JP4575844B2 - 回転機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電動機あるいは膨張機を駆動源として、車両内燃機関の廃熱を活用するランキンサイクル中の冷媒を圧送する冷媒ポンプに用いて好適な回転機械に関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されるように、電動機によってポンプ部が作動される液冷媒ポンプにおいて、電動機周りに液冷媒の脈動防止機構が設けられたものが知られている。
脈動防止機構は、電動機を収容するフレームの外側上部に脈動減衰室として設けられており、この液冷媒ポンプにおいては、ポンプ部から圧送される液冷媒は、電動機内を流通して脈動減衰室に至り、更に電動機端部側の吐出口から吐出されるようになっている。この時、液冷媒は狭い液流通路を通ることで脈動が低減され、更に、容積が拡大される脈動減衰室によって伝播速度が低下されて脈動が低減され、騒音低減を図るようにしている。
特開平8−210269号公報
しかしながら、上記液冷媒ポンプにおいては、脈動減衰室の設置による大型化、コスト増加を伴う。また、基本的なポンプ部の作動に伴う脈動自身の低減に着目したものではなく、ポンプ部にて圧送された後の脈動を低減するものであるため、吸入側の脈動の低減はできない。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、副回転機械によって主回転機械が作動されて、主回転機械で作動流体を圧送するものにおいて、簡便で安価な方法で充分な脈動低減を行い、静粛運転を可能とする回転機械を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明では、作動流体を圧送する容積型の主回転機械(110)と、
主回転機械(110)の駆動源として作動して、主回転機械(110)と共に回転する副回転機械(130、120)と
主回転機械(110)の作動トルク変動に対抗するように、副回転機械(130、120)の駆動トルクを変動させる変動手段(50、140)とを備える回転機械において、
副回転機械(130、120)は、容積型の回転機械(120)であり、
変動手段(50、140)は、回転位相における主回転機械(110)の作動トルクの大小と、副回転機械(120)の駆動トルクの大小とをずらすように、主回転機械(110)と副回転機械(120)とを接続する接続部材(140)であり、
主回転機械(110)に接続されて、通電制御回路(50)によって制御される回転電機(130A)を有し、
主回転機械(110)によって吸入あるいは吐出される作動流体の圧力変動を把握する圧力センサ(54)を有し、
副回転機械(120)によって、主回転機械(110)および回転電機(130A)が作動されている時に、
通電制御回路(50)は、圧力センサ(54)から検出される圧力値から平均圧力値を算出し、更に所定時間毎の瞬時圧力値を測定し、
瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、瞬時圧力値が平均圧力値よりも小さい場合に、回転電機(130A)の電流値を下げて、回転電機(130A)のトルクを低下させ、主回転機械(110)のトルクを増加させ、
逆に、瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、瞬時圧力値が平均圧力値よりも大きい場合に、回転電機(130A)の電流値を上げて、回転電機(130A)のトルクを増加させ、主回転機械(110)のトルクを低下させることを特徴としている。
これにより、回転位相における主回転機械(110)の作動トルクの変動を減少させることができるので、作動トルクに基づいて圧送される作動流体の流量変動を減少させて、流量変動に伴う脈動を低減することができる。ここでは、特許文献1で説明したような脈動防止機構(脈動減衰室)を不要とすることができるので、簡便で安価な方法として対応が可能である。
また、接続部材(140)と回転電機(130A)との両者によって主回転機械(110)の作動トルク変動を低減することができるので、その低減効果を高めることができる。
請求項に記載の発明においては、請求項に記載の発明のように、副回転機械(120)は、過熱蒸気の膨張によって作動されて駆動力を発生する膨張機(120)として好適である。
また、主回転機械(110)は、請求項に記載の発明のように、ランキンサイクル(40)内の作動流体を圧送するポンプ(110)に用いて好適である。
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
参考例
参考例回転機械を電動冷媒ポンプ100として、この電動冷媒ポンプ100を、車両用冷凍サイクル30の凝縮器32および気液分離器33が共用されるランキンサイクル40に使用したものである。以下、図1を用いて本参考例の構成について説明する。尚、図1は電動冷媒ポンプ100が使用されるシステム全体を示す模式図である。
まず、冷凍サイクル30について簡単に説明すると、冷凍サイクル30は、低温側の熱を高温側に移動させて冷熱および温熱を空調に利用するもので、圧縮機31、凝縮器32、気液分離器33、減圧器34、蒸発器35が順次環状に接続されて形成されている。
圧縮機31は、駆動ベルト12、プーリ31a、電磁クラッチ31bを介して車両のエンジン10の駆動力が伝達されて作動し、冷凍サイクル30内の冷媒を高温高圧に圧縮する流体機械である。凝縮器32は、圧縮機31で高温高圧に圧縮された冷媒を冷却して、凝縮液化する熱交換器である。尚、ファン32aは、凝縮器32に冷却風(車室外空気)を送るものである。気液分離器33は、凝縮器32で凝縮された冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して液相冷媒を流出させるレシーバである。
減圧器34は、気液分離器33で分離された液相冷媒を減圧膨脹させる膨張弁である。蒸発器35は、減圧器34にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮する熱交換器であり、空調ケース30a内に配設されている。そして、送風機35aによって空調ケース30a内に供給される空調空気(外気あるいは内気)を冷却する。
そして、ランキンサイクル40は、エンジン10で発生した廃熱からエネルギー(膨張機120にて発生される駆動力)を回収するものであり、上記冷凍サイクル30に対して、凝縮器32、気液分離器33が共用されて形成されている。即ち、凝縮器32と気液分離器33とをバイパスするバイパス流路41が設けられて、このバイパス流路41の気液分離器33側から冷媒ポンプ110、加熱器42、膨張機120が配設されて、凝縮器32に繋がることでランキンサイクル40が形成されている。
冷媒ポンプ(本発明における主回転機械に対応)110は、ランキンサイクル40内の冷媒(本発明における作動流体に対応し、冷凍サイクル30内の冷媒と同一)を加熱器42側へ圧送して循環させるものであり、電動機(本発明における副回転機械に対応)130が接続されて、電動冷媒ポンプ(本発明における回転機械に対応)100を形成している。
尚、ここでは、冷媒ポンプ110は、シリンダ内に配設されて公転するロータと、ロータ外周の一点に当接しつつロータの半径方向に摺動してシリンダおよびロータ間の空間を仕切るベーンとを有して、シリンダ、ロータ、ベーン間にポンプ作動室(仕切られた空間)を形成するローリングピストン型のポンプとしている。
電動機130は、上記冷媒ポンプ110を駆動する回転電機であり、この電動機130には、その作動を制御する通電制御回路(本発明における変動手段に対応)50が設けられている。通電制御回路50は、インバータ51と制御機器52とを有している。
インバータ51は、電動機130を作動させる時に、車両用のバッテリ11から電動機130に供給する電力を制御するものである。また、制御機器52は、上記インバータ51の作動を制御すると共に、冷凍サイクル30およびランキンサイクル40を作動させる際に電磁クラッチ31b、ファン32a、後述する発電機131等を併せて制御するものである。尚、インバータ51と電動機130との間には、電動機130に供給される電力の電流値を検出するための電流センサ53が設けられている。そして、電流センサ53で検出された電流信号は、インバータ51から制御機器52に入力されるようになっている。
加熱器42は、上記冷媒ポンプ110から圧送される冷媒と、エンジン10に設けられた温水回路20内を循環するエンジン冷却水(温水)との間で熱交換することにより、冷媒を加熱する(冷媒を過熱蒸気冷媒とする)熱交換器である。
尚、温水回路20には、エンジン冷却水を循環させる電動式の水ポンプ21、エンジン冷却水と外気との間で熱交換してエンジン冷却水を冷却するラジエータ22、およびエンジン冷却水(温水)を加熱源として空調空気を加熱するヒータコア23が設けられている。また、ラジエータ22には、ラジエータバイパス流路22aが設けられて、エンジン冷却水の温度に応じて弁部が開閉するサーモスタット22bによって、ラジエータ22を流通するエンジン冷却水流量が調節されるようになっている。尚、ヒータコア23は、蒸発器35と共に空調ケース30a内に配設されており、蒸発器35とヒータコア23とによって空調空気は、乗員が設定する設定温度に調整される。
膨張機120は、加熱器42から流出される過熱蒸気冷媒の膨張によって駆動力を発生する流体機械であり、ここでは、固定スクロールと旋回スクロールとを有し、両スクロール間に形成される作動室で過熱蒸気冷媒が膨張して、旋回スクロールが公転旋回するスクロール型のものとしており、この膨張機120(旋回スクロール)には、発電機131が接続されている。
発電機131は、膨張機120で発生される駆動力によって駆動されて発電する回転電機であり、上記インバータ51、制御機器52によって制御される。即ち、発電機131で発電された電力は、インバータ551、制御機器52によってバッテリ11に充電されるようになっている。
次に、上記構成に基づく電動冷媒ポンプ100の作動(通電制御回路50による電動冷媒ポンプ100の制御)について図2、図3を加えて説明する。
通電制御回路50の制御機器52は、エンジン10の廃熱が充分得られる(エンジン冷却水温度が予め定めた所定温度より高い)場合に、ランキンサイクル40を作動させて、膨張機120によって得られる駆動力で発電機131を作動させて、発電によって得られる電力をバッテリ11に充電する。
具体的には、まず、制御機器52はインバータ51からの電力供給により電動機130を駆動させて、冷媒ポンプ110を作動させる。すると、気液分離器33から冷媒が吸引され、加熱器42に圧送され、圧送された冷媒は加熱器42によって加熱される。
そして、加熱器42によって加熱された高温高圧の過熱蒸気冷媒が、膨張機120の作動室に導入されて膨脹する。過熱蒸気冷媒の膨脹により旋回スクロールが旋回すると、旋回スクロールに接続された発電機131が作動され、制御機器52は発電機131によって得られる電力をインバータ51を介してバッテリ11に充電する。
そして、膨張機120で膨脹を終えて圧力が低下した冷媒は、凝縮器32→気液分離器33→バイパス流路41→冷媒ポンプ110→加熱器42→膨脹機120の順に循環することになる(ランキンサイクル40を循環)。
尚、制御機器52は、乗員の空調要求がある場合は、電磁クラッチ31bによってプーリ31aと圧縮機31とを接続して、エンジン10の駆動力によって圧縮機31を作動させて、冷凍サイクル30による空調を行う。また、凝縮器32の凝縮能力調整のために、ファン32aの作動回転数を制御する。
ここで、ローリングピストン型の冷媒ポンプ110の作動時において、冷媒ポンプ110には回転する際の回転位相に応じたポンプ作動室の容積変化があり、回転位相毎に吸入吐出容積が異なる。即ち、冷媒ポンプ110を一定の回転速度(図3(c)中の破線)で駆動した場合は、回転位相に応じたポンプ作動室の容積変化が、図3(a)中の破線で示すように、そのまま流量(瞬時流量)の変動になる。そして、この流量変動によって圧力脈動が発生する。
参考例では、上記流量変動を防止するために、回転位相毎のポンプ作動室の容積変化に応じて回転速度を調整し、流量変動を低減するようにしている。図2は通電制御回路50(制御機器52)が行う流量変動低減のための制御フローを示すものである。以下、この制御フローに基づく制御内容について詳細に説明する。
まず、制御機器52は、ステップS100で冷媒ポンプ110を作動させる際の目標回転数を読込む。これは、エンジン冷却水から得られる廃熱量(エンジン冷却水温度とエンジン冷却水循環流量から得られる熱量)から、冷媒ポンプ110で加熱器42側へ圧送すべき冷媒流量を決定し、更にこの冷媒流量を得るための冷媒ポンプ110の回転数を算出して、目標回転数として読込むものである。
そして、ステップS110で目標回転数となるように電動機130(冷媒ポンプ110)の実際の回転数を調整する。この回転数調整は、電動機130に供給する電流値の調整によって行う。
そして、ステップS120で電流センサ53から検出される電流値から、電動機130に供給される平均電流値を算出し、更にステップS130で所定時間毎の瞬時電流値を測定する。
そして、ステップS140で上記瞬時電流値と平均電流値との比較を行い、瞬時電流値が平均電流値よりも大きいと判定すると((1)の判定)、ステップS150で供給電流値を下げて電動機130(冷媒ポンプ110)の回転数を低下させる。両電流値の差が大きいほど、回転数を大きく低下させる。
また、ステップS140で瞬時電流値が平均電流値と等しいと判定すると((2)の判定)、ステップS160で現状の供給電流値を維持して電動機130(冷媒ポンプ110)の回転数を維持する。
更に、ステップS140で瞬時電流値が平均電流値よりも小さいと判定すると((3)の判定)、ステップS170で供給電流値を上げて電動機130(冷媒ポンプ110)の回転数を増加させる。両電流値の差が大きいほど、回転数を大きく増加させる。
上記ステップS150〜ステップS170では、換言すると電動機130の電流値の変動幅を小さくするように制御するものである。
冷媒ポンプ110においては、その容積変化(流量)が大きい瞬間は、図3(b)中の破線で示すように、冷媒ポンプ110の作動トルク(電動機130における必要駆動トルク)が大きくなる。そして、電動機130は、駆動トルクが大きいほど電流がより多く流れる。よって、上記のように瞬時電流値が平均電流値より大きい場合は、電動機130の回転数を低下させることで(図3(c)のオ)、つまり供給電流値を下げることで、駆動トルク(=冷媒ポンプ110の作動トルク)を低下させて(図3(b)のウ)、冷媒ポンプ110の流量を低下させることができる(図3(a)のア)。逆に、瞬時電流値が平均電流値より小さい場合は、電動機130回転数を増加させることで(図3(c)のカ)、つまり供給電流値を上げることで、駆動トルク(=冷媒ポンプ110の作動トルク)を増加させて(図3(b)のエ)、冷媒ポンプ110の流量を増加させることができる(図3(a)のイ)。総じて、冷媒ポンプ110の回転位相に対する流量変動を低減することができる(流量を平均化することができる)ので、流量変動に伴う脈動を低減して騒音の上昇を防ぐことができる。ここでは、特許文献1で説明したような脈動防止機構(脈動減衰室)を不要とすることができるので、簡便で安価な方法として対応が可能である。
また、上記制御においては、冷媒ポンプ110の作動トルク(電動機130の駆動トルク)を電動機130の電流値を用いて把握するようにしているので、通常、電動機130の作動を制御する際に用いられる電流値をそのまま用いて、冷媒ポンプ110の流量変動低減に活用できる。
(第実施形態)
本発明における第実施形態を図4〜図8に示す。第実施形態は、上記参考例に対して、電動機130を廃止して、冷媒ポンプ110に膨張機120と電動発電機130Aとを一体的に接続した冷媒ポンプ一体型膨張発電機100Aを形成して、この冷媒ポンプ一体型膨張発電機100Aを回転機械としている。
具体的には、図4、図5に示すように、冷媒ポンプ110、電動発電機130A、膨張機120の順に各機器110、130A、120を直列に配設して、冷媒ポンプ110のポンプ軸112と、電動発電機130Aの電動発電機軸134と、膨張機120の膨張機軸124とを同一軸線上で接続して、冷媒ポンプ一体型膨張発電機100Aとしている。一体的に接続される各軸112、134、124は、シャフト140となっている。尚、各機器110、130A、120の並び順は、上記と異なる並び順となっても良い。
そして、冷媒ポンプ110と膨張機120との回転作動時の各回転位相における位置関係は、以下のように関係付けられてシャフト140によって接続されるようにしている。即ち、図6に示すように、冷媒ポンプ110においては、シャフト140の一回転において、回転位相で90°毎に見た時に、吸入開始吐出完了(図6(a))→吸入1吐出1(図6(b))→吸入2吐出2(図6(c))→吸入3吐出3(図6(d))→吐出完了吸入開始(図6(a))を繰返す。各回転位相における冷媒ポンプ110の瞬時流量(作動トルク)は、図8(b)に示すように、大小となる変動を繰返す形となる。
また、図7に示すように、膨張機120においては、シャフト140の一回転において、回転位相で90°毎に見た時に、中心部で吸入開始、作動室V1、V2で膨張開始、外周部で吐出開始(図7(a))、→中心部で吸入、作動室V1、V2で膨張、外周部で吐出(図7(b))→中心部で吸入進行、作動室V1、V2で膨張進行、外周部で吐出進行(図7(c))→中心部で吸入完了、作動室V1、V2で膨張完了、外周部で吐出完了(図7(d))を繰返す。各回転位相における膨張機120の膨張機トルクは、図8(a)に示すように、大小となる変動を繰返す形となる。
冷媒ポンプ110と膨張機120とは、図6(a)と図7(a)、図6(b)と図7(b)といったように、(a)〜(d)での各回転位相がそれぞれ一致するようにシャフト140によって接続されている。即ち、膨張機120の膨張機トルクが大きくなる回転位相と冷媒ポンプ110の瞬時流量(作動トルク)が小さくなる回転位相とが一致し、膨張機120の膨張機トルクが小さくなる回転位相と冷媒ポンプ110の瞬時流量(作動トルク)が大きくなる回転位相とが一致するようにしている(図8の(a)と(b)との関係)。
実施形態では、冷媒ポンプ110が上記参考例と同様に主回転機械であって、膨張機120が副回転機械に対応し、シャフト140は、変動手段および接続手段に対応している。
尚、電動発電機130Aは、電動機と発電機との両機能を有する回転電機であって、通電制御回路50によって制御されるようになっている。電動発電機130Aとインバータ51との間には、両者130A、51間を流れる電流値を検出するための電流センサ53aが設けられている。そして、電流センサ53aで検出された電流信号は、インバータ51から制御機器52に入力されるようになっている。
上記構成に基づく本第実施形態では、ランキンサイクル40の起動時において、インバータ51によって電動発電機130Aにバッテリ11から電力が供給され、電動発電機130Aは電動機として作動され、冷媒ポンプ110、膨張機120を駆動させる。また、ランキンサイクル40が作動して膨張機120で駆動力が発生されると、この駆動力によって冷媒ポンプ110が駆動されることになるが、膨張機120の駆動力が冷媒ポンプ110駆動のための駆動力を超えると、電動発電機130Aは発電機として作動されることになり、発電された電力がインバータ51によってバッテリ11に充電される。
上記膨張機120による冷媒ポンプ110の作動時において、膨張機トルクが平均トルクより大きい回転位相において(図8(a)のキ)、電動発電機130Aは加速しようとする。この時、回転数フィードバック制御によって厳密に一定速度を維持させずに、多少の変動を許容するように比例定数を調整すれば、電動発電機130Aの回転速度が上がり、これに伴って冷媒ポンプ110の回転速度も上がるため(図8(c)のケ)、流量を増加させることができる(図8(d)のサ)。逆に、膨張機トルクが平均トルクより小さい回転位相においては(図8(a)のク)、電動発電機130Aの回転速度が下がり、これに伴って冷媒ポンプ110の回転速度も下がるため(図8(c)のコ)、流量を減少させることができる(図8(d)のシ)。
よって、冷媒ポンプ110の回転位相に対する流量変動を低減することができる(流量を平均化することができる)ので、流量変動に伴う脈動を低減して騒音の上昇を防ぐことができる。
(第実施形態)
本発明の第実施形態を図9、図10に示す。第実施形態は、上記第実施形態に対して、電動発電機130Aの発電電流を制御することで、更に冷媒ポンプ110の脈動を低減するようにしたものである。
ここでは、冷媒ポンプ110によって吸入あるいは吐出される冷媒の圧力変動を把握するための圧力センサ54を設けている。具体的には、冷媒ポンプ110の吐出側に圧力センサ54を設けて、吐出側圧力を検出するようにしている。圧力センサ54で検出された圧力信号は、制御機器52に入力されるようにしている。
本第実施形態では、上記第実施形態での冷媒ポンプ110と膨張機120との回転位相を考慮したシャフト140による接続によっても、まだ冷媒ポンプ110に脈動が残る場合に、通電制御回路50は以下の制御を実行する。
即ち、制御機器52は、圧力センサ54から検出される圧力値から、冷媒ポンプ110の吐出側における平均圧力値を算出し、更に所定時間毎の瞬時圧力値を測定する。
そして、上記瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、瞬時圧力値が平均圧力値よりも小さい場合に、電動発電機130Aの発電電流値を下げて(図10(c)のソ)、電動発電機130Aの発電機トルクを低下させる(図10(b)のス)。
ここで、膨張機120の膨張機トルクをTex、電動発電機130Aの発電機トルクをTmg、冷媒ポンプ110のポンプトルクをTpとすると、
Tex=Tmg+Tp
であることから、上記によって発電機トルクTmgが低下されるとポンプトルクTpが増加され、冷媒ポンプ110の流量を増加させることができる(図10(d)のチ)。
逆に、上記瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、瞬時圧力値が平均圧力値よりも大きい場合に、電動発電機130Aの発電電流値を上げて(図10(c)のタ)、電動発電機130Aの発電機トルクを増加させる(図10(b)のセ)。すると、ポンプトルクTpが低下され、冷媒ポンプ110の流量を低下させることができる(図10(d)のツ)。
よって、冷媒ポンプ110の回転位相に対する流量変動を更に低減することができる。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、冷媒ポンプ110を有する回転機械としてランキンサイクル40内の冷媒を圧送するものとして説明したが、これに限らず、ブラインシステムや、蓄熱空調システム等の作動流体を圧送するものに適用しても良い。
また、第、第実施形態においては、冷媒ポンプ110としてローリングピストン型のもの、膨張機120としてスクロール型のものとして説明したが、これに限らず、一回転当りのトルク変動回数が共に一致するものであれば、他の型式のものとしても良い。
参考例における電動冷媒ポンプが使用されるシステム全体を示す模式図である。 参考例における通電制御回路が実行する制御フローチャートである。 参考例における(a)は回転位相に対する冷媒ポンプの瞬時流量を示すグラフ、(b)は時間に対する冷媒ポンプの作動トルクを示すグラフ、(c)は時間に対する電動機の回転速度を示すグラフである。 実施形態における冷媒ポンプ一体型膨張発電機が使用されるシステム全体を示す模式図である。 実施形態における冷媒ポンプ一体型膨張発電機を示す断面図である。 図5における冷媒ポンプの各回転位相における作動状態を示す断面図である。 図5における膨張機の各回転位相における作動状態を示す断面図である。 実施形態における(a)は回転位相に対する膨張機トルクを示すグラフ、(b)は回転位相に対する冷媒ポンプ瞬時流量を示すグラフ、(c)は時間に対する冷媒ポンプの回転速度を示すグラフ、(d)は回転位相に対する冷媒ポンプ瞬時流量の変動低減を示すグラフである。 実施形態における冷媒ポンプ一体型膨張発電機が使用されるシステム全体を示す模式図である。 実施形態における(a)は回転位相に対する膨張機トルクを示すグラフ、(b)は時間に対する電動発電機トルクを示すグラフ、(c)は時間に対する電動発電機発電電流を示すグラフ、(d)は回転位相に対する冷媒ポンプ瞬時流量の変動低減を示すグラフである。
符号の説明
40 ランキンサイクル
50 通電制御回路(変動手段)
100 電動冷媒ポンプ(回転機械)
110 冷媒ポンプ(主回転機械)
120 膨張機(副回転機械)
130 電動機(副回転機械、回転電機)
130A 電動発電機(回転電機)
140 シャフト(変動手段、接続手段)

Claims (3)

  1. 作動流体を圧送する容積型の主回転機械(110)と、
    前記主回転機械(110)の駆動源として作動して、前記主回転機械(110)と共に回転する副回転機械(130、120)と、
    前記主回転機械(110)の作動トルク変動に対抗するように、前記副回転機械(130、120)の駆動トルクを変動させる変動手段(50、140)とを備え
    前記副回転機械(130、120)は、容積型の回転機械(120)であり、
    前記変動手段(50、140)は、回転位相における前記主回転機械(110)の作動トルクの大小と、前記副回転機械(120)の駆動トルクの大小とをずらすように、前記主回転機械(110)と前記副回転機械(120)とを接続する接続部材(140)であり、
    前記主回転機械(110)に接続されて、通電制御回路(50)によって制御される回転電機(130A)を有し、
    前記主回転機械(110)によって吸入あるいは吐出される前記作動流体の圧力変動を把握する圧力センサ(54)を有し、
    前記副回転機械(120)によって、前記主回転機械(110)および前記回転電機(130A)が作動されている時に、
    前記通電制御回路(50)は、前記圧力センサ(54)から検出される圧力値から平均圧力値を算出し、更に所定時間毎の瞬時圧力値を測定し、
    前記瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、前記瞬時圧力値が前記平均圧力値よりも小さい場合に、前記回転電機(130A)の電流値を下げて、前記回転電機(130A)のトルクを低下させ、前記主回転機械(110)のトルクを増加させ、
    逆に、前記瞬時圧力値と平均圧力値とを比較し、前記瞬時圧力値が前記平均圧力値よりも大きい場合に、前記回転電機(130A)の電流値を上げて、前記回転電機(130A)のトルクを増加させ、前記主回転機械(110)のトルクを低下させることを特徴とする回転機械。
  2. 前記副回転機械(120)は、過熱蒸気の膨張によって作動されて駆動力を発生する膨張機(120)であることを特徴とする請求項に記載の回転機械。
  3. 前記主回転機械(110)は、ランキンサイクル(40)内の前記作動流体を圧送するポンプ(110)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転機械。
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