JP4574032B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などのプリンターに使用されている。しかし、これらの実用化されている従来の記録媒体はいずれも不可逆的な発色であり、一度記録した画像を消去して繰り返して使用することはできない。
【0003】
ただ、特許公報によれば発色と消色を可逆的に行うことができる記録媒体も提案されており、たとえば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組合せを用いる特開昭60−193691号公報、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いる特開昭61−237684号公報、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有する特開昭62−138556号、特開昭62−138568号および特開昭62−140881号各公報、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いる特開昭63−173684号公報、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いる特開平2−188293号および特開平2−188294号各公報などが開示されている。しかし、以上に示した従来の可逆性感熱記録媒体は、発色の安定性と消色性の両立という点、あるいは発色の濃度や繰り返しにおける安定性という点で問題を残しており、実用的な記録媒体として満足し得るものではない。
【0004】
本発明者らは、先に特開平5−124360号公報において、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、その上発色と消色を安定して繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物、およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。これは発色の安定性と消色性のバランスや発色濃度の点で実用レベルの性能を持つものであるが、適当な消色を示すために狭い範囲の環境(温度、湿度)に限られ、かつその範囲下に於いても消色速度が十分ではなかった。さらに広範囲な使用環境への対応や発色消色条件の適用範囲の面で改良すべき余地があった。その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造の使用が提案されているが(特開平6−210954号公報)、これも同様の問題を持っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、安定な発色性と消色性を保持し、熱応答に優れ高速消去に対応できる可逆性感熱発色組成物および可逆性感熱記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、支持体上に、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を主成分とし、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性熱発色組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該可逆性感熱記録層中に消色促進剤として下記一般式(I)で表される化合物を含有すること特徴とする可逆性感熱記録媒体が提供される。
【化2】
(式中、R1、R2は炭素数4〜20のアルキル基である。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可逆性感熱記録媒体について、さらに詳細に説明する。
本発明で用いられる上記一般式(I)で表される化合物の具体的な例としては以下の化合物が挙げられるが、何らこれらに限定されるのもではない。また、これらの化合物は単独で又は2種以上が併用されてよい。
【表1】
【0008】
また、本発明においては、可逆性感熱記録層中に、前記消色促進剤の他に、さらなる発色の安定性と消去性を向上させる目的で、発色消色制御剤として、ヘテロ原子を含む2価の基と炭素数6以上のアルキル鎖を有する化合物を含有することが望ましい。
【0009】
ヘテロ原子を含む2価の基としては、−NH−,−CO−,−SO2−,−S−で表される基を少なくとも1個以上有する基であり、具体的には、−NHCO−,−NHCONH−、−COO−,−NHSO2−,−COS−,−NHCSNH−,−S−,−SS−,−OCONH−,−OCSNH−,−SO2−,−O−,−C=NH−,−CO−,−CONHCO−,−CONHCONH−,−CONHNHCO−,−NHCOCONH−,−CONHNHCOO−,−NHNHCONH−,−CONHNHCONH−等が挙げられる。
【0010】
本発明において好ましく用いられる発色消色制御剤については、特開平11−70731号公報、特開平11−188969号公報に記載される発色消色制御剤を用いることができる。しかしながら、本発明において用いられる発色消色制御剤は何らこれらに限定されるものではない。
【0011】
本発明の可逆性感熱記録材料は、基本的に顕色剤、発色剤、消色促進剤、さらには上記の発色消色制御剤を組み合わせることによって構成されるものである。
【0012】
ここで用いる発色剤は電子供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体(ロイコ染料)であり、特に限定されず、従来公知なもの、例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物、アザフタリド系化合物などから選択できる。例えば、以下に示す発色剤が挙げられるが何等これらに限定されるものではない。
【0013】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(N−メチル−o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインド−3−イル)−4−アザフタリド等。
【0014】
次に本発明に用いられる顕色剤について説明する。顕色剤には、すでに特開平5−124360号公報に長鎖炭化水素基をもつリン酸化合物、脂肪酸化合物、フェノール化合物の代表例とともに開示されているように、分子内に発色剤を発色させることができる顕色能をもつ構造と、分子間の凝集力をコントロールする構造を併せ持つ化合物が使用される。
【0015】
顕色能をもつ構造としては、一般の感熱記録媒体と同様に、たとえばフェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基などの酸性の基が用いられるが、これらに限らず発色剤を発色できる基をもてばよい。これらには、たとえばチオ尿素基、カルボン酸金属塩などがある。
【0016】
分子間の凝集力をコントロールする代表的な構造としては長鎖アルキル基などの炭化水素基がある。この炭化水素基の炭素数は、一般的には8以上であることが良好な発色・消色特性を得る上で好ましい。また、この炭化水素基には不飽和結合が含まれていてもよく、また分枝状の炭化水素基も包含される。この場合も、主鎖部分は炭素数8以上であることが好ましい。また、この炭化水素基は、たとえばハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基などの基で置換されていてもよい。
【0017】
上記のように顕色剤は、顕色能を持つ構造と炭化水素基で代表される凝集力を制御する構造が連結した構造をもつ。この連結部分には下記に示すようなヘテロ原子を含む2価の基、または、これらの基が複数個組合わせた基をはさんで結合していてもい。また、フェニレン、ナフチレンなどの芳香環または複素環などをはさんで結合していてもよいし、これら両方をはさんでいてもよい。炭化水素基は、その鎖状構造中に上記と同様な2価の基、すなわち芳香環やヘテロ原子を含む2価の基を有するものであってもよい。
【0018】
この顕色剤については、上記の特開平5−124360号公報に示されている他、特開平9−193558号公報、特開平9−193557号公報、特開平9−315009号公報、特開平9−323479号公報、特開平9−290566号公報、特開平10−861号公報、特開平10−6655号公報、特願平8−166894号公報、特願平9−161908号公報に示される顕色剤を用いることができる。
【0019】
本発明においては、特に、炭素数8以上のアルキル鎖を、少なくともヘテロ原子を含む2価の基を介して有するフェノール化合物を用いることにより、より高速消去性が向上する。
【0020】
なお、本発明において用いられる発色剤および顕色剤は上記の例に限定されるものではない。
【0021】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、実使用上の形態としては、支持体上に顕色剤、発色剤、消色促進剤、発色消色制御剤を主成分として記録層を設けるものである。支持体としては紙、樹脂フィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を保持できるものであればよい。
【0022】
可逆性感熱記録媒体において、発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対して顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である。
この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し、実用に適さない。また、消色促進剤の割合は顕色剤に対し、0.1重量%から300重量%が好ましく、より好ましくは1重量%から100重量%が好ましい。また、発色消色制御剤の割合は、顕色剤に対し、0.1重量%から300重量%が好ましく、より好ましくは1重量%から100重量%が好ましい。
【0023】
この記録層は、少なくとも顕色剤、発色剤、消色促進剤、発色消色制御剤を含む樹脂層からなり、記録層を形成する樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フッソ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、マレイン酸系共重合体、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、ゼラチン、カゼイン類等を挙げることができる。
【0024】
また記録層皮膜の強度を挙げることを目的に、各種硬化剤、架橋剤を添加することもできる。このような硬化剤、架橋剤の例としてイソシアネート基をもつ化合物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、エポキシ基をもつ化合物、グリオキザール、ジルコニウム化合物等を挙げることができる。さらに電子線硬化性あるいは紫外線硬化性バインダーを用いて記録層を設けることもできる。かかるバインダーとしてはエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0025】
これらの具体例としては、(1)脂肪族、脂環族、芳香族の多価アルコール及びポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート、(2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコールにポリアルキレンオキサイドを付加させた多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、(3)ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、(4)ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、(5)エポキシポリ(メタ)アクリレート、(6)ポリアミドポリ(メタ)アクリレート、(7)ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル、(8)(メタ)アクリロイル基を側鎖または末端に有するビニル系またはジエン系化合物、(9)単官能(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイル化合物、(10)エチレン性不飽和結合を有するシアノ化合物、(11)エチレン性不飽和結合を有するモノあるいはポリカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、(12)エチレン性不飽和(メタ)アクリルアミドまたはアルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびその多量体、(13)ビニルラクタムおよびポリビニルラクタム化合物、(14)エチレン性不飽和結合を有するモノあるいはポリエーテルおよびそのエステル、(15)エチレン性不飽和結合を有するアルコールのエステル、(16)エチレン性不飽和結合を有するポリアルコールおよびそのエステル、(17)スチレン、ジビニルベンゼン等1個以上のエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物、(18)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖または末端に有するポリオルガノシロキサン系化合物、(19)エチレン性不飽和結合を有するシリコーン化合物、(20)上記1〜19記載の化合物の多量体あるいはオリゴエステル(メタ)アクリレート変成物等が挙げられる。
【0026】
紫外線硬化性バインダーを用いて記録層を形成する場合には、光重合開始剤を混合して用いる。光重合開始剤としては、ジあるいはトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、ビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物等が挙げられる。
【0027】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、基本的に支持体上に上記の記録層が設けられたものであるが、記録媒体としての特性を向上するため、保護層、接着層、中間層、アンダーコート層、バックコート層などを設けることができる。さらに、磁気記録層を設けていても良い。
【0028】
また、前記の各層、支持体は着色剤により着色されていても良い。これは記録媒体の一部あるいは全面が例えば印刷により着色されていても良い。また、着色した印刷層上に樹脂を主成分とする無色あるいは淡色の印刷保護層を設けても良い。
【0029】
保護層に用いる樹脂としては、前記の架橋状態にある樹脂の他にポリビニルアルコール、スチレン/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
【0030】
記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることも好ましい。
【0031】
また、印加した熱を有効に利用するため支持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設けることができる。断熱層は有機または無機の微小中空体粒子をバインダー樹脂を用いて塗布することにより形成できる。支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を般けることもできる。
【0032】
中間層、アンダーコート層には、前記の記録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることが出来る。
【0033】
また、アンダーコート層、記録層、中間層、保護層にフィラーを添加しても良く、フィラーとしては無機フィラーと有機フィラーに分けることができる。
【0034】
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩;アルミナ、酸化鉄などの水酸化物;酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物;硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物あるいは硫酸化合物;チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物等が挙げられる。
【0035】
有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げらる。
【0036】
本発明では有機フィラーを単独で用いることもできるが、2種類以上含まれてもよく、複合粒子であっても良い。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
【0037】
層中のフィラーの含有量は体積分率で1〜95%、より好ましくは5〜75%である。
【0038】
また、アンダーコート層、記録層、中間層、保護層に滑剤を添加しても良く、滑剤の具体例としては、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。
【0039】
層中の滑剤の含有量は体積分率で0.1〜95%、より好ましくは1〜75%である。
【0040】
また、中問層、保護層中に無機または有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量はバインダー100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
【0041】
有機紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−エトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−スルホン酸ナトリウム等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、カルボキシフェニルサリシレート、メチルフェニルサリシレート、ドデシルフェニルサリシレート、2−エチルヘキシルフェニルサリシレート、ホモメンチルフェニルサリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のp−アミノ安息香酸系紫外線吸収剤、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等が挙げられる。
【0042】
中間層、保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0043】
図1は、本発明の可逆性感熱発色組成物の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある組成物を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)を再び昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。
【0044】
従って、本発明の可逆性感熱記録媒体を用いて発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドヘの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。
【0045】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は前記に例示される支持体に記録層を保持して形成されるが、このとき使用される支持体は必要に応じた厚みのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。また、これらの支持体は可逆性感熱記録層と同一面および/または反対面に磁気記録層を有していても良い。
【0046】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けても良い。
【0047】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、シート状あるいはカード状に加工されていても良く、その形状は任意の形状に加工することができ、また、媒体表面への印刷加工を施すことができる。
【0048】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、非可逆の感熱記録層を併用しても良く、このときそれぞれの記録層の発色色調は同じでも異なっても良い。
【0049】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
【0050】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径0.1〜3μmまで粉砕分散した。
得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)10部を加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、厚さ188μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの記録層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0051】
(実施例2)
実施例1中の顕色剤の代わりにN−(4−ヒドロキシフェニル)−6−(N’−オクタデシル)ヘキサンアミドを用いた他は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0052】
(実施例3)実施例2において、さらに発色消色制御剤として、N,N’−ジオクタデシル尿素を2部加えた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0053】
(実施例4)実施例2において、さらに発色消色制御剤として、1−ヘキシル−3−オクタデシル尿素を2部加えた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0054】
(比較例1)
実施例1中の消色促進剤を用いなかった他は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0055】
以上の様にして作製した可逆性感熱記録媒体を大倉電機社製感熱印宇装置にて、電圧13.3V、パルス幅1.2msecで印字し、得られた画像をマクベス濃度計RD−914で測定した。また、発色画像を東洋精機社製熱傾斜試験機で110℃、0.6秒の条件で消色して、消色後の画像部の濃度と地肌濃度を測定した。次に下記式から消し残り濃度を算出した。
消し残り濃度=(消去後の画像部の濃度)−(地肌濃度)
以上の結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明の可逆性感熱記録媒体は安定な発色画像が形成でき、消去においては、高速性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す図である。
Claims (3)
- 支持体上に、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を主成分とし、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性熱発色組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該可逆性感熱記録層中に消色促進剤として下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層が、前記消色促進剤の他に、発色消色制御剤として、ヘテロ原子を含む2価の基と炭素数6以上のアルキル鎖を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記電子受容性化合物が、炭素数8以上のアルキル鎖を、少なくともヘテロ原子を含む2価の基を介して有するフェノール化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の可逆性感熱記録媒体。
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