JP2002350904A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高寿命、高速応答性の電気泳動表示装置を提供
する。 【解決手段】有機溶剤分散媒中に電気泳動粒子を分散さ
せた分散系をマイクロカプセルに封入し、前記マイクロ
カプセルを電極板間に配装するようにした電気泳動表示
装置において、前記マイクロカプセルの水分含有量を重
量分率で3000ppm以上20000ppm以下にし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気泳動粒子を利用し
た表示装置に関し、特に電気泳動粒子を分散媒中に分散
させた分散系を個々に封入したマイクロカプセルを電極
が形成された基板間に配装されるようにした電気泳動表
示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】泳動現象を利用した表示装置が知られて
いる。このような表示装置は少なくとも一方が透明な基
板間に泳動粒子を含む分散系を封入し、分散系内の電気
泳動粒子の分布状態を制御することによって光学的反射
特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるものであ
る。また、このような表示装置は磁気泳動を利用した磁
気泳動表示装置および電気泳動を利用した電気泳動表示
装置がある。
【0003】電気泳動表示装置は、たとえば図2に示す
ように少なくとも一方が透明な基板31とその表面に形
成された電極板32を対向配置し、電極板間に多孔性ス
ペーサ36で分割されたセル内に電気泳動粒子を分散媒
中に分散させた分散系34が封入された構造である。こ
の多孔性スペーサを有する電気泳動表示装置では電極板
の極性を制御することでこの電気泳動粒子に電界を与え
て透明電極板側に吸着又は離反させ、所望の文字や記号
あるいは図形等を表示することができる。
【0004】一方、特許2551783号公報には、少
なくとも一方が透明な一組の対向電極板間に電気泳動粒
子を含む分散系を封入し、該電極板間に印加した表示制
御用電圧の作用下に分散系内の電気泳動粒子の分布状態
を変えることによって光学的反射特性に変化を与えて所
要の表示動作を行わせる電気泳動表示装置に於いて、着
色した分散媒中に該有機溶剤分散媒と光学的特性の異な
る少なくとも一種類の電気泳動粒子を分散させた分散系
を封入した多数のマイクロカプセルを形成し、これらの
マイクロカプセルを上記電極板間に配装するように構成
した電気泳動表示装置が開示されている。
【0005】これらの電気泳動表示装置の分散媒は非水
系である。しかし、分散媒の原料には吸湿や分散媒の製
造工程における混入により水分が含まれている。この分
散媒中の水分は粒子の凝集の要因となることが知られて
いる。
【0006】たとえば、このような分散媒中の水分量を
規定した表示装置に用いられる分散媒が特許25156
65号公報、特許2515686号公報に開示されてい
る。これらの分散媒では通常1400〜1800ppm
程度残存する水分を特許2515665号公報では水分
量が重量分率で1200ppm以下、特許251568
6号公報では水分量が重量分率で500ppm以下とす
ることで、粒子の凝集が起こることを防ぎ表示装置の高
寿命化を実現されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、分散媒中の水
分含有量に関して開示されているものはスペーサで分割
されたセルやマイクロカプセルにより分散系が仕切られ
ていない構造の電気泳動装置に限られていた。このよう
に分散系が仕切られていない構造の電気泳動装置では仕
切られていない分散系中に含有される泳動微粒子の個数
が多いために、凝集が発生すると、極めて巨大な凝集物
が形成されてしまう。このため、凝集の要因となる水分
を1200ppm以下あるいは500ppm以下としな
ければ、高寿命化が達成出来なかったためと考えられ
る。
【0008】本発明は上述した問題点に鑑みてなされた
もので、その目的は、高速度表示が可能で、かつ長期の
使用においても劣化が生じることがない優れた電気泳動
表示装置を提供するものである。
【0009】
【問題を解決するための手段】上記のような課題は以下
の(1)乃至(5)のいずれかの本発明により解決され
る。 (1)分散媒中に泳動する泳動粒子を分散させた分散系
を有するセルを少なくとも一方が透明な基板間に配置
し、前記分散系内の泳動粒子の分布状態を変えることに
よって光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を
行わせるようにした表示装置であって、前記セルの水分
含有量が重量分率で3000ppm以上20000pp
m以下であることを特徴とする表示装置。 (2)前記セルがマイクロカプセルであることを特徴と
する(1)に記載の表示装置。 (3)前記マイクロカプセルの外皮を構成する材料が、
親水性であることを特徴とする(1)または(2)に記
載の表示装置。 (4)前記マイクロカプセルの外皮を構成する材料が、
ゼラチン、アラビアゴム、またはウレタン樹脂のいずれ
かを主成分とすることを特徴とする(1)乃至(3)の
いずれかに記載の表示装置。 (5)前記泳動が電気泳動であることを特徴とする
(1)乃至(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の電気泳動表示装置は図1
示すように少なくとも一方が透明な基板11とその表面
に形成された電極板12を対向配置し、電気泳動粒子を
分散媒中に分散させた分散系14を個々に封入した複数
のマイクロカプセル15とバインダ材13とを電極板間
に配装されるようにした構造である。
【0011】発明者らはマイクロカプセルに分散系を封
入した構造の微粒子泳動型表示装置における従来知られ
ていなかったマイクロカプセルの水分量について検討を
重ねた結果、マイクロカプセル化しない場合と異なり、
マイクロカプセルの水分量を、むしろ増加させた方が高
速表示が可能で寿命も問題のないことを見いだした。こ
れは、このような分散系をマイクロカプセルに封入した
構造の場合には、1個のマイクロカプセル内に含有され
る分散系の容量が小さく、その中に含まれる泳動粒子の
個数も少ない。このため、たとえ泳動粒子の凝集が発生
したとしても、表示装置の寿命に与える影響は小さいた
めと考えられる。
【0012】基板としては、ガラス、プラスチックを用
いることが可能であるが、特に電子ペーパーとして用い
る場合には厚さ300μm以下の可撓性プラスチックフ
ィルムが好ましい。このようなプラスチックフィルムの
場合には、気体や水蒸気の透過を防ぐためにガスバリア
層を設けることが好ましい。
【0013】ここで、マイクロカプセルに封入すべき分
散系の染料としては、アントラキノン類やアゾ化合物類
等の油溶性染料を初めとする各種の公知の染料が使用可
能である。そして電気泳動粒子としては、酸化チタン、
カーボンブラック、紺青又はフタロシアニングリーンや
周知のコロイド粒子のほか、種々の有機・無機質顔料、
染料、金属粉、ガラスあるいは樹脂等の微粉末などを適
宜使用できる。たとえば顔料としては無機顔料、有機顔
料が用いられ、無機顔料粒子としては、鉛白、亜鉛華、
リトポン、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、
炭酸カルシウム、カオリン、雲母、硫酸バリウム、グロ
スホワイト、アルミナホワイト、タルク、シリカ、ケイ
酸カルシウム、カドミウムイエロー、カドミウムリポト
ンイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、チタンバリ
ウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリポト
ンオレンジ、モリブデートオレンジ、ベンガラ、鉛丹、
銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリポトンレッド、
アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛酸クロムブラウン、クロム
グリーン、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリー
ン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリー
ン、紺青、コバルトブルー、群青、セルリアンブルー、
コバルトアルミニウムクロムブルー、コバルトバイオレ
ット、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄
黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライト
ブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラッ
ク、チタンブラック、アルミニウム粉、銅粉、鉛粉、錫
粉、亜鉛粉等が挙げられる。有機顔料粒子としては、フ
ァストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロ
ー、アントラピリミジンイエロー、イソインドリンイエ
ロー、銅アゾメチンイエロー、キノフタロインイエロ
ー、ベンズイミダゾロンイエロー、ニッケルジオキシム
イエロー、モノアゾイエローレーキ、ジニトロアニリン
オレンジ、ピラゾロンオレンジ、ペリノンオレンジ、ナ
フトールレッド、トルイジンレッド、パーマネントカー
ミン、ブリリアントファストカーレット、ピラゾロンレ
ッド、ローダミン6Gレーキ、パーマネントレッド、リ
ソールレッド、ボンレーキレッド、レーキレッド、ブリ
リアントカーミン、ボルドー10B、ナフトールレッ
ド、キナクリドンマゼンタ、縮合アゾレッド、ナフトー
ルカーミン、ペリレンスカーレッドが挙げられる。泳動
粒子は分散媒と比重を合わせるため或るいは凝集を防い
で分散性を高めるために、表面に他の物質を被覆した
り、他の物質と複合化してもよい。粒径としては0.0
1〜10μm程度が好ましい。また、泳動粒子の表面電
荷量を制御したり分散性を高める目的で、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、ジオクチルスルホコハク
酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタ
クリレート、シランカップリング剤、チタンカップリン
グ剤等を分散剤として添加してもよい。また、これら分
散系を構成する各材料は必要に応じて2種類以上を混合
して用いてもよい。
【0014】また1つのマイクロカプセルの中に、正負
異なる電荷が帯電した白色粒子、黒色粒子を封入するこ
とも可能である。さらに、数種類の異なる電気泳動速度
の粒子(ゼータ電位の異なる)に、着色しておくこと
で、駆動電圧により、カラー化することも可能である。
【0015】本発明の分散系の分散溶媒には、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフテン系炭化水素等の芳香
族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、
パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、トリクロ
ロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオ
ロエチレン、臭化エチル等のハロゲン化炭(化水)素
類、含フッ素エーテル化合物、含フッ素エステル化合物
等の抵抗率の高い溶媒又はその他の種々の油等を単独又
は適宜混合したものなどを使用できる。好ましくは直鎖
アルキルベンゼン構造を有する液体分散媒、たとえばn
−アミノベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、n−ヘプチ
ルベンゼンおよびn−オクチルベンゼン、エチルベンゼ
ン等が使用される。これらの分散媒は高純度に精製され
たものでは、水分含有量は500ppm以下となってい
るのが一般的である。あるいは、モレキュラシーブズ等
で脱水処理を行うことで、低水分含有量とすることが可
能であることが知られている。このような分散系中に
は、必要に応じて、電解質や界面活性剤、金属石けん、
樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子から
なる荷電制御剤に加えて分散剤、潤滑剤、安定化剤等を
添加できる。
【0016】分散系の水分は、分散媒からの水分だけで
なく、分散粒子、前述の各種添加剤等から混入する。さ
らに表示装置として使用中にも基板や基板の隙間を通じ
て大気中から混入する。あるいは、分散系をマイクロカ
プセル化する場合には、その工程において、さらにマイ
クロカプセル後においても、マイクロカプセルの外皮
(マイクロカプセル壁)を通しても混入する。
【0017】本発明においては、分散系中の水分含有量
が重量分率で3000ppm以上20000ppm以下
とする。前記範囲以下では、電気泳動粒子の移動速度が
遅く、十分な表示性能を発揮できない。前記範囲以上で
は、やはり電気泳動粒子の移動速度が遅く、特に高電圧
を印加しないと駆動しなくなる。また、水分含有量の上
限ならびに下限の数値は本発明者らの検討によれば分散
系を構成する材料によらないことが確認された。
【0018】本発明の表示装置は反転時間が1秒以下、
好ましくは0.5秒以下を実現することが可能である。
水分は前述のように原材料あるいは大気中から混入もあ
るが、分散系を脱水処理、水分の添加により所望の水分
含有量とすることができる。
【0019】2つの電極間に配置された電気泳動粒子の
反転時間tは式t=6πd2η/Vεζで与えられるこ
とが知られている。ここで、dは電極の間隔、ηは液体
媒体の粘性、εは液体媒体の誘電率、Vは電極間の電位
差、ζは粒子のζ(ゼータ)電位である。この式によれ
ば分散系の水分含有量の増加は誘電率の低下の要因とな
ることから反転時間を延ばし好ましくないものと推察さ
れていた。これに対して、適量の水分含有量では、泳動
微粒子が適度に凝集することで、反転時間の短縮が可能
になるものと考えられる。具体的には1μm程度の泳動
微粒子を用いた場合には、数個から数十個の泳動微粒子
がゆるやかな凝集状態となり、その凝集集合体の状態で
泳動していると推察される。
【0020】一般に水分量は、分散系を調合した段階で
は、カールフィッシャー水分計等を用いて容易に評価す
ることが可能である。しかし、マイクロカプセル化した
場合には、そのマイクロカプセルの内容物である分散系
中の水分量の評価は現段階の技術では正確には評価する
ことが困難である。このため、本発明においては、マイ
クロカプセルの水分含有量とはマイクロカプセル全体、
すなわちカプセル壁を含めた状態で評価した値と定義す
る。
【0021】このマイクロカプセルの壁材としては、親
水性樹脂、たとえば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メ
ラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、ゼラチ
ン−アラビアゴム等を使用することで、分散系内の水分
とカプセル壁内の水分が平衡状態となり安定した水分量
を長時間にわたり維持することが可能となるため好まし
い。そして、マイクロカプセル壁材料を、ゼラチン、ア
ラビアゴム、またはウレタン樹脂のいずれかを主成分と
することが特に好ましい。
【0022】また、マイクロカプセルをバインダーある
いは接着層で基体に固定することが特に好ましい。その
際のバインダーあるいは接着層の材質も、適度の水分を
保持可能なものが好ましい。具体的には各種の水溶性ポ
リマーを用いることが出来る。
【0023】このようなバインダーあるいは接着層がマ
イクロカプセルと混合された状態での、マイクロカプセ
ルのみの水分含有量の評価は、極めて困難であるが、バ
インダーあるいは接着層のみでの水分量と、マイクロカ
プセルにバインダーあるいは接着層が付着した状態の水
分量とを測定することで、おおよその推算が可能であ
る。
【0024】なお、微粒子泳動型表示装置としては、磁
界により磁性粒子を泳動する磁気泳動表示装置において
も本発明の効果は確認されているが、磁界を発生するた
めに電流を消費する磁気泳動型表示装置よりも、電界に
より動作する消費電力の小さな電気泳動型表示装置に適
用することが好ましい。
【0025】また、対向する2枚の基板間距離は、表示
装置の特性に大きな影響を及ぼす。このため、スチレン
ボール等のスペーサーを適量用いて、常に一定の間隔と
なるようにすることが好ましい。マイクロカプセル10
0個に対して、スペーサーであるボールは0.1〜20
個程度が好ましい。前記範囲以下では、基板間距離が不
安定となり、前記範囲以上では表示装置のコントラスト
が低下する。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。これらは本発明の一態様にすぎず、これらに本発明
の範囲は拘束されない。
【0027】[実施例1]マイクロカプセルに封入する
分散系は、電気泳動粒子として平均粒径0.8μmの1
2部の酸化チタン(石原産業製:CR50)と、分散剤
として1.5部のオレイン酸および0.5部のチタン系
カップリング剤と、1部の青色アントラキノン系染料
と、分散溶媒として85部のn−ヘキシルベンゼンとを
超音波分散により混和し基本分散系とした。この基本分
散系をモレキュラシーブズで脱水処理した後に、水を添
加し、各種の水分含有量とした。
【0028】この基本分散系を平均径が50ミクロンに
なるように調整しマイクロカプセルとした。また、バイ
ンダ材としては、シリコーン化合物のエマルジョンを用
いた。また、誘電率調整剤としては、1,4−ブタンジ
オールを用い、バインダ材に対して8部だけ混合した。
また、水分量をマイクロカプセル化後にカールフィッシ
ャー水分計により評価した。
【0029】透明基板として酸化シリコンを両面に同時
にスパッタ法により成膜した厚さ0.15mmの可撓性
透明プラスチックフィルムを用い、その片面に、ポリビ
ニルアルコール層(ガスバリア層)、透明導電膜(IT
O膜)を成膜したものに上記電気泳動表示用表示液をド
クターブレード法にて塗布した後。40μm径のナイロ
ンビーズスペーサを介して上面基板を対向配置させて、
両透明基板をエポキシ樹脂系接着剤で封止する事により
電気泳動表示パネルを作製した。なお、スペーサは、マ
イクロカプセルの1%の数とした。これらの電気泳動表
示セルをバイポーラ電源に接続し正負に20Vの直流電
圧を反転しながら印加したところ青と白の表示が得られ
た。各々の表示色を45度照射−垂直受光で反射率を測
定し両表示色の反射率の比からコントラストを求めた、
直流電圧印加で測定したコントラストの90%になるま
での時間を反転時間とした。また、さらに正負印加の反
転を1秒毎とし、繰り返し反転を行い、コントラストが
初期値の50%になるまでの時間を寿命と定義し評価し
た。水分量と反転時間の関係を表1、図3に示す。
【0030】
【表1】
【0031】作製した試料は実施例、比較例とも実用上
問題のない2400時間以上の寿命が得られた。水分含
有量3000ppm以上から20000ppm以下の関
係を満たす本発明の試料3乃至5はいずれも1秒以下の
反転時間が得られた。しかし、水分含有量3000pp
m未満である試料1、2および水分含有量20000p
pmを越える試料7は反転時間が長いことが確認され
た。
【0032】[実施例2]エチルベンゼンに0.5w
t.%の青色染料(バイエル社製:マクロレックスブル
ーRR)を溶解したものを用い、泳動粒子として、平均
粒径0.21μmの二酸化チタン(石原産業製:CR6
0)を用いた。この分散系をゼラチンを壁材とする平均
50μm径のカプセルに封入しマイクロカプセルを作製
した。このマイクロカプセルを水分含有量の異なるアル
コール中に24時間浸積し、水分含有量の異なるマイク
ロカプセルとした。その後、上記実施例1と同様の工程
にて、電気泳動表示装置を作製し、同様の評価を行っ
た。その結果、水分含有量3000ppm以上から20
000ppm以下の関係を満たす試料はいずれも実用上
問題のない1秒以下の反転時間かつ2400時間以上の
寿命が得られた。しかし、水分含有量3000ppm未
満である試料および水分含有量20000ppmを越え
る試料は反転時間が1秒を越えて長いことが確認され
た。
【0033】さらに、本発明の上記エチルベンゼンを分
散溶媒とした水分含有量5500ppmの表示装置は、
40℃2000時間の放置処理後にも、反転時間0.4
秒、2400時間以上の寿命が確認された。これはカプ
セル壁および用いた水溶性バインダーが適度の水分を分
散系が保つことに寄与したためである。
【0034】[実施例3]4種のアゾ系二色性色素を3
wt%混合して黒色としたn−アミノベンゼンに、粒径
0.5μmと2.5μmのルチル型酸化チタンを等量と適
量の界面活性剤を加えてローラーミルで撹拌して分散系
を調整した。この分散系はアラビアゴム−ゼラチン系樹
脂でマイクロカプセルに取り込んだ。平均径が50μm
となるように分級を行い、予め接着剤を施したITOス
パッタ済み150μmPENフィルム基板上にスプレー
コーティング法を用いて配列せしめた。その上にイソシ
アネート硬化剤を混合した水酸基を有する塩化ビニル−
酢酸ビニル系樹脂に直径30μmのスチレン球スペーサ
ーを適量混合したバインダーを塗布し、もう1枚の透明
150μmPENフィルム基板を圧着し、マイクロカプ
セルの2%の数のスペーサーを用いて間隔がほぼ30μ
mとなるように、張り合わせた後、熱硬化した。さらに
基板が剥がれないよう紫外線硬化樹脂により縁を硬化さ
せた。本実施例では、分散系に添加する界面活性剤量に
よりマイクロカプセル水分量が変化することが確認され
た。水分含有量8000ppmの本表示装置では、反転
時間0.3秒、コントラスト15、寿命3000時間以
上であることが確認された。これに対して、マイクロカ
プセル化後にモレキュラシーブズにより水分を500p
pmまで除去したカプセルを用いた表示装置では、反転
時間2.6秒、コントラスト比も2.5と低かった。こ
の原因は分散系だけでなく、カプセル壁の水分も多く失
われたために、カプセル壁が柔軟性を失って、透明基板
との密着が不十分だったためと考えられる。
【0035】
【発明の効果】上記の結果から、本発明の効果は明らか
である。本発明による電気泳動表示装置は、反転時間が
短くかつ高寿命を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の一例を示す断面構成図であ
る。
【図2】本発明の表示装置の一例を示す断面構成図であ
る。
【図3】本発明および比較例の水分含有量と反転時間を
示す図である。
【符号の説明】
11 基板 12 電極板 13 バインダ材 14 分散系 15 マイクロカプセル 31 基板 32 電極板 34 分散系 36 多孔性スペーサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒中に泳動する泳動粒子を分散させ
    た分散系を有するセルを少なくとも一方が透明な基板間
    に配置し、前記分散系内の泳動粒子の分布状態を変える
    ことによって光学的反射特性に変化を与えて所要の表示
    動作を行わせるようにした表示装置であって、前記セル
    の水分含有量が重量分率で3000ppm以上2000
    0ppm以下であることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】 前記セルがマイクロカプセルであること
    を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 【請求項3】 前記マイクロカプセルの外皮を構成する
    材料が、親水性であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 前記マイクロカプセルの外皮を構成する
    材料が、ゼラチン、アラビアゴム、またはウレタン樹脂
    のいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の表示装置。
  5. 【請求項5】 前記泳動が電気泳動であることを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。
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