JP4574328B2 - 試料温度調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料温度調整装置に関し、より具体的にはPCR反応を実現するための装置に用いる試料温度調整装置に関するものである。
生命現象を解明する方法の一つとして、生物を分子レベルで調べる分子生物学が近年飛躍的な進歩を遂げ、なお活発な研究が続けられている。分子生物学の中心は生命現象の担い手であるタンパク質であり、それを設計、制御する遺伝子である。生物の遺伝情報は遺伝子DNAに格納されている。従って、このDNAに格納されている塩基配列が遺伝の本質である。
DNA塩基配列決定を行うためには、その前段階としてクローニング処理を行う必要がある。
近年、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(Polymerase・Chain・Reaction)、以下これを「PCR」と記す)法が開発され、遺伝子の塩基配列に関する情報さえあれば比較的簡単に遺伝子をクローニングできるようになった。
このPCR法は、特定のDNA領域を挟んだ2種類のプライマとDNA合成酵素によるDNA合成反応の試験管内における繰り返しで、その特定DNA領域を数十万倍に増幅する方法である。具体的なサイクルの一例としては、(1)95℃で1分間(熱変性反応時間)、(2)37℃で30秒(プライマーのアニーリング時間)、および(3)65℃で3分間(Taqポリメラーゼ反応)を連続的に20〜40回繰り返すものである。
この様なPCR反応を実現するため、従来例の装置においては、PCR反応を実現するための従来例の装置では、DNA反応溶液の入った容器を各反応に適した温度に調整された冷媒(ここでは加熱・冷却両方の目的で使用される空気や水などの気体もしくは液体と定義する)に接するように構成し、冷媒との熱交換によって、DNA反応溶液の温度を変化させる方法が一般的に用いられていた。
しかしながら、このような従来例の装置では、試料温度を高速に変化させる上で、冷却行程の応答性が悪く、高速冷却の要請に対応することができず、また、伝熱による冷却では、試料温度が冷媒温度に近づくに従って冷媒への伝熱量が減る、すなわち冷却量が減少するため、試料自体が所望の温度に到達するには時間がかかるという問題を有していた。
このため、電子レンジ等で使われるマイクロ波を用いて、試料を直接加熱させる方法を用いた装置が特許文献1〜4等で提案されている。
ここで、その一例として特許文献1の装置を図6を用いて説明する。図6において、試料66の入った試料容器65が冷媒102に接しており、冷媒102によって試料容器65の冷却が行えるように構成されている。この試料66の加熱はマグネトロン63から放出されるマイクロ波を用いて行われる。マイクロ波は、試料66自体を構成している分子を高速に振動させることで、分子間の摩擦で熱を生じさせる機能を有しており、これにより試料66を直接加熱するように構成されている。
国際公開公報WO91/12888 国際公開公報WO95/15671 国際公開公報WO98/06876 国際公開公報WO00/36880
しかしながら、上記特許文献1等のマイクロ波を用いて、試料を直接加熱させるものにおいても、つぎのような問題を有している。
例えば上記特許文献1の装置では、マグネトロン63により試料66だけでなく冷媒102も同時に加熱する構成であるため、マグネトロン63の出力は非常に大きいものが必要とされ、このように大きな出力のもとでは、試料66および冷媒102の温度ムラが生じやすい。また、試料66だけを加熱する構成にすれば、試料66温度が上がると同時に試料容器65を通して冷媒102に熱が逃げてしまい、効率的な加熱ができないこととなる。
このようなことから、例えば図7に示すように、電流を変化させることで、表面温度を高温側にも低温側にも高速に変化できるペルチェ素子の性質を利用して、試料76の温度調整を行う装置の採用も考えられる。しかし、これによる場合、ペルチェ素子の形状の制限より伝熱面をペルチェ素子714に合わせる必要があり、そのため図7に示すような試料容器75に限定されてしまう。
また、図8に示すように、ペルチェ素子814に試料容器85に合わせた温調ブロック817を取り付けて、温調ブロック817を介して試料86への伝熱を行うことも考えられるが、温調ブロック817の熱容量の分だけ応答性が損なわれるため、これによっても高速反応は望めない。
一方、上記特許文献4等でも述べられているように、試料の加熱には効率的なマイクロ波を用いて高速に行い、冷却にはペルチェ素子を用いて行う方式の採用も考えられるが、結局のところ試料容器に接触している温調媒体(図6では冷媒102、図7ではペルチェ素子714がこれに相当する。)の温度がマイクロ波による試料の温度上昇についていけなければ、せっかく試料温度を上げても試料から冷却媒体へ熱が逃げてしまい、冷却媒体の温度応答性の高速化を図ることは望めない。このことは、実際にマイクロ波加熱による試料温度の変化より高速に温度を可変できる温調媒体は見当たらないことより、従来の装置構成ではマイクロ波の高速加熱のメリットを充分に生かせてないことからも明らかである。
以上の課題を回避するためには、試料に対してマイクロ波加熱を行う時に試料容器の冷却媒体との接触を離し、冷却する時のみに試料容器を冷却媒体と接触させるようにすれば、加熱時は試料から冷却媒体へ熱が逃げないため、マイクロ波加熱の高速加熱を生かせる。しかし、これによると容器を冷却媒体から離す移動機構が必要となり、装置構成が複雑化し、また冷却構成は従来装置と変わらないため冷却行程における高速化は、依然として望めない。
これらの問題は、マイクロ波を用いることで試料への加熱量を自由に高速可変できるのに対して、試料への冷却量を高速に可変できる手段を見出せなかったことによるのである。近年マイクロ波を適用したPCR装置に関する開発が活発になされているが、そのマイクロ波加熱のメリットを十分生かすような冷却構成に関する記述が見当たらない。
本発明は、上記課題に鑑み、試料への高速加熱のできるマイクロ波加熱のメリットを充分に生かせるように、冷却を高速に行うことが可能となる冷却手段を構成することができ、温度調整のより一層の効率化を図ることが可能となる試料温度調整装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下のように構成した試料温度調整装置を提供するものである。
すなわち、本発明の試料温度調整装置は、試料の温度を調整する試料温度調整装置において、
前記試料を収容する試料容器をシール部材を介して差し込む差し込み部を備え、該差し込み部に該試料容器が差し込まれることにより該シール部材によって外気とシールされ、内部が減圧可能に構成されている減圧容器と、
前記差し込み部から前記減圧容器の内部に差し込まれた前記試料容器の表面に液体を付着させ、付着した前記液体の気化熱により前記試料を冷却する冷却手段と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、試料への高速加熱のできるマイクロ波加熱のメリットを充分に生かせるように、冷却を高速に行うことが可能となる冷却手段を構成することができ、温度調整のより一層の効率化を図ることが可能となる試料温度調整装置を実現することができる。
上記した構成により、本発明の課題を達成することができるものであるが、本発明の実施の形態においては、より具体的には、前記試料温度調整装置の前記冷却手段を、前記試料容器の表面に前記液体を噴出して前記液体を付着させる噴出手段と、付着液体量を調整する調整手段とを備えた構成とし、試料の冷却量を調整しながら高速に可変することが可能となる。
また、この噴出手段を、液体を霧状に噴出させるように構成することで、試料容器表面に満遍なく液体を付着でき、つまりは均一に冷却することが可能となる。また、前記試料容器の表面の少なくとも一部を、減圧もしくは真空にする手段を有する構成とすることで、液体の気化を促進することができ、また液体の種類の自由度を増すことが可能となる。
さらに、前記試料容器には、その表面の少なくとも一部を覆う遮蔽板を設けた構成とすることにより、噴出液体を無駄なく、試料容器に付着させることが可能となる。
また、これらの冷却手段は、試料に対してマイクロ波加熱する手段を設けた試料温度調整装置に対して、特に効果を発揮する。また、試料温度を検出する非接触温度計を有することで装置構成がシンプルになり、使い勝手が向上する。そして、これらを構成した試料温度調整装置をPCR装置に適応すれば、試料の温度変化を高速に行うことができ、つまりはPCR反応の全工程時間の大幅な短縮が可能となる。
以上の本実施の形態によれば、加熱・冷却途中において、真空断熱の効果で試料への熱外乱が入らないようにすることができ、効率よく加熱・冷却することが可能となる。
また、液体の気化熱による冷却手段とマイクロ波加熱との組み合わせ構成を採ることにより、従来例のような伝熱による加熱・冷却による構成の下で、温調媒体との温度差が小さくなる(設定温度に近づく)と伝熱量が減るため、高速な温度調整が出来ないものに比して、試料温度に関係なく調整熱量を自由に変化できるため、高速な温度調整が可能となる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1では、本発明を適用してPCR装置を構成した。
図1に、本実施例のPCR装置の構成を示す。
図1において、1は減圧容器、2は排気装置、3はマグネトロンである。また、4は噴出ノズル、5は試料容器、6は試料(PCR反応液)である。
7は噴出液量調整バルブ、8はリークバルブ、9は圧力計であり、また、10は制御コントローラ、11は端末器、12は非接触温度計、13はシールリングである。
試料容器5にはPCR反応液(試料)6が入っており、この試料容器5がシールリング13で外気とシールされながら減圧容器1に差し込まれている。
減圧容器1には、ポンプなどの排気装置2と圧力計9およびリークバルブ8が取り付けられており、容器内圧力を自在に変えられる構成になっている。
また、マグネトロン3が減圧容器1内に設置されており、マグネトロン3から発するマイクロ波の出力を制御することで、自在にPCR反応液6の加熱量を調整することができる。
また、マイクロ波加熱の効率的な加熱をより活かすために、PCR反応液6の冷却には気化熱を利用した構成になっている。つまり、減圧容器1外から調整バルブ7を通して導入された水が、噴出ノズル4から試料容器5に対して霧状へ噴霧する構造になっている。
ここで、適当な霧状水滴を形成するため、排気装置2が許す範囲で空気などの気体と混合させたものを吹き付けてもよい。その場合、気体の断熱膨張による気体の冷却効果も期待できる。
水の微小な水滴が試料容器5に付着した後、水はPCR反応液6の熱を奪って気化する。また、水が気化するのを促進するため、減圧容器1内は減圧させている。
また、各試料6温度を測定するため非接触温度計12が取り付けられている。もちろん、装置構成によっては、代表試料の温度のみを測定してもよい。
ここで、非接触温度計とは一般に赤外線温度計を指すが、試料6中にマイクロカプセルに封入された感温液晶を混在させて、マイクロカプセル中の液晶からの反射光を光センサで検出することにより試料6の温度を測定することもできる。感温液晶とは液晶の周囲の温度によって結晶の配向が変わる物質のことである。また温度によって発光する色が異なる蛍光体を試料6中に混在させて蛍光体の反射光を測定することによって試料の温度を測定してもよい。
また、非接触温度計12、マグネトロン3、調整バルブ7、排気装置2、圧力計9、リークバルブ8は制御コントローラ10に接続されており、端末器11によって設定された試料温度プロファイルに沿って非接触温度計12の出力をもとにマグネトロン3と調整バルブ7を調整して試料6温度の調整を行う。さらに試料容器5の取り付け、取はずしに伴い、リークバルブ8・排気装置2を圧力計9の出力と装置状態に応じて制御コントローラ10が調整を行う。
水が液体から気体に気化する時に奪う熱、つまり気化熱は、1gあたり約2400Jにもなり、この熱量を全て冷却に使えれば、例えば10ccの水溶液試料温度を57℃も下げることが可能となる。
また、水の蒸気圧は水温が0℃でも611[Pa]であるため、減圧容器1内を500Pa程度以下にすれば、水滴は気化熱を得たと同時に気化が可能となり、水滴の気化を促進することになる。尚、噴出ノズル4や減圧容器1なども付着水滴の気化により冷却される恐れがあるため、適時各箇所にヒータを設ける(不図示)などして、弊害が生じないように対策をしている。
ここでは、噴出液体として水を取り上げたが、水より蒸気圧の低い液体、例えばエチルアルコールやジエチルエーテル、ベンゼンなども適用が可能である。特にジエチルエーテルの大気圧での沸点は34.6℃であり、この温度はPCR反応過程での最も低い試料温度37℃よりも低いことより、ジエチルエーテル(気化熱351[J/g])を噴出液体として適用すれば、減圧容器1内が大気圧でもPCR反応のための冷却には問題ないといえる。つまり、これらを用いれば排気装置2の規模を小さくする(もしくはなくす)ことが出来る。但し、これらの気化熱は水ほど大きくないので噴出量を増やす必要はあるし、人体への影響が危惧される液体もあるので取り扱いに注意を要する。さらに、噴出ノズル4で噴出するまでの液体の管理(圧力や温度)が出来れば蒸気圧の小さなアンモニアやアセチレン、もしくは液体窒素なども適用出来、より低温冷却が可能となる。
ここで、本実施例の装置によるPCR反応の流れを、図2および図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、図2示される流れにおいて、PCR反応液6を入れた試料容器5をシールリング13部に挿入する(step1)。
確実に挿入されたことを確認されれば、制御コントローラ10はリークバルブ8を閉じ排気装置2を起動させる(step2)。
試料容器5が確実に挿入され、圧力計9の出力より適正な圧力(噴出液体が水であれば、500Pa程度以下)になったら準備完了である(step3)。
なお、試料容器5が確実に挿入された際、減圧容器1の減圧過程で気体の断熱膨張により試料5の温度が若干低下するが、この影響を回避したい場合は、温度計12の出力を見ながら、マグネトロン3の出力を調整して温度低下を抑える。
つぎに、図3に示される流れにおいて、PCRの開始に際し(step4)、作業者により、PCR反応を行う指示が出されたら(step5)、まずマグネトロン3の出力を上げて試料温度を一気に95℃に上昇させる(step6)。マイクロ波加熱は試料6自体を加熱する方式のため、試料容器5からの伝熱加熱に比べ均一に温度が上昇する。また、このとき試料容器5の表面は真空に近いため真空断熱の効果で熱が逃げることなく効率良い加熱が可能である。その後、温度計12の出力に基づいてマグネトロン3の出力を調整して設定時間の間、試料温度を一定に保つ(step7)。その後、37℃への冷却をするため、マグネトロン3の出力を止め、調整バルブ7を開け(step8)、噴出ノズル4より水を霧状に噴出させ、試料容器5に微小な水滴を多数付着させる。
付着した水滴は試料容器5から気化熱に相当する熱を奪って気化する。このことは、試料6温度が設定温度に近づいても冷却量が変わらず一定に冷却出来ることを示している。つまり、冷媒等による伝熱冷却では、冷媒と試料6の温度との温度差がなくなるに従って伝熱量つまり冷却量が減少していくのに対して、気化熱を使うことで設定温度まで冷却量の変化はなくなり、高速な冷却が可能となっている。
また、真空断熱の効果も高速加熱・冷却に大きく貢献している。冷却量は、噴出量に比例するので、噴出量を調整バルブ7で調整することで冷却量のコントロールも出来る。しかし、闇雲に噴出量を上げても気化が効率良く行われなくなるので、気化効率と冷却量とのバランスで噴出量を決定している。
また、調整バルブ7とマグネトロン3の両方を調整して、気化熱冷却とマイクロ波加熱の併用する構成にすれば、より高精度な温度調整が可能である。試料温度が37℃まで下がったら(step9)、また設定時間だけ温度を保持するように調整バルブ7とマグネトロン3を調整する(step10)。この時の温度保持も真空断熱の効果により従来に比べて容易に出来る。その後、65℃に試料温度を上げるため、調整バルブ7を閉じ(step11)、マグネトロン3からマイクロ波を出力し、昇温が完了した後(step12)、また設定時間の間(step13)、温度をマグネトロン3の出力および調整バルブ7を調整して保持する。これで、1サイクルのPCR反応が完了する(step14)。
その後は、同様に設定サイクルだけこれまで述べてきたサイクルを繰り返す。PCR反応の全工程が終了したら(step15)、排気装置2を止めリークバルブ8を開け(step16)、減圧容器1内の圧力が大気圧になったら、試料容器5を取り出し(step17)、完了する(step18)。
[実施例2]
実施例2では、本発明を適用して第2のPCR装置を構成した。
図4に本実施例2のPCR装置の構成を示す。ここで図1に示した実施例1の構成と同様の構成には、同一の符号を付し、重複部分の説明は省略する。本実施例の基本的な装置構成は、実施例1と同じであり、試料容器5の一部を覆うように遮蔽カバー16を取り付けた点で、実施例1とは異なっている。
本実施例において、試料容器5の一部を覆うように遮蔽カバー16を取り付けたことにより、噴霧された液体が試料容器5以外の箇所に付着して、余計なところを冷却することを防止することが可能となる。当然、遮蔽カバー16に水滴が付着気化して冷却されるため、問題があればヒーター等(不図示)を取り付けて他に影響を与えないように温度調整することも可能である。
また、試料容器5になるべく均一に、かつ噴出する液体の大部分を試料容器5に付着させるために、ノズルを図中試料容器5横側から噴出すように構成し、あるいは複数のノズルを使用し、さらにノズル形状を工夫することによって、より一層、効率のよい冷却が可能となる。
[実施例3]
実施例3では、本発明を適用して試料の冷却装置を構成した。
図5に本実施例3の試料の冷却装置の構成を示す。ここで図1に示した実施例1の構成と同様の構成には、同一の符号を付し、重複部分の説明は省略する。本実施例の基本的な装置構成は、実施例1と同じであり、マグネトロンを組み込まず、主に試料を急冷させて凍結保存させるように構成した点で、実施例1とは異なっている。
従来、液体窒素中に試料容器を入れて、試料の急冷・冷凍を行うが、このとき通常液体窒素は使い捨てであるため経済的ではない。また、液体窒素は誰でも入手出来るものではないため、使用者が限られる。また、この場合試料の温度は最終的に液体窒素の沸点である−195℃まで冷却されてしまい、例えば−50℃などの設定温度で冷却を止めるなどということは困難である。
このようなことから、本実施例では本発明の試料容器の気化熱冷却を適用し、試料の急冷装置を構成したものである。
図5では、気化熱を発生させる冷媒は、気化熱が大きく蒸気圧の低いアンモニアを使用している。これにより、減圧容器1内が大気圧でも−38℃までの冷却ができ、排気装置2で減圧すればさらに低い温度への冷却も対応が可能となる。ここで、アンモニアを噴出直前まで液体に保つため、10気圧程度の高圧に保つ必要があるので、バルブ7を噴出ノズル4近傍に設けている。
また、実施例1とは異なり、排気装置2は外部に気体アンモニアを排出するのではなく、気体冷媒を加圧・液化し、高圧のアンモニア液体を噴出ノズル4に循環供給するように構成されている。
このように、冷媒を循環利用することで、冷媒の補給は必要なくなるため急冷装置の使用が限定されることがなくなる。また、冷媒の噴出量を調整できるため、冷却量の調整、さらには冷却速度の調整もできる。また非接触温度計12を用いれば、設定温度までの急冷も可能である。なお、ここでは、冷媒としてアンモニアを用いているが、本発明はこのような冷媒はアンモニアに限定されず、必要な冷却温度や装置構成により自由に選択することができる。
本発明の実施例1におけるPCR装置の構成を示した図。 本発明の実施例1におけるPCR装置のフローチャートを示した図。 本発明の実施例1におけるPCR装置のフローチャートを示した図。 本発明の実施例2におけるPCR装置の構成を示した図。 本発明の実施例3における試料の冷却装置の構成を示した図。 従来例である特許文献1のPCR装置の構成を示した図。 従来例のPCR装置の構成の一例を示した図。 従来例のPCR装置の構成の一例を示した図。
符号の説明
1:減圧容器
2:排気装置
3:マグネトロン
4:噴出ノズル
5:試料容器
6:試料(PCR反応液)
7:噴出液量調整バルブ
8:リークバルブ
9:圧力計
10:制御コントローラ
11:端末器
12:非接触温度計
13:シールリング

Claims (9)

  1. 試料の温度を調整する試料温度調整装置において、
    前記試料を収容する試料容器をシール部材を介して差し込む差し込み部を備え、該差し込み部に該試料容器が差し込まれることにより該シール部材によって外気とシールされ、内部が減圧可能に構成されている減圧容器と、
    前記差し込み部から前記減圧容器の内部に差し込まれた前記試料容器の表面に液体を付着させ、付着した前記液体の気化熱により前記試料を冷却する冷却手段と、
    を有することを特徴とする試料温度調整装置。
  2. 前記冷却手段は、前記試料容器の表面に前記液体を噴出して前記液体を付着させる噴出手段と、付着液体量を調整する調整手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の試料温度調整装置。
  3. 前記噴出手段は、液体または液体と気体との混合物を、霧状に噴出させる手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料温度調整装置。
  4. 前記減圧容器は、複数の前記差し込み部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
  5. 前記液体は、水、エチルアルコール、ジエチルエーテル、ベンゼン、アンモニア、アセチレンもしくは液体窒素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
  6. 前記試料容器の表面の少なくとも一部を覆う遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
  7. 前記試料をマイクロ波加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
  8. 前記試料の温度を検出する非接触温度計を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
  9. PCR装置用の試料温度調整装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の試料温度調整装置。
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