JP4573963B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、集積回路をESD(ElectroStatic Discharge;静電放電)から保護する保護回路としての利用に好適な半導体装置に関し、特に、電流駆動能力を増強するとともにターンオン動作を促進するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体あるいは機械に蓄積された静電気などに起因する正あるいは負の高電圧が、オーバーシュートあるいはアンダーシュートの入力電圧として印加されることにより、半導体基板に形成された集積回路が破壊されることを防止するために、従来よりESD保護回路が使用されてきた。半導体制御整流器(Semiconductor Controlled Rectifier;通常、SCRと略称される)はESD保護回路の一種である。
【0003】
図42および図43は、それぞれ、従来のSCRの断面図および回路図である。このSCR200は、支持基板201、埋込絶縁膜202、およびSOI(Semiconductor On Insulator)層203を有するSOI基板に形成され、集積回路である保護対象としての内部回路212を、ESDから保護する保護回路として用いられている。SOI層203の主面には、埋込絶縁膜202に達しない部分分離層204としてのSTI(Shallow Trench Isolation)が選択的に形成されており、それによって複数の素子領域SR100,SR101,SR102が互いに部分分離されている。
【0004】
SOI層203は、埋込絶縁膜202に隣接するp層205を備えている。SOI層203の素子領域SR100では、さらに、n層206が主面に選択的に形成されており、p層205の表面を覆うようにn+層207、p+層208およびn+層209が同じく主面に選択的に形成されている。素子領域SR101では、n+層210が主面に形成されている。また、素子領域SR102では、p+層211が主面に形成されている。
【0005】
+層208、n層206およびp層205は、それぞれpnp型のバイポーラトランジスタNB100のコレクタ、ベースおよびエミッタを形成しており、n層206、p層205およびn+層210は、それぞれnpn型のバイポーラトランジスタPB100のコレクタ、ベースおよびエミッタを形成している。また、p+層208は抵抗素子R100を形成し、n+層210は抵抗素子R101を形成している。
【0006】
このように、SCR200は、導電型の異なる2個のバイポーラトランジスタNB100,PB100を備えており、それらの一方のコレクタと他方のベースが接続され、一方のベースが他方のコレクタに接続されている。それによって、バイポーラトランジスタNB100,PB100は、互いに正帰還回路を構成している。
【0007】
+層207とp+層208は、ノード(配線の接続部)N100を通じてアノードAへ接続され、n+層210とp+層211は、ノードN101を通じてカソードCへ接続されている。また、アノードAは、入力信号T1を内部回路212へ伝達する配線213に接続されている。
【0008】
図44は、SCR200の電流−電圧特性を模式的に示すグラフである。アノード−カソード間電圧(カソードCを基準としたアノードAの電位)VACを0から正方向に上昇させたとき、電圧VACがスイッチング電圧Vsに達するまでは、SCR200は、電流I1が殆ど流れない高インピーダンス状態となっている。しかしながら、電圧VACがスイッチング電圧Vsを超えて大きくなると、SCR200は、大きな電流が流れる低インピーダンス状態へと急速に遷移する。この低インピーダンス状態は、SCR200を流れる電流I1が保持電流IH以下にまで下げられない限り維持される。
【0009】
したがって、入力信号T1(図42)の電圧が、ESDによってオーバシュートし、電源電圧VDDよりも高いVDD+ΔVDDになると、内部回路212が破壊される前に、SCR200のアノード−カソード間電圧VACがスイッチング電圧Vsよりも高くなり、SCR200が高インピーダンス状態から低インピーダンス状態に遷移する。そして、保持電流IHより大きな電流がSCR200へ流れ、オーバーシュート電圧VDD+ΔVDDが内部回路212に伝達される前に、入力信号T1の電圧が低下する。
【0010】
ESDによるサージ電圧は高いが、その電荷量は有限であるために、SCR200を流れる電流は、やがて保持電流IH以下となる。その結果、SCR200は、低インピーダンス状態から初期状態である高インピーダンス状態へ復帰する。このようにして、SCR200は、ESDによる損傷から内部回路212を保護する。
【0011】
また、米国特許第6,015,992号公報にはSOI基板に形成されたMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)を有するSCRが開示されている。図45は、この米国特許公報記載のSCRを斜め上方から見た斜視図であり、図46は、図45のSCR300のZ1−Z2切断線に沿った断面図である。さらに、図47は、図45のSCR300の回路図である。
【0012】
SCR300も、支持基板301、埋込絶縁膜302、およびSOI層350を有するSOI基板に形成されている。SOI層350の主面には、埋込絶縁膜302に達する完全分離層303としてのSTIが選択的に形成されており、それによって複数の素子領域SR200,SR201,SR202,SR203が互いに完全分離されている。
【0013】
素子領域SR200には、p+層308,309、およびp層304が形成されている。p層304は、抵抗素子R200を形成している。また、素子領域SR203には、n+層316,317、およびn層307が形成されている。n層307は、抵抗素子R210を形成している。
【0014】
素子領域SR201には、p層305、n層318,319、n+層310,311、およびp+層312が形成されている。n層318およびn+層310は、nチャネル型MOSFETのソースを形成し、n層319およびn+層311は、ドレインを形成している。特に、n層318,319は、ソース・ドレイン(ソースとドレインの組を総称して、ソース・ドレインと記載する)の一部としてのエクステンションを形成している。
【0015】
p層305の一部には、ゲート絶縁膜322を介してゲート323が対向している。また、ゲート323の側面には絶縁体のサイドウォール324,325が形成されている。p層305およびp+層312は、nチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン310,318,311,319に挟まれたp層305の部分であって、かつゲート323が対向する部分は、チャネルとして機能する。また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるp+層312は、ボディコンタクト領域と称される。
【0016】
+層310、p層305(とp+層312)、およびn+層311は、それぞれnpn型のバイポーラトランジスタPB200のエミッタ、ベースおよびコレクタを形成している。すなわち、素子領域SR201には、nチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタPB200が形成されている。
【0017】
素子領域SR202は、素子領域SR201とは導電型が対称となるように形成されている。すなわち、素子領域SR202には、n層306、p層320,321、p+層313,314、およびn+315が形成されている。p層320およびp+層313は、pチャネル型MOSFETのドレインを形成し、p層321およびp+層314は、ソースを形成している。特に、p層320,321は、ソース・ドレインの一部としてのエクステンションを形成している。
【0018】
n層306の一部には、ゲート絶縁膜326を介してゲート327が対向している。また、ゲート327の側面には絶縁体のサイドウォール328,329が形成されている。n層306およびn+層315は、pチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン313,320,314,320に挟まれたn層306の部分であって、かつゲート327が対向する部分は、チャネルとして機能する。また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるn+層315は、ボディコンタクト領域に相当する。
【0019】
+層313、n層306(とn+層315)、およびp+層314は、それぞれpnp型のバイポーラトランジスタNB200のコレクタ、ベースおよびエミッタを形成している。すなわち、素子領域SR202には、pチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタNB200が形成されている。
【0020】
バイポーラトランジスタPB200のベースおよびコレクタは、バイポーラトランジスタNB200のコレクタおよびベースに、配線を通じて個別に接続されている。それによって、バイポーラトランジスタNB200,PB200は、互いに正帰還回路を構成している。なお、図45〜図47において、ノードN201〜N205は、配線の接続部を表している。
【0021】
また、バイポーラトランジスタPB200のエミッタとベースは配線を通じて互いに接続され、バイポーラトランジスタNB200のエミッタとベースも配線を通じて互いに接続されている。このことは、nチャネルMOSFETのボディとしてのp層305がソースとしてのn+層310へ固定され、pチャネルMOSFETのボディとしてのn層306がソースとしてのp+314へ固定されていることと同等である。
【0022】
さらに、ゲート323はソースとしてのn+層310へ配線を通じて接続され、ゲート327はソースとしてのp+314へ配線を通じて接続されている。また、抵抗素子R200の一端は配線を通じてアノードAに接続され、抵抗素子R210の一端は配線を通じてカソードCに接続されている。
【0023】
SCR300は、以上のように構成されるので、SCR200と同様に、ESDによる損傷から内部回路を保護する保護回路として利用することができる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、保護回路として使用されるSCRには、内部回路を破壊する入力信号T1(図42)の電圧が立ち上がる前に、SCRがターンオンすることにより低インピーダンス状態となり、それによって電流を吸収し、配線を走行する入力信号T1の電圧を通常の電圧に戻す働きが要求される。したがって、SCRの動作速度は速い方が望ましい。
【0025】
しかしながら、SCR200では、SOI基板に形成されたバイポーラトランジスタPB100を、横方向(すなわち基板の主面に沿った方向)へ電流が流れるので、SOI層203の厚さ、あるいは部分分離層204の直下のSOI層203の部分(すなわち、部分分離層204と埋込絶縁膜202とに挟まれたSOI層203の部分)の厚さに制限があるために、電流駆動能力が低く、ターンオン動作が遅いという問題点があった。
【0026】
同様に、SCR300においても、SOI基板に形成されたバイポーラトランジスタPB200,NB200を、横方向へ電流が流れるので、SOI層350の厚さにおける制限のために、電流駆動能力が低く、ターンオン動作が遅いという問題点があった。
【0027】
この発明は、従来の技術における上記した問題点を解消するためになされたもので、電流駆動能力を増強するともにターンオン動作を促進することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の装置は、半導体装置であって、互いに導電型が異なる2個のバイポーラトランジスタを有し当該2個のバイポーラトランジスタの一方トランジスタのベースが他方トランジスタのコレクタに接続され、前記一方トランジスタのコレクタが前記他方トランジスタのベースに接続された半導体制御整流器と、前記一方トランジスタのコレクタとエミッタに、逆並列に接続されたダイオードと、2個の抵抗素子と、を備え、前記2個のバイポーラトランジスタの各々のベースとエミッタとが、前記2個の抵抗素子の一つを通じて接続されており、前記2個のバイポーラトランジスタと前記2個の抵抗素子と前記ダイオードとが、SOI基板のSOI層に形成されており、前記SOI層の主面に部分分離層が選択的に形成されており、前記2個の抵抗素子は、前記部分分離層と埋込絶縁膜とに挟まれた前記SOI層の部分に形成されており、前記部分分離層と前記埋込絶縁膜とに挟まれた前記SOI層の別の部分に形成されている別の2個の抵抗素子を、さらに備え、前記一方トランジスタのコレクタと前記2個の抵抗素子の一方との接続部と前記他方トランジスタのベースとの間、および前記他方トランジスタのコレクタと前記2個の抵抗素子の他方との接続部と前記一方トランジスタのベースとの間に、前記別の2個の抵抗素子の一方と他方とが個別に介挿されており、前記SOI層の前記部分の不純物濃度よりも前記SOI層の前記別の部分の不純物濃度が高く、それによって、前記2個の抵抗素子の抵抗よりも前記別の2個の抵抗素子の抵抗が低く設定されている。
【0034】
の発明の装置は、第1の発明の半導体装置において、前記2個のバイポーラトランジスタの各々が、MOSFETのソースおよびドレインの一方および他方を、それぞれエミッタおよびコレクタとし、ボディをベースとする。
【0035】
の発明の装置では、第の発明の半導体装置において、前記2個のMOSFETの各々のゲートがソースに接続されている。
【0036】
の発明の装置では、第の発明の半導体装置において、前記2個のMOSFETの各々が、ゲートとソースとの間に設けられたサイドウォール表面に形成され当該ゲートとソースとを接続する金属半導体化合物膜を有する。
【0037】
の発明の装置では、第の発明の半導体装置であって、前記2個のMOSFETの各々において、前記金属半導体化合物膜が、前記ボディの表面にも跨るように形成され、それによって前記ゲートと前記ソースと前記ボディとを接続している。
【0038】
の発明の装置では、第1の発明の半導体装置において、前記2個のバイポーラトランジスタが、pnpnの順序で互いに連結した半導体層によって等価的に形成されている。
【0039】
の発明の装置では、第1ないし第のいずれかの発明の半導体装置において、前記ダイオードが、BCGダイオード、すなわちゲートおよびボディがソースおよびドレインの一方側へ接続されたMOSFETである。
【0040】
の発明の装置では、第の発明の半導体装置において、前記BCGダイオードが、前記一方側の表面と前記ボディの前記ゲートに覆われない部分の表面とに跨るように形成され、これら前記一方側と前記ボディとを接続する金属半導体化合物膜を、有する。
【0041】
の発明の装置では、第発明の半導体装置において、前記BCGダイオードが有する前記金属半導体化合物膜が、前記BCGダイオードの前記ゲートの表面にも跨るように形成されることにより、当該ゲートにも接続されている。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下の各実施の形態による半導体装置では、SCRの構成要素である2個のバイポーラトランジスタの一つに、ダイオードが逆並列に接続される。それによって、SCRの正帰還作用が促進されるので、電流駆動能力が増強され、かつターンオン動作が促進される。
【0043】
なお、本明細書において、「逆並列接続」とは、バイポーラトランジスタのコレクタとエミッタに、ダイオードのアノードとカソードの一方と他方が個別に接続される並列接続であって、しかも順電流が双方を還流し得る方向での接続を意味する。言い換えると、pnpバイポーラトランジスタとダイオードの逆並列接続とは、エミッタとカソードとが接続され、コレクタとアノードとが接続される接続形態を意味し、npnバイポーラトランジスタとダイオードの逆並列接続とは、エミッタとアノードとが接続され、コレクタとカソードとが接続される接続形態を意味する。
【0044】
また、以下の各実施の形態では、半導体装置が形成される半導体層(例えば、SOI層)はシリコンを主成分とするが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、シリコン以外を主成分とする半導体層へも適用可能である。
【0045】
[1. 実施の形態1]
図1〜図4を参照しつつ、実施の形態1の半導体装置について詳細に説明する。
【0046】
[1.1. 装置の構成]
図1は、本実施の形態の半導体装置を斜め上方から見た斜視図である。図2〜図4は、それぞれ、図1の半導体装置1のX1−X2切断線に沿った断面図、Y1−Y2切断線に沿った断面図、および回路図である。
【0047】
半導体装置1は、支持基板2、埋込絶縁膜3、およびSOI層401を有するSOI基板に形成されている。シリコンを主成分とするSOI層401の主面には、埋込絶縁膜3に達する完全分離層4としてのSTIが選択的に形成されており、それによって複数の素子領域SR1〜SR5が互いに完全分離されている。
【0048】
素子領域SR1には、p+層9,10、およびp層5が形成されている。p層5は、抵抗素子R2を形成している。また、素子領域SR5には、n+層17,18、およびn層8が形成されている。n層8は、抵抗素子R1を形成している。
【0049】
素子領域SR2には、p層6、n層35,36、n+層11,12、およびp+層13が形成されている。n層35およびn+層11は、nチャネル型MOSFETのソースを形成し、n層36およびn+層12は、ドレインを形成している。特に、n層35,36は、ソース・ドレインの一部としてのエクステンションを形成している。
【0050】
p層6の一部には、ゲート絶縁膜22を介してゲート23が対向している。また、ゲート23の側面には絶縁体のサイドウォール24,25が形成されている。p層6およびp+層13は、nチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン11,35,12,36に挟まれたp層6の部分であって、かつゲート23が対向する部分は、チャネルとして機能する。
また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるp+層13は、ボディコンタクト領域に相当する。
【0051】
+層11、p層6(とp+層13)、およびn+層12は、それぞれnpn型のバイポーラトランジスタPB1のエミッタ、ベースおよびコレクタを形成している。すなわち、素子領域SR2には、nチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタPB1が形成されている。
【0052】
素子領域SR3は、素子領域SR2とは導電型が対称となるように形成されている。すなわち、素子領域SR3には、n層7、p層37,38、p+層14,15、およびn+16が形成されている。p層37およびp+層14は、pチャネル型MOSFETのドレインを形成し、p層38およびp+層15は、ソースを形成している。特に、p層37,38は、ソース・ドレインの一部としてのエクステンションを形成している。
【0053】
n層7の一部には、ゲート絶縁膜26を介してゲート27が対向している。また、ゲート27の側面には絶縁体のサイドウォール28,29が形成されている。n層7およびn+層16は、pチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン14,37,15,38に挟まれたn層7の部分であって、かつゲート27が対向する部分は、チャネルとして機能する。
また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるn+層16は、ボディコンタクト領域に相当する。
【0054】
+層14、n層7(とn+層16)、およびp+層15は、それぞれpnp型のバイポーラトランジスタNB1のコレクタ、ベースおよびエミッタを形成している。すなわち、素子領域SR3には、pチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタNB1が形成されている。
【0055】
バイポーラトランジスタPB1のベースおよびコレクタは、バイポーラトランジスタNB1のコレクタおよびベースに、配線を通じて個別に接続されている。
それによって、バイポーラトランジスタNB1,PB1は、互いに正帰還回路を構成している。なお、図1〜図4において、ノードN1〜N10は、配線の接続部を表している。
【0056】
また、バイポーラトランジスタPB1のエミッタとベースは配線と抵抗素子R2を介して互いに接続され、バイポーラトランジスタNB1のエミッタとベースも配線と抵抗素子R1を介して互いに接続されている。このことは、nチャネルMOSFETのボディとしてのp層6がソースとしてのn+層11へ抵抗素子R2を介して固定され、pチャネルMOSFETのボディとしてのn層7がソースとしてのp+層15へ抵抗素子R1を介して固定されていることと同等である。
【0057】
さらに、ゲート23はソースとしてのn+11へ配線を通じて接続され、ゲート27はソースとしてのp+層15へ配線を通じて接続されている。また、抵抗素子R1の一端は配線を通じてアノードAに接続され、抵抗素子R2の一端は配線を通じてカソードCに接続されている。すなわち、バイポーラトランジスタPB1,NB1および抵抗素子R1,R2は、SCR400を形成している。
【0058】
半導体装置1は、このSCR400に加えて、ダイオードQN1を素子領域SR4に備えている。素子領域SR4には、p層34、n層39,40、n+層19,20、およびp+層21が形成されている。n層39およびn+層19は、nチャネル型MOSFETのソース・ドレインの一方側(以下、ドレインとする)を形成し、n層40およびn+層20は、ソース・ドレインの他方側(以下、ソースとする)を形成している。特に、n層39,40は、ソース・ドレインの一部としてのエクステンションを形成している。
【0059】
p層34の一部には、ゲート絶縁膜30を介してゲート31が対向している。
また、ゲート31の側面には絶縁体のサイドウォール32,33が形成されている。p層34およびp+層21は、nチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン19,39,20,40に挟まれたp層34の部分であって、かつゲート31が対向する部分は、チャネルとして機能する。また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるp+層21は、ボディコンタクト領域に相当する。
【0060】
p層34(とp+層21)、n+層20、およびゲート31は、配線を通じて互いに接続されている。すなわち、素子領域SR4に形成されたnチャネル型のMOSFETでは、ボディ電位およびゲート電位がソース電位へ固定されている。
その結果、このMOSFETは、BCGダイオード(Body Coupled Gate Diode)として機能する。すなわち、ダイオードQN1は、p/n+型のBCGダイオードとして形成されている。
【0061】
ダイオードQN1のアノードとして機能するp層34(とp+層21)は、配線を通じてトランジスタPB1のエミッタに接続され、カソードとして機能するn+層19は、配線を通じてトランジスタPB1のコレクタに接続されている。すなわち、ダイオードQN1はトランジスタPB1に逆並列に接続されている。
【0062】
[1.2. 装置の動作]
半導体装置1は、以上のように構成されるので、保護対象としての集積回路(図42の内部回路212)をESDから保護する保護回路としての利用に適している。この場合、入力信号T1(図42)の電圧がESDによってオーバシュートし、電源電圧VDDよりも高いVDD+ΔVDDがアノードAへ印加されると、トランジスタPB1とトランジスタNB1の双方がオンする。トランジスタNB1のベースはトランジスタPB1のコレクタに接続され、トランジスタPB1のベースはトランジスタNB1のコレクタに接続されているので、一方のベース電流が増加しコレクタ電流が増加すると、他方のベース電流も増加する。すなわちトランジスタNB1とトランジスタPB1は、互いに一方が他方に対する正帰還機能を果たす。その結果、ESDの印加によってSCR400はスイッチオンの状態へ遷移する。
【0063】
このとき、ノードN2の電位がノードN5の電位よりも高いと、正帰還が進行する。ダイオードQN1が存在しない場合には、逆電流が流れることによりノードN2の電位がノードN5の電位よりも低くなると、トランジスタPB1のコレクタ−エミッタ間電圧が負となり、トランジスタPB1は遮断し、正帰還が進行しなくなる。ダイオードQN1は、ノードN2の電位がノードN5の電位より低い場合に電流が流れるという整流作用を有する。そのため、トランジスタPB1のコレクタ−エミッタ間電圧が負になることは無く、トランジスタPB1が遮断することはない。すなわち、ダイオードQN1は、SCR400の正帰還作用を促進する。その結果、SCR400の保持電圧VHも低減される。
【0064】
すなわち、ダイオードQN1は、SCR400の正帰還作用を促進し、それによりSCR400の電流駆動能力を増強し、かつSCR400のターンオン動作を促進する。それにより、半導体装置1は、保護回路としての使用に際して高い保護能力を発揮する。
【0065】
また、半導体装置1では、バイポーラトランジスタPB1,NB1が、MOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして形成されるので、製造工程が容易であり、製造コストを節減することができるという利点が得られる。
【0066】
さらに、半導体装置1では、バイポーラトランジスタPB1,NB1の各々のベースとエミッタとが、抵抗素子R1,R2の一つを通じて接続されている。言い換えると、バイポーラトランジスタPB1,NB1を寄生バイポーラトランジスタとするMOSFETのボディがソースへ抵抗素子を通じて固定されている。
このため、MOSFETのpn接合で発生したキャリアがボディに接続される端子を通じて吸収されるので、バイポーラトランジスタが動作履歴に依存することなく一定の動作を実現する。すなわち、SCR400の動作が安定するという利点が得られる。
【0067】
また、バイポーラトランジスタPB1,NB1を寄生バイポーラトランジスタとするMOSFETの各々のゲートがソースに接続されている。このことも、SCR400の保持電圧VHの低減に寄与し、SCR400のターンオンをさらに促進する。
【0068】
さらに、ダイオードQN1を等価的に実現するMOSFETでは、ボディ(チャネル)とゲートとが接続されているので、空乏層容量CDがゲート絶縁膜容量Coxに比べて低いという利点がある。それにより、サブスレッショルド領域におけるサブスレッショルド係数(Subthreshold Swing)Sが小さくなり、MOSFETのオフ状態からオン状態への遷移、言い換えるとダイオードQN1のオフ状態からオン状態への遷移が鋭くなる。その結果、SCR400の正帰還作用がさらに促進されるという利点が得られる。サブスレッショルド係数Sは、次の近似式で表現される。
【0069】
【数1】
Figure 0004573963
【0070】
ここで、VGはゲート電圧、IDはドレイン電流、qは電気素量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、CDは空乏層容量、そして、Coxはゲート絶縁膜の容量を表す。サブスレッショルド係数Sが小さい程、スイッチング時の電流の立ち上がりが鋭く、スイッチング特性が良好となる。
【0071】
また、半導体装置1は、SOI基板のSOI層401に形成されているので、各素子PB1,NB1,QN1,R1,R2を、容易に完全分離することができる。また、SCR400がSOI層に形成されても、ダイオードQN1による正帰還促進作用により、SCR400の電流駆動能力が増強され、かつターンオン動作が促進されるので、半導体装置1は保護回路としての機能を十分に発揮できる。
【0072】
[1.3. 実施の形態1の変形例]
素子領域SR4に形成されるダイオードQN1の代わりに、図5の断面図および図6の回路図に示すダイオードQP1を用いることも可能である。ダイオードQP1は、ダイオードQN1とは導電型が対称となるように形成される。すなわち、図5の素子領域SR4には、n層41、p層49,50、p+層42,43、およびn+層44が形成されている。p層49およびp+層42は、pチャネル型MOSFETのソース・ドレインの一方側(以下、ドレインとする)を形成し、p層50およびp+層43は、ソース・ドレインの他方側(以下、ソースとする)を形成している。特に、p層49,50は、ソース・ドレインの一部としてのエクステンションを形成している。
【0073】
n層41の一部には、ゲート絶縁膜45を介してゲート46が対向している。
また、ゲート46の側面には絶縁体のサイドウォール47,48が形成されている。n層41およびn+層44は、pチャネル型MOSFETのボディを形成する。ボディの中で、特にソース・ドレイン42,49,43,50に挟まれたn層41の部分であって、かつゲート46が対向する部分は、チャネルとして機能する。また、ボディの中で、特に配線との接続が行われる部分であるn+層44は、ボディコンタクト領域に相当する。
【0074】
n層41(とn+層44)、p+層43、およびゲート46は、配線を通じて互いに接続されている。すなわち、素子領域SR4に形成されたpチャネル型のMOSFETでは、ボディ電位およびゲート電位がソース電位へ固定されている。
その結果、このMOSFETは、BCGダイオード(Body Coupled Gate Diode)として機能する。すなわち、ダイオードQP1は、p+/n型のBCGダイオードとして形成されている。
【0075】
ダイオードQP1のカソードとして機能するn層41(とn+層44)は、配線を通じてトランジスタPB1のコレクタに接続され、アノードとして機能するp+層42は、配線を通じてトランジスタPB1のエミッタに接続されている。すなわち、ダイオードQP1はトランジスタPB1に逆並列に接続されている。
したがって、ダイオードQP1は、SCR400に対して、ダイオードQN1と同等の機能を果たす。
【0076】
半導体装置1では、ダイオードQN1がBCGダイオードであり、バイポーラトランジスタPB1,NB1が、MOSFETの寄生トランジスタとして形成されているが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、ダイオードQN1として一般のダイオードを使用し、バイポーラトランジスタPB1,NB1として一般のバイポーラトランジスタを使用することも可能である。この一般の場合においても、ダイオードがSCRの正帰還作用を促進する効果は、相応に得られる。
【0077】
[2. 実施の形態2]
図7は、実施の形態2の半導体装置を斜め上方から見た斜視図である。図8は、図7の半導体装置60の回路図である。なお、以下の図において、図1〜図6に示した実施の形態1の半導体装置1と同一部分または相当部分(同一の機能をもつ部分)については、同一符号を付してその詳細な説明を略する。
【0078】
半導体装置60は、ダイオードQN1が、バイポーラトランジスタPB1の代わりにバイポーラトランジスタNB1に、逆並列に接続される点において、実施の形態1の半導体装置1とは特徴的に異なっている。したがって、図7は、図1とは配線のみが異なっている。図7および図8において、ノードN11〜N18は、配線の接続部を表している。
【0079】
半導体装置60においても、SCR400を構成する2個のバイポーラトランジスタPB1,NB1の一方に、ダイオードQN1が逆並列に接続されるので、実施の形態1の半導体装置1と同様の効果が得られる。
【0080】
さらに、素子領域SR4に形成されるダイオードQN1の代わりに、図9の斜視図および図10の回路図に示すダイオードQP1を用いることも可能である。
図9は、図7の中の素子領域SR4の付近を描いた半導体装置60の斜視図である。図9は図5と配線のみが異なっており、図9および図10のダイオードQP1は、図5および図6のダイオードQP1とは同等に形成される。したがって、図9および図10のダイオードQP1は、図7および図8のダイオードQN1と同等の機能を果たす。
【0081】
[3. 実施の形態3]
実施の形態1および2におけるn+/p型のBCGダイオードQN1およびp+/n型のBCGダイオードQP1は、いずれもソース(またはドレイン)とゲートとボディとが電気的に接続された構造を有する。そこで、実施の形態3の半導体装置では、ダイオードQN1またはQP1の各領域の表面に跨るように金属シリサイド膜(より一般には、金属半導体化合物膜)が形成され、それによりこれら各領域が低抵抗で安定的に短絡される。
【0082】
[3.1. 構成]
図11および図12は、それぞれ実施の形態3によるn+/p型BCGダイオードおよびp+/n型BCGダイオードの断面図である。図11が示すダイオードQN2では、ゲート31の一部、サイドウォール33、n+層20、p層34、およびp+層21の表面を覆うように、金属シリサイド膜62が形成されている。これによって、ゲート31、n+層20、p層34、およびp+層21が、低抵抗で互いに接続される。
【0083】
ゲート31、n+層20、p層34、およびp+層21に接続される配線は、金属シリサイド膜62を介して、それらに接続されている。また、n+層19の表面を覆うように、金属シリサイド膜61が形成されており、n+層19に接続される配線は、金属シリサイド膜61を介して接続されている。これにより、配線と各半導体層との間も、低抵抗で接続されることとなる。
【0084】
図12が示すダイオードQP2は、図11のダイオードQN2とは、導電型が対称に形成される。すなわち、図12が示すダイオードQP2では、ゲート46の一部、サイドウォール48、p+層43、n層41、およびn+層44の表面を覆うように、金属シリサイド膜72が形成されている。これによって、ゲート46、p+層43、n層41、およびn+層44が、低抵抗で互いに接続される。
【0085】
ゲート46、p+層43、n層41、およびn+層44に接続される配線は、金属シリサイド膜72を介して、それらに接続されている。また、p+層42の表面を覆うように、金属シリサイド膜71が形成されており、p+層42に接続される配線は、金属シリサイド膜71を介して接続されている。これにより、配線と各半導体層との間も、低抵抗で接続されることとなる。
【0086】
上記した金属シリサイド膜61,62,71,72により、上記したn+/p型BCGダイオードQN2あるいはp+/n型BCGダイオードQP2の抵抗が低減される分だけ、BCGダイオードQN1,QP1に流れる電流量が増加し、それらが接続されるSCR400のスイッチング動作が高速化されるという効果が得られる。また、金属シリサイド膜61,62,71,72に覆われるpn接合部に、順方向バイアスが常時印加されることが防止されるため、リーク電流が低減されるという利点も得られる。
【0087】
[3.2. 製造方法:その1]
図11および図12のダイオードQN2,QP2は、従来周知の半導体プロセスを組み合わせることによって、容易に製造可能である。以下において、図13〜図24の工程図を参照しつつ、図11のダイオードQN2の製造方法の3例を示す。同様の方法を実施することにより、図12のダイオードQP2を製造することも可能である。
【0088】
図13〜図19は、製造方法の第1例を示す工程図である。はじめに、図13のダイオードが素子領域SR4に形成される。このダイオードは、図3に示したダイオードQN1と同等であってもよいが、好ましくは図13が示すように、ゲート31が、ゲート絶縁膜30の上に形成されたポリシリコン膜160、バリアメタル膜161および金属膜162を含む3層構造を有する。ポリシリコン膜160には、高濃度に不純物元素が導入されている。バリアメタル膜161は、例えば、窒化タングステン(WNx)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、またはタングステンタンタル(TaW)を有し、ポリシリコン膜160と金属膜162との間で構成元素の拡散を防止するバリア機能を有する。金属膜162にはタングステンなどの高融点金属が使用される。
【0089】
このようなゲート31の上には、別のバリアメタル膜167を挟んで絶縁膜163が形成されている。またゲート31の両側には、サイドウォールスペーサ32,33が形成されている。これらサイドウォールスペーサ32,33とゲート31との間、およびサイドウォールスペーサ32,33と拡散領域を構成するSOI層401との間には、窒化膜などの中間層164,165が介在している。
【0090】
つぎに、このダイオードの全表面上にコバルトなどのシリサイド化のための金属が堆積され、図14に示すように金属膜168が形成される。
【0091】
その後、例えば窒素ガス雰囲気の下でRTA(Rapid Thermal Annealing;短時間アニール)などの高温熱処理が実行される。その結果、金属膜168とシリコンとが反応することにより、金属シリサイドが形成される。他方、金属膜168がシリコンと接しないサイドウォールスペーサ32,33および絶縁膜163の上では金属シリサイドは形成されず、金属窒化膜が形成され、あるいは未反応の金属膜が残留する。これら金属窒化膜あるいは残留した金属膜をエッチングにより除去することにより、図15に示すように、SOI層401の露出面上に金属シリサイド膜169,170が自己整合的に形成される。
【0092】
つぎに、図15の工程後の中間構造体の全表面上に、絶縁層171を堆積した後、異方性エッチングを用いてパターニングを実行することにより、プラグ埋設用の溝172が形成される。この段階で、ゲート31を構成する金属膜162の一部表面が露出する。その後、スパッタ装置あるいはCVD装置を用いることにより、溝172の内壁に沿って窒化チタン(TiN)などの金属窒化膜を堆積した後、CVD装置を用いてこの金属窒化膜上にポリシリコン膜を堆積することにより、金属窒化膜とポリシリコン膜とを有する二層膜173が形成される(図16)。
【0093】
つぎに、異方性エッチングを実行することにより、溝172の側壁172a,172bを覆うように成膜された部分を除いて、金属窒化膜/ポリシリコン膜173が除去する。但し、溝172の径が小さい場合は、二層膜173の一部がその底面に残留する場合があるが、それでも支障ない。
【0094】
つぎに、シリサイド化のための金属膜174が、中間構造体の全表面上に堆積された後、窒素ガス雰囲気の下でRTAなどを用いることにより、高温熱処理が実行される。その結果、二層膜173の上の金属膜174がシリコンと反応し、金属シリサイドを形成する(図17)。
【0095】
つづいて、シリコンと反応しなかった絶縁層171上の金属膜174および金属窒化膜を除去することにより、溝172の側壁172a,172bに、金属シリサイド膜175a,175bが形成される(図18)。これにより、p層34と、n+層20と、ゲート31とが電気的に接続される。
【0096】
つぎに、溝172に金属シリサイド膜を介してMo,AlCu,Al,Cu,W,Ag,Auなどの金属材料を埋設し、CMP(chemical-mechanical polishing:化学的機械的研磨)装置で上面を平坦化することにより、図19に示すようにプラグ176が形成される。ここで、溝172とプラグ176との間にバリアメタル膜(例えば、TiN,TaN,TaW,WNxなど)を形成してもよい。また、上記したシリサイド化のための金属としては、Pt,Ti,W,Mo,Zr,Co,Niなどを用いることができる。
【0097】
[3.3. 製造方法:その2]
図20〜図22は、製造方法の第2例を示す工程図である。この方法では、はじめに図13のダイオードが素子領域SR4に形成された後、図20の工程が実行される。図20の工程では、まず、図13のダイオードの全表面上に絶縁層180が形成された後、異方性エッチングを用いてパターニングを実行することにより、プラグ埋設用の溝181,182が形成される。このとき、サイドウォールスペーサ33およびゲート31の上部がエッチングにより除去されることにより、ゲート31の金属膜162の一部表面が露出する。
【0098】
つぎに、溝181,182から露出しているSOI層401を種結晶(シード:seed)として、その表面にシリコンエピタキシャル層183,184が選択的に形成される。このとき、シリコンエピタキシャル層184は、SOI層401からゲート31の金属膜162に至る範囲を覆うように成膜される。その後、シリサイド化のためのコバルトなどの金属膜185が全表面上に成膜される。
【0099】
つぎに、窒素ガス雰囲気の下でRTAなどを用いて熱処理を実行することにより、シリコンエピタキシャル層183,184とその上に形成された金属膜185とが反応して金属シリサイドを形成する。その後、絶縁膜180上の未反応の金属シリサイド膜あるいは金属窒化膜をエッチングで除去することにより、溝181,182の底面に金属シリサイド膜186,187が形成される(図21)。
【0100】
つぎに、図22に示すように、溝181,182の内壁に、TiN,TaN,TaW、またはWNxなどのバリアメタル膜188,189を形成した後、タングステンなどの金属材料を埋設することにより、プラグ190,191が形成される。これにより、ゲート31と、p層34と、n+層20とが金属シリサイド膜187を通じて電気的に接続される。
【0101】
[3.4. 製造方法:その3]
図23および図24は、製造方法の第3例を示す工程図である。この方法では、はじめに図13〜図15の工程が実行された後、図23の工程が実行される。
図23の工程では、まず、図15の中間構造体の全表面上に絶縁膜を堆積した後、異方性エッチングを用いてパターニングを実行することにより、プラグ埋設用の溝193が形成される。このとき、ゲート31およびサイドウォールスペーサ33の上部が除去されることにより、ゲート31の金属膜162の一部表面が露出する。その後、上記したバリアメタル膜194を全表面上に堆積し、溝193に金属材料を充填した後、上面をCMP装置で平坦化することにより、プラグ195が形成される(図24)。その結果、p層34とn+層20とが、金属シリサイド膜169を介して電気的に接続され、さらに、ゲート31ともバリアメタル膜194を介して電気的に接続される。
【0102】
[3.5. バイポーラトランジスタへの適用例]
以上に述べた金属シリサイド膜を、バイポーラトランジスタPB1,NB1へ適用することも可能である。図25は、その例を示すための図1のX1−X2切断線に沿った断面図である。図25が示すように、素子領域SR2および素子領域SR3のSOI層401の主面、およびゲートの一部を覆うように、金属シリサイド膜192が形成されている。すなわち、バイポーラトランジスタPB1,NB1のいずれにおいても、ゲートとソースとが(さらにボディとも)金属シリサイド膜192によって電気的に接続されている。ゲートが低抵抗で安定的にソースに短絡されるので、保持電圧VHが安定的に低く抑えられる。
【0103】
[4. 実施の形態4]
図26は、実施の形態4の半導体装置を斜め上方から見た斜視図である。図27は、図26の半導体装置80のD1−D2切断線に沿った断面図、図28は、E1−E2切断線に沿った断面図、そして図29は、F1−F2切断線に沿った断面図である。また、図30は、半導体装置80の回路図である。この半導体装置80は、一部の素子領域の間が部分分離層で素子分離され、抵抗素子が部分分離層と埋込絶縁膜とに挟まれたSOI層の部分に形成されている点において、実施の形態1の半導体装置1とは特徴的に異なっている。
【0104】
SOI層401の主面には、素子分離層81としてのSTIが選択的に形成されており、それによって複数の素子領域SR10〜SR17が互いに素子分離されている。素子分離層81は、半導体装置80の一部(半導体装置80の外周を含む)においては埋込絶縁膜3に達する完全分離層を有するとともに、別の一部においては埋込絶縁膜3に達しない部分分離層を有している。
【0105】
素子領域SR15にはp+層88が形成されており、素子領域SR12にはp+層87が形成されている。そして、これらのp+層88およびp+層87は、素子分離層81の一部としての部分分離層81bと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたp層90によって連結されている。p層90は、抵抗素子R4を形成している。
【0106】
素子領域SR17にはn+層105が形成されており、素子領域SR13にはn+層96が形成されている。そして、これらのn+層105およびn+層96は、素子分離層81の一部としての部分分離層81fと埋込絶縁膜3とに挟まれたSOI層401の部分に形成されたn層106によって連結されている。n層106は、抵抗素子R3を形成している。
【0107】
素子領域SR10には、p層82およびn+層83,84が形成されている。n+層83は、nチャネル型MOSFETのソースを形成し、n+層84は、ドレインを形成している。p層82には、ゲート絶縁膜85を介してゲート86が対向している。p層82およびp+層87は、素子分離層81の一部としての部分分離層81aと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたp層89によって連結されている。
【0108】
p層82、p層89、およびp+層87は、nチャネル型MOSFETのボディを形成し、特に配線との接続が行われる部分であるp+層87は、ボディコンタクト領域に相当する。また、p層89は抵抗素子R6を形成する。すなわち、素子領域SR10に形成されたMOSFETのボディの電位は、抵抗素子R6に相当するp層89を介して固定されている。
【0109】
+層83、p層82(とp層89とp+層87)、およびn+層84は、それぞれnpn型のバイポーラトランジスタPB2のエミッタ、ベースおよびコレクタを形成している。すなわち、素子領域SR10(およびSR12)には、nチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタPB2が形成されている。
【0110】
素子領域SR11は、素子領域SR10とは導電型が対称となるように形成されている。すなわち、素子領域SR11には、n層91およびp+層92,93が形成されている。p+層93は、pチャネル型MOSFETのソースを形成し、p+層92は、ドレインを形成している。n層91には、ゲート絶縁膜94を介してゲート95が対向している。n層91およびn+層96は、素子分離層81の一部としての部分分離層81cと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたn層102によって連結されている。
【0111】
n層91、n層102、およびn+層96は、pチャネル型MOSFETのボディを形成し、特に配線との接続が行われる部分であるn+層96は、ボディコンタクト領域に相当する。また、n層102は抵抗素子R5を形成する。すなわち、素子領域SR11に形成されたMOSFETのボディの電位は、抵抗素子R5に相当するn層102を介して固定されている。
【0112】
+層93、n層91(とn層102とn+層96)、およびp+層92は、それぞれpnp型のバイポーラトランジスタNB2のエミッタ、ベースおよびコレクタを形成している。すなわち、素子領域SR11(およびSR13)には、pチャネル型のMOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして、バイポーラトランジスタNB2が形成されている。
【0113】
バイポーラトランジスタPB2のベースおよびコレクタは、バイポーラトランジスタNB2のコレクタおよびベースに、抵抗素子R6およびR5を通じて個別に接続されている。それによって、バイポーラトランジスタNB2,PB2は、互いに正帰還回路を構成している。なお、図26〜図30において、ノードN20〜N25は、配線の接続部を表している。
【0114】
また、バイポーラトランジスタPB2のエミッタとベースは配線と抵抗素子R4,R6を介して互いに接続され、バイポーラトランジスタNB2のエミッタとベースも配線と抵抗素子R3,R5を介して互いに接続されている。さらに、ゲート86はソースとしてのn+層83へ配線を通じて接続され、ゲート95はソースとしてのp+層93へ配線を通じて接続されている。また、抵抗素子R3の一端は配線を通じてアノードAに接続され、抵抗素子R4の一端は配線を通じてカソードCに接続されている。すなわち、バイポーラトランジスタPB2,NB2および抵抗素子R3〜R6は、SCR403を形成している。
【0115】
半導体装置80は、このSCR403に加えて、ダイオードQN3をさらに備えている。このダイオードQN3は、素子領域SR14およびSR16に形成されている。素子領域SR14には、p層97およびn+層98,99が形成されている。n+層98は、nチャネル型MOSFETのソース・ドレインの一方側(以下、ソースとする)を形成し、n+層99は、ソース・ドレインの他方側(以下、ドレインとする)を形成している。p層97には、ゲート絶縁膜100を介してゲート101が対向している。
【0116】
素子領域SR16には、p+層104が形成されている。そして、p層97およびp+層104は、素子分離層81の一部としての部分分離層81eと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたp層103によって連結されている。素子領域SR13と素子領域SR14の間は、素子分離層81の一部としての完全分離層81dによって、完全分離されている。
【0117】
p層97、p層103、およびp+層104は、nチャネル型MOSFETのボディを形成し、特に配線との接続が行われる部分であるp+層104は、ボディコンタクト領域に相当する。また、p層103は抵抗素子R7を形成する。すなわち、素子領域SR14に形成されたMOSFETのボディは、抵抗素子R7に相当するp層103を介して固定されている。
【0118】
p層97、p層103、p+層104、n+層98、およびゲート101は、配線を通じて互いに接続されている。すなわち、素子領域SR14(およびSR16)に形成されたnチャネル型のMOSFETは、BCGダイオードとして機能する。すなわち、ダイオードQN3は、p/n+型のBCGダイオードとして形成されている。
【0119】
ダイオードQN3のアノードとして機能するp層97、p層103、およびp+層104は、配線を通じてトランジスタPB2のエミッタに接続され、カソードとして機能するn+層99は、配線を通じてトランジスタPB2のコレクタに接続されている。すなわち、ダイオードQN3はトランジスタPB2に逆並列に接続されている。したがって、半導体装置80においても、実施の形態1の半導体装置1と同様の効果が得られる。
【0120】
また、抵抗素子R3,R4が、部分分離層81b,81fと埋込絶縁膜3とに挟まれたSOI層401の部分に形成されているので、抵抗値を適度に大きく設定することが容易である。それにより、SCR403の動作を安定させると同時に、ターンオン動作を促進することができる。また、抵抗素子R4が形成されるp層90の幅(図27における奥行き)、長さLL1、厚さTT1および不純物濃度、ならびに抵抗素子R3が形成されるn層106の幅(図29における奥行き)、長さLL4、厚さTT4および不純物濃度を調整することにより、抵抗素子R3およびR4の抵抗値を所望の大きさに調整することも容易である。それにより、保持電圧VHを精密に調整することが可能となる。
【0121】
さらに、抵抗素子R5,R6が設けられるので、SCR403の動作が安定する。また、抵抗素子R6が形成されるp層89の幅(図27における奥行き)、長さLL2、厚さTT2および不純物濃度、ならびに抵抗素子R5が形成されるn層102の幅(図28における奥行き)、長さLL3、厚さTT3および不純物濃度を調整することにより、抵抗素子R5およびR6の抵抗値を所望の大きさに調整することも容易である。また、好ましくは、p層90およびn層106の不純物濃度は、p層89およびn層102の不純物濃度よりも低く設定され、それにより、抵抗素子R3,R4の抵抗は、抵抗素子R5,R6の抵抗よりも高く設定される。それにより、SCR403の動作を安定させると同時に、ターンオン動作をさらに促進することができる。
【0122】
[5. 実施の形態5]
実施の形態5の半導体装置は、SCRを構成する2個のバイポーラトランジスタが、pnpnの順序で互いに接合した半導体層によって等価的に形成されている点において、実施の形態1の半導体装置1とは特徴的に異なっている。この特徴によって、SOI基板に占める半導体装置の面積を節減することができるという利点が得られる。
【0123】
[5.1. 装置の構成と動作]
図31は、実施の形態5の半導体装置を斜め上方から見た斜視図である。図32は、図31の半導体装置110のG1−G2切断線に沿った断面図、図33は、H1−H2切断線に沿った断面図、図34は、I1−I2切断線に沿った断面図、そして図35はJ1−J2切断線に沿った断面図である。また、図36は、半導体装置110の回路図である。なお、図31〜図36において、ノードN30〜N33は、配線の接続部を表している。図31のバイポーラトランジスタPB3,NB3およびダイオードQN3を等価的に形成するMOSFETの各々において、そのゲートの側面には、サイドウォールが形成されていても良い。
【0124】
SOI層401の主面には、素子分離層111としてのSTIが選択的に形成されており、それによって複数の素子領域SR20〜SR25が互いに素子分離されている。素子分離層111は、半導体装置110の一部(半導体装置110の外周を含む)においては埋込絶縁膜3に達する完全分離層を有するとともに、別の一部においては埋込絶縁膜3に達しない部分分離層を有している。
【0125】
素子領域SR21には、図26に示した素子領域SR10およびSR11の要素がマージされている。すなわち、素子領域SR21には、n+層83,p層82、n+層84、p層196、およびp+層93が、この順序で連結している。n+層83,p層82およびn+層84は、それぞれ、npn型のバイポーラトランジスタPB3のエミッタ、ベースおよびコレクタに相当する。また、p層82、n+層84およびp層196(とp+層93)は、それぞれ、pnp型のバイポーラトランジスタNB3のコレクタ、ベースおよびエミッタに相当する。
【0126】
すなわち、半導体装置110では、バイポーラトランジスタPB3のベースとバイポーラトランジスタNB3のコレクタとが一体となっており、バイポーラトランジスタPB3のコレクタとバイポーラトランジスタNB3のベースとが一体となっている。それにより、SCR404がSOI基板に占める面積が節減される。さらに、ゲート86,95を遮蔽体として用いて不純物元素を選択的に導入することにより、n+層83,n+層84およびp+層93を自己整合的に形成できるという利点も得られる。
【0127】
素子領域SR20にはn+層112が形成されている。素子領域SR20のn+層112と素子領域SR21のn+層83は、素子分離層111の一部としての部分分離層111dと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたn層132によって連結されている。n層132は、抵抗素子R9を形成している。抵抗素子R9の一端は、配線を通じてカソードCに接続されている。
【0128】
素子領域SR25にはp+層129が形成されている。素子領域SR25のp+層129と素子領域SR21のp+層93は、素子分離層111の一部としての部分分離層111cと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたp層131によって連結されている。p層131は、抵抗素子R8を形成している。抵抗素子R8の一端は、配線を通じてアノードAに接続されている。
【0129】
素子領域SR23およびSR24には、それぞれ、素子領域SR14およびSR16(図26)と同等に、ダイオードQN3が形成される。素子領域SR23と素子領域SR21とは、素子分離層111の一部としての完全分離層111aによって、完全分離されている。
【0130】
ダイオードQN3のカソードに相当するn+層98は、配線を通じて素子領域SR21のn+層84に接続されており、アノードに相当するp+層104は、配線を通じて素子領域SR20のn+層112に接続されている。それによって、ダイオードQN3は、バイポーラトランジスタPB3に、抵抗素子R9を介して逆並列に接続されている。したがって、半導体装置110においても、実施の形態1の半導体装置1と同様の効果が得られる。
【0131】
また、素子領域SR22には、素子領域SR12(図26)と同様に、p+層87が形成されている。p層82とp+層87とは、素子分離層111の一部としての部分分離層111eと埋込絶縁膜3との間のSOI層401の部分に形成されたp層89によって連結されている。p+層87に接続されるノードN31は、浮遊状態であってもよく、また配線を通じて任意の電位が印加されてもよい。例えば、ノードN31に電位を与えることにより、p層82に正のベース電流を流し、それによって保持電圧VHを低減させることも可能である。
【0132】
また、抵抗素子R8,R9が、部分分離層111c,111dと埋込絶縁膜3とに挟まれたp層131およびn層132に形成されているので、これらのp層90およびn層106の幅、長さ、および不純物濃度を調整することにより、抵抗素子R8,R9の抵抗値を所望の大きさに調整することも容易である。それにより、保持電圧VHを精密に調整することが可能となる。
【0133】
[5.2. 半導体装置110の変形例]
図37は、実施の形態5の変形例による半導体装置を示す概略斜視図であり、図38は、図37の半導体装置110aのK1−K2切断線に沿った断面図である。半導体装置110aでは、p+層133が形成された素子領域SR26が設けられている。素子領域SR26は、素子分離層111の一部としての完全分離層111gによって素子領域SR23と完全分離され、素子分離層111の一部としての部分分離層111fによって素子領域SR21と部分分離されている。
【0134】
素子領域SR26のp+層133と素子領域SR21のp層91とは、部分分離層111fと埋込絶縁膜3とに挟まれたSOI層401の部分に形成されたp層134によって連結されている。また、p+層133は、配線を通じて素子領域SR21のp+層93に接続されている。このように、p層91は、抵抗層としてのp層134を通じてp+層93に接続されても良い。
【0135】
図39は、実施の形態5の別の変形例による半導体装置を示す概略斜視図であり、図40は、図39の半導体装置110bのL1−L2切断線に沿った断面図であり、図41は、M1−M2切断線に沿った断面図である。
【0136】
半導体装置110bの素子領域SR21では、n+層113,n層136、p+層137、n層138、およびp+層139が、この順序で連結している。n層136にはゲート絶縁膜140を挟んでゲート141が対向しており、n層138にはゲート絶縁膜142を挟んでゲート143が対向している。
【0137】
+層113(とn層136)、p+層137およびn層138は、それぞれ、npn型のバイポーラトランジスタPB4のエミッタ、ベースおよびコレクタに相当する。また、p+層137、n層138、およびp+層139は、それぞれ、pnp型のバイポーラトランジスタNB4のコレクタ、ベースおよびエミッタに相当する。
【0138】
素子領域SR26には、n+層145が形成されている。このn+層145と素子領域SR21のn層138とは、部分分離層111fと埋込絶縁膜3とに挟まれたSOI層401の部分に形成されたn層146によって連結されている。また、n+層145は、配線を通じて素子領域SR23のn+層99に接続されている。
【0139】
素子領域SR22には、n+層144が形成されている。このn+層144と素子領域SR21のn層136とは、部分分離層111eと埋込絶縁膜3とに挟まれたSOI層401の部分に形成されたn層147によって連結されている。また、n+層144は、配線を通じて素子領域SR21のn+層113に接続されている。
【0140】
+層137に接続されるノードN40は、浮遊状態であってもよく、また配線を通じて任意の電位が印加されてもよい。例えば、ノードN40に電位を与えることにより、p+層137に正のベース電流を流し、それによって保持電圧VHを低減させることも可能である。
【0141】
【発明の効果】
第1の発明の装置では、半導体制御整流器の構成要素であるバイポーラトランジスタに、ダイオードが逆並列に接続されているので、半導体制御整流器の正帰還作用が促進され、それにより電流駆動能力が増強されるとともにターンオン動作が促進される。したがって、装置は保護回路としての使用に適し、高い保護能力を発揮する。また、2個のバイポーラトランジスタの各々のベースとエミッタとが、抵抗素子を通じて接続されることにより、ベースの電位が固定されるので、半導体制御整流器の動作が安定する。また、2個のバイポーラトランジスタと2個の抵抗素子とダイオードとが、SOI基板のSOI層に形成されているので、各素子を容易に完全分離することができる。また、これらの素子がSOI層に形成されても、ダイオードによる正帰還促進作用により、半導体制御整流器の電流駆動能力が増強され、かつターンオン動作が促進されるので、装置は保護回路としての使用に十分に適する。また、2個の抵抗素子が部分分離層と埋込絶縁膜とに挟まれたSOI層の部分に形成されているので、抵抗値を適度に大きく設定することが容易である。それにより、半導体制御整流器の動作を安定させると同時に、ターンオン動作を促進することができる。また、抵抗素子が形成されるSOI層の部分の幅、長さ、および不純物濃度を調整することにより、抵抗値を所望の大きさに調整することも容易である。また、別の2個の抵抗素子が設けられるので、半導体制御整流器の動作が安定する。また、これら別の2個の抵抗素子が形成されるSOI層の部分の幅、長さ、および不純物濃度を調整することにより、抵抗値を所望の大きさに調整することも容易である。また、別の2個の抵抗素子の抵抗が2個の抵抗素子の抵抗よりも低く設定されているので、半導体制御整流器のターンオン動作が促進される。また、不純物濃度を異ならせることによって、抵抗値が容易に調整される。
【0147】
の発明の装置では、2個のバイポーラトランジスタの各々が、MOSFETの寄生バイポーラトランジスタとして形成されるので、製造工程が容易であり、製造コストを節減することができる。
【0148】
の発明の装置では、2個のMOSFETの各々のゲートがソースに接続されているので、半導体制御整流器の保持電圧が低減され、ターンオンが促進される。
【0149】
の発明の装置では、2個のMOSFETの各々が、ゲートとソースとを接続する金属半導体化合物膜を有するので、ゲートが低抵抗で安定的にソースに短絡される。
【0150】
の発明の装置では、2個のMOSFETの各々において、ゲートとソースとを接続する金属半導体化合物膜が、ボディをも接続するので、ボディ電位が低抵抗で安定的にソース電位に固定される。
【0151】
の発明の装置では、2個のバイポーラトランジスタが、pnpnの順序で互いに連結した半導体層によって等価的に形成されているので、装置の寸法を縮小することができる。
【0152】
の発明の装置では、ダイオードがBCGダイオードであるので、オン状態とオフ状態との間の遷移において、電圧の変化に対する電流の変化の割合が高く、スイッチング特性に優れる。このため、半導体制御整流器の正帰還作用がさらに促進される。
【0153】
の発明の装置では、BCGダイオードが、ソースおよびドレインの一方側とボディとを接続する金属半導体化合物膜を有するので、上記一方側とボディとが低抵抗で安定的に短絡される。ダイオードの抵抗が低減される結果、電流が増加するので、半導体制御整流器のスイッチング動作が速くなる。
【0154】
の発明の装置では、BCGダイオードが有する金属半導体化合物膜が、ゲートにも接続されているので、上記一方側とボディとゲートとが低抵抗で安定的に短絡される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による半導体装置の斜視図である。
【図2】図1の装置のX1−X2切断線に沿った断面図である。
【図3】図1の装置のY1−Y2切断線に沿った断面図である。
【図4】図1の装置の回路図である。
【図5】実施の形態1による別の装置例の断面図である。
【図6】図5の装置の回路図である。
【図7】実施の形態2による半導体装置の斜視図である。
【図8】図7の装置の回路図である。
【図9】実施の形態2による別の装置例の一部の斜視図である。
【図10】図9の装置の回路図である。
【図11】実施の形態3によるダイオードの断面図である。
【図12】実施の形態3によるダイオードの別の例の断面図である。
【図13】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図14】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図15】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図16】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図17】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図18】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図19】図11のダイオードの第1例の製造方法の工程図である。
【図20】図11のダイオードの第2例の製造方法の工程図である。
【図21】図11のダイオードの第2例の製造方法の工程図である。
【図22】図11のダイオードの第2例の製造方法の工程図である。
【図23】図11のダイオードの第3例の製造方法の工程図である。
【図24】図11のダイオードの第3例の製造方法の工程図である。
【図25】実施の形態3によるバイポーラトランジスタの断面図である。
【図26】実施の形態4による半導体装置の斜視図である。
【図27】図26の装置のD1−D2切断線に沿った断面図である。
【図28】図26の装置のE1−E2切断線に沿った断面図である。
【図29】図26の装置のF1−F2切断線に沿った断面図である。
【図30】図26の装置の回路図である。
【図31】実施の形態5による半導体装置の斜視図である。
【図32】図31の装置のG1−G2切断線に沿った断面図である。
【図33】図31の装置のH1−H2切断線に沿った断面図である。
【図34】図31の装置のI1−I2切断線に沿った断面図である。
【図35】図31の装置のJ1−J2切断線に沿った断面図である。
【図36】図31の装置の回路図である。
【図37】実施の形態5による別の装置例の斜視図である。
【図38】図37の装置のK1−K2切断線に沿った断面図である。
【図39】実施の形態5によるさらに別の装置例の斜視図である。
【図40】図37の装置のL1−L2切断線に沿った断面図である。
【図41】図37の装置のM1−M2切断線に沿った断面図である。
【図42】従来の半導体装置の斜視図である。
【図43】図42の装置の回路図である。
【図44】図42の装置の動作説明図である。
【図45】従来の別の半導体装置の斜視図である。
【図46】図45の装置のZ1−Z2切断線に沿った断面図である。
【図47】図45の装置の回路図である。
【符号の説明】
6 p層(チャネル,ボディ)、13 p+層(ボディ)、7 n層(チャネル,ボディ)、16 n+層(ボディ)、34 p層34(チャネル,ボディ)、21 p+層(ボディ)、41 n層41(チャネル,ボディ)、44 n+層(ボディ)、82 p層(チャネル,ボディ)、89 p層(ボディ)、87 p+層(ボディ)、91 n層(チャネル,ボディ)、102 n層(ボディ)、96 n+層(ボディ)、97 p層(チャネル,ボディ)、103 p層(ボディ)、104 p+層(ボディ)、23,27,31,46,86,95,101 ゲート、35 n層(ソース)、11 n+層(ソース)、38 p層(ソース)、15 p+層(ソース)、40 n層(ソース)、20 n+層(ソース)、50 p層50(ソース)、43 p+層(ソース)、83 n+層(ソース)、93 p+層(ソース)、98 n+層(ソース)、36 n層(ドレイン)、12 n+層(ドレイン)、37 p層(ドレイン)、14 p+層(ドレイン)、39 n層(ドレイン)、19 n+層(ドレイン)、49 p層(ドレイン)、42 p+層(ドレイン)、84 n+層(ドレイン)、92 p+層、99 n+層(ドレイン)、61,62,71,7,169,170,186,187,189,190 金属シリサイド膜(金属半導体化合物膜)、81a,81b,81c,81e,81f,111c,111d,111e,111f部分分離層、400,403,404 SCR(半導体制御整流器)、401SOI層、PB1〜PB4,NB1〜NB4 バイポーラトランジスタ、QN1〜QN3,QP1,QP2 ダイオード、R1〜R8 抵抗素子。

Claims (9)

  1. 互いに導電型が異なる2個のバイポーラトランジスタを有し当該2個のバイポーラトランジスタの一方トランジスタのベースが他方トランジスタのコレクタに接続され、前記一方トランジスタのコレクタが前記他方トランジスタのベースに接続された半導体制御整流器と、
    前記一方トランジスタのコレクタとエミッタに、逆並列に接続されたダイオードと
    2個の抵抗素子と、を備え、
    前記2個のバイポーラトランジスタの各々のベースとエミッタとが、前記2個の抵抗素子の一つを通じて接続されており、
    前記2個のバイポーラトランジスタと前記2個の抵抗素子と前記ダイオードとが、SOI基板のSOI層に形成されており、
    前記SOI層の主面に部分分離層が選択的に形成されており、前記2個の抵抗素子は、前記部分分離層と埋込絶縁膜とに挟まれた前記SOI層の部分に形成されており、
    前記部分分離層と前記埋込絶縁膜とに挟まれた前記SOI層の別の部分に形成されている別の2個の抵抗素子を、さらに備え、
    前記一方トランジスタのコレクタと前記2個の抵抗素子の一方との接続部と前記他方トランジスタのベースとの間、および前記他方トランジスタのコレクタと前記2個の抵抗素子の他方との接続部と前記一方トランジスタのベースとの間に、前記別の2個の抵抗素子の一方と他方とが個別に介挿されており、
    前記SOI層の前記部分の不純物濃度よりも前記SOI層の前記別の部分の不純物濃度が高く、それによって、前記2個の抵抗素子の抵抗よりも前記別の2個の抵抗素子の抵抗が低く設定されている半導体装置。
  2. 前記2個のバイポーラトランジスタの各々が、MOSFETのソースおよびドレインの一方および他方を、それぞれエミッタおよびコレクタとし、ボディをベースとする、請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記2個のMOSFETの各々のゲートがソースに接続されている、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記2個のMOSFETの各々が、ゲートとソースとの間に設けられたサイドウォール表面に形成され当該ゲートとソースとを接続する金属半導体化合物膜を有する、請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記2個のMOSFETの各々において、前記金属半導体化合物膜が、前記ボディの表面にも跨るように形成され、それによって前記ゲートと前記ソースと前記ボディとを接続する、請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記2個のバイポーラトランジスタが、pnpnの順序で互いに連結した半導体層によって等価的に形成されている、請求項に記載の半導体装置。
  7. 前記ダイオードが、BCGダイオード、すなわちゲートおよびボディがソースおよびドレインの一方側へ接続されたMOSFETである、請求項1ないし請求項6いずれかに記載の半導体装置。
  8. 前記BCGダイオードが、前記一方側の表面と前記ボディの前記ゲートに覆われない部分の表面とに跨るように形成され、これら前記一方側と前記ボディとを接続する金属半導体化合物膜を、有する、請求項7に記載の半導体装置。
  9. 前記BCGダイオードが有する前記金属半導体化合物膜が、前記BCGダイオードの前記ゲートの表面にも跨るように形成されることにより、当該ゲートにも接続されている、請求項8に記載の半導体装置。
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