JP4577701B2 - ゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材 - Google Patents

ゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は独立気泡系の、かつ疎水性材質からなるゴム状発泡シーリング材に関し、特に止水を要するシーリング面が数十から数千μmレベルの深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、表面の凹凸への追従性と密着性の改善されたオレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材に関する。
【0002】
【従来技術】
圧縮して用いる定形シール材の中で、独立気泡系の発泡止水シール材は、構成する材質が疎水性であれば、発泡体の内部を介して水を通すことが無いことは一般に知られている。この特徴を応用した止水シール性の高い材料は、独立気泡の発泡体で、かつゴム弾性に富み、圧縮永久歪の少ないものである。そして、この材料を使用した止水シ−リング材は、例えば建物の接続部を構成する、コンクリート板などの相互の空隙(温度の変化で伸縮がある)や、外壁板上の適当なものとして、特公昭57−30870号等に提案されている。
しかし、これらのゴム弾性に富み、圧縮永久歪の少ない発泡シーリング材は、その表面に凹凸がほとんど存在しない部位上または部位間での止水シールには有効であったが、最近の外壁板に多く存在する、数十〜数千μmレベルの微細な傷から意匠的な表面形状に至る広範囲の深さや幅の凹凸を、同時に表面に含む部位上またはμm部位間では、充分な止水シール性が得られていなかった。
したがって、数十〜数千μmレベルの深さや幅の凹凸を表面に含む部位または部位間での止水シール性の高いシーリング材料の出現が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、止水を要するシール面が数十から数千μmレベルの深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、高止水シールを可能とするゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この目的は、ゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材であって、該シ−リング材はゴム状オレフィン系軟質樹脂からなり、かつ
(i)接触角が90°以上であり
(ii)平均気泡径が10μm〜500μmであり
(iii)独立気泡率が20%以上であり
(iv)ゲル分率が40%以下である
の特性を有することを特徴とするゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材を提供することによって達成することが出来る。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について具体的に説明する。
本発明のゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シ−リング材は、架橋発泡体で構成されている。この架橋発泡体を形成するゴム状オレフィン系軟質樹脂としては、オレフィン系共重合体ゴム、または結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物が用いられる。
本発明で用いられるオレフィン系共重合体ゴムは、炭素原子数2〜20のα−オレフィン含有量が50モル%以上の無定形ランダムな弾性共重合体であって、2種類以上のα−オレフィンからなる非結晶性α−オレフィン共重合体、2種類以上のα−オレフィンと非共役ジエンとからなるα−オレフィンと非共役ジエン共重合体などが挙げられる。
【0006】
このようなオレフィン系共重合体ゴムの具体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(2)エチレン・α−オレフィン非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(3)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[プロピレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(4)ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム
[ブテン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
上記、α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノダタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ペンテン、1、4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1ドデセン、12−エチル−1−テトラセン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0007】
また、上記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
これらの共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は10〜250、特に40〜150のものが好ましい。また、上記(2)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、ヨウ素価が25以下であることが好ましい。本発明で用いられる上記オレフィン系共重合体ゴムのほかに、オレフィン系共重合体ゴム以外、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレンなどのゴムを部分的に置換することも可能である。
【0008】
本発明においては、ゴム状オレフィン系軟質樹脂は結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物よりなる。オレフィン系共重合体ゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの合計量100重量部に対して、好ましくは30重量部以上100重量部未満、さらに好ましくは50重量部以上100重量部未満、特に好ましくは65〜95重量部の割合で用いられる。
【0009】
結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物からなる未発泡のゴム状オレフィン系軟質樹脂中において、オレフィン系共重合体ゴムは、未架橋、部分架橋、全体架橋など、すべての状態で存在することができる。
【0010】
本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂としては、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。
上記結晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)エチレン単独重合体
このエチレン単独重合体は、低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレンのいずれでも良い。
(2)エチレンと10モル%以下の他のα−オレフィンまたは醋酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニルモノマーとの共重合体
(3)プロピレン単独重合体
(4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(6)1−ブテン単独重合体
(7)1−ブテン単独重合体10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下のα−オレフィンとのランダム共重合体
【0011】
上記α−オレフィンとしては、具体的には、上述したオレフィン系共重合体ゴムを構成するα−オレフィンの具体例と同様のα−オレフィンが挙げられる。
本発明で用いられる、結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物において、結晶性ポリオレフィン樹脂はオレフィン系共重合体ゴムと結晶性ポリオレフィン樹脂との合計量100重量部に対して、好ましくは70重量部未満、さらに好ましくは50重量未満、特に好ましくは5〜35重量部の割合で用いられる。
【0012】
上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物の改質材として、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン等を、結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの合計量100重量%に対して、10重量%以下の量で添加してもよい。
【0013】
また、発泡体を形成するオレフィン系共重合体ゴム又は結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系共重合体ゴムとの混合物に軟化材として、パラフィン系、ナフテン系、あるいはアロマチック系の軟化剤またはエステル系可塑剤等をオレフィン系共重合体ゴム又は結晶性ポリオレフィン樹脂との合計量100重量部に対して、10重量%以下の量で添加してもよい。
【0014】
本発明に係る発泡体は、上述したように、ゴム状オレフィン系軟質樹脂の発泡体であるので、この軟質樹脂中には、通常、発泡剤、架橋剤が配合される。
ただし、樹脂の架橋を電子線、中性子線、α線、β線、γ線、X線、紫外線等の電離性放射線の照射により行う場合は架橋剤を配合しなくともよいが、電離性放射線の照射による架橋処理に際し架橋助剤として、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートの様な多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
この架橋助剤の配合により発泡体の気泡径、ゲル分率、密度の調整をを行うことができる。
【0015】
本発明で好ましく用いられる発泡剤としては、熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤があり、具体的には、ジエチルアゾカルボキレート、アゾジカルボンアミド、アソジカルボン酸バリウム、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン酸、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどが挙げられる。
発泡剤は、未発泡のゴム状オレフィン系軟質樹脂マトリックス(母材)全体100重量部に対して、通常0.5〜15重量部、好ましくは0.5〜13重量部の割合で用いられる。
またこれらの発泡剤は単独または複数の組合せ、およびいわゆる分解助剤を併用して用いることができる。
また樹脂の発泡については、発泡剤による発泡に代えて、揮発性溶剤や水等の蒸気圧によって樹脂を発泡させることもできる。
【0016】
本発明における架橋は、従来公知の架橋方法で行うことができ、架橋剤を使用する熱架橋の代表的な例としては、硫黄加療、過酸化物架橋が挙げられる。
また電離性放射線架橋についても従来公知の方法で行うことができる。
過酸化物架橋剤で好ましく用いられる架橋剤は、有機ペルオキシドであり、その具体例としては、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジシクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキソベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエートtert−ブチルペルオキイソプウウロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,3,5−とりちめるs(terヒクロヘキサン、n−ブチルペル−4,4−(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、なかでも、1,3ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
有機ペルオキシドは、未架橋のゴム状オレフィン系軟質樹脂マトリックス(母材)全体100重量部に対して、通常0.1〜2.5重量部程度の配合が好ましく、実際的な配合量は発泡体の気泡径、ゲル分率、密度等のバランスを考慮して調整される。
【0017】
本発明においては、上記ペルオキシドによる架橋処理に際し架橋助剤として、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパンN,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アクリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートの様な多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
この架橋助剤の配合により発泡体の気泡径、ゲル分率、密度の調整を行うことができる。
【0018】
本発明で用いられる、ゴム状オレフィン系軟質樹脂中にその他必要に応じて各種架橋剤、架橋促進剤、発泡助剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、可塑剤、難燃剤、増粘剤、滑剤、着色剤、など、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に通常用いられる添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において、添加することができる。
また、この他上記ゴム状オレフィン系軟質樹脂中に充填剤を配合することもできる。充填剤としては、ベンガラ、フタロシアニン顔料、パルプ、繊維状チップ、具体的には、カーボンブラック、ニトロン顔料、カンテン等の有機充填材料、クレー、カオリン、シリカ、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ヴェントナイト、シラスバルーン、ゼオライト、珪酸白土、セメントシリカフューム等の無機充填材が挙げられる。
以上、上記のような各成分から構成される本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂組成物からなる発泡シーリング材であれば、止水を要する面が数十から数千μm迄の深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、その表面(界面で)の凹凸への追従性と、密着性が良く、高止水性が得られる。
【0019】
本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂からなる発泡シーリング材は、接触角が90°以上の範囲である発泡シーリング材は、このもの自身が水を吸水し、通すことは無い。なお、接触角については後述する。
本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂からなる発泡シーリング材は、平均気泡径が好ましくは10μm〜500μm、さらに好ましくは、10μm〜135μmである。この気泡径が10μm〜500μm、さらに好ましくは、10μm〜135μmの発泡体を用いると、止水を要する面が数十から数千μm迄の深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、その表面(界面で)の凹凸への追従性と、密着性が良く、高止水性が得られる。
【0020】
本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂からなる発泡シーリング材は、独立気泡率は20%以上である。独立気泡率は、止水を施そうとする方向に対する発泡シール材の厚みにも依るが、20%以上であれば水はこのもの自身の中を通ることは無いので充分であるが、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明に係るゴム状オレフィン系軟質樹脂からなる発泡シーリング材は、ゲル分率が40%以下であれば、止水を要する面が数十から数千μm迄の深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、その表面(界面で)の凹凸への追従性と、密着性が良く、高止水性が得られる。
【0021】
次に本発明にかかるゴム状軟質樹脂発泡シ−リング材の特性の測定方法について述べる。
(1)接触角[°]
液滴投影測定により発泡体の平坦面上に滴下した約5μccの水滴の接触角を、接触角測定器にて、計測を行い、次の式により求めた。式中のα、β、θ’及びθ”は図1に示す通りである。
【0022】
【数1】
Figure 0004577701
【0023】
(2)平均気泡径[mm]
50倍のマイクロスコープにて3.3mm角当りの気泡数(n個)を計測し、次式平均気泡径[mm]を求める。
平均気泡径[mm]={(3.3)2/π×n}1/2
【0024】
(3)独立気泡率[%]
ASTM D 1940−64Tに規定されていた測定法に準じて実施し、次式に従って求めた。
試験片の重量 W
試験片の見掛け体積 v
試験片の真密度 d
試験片で置換された空気の容積 △V
・密閉気泡の占める容積比 Vc[%]
Vc={△V−(W/d)}×100/v
・気泡壁の占める容積比 Vw[%]
Vw={W/(d×v)}×100
・連続気泡の占める容積比 Vo[%]
Vo={(v−△V)/v}×100
・独立気泡の占める容積比 Vc[%]
Vc=100−Vo
【0025】
(4)ゲル分率[%]
発泡パッド材試料を1mm角に裁断し、ソックスレー抽出器でクロロホルムによる試料中のオイル分の抽出を行う。抽出後の発泡パッド材試料を真空乾燥し、乾燥した試料から約0.2g精秤(W0[g])する。精秤した試料を130℃の500ccの熱キシレン中に6時間浸漬して、資料から熱キシレン溶解分を溶出させた後、不溶分を取り出してアセトンで洗浄する。この不溶分を100℃の真空乾燥中で1時間乾燥し、その不溶分の重量(W1[g])を精秤して、次式でゲル分率[%]を求める。
ゲル分率[%]=(W1/W0)100
【0026】
【実施例及び比較例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施れに限定されるものではない。なお、各実施例で得られた発泡シ−リング材の止水試験は次の方法によって求め評価した。
止水試験方法
表面及び側面がアクリル塗装された石膏ボード(200mm×200mm×20mm[厚])2枚の間に、図2の様に、200mm[長]×12mm[幅]×12[厚]のサイズに調整されたシーリング材を、15%、30%、50%の圧縮率で挟み込み、24時間後、円柱管を石膏ボードに挟まれたシーリング材上に固定(水漏れない様に固定)し、これに100mmAqの水を注入する。注水後24時間後の漏水状態を確認する。
またここで用いる塗装が施された石膏ボードの側面(止水試験部)には、数十から数千μmレベルの深さや幅の凹凸傷が無数含まれる。
【0027】
実施例1
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;プロピレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリエチレン[PE;エチレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分]50重量部とから構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、接触角が101°であり、平均気泡径が150μmであり、独立気泡率が90%であり、ゲル分率が38%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、いずれの圧縮率でも100mmAq、24時間後の漏水は確認されなかった。
【0028】
実施例2
実施例1のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT]60重量部と、ポリエチレン[PE]20重量部とポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、16kg荷重)5.0g/10分]10量部から構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、接触角が103°であり、平均気泡径が250μmであり、独立気泡率が94%であり、ゲル分率が25%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、いずれの圧縮率でも100mmAq、24時間後の漏水は確認されなかった。
【0029】
実施例3
実施例1のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT]60重量部と、ポリエチレン[PE]20重量部と実施例2のポリプロピレン[PP]10量部から構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、接触角が104°であり、平均気泡径が120μmであり、独立気泡率が54%であり、ゲル分率が25%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、いずれの圧縮率でも100mmAq、24時間後の漏水は確認されなかった。
【0030】
比較例1
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリエチレン[PE;エチレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分]50重量部とから構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、酸化処理した表面の接触角が85°であり、平均気泡径が150μmであり、独立気泡率が90%であり、ゲル分率が38%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、15%、30%の圧縮率で100mmAq、24時間後の漏水は確認された。
【0031】
比較例2
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリエチレン[PE;エチレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分]50重量部とから構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、酸化処理した表面の接触角が100°であり、平均気泡径が1050μmであり、独立気泡率が80%であり、ゲル分率が35%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、15%、の圧縮率で100mmAq、24時間後の漏水は確認された。
【0032】
比較例3
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリエチレン[PE;エチレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分]50重量部とから構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、酸化処理した表面の接触角が101°であり、平均気泡径が150μmであり、機械的にせん断を与えたことで独立気泡率が10%であり、ゲル分率が33%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、15%、30%、50%の圧縮率で100mmAq、24時間後の漏水は確認された。
【0033】
比較例4
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリエチレン[PE;エチレン含有量100モル%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分]50重量部とから構成されるゴム状オレフィン系軟質樹脂を主としたマトリックスで、酸化処理した表面の接触角が101°であり、平均気泡径が240μmであり、独立気泡率が45%であり、ゲル分率が70%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材について、15%、30%、50%の圧縮で止水試験をおこなった結果、15%、30%の圧縮率で100mmAq、24時間後の漏水は確認された。
以上の結果を表1にまとめた。
【0034】
【表1】
Figure 0004577701
【0035】
【発明の効果】
以上の実施例に見られるように、本発明において規定した特性を有するオレフィン系シーリング材は止水を要するシーリング面が数十から数千μmレベルの深さや幅の凹凸を表面に含む部位において、表面の凹凸への追従性と密着性の改善され良好な止水性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触角についての説明図
【図2】本発明のシ−リング材の止水試験の概略図

Claims (1)

  1. ゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材であって、該シ−リング材はゴム状オレフィン系軟質樹脂からなり、かつ
    (i)接触角が90°以上であり
    (ii)平均気泡径が10μm〜500μmであり
    (iii)独立気泡率が20%以上であり
    (iv)ゲル分率が40%以下である
    の特性を有することを特徴とするゴム状オレフィン系軟質樹脂発泡シーリング材。
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