JP4573091B2 - 薄膜トランジスタおよびその製造方法、ならびに表示装置およびその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタおよびその製造方法、ならびに表示装置およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、特に有機EL素子のような電流駆動型素子を用いた表示装置の駆動用に適する薄膜トランジスタおよびその製造方法、ならびに表示装置およびその製造方法に関するものである。
フラットパネル型表示装置の駆動用素子には、薄膜半導体層を用いた薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)が用いられている。この薄膜トランジスタの形成は、例えば次のように行われている。先ず、基板上に形成したシリコン薄膜をパターニングしてソース・ドレイン領域を形成する。次に、再度シリコン薄膜を形成して熱処理による結晶化を進め、このシリコン薄膜をパターニングしてチャネル部シリコン薄膜を形成する。その後、ゲート絶縁層を形成し、このゲート絶縁層を介してチャネル部シリコン薄膜上にゲート電極を形成する(以上、下記特許文献1参照)。
特開平5−129202号公報(特に図1および段落0015〜0029)
ところでフラットパネル型表示装置のうち、有機EL素子を発光素子として用いた有機EL表示装置は、薄膜トランジスタによる電流駆動によって有機EL素子の発光を制御している。このため、薄膜トランジスタがスイッチング素子としてのみ用いられている液晶型表示装置と比較して、駆動用の薄膜トランジスタにはより高い信頼性が要求されることになる。
しかしながら、上述した工程で形成された薄膜トランジスタにおいて、チャンネル部シリコン膜がアモルファスシリコンで形成されている薄膜トランジスタにおいては、十分なBT(Baias-Temparater)特性を得ることができず、有機EL表示装置のような電流駆動型の表示装置に用いると閾値電圧が大きく変化するという問題があった。
そこで本発明は、電流駆動型の表示装置の駆動用に耐えうる高信頼性の薄膜トランジスタおよびその製造方法、さらにはこれを用いた表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の薄膜トランジスタは、基板上に、ソース・ドレイン層と、アモルファスシリコンからなるチャネル層と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極とをこの順またはこれと逆の順に積層してなる薄膜トランジスタである。そして、チャネル層が、少なくともゲート絶縁膜との界面付近に重水素を含有すると共に、重水素を含む水素濃度がゲート絶縁膜側界面からソース・ドレイン層側界面に向かって連続的に増加している。
このような構成の薄膜トランジスタでは、チャネル層が重水素を含むものであり、チャネル層中における重水素を含む水素濃度が、ゲート絶縁膜側界面からソース・ドレイン層側界面に向かって連続的に増加するように濃度勾配を有している。これにより、ゲート絶縁膜側界面では水素濃度を抑えつつも、ソース・ドレイン層側界面では必要量の水素濃度が確保される構成となる。そして、ゲート絶縁膜側界面の水素濃度を抑えることにより、しきい値電圧の径時的な変化量(ΔVt)が小さく抑えられる。しかもソース・ドレイン層側界面では必要量の水素濃度を確保することにより、ソース・ドレイン間における電子(キャリア)の移動度が確保され、トランジスタの初期特性としてS値(サブスレッショルドスロープ)が小さく抑えられる。
特に、チャネル層に含有されている重水素は水素よりもシリコンに対する結合エネルギーが大きいため、チャネル層内から脱離し難い。したがって、水素のみが含有されているチャネル層と比較して、チャネル層内における重水素を含む水素濃度の径時的な変化が小さく、これによってもしきい電圧の径時的な変化量(ΔVt)がさらに小さく抑えられ、またキャリアの移動度やS値の径時的な変化も小さく抑えられる。ここでは、少なくともチャネル層のゲート絶縁膜側に重水素が含有されているため、しきい電圧の径時的な変化量(ΔVt)がさらに小さく抑えられることになる。また、チャネル層のソース、ドレイン側に重水素が含有されていれば、トランジスタのドレイン電流を十分に確保出来ることになる。しかも、キャリアの移動度やS値の径時的な変化が小さく抑えられる効果も期待できる。
また、本発明における薄膜トランジスタの製造方法は、基板上のゲート電極を覆う状態で、当該基板上にゲート絶縁膜を介して重水素を含有するアモルファスシリコンからなる第1チャネル層を形成し、この第1チャネル層に対して重水素を含む雰囲気下において水素化処理を行い、第1チャネル層上に、重水素を含む水素濃度が当該第1チャネル層よりも高いアモルファスシリコンからなる第2チャネル層を、第1チャネル層を形成する際の成膜温度よりも低い成膜温度で形成することを特徴としている。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法では、ゲート絶縁膜上には第1チャネル層上に、これよりも重水素を含む水素濃度の高い第2チャネル層が形成された積層構造のチャネル層が形成される。このため、このチャネル層上にソース・ドレイン層を形成した状態においては、ソース・ドレイン側の水素濃度が高く、ゲート絶縁膜側の水素濃度が低く抑えられたチャネル層を有するボトムゲート型の薄膜トランジスタが得られる。また、ゲート絶縁膜側の第1チャネル層に水素よりもシリコンに対する結合エネルギーが大きく脱離し難い重水素を含有させたことにより、水素のみが含有されているチャネル層と比較して、特にゲート絶縁膜側においての重水素を含む水素濃度の径時的な変化が小さいチャネル層を構成することができる。
また本発明の表示装置は、上述した構成の薄膜トランジスタに接続された電流駆動型の発光素子を基板上に配列形成してなることを特徴としている。
このような表示装置では、ソース・ドレイン間におけるキャリアの移動度が確保された状態で、しきい値電圧の径時的な変化量(ΔVt)、さらにはキャリアの移動度やS値の変化を小さく抑えた薄膜トランジスタによって発光素子の駆動がなされる。このため、長期にわたって安定的に発光素子の駆動がなされる。
また、本発明の表示装置の製造方法は、薄膜トランジスタに接続された電流駆動型の発光素子を基板上に配列形成してなる表示装置の製造において、上述した薄膜トランジスタの製造工程を有することを特徴とする
本発明の薄膜トランジスタによれば、アモルファスシリコンからなるチャネル層を用いた薄膜トランジスタにおいて、ソース・ドレイン間におけるキャリアの移動度を確保しつつ、しきい値電圧の径時的な変化量(ΔVt)、さらにはキャリアの移動度やS値の変化を小さく抑えることが可能となるため、初期特性を維持しつつも長期信頼性のさらなる向上を図ることが可能となる。
また、本発明の表示装置によれば、このような薄膜トランジスタを電流駆動型の発光素子の駆動用に用いることで、表示装置の長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
そして、本発明の薄膜トランジスタの製造方法によれば、ソース・ドレイン側の水素濃度が高くゲート絶縁膜側の水素濃度が低く抑えられ、かつ水素濃度の径時的な変化が小さい上記構成の薄膜トランジスタを得ることが可能になる。
また、本発明の表示装置の製造方法によれば、上記構成の薄膜トランジスタを設けた表示装置を得る事が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、各実施形態においては、薄膜トランジスタの構成、これを用いた表示装置の構成、薄膜トランジスタの製造方法とこれに続く表示装置の製造方法の順に説明する。
<第1実施形態>
(a)薄膜トランジスタ
図1は、第1実施形態の薄膜トランジスタを説明する断面図である。この図に示す薄膜トランジスタ1は、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、ガラス等からなる基板2上にパターン形成されたゲート電極3を覆う状態で、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜5が形成されている。このゲート絶縁膜5上には、ゲート電極3を覆う状態でアモルファスシリコンからなるチャネル層7がパターン形成されている。そして、チャネル層7上には、ゲート電極3上に積層させる状態で窒化シリコンからなる保護ストッパ層9がパターン形成されている。また、チャネル層7上には、保護ストッパ層9を挟んだ位置に、n型のアモルファスシリコン層からなるソース11aおよびドレイン11bがパターン形成されている。これらのソース11a、ドレイン11bは、その端部を保護ストッパ層9上に積層させており、保護ストッパ層9によって分離された状態となっている。また、ゲート絶縁膜5上には、ソース11aおよびドレイン11b上に一部を積層させたソース電極13aおよびドレイン電極13bがパターン形成されている。
そして特に、本実施形態の薄膜トランジスタ1においては、アモルファスシリコンからなるチャネル層7が重水素を含有している。また、チャネル層7中には、重水素と共に水素が含有されていても良いが、好ましくは水素に対して重水素の含有量が多い方が好ましい。そして、チャネル層7中における重水素を含む水素濃度(以下、単に水素濃度と記す)は、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって増加するように、深さ方向に分布を有していることとする。尚、チャネル層7中に含有される重水素は、少なくともゲート絶縁膜5との界面付近に含有されていることとする。
このような構成の薄膜トランジスタ1においては、チャネル層7中の水素濃度が、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって増加するように濃度勾配を有している。これにより、ゲート絶縁膜5の界面付近では水素濃度を抑えつつも、ソース11a,ドレイン11b側の界面付近では必要量の水素濃度が確保される構成となる。そして、ゲート絶縁膜5側界面の水素濃度を抑えることにより、しきい値電圧の径時的な変化量(ΔVt)が小さく抑えられる。しかも、ソース11a、ドレイン11b側の界面付近では必要量の水素濃度を確保することにより、ソース11a−ドレイン11b間におけるチャネル層7部分のキャリアの移動度が確保され、トランジスタ特性としてS値が小さく抑えられる。
そして特に、チャネル層7に含有されている重水素は水素よりもシリコンに対する結合エネルギーが大きいため、チャネル層7を構成するアモルファスシリコンのダングリングボンドを終端させる状態で結合された重水素は、水素よりも脱離し難い。したがって、もともと水素濃度の低いゲート絶縁膜5側界面におけるチャネル層7部分に重水素を含有させたことにより、この部分における水素濃度の径時的な変化を小さく抑えることが可能になり、これによってもしきい電圧の径時的な変化量(ΔVt)をさらに小さく抑えることが可能になる。また、チャネル層7内の全体に重水素を含有させた場合には、チャネル層7内全体において水素濃度の径時的な変化を小さく抑えることが可能になるため、キャリアの移動度やS値の径時的な変化を小さく抑えることが可能になる。
下記表1には、チャネル層7内における深さ方向の水素濃度プロファイルを変化させた各サンプルにおいて、S値としきい値電圧の変化(ΔVtと記す)とを測定した結果を示す。尚、しきい値電圧の変化(ΔVt)は、BTストレス試験の前後においてのしきい値電圧の変化量であり、BTストレス試験のストレス条件は、ゲート電圧15V、ドレイン電圧0V、温度80℃、ストレス時間10000秒である。
Figure 0004573091
ここで、サンプルNo.1〜5は、チャネル層7内の重水素を含む水素濃度を一定とした薄膜トランジスタである。これらのサンプル1〜5は、チャネル層7を構成するアモルファスシリコンを成膜する際に、SiD4ガスとD2ガスとをに用い、成膜時の基板温度を調整することにより成膜時に脱離させる水素(重水素を含む)の量を変化させたものである。このため、サンプルNo.1で最も水素濃度が高く、サンプルNo.5で最も水素濃度が低くなっている。
サンプルNo.6は、チャネル層7を構成するアモルファスシリコンを成膜する際に、SiH4ガスとH2ガスとを用い、チャネル層7を構成する成膜時の基板温度を420℃に設定することにより、成膜時にチャネル層7から水素を脱離させた薄膜トランジスタである。この薄膜トランジスタ内には重水素は含有されていない。
尚、図2には、サンプルNo.1〜6を代表して、サンプルNo.1について、二次イオン質量分析装置で測定したチャネル層中の深さ方向における水素濃度分布を示す。この図に示すように、サンプルNo.1〜6全てのサンプルにおいては、チャネル層中における水素濃度は、ソース・ドレイン側界面からゲート絶縁膜側界面にかけて一定であることが確認されている。
次に、サンプルNo.7〜10は、チャネル層7内に重水素を含まず、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって水素濃度が増加するように形成された薄膜トランジスタである。これらのサンプルNo.7〜10の製造方法は後述するが、チャネル層7形成後の水素(H)を用いたプラズマ処理の処理時間を調整することによって、チャネル層7内における水素濃度を変化させている。このため、サンプルNo.7で最も水素濃度が低く、サンプルNo.10で最も水素濃度が低くなっている。
サンプルNo.11〜14は、チャネル層7内に重水素を含み、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって重水素濃度が増加するように形成された薄膜トランジスタである。これらのサンプルNo.11〜14の製造方法は後述するが、チャネル層7形成後の重水素(D)を用いたプラズマ処理の処理時間を調整することによって、チャネル層7内における水素濃度(重水素濃度)を変化させている。このため、サンプルNo.11で最も水素濃度が低く、サンプルNo.14で最も水素濃度が低くなっている。
尚、図3には、サンプルNo.7〜14を代表して、サンプルNo.8について、二次イオン質量分析装置で測定したチャネル層中の深さ方向における水素濃度分布を示す。この図に示すように、サンプルNo.7〜14全てのサンプルにおいては、チャネル層中における水素濃度(重水素濃度)が、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって増加していることが確認されている。
以上のサンプルNo.1〜6の結果から、チャネル層中の水素濃度(重水素を含む)が一定である場合、水素濃度が高い(サンプルNo.1)ほどS値は低く抑えられるがΔVtが大きく、水素濃度が低い(サンプルNo.5,6)ほどΔVtが低く抑えられるがS値が大きくなることが分かる。そして、S値とΔVtとが、チャネル層7内の水素濃度に対してトレードオフの関係にあることが分かる。
そこで、No.7〜1のように、チャネル層中の水素濃度(重水素を含む)または重水素濃度に、ゲート絶縁膜側からソース・ドレイン側に向かって増加するような傾斜を付けて、ソース絶縁膜側の水素濃度を低く抑えた状態で、ソース・ドレイン側の水素濃度を高くすることにより、S値が低く抑えられた範囲においてΔVtの上昇も低く抑える構成とすることが可能になる。
そして特に、重水素が含有されていないサンプルNo.7〜10と比較して、重水素が含有されているサンプルNo.11〜14では、S値が同一の値であればよりΔVthの値が低く抑えられていることが分かる。
以上結果、図1を用いて説明した第1実施形態の薄膜トランジスタでは、チャネル層7内に水素のみを含有させた場合と比較して、重水素を含有させることにより、S値を小さく抑えながらも、ΔVtをさらに小さく抑えて長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
(b)表示装置
次に、このような薄膜トランジスタ1を用いた表示装置の一構成例を図4に基づいて説明する。尚、図4においては、薄膜トランジスタ1の詳細な構成の図示は省略した。
表示装置20は、基板2の薄膜トランジスタ1の形成面側を覆う層間絶縁膜21上に、各薄膜トランジスタ1に接続された発光素子(ここでは有機EL素子)23を配列形成してなる。各有機EL素子23は、層間絶縁膜21に形成された接続孔21aを介して薄膜トランジスタ1に接続された下部電極25を備えている。これらの下部電極25は、画素毎にパターニングされており、その周囲が絶縁膜パターン27で覆われて中央部のみが広く露出した状態となっている。また、各下部電極25の露出部上には、それぞれパターニングされた状態で、少なくとも発光層を備えた有機層29が積層されている。この発光層は、当該発光層に注入された正孔と電子との再結合によって発光を生じる有機材料からなることとする。そして、このようにパターニングされた各有機層29と絶縁膜パターン27との上方に、下部電極25との間に絶縁性が保たれた状態で上部電極31が配置形成されている。
この表示装置20において、下部電極25は陽極(または陰極)として用いられ、上部電極31は陰極(または陽極)として用いられる。そして、下部電極25と上部電極31との間に狭持された有機層29に、下部電極25と上部電極31とから正孔と電子とを注入することにより、有機層29の発光層部分において発光が生じる。尚、この表示装置20が、上部電極31側から発光光を取り出す上面発光型である場合、上部電極31は光透過性の高い材料を用いて構成されることとする。一方、この表示装置20が、基板2側から発光光を取り出す透過型である場合、基板2および下部電極25は光透過性の高い材料を用いて構成されることとする。
このような構成の表示装置20によれば、図1を用いて説明した構成の薄膜トランジスタ1を有機EL素子23に接続させた構成としたことにより、ソース11a−ドレイン11b間におけるキャリアの移動度を確保した状態で、しきい値電圧の径時的な変化量(ΔVt)を小さく抑えた薄膜トランジスタ1によって有機EL素子23の駆動を行うことが可能になる。このため、長期にわたって安定的に有機EL素子23の駆動を行うことが可能になり、有機EL素子23を用いた表示装置20の長期信頼性の向上を図ることができる。
(c)製造方法
次に、上述した構成の薄膜トランジスタ1の製造方法およびこれに続く表示装置の製造方法を説明する。
先ず、図5(1)に示すように、基板2上に1%程度のネオジウムが添加されたアルミニウム(膜厚300nm)とその上層のモリブデン(膜厚50nm)との2層構造の金属からなるゲート電極3をパターニング形成する。その後、プラズマCVD法により、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜5を約200nm程度の膜厚に形成する。
次に、図5(2)に示すように、ゲート絶縁膜5上に、アモルファスシリコンからなるチャネル層7を50nmの膜厚で形成する。この際、シリコンから水素が脱離する温度(400℃以上)に基板温度を設定した状態で、アモルファスシリコンからなるチャネル層7の形成を行う。これにより、工程の簡略化を図りつつ、水素濃度の低いアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成する。ここでは基板温度を420℃に設定してアモルファスシリコン(チャネル層7)の成膜を行うこととする。尚、ここでは、SiD4ガスとD2ガスとを用いることで、チャネル層7に残留する水素を重水素とすることが好ましい。
尚、水素濃度の低いアモルファスシリコンからなるチャネル層7は、300℃程度の基板温度でアモルファスシリコンを形成した後に、シリコンから水素が脱離する温度(400℃以上)での熱処理を行うことで形成しても良い。この熱処理は、チャネル層7の表面が露出した状態で行うことが好ましい。400℃以上の熱処理工程としては、基板2をヒーター上に直接載せて加熱する方式や、チャネル層7に赤外線を熱輻射する方式や、加熱した窒素ガスでチャネル層7を加熱する方式や、ヒーターによる基板2の加熱とランプを用いた光によるチャネル層7の加熱とを併用する方式等を用いることが可能である。また、この熱処理温度は基板2が変形しない限り、出来るだけ高温で行うことが望ましい。特に、600℃以上で熱処理することにより、短時間で十分な熱処理効果を得ることが可能となる。このため、ここでは一例とした600℃で5分間の熱処理を行うこととする。
以上の何れかの方法によって水素濃度の低いアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成した後、チャネル層7の表面に対して重水素化処理を行う。この重水素化処理としては、重水素ガスを用いたプラズマ処理をプラズマ処理を行うことにより、アモルファスシリコンからなるチャネル層7内にその表面側から重水素(D)を導入する。そして、チャネル層7の表面側で重水素を含む水素濃度が高く、下方のゲート絶縁膜5側に向かって水素濃度が低くなるチャネル層7を形成する。この際、アモルファスシリコン膜中に導入する重水素濃度は、プラズマ処理を行う際のパワーおよび時間を変化させることにより制御することが可能となる。
次いで、図5(3)に示すように、プラズマCVD法により、チャネル層7上に窒化シリコンからなる保護ストッパ層9を200nmの膜厚に形成する。
尚、以上図5(1)を用いて説明したゲート絶縁膜5の形成から、図5(3)を用いて説明した保護ストッパ層9の形成までの一連のプロセス工程は、基板2を大気中に出さずに真空中、あるいは内部が気密に保たれた搬送装置で接続された装置(いわゆるマルチチャンバ装置によって、連続して処理することが望ましい。
次に、図5(4)に示すように、フォトリソグラフィー工程とエッチング工程を経ることによって、ゲート電極3の直上のみに保護ストッパ層9を残す様に、当該保護ストッパ層9のパターニングを行う。
その後、図5(5)に示すように、パターニングされた保護ストッパ層9を覆う状態で、チャネル層7上にリンを含むn型アモルファスシリコン膜11を約50nm程度の膜厚に形成する。その後、フォトリソグラフィーとエッチングプロセス工程を経て、n型アモルファスシリコン膜11とその下層のチャネル層7とを島状にパターニングする。
次に、図5(6)に示すように、n型アモルファスシリコン膜11を覆う状態で、チタン/アルミニウム/チタンの積層膜からなるソース/ドレイン電極膜13をスパッタ法によって形成する。その後、ソース/ドレイン電極膜13をパターニングすることによって、ソース電極13aとドレイン電極13bとを形成する。その後さらに、ソース電極13aとドレイン電極13bとから露出している保護ストッパ層9上においてn型アモルファスシリコン11部分をエッチング除去して分離し、ソース11aおよびドレイン11bを形成する。
以上によって、図1を用いて説明したように、保護ストッパ層9によってチャネル層7上が保護されたチャネル保護型のボトムゲート型薄膜トランジスタ1が形成される。尚、表1で示したサンプルNo.11〜14は、本第2実施形態において、図5(2)を用いて説明した重水素化処理において、処理時間を調整して作製したものである。また、表1に比較のために示したサンプルNo.7〜10は、図5(2)を用いて説明した重水素化処理を水素化処理に換えて、処理時間を調整して作製したものである。
そして、このような薄膜トランジスタ1を備えた表示装置を製造する場合には、引き続き次の工程を行う。すなわち、図4に示したように、薄膜トランジスタ1が設けられた基板2上を層間絶縁膜21で覆い、この層間絶縁膜21に、薄膜トランジスタ1に接続された接続孔21aを形成する。その後、層間絶縁膜21上に接続孔21aを介して薄膜トランジスタ1に接続された下部電極25をパターン形成する。次に、この下部電極25の周囲を絶縁膜パターン27で覆った後、絶縁膜パターン27から露出する下部電極25上に少なくとも発光層を含む有機層パターン29を積層形成する。次に、有機層パターン29と絶縁膜パターン27とを覆う状態で、上部電極31を形成する。これにより、下部電極25によって薄膜トランジスタ1に接続された有機EL素子23を形成する。
このような製造方法によれば、図5(2)を用いて説明したように、シリコンから水素が脱離する基板温度(成膜温度)でアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成した後に、チャネル層7の表面に対して重水素化処理を行うことにより、先に図3のグラフに示したように、ゲート絶縁膜5との界面側と比較して、表面側でより重水素を含む水素濃度が高くなるようにチャネル層7中の水素濃度分布が調整される。これにより、その後の図5(6)を用いて説明した工程で、チャネル層7上にソース11a、ドレイン11bを形成した状態において、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって水素濃度が高くなる分布を有したチャネル層7を形成することができる。
そして特に、図5(2)を用いて説明した工程では、シリコンから水素が脱離する基板温度(成膜温度)でアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成した後に、チャネル層7の表面に対して重水素化処理を行うことでチャネル層7に重水素を導入するため、チャネル層7中におけるゲート電極3側の水素濃度(重水素を含む)をより低く抑えることが可能になる。
また、以上の製造工程においては、ゲート絶縁膜5の形成からチャネル層7の形成までの工程を大気中に出さずに行うことで、ゲート絶縁膜5とチャネル層7の密着性の向上が図られるため、膜剥がれ等のプロセス上の問題を防止でき、スループットも高まるために低コストで信頼性の高い薄膜トランジスタを形成することが可能となる。
<第2実施形態>
(a)薄膜トランジスタ
図6は、第2実施形態の薄膜トランジスタを説明する断面図である。この図に示す薄膜トランジスタ1’と、第1実施形態で説明した薄膜トランジスタ(1)との異なるところは、アモルファスシリコンからなるチャネル層7が2層構造で構成されている点にあり、他の構成は同様であることとする。
すなわち、チャネル層7は、ゲート絶縁膜5の直上に形成された第1チャネル層7aと、この上部に積層されたソース・ドレイン側の第2チャネル層7bとの積層構造で構成されている。このうち、ゲート絶縁膜5側の第1チャネル層7aは、重水素を含有するアモルファスシリコンで構成されている。また、この上部の、ソース11a、ドレイン11b側の第2チャネル層7bは、重水素を含む水素濃度(以下、単に水素濃度と記す)が第1チャネル層7aよりも高いアモルファスシリコンで構成されている。
尚、チャネル層7は、2層構造に限定されることはなく、ゲート絶縁膜5側の層に重水素が含有されており、かつゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって水素濃度(重水素を含む)が高くなる設定でれば、3層以上の多層構造であっても良い。また、チャネル層7の全体に重水素が含有されていても良い。
このような構成の薄膜トランジスタ1’であっても、第1実施形態の薄膜トランジスタ(1)と同様の効果を得ることができる。
(b)表示装置
次に、このような薄膜トランジスタ1’を用いた表示装置の構成としては、図2を用いて説明した表示装置を例示することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(c)製造方法
次に、上述した構成の薄膜トランジスタ1’の製造方法およびこれに続く表示装置の製造方法を説明する。
先ず、図7(1)に示す工程を、第1実施形態において図5(1)を用いて説明したと同様に行い、ガラスからなる基板2上に、ゲート電極3を形成し、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜5を形成する。
その後、図7(2)に示すように、ゲート絶縁膜5上に、アモルファスシリコンからなる第1チャネル層7aを50nmの膜厚で形成する。この際、第1実施形態において図5(2)を用いて説明したと同様に、シリコンから水素が脱離する温度(400℃以上)に基板温度を設定した成膜を行うことにより、水素濃度の低いアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成する。また、ここでは、アモルファスシリコンからなる第1チャネル層7aを形成した後、熱処理を行うことによって第1チャネル層7aからの水素脱離が行われる様にしても良い。
次に、以上の何れかの方法によって水素濃度の低いアモルファスシリコンからなる第1チャネル層7aを形成した後、第1チャネル層7aの表面に対して重水素化処理を行う。この重水素化処理は、第1実施形態において図5(2)を用いて説明したと同様に行う。
尚、アモルファスシリコンからなる第1チャネル層7aを成膜する際に、SiD4ガスとD2ガスとを用いることで、第1チャネル層7aに残留する微量な水素を重水素とした場合には、この重水素化処理を行わなくても良い。
次に、図7(3)に示すように、第1チャネル層7a上に、第1チャネル層7aよりも水素濃度の高いアモルファスシリコンからなる第2チャネル層7bを100nmの膜厚で形成する。ここでは、第1チャネル層7aよりも水素濃度の高いアモルファスシリコンからなる第2チャネル層7bを形成するため、330℃程度の比較的低い基板温度(成膜温度)でアモルファスシリコンからなる第2チャネル層7bを形成する。
以上のようにして、第1チャネル層7a(H−)と、これよりも水素濃度の高い第2チャネル層(H+)7bとをこの順に積層してなるアモルファスシリコンからなるチャネル層7が形成される。尚、チャネル層7を3層以上の積層構造とする場合には、上層に形成されるチャネル層ほど水素濃度が高くなるように、上述した第2チャネル層の形成において、例えば成膜温度によって水素濃度を調整して順次上層のチャネル層の形成を行う。
以降の工程は、第1実施形態において図5(3)〜図5(6)を用いて説明したと同様に行うことにより、図7に示した積層構造のチャネル層7を備えたチャネル保護型のボトムゲート薄膜トランジスタ1'が形成される。
そして、このような薄膜トランジスタ1’を備えた表示装置を製造する場合の引き続の工程は、第1実施形態で説明したと同様に行うこととする。
以上説明した製造方法であっても、第1実施形態と同様に、重水素を含有すると共に、ソース11a、ドレイン11b側の水素濃度が高く、ゲート絶縁膜5側の水素濃度が低く抑えられたチャネル層7を有するボトムゲート型の薄膜トランジスタ1’が得られるため、第1実施形態の製造方法と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
(a)薄膜トランジスタ
図8は、第3実施形態の薄膜トランジスタを説明する断面図である。この図に示す薄膜トランジスタ1”と、第1実施形態で説明した薄膜トランジスタ(1)との異なるところは、チャネル層7上に窒化シリコンからなる保護ストッパ層9が設けられていない点にあり、他の構成は同様であることとする。
このような構成の薄膜トランジスタ1”であっても、チャネル層7内の水素濃度分を、第1実施形態で説明した薄膜トランジスタ(1)のチャネル層と同様に設定することにより、第1実施形態の薄膜トランジスタ(1)と同様の効果を得ることができる。
(b)表示装置
次に、このような薄膜トランジスタ1”を用いた表示装置の構成としては、図4を用いて説明した表示装置を例示することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(c)製造方法
次に、上述した構成の薄膜トランジスタ1”の製造方法およびこれに続く表示装置の製造方法を説明する。
先ず、図9(1),図9(2)に示す工程を、第1実施形態において図5(1)〜図5(2)を用いて説明したと同様に行い、ガラスからなる基板2上に、ゲート電極3を形成し、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜5を形成し、さらにアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成する。このチャネル層7は、第1実施形態と同様にして、表面側で重水素を含む水素濃度(以下、単に水素濃度と記す)が高く、下方のゲート絶縁膜5側に向かって水素濃度が低くなる様に形成する。ただし、チャネル層7は、第1実施形態よりも厚めの約200nm程度の膜厚に形成する。
その後、図9(3)に示すように、トランジスタのソース/ドレイン領域となるリンを含むn型アモルファスシリコン膜11を約50nm程度の膜厚に形成する。
尚、以上図9(1)を用いて説明したゲート絶縁膜5の形成から、図9(3)を用いて説明したn型アモルファスシリコン膜11の形成までの一連の工程は、基板2を大気中に出さずに真空中、あるいは内部が気密に保たれた搬送装置で接続された装置(いわゆるマルチチャンバ装置によって、連続して処理することが望ましい。
次に、図9(4)に示すように、フォトリソグラフィー工程とエッチング工程を経ることで、n型アモルファスシリコン膜11とその下層のチャネル層7とを島状にパターニングする。
その後、図9(5)に示すように、n型アモルファスシリコン膜11を覆う状態で、ゲート絶縁膜5上にソース/ドレイン電極膜13をスパッタ法によって形成する。
次に、図9(6)に示すように、ソース/ドレイン電極膜13をパターニングすることによってソース電極13a、ドレイン電極13bを形成し、さらに、n型アモルファスシリコン11をチャネル層7上においてエッチング分離してソース11a、ドレイン11bを形成する。
以上によって、チャネルエッチ型のボトムゲート型薄膜トランジスタ1”が形成される。
そして、このような薄膜トランジスタ1”を備えた表示装置を製造する場合の引き続の工程は、第1実施形態で説明したと同様に行うこととする。
以上説明した製造方法であっても、第1実施形態において図5(2)を用いて説明したと同様の工程を、図9(2)に示す工程で行うため、第1実施形態の製造方法と同様の効果を得ることができる。
また、ゲート絶縁膜5の形成からn型アモルファスシリコン11の形成までの工程を大気中に出さずに行うことにより、ゲート絶縁膜5−チャネル層7−n型アモルファスシリコン11間の密着性を向上することが可能となるため、膜剥がれ等のプロセス上の問題の発生を防止でき、また、スループットも高まるために低コストで信頼性の高い薄膜トランジスタを形成することが可能となる。
尚、本第3実施形態においては、図9(2)を用いて説明したように、下方のゲート絶縁膜5側に向かって水素濃度が低くなるチャネル層7を形成した後、図9(3)に示すようにトランジスタのソース/ドレイン領域となるリンを含むn型アモルファスシリコン膜11を形成する構成とした。しかしながら、水素を脱離させたアモルファスシリコンからなるチャネル層7を形成した後に、n型アモルファスシリコン膜11を形成し、さらに図9(6)に示したように、ソース電極13a、ドレイン電極13bを形成してチャネル層7上のアモルファスシリコン膜11をエッチングしてソース11a、ドレイン11bを形成した後に重水素化処理を加えても良い。このような工程であっても、ソース11a、ドレイン11b間に露出するチャネル層7部分から重水素が導入されるため、ゲート絶縁膜5の界面側の水素濃度が低く、ソース11a、ドレイン11b間のチャネル層7部分の水素濃度が高い薄膜トランジスタ1”を得ることができる。
また、本第3実施形態においては、チャネル層7の構成を第2実施形態で説明したと同様の積層構造とすることで第2実施形態と組み合わせることも可能である。
<第4実施形態>
(a)薄膜トランジスタ
図10は、第4実施形態の薄膜トランジスタを説明する断面図である。この図に示す薄膜トランジスタ1aは、トップゲート型の薄膜トランジスタであり、基板2上にパターン形成されたソース11aおよびドレイン11bの端部に両端を重ねる状態でチャネル層7が設けられている。そして、これらを覆う状態で設けられたゲート絶縁膜5を介して、チャネル層7上にゲート電極3が積層形成されている。このような薄膜トランジスタ1aにおいても、第1〜第3実施形態の薄膜トランジスタと同様に、アモルファスシリコンからなるチャネル層7中の水素濃度が、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって増加するように、深さ方向に分布を有していることとする。
ここでは、チャネル層7は、第2実施形態と同様に2層構造となっており、ソース11a、ドレイン11bの直上に形成された第1チャネル層7cと、この上部に積層された絶縁膜側の第2チャネル層7dとで構成されている。そして、ソース11a、ドレイン11b側の第1チャネル層(H+)7cは、アモルファスシリコンで構成されている。一方、この上部のゲート絶縁膜5側の第2チャネル層(H−)7dは、重水素を含有すると共に第1チャネル層7cよりも重水素を含む水素濃度(以下、単に水素濃度と記す)の低いアモルファスシリコンで構成されている。
尚、チャネル層7は、2層構造に限定されることはなく、ゲート絶縁膜5側の層に重水素が含有されており、ゲート絶縁膜5側からソース11a、ドレイン11b側に向かって水素濃度が高くなる設定でれば、3層以上の多層構造であっても良い。また、チャネル層7の全体に重水素が含有されていても良い。
このような構成の薄膜トランジスタ1aであっても、第1実施形態の薄膜トランジスタ(1)と同様の効果を得ることができる。
(b)表示装置
次に、このような薄膜トランジスタ1aを用いた表示装置の構成としては、図4を用いて説明した表示装置を例示することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(c)製造方法
次に、上述した構成の薄膜トランジスタ1aの製造方法およびこれに続く表示装置の製造方法は、通常のトップゲート型の積層薄膜トランジスタの製造工程において、各チャネル層7c、7dが所望の水素濃度となるように、第1チャネル層(H+)7cを構成するアモルファスシリコンの形成、および第2チャネル層(H−)7dを構成するアモルファスシリコンの形成を行う。例えば、第1チャネル層(H+)7cの形成は、アモルファスシリコンを成膜した後に水素化処理および重水素化処理さらにはこの両方を行うことにより、第1チャネル層(H+)7c中の水素濃度を高める。その後、第2チャネル層(H−)7dの形成においては、SiD4ガスとD2ガスとを用いることで、重水素を含有するが第1チャネル層(H+)よりも水素濃度の低い第2チャネル層(H−)7dを形成する。
そして、このような薄膜トランジスタ1aを備えた表示装置を製造する場合の引き続の工程は、第1実施形態で説明したと同様に行うこととする。
以上により、第4実施形態の薄膜トランジスタ1aおよびこれを用いた表示装置が得られる。
電流駆動による発光素子駆動用の薄膜トランジスタ、この発光素子を設けた表示装置に適用できる。
第1実施形態の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。 チャネル層における深さ方向の水素濃度分布を示すグラフ(1)である。 チャネル層における深さ方向の水素濃度分布を示すグラフ(2)である。 本発明の薄膜トランジスタを用いた表示装置の断面図である。 図1の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面工程図である。 第2実施形態の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。 図6の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面工程図である。 第3実施形態の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。 図8の薄膜トランジスタの製造方法を示す断面工程図である。 第4実施形態の薄膜トランジスタの構成を示す断面図である。
符号の説明
1,1’,1”,1a…薄膜トランジスタ、2…基板、3…ゲート電極、5…ゲート絶縁膜、7…チャネル層、7a,7c…第1チャネル層、7b,7d…第2チャネル層、11a…ソース、11b…ドレイン、20…表示装置、23…有機EL素子(発光素子)

Claims (8)

  1. 基板上に、ソース・ドレイン層と、アモルファスシリコンからなるチャネル層と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極とをこの順またはこれと逆の順に積層してなる薄膜トランジスタにおいて、
    前記チャネル層は、少なくともゲート絶縁膜との界面付近に重水素を含有すると共に、重水素を含む水素濃度が前記ゲート絶縁膜側界面から前記ソース・ドレイン層側界面に向かって連続的に増加してい
    膜トランジスタ。
  2. 請求項1記載の薄膜トランジスタにおいて、
    前記チャネル層中の全体に重水素が含有されてい
    膜トランジスタ。
  3. 基板上のゲート電極を覆う状態で、当該基板上にゲート絶縁膜を介して重水素を含有するアモルファスシリコンからなる第1チャネル層を形成し、
    前記第1チャネル層に対して、重水素を含む雰囲気下において水素化処理を行い、
    前記第1チャネル層上に、重水素を含む水素濃度が当該第1チャネル層よりも高いアモルファスシリコンからなる第2チャネル層を、前記第1チャネル層を形成する際の成膜温度よりも低い成膜温度で形成す
    膜トランジスタの製造方法。
  4. 請求項記載の薄膜トランジスタの製造方法において、
    前記第1チャネル層を形成する際に重水素を含有するガスを用い
    膜トランジスタの製造方法。
  5. ソース・ドレイン層、アモルファスシリコンからなるチャネル層、ゲート絶縁膜、およびゲート電極をこの順またはこれと逆の順に積層してなる薄膜トランジスタと、この薄膜トランジスタに接続された電流駆動型の発光素子とを基板上に配列形成してなる表示装置において、
    前記チャネル層は、少なくともゲート絶縁膜との界面付近に重水素を含有すると共に、重水素を含む水素濃度が前記ゲート絶縁膜側界面から前記ソース・ドレイン層側界面に向かって連続的に増加してい
    示装置。
  6. 請求項記載の表示装置において、
    前記チャネル層中の全体に重水素が含有されてい
    示装置。
  7. ゲート電極を覆うゲート絶縁膜上にアモルファスシリコンからなるチャネル層を介してソース・ドレイン層を設けてなる薄膜トランジスタと、この薄膜トランジスタに接続された電流駆動型の発光素子とを基板上に配列形成してなる表示装置の製造方法であって、
    前記基板上のゲート電極を覆う状態で、当該基板上にゲート絶縁膜を介して重水素を含有するアモルファスシリコンからなる第1チャネル層を形成する工程と、
    前記第1チャネル層に対して、重水素を含む雰囲気下において水素化処理を行う工程と、
    前記第1チャネル層上に、重水素を含む水素濃度が当該第1チャネル層よりも高いアモルファスシリコンからなる第2チャネル層を、前記第1チャネル層を形成する際の成膜温度よりも低い成膜温度で形成する工程と
    を有する表示装置の製造方法。
  8. 請求項記載の表示装置の製造方法において、
    前記第1チャネル層を形成する際に重水素を含有するガスを用い
    示装置の製造方法。
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