JP2004347113A - 等速ジョイント - Google Patents

等速ジョイント Download PDF

Info

Publication number
JP2004347113A
JP2004347113A JP2004132910A JP2004132910A JP2004347113A JP 2004347113 A JP2004347113 A JP 2004347113A JP 2004132910 A JP2004132910 A JP 2004132910A JP 2004132910 A JP2004132910 A JP 2004132910A JP 2004347113 A JP2004347113 A JP 2004347113A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
constant velocity
inner ring
ball
cylindrical surface
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004132910A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Mabuchi
徹 馬渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2004132910A priority Critical patent/JP2004347113A/ja
Publication of JP2004347113A publication Critical patent/JP2004347113A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pivots And Pivotal Connections (AREA)

Abstract

【課題】インナリングの移動量をより一層増大させることにより、さらに広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることが可能な等速ジョイントを提供することにある。
【解決手段】内表面の軸方向中央部の円筒面45およびその両側に形成された一組の第2球面46a、46bを有するリテーナ36と、スライドリング38と、インナリング30とを備え、前記スライドリング38の内表面には、前記インナリング30の凸状円筒面部40に接触する円筒面部56が形成され、該スライドリング38の外表面には第3球面54が形成され、前記第2球面46a、46bと第3球面54との間にスライドリング38が軸方向に変位可能な軸方向隙間55を設けた。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば、自動車の駆動力伝達部において、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結させるダブルオフセット型の等速ジョイントに関する。
従来より、自動車の駆動力伝達部では、一方の伝達軸と他方の伝達軸とを連結し回転力を各車軸へと伝達する等速ジョイントが用いられている。
この種の従来技術に係る等速ジョイントとして、例えば、特許文献1には、継手軸上においてボール中心面の両側にオフセットして配置された曲率中心を有する部分球面状の内外表面を有するケージを備えたダブルオフセット型等速ジョイントが開示されている。
この特許文献1に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントでは、ケージと内方継手部材との間(ケージ中央部の円筒面の両側)に軸方向隙間を設けることにより、軸方向振動が付与されたときでも内方継手部材とケージとが軸方向に沿って微小距離だけ相対移動することができるため、スライド抵抗を低減することができるとしている。
前記特許文献1では、走行時や停止時のアイドリング中のように駆動軸のトルクを伝達しながら角度変位や軸方向変位を生ずるような使用状態でのスライド抵抗を小さくすることにより、エンジン側からの駆動が車体へ伝達されて乗員に不快感を与えることを回避している。
同様に、特許文献2には、ダブルオフセット型等速ジョイントが開示されている。この特許文献2に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントでは、ケージ内周面の部分球面の曲率半径を、内方継手部材の外周面である球面の曲率半径よりも大きく設定し、しかも、前記ケージ内表面の部分球面の曲率中心を、内方継手部材の外周面である球面の曲率中心から径方向にオフセットした位置に配置することにより、より大きな軸方向間隙を形成することができるとしている。
前記特許文献2では、軸方向隙間が形成されるため、トルクが負荷された状態でエンジン側からの振動が作用しても、前記軸方向隙間によって内方継手部材とケージとによる相対的な軸方向の比較的小さな移動が可能となり、スライド抵抗を低減することができるとしている。
実公昭63−2665号公報(図1) 特開平11−182570号公報(図1)
しかしながら、前記特許文献1、2に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントは、ケージと内方継手部材との間に設けられた軸方向隙間を増大させることにより、ケージと内方継手部材との相対的な軸方向移動量を大きくしてスライド抵抗を低減しようとする技術的思想であり、前記軸方向間隙によって相対的に移動するケージと内方継手部材の移動距離が微小距離に限定されるとともに、軸方向間隙による移動距離に限界が生ずる。
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、ダブルオフセット型において、インナリングの移動量をより一層増大させることにより、さらに広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることが可能な等速ジョイントを提供することを目的とする。
この項では、理解の容易化のために添付図面中の符号にかっこを付けて説明する。但し、この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
本発明は、相交わる2軸(12、18)の一方に連結され、内周面を有するとともに軸方向に延在する複数の第1案内溝(26a〜26f)が形成され、一端部が開口するアウタ部材(16)と、
前記2軸の他方に連結され、外周に凸状円筒面(40)を有するとともに軸方向に延在し前記第1案内溝(26a〜26f)と同数の第2案内溝(28a〜28f)が形成されたインナリング(30)と、
前記第1案内溝(26a〜26f)と前記第2案内溝(28a〜28f)との間で転動可能に配設され、トルクを伝達するボール(32)と、
前記ボールを収納する保持窓(34)が形成され、第1球面(44)からなる外表面と、軸方向中央部の第1円筒面(45)およびその両側に連続して形成された一組の第2球面(46a、46b)からなる内表面とを有し、前記外表面の曲率中心(A)と前記内表面の軸方向の中心(B)とが継手軸上におけるボール中心面との交点(C)の両側に等距離だけオフセットした位置に配置されたリテーナ(36)と、
を備える等速ジョイントにおいて、
前記インナリング(30)と前記リテーナ(36)との間には中間部材(38)が介装され、前記中間部材には、前記インナリングの凸状円筒面(40)に接触する第2円筒面(56)と、前記リテーナの第2球面(46a、46b)に接触可能な第3球面(54)とが形成され、
前記リテーナの第2球面(46a、46b)と前記中間部材の第3球面(54)との間には、軸方向隙間(55)が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、2軸が交差して軸方向への相対的変位が発生し、インナリングとアウタ部材とが軸方向へ相対的に移動した際、前記中間部材がリテーナの内表面との間に形成された軸方向隙間に沿って軸方向に変位するとともに、さらに、インナリングの外周面に形成された凸状円筒面が中間部材の内周面に形成された第2円筒面に沿って摺動することにより、リテーナの保持窓に保持されたボールが転がり運動可能な状態となる。
従って、リテーナの保持窓に保持されたボールは、第1案内溝および第2案内溝に案内されて円滑に転動する。この結果、2軸の等速性が確保された状態において、インナリングの移動量がより一層増大し、さらに広い範囲にわたってスライド抵抗が低減する。
この場合、前記リテーナに形成された保持窓の軸方向の幅を、前記ボールの直径よりも大きく設定することにより、前記保持窓とボールとの間に軸方向のクリアランスが発生し、前記クリアランスによってさらにインナリングの移動量が増大する。
また、前記中間部材として、以下の形状を有するスライドリングによって構成すると好適である。すなわち、前記スライドリングは、第2軸の外周面を囲繞するように設けられ、且つ前記第2軸の径方向に沿って形成された環状フランジ部と、前記環状フランジ部から折曲して第1軸側に向かって略水平方向に所定長だけ突出するとともに、前記環状フランジ部の周方向に沿って等角度だけ離間して形成された複数の爪部とを有し、前記爪部の内側に形成された第2円筒面と前記インナリングの凸状円筒面とが面接触することにより、該インナリングの軸方向に沿って相対的に変位するように設けるとよい。
さらに、前記スライドリングを、前記爪部の内側に形成された第2円筒面と前記インナリングの凸状円筒面とが面接触することにより、該インナリングの周方向に沿って相対的に変位するように設けるとよい。前記インナリングの第2案内溝と前記スライドリングの爪部との間に介装されるボールの周方向に沿った自由度を持たせ、トルク伝達機能を有する前記ボールを2軸の交差角の二等分面上に安定して保持することができる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、継手軸上においてボール中心面との交点の両側に等距離だけオフセットした外表面と内表面とが形成されたリテーナにより、2軸の交差角を二等分する二等分面上にボールを保持して等速性を保持しながら、前記中間部材がリテーナの内表面との間に形成された軸方向隙間に沿って軸方向に変位するとともに、さらに、インナリングの外周面に形成された凸状円筒面が中間部材の内表面に形成された第2円筒面に沿って摺動することにより、インナリングの移動量をより一層増大させ、さらに広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることができる。
本発明に係る等速ジョイントについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において参照符号10は、本発明の実施の形態に係る等速ジョイントを示し、この等速ジョイント10は、第1軸12の一端部に一体的に連結されて開口部14を有する有底円筒状のアウタカップ(アウタ部材)16と、第2軸18の一端部に固着されてアウタカップ16の孔部20内に収納されるインナ部材22とから基本的に構成される。
図2および図3に示されるように、前記アウタカップ16の内壁面は円筒面24からなり、前記円筒面24には、軸方向に沿って延在し、軸心の回りにそれぞれ60度の間隔をおいて6本の第1案内溝26a〜26fが形成される。前記第1案内溝26a〜26fは、それぞれ、断面円弧状、あるいは一対の円弧がV字状に交差する断面複合曲線状に形成される。
インナ部材22は、外周面に前記第1案内溝26a〜26fに対応する断面円弧状の複数の第2案内溝28a〜28fが形成されたインナリング30と、前記アウタカップ16の内壁面に形成された第1案内溝26a〜26fと前記インナリング30の外周面に形成された第2案内溝28a〜28fとの間で転動可能に配設され、回転トルク伝達機能を営む複数(本実施の形態では、6個)のボール32とを含む。
また、前記インナ部材22は、前記ボール32を保持する複数の保持窓34が周方向に沿って形成され、アウタカップ16と前記インナリング30との間に介装されたリテーナ36と、前記リテーナ36とインナリング30との間に介装されたスライドリング38とを有する。
前記インナリング30は、第2軸18の端部にスプライン嵌合され、あるいは第2軸18の環状溝に装着されるリング状の係止部材を介して第2軸18の端部に一体的に固定される。該インナリング30の外周面には、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに対応して配置され、周方向に沿って等角度だけ離間する複数の第2案内溝28a〜28fが形成される。隣接する第2案内溝28a〜28fの間には、第2軸18の軸線と略平行に延在する凸状円筒面部(凸状円筒面)40が形成される。
なお、前記凸状円筒面部40と、該インナリング30の軸方向に沿った一端面または他端面との境界を形成する稜線部位には、それぞれ面取り加工が施された面取り部42が設けられる(図1参照)。
前記ボール32は、例えば、鋼球によって形成され、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fとインナリング30の第2案内溝28a〜28fとの間に周方向に沿ってそれぞれ1個ずつ転動可能に配設される。このボール32は、第1軸12の回転トルクを、インナリング30を介して第2軸18に伝達するとともに、第1案内溝26a〜26fおよび第2案内溝28a〜28fに沿って転動することにより、第2軸18(インナリング30)と第1軸12(アウタカップ16)との間の軸方向の相対的変位および交差する角度方向の相対的変位を可能とするものである。
前記リテーナ36は、略円筒状からなり、図5に示されるように、アウタカップ16の内壁面(円筒面24)に摺接する外表面には、点Aを曲率中心とする第1球面44が設けられる。
一方、前記リテーナ36には、軸方向の中心が点Bからなる内表面が形成され、前記内表面には、軸方向中央部に所定長だけ延在する円筒面(第1円筒面)45と、前記円筒面45の両側に連続して形成され、継手軸48から径方向に距離Kだけ離間する点Mおよび点Nを夫々曲率中心とする一組の第2球面46a、46bが設けられる。
なお、前記点Aおよび点Bは、それぞれ継手軸48上に配設されるとともに、ボール32の中心点Oを結ぶ仮想面(ボール中心面)と前記継手軸48とが直交する交点Cからそれぞれ等しくオフセットした位置に配設される(線分AC=線分BC)。
また、該リテーナ36には、ボール32の個数に対応し周方向に沿って等角度だけ離間する複数の断面略矩形状の保持窓34が形成され、前記保持窓34には第1案内溝26a〜26fと第2案内溝28a〜28fとの間に配設されるボール32が保持される。この場合、前記保持窓34の軸方向に沿った内径寸法(内径幅)は、ボール32の直径よりも僅かに大きく設定されている(図1参照)。
スライドリング38は、第2軸18の外周面を囲繞するように設けられ、且つ前記第2軸18の径方向に沿って形成された環状フランジ部50と、前記環状フランジ部50から折曲して第1軸12側に向かって略水平方向に所定長だけ突出するとともに、該環状フランジ部50の周方向に沿って等角度だけ離間して形成された複数の爪部52とからなり、前記環状フランジ部50と前記爪部52とが一体的に構成される(図3参照)。
前記スライドリング38の爪部52の外周面には、リテーナ36の内表面の第2球面46a、46bに接触可能に設けられ、且つ曲率中心が点Bからなる第3球面54が形成される。この場合、前記第3球面54の曲率半径は、リテーナ36の内表面に形成された一組の第2球面46a、46bよりも小さく設定され、前記リテーナ36の一組の第2球面46a、46bとスライドリング38の第3球面54との間で軸方向隙間55が形成される。
前記爪部52の第3球面54は、環状フランジ部50の厚さをも含んで形成される(図1参照)。また、該爪部52の内周面には、インナリング30の外周面の凸状円筒面部40に接触して該インナリング30との間で軸方向の相対的変位を可能とする円筒面部(第2円筒面)56が形成される。
この場合、前記スライドリング38の爪部52は、凸状円筒面部40に沿ってインナリング30に外嵌され、隣接する爪部52の間に形成される空間部を介してボール32が配設される。
本実施の形態に係る等速ジョイント10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作並びに作用効果について説明する。
第1軸12が回転すると、その回転トルクはアウタカップ16から各ボール32を介してインナリング30に伝達され、第2軸18が前記第1軸12と等速性を保持しながら所定方向に回転する。
この場合、例えば、車が急発進したときのように車のフロント側がアップしてリア側が沈み込んだときには、第1軸12と第2軸18との間に軸方向への相対的変位が発生し、インナリング30とアウタカップ16とが軸方向へ相対的に移動する。その際、スライドリング38が第2球面46a、46bと第3球面との間に形成された軸方向隙間55に沿って軸方向に変位するとともに、さらに、インナリング30の外周面に形成された凸状円筒面部40がスライドリング38の内周面に形成された円筒面部56に沿って摺動することにより、リテーナ36の保持窓34に保持されたボール32が転がり運動可能な状態となる。従って、リテーナ36の保持窓34に保持されたボール32は、第1案内溝26a〜26fおよび第2案内溝28a〜28fに案内されて円滑に転動する。
一方、第1軸12と第2軸18との交差角度が変化する場合には、第1案内溝26a〜26fと第2案内溝28a〜28fとの間で転動するボール32の作用下にリテーナ36が所定角度だけ傾動して前記角度変位が許容されるとともに、リテーナ36の内表面に形成された第2球面46a、46bとスライドリング38の外表面に形成された第3球面54とが軸方向隙間55を介して接触し、リテーナ36に対してスライドリング38が所定角度だけ傾動することにより、前記角度変位が許容される(図5参照)。
このように、第1軸12および第2軸18の等速性を保持しつつ、それらの角度変位や軸方向の相対的変位が好適に許容される。
ここで、本実施の形態に係る等速ジョイント10が軸方向の変位を吸収する場合について、図6に基づいて説明する。
第1軸12と第2軸18との間に軸方向への相対的変位が発生して、例えば、インナリング30が矢印X1方向に移動しようとするとき、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fとボール32との接触点Dが100%転がり接触であると仮定すると、ボール32は、中心点Oを回転中心として矢印E方向の回転を伴いながら前記接触点Dを矢印X1で移動した距離の1/2だけ矢印X2の方向に沿って移動する。なお、図7は、前記アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fを固定側とし、インナリング30を可動側としたときの、該インナリング30とボール32との移動量の関係を簡略化して説明したものである。
この場合、リテーナ36の内表面の第2球面46a、46bとスライドリング38の外表面の第3球面54との間に形成された軸方向隙間55に沿って、前記スライドリング38が軸方向に移動するとともに、スライドリング38の内周面の円筒面部56に沿ってインナリング30の外周面の凸状円筒面部40が摺動することにより、前記インナリング30の軸方向への変位が許容される。
従って、図6に示されるように、前記ボール32とインナリング30の第2案内溝28a〜28fとの接触点Fは、軸方向に沿って移動可能となり、100%転がり接触となる。この結果、第1軸12と第2軸18との間に軸方向の大きな相対的変位が発生した場合であっても、第2球面46a、46bと第3球面54との間に形成された軸方向隙間55に沿ってスライドリング38が軸方向に変位し、しかも、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40との摺動作用下に、前記インナリング30の軸方向に対する変位量をより一層増大させることができ、広い範囲にわたってスライド抵抗を低減させることができる。
次に、本実施の形態に係る等速ジョイント10と、比較例に係る等速ジョイント(特開平3−277822号公報参照)101とを以下、詳細に比較して説明する。
この比較例に係る等速ジョイント101は、図15に示されるように、第1案内溝102が形成された外方継手部材103と、第2案内溝104が形成された内方継手部材105と、前記第1案内溝102と第2案内溝104との間で転動可能に配設されたボール106と、前記外方継手部材103と内方継手部材105との間に介装され、前記ボール106を保持するボール保持窓107が形成されたケージ108と含む。
また、前記比較例に係る等速ジョイント101は、内方継手部材105とケージ108との間に介装された摺動リング109と、前記摺動リング109と前記ケージ108の軸方向端部との間に配設された一対の弾性変形可能な弾性部材110a、110bとを有する。
前記摺動リング109には、ケージ108の内周面と当接する直円筒状の外周面111と、内方継手部材105の外周面と当接する凹球面状の内周面112と、ボール保持窓107に対応する位置に設けられ該ボール保持窓107よりも少し大きい収容窓とが形成されている。
前記比較例に係る等速ジョイント101では、駆動軸114と被駆動軸115との間に軸方向への相対的変位が発生し、内方継手部材105と外方継手部材103とが軸方向に沿って相対的に移動した際、前記摺動リング109は、内方継手部材105とともに移動し、前記ケージ108に対して軸方向に摺動する。前記摺動リング109の変位は、その両端に配設された一対の弾性部材110a、110bによって吸収される。
前記内方継手部材105と外方継手部材103間の大きな軸方向の相対的移動がなくなると、前記一対の弾性部材110a、110bが弾性復帰し、摺動リング109を介してケージ108は内方継手部材105に対して初期設定位置に戻されセンタリングされる。
このため、比較例に係る等速ジョイント101では、ボール106が、常に転がり運動可能な状態に保持され、駆動軸114と被駆動軸115間に軸方向の大きな相対的変位が発生してもスライド抵抗を小さく維持することができるとしている。
次に、本実施の形態に係る等速ジョイント10と比較例に係る等速ジョイント101との構成、作用効果について比較検討する。
本実施の形態に係る等速ジョイント10では、スライドリング38の外表面の第3球面54とリテーナ36の内表面の第2球面46a、46bとの間に軸方向隙間55が形成されているとともに、スライドリング38の内周面の円筒面部56がインナリング30の凸状円筒面部40と接触するように形成されているのに対し、比較例に係る等速ジョイント101では、摺動リング109の直円筒状の外周面111がケージ108の内周面と接触するとともに、摺動リング109の凹球面状の内周面112が内方継手部材105の外周面と接触するように形成されている点で構成が相違する。
作用の点に関しては、本実施の形態に係る等速ジョイント10では、インナリング30が単独でスライドリング38に沿って軸方向に変位するように設けられているのに対し、比較例に係る等速ジョイント101では、内方継手部材105が摺動リング109と一体的に軸方向に変位する点で相違している。
効果の点に関しては、本実施の形態に係る等速ジョイント10では、第2球面46a、46bと第3球面54との間に形成された軸方向隙間55に沿ってスライドリング38が軸方向に変位可能に設けられ、しかも、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40との摺動作用下に、前記インナリング30の軸方向に対する変位量を大きく設定することが可能であるのに対し、比較例に係る等速ジョイント101では、摺動リング109の変位を吸収する一対の弾性部材110a、110bが該摺動リング109とケージ108の軸方向端部との間に配設されているため、内方継手部材105が微小距離だけ移動することが可能である。
この場合、比較例に係る等速ジョイント101では、前記内方継手部材105の移動量を増大させようとすると、ケージ108およびボール106が二等分面からはずれることになり、駆動軸114と被駆動軸115との等速性を確保することが困難となるおそれがある。
これに対して本実施の形態に係る等速ジョイント10では、第1軸12と第2軸18との等速性を確保するダブルオフセット型の等速ジョイント10の構成を保持した状態において、インナリング30の軸方向に対する変位量をより一層増大させている点で比較例に係る等速ジョイント101とは異なる顕著な効果を有する。
ここで、本実施の形態に係るダブルオフセット型の等速ジョイント10の等速性について、図8に基づいて説明する。
図7において、ボール32は、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fとインナリング30の第2案内溝28a〜28fとの間で転動自在に配設されている。前記第1案内溝26a〜26fと入力軸である第1軸12の軸線Gとが平行となるように設けられ、前記第2案内溝28a〜28fと出力軸である第2軸18の軸線Hとが平行となるように設けられている。なお、軸線Iはリテーナ36の軸線を示している。
また、入力軸角速度をω1とし、出力軸角速度をω2とし、ボール32の中心点Oからアウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに対して垂線をおろしたときの接触点をaとし、ボール32の中心点Oからインナリング30の第2案内溝28a〜28fに対して垂線をおろしたときの接触点をbとする。
この場合、入力軸である第1軸12から見たボール32の接線速度V1は、
V1= ベクトルao・ω1 …(1)
となり、一方、出力軸である第2軸18から見たボール32の接線速度V2は、
V2= ベクトルbo・ω2 …(2)
となる。ここで、V1=V2より
ベクトルao・ω1=ベクトルbo・ω2 …(3)
が成り立つ。
この場合、ベクトルao=ベクトルboであるから、ω1=ω2となり、入力軸である第1軸12と出力軸である第2軸18との等速性が確保される。
このように、本実施の形態では、第2球面46a、46bと第3球面54との間に形成された軸方向隙間55に沿ってスライドリング38が軸方向に変位可能に設けられ、しかも、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40との摺動作用下に、前記インナリング30の軸方向に対する変位量を大きく設定した場合であっても、トルク伝達機能を営むボール32(複数のボール中心を結んだボール中心面)を第1軸12と第2軸18の交差角を二等分する二等分面上に保持するように構成されているため、等速性が確保される。
さらに、本実施の形態では、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40とが面接触して摺動することにより、前記インナリング30とスライドリング38との周方向に対する僅かな相対的変位(約1mm)が許容される。
例えば、第1軸12と第2軸18との交差角(作動角)が0度のとき、第2軸18側からみた6個のボール32の位置は、アウタカップ16の第1案内溝26a〜26fに沿って周方向に等角度だけ離間した状態(中心から等間隔状態)に見えるが(図4参照)、2軸が角度変位して第1軸12と第2軸18とが交差角(作動角)を有するとき、第2軸18側から見たボール32の見かけ状の位置は、周方向に沿って等角度でない状態となる(中心から等間隔でない状態)。
従って、このような等間隔でないように見えるボールの見かけ状の位置にあるとき、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40とが面接触し周方向に沿って摺動可能とすることにより、ボール32の周方向に対する自由度を持たせ、トルク伝達機能を営むボール32(複数のボール中心を結んだボール中心面)を第1軸12と第2軸18の交差角を二等分する二等分面上に安定して保持することができる。
さらにまた、本実施の形態では、スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40とが面接触構造とすることにより、面圧を低下させるとともに、良好なグリース介入性(潤滑性)が得られ、耐久性を向上させることができる。
なお、図4に示されるように、スライドリング38の爪部52の周方向に沿った幅寸法Mと、インナリング30の凸状円筒面部40の周方向に沿った幅寸法Nとは、M<Nに設定される。従って、スライドリング38の爪部52と隣接するボール32、32との間で一組の周方向クリアランス59a、59bが形成され、前記スライドリング38とインナリング30とは、該スライドリング38の内周面の円筒面部56とインナリング30の外周面の凸状円筒面部40とが面接触した状態で前記一組の周方向クリアランス59a、59bの合計分だけ周方向に沿って相対的に変位可能に設けられる。また、スライドリング38の周方向に沿った爪部52の離間距離は、ボール32の直径よりも僅かに大きく設定される。
次に、本実施の形態に係る等速ジョイント10をドライブシャフト58に適用した状態を図9に示す。このドライブシャフト58には、図示しないデファレンシャルギヤ側に本実施の形態に係る等速ジョイント10が組み付けられ、反対のホイール側に公知のバーフィールド型の等速ジョイント60が組み付けられている。
本実施の形態に係る等速ジョイント10を、デファレンシャルギヤ側に連結されるドライブシャフト58の端部に適用することにより、前記デファレンシャルギヤからの駆動力を図示しないタイヤに伝達する際、角度変位や軸方向の相対的変位を好適に吸収することができる。
次に、本発明の変形例に係る等速ジョイント10a〜10dを図10乃至図14に示す。
図10に示される第1変形例に係る等速ジョイント10aでは、リテーナ36の保持窓34の内径寸法(内径幅)を、ボール32の直径よりも大きく設定し、保持窓34の内壁面とボール32との間にクリアランス62を形成することにより、インナリング30の軸方向の変位量をより一層増大させることができる。
また、図11に示される第2変形例に係る等速ジョイント10bでは、インナリング30の第2案内溝28a〜28fの一方の終端部位を膨出形成させて、ボール32の変位量を規制するストッパ部64を形成している。
さらに、図12に示される第3変形例に係る等速ジョイント10cでは、スライドリング38とインナリング30との当接部位に第1部材66を装着するとともに、前記ストッパ部64に第2部材68を装着することにより、干渉音を抑制するようにしている。前記第1および第2部材66、68は、例えば、樹脂製材料によって形成するとよいが、これに限定されるものではなく、干渉音を抑制するために他の材料を用いてもよい。
さらにまた、図13および図14に示される第4変形例に係る等速ジョイント10dでは、アウタカップ16の円筒面24に対して、隣接する第1案内溝26a〜26fと略平行に軸方向に延在し、且つ周方向に沿って等角度離間する複数の潤滑油用通路72a〜72fが形成されている。
この潤滑油用通路72a〜72fは、断面円弧状の長溝からなり、アウタカップ16の孔部20内に配設されたインナ部材22(インナリング30、ボール32、リテーナ36およびスライドリング38が一体的に組み付けられたユニットをいう)を間として、前記アウタカップ16の奥部側と手前側とを連通させて該アウタカップ16の孔部20内における円滑な潤滑油の供給を確保する機能を営む。
本発明の実施の形態に係る等速ジョイントの軸方向に沿った縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの軸方向に切り欠いた斜視図である。 図1に示す等速ジョイントの分解斜視図である。 図1に示す等速ジョイントのIV−IV線に沿った縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの第2軸が傾動した状態の縦断面図である。 図1に示す等速ジョイントの動作を説明する部分縦断面図である。 図6に示すボールとインナリングとの移動量の関係を簡略化した説明図である。 図1に示す等速ジョイントの等速性の説明図である。 図1に示す等速ジョイントをドライブシャフトに適用した状態の一部縦断面構成図である。 本発明の第1変形例に係る等速ジョイントの部分縦断面図である。 本発明の第2変形例に係る等速ジョイントの部分縦断面図である。 本発明の第3変形例に係る等速ジョイントの部分縦断面図である。 本発明の第4変形例に係る等速ジョイントの軸方向に切り欠いた斜視図である。 図13に示す等速ジョイントの軸線と直交する方向の縦断面図である。 比較例に係る等速ジョイントの縦断面図である。
符号の説明
10、10a〜10d…等速ジョイント 12…第1軸
14…開口部 16…アウタカップ
18…第2軸 26a〜26f…第1案内溝
28a〜28f…第2案内溝 30…インナリング
32…ボール 34…保持窓
36…リテーナ 38…スライドリング
40…凸状円筒面部 44…第1球面
45…円筒面 46a、46b…第2球面
48…継手軸 50…環状フランジ部
52…爪部 54…第3球面
55…軸方向隙間 56…円筒面部
58…ドライブシャフト 59a、59b…周方向クリアランス
72a〜72f…潤滑油用通路

Claims (4)

  1. 相交わる2軸の一方に連結され、内周面を有するとともに軸方向に延在する複数の第1案内溝が形成され、一端部が開口するアウタ部材と、
    前記2軸の他方に連結され、外周に凸状円筒面を有するとともに軸方向に延在し前記第1案内溝と同数の第2案内溝が形成されたインナリングと、
    前記第1案内溝と前記第2案内溝との間で転動可能に配設され、トルクを伝達するボールと、
    前記ボールを収納する保持窓が形成され、第1球面からなる外表面と、軸方向中央部の第1円筒面およびその両側に連続して形成された一組の第2球面からなる内表面とを有し、前記外表面の曲率中心と前記内表面の軸方向の中心とが継手軸上におけるボール中心面との交点の両側に等距離だけオフセットした位置に配置されたリテーナと、
    を備える等速ジョイントにおいて、
    前記インナリングと前記リテーナとの間には中間部材が介装され、前記中間部材には、前記インナリングの凸状円筒面に接触する第2円筒面と、前記リテーナの第2球面に接触可能な第3球面とが形成され、
    前記リテーナの第2球面と前記中間部材の第3球面との間には、軸方向隙間が設けられることを特徴とする等速ジョイント。
  2. 請求項1記載の等速ジョイントにおいて、
    前記リテーナに形成された保持窓の軸方向の幅は、前記ボールの直径よりも大きく設定されることを特徴とする等速ジョイント。
  3. 請求項1記載の等速ジョイントにおいて、
    前記中間部材はスライドリングからなり、前記スライドリングは、第2軸の外周面を囲繞するように設けられ、且つ前記第2軸の径方向に沿って形成された環状フランジ部と、前記環状フランジ部から折曲して第1軸側に向かって略水平方向に所定長だけ突出するとともに、前記環状フランジ部の周方向に沿って等角度だけ離間して形成された複数の爪部とを有し、前記爪部の内側に形成された第2円筒面と前記インナリングの凸状円筒面とが面接触することにより、該インナリングの軸方向に沿って相対的に変位することを特徴とする等速ジョイント。
  4. 請求項3記載の等速ジョイントにおいて、
    前記スライドリングは、前記爪部の内側に形成された第2円筒面と前記インナリングの凸状円筒面とが面接触することにより、該インナリングの周方向に沿って相対的に変位することを特徴とする等速ジョイント。
JP2004132910A 2003-04-28 2004-04-28 等速ジョイント Pending JP2004347113A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004132910A JP2004347113A (ja) 2003-04-28 2004-04-28 等速ジョイント

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003124218 2003-04-28
JP2004132910A JP2004347113A (ja) 2003-04-28 2004-04-28 等速ジョイント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004347113A true JP2004347113A (ja) 2004-12-09

Family

ID=33543365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004132910A Pending JP2004347113A (ja) 2003-04-28 2004-04-28 等速ジョイント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004347113A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007071394A (ja) * 2005-09-08 2007-03-22 Gkn Driveline Bruneck Ag 等速ジョイントのためのケージおよびケージの製作方法
KR101314447B1 (ko) 2012-06-18 2013-10-14 현대위아 주식회사 자동차용 슬라이드식 볼타입 등속조인트

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007071394A (ja) * 2005-09-08 2007-03-22 Gkn Driveline Bruneck Ag 等速ジョイントのためのケージおよびケージの製作方法
KR101314447B1 (ko) 2012-06-18 2013-10-14 현대위아 주식회사 자동차용 슬라이드식 볼타입 등속조인트

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3859295B2 (ja) 摺動型等速自在継手
WO2014208242A1 (ja) 固定式等速自在継手
JP2008232303A (ja) 摺動式等速ジョイント
JP2002054649A (ja) トリポード型等速自在継手
US8608578B2 (en) Constant velocity joint of tripod type
CN111946751A (zh) 三球销式等速万向节
JPH11336784A (ja) 等速自在継手
JP2004347113A (ja) 等速ジョイント
JPH0689785B2 (ja) 等速自在継手
JP2004347114A (ja) 等速ジョイント
JPS62255615A (ja) スライド式等速自在継手
CN110360238B (zh) 等速接头
JPH03277822A (ja) 等速ジョイント
US9447824B2 (en) Universal joint
JP2007239878A (ja) ドライブシャフト用ブーツ
CN218266870U (zh) 滑动式等速万向联轴器
JP2007071277A (ja) 等速ジョイント
JP2578286Y2 (ja) 等速ジョイント
WO2007029514A1 (ja) 等速ジョイント
JP2590508B2 (ja) 自在継手
JP2007071278A (ja) 等速ジョイント
JP4574999B2 (ja) 回転駆動力伝達機構の選択方法
WO2014208241A1 (ja) 固定式等速自在継手
JP2006266324A (ja) 等速自在継手
JP2006266325A (ja) 等速自在継手