JP5901040B1 - 河床構造のユニット体および河床構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水生生物の生息領域が確実に保護されるとともに自然環境にも優しく、しかも構築が比較的簡単な河床構造を提供する。【解決手段】 河床構造として、川の流れの方向に沿って複数のユニット体1を並設するようにし、ユニット体1として、川底に配置される底板部材2と、この底板部材の両サイドに立設される一対の側壁部材2と、所定サイズ以上の物体の流通を遮断し且つ水の流通を許容する貫通孔hを複数備える中間仕切り壁4を設け、それぞれの側壁部材2には、所定の高さ位置から内側に向けて張り出す張出し板部31を設け、この張出し板部31の先端部に、中間仕切り壁4の側方端部を嵌合せしめることのできる嵌合部33を形成する。【選択図】 図1

Description

本発明は、水生生物を保護すると同時に自然環境にも優しく、しかも治水効果の高い河床構造およびそれを構築するための技術に関する。
従来、河川において治水効果を高めると同時に自然生態系を保護するための河川構造として、河川下流側に、巨石を使用した巨石堰堤を建設し、河川上流側に沈下型の堰堤を建設するとともに、両堰堤間を石碑魚道で連結し、かつ、両堰堤を自然石で構築するような技術(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
また、水生生物の増殖、保護、育成を図るため河川や湖沼の底に設置するハイブリッド礁として、稜線部が鋼材によって形成される構成枠体の底部位置に第2の網部材を水平に配置し、この第2の網部材の上部に木材や竹材等の伐採材を配置するとともに、その上に第1の網部材を水平に配置し、更にその上に複数の石材を配置するような技術(例えば、特許文献2参照。)などが知られている。
特開2005−133301号公報。 特開2007−104992号公報。
ところで、特許文献1のように、河川の一部に自然石などを使用すると、環境に優しく、しかも水生植物や水生動物などの水生生物の生息領域ともなるため、生態系の保護に適した構造にすることができるが、時間の経過とともに、水流によって石が流されてしまい、水生生物の生息領域が乱されるという問題があった。また、特許文献2のように、水生生物の生息領域を確保するためのハイブリッド礁として、鋼材や網部材や伐採材や石などを積層する構造の場合は、鋼材が錆びついたり、伐採材が朽ちたりするため、環境保護などの点からあまり好ましいものではなかった。
そこで本発明は、時間が経過しても水生生物の生息領域が確実に保護されるとともに自然環境にも優しく、しかも構築が比較的簡単な河床構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、河床構造のユニット体として、川底に配置される底板部材と、この底板部材の両サイドに立設される一対の側壁部材と、所定サイズ以上の物体の流通を遮断し且つ水の流通を許容する中間仕切り壁を設け、前記底板部材として、底板部の両サイドに、前記側壁部材の下端部を支持する支持部を形成するとともに、これら支持部の一端側を結ぶ一辺側に、所定サイズ以上の物体の流通を遮断し且つ水の流通を許容する所定高さの立壁部を底板部と一体に形成し、また、前記それぞれの側壁部材は、側壁板部の内面側に、所定の高さ位置から内側に向けて張り出す張出し板部を一体化し、且つこの張出し板部の先端部には、前記中間仕切り壁の側方端部を嵌合せしめることのできる嵌合部を形成した。
そして、このようなユニット体を、請求項4のように、川の流れ方向に沿って複数並べて配設するとともに、それぞれのユニット体の底板部上に、多数の割石を配設することにより河床構造とすれば、構築が極めて簡単で、しかも、割石部分を水生生物の生息領域とすることができる。
ここで、中間仕切り壁と、底板部材の立壁部には、例えば、割石の流れを遮断するとともに、水の流れを許容するため、複数の貫通孔などを設けておけば、割石が水流で流されるような不具合がなく、水生生物の生息領域が消失したり、乱されたりするような不具合がない。このため、このような貫通孔のサイズは、割石のサイズよりやや小さ目にしておくことが好ましい。
また、側壁板部の内面側から内側に向けて張出す張出し板部によって、割石の上方を覆うようにすることで、例えば、鳥などによる上空からの水生生物の捕食の被害を防止することができる。
この際、前記底板部材の立壁部に対向する他辺側および立壁部の下方には、隣接するユニット体に係合して組み付けるための第1組付け部および第2組付け部を前記底板と一体に形成すれば、川の流れ方向に沿って複数のユニット体を並設する作業を簡素化することができる。
また、前記底板部材の底板部の上面中間部に、前記中間仕切り壁の下部に係合する係合部を形成すれば、中間仕切り壁を底板部上にしっかりと固定することができ、水流によって中間仕切り壁が倒れるような不具合を防止できる。
ユニット体の底板部上に配置した割石が、川の流れによって流れ去るような不具合が防止されるため、水生生物生息領域の保護が図られ、また、張出し板部によって、鳥等による上空からの捕食の被害を避けることが出来るとともに、自然環境の保護も図られ、しかも、ユニット体の組み立てが容易なため、既存の川などに簡易に構築することができる。
本発明に係る河床構造のユニット体を分解した状態の説明図である。 同ユニット体を組み付けて内部に割石を入れた状態の縦断面図である。 複数のユニット体を川に沿って並設した状態の平面図である。 複数のユニット体を川に沿って並設した状態の中央部を断面にした縦断面図である。 特定箇所の側壁部材に階段を設ける場合の説明図である。
本発明に係る河床構造は、水生生物の生息領域を確実に保護できるようにされるとともに自然環境にも優しく、しかも構築が比較的容易なように配慮されており、特に、川幅があまり広くない小川や農業用水路等に好適な構造とされている。
すなわち、図1に示すようなユニット体1が、本発明の河床構造の最小単位とされ、このようなユニット体1を川の流れ方向に沿って複数並設するだけで構築できるため作業が簡単である。
ユニット体1は、図1に示すように、川底に配置される底板部材2と、底板部材2の両サイドに立設される一対の側壁部材3と、底板部材2の中間部に、川の流れと直角方向に立設される中間仕切り壁4を備えており、一対の側壁部材3は同じ形状のものが、対向した状態で組み付けられるようにされている。なお、本実施例では、これら底板部材2や側壁部材3や中間仕切り壁4はいずれもコンクリート等によってそれぞれが一体に構成されている。
前記底板部材2は、略矩形状の底板部21と、この底板部21の両サイドに形成される支持部としての嵌合支持部22と、これら嵌合支持部22の一端側を結ぶ一辺側から立ち上がる立壁部23と、この立壁部23に対向する他辺側に構成される溝状の第1組付け部24aおよび立壁部23の下方に形成され且つ底板部21から下方に突出する第2組付け部24bを備えており、また、底板部21の中間部上面には、中間仕切り壁4の下端部を嵌合せしめて係合するための係合部としての係合溝25が形成されている。
そして、図4にも示すように、底板部21から下方に突出する第2組付け部24bが、隣接するユニット体1の第1組付け部24aの溝内に嵌合できるようにされている。
また、立壁部23には、多数の貫通孔hが形成されており、この貫通孔hは、水は通すが、後述する割石5は通過できないようなサイズにされている。
前記側壁部材3は、ほぼ垂直姿勢で組み付けられる側壁板部31と、この側壁板部31の片面側のうち、下方よりの箇所からほぼ水平方向に張り出す張出し板部32を備えており、側壁板部31の下端部が、前記底板部材2の嵌合支持部22に嵌合可能にされている。また、張出し板部32の先端部には、中間仕切り壁4の側方端部を嵌合せしめることのできる嵌合部33が形成されている。なお、この張出し端部32の上流側の端部上面は、図4にも示すように、川上側に向けて先細りのテーパ状に切除されており、同部で乱流が起きにくいようにされている。
そして、このような側壁部材3は、前記底板部材2の嵌合支持部22に嵌め込むようにして組み付けられるが、この際、張出し板部32が川の中心方向に向かって張出すよう、一対の側壁部材3は、お互いに対向した状態で組み付けられてゆく。
前記中間仕切り壁4は、多数の貫通孔hを備えており、この貫通孔hも、前記底板部材2の立壁部23と同様、水は通すが、割石5は通過できないようなサイズにされている。そして、その両側端部が、両側の側壁部材3の張出し板部32の嵌合部33に嵌合可能にされ、その下端部が、前記底板部21の係合溝25に嵌合可能にされている。
以上のようなユニット体1は、例えば川幅に合わせて、底板部材2を準備する。すなわち、両サイドの嵌合支持部22の間隔が、川幅とほぼ同じ間隔とされ、このような底板部材2を、図4に示すように、川の流れ方向に沿って複数配置する。この際、底板部材2の第1組付け部24aが川の上流側に位置し、下流側に立壁部23や第2組付け部24bが位置するようにし、川床の傾斜に従ってユニット体1の載置場所を段階的に平らに整地し、第1組付け部24aと第2組付け部24bとを嵌合させる。
次いで、底板部材2の両サイドの嵌合支持部22に側壁部材3を組み付けてゆく。すなわち、左右の側壁部材3のそれぞれの張出し板部32を内側に向けて、側板部材3の下端部を嵌合支持部22に差し込んで立設し、この場合、必要に応じて、側板部材3の外側を既存の土手等で支えるようにし、すべての底板部材2に、一対の側壁部材3を立設する。
次に、対向する張出し板部32の嵌合部33を通して、上方から中間仕切り壁4を降下させ、中間仕切り壁4の両側端部を支持すると同時に、中間仕切り壁4の下端部を底板部21の係合溝25に係合させて固定し、すべてのユニット体1に中間仕切り壁4を組み付ける。
そして、最後に、各ユニット体1の底板部21上に、多数の割石5を、例えば立壁部23の高さを超えない程度投入すると、河床構造ができあがる。ここで、割石5は、例えば直径20〜30cm程度の砕石などの自然石が好適であり、このようなサイズの割石5の場合、中間仕切り壁4や立壁部23の貫通孔hのサイズとしては、最小径が20cm程度以下にすることで、割石5が通過するのを遮断することができる。なお、貫通孔hの形状等は任意である。
以上のような河床構造は、川底に割石5が敷き詰められるため、魚巣等の水生生物の生息領域が確保され、しかも、このような生息領域の割石5は、立壁部23や中間仕切り壁4によって、下流に流されることがないため、大水等が生じても生息領域が乱されることがない。この際、立壁部23は川幅一杯に亘って上流側の割石5が下流に流されるのを遮断し、河川中央部の流れの強い箇所では、中間仕切り壁4が局所的に割石5の流れを遮断するため、より効果的に水生生物の生息領域が確保される。
また、図3からも明らかなように、割石5の上方は、側壁部材3の張出し板部32によって覆われている箇所が多いため、鳥等による上空からの捕食の被害を避けることが出来、しかも立壁部23や中間仕切り壁4の貫通孔hによって、魚の遡上が可能なため自然環境にも優しく、治水効果も高い河床構造となる。
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。例えば、図5に示すように、所定箇所の側壁部材3の側壁板部31の内面側に階段状の突起6を一体に設けることにより、人がこの階段状の突起6を利用して川と土手の間を往復できるようにしてもよい。また、貫通孔hの形状や数、割石5のサイズ等は例示である。
治水効果を高めると同時に自然生態系を保護するための河川構造として、特に小川程度の既存の河川の構造として広い範囲での普及が期待される。
1…ユニット体、2…底板部材、3…側壁部材、4…中間仕切り壁、5…割石、21…底板部、22…嵌合支持部、23…立壁部、24a…第1組付け部、24b…第2組付け部、25…係合溝、31…側壁板部、32…張出し板部、33…嵌合部。

Claims (4)

  1. 川底に配置される底板部材と、この底板部材の両サイドに立設される一対の側壁部材と、所定サイズ以上の物体の流通を遮断し且つ水の流通を許容する中間仕切り壁を備え、前記底板部材は、底板部の両サイドに、前記側壁部材の下端部を支持する支持部が形成されるとともに、これら支持部の一端側を結ぶ一辺側に、所定サイズ以上の物体の流通を遮断し且つ水の流通を許容する所定高さの立壁部が底板部と一体に形成され、また、前記それぞれの側壁部材は、側壁板部の内面側に、所定の高さ位置から内側に向けて張り出す張出し板部が一体化され、且つこの張出し板部の先端部には、前記中間仕切り壁の側方端部を嵌合せしめることのできる嵌合部が形成されることを特徴とする河床構造のユニット体。
  2. 前記底板部材の立壁部に対向する他辺側および立壁部の下方には、隣接するユニット体に係合して組み付けるための第1組付け部および第2組付け部が前記底板部と一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の河床構造のユニット体。
  3. 前記底板部材の底板部の上面中間部には、前記中間仕切り壁の下部に係合する係合部が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の河床構造のユニット体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のユニット体を川の流れ方向に沿って複数並べて配設し、それぞれのユニット体の底板部上に、多数の割石を配設することを特徴とする河床構造。
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