もしくは塑性変形材料製の板状の止水部材の内周に合わせ、前記自立機構に前記止水壁本体および止水部材を配置することにより止水部材の外周が流水路の両側壁および床板に密着して水密状態を形成して流水を止めることを特徴とする止水装置。
- 請求項1において、止水壁本体を箱状体としたことを特徴とする止水装置。
- 請求項1において、止水壁本体および止水部材を分割可能としたことを特徴とする止水装置。
- 請求項1において、止水部材を袋状体としたことを特徴とする止水装置。
- 請求項1において、両側壁に止水壁本体の浮き上がり防止部材を取り付けたことを特徴とする止水装置。
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