JP4574999B2 - 回転駆動力伝達機構の選択方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の振動特性に対応してインナジョイントの構造を任意に選択することが可能な回転駆動力伝達機構の選択方法に関する。
従来から、前輪駆動自動車や独立懸架方式の後輪駆動自動車の駆動力伝達部には、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結し回転力を各車軸へと伝達する等速ジョイントが用いられている。
この種の従来技術に係る等速ジョイントとして、例えば、特許文献1には、継手軸上においてボール中心面の両側にオフセットして配置された曲率中心を有する部分球面状の内外表面を有するケージを備えたダブルオフセット型等速ジョイントが開示されている。
この特許文献1に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントでは、ケージと内方継手部材との間(ケージ中央部の円筒面の両側)に軸方向隙間を設けることにより、軸方向振動が付与された時でも内方継手部材とケージとが軸方向に沿って微小距離だけ相対移動することができるため、スライド抵抗を低減することができるとしている。
前記特許文献1では、走行時や停止時のアイドリング中のように駆動軸のトルクを伝達しながら角度変位や軸方向変位を生ずるような使用状態でのスライド抵抗を小さくすることにより、エンジン側からの駆動が車体へ伝達されて乗員に不快感を与えることを回避している。
同様に、特許文献2には、ダブルオフセット型等速ジョイントが開示されている。この特許文献2に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントでは、ケージ内周面の部分球面の曲率半径を、内方継手部材の外周面である球面の曲率半径よりも大きく設定し、しかも、前記ケージ内表面の部分球面の曲率中心を、内方継手部材の外周面である球面の曲率中心から径方向にオフセットした位置に配置することにより、より大きな軸方向間隙を形成することができるとしている。
前記特許文献2では、より大きな軸方向隙間が形成されるため、回転トルクが負荷された状態でエンジン側からの振動が作用しても、前記軸方向隙間によって内方継手部材とケージとによって相対的な軸方向の比較的小さな移動が可能となり、スライド抵抗を低減することができるとしている。
ところで、前記特許文献1、2に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントは、ケージと内方継手部材との間に設けられた軸方向隙間を増大させることにより、ケージと内方継手部材との相対的な軸方向移動量を大きくしてスライド抵抗を低減しようとする技術的思想であり、前記軸方向間隙によって相対的に移動するケージと内方継手部材の移動距離が微小距離に限定されるとともに、軸方向間隙による移動距離に限界が生ずる。
そこで、本出願人は、ダブルオフセット型において、インナリングとリテーナとの間にスライドリングを設け、前記インナリングの移動量をより一層増大させることにより、さらに広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることが可能な等速ジョイントを提案している(特願2003−124214号)。
実公昭63−2665号公報 特開平11−182570号公報
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、例えば、3次振動及び/又はアイドリング振動等の振動特性に対応して回転駆動源(デファレンシャルギア)側に接続されるインナジョイントの構造を適宜選択することにより、良好な振動特性を得ることが可能な回転駆動力伝達機構の選択方法を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、回転駆動源を間にして同軸状に配置された第1及び第2ドライブシャフトを有し、前記第1ドライブシャフトのホイール側に連結された第1アウタジョイント及び回転駆動源側に連結された第1インナジョイントと、前記第2ドライブシャフトのホイール側に連結された第2アウタジョイント及び回転駆動源側に連結された第2インナジョイントとを有する車両用の回転駆動力伝達機構の選択方法において、
前記第1及び第2インナジョイントは、
継手軸上においてボール中心面との交点の両側に等距離だけオフセットした曲率中心を有する内外表面を有するリテーナによって複数のボールが保持され、前記リテーナとインナリングとの間にスライドリングが設けられたダブルオフセット型の第1等速ジョイントと、
前記スライドリングが介装されることがなくリテーナの内面とインナリングの外面とが直接接触するダブルオフセット型の第2等速ジョイントと、
アウタカップの内壁に形成された案内溝に向かって膨出する3個のトラニオンを有するトリポード型の第3等速ジョイントとの組み合わせによって構成され、
前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイントによってそれぞれ構成される第1タイプと、
前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイント及び第2等速ジョイントによってそれぞれ構成される第2タイプと、
前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイント及び第3等速ジョイントによってそれぞれ構成される第3タイプと、
を有し、
前記第1タイプは、3次振動及びアイドリング振動のいずれの振動特性も劣化する条件を有するときに選択され、
前記第2タイプは、3次振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択され、
前記第3タイプは、アイドリング振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択されることを特徴とする。
すなわち、リテーナとインナリングとの間にスライドリングが設けられたダブルオフセット型の第1等速ジョイントを第1及び第2インナリングのそれぞれに配設することにより、前記インナリングの軸方向に対する変位量をより一層増大させ広範囲にわたってスライド抵抗を低減させ、アイドリング振動が吸収されて良好な振動特性が得られると共に、リテーナによって複数のボールが保持されるため、回転3次の誘起スラスト力に起因する3次振動が低減されて良好な振動特性が得られる。
回転駆動源の一方の側に第1等速ジョイントを配置し他方の側に第2等速ジョイントを配置した第2タイプは、アイドリング振動の振動特性が良好であるが3次振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択されるとよい。
すなわち、ダブルオフセット型の第2等速ジョイントでは、リテーナとインナリングとの間にスライドリングが設けられていないためボールのころがり範囲が限定されるが、回転3次の誘起スラスト力に起因する3次振動が低減されて良好な振動特性が得られるため、3次振動の振動特性のみが劣化する条件を有するときに選択されるとよい。
回転駆動源の一方の側に第1等速ジョイントを配置し他方の側に第3等速ジョイントを配置した第3タイプは、3次振動の振動特性が良好であるがアイドリング振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択されるとよい。
すなわち、第3等速ジョイントは、アイドリング振動が抑制されて良好な振動特性が得られるが作動角を有するときに案内溝に接触する3個のトラニオンとの関係によって回転3次の誘起スラスト力が発生するが、アイドリング振動が抑制されて良好な振動特性を得ることができるからである。
本発明によれば、このような各種の振動に対して特性が異なる第1〜第3等速ジョイントを組み合わせて、第1〜第3タイプの回転駆動力伝達機構の中から適宜選択することにより、良好な振動特性を得ることができる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、例えば、3次振動及び/又はアイドリング振動等の振動特性に対応して回転駆動源(デファレンシャルギア)側に接続されるインナジョイントの構造を、第1〜第3タイプの中から適宜選択することにより、良好な振動特性を得ることができる。
本発明に係る回転駆動力伝達機構の選択方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る選択方法を適用して構成された回転駆動力伝達機構10を前輪駆動車に適用した状態を図1に示す。この回転駆動力伝達機構10は、エンジン(回転駆動源)12及びデファレンシャルギア装置14を間として同軸状に配置された一組のドライブシャフト16a、16bを有する。
長尺な一方のドライブシャフト16aの一端部にはホイール側の第1アウタジョイント18aが連結され、他端部にはエンジン12側の第1インナジョイント20aが連結される。短尺な他方のドライブシャフト16bの一端部にはホイール側の第2アウタジョイント18bが連結され、他端部にはエンジン側の第2インナジョイント20bが連結される。
前記第1及び第2インナジョイント20a、20bは、デファレンシャルギア装置14の回転駆動軸にそれぞれ連結される異種又は同一種類の等速ジョイントからなり、前記回転駆動軸を媒介として前記エンジン12の振動が伝達される。また、前記第1及び第2アウタジョイント18a、18bは、同一構成からなる図示しない公知のバーフィールドタイプの等速ジョイントが用いられる。
前記デファレンシャルギア装置14側に連結される第1及び第2インナジョイント20a、20bとしては、第1〜第3等速ジョイント100、200、300からなる3種類が含まれる。
前記第1〜第3等速ジョイント100、200、300の組み合わせとしては、図2に示されるように、第1及び第2インナジョイント20a、20bが同一構造からなる第1等速ジョイント100によってそれぞれ構成される第1タイプの回転駆動力伝達機構10aと、図3に示されるように、第1及び第2インナジョイント20a、20bのいずれか一方が第1等速ジョイント100によって構成され他方が第2等速ジョイント200によって構成される第2タイプの回転駆動力伝達機構10bと、図4に示されるように、第1及び第2インナジョイント20a、20bのいずれか一方が第1等速ジョイント100によって構成され他方が第3等速ジョイント300によって構成される第3タイプの回転駆動力伝達機構10cとを有する。
なお、第2タイプ及び第3タイプの回転駆動力伝達機構10b、10cにおいて、第1等速ジョイント100は、左右の第1及び第2インナジョイント20a、20bのいずれの側に配設されてもよい。
前記第1〜第3タイプの回転駆動力伝達機構10a〜10cは、後述するように、3次振動及び/又はアイドリング振動の振動特性に対応して適宜選択されるものである。
次に、前記第1〜第3タイプの回転駆動力伝達機構10a〜10cを構成する第1〜第3等速ジョイント100、200、300について、順次、説明する。
先ず、第1等速ジョイント100の構成について以下に説明する。
この第1等速ジョイント100は、本出願人が既に特願2003−124214号において提案したものと同一構成からなり、後述するように、リテーナ136とインナリング130との間にスライドリング138が介装されたダブルオフセット型からなる。
前記第1等速ジョイント100は、図5に示されるように、第1軸112の一端部に一体的に連結されて開口部114を有する有底円筒状のアウタカップ116と、第2軸118の一端部に固着されてアウタカップ116の孔部120内に収納されるインナ部材122とから基本的に構成される。
図6及び図7に示されるように、前記アウタカップ116の内壁面は円筒面
124からなり、前記円筒面124には、軸方向に沿って延在し、軸心の回りにそれぞれ60度の間隔をおいて6本の第1案内溝126a〜126fが形成される。前記第1案内溝126a〜126fは、それぞれ、断面円弧状、あるいは一対の円弧がV字状に交差する断面複合曲線状に形成される。
インナ部材122は、外周面に前記第1案内溝126a〜126fに対応する断面円弧状の複数の第2案内溝128a〜128fが形成されたインナリング130と、前記アウタカップ116の内壁面に形成された第1案内溝126a〜126fと前記インナリング130の外周面に形成された第2案内溝128a〜128fとの間で転動可能に配設され、回転トルク伝達機能を営む複数(本実施の形態では、6個)のボール132とを含む。
また、前記インナ部材122は、前記ボール132を保持する複数の保持窓134が周方向に沿って形成され、アウタカップ116と前記インナリング130との間に介装されたリテーナ136と、前記リテーナ136とインナリング130との間に介装されるスライドリング138とを有する。
前記インナリング130は、第2軸118の端部にスプライン嵌合され、あるいは第2軸118の環状溝に装着されるリング状の係止部材を介して第2軸118の端部に一体的に固定される。該インナリング130の外周面には、アウタカップ116の第1案内溝126a〜126fに対応して配置され、周方向に沿って等角度離間する複数の第2案内溝128a〜128fが形成される。隣接する第2案内溝128a〜128fの間には、第2軸118の軸線と略平行に延在する凸状円筒面部(凸状円筒面)140が形成される。
なお、前記凸状円筒面部140と、該インナリング130の軸方向に沿った一端面または他端面との境界を形成する稜線部位には、それぞれ面取り加工が施された面取り部142が設けられる(図5参照)。
前記ボール132は、例えば、鋼球によって形成され、アウタカップ116の第1案内溝126a〜126fとインナリング130の第2案内溝128a〜128fとの間に周方向に沿ってそれぞれ1個ずつ転動可能に配設される。このボール132は、第1軸112の回転トルクを、インナリング130を介して第2軸118に伝達するとともに、第1案内溝126a〜126f及び第2案内溝128a〜128fに沿って転動することにより、第2軸118(インナリング130)と第1軸112(アウタカップ116)との間の軸方向の相対的変位及び交差する角度方向の相対的変位を可能とするものである。
前記リテーナ136は、略円筒状からなり、アウタカップ116の内壁面(円筒面124)に摺接する外周面には点Aを曲率中心とする第1球面144が設けられ、一方、内周面には点Bを曲率中心とする第2球面146が設けられる(図9参照)。なお、前記点A及び点Bは、それぞれ継手軸148上に配設されるとともに、ボール132の中心点Oを結ぶ仮想面(ボール中心面)と前記継手軸148とが直交する交点Cからそれぞれ等しくオフセットした位置に配設される(線分AC=線分BC)。
また、該リテーナ136には、ボール132の個数に対応し周方向に沿って等角度だけ離間する複数の断面略矩形状の保持窓134が形成され、前記保持窓134には第1案内溝126a〜126fと第2案内溝128a〜128fとの間に配設されるボール132が保持される。この場合、前記保持窓134の内径寸法(内径幅)は、ボール132の直径よりも僅かに小さく設定されている(図5参照)。
スライドリング138は、第2軸118の外周面を囲繞するように設けられ、且つ前記第2軸118の径方向に沿って形成された環状フランジ部150と、前記環状フランジ部150から折曲して第1軸112側に向かって略水平方向に所定長だけ突出するとともに、該環状フランジ部150の周方向に沿って等角度だけ離間して形成された複数の爪部152とからなり、前記環状フランジ部150と前記爪部152とが一体的に構成される(図7参照)。
前記スライドリング138の爪部152の外周面には、リテーナ136の内周面の第2球面146に接触して摺動可能に設けられ、且つ前記第2球面146に対応する曲率半径からなる第3球面154が形成される。前記爪部152の第3球面154は、環状フランジ部150の厚さをも含んで形成される(図5参照)。また、該爪部152の内周面には、インナリング130の外周面の凸状円筒面部140に接触して該インナリング130との間で軸方向の相対的変位を可能とする円筒面部(円筒面)156が形成される。
この場合、前記スライドリング138の爪部152は、凸状円筒面部140に沿ってインナリング130に外嵌され、隣接する爪部152の間に形成される空間部を介してボール132が配設される。
次に、第1等速ジョイント100の動作並びに作用効果について説明する。
第1軸112が回転すると、その回転トルクはアウタカップ116から各ボール132を介してインナリング130に伝達され、第2軸118が前記第1軸112と等速性を保持しながら所定方向に回転する。
この場合、例えば、車が急発進したときのように車のフロント側がアップしてリア側が沈み込んだときには、第1軸112と第2軸118との間に軸方向への相対的変位が発生し、インナリング130とアウタカップ116とが軸方向へ相対的に移動する。
その際、インナリング130の外周面に形成された凸状円筒面部140がスライドリング138の内周面に形成された円筒面部156に沿って摺動することにより、リテーナ136の保持窓134に保持されたボール132が転がり運動可能な状態となる。従って、リテーナ136の保持窓134に保持されたボール132は、第1案内溝126a〜126f及び第2案内溝128a〜128fに案内されて円滑に転動する。
一方、第1軸112と第2軸118との交差角度(作動角)が変化する場合には、第1案内溝126a〜126fと第2案内溝128a〜128fとの間で転動するボール132の作用下にリテーナ136が所定角度だけ傾動して前記角度変位が許容されるとともに、リテーナ136の内周面に形成された第2球面146とスライドリング138の外周面に形成された第3球面154とが摺動し、リテーナ136に対してスライドリング138が所定角度だけ傾動することにより、前記角度変位が許容される(図8参照)。
このように、第1軸112及び第2軸118の等速性を保持しつつ、それらの角度変位や軸方向の相対的変位が好適に許容される。
ここで、第1等速ジョイント100が軸方向の変位を吸収する場合について、図9に基づいて説明する。
第1軸112と第2軸118との間に軸方向への相対的変位が発生して、例えば、インナリング130が矢印X1方向に移動しようとする時、アウタカップ116の第1案内溝126a〜126fとボール132との接触点Dが100%転がり接触であると仮定すると、ボール132は、中心点Oを回転中心として矢印E方向の回転を伴いながら前記接触点Dを矢印X1で移動した距離の1/2だけ矢印X2の方向に沿って移動する。なお、図10は、前記アウタカップ116の第1案内溝126a〜126fを固定側とし、インナリング130を可動側としたときの、該インナリング130とボール132との移動量の関係を簡略化して説明したものである。
この場合、リテーナ136の内周面の第2球面146とスライドリング138の外周面の第3球面154とが球面接触して前記スライドリング138の軸方向への変位が規制されているが、スライドリング138の内周面の円筒面部156に沿ってインナリング130の外周面の凸状円筒面部140が摺動することにより、前記インナリング130の軸方向への変位が許容される。
従って、前記ボール132とインナリング130の第2案内溝128a〜128fとの接触点Fは、軸方向に沿って移動可能となり、100%転がり接触となる。この結果、第1軸112と第2軸118との間に軸方向の大きな相対的変位が発生した場合であっても、スライドリング138の内周面の円筒面部156とインナリング130の外周面の凸状円筒面部140との摺動作用下に、前記インナリング130の軸方向に対する変位量をより一層増大させることができ、広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることができる。
このように第1等速ジョイント100では、リテーナ136とインナリング130との間にスライドリング138を設けることにより、前記インナリング130の軸方向に対する変位量をより一層増大させ広範囲に渡ってスライド抵抗を低減させることができることから、アイドリング振動が吸収されて良好な振動特性が得られる。
さらに、第1等速ジョイント100では、リテーナ136によって6個のボール132が保持される構成が採用されているため、回転3次の誘起スラスト力に起因する3次振動が低減されて良好な振動特性が得られる。
次に、第2等速ジョイント200を図11に示す。
この第2等速ジョイント200は、継手軸上においてボール中心面の両側にオフセットして配置された曲率中心を有する部分球面状の内外表面を有するリテーナを備えたダブルオフセット型である点は前記第1等速ジョイント100と共通しているが、アウタカップ202内に配設されたリテーナ204とインナリング206との間にスライドリング138が設けられおらず、前記リテーナ204の内表面とインナリング206の外表面とが直接接触している点で第1等速ジョイント100と相違している。
なお、図11に示される第2等速ジョイント200において、第1等速ジョイント100と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2等速ジョイント200では、第1等速ジョイント100と比較してスライドリング138が設けられていない点で部品点数が少なくコストを削減することができるが、ボール132のころがり範囲が限定される点においてスライド抵抗が大きくなる。従って、第2等速ジョイント200は、回転3次の誘起スラスト力に起因する3次振動については第1等速ジョイント100と同様に良好な振動特性が得られるが、アイドリング振動については、第1等速ジョイント100と比較してその振動特性が劣る。
続いて、第3等速ジョイント300を図12に示す。
この第3等速ジョイント300は、公知のトリポード型等速ジョイントからなり、有底筒状のアウタカップ302の内壁面には、軸線方向に沿って延在し軸心の回りにそれぞれ120度の間隔をおいて3本の案内溝304a〜304cが形成される(但し、案内溝304b、304cは図示するのを省略している)。
前記アウタカップ302の空間部には、それぞれ案内溝304a〜304cに向かって膨出し軸心の回りに120度の間隔をおいて3本のトラニオン306a〜306cが一体的に形成される(但し、トラニオン306b、306cは、図示するのを省略している)。
外周に沿って部分球面を有する前記トラニオン306a(306b、306c)には、断面L字状に形成された筒状のローラ支持体308が外嵌され、前記ローラ支持体308の外周面には、複数本の転動体310を介してリング状のローラ312が装着される。なお、転動体310は、例えば、ニードル、ころ等を含む転がり軸受けであればよい。
第1〜第3タイプからなる回転駆動力伝達機構10a〜10cは、前記第1等速ジョイント100を基本とし、ダブルオフセット型の第2等速ジョイント200と、トリポード型の第3等速ジョイント300との組み合わせによって構成される。
次に、第1〜第3等速ジョイント100、200、300の3次振動、アイドリング振動に対する振動特性を図13に示す。図13において、○印は、各種の振動に対する特性が良好であることを示し、△印は、各種の振動に対する特性が普通であることを示している。
なお、3次振動(加速時振動)とは、2軸が作動角を有するときの回転3次の誘起スラスト力に起因する、発進、加速時における車体の横揺れをいい、アイドリング振動とは、軸方向のスライド抵抗に起因するものであり、回転トルクが付与されている状態において、車体が停止したときのフロア、ハンドル等に付与される振動をいう。
図13から諒解されるように、第1等速ジョイント100は、3次振動及びアイドリング振動のいずれの振動も抑制されて良好な振動特性を有し、第2等速ジョイント200は、3次振動が抑制されて良好な振動特性が得られるがアイドリング振動に対して普通の振動特性を有し、第3等速ジョイント300は、アイドリング振動が抑制されて良好な振動特性が得られるが3次振動に対して普通の振動特性を有する。
このような各種の振動に対して振動特性が異なる第1〜第3等速ジョイント100、200、300を組み合わせて、図2〜図4に示される第1〜第3タイプの回転駆動力伝達機構10a〜10cを構築する。
例えば、車体の種類、大きさや駆動方式の相違等によって、3次振動及びアイドリング振動のいずれの振動特性も劣化する条件を有する場合には、図2に示されるような左右の第1及び第2インナジョイント20a、20bの両方に第1等速ジョイント100、100がそれぞれ配設された第1タイプの回転駆動力伝達機構10aを選択する。なお、3次振動及びアイドリング振動のいずれの振動特性も劣化する条件とは、例えば、2軸の作動角が大きく、急発進時における車体のフロントノーズのアップ量が大きい車両で、且つ、独立四輪駆動車等の駆動トルクの大きい車両に使用された場合をいう。
また、例えば、車体の種類、大きさや駆動方式の相違等によって、アイドリング振動の振動特性は良好であるが3次振動の振動特性が劣化する条件を有する場合には、図3に示されるような第1及び第2インナジョイント20a、20bの一方に第1等速ジョイント100が配設され、他方に第2等速ジョイント200が配設された第2タイプの回転駆動力伝達機構10bを選択する。なお、アイドリング振動の振動特性は良好であるが3次振動の振動特性が劣化する条件とは、例えば、2軸の作動角が大きい車両に使用された場合をいう。
さらに、例えば、車体の種類、大きさや駆動方式の相違等によって、3次振動の振動特性は良好であるがアイドリング振動の振動特性が劣化する条件を有する場合には、図4に示されるような第1及び第2インナジョイント20a、20bの一方に第1等速ジョイント100が配設され、他方に第3等速ジョイント300が配設された第3タイプの回転駆動力伝達機構10cを選択する。なお、3次振動の振動特性は良好であるがアイドリング振動の振動特性が劣化する条件とは、例えば、独立四輪駆動車等の駆動トルクが大きい車両に使用された場合をいう。
このように本実施の形態では、各種の振動特性に対応して第1〜第3タイプの回転駆動力伝達機構10a〜10cのいずれか1つを任意に選択することにより、3次振動及びアイドリング振動がいずれも抑制されて良好な振動特性を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る選択方法を適用して構成された回転駆動力伝達機構が適用された前輪駆動車の一部省略斜視図である。 インナジョイントとして第1等速ジョイントが両側に連結された第1タイプの回転駆動力伝達機構を示す一部断面構成図である。 インナジョイントとして第1等速ジョイントと第2等速ジョイントとが組み合わされた第2タイプの回転駆動力伝達機構を示す一部断面構成図である。 インナジョイントとして第1等速ジョイントと第3等速ジョイントとが組み合わされた第3タイプの回転駆動力伝達機構を示す一部断面構成図である。 図2に示す第1等速ジョイントの軸方向に沿った縦断面図である。 前記第1等速ジョイントの軸方向に切り欠いた斜視図である。 前記第1等速ジョイントの分解斜視図である。 前記第1等速ジョイントの第2軸が傾動した状態の縦断面図である。 前記第1等速ジョイントの動作を説明する部分縦断面図である。 図9に示すボールとインナリングとの移動量の関係を簡略化した説明図である。 図3に示す第2等速ジョイントの軸方向に沿った縦断面図である。 図4に示す第3等速ジョイントの軸方向に沿った縦断面図である。 前記第1〜第3等速ジョイントの3次振動、アイドリング振動に対する特性を示す説明図である。
符号の説明
10、10a〜10c…回転駆動力伝達機構
12…エンジン 14…デファレンシャルギア装置
16a、16b…ドライブシャフト 18a、18b…アウタジョイント
20a、20b…インナジョイント
100、200、300…等速ジョイント 116、302…アウタカップ
126a〜126f、128a〜128f、304a〜304c…案内溝
130…インナリング 132…ボール
136…リテーナ 138…スライドリング

Claims (1)

  1. 回転駆動源を間にして同軸状に配置された第1及び第2ドライブシャフトを有し、前記第1ドライブシャフトのホイール側に連結された第1アウタジョイント及び回転駆動源側に連結された第1インナジョイントと、前記第2ドライブシャフトのホイール側に連結された第2アウタジョイント及び回転駆動源側に連結された第2インナジョイントとを有する車両用の回転駆動力伝達機構の選択方法において、
    前記第1及び第2インナジョイントは、
    継手軸上においてボール中心面との交点の両側に等距離だけオフセットした曲率中心を有する内外表面を有するリテーナによって複数のボールが保持され、前記リテーナとインナリングとの間にスライドリングが設けられたダブルオフセット型の第1等速ジョイントと、
    前記スライドリングが介装されることがなくリテーナの内面とインナリングの外面とが直接接触するダブルオフセット型の第2等速ジョイントと、
    アウタカップの内壁に形成された案内溝に向かって膨出する3個のトラニオンを有するトリポード型の第3等速ジョイントとの組み合わせによって構成され、
    前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイントによってそれぞれ構成される第1タイプと、
    前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイント及び第2等速ジョイントによってそれぞれ構成される第2タイプと、
    前記第1及び第2インナジョイントが前記第1等速ジョイント及び第3等速ジョイントによってそれぞれ構成される第3タイプと、
    を有し、
    前記第1タイプは、3次振動及びアイドリング振動のいずれの振動特性も劣化する条件を有するときに選択され、
    前記第2タイプは、3次振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択され、
    前記第3タイプは、アイドリング振動の振動特性が劣化する条件を有するときに選択されることを特徴とする回転駆動力伝達機構の選択方法
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