JP4576986B2 - 光素子 - Google Patents

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本発明は、光素子に関し、特に、面発光レーザと、当該面発光レーザから出射されたレーザ光の一部を検出する受光素子とを含む光素子に関する。
面発光レーザは、環境温度等の条件によって光出力が変動するという特性を有する。このため、面発光レーザを用いた光モジュールにおいては、面発光レーザから出射されるレーザ光の一部を検出して光出力値をモニタするための光検出機能を有する受光素子が備えられている場合がある。たとえば、特開平10−135568号公報には、面発光レーザと受光素子とが共通電極を有する3端子構造の光素子が開示されているが、この光素子は、面発光レーザへの変調信号を共通電極からは入力できないという制限があった。
特開平10−135568号公報
本発明の目的は、上述した制限がなく、かつ、良好な高周波特性を有する光素子を提供することにある。
本発明の光素子は、面発光レーザと、当該面発光レーザから出射されたレーザ光の一部を検出するMSM(Metal Semiconductor Metal)受光素子と、を含む光素子であって、
前記面発光レーザは、
基板の上方に形成された第1ミラーと、
前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
前記活性層の上方に形成された第2ミラーと、を有し、
前記MSM受光素子は、
前記第2ミラーの上方に形成された光吸収層と、
前記光吸収層の上方に形成された第1電極と、
前記光吸収層の上方に形成された第2電極と、を有する。
本実施の形態にかかる光素子によれば、面発光レーザ上には、1層の半導体層からなるプレーナ構造のMSM受光素子を形成しているため、pinダイオードからなる受光素子を設けた光素子と比べて製造工程が容易である。
本発明にかかる光素子において、
前記第1電極および前記第2電極は、櫛型形状を有し、
少なくとも前記面発光レーザからレーザ光が出射する出射面の上方において、前記第1電極と前記第2電極の間隔は、前記第1電極および前記第2電極の櫛歯の幅より大きい。
本発明にかかる光素子において、
前記面発光レーザは、前記活性層の上方に形成された電流狭窄層をさらに有し、
少なくとも前記電流狭窄層の内側の上方において、前記第1電極および前記第2電極の間隔は、前記第1電極および前記第2電極の櫛歯の幅より大きい。
本発明にかかる光素子において、
前記第1電極と前記第2電極の少なくとも前記出射面の上方において、前記前記第1電極と前記第2電極の面積は、前記前記第1電極と前記第2電極が形成されていない面積より小さい。
本発明にかかる光素子において、
前記第1電極および前記第2電極は、透明電極からなることができる。
本発明にかかる光素子において、
前記第1電極および前記第2電極は、前記面発光レーザからレーザ光が出射する出射面の上方以外の位置に形成されることができる。
本発明にかかる光素子において、
前記面発光レーザは、前記活性層の上方に形成された電流狭窄層をさらに有し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記電流狭窄層の上方のみに形成されることができる。
本発明にかかる光素子において、
前記面発光レーザと前記MSM受光素子との間に、当該面発光レーザと当該MSM受光素子とを電気的に分離するための、分離層をさらに含むことができる。
本発明にかかる光素子において、
前記面発光レーザは、前記第2ミラーの上方に、誘電体からなる誘電体ミラーをさらに有し、
前記光吸収層は、前記誘電体ミラーの上方に形成されることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
1.光素子の構造
図1は、本実施の形態に係る光素子100を模式的に示す平面図である。図2は、本実施の形態に係る光素子100を模式的に示す断面図である。また、図2は、図1のA−A線における断面を示す図である。
本実施の形態にかかる光素子100は、図2に示すように、MSM受光素子120と、面発光レーザ130とを含む。
以下、MSM受光素子120、面発光レーザ130、および全体の構成について説明する。
1.1.面発光レーザ
面発光レーザ130は、基板101と、第1ミラー102と、活性層103と、第2ミラー104と、電流狭窄層105と、第3電極106と、第4電極107とを有する。
第1ミラー102は、基板101上に形成されており、例えば、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した40ペアの分布ブラッグ反射型ミラー(DBR)からなる。
まず、第1ミラー102と、活性層103と、第2ミラー104から構成される垂直共振器について説明する。
活性層103は、第1ミラー102上に形成されており、たとえば、GaAsウエル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層からなり、ウエル層が3層で構成される量子井戸構造を含む。
第2ミラー104は、活性層103上に形成されており、たとえば、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した25ペアの分布ブラッグ反射型ミラーからなる。なお、第2ミラー104の最上層は、Al組成の小さい方、すなわちp型Al0.15Ga0.85As層となるように構成されている。第1ミラー102、活性層103、および第2ミラー104を構成する各層の組成および層数はこれに限定されるわけではない。なお、第2ミラー104の最上層のAl組成は、0.3未満であることが好ましい。第2ミラー104の最上層のAl組成を0.3未満にすることによって、第2ミラー104の最上層と第4電極107とのオーミックコンタクトをより良好に得ることができる。
第2ミラー104は、たとえば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされ、第1ミラー102は、たとえばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされている。したがって、p型の第2ミラー104、不純物がドーピングされていない活性層103、およびn型の第1ミラー102により、pinダイオードが形成される。
また、面発光レーザ130のうち、第2ミラー104から第1ミラー102の途中にかけての部分が、図1に示すように平面視において矩形状にエッチングされて柱状部132が形成されている。なお、本実施の形態では、柱状部132の平面形状を矩形としたが、この形状は任意の形状をとることができる。
さらに、第2ミラー104を構成する層のうち活性層103に近い領域に、AlGaAs層を側面から酸化することにより得られる電流狭窄層105が形成されている。この電流狭窄層105は、柱状部132の周縁に沿った矩形のリング状に形成されている。電流狭窄層105は、たとえば酸化アルミニウムからなることができる。
次に面発光レーザ130を駆動するために用いられている第3電極106と第4電極107について説明する。
第3電極106は、基板101の裏面に形成されている。第3電極106は、たとえば、金(Au)とゲルマニウム(Ge)の合金と、金(Au)との積層膜からなる。
第4電極107は、第2ミラー104上に形成されている。第4電極107は、図1に示すように、平面視において矩形のリング形状を有し、柱状部132を取り囲むようにして形成されている。第4電極107は、たとえば白金(Pt)、チタン(Ti)および金(Au)の積層膜からなる。第3電極106と第4電極107とによって活性層103に電流が注入される。なお、第3電極106および第4電極107を形成するための材料は、前述したものに限定されるわけではなく、例えば金(Au)と亜鉛(Zn)との合金などが利用可能である。
1.2.MSM受光素子
MSM受光素子120は、面発光レーザ130上に形成されている。MSM受光素子120は、光吸収層111と、第1電極112と、第2電極113とを有する。
光吸収層111は、第2ミラー104上に形成されている。光吸収層111は、図1に示すように矩形の平面形状を有し、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる。
第1電極112および第2電極113は、MSM受光素子120に電圧を印加して、MSM受光素子120を駆動させるために使用される。第1電極112および第2電極113は、図1に示すように、平面視において、それぞれ櫛型形状を有し、互いに所定の間隔をあけて櫛歯が噛み合わさるようにして設けられている。
具体的には、第1電極112は、第1の方向(図1の例ではX方向)に延在する主軸部112aと、第1の方向に直交する第2の方向(図1の例ではY方向)に延在する櫛歯部112bと、を有する。第2電極113は、第1の方向に延在する主軸部113aと、第1の方向に直交する第2の方向に延在する櫛歯部113bと、を有する。
第1電極112における櫛歯部112bと第2電極113における櫛歯部113bとは、それぞれが交互に、間隔bをあけて配置されている。第1電極112における櫛歯部112bの間に、第2電極113における櫛歯部113bが配置され、第2電極113における櫛歯部113bの間に第1電極112における櫛歯部112bが配置される。第1電極112における主軸部112aは、第2電極113における櫛歯部113bと、間隔a1をあけて配置されている。第2電極113における主軸部113aは、第1電極112における櫛歯部112bと、間隔a2をあけて配置されている。第1電極112の櫛歯部112bおよび第2電極113の櫛歯部113bは、図1の例ではそれぞれ4本であるが、それぞれ2本以上ならば所望の櫛型形状を有する電極を構成することができる。なお、第1電極112および第2電極113は、櫛型形状を有する場合に限定されず、螺旋状などの形状を有していてもよい。
上述した間隔b、間隔a1、および間隔a2の各々は、MSM受光素子120の第1電極112の櫛歯部112bおよび第2電極113の櫛歯部113bの幅c、ならびに第1電極112の主軸部112aおよび第2電極113の主軸部113aの幅dよりも大きい。間隔b、間隔a1、および間隔a2は、少なくとも面発光レーザ130からレーザ光が出射する出射面の上方において、上述した幅cおよび幅dよりも大きければよい。即ち、本実施の形態では、面発光レーザ130における電流狭窄層105の内側の面からレーザ光が出射するため、少なくとも電流狭窄層105の内側の面の上方において、間隔b、間隔a1、および間隔a2は、幅cおよび幅dよりも大きければよい。
MSM受光素子120の第1電極112および第2電極113は、面発光レーザ130の上方に形成されているため、面発光レーザ130から出射するレーザ光を遮断してしまう。よって、本実施の形態にかかるMSM受光素子120のように、間隔b、間隔a1、および間隔a2を、幅cおよび幅dよりも大きくすることによって、第1電極112および第2電極113によって遮断されるレーザ光の量を減少させることができる。
第1電極112および第2電極113には、光吸収層111とショットキー接触する材料を用いることができる。第1電極112および第2電極113は、たとえば、チタン(Ti)と、白金(Pt)と、金(Au)との積層膜、または、チタンと金との積層膜、アルミニウム(Al)、チタンとパラジウム(Pd)と金との積層膜などからなることができる。第1電極112および第2電極113とによって光吸収層111に電圧が印加される。なお、第1電極112および第2電極113を形成するための材料は、前述したものに限定されるわけではない。
1.3.全体の構成
MSM受光素子120は、面発光レーザ130で生じた光の出力をモニタする機能を有する。具体的には、MSM受光素子120は、面発光レーザ130で生じた光を電流に変換する。この電流の値によって、面発光レーザ130で生じた光の出力が検知される。
より具体的には、MSM受光素子120において、面発光レーザ130により生じた光の一部が光吸収層111にて吸収され、この吸収された光によって、光吸収層111において光励起が生じ、電子および正孔が生じる。そして、素子外部から印加された電界により、電子および正孔は、第1電極112または第2電極113にそれぞれ移動する。
また、面発光レーザ130の光出力は、主として面発光レーザ130に印加するバイアス電圧によって決定される。特に、面発光レーザ130の光出力は、面発光レーザ130の周囲温度や面発光レーザ130の寿命によって大きく変化する。このため、面発光レーザ130において所定の光出力を維持することが必要である。
本実施の形態にかかる光素子100では、面発光レーザ130の光出力をモニタし、MSM受光素子120にて発生した電流の値に基づいて面発光レーザ130に印加する電圧値を調整する。これにより、面発光レーザ130内を流れる電流の値を調整することができ、面発光レーザ130は所定の光出力を維持することができる。面発光レーザ130の光出力を面発光レーザ130に印加する電圧値にフィードバックする制御は、外部電子回路(駆動回路;図示せず)を用いて実施することができる。
2.光素子の動作
本実施の形態の光素子100の一般的な動作を以下に示す。なお、下記の光素子100の駆動方法は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
まず、第3電極106と第4電極107とで、pinダイオードに順方向の電圧を印加すると、面発光レーザ130の活性層103において、電子と正孔との再結合が起こり、前記再結合による発光が生じる。そこで生じた光が第2ミラー104と第1ミラー102との間を往復する際に誘導放出が起こり、光の強度が増幅される。光利得が光損失を上まわると、レーザ発振が起こり、第2ミラー104の上面からレーザ光が出射する。次いで、前記レーザ光は、MSM受光素子120の光吸収層111へと入射する。
MSM受光素子120において、光吸収層111に入射した光は、その一部が光吸収層111に吸収される。その結果、光吸収層111において光励起が生じ、電子および正孔が生じる。そして、素子外部から印加された電界により、電子および正孔は、第1電極112または第2電極113に移動する。その結果、MSM受光素子120において、第1電極112と第2電極113との間に電流(光電流)が生じる。この電流の値を測定することにより、面発光レーザ130の光出力を検知することができる。
3.光素子の製造方法
次に、本発明を適用した実施の形態の光素子100の製造方法の一例について、図3〜図8を用いて説明する。図3〜図8は、図1および図2に示す光素子100の一製造工程を模式的に示す断面図であり、それぞれ図2に示す断面図に対応している。
(1)まず、n型GaAs層からなる基板101の上面に、組成を変調させながらエピタキシャル成長させることにより、図3に示すように、第1ミラー102、活性層103、第2ミラー104、および光吸収層111が形成される。
なお、第2ミラー104を成長させる際に、活性層103近傍の少なくとも1層は、後に酸化され、電流狭窄層105となる層に形成される(図8参照)。
また、光吸収層111の光学的膜厚は、面発光レーザ130の設定波長がλの場合、λ/4の奇数倍とすることができる。その結果、面発光レーザ130は、ミラーとして機能することができる。したがって、面発光レーザ130の特性に悪影響を及ぼすことなく、MSM受光素子120は分布ブラッグ反射型ミラーの一部として機能することができる。
また、後の工程において第4電極107が形成される際に、第2ミラー104のうち少なくとも第4電極107と接する部分の近傍は、キャリア密度を高くすることにより、第4電極107とのオーム性接触をとりやすくしておくのが望ましい。
エピタキシャル成長を行う際の温度は、成長方法や原料、基板101の種類、あるいは形成する半導体多層膜の種類、厚さ、およびキャリア密度によって適宜決定されるが、一般に、450℃〜800℃であるのが好ましい。また、エピタキシャル成長を行う際の所要時間も、温度と同様に適宜決定される。また、エピタキシャル成長させる方法としては、有機金属気相成長(MOVPE:Metal−Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、MBE法(Molecular Beam Epitaxy)法、あるいはLPE法(Liquid Phase Epitaxy)を用いることができる。
(2)次に、光吸収層111を所定の形状にパターニングする(図5参照)。
まず、光吸収層111上にレジスト(図示せず)を塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、図4に示すように、所定のパターンのレジスト層R1が形成される。
ついで、レジスト層R1をマスクとして、例えばドライエッチング法により、光吸収層111をエッチングする。その後、レジスト層R1が除去される。
(3)次に、パターニングにより、柱状部132を含む面発光レーザ130が形成される(図7参照)。具体的には、まず、第2ミラー104および光吸収層111上にレジスト(図示せず)を塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、所定のパターンのレジスト層R2が形成される(図6参照)。次いで、レジスト層R2をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2ミラー104、活性層103、および第1ミラー102の一部をエッチングする。これにより、図7に示すように、柱状部132が形成される。
以上の工程により、基板101上に、柱状部132を含む垂直共振器(面発光レーザ130)が形成される。その後、レジスト層R2が除去される。
(4)次に、例えば400℃程度の水蒸気雰囲気中に、上記工程によって柱状部132が形成された基板101を投入することにより、前述の第2ミラー104中のAl組成が高い層を側面から酸化して、電流狭窄層105が形成される(図8参照)。
酸化レートは、炉の温度、水蒸気の供給量、酸化すべき層のAl組成および膜厚に依存する。酸化により形成される電流狭窄層を備えた面発光レーザでは、駆動する際に、電流狭窄層が形成されていない部分(酸化されていない部分)のみに電流が流れる。したがって、酸化によって電流狭窄層を形成する工程において、形成する電流狭窄層105の範囲を制御することにより、電流密度の制御が可能となる。
(5)次に、第2ミラー104の上面に第4電極107が形成され、基板101の下面に第3電極106が形成され、MSM受光素子120の上面に第1電極112および第2電極113が形成される(図1および図2参照)。
まず、必要に応じて、プラズマ処理法等を用いて、第2ミラー104の上面、光吸収層111の上面、および基板101の下面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。
次いで、第1電極112および第2電極113を形成する。第1電極112と第2電極113は、同一の材料で形成することができ、例えば真空蒸着法により、光吸収層111上に、白金(Pt)、チタン(Ti)および金(Au)の積層膜(図示せず)を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより、第1電極112および第2電極113が形成される。
第1電極112および第2電極113の材料としては、光吸収層111とショットキーバリアが形成される材料であれば特に限定されず、チタン(Ti)と、白金(Pt)と、金(Au)との積層膜、または、チタンと金との積層膜、アルミニウム(Al)、チタンとパラジウム(Pd)と金との積層膜等を用いてもよい。
また、たとえば真空蒸着法により、柱状部132の上面に、たとえば金(Au)と亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜を形成した後、リフトオフ法により第4電極107を形成する。
また、基板101の露出している面に、たとえば真空蒸着法により、たとえば金(Au)とゲルマニウム(Ge)の合金と金(Au)との積層膜を形成し、第3電極106を形成する。
なお、上記工程において、リフトオフ法のかわりにドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることもできる。また、上記工程において、真空蒸着法のかわりにスパッタ法を用いることもできる。
(6)次いで、アニール処理を行う。アニール処理の温度は電極材料に依存する。本実施形態で用いる電極材料の場合は、通常400℃前後で行う。以上の工程により、第1電極112、第2電極113、第3電極106、および第4電極107が形成される。
以上の工程により、図1および図2に示すように、本実施の形態の光素子100が得られる。
本実施の形態にかかる光素子100によれば、MSM受光素子120において、第1電極112と第2電極113との間隔を、第1電極112および第2電極113の櫛歯の幅より大きく形成することができる。従来のMSM受光素子は、高速応答性を良好に維持するために、電極間隔を電極幅より狭めることはできなかった。本実施の形態にかかる光素子100においてMSM受光素子120の役割は、面発光レーザ130で生じた光の出力をモニタすることであるため、高速応答性を維持する必要がない。そこで、本実施の形態にかかる光素子100によれば、第1電極112と第2電極113との間隔は、第1電極112および第2電極113の櫛歯の幅より大きく形成することができる。これにより、MSM受光素子120の電極により遮られるレーザ光の量を低減することができ、面発光レーザ130の発光効率を向上させることができる。
ここで、光吸収層111上において、第1電極112および第2電極113が形成されれている領域の面積は、第1電極112および第2電極113が形成されていない領域の面積より明らかに小さい。これにより、MSM受光素子120の電極により遮られるレーザ光の量を低減することができ、面発光レーザ130の発光効率を向上させることができる。
また、MSM受光素子120を駆動するための電極である第1電極112および第2電極113の双方を光吸収層上に形成するため、たとえば一方の電極のみを光吸収層上に形成するpin型の受光素子を形成した光素子に比べて、面発光レーザ130を駆動するための電極である第4電極107との距離を十分にとることができる。よって、第1電極112および第2電極113と第4電極107との間に生じる寄生容量を低減し、面発光レーザ130の高周波特性を良好にすることができる。
4.変形例
4.1.第1の変形例
次に第1の変形例にかかる光素子200について説明する。図9は、光素子200を模式的に示す平面図である。図10は、図9のB−B線における断面を示す図である。光素子200は、第1電極212および第2電極213が、面発光レーザ130のレーザ光の出射面以外の領域に形成されている点で、図1および図2に示す光素子100と異なる。
具体的には、図1および図2に示す光素子100において、第1電極112および第2電極113は、面発光レーザ130のレーザ光の出射面上にも形成されていた。光素子200では、図9および図10に示すように、第1電極212および第2電極213は、矩形の平面形状を有し、かつ光吸収層111の端部であって、電流狭窄層105の上方のみに形成されている。これにより面発光レーザ130から出射するレーザ光を遮ることなく、MSM受光素子120を形成することができる。
なお、第1の変形例にかかる光素子200のその他の構成については、上述した光素子100と同様であるので、説明を省略する。
4.2.第2の変形例
次に第2の変形例にかかる光素子300について説明する。図11は、光素子300を模式的に示す断面図であり、図2の断面に対応している。光素子300は、分離層320をさらに有する点で、図1および図2に示す光素子100と異なる。
分離層320は、第2ミラー104と光吸収層111との間に形成される。分離層320は、たとえば不純物をドーピングしていない高Al組成のAlGaAs層を第2ミラー104上にエピタキシャル成長により積層する。その後、上述した工程(4)において電流狭窄層105を形成する際、同時に酸化することにより分離層320は、形成される。ここで、高Al組成のAlGaAs層とは、たとえばAl0.9Ga0.1As層である。
光素子300は、分離層320を設けることにより、第1電極112および第2電極113と第4電極107との間の膜を厚くすることができる。よって、第1電極112および第2電極113と第4電極107との間に発生する寄生容量を低減することができる。よって、良好な高周波特性を有するMSM受光素子を備えた光素子を得ることができる。
なお、第2の変形例にかかる光素子300のその他の構成については、上述した光素子100と同様であるので、説明を省略する。
4.3.第3の変形例
次に第3の変形例にかかる光素子400について説明する。図12は、光素子400を模式的に示す断面図であり、図2の断面に対応している。光素子400は、分離層420をさらに有する点、および第1電極212および第2電極213の形状が第1の変形例と同様の形状を有する点で、図1および図2に示す光素子100と異なる。
分離層420については、第2の変形例にかかる分離層320と同様の構成および製法であるので、説明を省略する。第1電極212および第2電極213については、第1の変形例にかかる第1電極212および第2電極213と同様であるので、説明を省略する。
なお、第3の変形例にかかる光素子400のその他の構成については、上述した光素子100と同様であるので、説明を省略する。
4.4.第4の変形例
次に第4の変形例について説明する。第4の変形例にかかる光素子の第1電極112および第2電極113は、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明電極からなる点で、図1および図2に示す光素子100と異なる。
通常、受光素子を面発光レーザ上に形成すると、受光素子が面発光レーザが出射するレーザ光を遮ることにより面発光レーザの性能を低減させてしまうことがあった。そこで、第4の変形例にかかる光素子のように第1電極112および第2電極113として透明電極を用いることにより、当該レーザ光を遮ることがない。よって光素子100は、透明電極からなる第1電極112および第2電極113を有することにより、面発光レーザ130の性能を低減することなく、MSM受光素子120を面発光レーザ130上に形成することができる。
なお、第4の変形例にかかる光素子のその他の構成については、上述した光素子100と同様であるので、説明を省略する。
4.5.第5の変形例
次に第5の変形例について説明する。図13は、光素子500を模式的に示す断面図であり、図2の断面に対応している。第5の変形例にかかる光素子500は、誘電体ミラー108をさらに有する点で、光素子100と異なる。誘電体ミラー108は、第2ミラー104上に形成される。誘電体ミラー108は、電子ビーム蒸着法、CVD法、スパッタ法等により形成され、たとえば、SiOからなる層とTaからなる層とを交互に積層した15ペアのDBRである。誘電体ミラー108の材質としては、SiO、Taの他、シリコン、酸化チタン等の誘電体の多層膜を用いることができる。
第5の変形例にかかる面発光レーザ130において、第2ミラー104と誘電体ミラー108とがDBRとして機能する。したがって、光素子500は、図1および図2に示す光素子100に比べて、第2ミラー104のペア数を少なくし、全体としての膜厚を薄く形成することができる。さらに誘電体ミラーは、半導体からなるミラーと比べて反射率が高いため、半導体のみからミラーを形成する場合と比べて、少ないペア数でミラーを形成することができる。したがって、光素子500全体としての厚さを薄くすることができる。
また、第5の変形例にかかる光素子500では、第1電極112および第2電極113と、第4電極107との距離が、誘電体ミラー108を有さない光素子100と比べて大きい。よって、光素子500は、第1電極112および第2電極113と、第4電極107との間に生じる寄生容量を低減することができ、面発光レーザ130の高周波特性を良好にすることができる。
なお、第5の変形例にかかる光素子500のその他の構成については、上述した光素子100と同様であるので、説明を省略する。
以上、本発明の好適な実施の形態について述べたが、本発明はこれらに限定されず、各種の態様を取りうる。たとえば、上記実施の形態において、各半導体層におけるp型とn型とを入れ替えても本発明の趣旨を逸脱するものではない。
本実施の形態にかかる光素子を模式的に示す平面図。 本実施の形態にかかる光素子を模式的に示す断面図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 本実施の形態にかかる光素子の製造工程を模式的に示す図。 第1の変形例にかかる光素子を模式的に示す平面図。 第1の変形例にかかる光素子を模式的に示す断面図。 第2の変形例にかかる光素子を模式的に示す断面図。 第3の変形例にかかる光素子を模式的に示す断面図。 第5の変形例にかかる光素子を模式的に示す断面図。
符号の説明
100 光素子、101 基板、102 第1ミラー、103 活性層、104 第2ミラー、105 電流狭窄層、106 第3電極、107 第4電極、108 誘電体ミラー、111 光吸収層、112 第1電極、113 第2電極、120 MSM受光素子、130 面発光レーザ

Claims (4)

  1. 面発光レーザと、当該面発光レーザから出射されたレーザ光の一部を検出するMSM(Metal Semiconductor Metal)受光素子と、を含む光素子であって、
    前記面発光レーザは、
    基板の上方に形成された第1ミラーと、
    前記第1ミラーの上方に形成された活性層と、
    前記活性層の上方に形成された第2ミラーと、を有し、
    前記MSM受光素子は、
    前記第2ミラーの上方に形成された光吸収層と、
    前記光吸収層の上方に形成された第1電極と、
    前記光吸収層の上方に形成された第2電極と、を有し、
    前記第1電極および第2電極は、櫛型形状を有し、第1の方向に延在する主軸部と、前記第1の方向に直交する第2の方向に延在する櫛歯部とを有しており、当該櫛歯部が互いに噛み合わさるようにして設けられ、
    前記第1電極の櫛歯部と前記第2電極の櫛歯部との間隔、前記第1電極の主軸部と前記第2電極の櫛歯部との間隔、前記第2電極の主軸部と前記第1電極の櫛歯部との間隔は、
    前記第1電極及び前記第2電極の櫛歯部の幅、及び前記第1電極及び前記第2電極の主軸部の幅よりも大きいことを特徴とする光素子。
  2. 請求項1において、
    前記面発光レーザは、前記活性層の上方に形成された電流狭窄層をさらに有することを特徴とする光素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記面発光レーザと前記MSM受光素子との間に、当該面発光レーザと当該MSM受光素子とを電気的に分離するための、分離層をさらに含む、光素子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記面発光レーザは、前記第2ミラーの上方に、誘電体からなる誘電体ミラーをさらに有し、
    前記光吸収層は、前記誘電体ミラーの上方に形成される、光素子。
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