JP4578270B2 - 電気泳動表示用液、それを用いた表示媒体及び表示装置 - Google Patents
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Description
このような電気泳動表示装置は、電界の向きを制御することにより所望の表示を得ることができる表示装置であり、低コストで、視野角が通常の印刷物並に広く、消費電力が小さく、表示のメモリー性を有する等の長所を持つことから安価な表示装置として注目されている。
分散安定性を向上させるための手段としては、例えば、染料によって着色された分散媒中にチタネートカップリング剤で表面処理した電気泳動粒子を用いた系において、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤を添加する技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。
また、帯電状態の異なる2種類の電気泳動性粒子の一方を4級アンモニウム塩化合物で処理し、さらに界面活性剤を添加すること(例えば、特許文献3参照)が知られている。
一方、コントラストを向上させるための手段としては、例えば、分散媒の着色に用いられる染料として顔料表面に対して非吸着性の染料を用いること(非特許文献1参照)や分散媒中の染料濃度を低くすること(非特許文献2参照)などが知られている。
更に、表示面における電気泳動微粒子の偏在による表示の不均一を防止する方法としては、電気泳動表示用表示液をマイクロカプセルに封入して表示粒子として利用する方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
また、上記特許文献3に記載される技術においても十分な分散安定性が得られておらず効果は不十分である。
更に、上記非特許文献1及び2の方法では、上記した染料溶液による欠点を完全に解決するには至っておらず、未だ実用上の課題を有している。
上記特許文献4の方法においても内包される表示液が有色の染料溶液と顔料粒子の分散液を利用しているものであることから、上記の現象と同様にコントラストの点では十分ではない。
また、このような色調及び電気泳動性(帯電電荷)が互いに異なる2種類の電気泳動微粒子を分散した液を電気泳動表示用表示液として用いる系において問題となっている粒子間の凝集を防ぐための手段として、電荷調整剤の添加や粒子の表面処理等による立体的反発効果を用いること(例えば、特許文献6参照)が知られている。
更に、無色分散媒中に電気泳動性が同一で色調及び電気泳動速度が互いに異なる少なくとも2種類の電気泳動微粒子を分散した液を用いた電気泳動表示素子(例えば、特許文献7参照)が知られている。
また、分散媒中に表面処理を施された内部に空隙を有する粒子と該粒子とは色調の異なる顔料粒子を含む電気泳動表示用表示液(例えば、特許文献8参照)が知られている。
そして、無色分散媒中に色調及び電気泳動性が互いに異なる少なくとも2種類の電気泳動性徴粒子を分散した液をマイクロカプセル内に内包した技術(例えば、特許文献9及び10参照)も知られている。
また、上記特許文献6に記載の技術では、2種類の電気泳動微粒子の凝集を完全に防ぐことは困難であり、良好なコントラストを実現することができないといった課題を有している。
更に、上記特許文献7に記載の移動速度の遅い微粒子であっても、表示面の電極近くに存在するときは、移動距離が少なくてすむために表示面に現れてきてしまうこともあり、また、一般的に色調の同じ粒子間でも帯電電荷は異なり移動速度の分布を持っているため、色調の異なる粒子間でそれらが重なることがないように制御しなければ十分なコントラストを得ることは難しいといった点に課題を有している。
更にまた、上記特許文献8に記載の内部に空隙を有する粒子では、空隙に分散液媒体が入り込むなどしてしまうため、特に白い粒子の屈折率が下がり十分なコントラストを得ることを困難なものとしている。
また、上記特許文献9及び10に記載の場合も、分散液の安定性が維持されず、電気泳動性徴粒子間の電気的な引力による凝集による混色がマイクロカプセル内で発生し、表示の混色を起こしてしまうといった課題は依然として有しているものである。
(1) 少なくとも、下記一般式(I)で表される構造単位を有するアルキルポリエーテルアミン、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子5〜20重量%、白色の酸化チタン粒子10〜40重量%、及び分散液媒体25〜85重量%を含有し、かつ、上記アルキルポリエーテルアミンの含有量が、粒子全量に対して、1.0〜100重量%であり、上記染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の平均粒径が、白色の酸化チタン粒子の平均粒径の2倍以上となると共に、該染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の含有量が、白色の酸化チタン粒子の含有量よりも少ないことを特徴とする電気泳動表示用液。
(3) 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の構成成分に架橋アクリルを含む上記(1)又は(2)記載の電気泳動表示用液。
(4) 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子が、黒色である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
(5) 白色の酸化チタン粒子が、親油性表面処理がなされている上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
(6) 白色の酸化チタン粒子の平均粒径が、0.2〜0.6μmの範囲内である上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
(7) 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子と白色の酸化チタン粒子との合計含有量が、電気泳動表示用液全量に対して、60重量%以下である上記(1)〜(6)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
(8) 分散液媒体が、テルペン化合物である上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
(9) 上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の電気泳動表示用液がマイクロカプセル又はセルのそれぞれが独立した構造体に封入されていることを特徴とする電気泳動表示用媒体。
(10) 少なくとも一方に、光透過性である電極が形成された一対の基板と、該基板間に上記(9)に記載の電気泳動表示媒体を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
本発明の電気泳動表示用液は、少なくとも、下記一般式(I)で表される構造単位を有するアルキルポリエーテルアミン、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子、白色の酸化チタン粒子、及び分散液媒体を含有することを特徴とするものである。
上記一般式(I)に含まれないアルキルポリエーテルアミンなどを用いた場合には、表示面のコントラストが低く、繰り返し表示の信頼性も低くなり、応答性も悪くなる等、好ましくない。
このアルキルポリエーテルアミンの含有量が、粒子全量に対して、1.0%未満であると、アルキルポリエーテルアミンの効果が現れず、表示面のコントラストが低く、繰り返し表示の信頼性も低くなり、応答性も悪くなってしまう。一方、粒子全量に対して、100%超過では、溶媒の電気導電性が上がってしまうために、微粒子の移動やコントラスト表示を低下させ、さらに電気分解等により電気泳動表示用液自体が壊れる要因ともなってしまい、好ましくない。
更に、別の方法としては、あらかじめ合成することによって得られたポリマー材料中に染料及び/又は顔料を物理的に分散するなどした後に、所望の粒子サイズになるまで粉砕して得ることもできるが、着色された樹脂粒子としては、これら手法によって得られたものに限られるものではない。
なお、本発明において、上記「樹脂粒子」とは、分散液媒体として用いる溶媒(テルペン化合物など)との組合せにおいて、溶媒に対する溶解性が極めて低いものであり、溶媒中において分散された粒子状態で存在できるものをいう。
特に、本発明では、高コントラストの表示を得るべく、染料及び/又は顔料より着色された、反射率の低い黒色の樹脂粒子が望ましい。この黒色の樹脂粒子は、従来公知の方法で製造される有機ポリマーなどからなる樹脂粒子を、公知の方法によって黒色の染料及び/又は黒色の顔料等によって黒色に着色されたものであり、例えば、樹脂粒子の合成前にモノマーを黒色に着色してから後述する製法により製造する方法や、樹脂粒子の製造途中で黒色に着色する方法や、樹脂粒子を製造した後に黒色に着色する方法等により、黒色に着色された樹脂粒子を製造することができる。更に、別の方法としては、あらかじめ合成することによって得られたポリマー材料中に黒色の染料及び/又は黒色の顔料等を物理的に分散するなどした後に、所望の粒子サイズになるまで粉砕して得ることもできるが、黒色に着色された樹脂粒子としては、これら手法によって得られたものに限られるものではない。
具体的には、市販のラブコロール220(M)ブラック(大日精化工業社製、アクリルコポリマーを主成分としてカーボンブラックで着色された黒色樹脂粒子、平均粒径約10μm)、ラブコロール020(F)ブラック(大日精化工業社製、アクリルコポリマーを主成分としてカーボンブラックで着色された黒色樹脂粒子、平均粒径約20μm)などを用いることができる。
親油性表面処理剤としては、例えば、カップリング剤、顔料誘導体、親油性界面活性剤などが挙げられ、好ましくは、分散性、流動性の面からカップリング剤の使用が特に望ましい。
これら各種カップリング剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
クロム系カップリング剤としては、メタクリル酸クロムと塩化クロムの複合体等が挙げられる。
フッ素系カップリング剤としては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、前記の各種カップリング剤の中でも、特に、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤を用いた場合に更に優れた効果を示す点から望ましい。
好ましくは、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子等についても行うことができる。これらの母体粒子のなかには、カップリング剤との間でカップリング反応を行うことのできる活性反応部位(例えば、ヒドロキシル基のような)の存在が不明確なものも含まれている。しかしながら、このような母体粒子に対して上記のように各種カップリング剤によるカップリング処理を施した場合にも、母体粒子の表面特性はカップリング剤によって変化させることができる。
この理由については、反応活性な基が存在しない場合でも、母体粒子表面においてカップリング剤が物理的に付着あるいは表面に含浸することによって表面特性や変化が実現していると考えられる。本発明でいうカップリング剤による処理は、上記の表面特性の変化も含めている。
図1は、白色の酸化チタン粒子表面をチタンカップリング剤で親油性処理した酸化チタン微粒子(ITT−2 TiO2 CR−50)を示すものである。
本発明において、白色の酸化チタン粒子の平均粒径は、白色表示特性、表示メモリー性や分散安定性の更なる効果を発揮せしめる点から、0.2〜0.6μmであるものが好ましく、更に好ましくは、0.2〜0.5μmとなるものが望ましい。
この白色の酸化チタンの平均粒子径が0.2μm未満であると、酸化チタン粒子のブラウン運動による拡散の影響が出て表示特性が落ちることがあり、凝集傾向が強くなるために分散系が不安定になってしまう。一方、平均粒子径が0.6μmを越えると、酸化チタン粒子の沈降が生じやすくなり、表示メモリー性や分散安定性を悪化させる要因となる。
この樹脂粒子の平均粒子径が0.4μm未満であると、白粒子との相互作用が強くなり、凝集したり、応答速度が遅くなるなどの影響が出てしまう。一方、平均粒子径が20μmを越えると、樹脂粒子の沈降が生じやすくなり、表示メモリー性や分散安定性を悪化させる要因となる。
なお、本発明では、上記酸化チタン粒子、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、有色または無色(白色)の無機顔料粒子、有機顔料粒子等の少なくとも1種を用いることもできる。
なお、「帯電特性が互いに異なる」とは、白色酸化チタン粒子が正(負)帯電の場合に、着色された樹脂粒子が負(正)帯電である場合だけでなく、白色酸化チタン粒子が正又は負帯電の場合に、着色された樹脂粒子がほぼ無帯電である場合と、白色酸化チタン粒子がほぼ無帯電の場合に、着色された樹脂粒子が正又は負帯電である場合も意味するものである。すなわち、互いに逆の帯電を示していない場合であっても、一方の粒子がほぼ無帯電であれば、電圧を印加したときにその粒子はほとんど動くことがないため、もう一方の帯電した粒子を表示面側あるいは反対側に動かすことにより表示が可能となるものである。
また、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子と、白色の酸化チタン粒子との合計含有量は、高い白の反射率と高コントラスト表示の両立、及び、高い応答速度表示を得るために、電気泳動表示用液全量に対して、60%以下、好ましくは、15〜55%となることが望ましい。
具体的な各含有量としては、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の含有量は、電気泳動表示用液全量に対して、5〜20%が望ましく、白色の酸化チタン粒子の含有量は、電気泳動表示用液全量に対して、10〜40%が望ましい。
更に、本発明に用いる上記白色の酸化チタン粒子は、更なる本発明の効果を発揮せしめる点から、親油性表面処理されている酸化チタン粒子が、樹脂粒子、酸化チタン粒子を含む粒子全量に対して、好ましくは、10%以上、更に好ましくは、20〜100%含有されることが望ましい。
このテルペン化合物を分散液媒体として用いることで、上記アルキルポリエーテルアミンの持つ特性、特に、微粒子の分散性、分散安定性を最大限に発揮せしめることができ、かつ、高コントラス化、低電圧駆動化、応答速度の高速化を併せ持つ電気泳動表示用液が得られることとなる。また、このテルペン化合物を溶媒にすると、高コントラス化、特に白反射率の更なる向上が発揮され、長期に亘って安定した品質を保持することができ、かつ、表示特性が良いという効果を有するものとなる。特に、フレキシブル性を求める場合に、PETのような樹脂フィルムを基板とする場合に、効果的である。
モノテルペンとしては、例えば、テレピン油、ジペンテンT、D−リモネン、p−メンタン、ピナン、ディマールH、パインオイルNT、ターピネオールC、α−ターピネオール、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ミルテナール、ミルテノール、L−ペリラアルデヒド、DL−ローズオキサイド、ソブレロール、リキッドメントール#100、薄荷白油、L−カルベオール、L−カルボンオキサイド、L−カルビルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、シトロネラール、L−シトロネロール、p−サイメン、p−サイメン−8−オール、D−ジヒドロカルベオール、L−ジヒドロカルベオール、D−ジヒドロカルボン、L−ジヒドロカルボン、D−ジヒドロカルビルアセテート、L−ジヒドロカルビルアセテート、α−ピネン、β−ピネン(いずれも日本テルペン化学社製)などの少なくとも1種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、表示デバイスにおける白反射率の更なる向上、長期に亘って安定した品質を更に保持する点から、テルペン化合物の中でも、α−ピネン、p−サイメン、D−リモネン、ジペンテンT、p−メンタン(日本テルペン化学社製)に代表されるような、モノテルペンのうちの少なくとも1種類の使用が望ましい。
更に、テルペン化合物であれば、液状であっても固体上であっても用いることができ、粘土の高い液状のテルペン化合物を用いる場合は、粘度の低いテルペン化合物や低誘電率の溶媒と混合する方法などが挙げられ、固体上のテルペン化合物の場合には、該テルペン化合物を溶解することができるテルペン化合物や低誘電率の溶媒と共に用いることができる。
また、本発明のテルペン化合物は、天然由来の化合物であり、万が一電気泳動表示装置が破損して、電気泳動表示用液に漏れだした場合にも、キシレン等を使用している場合と比較して、人体への影響や環境への負荷を低減することができる。
このテルペン化合物の含有量が30%未満であると、表示面のコントラストが低くなどするため、好ましくない。
具体的には、芳香族系炭化水素として、ベンゼンや、トルエン、キシレン、エチルベンゼシ、ドデシルベンゼン等のアルキルベンゼン誘導体、フェニルキシリルエタン、1,1−ジトリルエタン、1,2−ジトリルエタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニルエタン)(BDMF)等のジアリルアルカン誘導体、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン誘導体、モノイソプロピルビフェニル、イソプロピルビフェニル、イソアミルビフェニル等のアルキルビフェニル誘導、各種割合にて水素化されたターフェニル誘導体、ジベンジルトルエン等のトリアリルジメタン誘導体、ベンジルナフタレン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、ジアリルアルキレン誘導体、アリルインダン誘導体、ポリ塩素化ビフェニル誘導体、ナフテン系炭化水素等が挙げられる。
これらの分散液媒体の含有量としては、用いる酸化チタン粒子、染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子や分散剤種によって適宜決定されるが、特に、電気泳動表示液全量に対して、25〜85%であることが好ましく、更に好ましくは、30〜60%とすることが望ましい。
この分散液媒体の含有量が25%未満であると、液の粘度が高くなり、応答速度が低下することとなり、一方、85%を越えると、十分なコントラストを表示することができないこととなり、好ましくない。
用いることのできる染料としては、例えば、スピリットブラック(SB,SSBB,AB)、ニグロシンベース(SA,SAP,SAPL,EE,EEL,EX,EXBP,EB)、オイルイエロー(105,107,129,3G,GGS)、オイルオレンジ(201,PS,PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR,OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR,416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502,BG)、オイルブルー(613,2N,BOS)、オイルブラック(HBB,860,BS)、バリファーストイエロー(1101,1105,3108,4120)、バリファーストオレンジ(3209,3210)、バリファーストレッド(1306,1355,2303,3304,3306,3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402,3405)、バリファーストブルー(3405,1501,1603,1605,1607,2606,2610)、バリファーストバイオレット(1701,1702)、バリファーストブラック(1802、1807,3804,3810,3820,3830)等が代表的なものとして挙げられる。
これらの染料は、用いる微粒子とコントラスト表示可能な色のものを選択して用いることが好ましく、2種以上を用いて色調整することもできる。
用いる酸化ポリエチレン粒子は、酸化型のポリエチレン粒子であれば特に限定されないが、好ましくは、チクソトロピックなせ異質の付与による分散安定化と、表示のコントラストや応答速度などの点から、酸化ポリエチレン粒子の平均粒径が、0.3〜10μm、更に好ましくは、0.3〜5μmとなるものが望ましい。
この酸化ポリエチレン粒子の含有量が、0.01%未満であると、顔料等の沈降に伴なうハードケーキが生成し、長期間の安定な表示や電気泳動表示用液が不安定となり、一方、5%を越えると、電気泳動表示用液の粘度が高くなり、応答速度の低下や駆動電圧の上昇などが生じ、好ましくない。
用いることができる任意成分としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、防菌防黴剤等が挙げられる。
図2(a)及び(b)は、電気泳動表示用液をマイクロカプセルからなる構造体に封入した一粒子型、ニ粒子型の各実施形態である。
図2(a)は、酸化チタン粒子と黒色染料で黒色に着色した着色樹脂粒子とをテルペン化合物からなる分散液媒体に所定配合で分散した電気泳動表示用液を尿素−ホルムアルデヒド樹脂でマイクロカプセル化したものであり、図示符号1aはプラス帯電(酸化チタン)白粒子、1bは、黒色の着色樹脂粒子、2は無着色溶媒(分散液媒体)、3はカプセル壁である。
図2(b)は、酸化チタン粒子又は親油性処理した酸化チタン粒子とカーボンブラックを内包したアクリル系ポリマー架橋樹脂粒子とを所定配合で分散媒に分散した電気泳動表示用液をウレタン−尿素樹脂でマイクロカプセル化したものであり、図示符号4はプラス帯電(酸化チタン)白粒子、5は無帯電黒粒子(カーボンブラックを内包したアクリル系ポリマー架橋粒子)、6は無着色溶媒(分散液媒体)、7はカプセル壁である。
図3(a)〜(c)は、電気泳動表示用液をセルからなる構造体に封入した各実施形態であり、各セルのパターンをそれぞれ模式的に表したものである。また、(d)〜(f)は対向電極間にマイクロカプセルやセル構造シートを配置した場合の断面図をそれぞれ模式的に表したものであり、(d)〜(f)中、図示符号10は透明電極、11はバインダー樹脂層、12はマイクロカプセル、13は対向基板、14はセル形成シートである(図4中も同様)。
更に、本発明の電気泳動表示用表示粒子に用いられるマイクロカプセルの粒径は、10〜200μm程度であることが好ましい。
このマイクロカプセルの粒径が10μm未満では、コントラストが十分に得られない不都合があり、一方、200μmを越えると、印加電圧を上げなければ十分な応答速度が得られないといった不都合を生じることとなり、好ましくない。
また、マイクロカプセルの粒度は、なるべくある分布に収まっていることが望ましい。不均一であると表示ムラが発生し、表示特性が低下することとなる。
このことにより表示に寄与しない領域の割合が非常に少なくなりコントラストが大きくなると共に、更に対向電極にもマイクロカプセルが面接蝕することになり、表示ムラが生じにくくなり、高品質な表示特性を有する電気泳動表示装置が得られることになる。
また、マイクロカプセルが柔軟性を持っていることで、機械的強度も結果的に上がることになり、マイクロカプセルの表示用電極へのコーティング法により配列させる場合の特性等も向上することとなる。
更に、乾燥工程でマイクロカプセル同士が互いに均一に接触し、最終乾燥工程でマイクロカプセルが面接触することを阻害しないことが好ましい。
プラズマ処理としては、上記セルシートを空気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ネオンなどを含む容器内におき、グロー放電により生じるプラズマに晒すことにより行われ、セルシート表面部に酸素、窒素などを含むカルボン酸基、カルボニル基、アミノ基などの官能基(親水基)を導入することを目的とし、プラズマ発生の放電形式は、直流放電、低周波放電、ラジオ波放電、マイクロ波放電などがあるが特に限定されない。好ましくは、酸素原子を含む親水性官能基を導入する点から、空気プラズマ処理、酸素プラズマ処理である。
また、UVイトロ処理としては、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの改質剤化合物、好ましくは、沸点が10〜100℃である改質剤化合物の少なくとも一つを含む燃料ガスの火炎を上記セルシートに吹き付け処理(ケイ酸化炎処理、チタン酸化炎処理、アルミニウム酸化炎処理)することにより、セルシートの内側表面部を親水化処理することができる。なお、吹き付け処理する際の火炎温度は、500〜1500℃、処理時間は0.1〜100秒程度である。
更に、電気泳動表示用液が接する電極部、セル部を、スパッタリング処理、ポリマー層形成処理、無機層形成処理、有機又は無機ハイブリッド層形成処理によっても親水化処理することができる。
この容積が1×10−9cc未満であると、表示コントラストの低下等が生じやすくなり、一方、セルの容積が1×10−3ccを越えると、セルごとに内部で濃集が起きやすくなり、表示ムラ等の不具合を生じることとなる。
本発明の電気泳動表示装置としては、例えば、次のイ)〜へ)のような形態のものが挙げられるが、本発明の電気泳動表示装置は、これらに限定されるものではない。
この表示装置において、上記独立分割されたセルは、その容積が1×10−9cc〜1×10−3ccとすることが好ましい。
図5では、厚さ(D1,D3)1100μmのITOガラス電極を対向電極として用い、厚さ(D2)500μmのスペーサシートを用い電圧を印加した場合の電気泳動表示装置の模式図を表したものであり、d1及びd2はITO薄膜の厚さ(0.15μm)である。
また、本発明における電気泳動表示装置には、前記マイクロカプセルタイプの他に、電気泳動表示用液を収容した多数のセルを有したフィルム状シートを対向電極間に挟み込むことも可能である。
この電気泳動表示用液収容シートの形成方法は、各種UVレーザー加工技術の応用や、フォトエッチング法、各種印刷法により、薄膜シートに微細なセルを加工形成させることにより作製できる。
下記表1に示すそれぞれの実施例、比較例の配合組成を、ガラスビーズを用いてペイントシェイカーで60分間分散し、電気泳動表示用液を調製した。
用いた白色粒子(A−1〜A−5)、着色粒子(B−1〜B−4)、分散液媒体(C−1〜C−5)、界面活性剤D(D−1〜D−2)、アルキルポリエーテルアミン(E−1〜E−2)は下記のものを用いた。
A−1:ITT−7 TiO2 TTO−S−3(日光ケミカルズ社製、表面をチタンカップリング剤で処理、平均粒径約0.05〜0.1μm)
A−2:KR−380N(チタン工業社製)をプレンアクトAL−M(味の素社製、アルミニウム系カップリング剤)で親油化処理、平均粒径約0.3〜0.5μm
A−3:ITT−2 TiO2 CR−50(日光ケミカルズ社製、表面をチタンカップリング剤で処理、平均粒径約0.4μm)
A−4:テクポリマーMBX−20ホワイト(積水化成品工業社製、PMMA着色微粒子、平均粒径約20μm)
A−5:タイペークCR−50(石原産業社製)をプレンアクトAL−M(味の素社製、アルミニウム系カップリング剤)で親油化処理、平均粒径約0.4μm
着色粒子B:
B−1:ITT−2 Black BL−100(日光ケミカルズ社製、表面をチタンカップリング剤で処理した黒酸化鉄、平均粒径約0.25μm)
B−2:ラブコロール020(5MD)ブラック(大日精化工業社製、アクリルコポリマー着色微粒子、平均粒径約3μm)
B−3:ラブコロール020(5M)ブラック(大日精化工業社製、アクリルコポリマー着色微粒子、平均粒径約5μm)
B−4:ラブコロール220(MD)ブラック(大日精化工業社製、アクリルコポリマー着色微粒子、平均粒径約10μm)
分散液媒体C:
C−1:キシレン
C−2:ノルマルパラフィンH(新日本石油化学社製)
C−3:ノルマルドデカン
C−4:日石ハイゾールSAS296(新日本石油化学社製、ジアリルアルカン)
C−5:p−サイメン(日本テルペン社製)
界面活性剤D:
D−1:ソルビタントリオレエート
D−2:プロノン202B(ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、日本油脂社製)
アルキルポリエーテルアミンE:
E−1:ナイミーンL−201(ヒドロキシエチルラウリルアミン、日本油脂社製)
E−2:ナイミーンS−202(ポリエチレングリコールステアリルアミン、日本油脂社製)
これらの電気泳動表示媒体の物性評価の結果を下記表2に示す。
片面に電極を設けた基板として、片面に透明導電膜(ITO膜)を0.15μm形成したガラス基板(厚さ1.1mm)を用い、このガラス基板を一対、100μmのスペーサーを介して対向配置させ、セルを形成した。
この空間内に、上記表1にて調製した電気泳動表示用液を封入することにより電気泳動表示媒体を作製した。
上記方法にて作製した実施例及び比較例の各電気泳動表示媒体について、媒体の電極を介して+100V又は−100Vの電圧を印加して電気泳動させ、形成された白色または着色表示面の反射率をMSC−5N(スガ試験機社製、以下同様)を用いて測定した。
また、同時に、目視による白色表示および着色表示の評価、粒子の凝集、付着状態の評価、コントラスト比の評価は下記方法により行った。
電圧を印加して表示させた白表示面の白さ及び着色表示面の色の濃さについて、目視にて下記評価基準により官能評価を行った。
目視による白色表示面の評価基準:
◎:隅部を含めた白色表示面の全ての面で白さが目立つ
○:上記◎より若干劣るが白色表示面が白い
△:やや色味がかっている
×:色味が強い
目視による着色表示面の評価基準:
○:きれい、色が強い
△:やや白みがかっている
×:白っぽい
粒子の凝集と電極面への付着は、+100V又は−100Vの電圧を交互に1秒間隔で100回印加して、表示を切り替えた後、表示部分の色調の変化及び状態を目視で観察し下記評価基準で評価した。
更に、電圧の切り替えに応じた表示変化の応答性に関しても下記評価基準で評価を行った。
粒子の凝集・付着状態の評価基準:
◎:全く凝集・付着なし
○:ほとんど凝集・付着なし
△:やや凝集・付着がみられる
×:凝集・付着している
応答性の評価基準:
○:速やかに変化
△:やや反応が遅れる
×:反応は遅め
コントラスト比は、+100V又は−100Vの電圧を印加して一方の視認表示部を白色表示として最外側表示面に焦点を合わせて45度照射−垂直受光により白色反射を測定した後、最初とは逆の極性の−100V又は+100Vの電圧を印加して視認表示部を着色表示にして、同様に着色面の反射率を測定し、その比(白色表示面の反射率/着色表示面の反射率)から算出した。
特に、実施例1〜8の電気泳動表示用媒体は、好ましい平均粒径及び含有量となる着色樹脂粒子及び白色の酸化チタン粒子と、アルキルポリエーテルアミンと、分散液媒体とを含有したものであり、これらの場合は、実施例9の平均粒径が小さい白色酸化チタン粒子を用いたもの、実施例10の白色酸化チタン粒子の含有量が若干多い場合のものよりも、隅部を含めた白色表示面の全ての面で白さが目立つものであり、また、白色表示の反射率(測定値)が同じであっても、目視による白色表示では実施例1〜8の方が白色表示面の白さが目立つものであることが判った。
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例1は、白色粒子が酸化チタン粒子でない場合であり、比較例2は黒色粒子が黒色着色樹脂粒子でない場合であり、比較例3は白色粒子が酸化チタン粒子でない場合、また、黒色粒子が黒色着色樹脂粒子でない場合であり、比較例4はアルキルポリエーテルアミンを含有しない場合であり、これらの場合は本発明の目的の効果を達成できないものであった。
得られたマイクロカプセルタイプ(MC)、シートタイプ(S)の電気泳動表示用装置について上述の各評価方法で白色表示面の反射率、目視白色表示面の評価、着色表示面の反射率、目視着色表示面の評価、微粒子の凝集・付着、応答性、コントラストを評価したところ、上述の実施例1と同様に、白色表示面及び着色表示面の反射率に優れ、目視による白色表示(評価共に◎)、着色表示の色あいにも優れ、しかも、微粒子の凝集・付着もなく、応答性及びコントラストに優れていることが判った。
(1)電気泳動表示用液の調製
前記実施例1記載の配合比で100gの電気泳動表示用液を調製した。
(2)マイクロカプセル化
5重量%のゼラチン水溶液200gと5重量%のアラビアゴム水溶液200gを撹拌しながら混合し、50℃に昇温し、水酸化ナトリウム水溶液で溶液のpHを9.0に調整した。この水溶液に上記(1)の電気泳動表示用分散液をゆっくり撹拌しながら添加し、乳化系を調製した。
次いで、所定の撹拌条件下で酢酸水溶液を用いてpHを4.0まで低下させ、ゼラチン/アラビアゴムコアセルベートを形成させた後、約30分かけて約5℃まで冷却した。
次に、ホルマリン35%水溶液を10g加え、50℃まで昇温し、約2時間硬化反応を実施しマイクロカプセルのスラリーを調製した。
得られたマイクロカプセルの平均粒径は80μmであった。
(3)デバイス評価
上記(2)で得られたマイクロカプセルスラリー1部に対して、水性ウレタン系バインダー溶液1.5部の割合で混合し、PET基材のITO透明電極上にアプリケーター塗工機を用いてコーティングし、50℃ドライの条件下で十分に乾燥させた。
この表示用セルを対向電極基板上に接着させ、対向電極間ギャップが60μmになるよう真空圧着して表示デバイスを作製し評価を実施した。
(1)電気泳動表示用液の調整
前記実施例2記載の配合比で100gの電気泳動表示用液を調製した。
(2)シートタイプインク収容スペーサデバイス評価
図3(f)に示すような、サイズバターンでPET基材のITO透明電極上にフォトエッチング法によりパターン形成されたセルギャップ80μmのセルシートに電気泳動表示液を充填し、対向電極を配置し、UV硬化接着剤(UV3400、東亜合成化学社製、以下同様)によりシールした表示デバイスを作製し、表示デバイスを作製し、評価を実施した。
Claims (10)
- 分散液媒体中における染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の帯電特性と、白色の酸化チタン粒子の帯電特性とが互いに異なる請求項1記載の電気泳動表示用液。
- 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子の構成成分に架橋アクリルを含む請求項1又は2記載の電気泳動表示用液。
- 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子が、黒色である請求項1〜3の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
- 白色の酸化チタン粒子が、親油性表面処理がなされている請求項1〜4の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
- 白色の酸化チタン粒子の平均粒径が、0.2〜0.6μmの範囲内である請求項1〜5の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
- 染料及び/又は顔料により着色された樹脂粒子と白色の酸化チタン粒子との合計含有量が、電気泳動表示用液全量に対して、60重量%以下である請求項1〜6の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
- 分散液媒体が、テルペン化合物である請求項1〜7の何れか一つに記載の電気泳動表示用液。
- 請求項1〜8の何れか一つに記載の電気泳動表示用液がマイクロカプセル又はセルのそれぞれが独立した構造体に封入されていることを特徴とする電気泳動表示用媒体。
- 少なくとも一方に、光透過性である電極が形成された一対の基板と、該基板間に請求項9に記載の電気泳動表示媒体を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
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