JP4577872B2 - 追記型光記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many)光記録媒体に係り、特に青色レーザ波長領域でも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体に関する。
1. 青色レーザ波長以下で記録再生が可能な追記型光記録媒体に関して
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、青色レーザ対応の追記型光記録媒体の記録層に用いる有機材料としては、青色レーザ波長に対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。即ち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される。何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである(図1参照。従来の有機材料を記録層とした追記型光記録媒体では、図中の斜線部分に記録再生波長を設定する)。
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する有機材料は未だ見出されていない。これは、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料を得るためには、分子骨格を小さくするか又は共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
また、従来の追記型光記録媒体では、有機材料の分解・変質による屈折率変化と共に、基板変形によっても記録が行われている。例えば、図3〔市販のDVD−Rに記録を行った部分の基板面をAFM(アトミックフォースマイクロスコープ、Atomic force microscope)により観察した図〕に示すように、基板は反射層側に変形しており、この変形によって変調度を発生させている。
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特許文献1〜5に記載がある。
しかし、これらの公報では、実施例を見ても溶液と薄膜のスペクトルを測定しているのみで、記録再生に関する記載はない。
特許文献6〜8では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
特許文献9では、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特許文献10〜19では、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特許文献20では、記録再生波長は405〜408nmであるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
以上の特許文献で開示されている有機材料は、現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍において、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する材料ではない。また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された実施例がないため、実際に15〜25GBといったような高密度の記録が行えるかどうか不明である。更に、上記公知技術における実施例の多くは、従来のディスク構成(基板/有機材料層/反射層)での実験であり、そこに用いられる色素は従来と同じ光学特性と機能が要求されている。
従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、変調度と反射率の確保の点から、記録再生波長に対し大きな屈折率と比較的小さな吸収係数(0.05〜0.07程度)を持つ有機材料しか使用することができない。
従って、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍に有機材料の主吸収帯が存在するため、図2に示すように、有機材料の光学定数の波長依存性が大きくなり(波長によって光学定数が大きく変動する)、レーザの個体差や環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
更に、有機材料は記録光に対して十分な吸収能を持たないため、有機材料の膜厚を薄膜化することが不可能であり、従って、深い溝を持った基板を使用する必要があった(有機材料は通常スピンコート法によって形成されるため、有機材料を深い溝に埋めて厚膜化している)。そのため、深い溝を有する基板の形成が非常に難しくなり、光記録媒体としての品質を低下させる要因になっている。
また、有機材料の膜厚を薄くすることができないため、記録パワーマージン等が狭くなるといった問題点(記録再生特性の各種マージンが狭いという問題)を有していた。
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成及び記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特許文献21には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という層構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行う技術が開示されている。
特許文献22には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シ−トという層構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献23には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という層構成で、記録層の膜厚を変えることにより溝部の深さを変えて記録を行う技術が開示されている。
特許文献24には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という層構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行う技術が開示されている。
特許文献25には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という層構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行う技術が開示されている。
特許文献26には、基板/中間層/金属薄膜という層構成で、金属薄膜が変形しバブルを形成することにより記録を行う技術が開示されている。
特許文献27には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献28には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは、基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献29には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という層構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献30には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という層構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献31には、基板上に反射層と記録層の機能を有する複合機能層、保護層を順次形成した層構成で、基板と複合機能層がバンプを形成することで記録を行う技術が開示されている。なお、複合機能層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。
特許文献32には、基板上に金属薄膜層、変形可能な緩衝層、反射層、保護層を順次形成した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚を薄くさせることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金との規定がある。また、緩衝層としては、変形し易く適当な流動性を持つ樹脂が用いられ、変形を促進させるために色素を含有させても良いとの記載がある。
特許文献33には、基板上に金属薄膜層、緩衝層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、緩衝層は色素と有機高分子の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
特許文献34には、基板上に金属記録層、バッファ層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属記録層を変形させ、同時にこの変形部でのバッファ層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属記録層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、バッファ層は色素と樹脂の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
以上の公開技術は、基本的に青色レーザ波長領域での光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。更に、上述の技術では、記録層中の色素に光吸収機能が必要となるため、色素の主吸収帯が記録再生波長近傍に存在しなければならず、色素の選択に大きな制限が加わる。
また、上述の技術では、その記録原理の主体が変形による場合が殆どである。この変形が記録原理の主体となると、良好なジッタや変調度が得られても、記録マーク間の干渉が大きくなるため、各種記録再生特性のマージンが狭くなるという問題がある。
2. 多値記録が可能な追記型光記録媒体について
近年、記録容量の増大を目的に多値記録技術が開発されている。最近はホームユーザーでも普通に容量の大きいオーディオデータや画像/動画データを扱うようになり、また一方、ハードディスクも大容量化が進み、CDやDVD系の光記録媒体では記録容量が足りなくなってきている。
そんな中で、従来型の光記録媒体の容量を高める記録方式として、「多値記録技術(Multi Level Technology)」が、米国のベンチャー企業カリメトリクス社(Calimetrics, Inc.)から提案されている。この多値記録技術は、簡単に言えば、記録線密度を向上させるものである。
従来のCDやDVD系の光記録媒体では、記録するデータ列に応じて各記録マーク端部の位置や長さを変えて記録し、再生時に記録マークの長さを判定している(スライス方式)。簡単に現行のスライス方式について説明する。
図4に示すように、まず記録すべき情報である記録データ(a)に対応した記録波形(b)を用いて、光記録媒体に記録マーク列(c)を形成させる。
その記録媒体に記録された記録マーク列(c)に再生光を照射して情報を再生すると、図(d)に示すような再生信号波形が得られる。
この再生信号波形は、(b)で示した記録波形のような矩形波とはならず鈍った波形になるため、再生信号波形を等化器で整形する(具体的には再生信号の高周波成分が増幅される)。
次いで、この等化波形(e)と閾値との交点を検出し、ウインドウ内で交点が検出されれば「1」、交点が検出されなければ「0」として二値データを出力する(f)。
そしてこの交点検出に得られた二値データ(f)をNRZ変換することによって(g)に示すような復号データを得ている。
これに対して多値記録では、基本セルと呼ばれる固定長の領域内に、記録するマークの反射率の多値化で情報を表現する。即ち、従来のCDやDVD系の光記録媒体では、記録マークの有無で1ビットを表現しているが、多値記録では、記録マークの大きさを例えば8種類に変えて記録し、8つのレベルの異なる反射率として読出す(図5参照)。従って、1つの記録マークで3ビット分の情報を表わすことができるため、記録密度を高めることができる。
この多値記録では、通常、再生時のレーザー光のビームスポット径は、基本セル長よりも大きい。これによって、1つの記録マークで3ビット分の信号を表現することができるため、トラックピッチを詰めることなく、記録線密度を上げ、記録容量を増加させることができる。
この多値記録可能な追記型光記録媒体に関しては、特許文献35〜41等に記載がある。また、特許文献35には、有機色素からなる記録層を有する光記録媒体に多値記録を行うという概念、及び、該光記録媒体において記録層の深さ方向に多値記録を行うという概念が示されている。しかし、この文献では、赤色レーザ波長に対応した多値記録可能な追記型光記録媒体を想定しており、層構成や有機色素は従来のCDやDVD系の追記型光記録媒体と何ら変わるところがない。
上記特許文献36には、多値記録が可能な有機色素からなる記録層を有する光記録媒体において、基板のガラス転移点と反射率の熱伝導率を規定する発明が記載されている。
特許文献37には、多値記録が可能な有機色素からなる記録層を有する光記録媒体において、有機色素の熱分解特性を規定する発明が記載されている。
特許文献38〜39には、多値記録が可能なフタロシアニンやシアニン色素からなる記録層を有する光記録媒体において、波長、NA、グルーブ幅の関係を規定した発明が記載されている。
特許文献40には、多値記録が可能な有機色素からなる記録層を有する光記録媒体において、グルーブ上の記録層膜厚とグルーブ深さの関係を規定した発明が記載されている。
特許文献41には、多値記録が可能な有機色素からなる記録層を有する光記録媒体において、未記録時の反射率を40〜80%とする発明が記載されている。
ところで、多値記録では、従来の二値記録よりも高密度記録を実現させるため、大雑把に言えば基本セル長を従来の二値記録での最短マーク長と同程度に小さくしなければならない。つまり、多値記録における最短マークは二値記録の最短マークよりも非常に小さくなる(短くなる)。
即ち、従来の記録材料、層構成等のままで十分高密度化した多値記録が可能となるのであれば、これは従来の記録材料、層構成等のままでも最短マークを短くできることを意味するため、二値記録でも最短マーク長を短くして高密度化が図れることになる(実際通常の二値記録では、特別な記録再生方法等を利用しない限り現状以上に記録密度を高めることができない)。
従って、二値記録よりも十分高密度化した多値記録可能な追記型光記録媒体を実現させるためには、従来の記録材料、層構成等のままでは実現不可能であって、従来とは異なる記録材料や層構成が新たに必要になる筈である。
しかし、上記公知技術では、記録層の膜厚や反射層材料等の微調整は行っているものの、殆ど従来の記録材料、層構成等のままで多値記録を行うものであるから、従来に比べて小さい記録マークが形成できるという訳ではなく(従来よりも格段に小さい記録マークが、高い再生信頼性で記録再生できる筈がない)、記録再生技術によって従来よりも短い記録マークを信頼性よく再生できるようにしたに過ぎず、単に記録再生方法の発明を追記型光記録媒体に適用したに過ぎない。
また、上記公知技術では変形を主体として記録マークが形成されている(前述した図3参照)。この変形は、記録マーク間の長さが十分長い場合(記録線密度が低い場合)、或いは多値レベルが記録されたセルの長さが再生光のビーム径以上に連続しない場合は特に問題はないが、記録線密度が高くなる場合、或いは多値レベルが記録されたセルの長さが再生光のビーム径以上の長さで連続する場合は、変形が干渉しあって、その干渉が線形でなくなる(線形から大きく外れる)。
この干渉が線形であるとは、干渉後の変形形状が、例えば、図6に示すように、あるセルの変形量と次の隣接セルの変形量とのほぼ加算で表されることを意味する〔図6(a)は、連続する3つのセルに変形を主体とする記録マークを形成した様子を平面図として示し、(b)は干渉がない場合のそれぞれの記録マークの変形量を断面図として示したもので、(c)はその変形が加算された様子を示した図である〕。
図7は、3つの連続したセルに変形を主体とする記録マークを形成した場合であって、その記録されたセルの一連の長さが再生ビーム径以下の場合、3つのセルの変形の干渉の違いによる再生信号の変化を模式的に示したものである。変形の干渉が線形であれば図7(b)のような変形状態になるが、変形の干渉が線形でなくなると、図7(c)、(d)のような変形状態を示すようになる。
しかし、この干渉した変形が再生ビーム径以下の長さであるため、変形状態の違いを検出することができず、変形状態が(b)、(c)、(d)のように異なった場合でも、ほぼ(e)に示すような再生信号が得られる。
従って、(e)に示したT、T、Tのサンプリングタイムで反射レベルを検出すれば、正しいデータを復元することができる。
一方、図8には、変形を主体とする記録マークが連続して7つ形成された場合であって、記録されたセルが連続し、その一連の長さが再生ビーム径よりも大きくなった場合の、変形の干渉の違いと再生信号の関係を模式的に示したものである。
この場合には、図7の場合に比べて変形の干渉がより線形でなくなり、例えば図8(b)、(c)、(d)のような変形状態を示すようになる(実際はもっと複雑になる)。この干渉した変形が再生ビーム径より大きな長さであるため、変形状態の違いを明瞭に検出することができ、(b)、(c)、(d)の変形状態に合わせて、例えば、それぞれ(e)、(f)、(g)のような再生信号が得られる。
従って、(e)、(f)、(g)に示したT〜Tのサンプリングタイムで反射レベルを検出すると、干渉の違いによって異なったデータが復元されてしまい、もはや正しいデータを復元することができない。
このように、変形が記録の主体となると、記録パターンによって記録マーク間の干渉が全く異なってしまうため(どのような再生信号が得られるか予測できない)、記録再生特性が悪化する。
3. PRML方式を用いた記録再生方法について
多値記録技術とは別の高密度化技術として、現行のスライス方式の代りにPRML(パーシャル・レスポンス・アンド・マキシマム・ライクリフッド、Partial Response and Maximum Likelihood)方式の光記録媒体への利用が検討されている。
高密度化を図るために記録線密度を高めると、再生信号はより鈍った波形となる〔これは図4で説明したように、再生信号波形(d)は記録波形(b)のような矩形波にならないことを意味する〕。再生信号は等化器によって高周波成分が増幅され、等化波形へと変換されるが、高密度化されて波形が鈍ると、より高周波成分を増幅する必要がある。この高周波成分の増幅時には、等化器は信号劣化成分まで増幅を行ってしまうため、再生信号のSNRの大幅な低下を招くという問題がある。PRMLという技術は、この高密度化に伴う再生信号のSNRの低下を抑制するための再生信号処理法方式である。
以下、簡単にPRML方式について説明する。
図9の(a)〜(d)は、図4の(a)〜(d)と同様であり、それぞれ、記録すべき情報である記録データ(a)、記録波形(b)、記録マーク列(c)、再生信号波形(d)である。
図9(d)の再生波形に対して、等化器でPR(1,1)特性,PR(1,2,1)特性,PR(1,2,2,1)特性に基づく等化を行った場合の等化波形を、それぞれ図9(e)〜(g)に示す。ここで、PR(1,1)特性とは、インパルス応答が、連続する2つの識別点に各々1:1の割合で出現する特性を示し、PR(1,2,1)特性とは、インパルス応答が、連続する3つの識別点に各々1:2:1の割合で出現する特性を示し、PR(1,2,2,1)特性とは、インパルス応答が、連続する4つの識別点に各々1:2:2:1の割合で出現する特性を示す。図9(e)〜(g)に示すように、PR特性が複雑になるほど等化波形が鈍ることが分る。
PRML方式では、再生波形の特性に近いPR特性で波形等化することにより、等化器による再生信号劣化成分の増幅を抑制することが可能となる。
PRML方式の再生信号処理では、等化波形信号の復号にあたって、最尤復号器の代表的な一つであるビタビ復号器が用いられるのが一般的である。例えば、等化器で再生波形がPR(1,2,1)特性に等化された場合、ビタビ復号器はPR(1,2,1)特性を満足する全ての系列の中から、等化波形のサンプル系列との誤差が最も小さい系列を選択し、選択された系列に対応する二値データ(復号データ)を出力する。
このように、PRML技術を用いることで、従来と同等の光学系を用いても高密度化が実現される訳であるが、PRML技術を用いた場合であっても、記録マーク間の干渉(符号間干渉)が大きくなって、その干渉が線形でなくなると(予測できない記録マーク間干渉が起こること)、もはや信頼性の高い記録再生が不能となる。即ち、PRML方式を適用できるのは、予測可能な記録マーク間の干渉が起こることが前提で、実際の記録マーク間干渉が予測と異なるとPRML方式を用いた効果がなくなる。
従って、記録マーク間の干渉を予測可能なレベルに抑制させるためには、記録マークの変形を抑制することが必要である。
特開2001−181524号公報 特開2001−158865号公報 特開2000−343824号公報 特開2000−343825号公報 特開2000−335110号公報 特開平11−221964号公報 特開平11−334206号公報 特開2000−43423号公報 特開平11−58955号公報 特開2001−39034号公報 特開2000−149320号公報 特開2000−113504号公報 特開2000−108513号公報 特開2000−222772号公報 特開2000−218940号公報 特開2000−222771号公報 特開2000−158818号公報 特開2000−280621号公報 特開2000−280620号公報 特開2001−146074号公報 特開平7−304258号公報 特開平8−83439号公報 特開平8−138245号公報 特開平8−297838号公報 特開平9−198714号公報 特許第2506374号公報 特許第2591939号公報 特許第2591940号公報 特許第2591941号公報 特許第2982925号公報 特開平9−265660号公報 特開平10−134415号公報 特開平11−306591号公報 特開平10−124926号公報 特開2001−184647号公報 特開2002−25114号公報 特開2002−83445号公報 特開2002−334438号公報 特開2002−352428号公報 特開2002−352429号公報 特開2002−367182号公報
青色レーザ波長域以下の短波長で多値記録が可能な追記型光記録媒体を実現できれば、先に詳しく説明したように、従来の二値記録よりもより高い品質を有する記録マークを形成することができるため、青色レーザ波長域以下の短波長で従来の二値記録が可能な追記型光記録媒体、及びPRML方式の適用により高密化が図られた追記型光記録媒体を同時に実現できる。そこで、青色レーザ波長域以下に対応した追記型光記録媒体の実現に当っての課題は、青色レーザ波長域以下の短波長で多値記録が可能な追記型光記録媒体を実現するための課題と考えて差し支えない。
青色レーザ波長域以下の短波長で多値記録が可能な追記型光記録媒体を実現するためには、次の(1)〜(3)が課題となる。
(1)小さな記録マークが形成できる。
(2)記録マーク間の干渉が少ない。
(3)記録マークの安定性が高い。
ところで、従来の追記型光記録媒体では、上述の〔従来の技術〕で詳しく説明したように、変形が主体で記録が行われている場合が多い。
従来の二値記録の場合は、最短マークが再生ビーム径に対して十分な大きさを有しているため(おおよそ再生ビーム径の1/2程度)、最短マークから得られる振幅も大きい。つまり、最短マーク部の変形量が大きいことを意味する。
一方、多値記録では、最短マークが再生ビーム径に対して十分な大きさを有しないため、最短マークから得られる振幅が、二値記録の最短マークから得られる振幅の数分の1以下となる。つまり、最短マーク部の変形量が非常に小さくなること意味する。
ところで、従来のCD系やDVD系の追記型光記録媒体では、光吸収機能を有する有機色素が基板に直接接して設けられているため、基板が大きく変形する(有機色素の分解による複素屈折率変化等の寄与もあるが、基板変形が主体となって変調度が発生し易い)。基板変形は、その変形量が大きくなれば弾性変形領域を超えるため変形が固定されるが、弾性変形領域内の変形量である変形は、外部からの熱等によって変形が緩和される恐れがある。また弾性変形領域を越えた変形であっても、隣接した記録マークの形成時の熱や、隣接記録マークの変形によって、変形形状が大きく変わる恐れがある。
この様子を図10〜図11で説明する。
図10は、従来型の構造、即ち基板/色素層/Ag反射層/保護層構成を有する追記型光記録媒体の記録マークの様子を示すものである。
Aは、再生信号の波形を示し、Bは、保護層、Ag反射層、色素層を剥がして基板表面をAFMによって観察した像を示し、Cは、Bで測定した基板のAFM像から得た基板断面の変形量を表示した図である。この図から、記録部は非常に大きな変形を起こしており、その基板変形形状は記録マーク中央部近傍が凹んだ形状を示していることが分る。また、前記図6〜8で説明したように、変形の干渉(記録マーク内の変形の干渉)が線形でないことが明らかである。
この従来の追記型光記録媒体に、図10と同じ記録を行った後、記録パワーの約1/5程度の弱いDC光を照射した時の記録マークの様子を図11に示す。
図11では、図10と同様に、Aは、再生信号の波形を示し、Bは、保護層、Ag反射層、色素層を剥がして、基板表面をAFMによって観察した像を示し、Cは、Bで測定した基板のAFM像から得た基板断面の変形量を表示した図である。この図から、弱DC光を照射することで基板の変形状態が変化し、これによって再生信号の波形も変化することが分る。これは弱DC光の照射によって基板の変形部における歪が緩和されたためと考えられる。
また、記録マーク部の基板変形形状が、弱いDC光の照射によって変化することから、記録マーク部上にある色素層にはまだ十分な光吸収機能が残っている筈であり、従来型の追記型光記録媒体では、変形が主体となって変調度を発生させていることが分る。
このように、変形が主体で記録が行われると、
(1)記録マーク内の変形の干渉が大きくなり、変形状態の違いによって、即ち記録マーク長によって再生信号波形が変化する
(2)記録マーク間の干渉が大きくなり、変形状態の違いによって、即ち記録パターンによって(前後或いは隣接トラック間の記録マークの種類によって)再生信号波形が変化する
(3)再生時、隣接トラックへの記録時、高温環境下での放置、或いは経年放置によって変形が緩和され、再生信号波形が変化する
という問題が発生するため、
(イ)ジッタ、或いはエラー率等が悪化する
(ロ)ジッタ、或いはエラー率等の記録パワーマージンが狭くなる
(ハ)最適ジッタ、或いは最小エラー率が得られる記録状態において、そのアシンメトリが不適正化し易い(アシンメトリがゼロから大きくずれる)
(ニ)小さな記録マークを安定して形成することができない
(ホ)記録マーク間の干渉を予測できない
という弊害が発生する。
これらの弊害は従来の二値記録においても当然発生する問題であるが、従来の二値記録よりも記録線密度を高めた追記型光記録媒体、即ち多値記録やPRML方式を適用した追記型光記録媒体の場合に一層顕著になる。
更に、〔背景技術〕で述べたように、従来の有機材料を記録層とした追記型光記録媒体では、次の(イ)〜(ニ)等の問題があった。
(イ)有機材料の選択の幅が非常に狭い
(ロ)波長依存性が非常に大きい
(ハ)基板の溝深さを深くしないと良好な記録再生特性を実現できない
(ニ)いわゆるランド部(溝間部)には記録ができない
そこで、本発明は、上記問題点、課題を解決するための追記型光記録媒体とその記録再生方法の提供を目的とする。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料の分解・変質によって記録再生波長における吸収係数を低下させ、これによる大きな屈折率変化を利用して変調度を発生させていたが、本発明の追記型光記録媒体では、従来、光吸収機能による熱発生層であり、かつ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による記録層として機能していた有機材料薄膜から、主たる熱発生層の機能を分離させ、有機材料薄膜とは別に光吸収機能を有するBiO膜を設けた点に特徴がある。この追記型光記録媒体は、従来の色素を用いた追記型光記録媒体に比べて短マーク形成能力が非常に優れている。
また本発明では、更なる記録再生特性の向上という要求・期待に応えるため、保存安定性が一層優れた追記型光記録媒体の提供も目的とする。
上記課題は、次の1)〜)の発明によって解決される。
1) 基板上に少なくともBiO膜と有機材料薄膜を有し、該BiO膜が、Bi元素、O元素及び4B族の中から選ばれる一種以上の元素を含有し、該BiO膜の組成をBi4B(4Bは4B族の元素、a、b、dは組成比)として、
10≦a≦40
3≦b≦20
50≦d≦70
であることを特徴とする追記型光記録媒体。
2) BiO膜が、Al、Cr、Mn、In、Co、Fe、Cu、Ni、Zn及びTiの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有し(以下、この薄膜をBiOM膜という)、該BiOM膜の組成をBi4B(4Bは4B族の元素、a、b、c、dは組成比)として、
10≦a≦40
3≦b≦20
3≦c≦20
50≦d≦70
であることを特徴とする1)記載の追記型光記録媒体。
3) 4B族元素がSi又はGeであることを特徴とする)又は)記載の追記型光記録媒体。
4) 基板上に、少なくとも、BiO膜、有機材料薄膜、反射層が順次積層されたことを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
5) 基板上に、少なくとも、有機材料薄膜、BiO膜、反射層が順次積層されたことを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
6) 基板上に、少なくとも、反射層、BiO膜、有機材料薄膜、カバー層が順次積層されたことを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
7) 基板上に、少なくとも、反射層、有機材料薄膜、BiO膜、カバー層が順次積層されたことを特徴とする1)〜)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の課題である変形量の小さい記録マークで、大きな変調度を発生させることを実現させるためのポイントは、次の(イ)〜(ニ)である。
(イ)光吸収機能を有する層が分解、変質、組成変化、酸化/還元等を起こし、光吸収機能を有する層自体が大きく変形しないようにすること
(ロ)光吸収機能を有する層が分解、変質、組成変化、酸化/還元等を起こし、基板等の変形し易い隣接層に多くの熱を伝えないこと(光吸収機能を有する層で発生した熱を光吸収機能を有する層で消費する。これによって基板等の変形を小さくすることが可能となる。)
(ハ)変形量を低減させても十分な変調度を発生させるために、大きな光学定数変化を起こす層を有すること
(ニ)変形量を低減させても十分な変調度を発生させるために、隣接層との層界面を不明瞭化する記録原理を利用すること
このような機能を有する材料について鋭意検討した結果、本発明のような特定の材料からなる薄膜と有機材料薄膜の組み合わせが非常に有効であることを発見した。この組み合わせを用いることで、記録マークにおける変形の寄与を従来に比べて非常に小さくすることが可能となり、〔発明が解決しようとする課題〕で説明した課題・問題点を解決することができる。
ところで、従来の追記型光記録媒体では、有機材料の分解・変質によって記録再生波長における吸収係数を低下させ、これによる大きな屈折率変化を利用して変調度を発生させていた。
これに対し、本発明の追記型光記録媒体では、従来、光吸収機能による熱発生層であり且つ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による記録層として機能していた有機材料薄膜から、主たる熱発生層の機能を分離させ、有機材料薄膜とは別に光吸収機能を有するBiO膜を設けた点に特徴がある。
本発明では、次のイ)〜ル)の記録原理に基づいて記録マークが形成される。
イ)BiO膜を変形させる
ロ)BiO膜の複素屈折率を変化させる
ハ)BiO膜の組成を変化させる
ニ)BiO膜を溶融させる
ホ)BiO膜中の構成元素を隣接層へ拡散させる
ヘ)BiO膜の結晶状態・結晶構造を変化させる
ト)BiO膜中の構成元素を酸化/還元させる
チ)BiO膜中の組成分布を変化させる
リ)有機材料薄膜の体積を変化させる
ヌ)有機材料薄膜の複素屈折率を変化させる
ル)有機材料薄膜に空洞部を形成させる
特に本発明では、BiO膜の各種状態変化〔即ち、上記イ)〜チ)〕を主体として記録マークを形成することが好ましい。中でも好ましいのは、ロ)〜チ)である。例えば、組成の変化や溶融、或いは構成元素の隣接層への拡散を利用することができるため、BiO膜の複素屈折率を大きく変えることができ、また隣接層との層界面を不明瞭化することができ、多重反射効果を有効でなくすことができるため、小さな変形であっても大きな変調度を得ることができる。
即ち、これらの記録原理を用いることで、次の(1)〜(7)のような特性を有し、変形量の小さい記録マークで大きな変調度を発生させることができる光記録媒体とその記録再生方法を実現することができる。
(1)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、二値記録の記録再生が容易に行える高密度記録可能な追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(2)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、多値記録の記録再生が容易に行える高密度記録可能な追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(3)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、PRML方式による信号処理系での記録再生に適した高密度記録可能な追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(4)記録パワーの変動に対する、ジッタやエラー率等のマージンの広い追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(5)記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(6)転写性のよい浅溝基板でも記録再生が容易に行える追記型光記録媒体とその記録再生方法。
(7)ランド部にも記録が可能な追記型光記録媒体とその記録再生方法。
1. BiO膜の機能
本発明では、BiO膜が主たる光吸収機能を担う。
このBiO膜は、正常分散を示す材料であるため(有機材料のように、ある波長範囲内に大きな吸収帯を有する材料でないため、複素屈折率の波長依存性が小さい)、レーザの個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという従来の問題を大幅に解消することができる。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料薄膜が記録層と光吸収層の機能を兼用していたため、記録再生波長に対して大きな屈折率nと比較的小さな吸収係数kを有することが有機材料の必須条件であり、そのため有機材料を分解させる温度まで到達させるには、比較的厚い膜厚が必要となっていた(また相変化型の光記録媒体に対し基板の溝深さが非常に深くなっていた)。
しかし、本発明の光記録媒体では、有機材料薄膜に主たる光吸収機能や記録機能を持たせる必要がないため、有機材料薄膜の膜厚は従来に比べて薄くすることが可能となる。
また、有機材料薄膜の薄膜化が可能となったことにより、転写性(成形性)に優れた溝深さの浅い基板を使用することが可能となり、光記録媒体の信号品質が大幅に向上すると共に従来に比べて基板を容易かつ安価に製造(成形)できる。
また、上記記録原理によるため再生時に基板の溝形状の影響を受け難く、基板形状のばらつきに対する許容度が大きくなり、従来に比べて基板の製造を容易かつ安価に行うことができる。
また、有機材料薄膜を薄くすることが可能なため、記録パワーマージン等を広げることが可能となる。
BiO膜は、光吸収機能と共に記録機能をも有する。
具体的には、BiO膜の光吸収機能によって、BiO膜自身が次のような状態変化を起こす。
イ)変形(但し、従来に比べて変形量が小さい)
ロ)複素屈折率の変化〔例えば下記ハ)〜チ)に伴って複素屈折率が変化する〕
ハ)組成の変化
ニ)酸化/還元
ホ)溶融
ヘ)構成元素の隣接層への拡散
ト)組成分布変化
チ)結晶構造の変化
このように、500nm以下の記録再生波長に対して光吸収機能を有すると共に、記録機能をも持たせるために、Bi元素を選択する。
また、大きな複素屈折率変化、組成の変化、溶融を起こしたり、或いは隣接層に構成元素を拡散させるために、低融点のBi元素を選択する。
更に、BiO膜には、Al、Cr、Mn、In、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、及びTiの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有させることが好ましい。
BixOMy(x,yは原子数比)で表されるBiOM膜では、x/(x+y)≧0.3とすることによりBiOM膜自体の変形或いは基板等の隣接層の変形を抑制することが可能となり、記録マーク間の干渉を小さくすることができる。
また、Bi4B又はBi4Bで表されるBiO膜又はBiOM膜を採用することにより、記録再生特性や保存安定性等を改善させることができる。4B族元素としてはC、Si、Ge、Sn、Pbが挙げられるが、中でもSiとGeが特に好ましい。
また、BiOM膜の場合には、添加元素Mの作用により、大きな複素屈折率変化、組成の変化、溶融を起こしたり、或いは隣接層に構成元素を拡散させる能力が更に向上する。
本発明のBiO膜は、Bi元素の完全な酸化物のみからなる膜に限定されるものではなく、Bi元素とBi元素の酸化物を同時に含有してもよい(BiBiOと略記する)。
また、BiO膜が元素Mを含有する場合は、(1)Bi−M−Oの三元化合物、(2)Bi+MO(元素Biと元素Mの酸化物からなる混合物)、(3)BiO+MO(元素Biの酸化物と元素Mの酸化物からなる混合物)、(4)BiBiO+MO(元素Bi、元素Biの酸化物、及び元素Mの酸化物からなる混合物)、或いは(1)〜(4)の組み合わせからなる元素、化合物を同時に含有してもよい。逆に言えば、本発明で言うBiO膜とは、前記のような混合物を含めた総称である。
そして、例えば元素Bi(非酸化物状態)を記録によって酸化させ、これに伴ってBiO膜の複素屈折率を大きく変化させることができる。この酸化という記録原理を用いれば非変形記録を実現でき、符号間干渉の小さい記録を行なうことができる。
また、例えば元素Biの酸化物を記録によって還元させ、これに伴ってBiO膜の複素屈折率を大きく変化させることができる。この還元という記録原理を用いれば非変形記録を実現でき、符号間干渉の小さい記録を行なうことができる。
但し、BiO膜において、元素Bi及び/又は元素Mが非酸化物状態で多く存在する場合は、BiO膜の保存安定性を低下させる場合があるので、元素Bi及び/又は元素M単体の含有量は、元素Bi及び/又は元素Mの酸化物量に対して少ない方が好ましい場合がある。この割合は、記録感度、ジッタ、保存安定性等の兼ね合いによって適宜調整することが可能である。
なお、BiO膜の厚さは20〜500Åの範囲が望ましい。
2. 有機材料薄膜の機能
有機材料薄膜の機能としては、(a)断熱機能〔反射層とBiO膜に有機材料薄膜が挟まれる構造の場合〕、(b)変調度の発生機能、(c)再生信号波形を補償する機能、(d)反射率やトラッキング信号等の制御機能、(e)記録感度の制御機能に大別することができる。
反射層を有する追記型光記録媒体の場合、BiO膜と反射層が隣接した構造とすると、BiO膜で吸収されたエネルギーが効率よく熱に変換されなくなり、適当な記録パワーで記録できなくなる場合が発生する。
この場合、BiO膜と反射層の間に有機材料薄膜を導入すると、非常に薄い有機材料薄膜であっても十分な断熱効果を得ることができる。
ところで、通常、有機材料薄膜はスピンコート法によって成膜させる場合が多い。このスピンコート法で有機材料薄膜を形成する場合、ランド部に比べてグルーブ部の有機材料薄膜の膜厚が厚くなるため、グルーブ部では十分な断熱効果を確保できるが、ランド部では熱が逃げ易い構造となる。従って、グルーブ記録の場合、断熱層として有機材料薄膜を用いることにより、記録再生特性の向上を図ることが可能となる。
また、有機材料薄膜は以下の現象を引き起こすことにより、(b)変調度の発生機能を発現する。
・記録によって有機材料薄膜の体積が変化する
・記録によって有機材料薄膜の複素屈折率が変化する
・記録によって有機材料薄膜中に空洞部を形成する
・記録によるBiO膜の状態変化を受容する
・反射層の変形を受容する
なお、ここで言う「BiO膜の状態変化」とは、変形、複素屈折率の変化、組成の変化、溶融、構成元素の隣接層への拡散(混合)、酸化/還元、結晶構造変化等を指す。
(c)の再生信号波形を補償する機能とは、BiO膜のみでは、再生信号波形が乱れる可能性が高いが〔記録極性がHigh to Low(ハイ・トゥー・ロー)の単一極性となり難い〕、有機材料薄膜を隣接層として設けることによって、再生信号波形を所望の波形(一般的には、記録極性をHigh to Low化する)にすることができる機能である。
有機材料薄膜は、その複素屈折率と膜厚を非常に広い範囲で制御することができるため、(d)の反射率やトラッキング信号等の制御機能を有することは明らかである。
また、(e)の機能については、本発明はBiO膜に主たる光吸収機能を付与するが、有機材料薄膜の複素屈折率(特に複素屈折率の虚部)を制御することで、有機材料薄膜を光吸収層として補助的に用いることが可能なため、記録感度を制御することができる。
本発明では、有機材料の選択の幅を大幅に拡大するため、及び有機材料薄膜を用いた追記型光記録媒体でありながら、記録再生波長近傍での複素屈折率変化を小さくするために(波長依存性を小さくする)、有機材料薄膜は、その主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置することが好ましい(図12参照。斜線部分が記録再生波長を示す)。
有機材料薄膜を光吸収層として補助的に用いる場合、有機材料薄膜の記録再生波長での複素屈折率虚部の値は、BiO膜の複素屈折率の虚部の値よりも小さいことが好ましい。何故ならば、有機材料薄膜の記録再生波長での複素屈折率虚部の値を必要以上に大きくすることは、波長依存性を悪化させることに繋がるからである。
また、有機材料薄膜を光吸収層として補助的に用いる場合、有機材料薄膜は、その主吸収帯が記録再生波長に対して長波長側に位置し、かつ、記録再生波長近傍に主吸収帯に帰属しない吸収帯を有することが好ましい。
なお、本発明でいう「主吸収帯」とは、図13に示すように、可視域の範囲で最も吸収の大きな吸収帯を指し、一般的にはHOMO−LUMO(ホモ−ルモ)の遷移に基づく吸収帯を指す。また、本発明でいう「主吸収帯に帰属せず、主吸収帯よりも短波長側にある吸収帯」とは、図13に示すように、主吸収帯とは別の遷移に基づく吸収帯を指す(HOMO−LUMOの遷移を主体とする吸収帯ではない)。
このように、有機材料薄膜に補助的に光吸収機能を付与する場合であっても、主吸収帯に帰属しない吸収帯を記録再生波長近傍に有する有機材料薄膜を用いるため、波長依存性を小さくすることが可能となる。
以上の説明は、1つの有機材料が主吸収帯と、主吸収帯に帰属しない吸収帯を有する場合であるが、本発明では、2つ以上の有機材料を混合して図13に示すような吸収スペクトルを形成させた有機材料薄膜を用いることもでき、この場合も従来に比べて波長依存性を大幅に改善することができる。
本発明では変形を主体としない記録原理を用いるが、変形を排除するものではなく、記録マーク間干渉を予測できるレベルに抑制するため、変形量を低減させるのが狙いである。従って、本発明の追記型光記録媒体においても、例えば、BiO膜や反射層の変形を用いることができる。例えば、この追記型光記録媒体では、有機材料薄膜が、BiO膜と反射層の変形を受容する層として働くため、有機材料薄膜の膜厚を制御することで変形のし易さを制御することができる。つまり、変形記録を利用する場合、有機材料層の膜厚等によっても記録感度を調節することができる。更に、この追記型光記録媒体では、有機材料薄膜がBiO膜で発生した熱が反射層から逃げることを抑制する断熱層としても働く。
以上のように、有機材料薄膜は、複素屈折率や膜厚を変えることで、記録感度を制御することができる。
本発明では、記録機能及び光吸収機能の主体をBiO膜とするため、有機材料薄膜から主たる記録機能と主たる光吸収機能を排除できる。その結果、基本的に有機材料薄膜の記録再生波長における複素屈折率実部の変化を利用する必要がなくなり(勿論、記録によって複素屈折率実部が変化しても構わない)、また、有機材料薄膜は記録再生波長に対して光吸収機能を有する必要がなくなることから、有機材料の光学定数に関する従来のような厳しい制限が不要になるという顕著な効果を奏する。従って、記録再生が青色レーザ波長領域で行われる場合であっても、有機材料として、赤色レーザ波長領域に大きな吸収帯を有し青色レーザ波長領域に大きな吸収帯を持たない材料、例えばCD−RやDVD−R用の色素を用いることができる。
また従来は、波長制御のために、複雑な置換基や合成上困難性の高い色素を記録層として用いる必要があったが、本発明の有機材料薄膜ではそのような複雑な波長制御は不必要なため、コストの安い有機材料を選択することが可能となる。
更に、本発明における有機材料薄膜には、大きな吸収帯が記録再生波長よりも十分離れて存在する色素などの有機材料を用いることができるため(大きな吸収帯近傍では屈折率が異常分散性を示し、屈折率が波長によって大きく異なるという性質を示すが、大きな吸収帯から十分離れた波長領域では屈折率は正常分散性を示し、屈折率は波長に対し緩やかな変化を示す)、レーザの個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという従来の問題を大幅に解消することができる。
なお、本発明の通常の態様では、有機材料薄膜の主吸収帯と記録再生波長の関係を「記録再生波長に対して有機材料の主吸収帯が長波長側に存在する」ように設定するが、これに限定される訳ではなく、有機材料の主吸収帯と記録再生波長の関係は任意に設定することが可能である。
但し、本発明の実施に際しては、別途光吸収層(BiO膜)が存在することから、反射率を高めるために、有機材料薄膜の主吸収帯と記録再生波長を遠ざけることが好ましい。この場合、記録再生波長に対して有機材料薄膜の主吸収帯が長波長側に存在しても、逆に短波長側に存在してもよい。
上記の説明から分るように、本発明は、赤色領域から青色領域まで、更には青色領域以下も含む広い範囲の記録再生波長に対して適用可能であり、用いられる記録再生波長に合わせて、後述するような公知の有機材料(特に色素)の中から上記条件を満たす材料を適宜選択することにより目的とする光記録媒体を得ることができる。
有機材料薄膜に用いられる有機材料としては、いわゆる色素が好ましい。
本発明では、反射率を確保するために、有機材料の主吸収帯と記録再生波長を十分遠ざけることが好ましい。例えば、記録再生波長が赤色領域にある場合は、有機材料の主吸収帯に対して記録再生波長は短波長側にあっても、長波長側にあってもよい。一方、記録再生波長が青色領域以下にある場合は、有機材料の主吸収帯に対して記録再生波長を長波長側に設定することは、有機材料の分子骨格を小さくしなければいけない(共役系を短くする)ことを意味し、これは分解・爆発性の低下を招く恐れがあり、また溶解性の低下や結晶性の向上によって薄膜の形成が困難になる可能性があるため好ましくない。
従って、十分な熱分解特性を確保し、かつ良質な薄膜を形成させるために、記録再生波長が青色レーザ波長領域にある場合は、その主吸収帯が記録再生波長よりも長波長側に存在するような有機材料を選択することが好ましい。
上記の要件を満足する色素としては、ポリメチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系各色素、及び金属錯体化合物などが挙げられる。
色素層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディッピング、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法で行なうことができる。
用いられる有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類;ベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
色素層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは100〜2000Åとする。
また、本発明では、BiO膜及び/又は有機材料薄膜の面積方向と膜厚方向に、3種類以上の異なる再生信号レベルを生成する記録マークを形成できる。
通常、3種類以上の異なる再生信号レベルを生成するためには、図5のように仮想された基本セルに対して、記録マ−クの面積比(光記録媒体の平面方向の面積比)を変えることが一般的である。しかし、本発明では、この面積比以外に、光記録媒体の断面方向の記録マーク形成領域の大きさを変えることで、3種類以上の異なる再生信号レベルを生成することができる。
本発明で言う、「膜厚方向に3種類以上の異なる再生信号レベルを生成する記録マークを形成する」とは、光記録媒体の断面方向の記録マーク形成領域の大きさを変えることで記録マ−クを形成し、この断面方向の記録マーク形成領域の大きさの違いに基づいて3種類以上の異なる再生信号レベルを生成することを意味する。
なお、本発明では、光記録媒体の断面方向に階調を持たせて記録することが好ましいが、勿論平面方向に階調を持たせて記録することも可能である。
本発明の追記型光記録媒体は、基板上に、少なくとも前記BiO膜と有機材料薄膜を有することを特徴とするが、以下、他の構成要素について説明する。
基板の素材としては、熱的、機械的に優れた特性を有し、基板側から(基板を通して)記録再生が行われる場合には光透過特性にも優れたものであれば、特別な制限はない。
具体例としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、ポリカーボネートや非晶質ポリオレフィンが好ましい。
基板の厚さは用途により異なり、特に制限はない。
反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pdなどの金属を単独で或いは合金にして用いることができる。中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。
また、上記金属を主成分として他の元素を含んでいても良く、他の元素としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。
中でもAgを主成分とするものは、コストが安く高反射率が出易い点から特に好ましい。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
反射層の好ましい膜厚は、50〜300nmである。
また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系又は有機系の上引層、下引層、或いは接着層を設けることもできる。
反射層や干渉層の上に形成する保護層の材料としては、反射層や干渉層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等が挙げられる。また、無機材料としては、SiO、SiN、MgF、SnO等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。UV硬化性樹脂は、そのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は単独で用いても混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。
また、反射層或いは干渉層面に更に基板を貼り合わせてもよく、また反射層や干渉層面相互を内面とし対向させ光学記録媒体2枚を貼り合わせても良い。
基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜等を成膜してもよい。
カバー層は、高密度化を図るため高NAのレンズを用いる場合に必要となる。例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に光を透過する薄膜である光透過性のカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録層を設け、更にこの上に光透過性を有するカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。
このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このようなカバー層は、ポリカーボネートシートや、紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。また、本発明で言うカバー層には、カバー層を接着するための層を含めてもよい。
本発明の追記型光記録媒体に使用されるレーザ光は、高密度記録のため波長が短いほど好ましいが、特に350〜530nmのレーザ光が好ましく、その代表例としては、中心波長405nmのレーザ光が挙げられる。
本発明によれば、次の(1)〜(7)のような追記型光記録媒体を実現できる。
(1)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、二値記録の記録再生が容易に行える高密度記録可能な追記型光記録媒体。
(2)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、多値記録の記録再生が容易に行える高密度記録可能な追記型光記録媒体。
(3)青色レーザ波長領域(500nm以下)、特に405nm近傍の波長領域であっても、PRML方式による信号処理系での記録再生に適した高密度記録可能な追記型光記録媒体。
(4)記録パワーの変動に対する、ジッタやエラー率等のマージンの広い追記型光記録媒体。
(5)記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体。
(6)転写性のよい浅溝基板を用いても記録再生が容易に行える追記型光記録媒体。
(7)ランド部にも記録が可能な追記型光記録媒体。
以下、実施例、参考例、比較例、及び参考比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
参考例
案内溝(溝深さ50nm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタ法により膜厚15nmのBiFe12薄膜を設け〔x/(x+y)=0.375>0.3〕、その上に下記〔化1〕で示される色素からなる有機材料薄膜(平均膜厚約30nm)をスピンコート法により形成し、その上にスパッタ法により膜厚150nmのAg反射層を設け、更にその上に、紫外線硬化型樹脂からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を作成した。
なお、〔化1〕の色素は、従来のDVD−RやDVD+Rに用いられる材料であり、青色レーザ領域には吸収が殆どない材料である。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で、8−16変調信号の記録を行った(従来の二値記録)。
<記録条件>
・記録線密度 : 1T=0.0917(μm)
・記録線速度 : 6.0(m/s)
・波形等化 : ノーマルイコライザー
その結果、図14に示すように、記録パワーが6.1mWで10.2%という良好なジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
変形量は最大でも10nmであることが確認できた。
参考例
BiFe12の代りにBiFeCu12を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにBiFeAl12を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにBiAl12を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにBi38DyFe41Ga1312を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。
その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにInFe12を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
〔化1〕で示される色素の代りに〔化2〕で示される色素を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。なお、〔化2〕の有機材料は、従来のDVD−RやDVD+Rに用いることのできる材料であるが、前記図13に示すような、青色レーザ領域にも吸収係数の小さなブロードな吸収帯を有する材料である(但し、主吸収帯は記録再生波長よりも長波長側に存在する)。
従って、本参考例では、BiFe12膜膜と〔化2〕の有機材料薄膜の両方の光吸収機能で記録を行うことができ、実際、最適記録パワーを約1.0mW低下させることができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにBiFe〔zを同定することが困難。x/(x+y)=0.545>0.3〕を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例
BiFe12の代りにBi15Fe〔zを同定することが困難。x/(x+y)=0.75>0.3〕を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例10
BiFe12の代りにBi〔x/(x+y)=1.0>0.3〕を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、表1に記すように、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
以上の結果を纏めて表1に示す。
参考比較例1
BiFe12の代りにBiFe〔zを同定することが困難。x/(x+y)=0.167<0.3〕を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、ジッタ値は15%を越え、良好な記録を実現することができなかった。
参考比較例2
BiFe12の代りにBiFe〔zを同定することが困難。x/(x+y)=0.286<0.3〕を用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、ジッタ値は15%を越え、良好な記録を実現することができなかった。
参考例11
BiFe12の代りにMoOを用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、ジッタ値11%以下の記録が実現できた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.8%以下の劣化(増加)に留まった。
参考例12
BiFe12の代りにVを用いた点以外は、参考例1と同様にして追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、ジッタ値11%以下の記録が実現できた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.8%以下の劣化(増加)に留まった。
実施例13
案内溝(溝深さ50nm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタ法により膜厚12nmのBiSi薄膜(BiO膜)を設け、その上に、参考例1と同じ〔化1〕で示される色素からなる有機材料薄膜(平均膜厚約30nm)をスピンコート法により形成し、その上に、スパッタ法により膜厚100nmのAg反射層を設け、更にその上に、紫外線硬化型樹脂からなる膜厚約5μmの保護層を設けて本発明の追記型光記録媒体を作成した。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で、8−16変調信号の記録を行った(従来の二値記録)。
<記録条件>
・記録線密度 : 1T=0.0917(μm)
・記録線速度 : 6.0(m/s)
・波形等化 : ノーマルイコライザー
本実施例においてBiSi薄膜の組成を種々変化させたところ、12%以下のジッタ値が得られたが、特に、10≦a≦40、3≦b≦20、50≦d≦70である場合に、記録パワーが約7.2mWで10%以下のジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.5%以下の劣化(増加)に留まった。
また、この記録を行った追記型光記録媒体の紫外線硬化型樹脂からなる保護層とAg反射層を剥がし、更に有機材料薄膜をエタノールで洗い流してBiSi薄膜表面の変形状態をAFMにより調べた。その結果、変形量は最大でも17nmであることが確認できた。
実施例14
BiSiの代りにBiGeを用いた点以外は、実施例13と同様にして本発明の追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、実施例13と同様に、a、b、dが上記数値範囲内にある場合に、記録パワーが約7.2mWで10%以下のジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.8%以下の劣化(増加)に留まった。
実施例15
BiSiの代りにBiSiFeを用いた点以外は、実施例13と同様にして本発明の追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、BiaSibFecOd薄膜(BiOM膜)の組成が、10≦a≦40、3≦b≦20、3≦c≦20、50≦d≦70の場合に、記録パワーが約7.5mWで10%以下のジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.5%以下の劣化(増加)に留まった。
実施例16
BiSiFeの代りにBiSiM12(Mは、Al、Cr、Mn、In、Co、Cu、Ni、Zn、Tiの何れか)を用いた点以外は、実施例15と同様にして本発明の追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、どの元素の場合も記録パワーが約7.0mWで10%以下のジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.5%以下の劣化(増加)に留まった。
実施例17
案内溝(溝深さ50nm)を有するポリカーボネート基板上に、参考例1と同じ〔化1〕で示される色素からなる有機材料薄膜(平均膜厚約30nm)をスピンコート法により形成し、その上に、スパッタ法により膜厚25nmのBiSi薄膜(BiO膜)を設け、その上に、スパッタ法により膜厚25nmのAg反射層を設け、更にその上に、紫外線硬化型樹脂からなる膜厚約5μmの保護層を設けて本発明の追記型光記録媒体を作成した。
実施例13と同様にBiSi薄膜の組成を種々変化させたところ、12%以下のジッタ値が得られたが、特に、10≦a≦40、3≦b≦20、50≦d≦70である場合に、記録パワーが約7.4mWで10%以下のジッタ値が得られ、良好な二値記録特性を実現することができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.8%以下の劣化に留まった。
実施例18
〔化1〕で示される色素の代りに、参考例7と同じ〔化2〕で示される色素を用いた点以外は、実施例13と同様にして本発明の追記型光記録媒体を作成し、同様の記録実験を行った。その結果、良好な二値記録特性を実現することができた。なお、〔化2〕の有機材料は、前述したように、青色レーザ領域にも吸収係数の小さなブロードな吸収帯を有する材料である(図13参照。但し、主吸収帯は記録再生波長よりも長波長側に存在する)。
従って、本実施例では、BiaSibOd膜膜と〔化2〕の有機材料薄膜の両方の光吸収機能で記録を行うことができ、実際、最適記録パワーを約1.0mW低下させることができた。
また、上記数値範囲を満足する媒体について、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも1.0%以下の劣化(増加)に留まった。
比較例3
案内溝(溝深さ50nm)を有するポリカーボネート基板上に、FOM−559(和光純薬社製フタロシアニン)からなる有機材料薄膜(平均膜厚約80nm)をスピンコート法によって形成し、その上に、スパッタ法により膜厚150nmのAg反射層を設け、更にその上に、紫外線硬化型樹脂からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を作成した(従来の層構成を青色領域でも適用した例)。
なお、FOM−559(和光純薬社製フタロシアニン)は、従来型の追記型光記録媒体に用いられる有機材料と同様に、記録再生波長である405nm近傍で比較的小さな複素屈折率虚部(吸収係数)と、比較的大きな複素屈折率実部を有する材料である。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で、8−16変調信号の記録を行った。
<記録条件>
・記録線密度 : 1T=0.0917(μm)
・記録線速度 : 6.0(m/s)
・波形等化 : ノーマルイコライザー
その結果、記録パワー約11.0mWで10.1%というジッタ値が得られた。
また、80℃、相対湿度85%の環境下で100時間の保存試験を行いジッタの劣化を調査したところ、アーカイバルジッタ、シェルフジッタとも0.6%以下の劣化(増加)に留まった。
しかし、この記録を行った追記型光記録媒体の紫外線硬化型樹脂からなる保護層とAg反射層を剥がし、更に有機材料薄膜をエタノールで洗い流して基板表面の変形状態をAFMにより調べたところ、変形量は最大では100nmを超えており、基板溝深さ以上の変形を起こしていることが確認できた。
また、図15に示すように、隣接トラックに記録した記録マークの変形によって(図15のM)、その記録マークよりも時間的に先に記録された記録マークの変形状態(図15のN)が干渉を受け、その形状が大きく変わっていることが確認できた。
従って、更なる高密度化には不利であることが明らかになった。
参考例19
参考例1で作成した追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で、8値の多値記録を行った。
<記録条件>
・記録線密度 : 基本セル長=0.47(μm)
・記録線速度 : 3.5(m/s)
・記録パターン: 孤立マークと連続マーク(2つの空の基本セルを挟
んで、多値レベルが同一な記録マークが4つ連続した連続マークと
1つの孤立マークを、7つの異なる多値レベルについて記録した)
その結果、図16に示すように、変調度(ダイナミックレンジ)が大きく(変調度60%)、連続記録部においても多値記録レベルの変動が非常に小さな記録を実現できることが分った。
また、上記の実験では、溝部(グルーブ部)に多値記録を行ったが、溝間部(ランド)にも同様に記録が行えた。
実施例20
実施例13で作成した追記型光記録媒体に対し、参考例19と同様にして8値の多値記録を行った。
その結果、参考例19の場合と同様に、変調度(ダイナミックレンジ)が大きく(変調度60%)、連続記録部においても多値記録レベルの変動が非常に小さな記録を実現できることが分った。
また、上記の実験では、溝部(グルーブ部)に多値記録を行ったが、溝間部(ランド)にも同様に記録が行えた。
比較例4
比較例3の追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で、8値の多値記録を行った。
<記録条件>
・記録線密度 : 基本セル長=0.47(μm)
・記録線速度 : 3.5(m/s)
・記録パターン: 孤立マークと連続マーク(参考例19と同様)
その結果、図17に示すように、連続記録部において、いわゆる「変調度のひげ」が発生し、多値記録レベルの変動が非常に大きくなり(連続記録部において、再生レベルが同一でなくてはならない)、多値記録に適さないことが確認できた。また、記録パワーを低下させると変調度のひげが発生しなくなることが確認できたが、この時は、変調度(ダイナミックレンジ)が非常に小さくなり(変調度は20%)、またSNRが低下した。
また、この記録を行った追記型光記録媒体の紫外線硬化型樹脂からなる保護層とAg反射層を剥がし、更に有機材料薄膜をエタノールで洗い流して基板表面の変形状態をAFMにより調べた。
その結果、図18に示すように、基本セルにおける記録マークの大きさが大きい連続記録部で〔(d)〜(f)〕、線形でない記録マーク間の干渉が発生しており、「変調度のひげ」が、変形の干渉による変形形状の大幅な劣化に基づくものであることが確認できた。
また、図19に示すように、基板の変形量と変調度のひげ量(連続記録マーク部の先頭と後端との再生レベルの差)の関係を調べた結果、変形量が約50nmを超えると連続記録部のレベル均一性が乱れ、多値記録に適さなくなることが分った。
即ち、変形量を低減させないと多値記録に対応した追記型光記録媒体を実現できないことが明らかとなった(しかし、この比較例4の追記型光記録媒体では、変形量を大きくしないと十分な変調度が発生しない)。
更に、上記の実験では、溝部(グルーブ部)に多値記録を行ったが、溝間部(ランド)には全く記録が行えなかった。
参考例21
基本セル長を更に小さく0.26(μm)とした点以外は、参考例19と同様にして、8値の多値記録を行った。
その結果、図20に示すように、変調度(ダイナミックレンジ)が大きく(変調度は60%)、連続記録部においても多値記録レベルの変動が非常に小さな記録を実現できることが分った。
また、この記録を行った追記型光記録媒体の紫外線硬化型樹脂からなる保護層とAg反射層を剥がし、更に有機材料薄膜をエタノールで洗い流してBiFeO表面の変形状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により調べた。
その結果、図21に示すように、殆ど変形を伴わないで記録マークが形成されていることが確認できた(SEM写真では明らかな変形が認められない)。
また、記録部表面と断面のTEM像観察から、本発明の多値記録可能な追記型光記録媒体では、BiFeO薄膜及び/又は有機材料薄膜の面積方向への多値記録と共に、膜厚方向にも多値記録されていた。
実施例22
基本セル長を更に小さく0.26(μm)とした点以外は、実施例20と同様にして、8値の多値記録を行った。
その結果、参考例21の場合と同様に、変調度(ダイナミックレンジ)が大きく(変調度は60%)、連続記録部においても多値記録レベルの変動が非常に小さな記録を実現できることが分った。
また、この記録を行った追記型光記録媒体の紫外線硬化型樹脂からなる保護層とAg反射層を剥がし、更に有機材料薄膜をエタノールで洗い流してBiSi表面の変形状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により調べたところ、参考例21の場合と同様に、殆ど変形を伴わないで記録マークが形成されていることが確認できた。
また、記録部表面と断面のTEM像観察から、本発明の多値記録可能な追記型光記録媒体では、BiaSibOd及び/又は有機材料薄膜の面積方向への多値記録と共に、膜厚方向にも多値記録されていた。
参考例23
参考例1で作成した追記型光記録媒体に対し、最短マーク長が0.205μmとなる記録線密度でPR(1,2,1)方式を用いて記録再生を行った。
その結果、通常の二値記録におけるジッタ評価ではジッタ値が20%を超えたが、PRML方式で復号した結果、BER(ビットエラーレート)は10−5台となり非常に良好な記録再生が行えることが確認できた。
実施例24
実施例13で作成した追記型光記録媒体に対し、最短マーク長が0.205μmとなる記録線密度でPR(1,2,1)方式を用いて記録再生を行った。
その結果、通常の二値記録におけるジッタ評価ではジッタ値が20%を超えたが、PRML方式で復号した結果、BER(ビットエラーレート)は10−5台となり非常に良好な記録再生が行えることが確認できた。
比較例5
比較例3で作成した追記型光記録媒体に対し、最短マーク長が0.205μmとなる記録線密度でPR(1,2,1)方式を用いて記録再生を行った。
その結果、通常の二値記録におけるジッタ評価ではジッタ値が20%を超え、PRML方式で復号した結果、BER(ビットエラーレート)も10−3台となり、この記録線密度では、PRML方式を適用しても記録再生が行えないことが確認できた。
参考例25
参考例1で作成した追記型光記録媒体の吸収率Qを測定した。具体的には、該光記録媒体の反射率Rと透過率Tを測定し、1−R−Tなる値を吸収率Qとした(図22中のX)。
また比較のため、参考例1の追記型光記録媒体と同様にして、青色レーザ波長域でも記録再生が可能な材料であるフタロシアニン化合物を使用している市販のCD−Rの吸収率Q(図22中のZ)と、比較例3で作成した追記型光記録媒体の吸収率Q(図22中のY)も測定した(フタロシアニン化合物を用いた市販のCD−Rそのままでは、基板のトラックピッチや基板厚の関係で、青色レーザ対応の評価装置では記録再生できないが、市販のCD−Rを破壊してフタロシアニン化合物を溶剤で洗い流し、青色レーザに対応した基板に再度塗布し直すと、青色レーザ対応の評価装置で記録再生が可能である)。
その結果、本発明の追記型光記録媒体は、500nm以下の波長域、特に400nmの近傍で吸収率Qの変動が非常に小さいことが確認できた。
従って、本発明の追記型光記録媒体は、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体を実現できることが確認できた。
参考例26
参考例1で作成した追記型光記録媒体に形成された記録マークがどのような原理に基づいて形成されているかを確認する実験を行った。
即ち、参考例1で作成した追記型光記録媒体の記録部分をFIB(集束イオンビーム加工装置)によって切断し、この部分をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察した。
その結果、図23に示すように、記録マーク部ではBiFeO薄膜の構成元素が隣接層(基板及び有機材料薄膜)へ拡散していること、BiFeO薄膜の組成が変化している可能性があることが確認できた。また、電子線回折による分析では、記録部では結晶化が起こっており、結晶粒が形成されていることが確認された。
更に、有機材料薄膜にも空洞部の形成が見られる場合があり、複素屈折率が変化していることが確認できた。
以上の結果から、本発明の記録原理が変形を主体とするものでないことが確認できた。
実施例27
実施例13で作成した追記型光記録媒体に形成された記録マークがどのような原理に基づいて形成されているかを確認する実験を行った。
即ち、実施例13で作成した追記型光記録媒体の記録部分をFIB(集束イオンビーム加工装置)によって切断し、この部分をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察した。
その結果、参考例26の場合と同様に、記録マーク部ではBiSi薄膜の構成元素が隣接層(基板及び有機材料薄膜)へ拡散していること、BiSi薄膜の組成が変化している可能性があることが確認できた。また、電子線回折による分析では、記録部では結晶化が起こっており、結晶粒が形成されていることが確認された。
更に、有機材料薄膜にも空洞部の形成が見られる場合があり、複素屈折率が変化していることが確認できた。
以上の結果から、本発明の記録原理が変形を主体とするものでないことが確認できた。
従来の有機材料を記録層とした追記型光記録媒体における、有機材料の大きな吸収帯波長側の裾と記録再生波長との関係を示す図。 従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、有機材料の光学定数の波長依存性が大きく問題があることを説明する図。 従来の追記型光記録媒体における基板面の変形の様子をAFM観察した図。 従来のスライス方式によるデータ復号の様子を説明するための図。(a):記録すべき情報である記録データ、(b):(a)に対応した記録波形、(c):光記録媒体に形成される記録マーク列、(d):(c)の記録マーク列の再生信号波形、(e):(d)の再生信号波形を等化器で整形した等化波形、(f):等化波形(e)と閾値との交点を検出して得られる値データ、(g):二値データ(f)をNRZ変換することによって得られる復号データ、 多値記録における記録マークの概念図。 変形の干渉が線形であるということの意味を説明するための図。(a):連続する3つのセルに変形を主体とする記録マークを形成した様子を示す平面図、(b):変形の干渉がない場合のそれぞれの記録マークの変形量を示す断面図、(c):(b)の変形が加算された様子を示す図、 3つの連続したセルに変形を主体とする記録マークを形成した場合であって、その記録されたセルの一連の長さが再生ビーム径以下の場合、3つのセルの変形の干渉の違いによる再生信号の変化を示した図。(o):再生ビーム径を示す図、(a):連続する3つのセルに変形を主体とする記録マークを形成した様子を示す平面図、(b):変形が加算された状態を示す図、(c):変形の干渉が線形でない場合の変形状態を示す図、(d):変形の干渉が線形でない他の場合の変形状態を示す図、(e):(b)(c)(d)の場合に得られる再生信号を示す図、 変形を主体とする記録マークが連続して7つ形成された場合であって、記録されたセルが連続し、その一連の長さが再生ビーム径よりも大きくなった場合の、変形の干渉の違いと再生信号の関係を示した図。(o):再生ビーム径を示す図、(a):連続する7つのセルに変形を主体とする記録マークを形成した様子を示す平面図、(b):変形が加算された状態を示す図、(c):変形の干渉が線形でない場合の変形状態を示す図、(d):変形の干渉が線形でない他の場合の変形状態を示す図、(e):(b)の場合に得られる再生信号を示す図、(f):(c)の場合に得られる再生信号を示す図、(g):(d)の場合に得られる再生信号を示す図、 PRML方式によるデータ復号の様子を説明するための図。(a):記録すべき情報である記録データ、(b):(a)に対応した記録波形、(c):光記録媒体に形成される記録マーク列、(d):(c)の記録マーク列の再生信号波形、(e):(d)の再生信号波形を等化器でPR(1,1)特性に基づいて等化した場合の等化波形、(f):(d)の再生信号波形を等化器でPR(1,2,1)特性に基づいて等化した場合の等化波形、(g):(d)の再生信号波形を等化器でPR(1,2,2,1)特性に基づいて等化した場合の等化波形、 従来型の追記型光記録媒体における記録マークの基板変形形状と再生信号の関係を示す図。 従来型の追記型光記録媒体に記録を行った後、弱いDC光を照射した時の基板変形形状と再生信号の関係を示す図。 本発明の追記型光記録媒体における有機材料の主吸収帯と記録再生波長の関係を示す図。 本発明でいう「主吸収帯」を説明するための図。 参考例1の追記型光記録媒体に二値記録を行った結果を示す図。 参考比較例1の追記型光記録媒体の基板表面の変形状態をAFMで観察した図。 参考例8の追記型光記録媒体に8値の多値記録を行った結果を示す図。 参考比較例2の追記型光記録媒体に8値の多値記録を行った結果を示す図。 参考比較例2の追記型光記録媒体の基板表面の変形状態をAFMで観察した図。(イ):基板面の変形の様子を示す図、(ロ):(イ)のL−L断面図、 参考比較例2の追記型光記録媒体の基板面の変形高さとひげ量との関係を示す図。 参考例9において8値の多値記録を行った結果を示す図。 参考例9の追記型光記録媒体のBiFeO表面の変形状態をSEMで調べた図。 参考例1の追記型光記録媒体、比較例1の追記型光記録媒体、市販のCD−Rの吸収率Qの測定結果を示す図。 参考例1の追記型光記録媒体の記録部分をFIBによって切断し、この部分をTEMで観察した図。
n 複素屈折率の実部
k 複素屈折率の虚部
δn 記録再生波長における複素屈折率の実部の変化
δk 記録再生波長における複素屈折率の虚部の変化
δλ 記録再生波長の変動幅
〜T サンプリングタイム
A 再生信号の波形
B 保護層、Ag反射層、色素層を剥がして基板表面をAFM観察した像
C Bで測定した基板のAFM像から基板断面の変形量を表示した図
M 隣接トラックに記録した記録マーク
N Mよりも時間的に先に記録された記録マーク
a 多値レベル2(図5参照)の連続記録部
b 多値レベル3(図5参照)の連続記録部
c 多値レベル4(図5参照)の連続記録部
d 多値レベル5(図5参照)の連続記録部
e 多値レベル6(図5参照)の連続記録部
f 多値レベル7(図5参照)の連続記録部
参考例1の追記型光記録媒体の吸収率
参考比較例1の追記型光記録媒体の吸収率
Z 市販のCD−Rの吸収率

Claims (7)

  1. 基板上に少なくともBiO膜と有機材料薄膜を有し、該BiO膜が、Bi元素、O元素及び4B族の中から選ばれる一種以上の元素を含有し、該BiO膜の組成をBi4B(4Bは4B族の元素、a、b、dは組成比)として、
    10≦a≦40
    3≦b≦20
    50≦d≦70
    であることを特徴とする追記型光記録媒体。
  2. BiO膜が、Al、Cr、Mn、In、Co、Fe、Cu、Ni、Zn及びTiの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有し(以下、この薄膜をBiOM膜という)、該BiOM膜の組成をBi4B(4Bは4B族の元素、a、b、c、dは組成比)として、
    10≦a≦40
    3≦b≦20
    3≦c≦20
    50≦d≦70
    であることを特徴とする請求項記載の追記型光記録媒体。
  3. 4B族元素がSi又はGeであることを特徴とする請求項又は記載の追記型光記録媒体。
  4. 基板上に、少なくとも、BiO膜、有機材料薄膜、反射層が順次積層されたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  5. 基板上に、少なくとも、有機材料薄膜、BiO膜、反射層が順次積層されたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  6. 基板上に、少なくとも、反射層、BiO膜、有機材料薄膜、カバー層が順次積層されたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  7. 基板上に、少なくとも、反射層、有機材料薄膜、BiO膜、カバー層が順次積層されたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の追記型光記録媒体。
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