JP4572389B2 - 光学活性ホスホン酸エステル類の製造方法 - Google Patents

光学活性ホスホン酸エステル類の製造方法 Download PDF

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本発明は、光学活性なホスホン酸エステル類の製造方法に関するものである。
光学活性なノルボニル又は置換ノルボニルホスホン酸エステル類は、容易に光学活性なノルボニル基を有するホスフィン類へ変換できる。それ自身またその変換により得られるホスフィン類は、不斉合成の触媒配位子として広く有用なものである。従って、これらの化合物は、特に医薬品などの精密有機合成に使用される。
本発明者らは、先に、遷移金属の存在下に、第2級ホスホン酸エステルとノルボルネンを反応させることにより、ラセミ状のノルボルニルホスホン酸エステル類を製造することに成功した(非特許文献1)。
しかしながら、この方法では、光学活性なノルボルニルホスホン酸エステル類の製造方法を得ることができなかった。
J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 5407-5408
本発明は、光学活性なノルボニル又は置換ノルボニルホスホン酸エステルの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、第2級ホスホン酸エステルとノルボルネン類の反応について鋭意研究の結果、光学活性な配位子を有するパラジウム触媒存在下で付加反応が進行し、高エナンチオ選択性で対応する光学活性なホスホン酸エステルを与えることを見出し、これらの事実に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
以下の一般式(4)で示される光学活性配位子及びパラジウム金属を含む触媒
[化3](4)

(式中、RとR’は、それぞれ、シクロヘキシル、フェニル、3級ブチルから選ばれる基を示す。)の存在下、
下記一般式(1)
[化1](1)
で表されるノルボルネンまたはこの骨格を有する誘導体に、
下記一般式(2)
HP(O)(OR)(OR) (2)
(式中RとRは、異なっても又環状を形成してもよい。RとRは環状を形成しない時は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す炭化水素基を示す。RとRは環状を形成する時には、アルキレン基又は置換アルキレン基を示す)で表される第2級ホスホン酸エステルを反応させることを特徴とする、
下記一般式(3)
[化2](3)
(式中、R〜Rは、前記と同じ)で表される光学活性ノルボニルまたは置換ノルボニルホスホン酸エステル類の製造方法。
本発明方法によれば、容易に光学活性なノルボニル基を有するホスフィン類へ変換でき、また不斉合成の触媒配位子として広く有用な、光学活性ノルボニルまたは置換ノルボニルホスホン酸エステル類を効率よく製造することができる。
本発明は、一般式(1)
で表されるノルボルネンまたはこの骨格を有する誘導体と、一般式(2)
HP(O)(OR)(OR)
(式中RとRは、異なっても又環状を形成してもよい。RとRは環状を形成しない時は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す炭化水素基を示す。RとRは環状を形成する時には、アルキレン基又は置換アルキレン基を示す)で表される第2級ホスホン酸エステルを反応させて、一般式(3)

(R〜Rは、前記と同じ)で表される光学活性ノルボニルまたは置換ノルボニルホスホン酸エステル類を製造するに当たり、光学活性配位子Lと10族遷移金属を含む触媒を用いることを特徴としている。
本発明において原料として用いるノルボルネン化合物は下記一般式(1)で示されるノルボルネンまたはこの骨格を有する誘導体である。
ノルボルネン誘導体としては、たとえばベンゾノルボルナジエン、5−ノルボルネン−カルボン酸、シス−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン-2,2−ジメタノールなどが挙げられる。
本発明において他の反応原料として用いる第2級ホスホン酸エステルは、一般式(2)HP(O)(OR)(OR)で表される。
式中、RとRは、異なっても又環状を形成してもよい。RとRは環状を形成しない時は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す炭化水素基を示す。RとRは環状を形成する時には、アルキレン基又は置換アルキレン基を示す。
前記アルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は3〜12、好ましくは5〜6である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜12である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換用(トリル、ナフチル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
とRは環状を形成する時には、R−Rは(CH2で示されるアルキレン基又はこれが置換される置換アルキレン基を示す。一般的に、xは1から10であり、好ましくは2から5である。
本発明の反応に用いる錯体触媒は、光学活性な配位子Lと10族遷移金属を含有するものである。また、反応系中で、光学活性な配位子Lと配位子を含まない10族遷移金属錯体を混合し、反応系中で錯体を発生する方法が好ましい態様である。
本発明でいう、光学活性な配位子Lとは、10族遷移金属と配位能を有するもの意味し、具体的には、アミン系とリン系のものを指す。
本発明で好適に用いることができる光学活性な配位子は、一般式(4)で示される。式中、RとR’は、それぞれ、シクロヘキシル、フェニル、3級ブチルなどを示す。
これらの光学活性な配位子Lと組み合わせて用いられる、10族遷移金属としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、酢酸パラジウムなどのパラジウム系化合物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルなどニッケル系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの錯体触媒の使用量はいわゆる触媒量でよく、一般的にノルボルネン化合物に対して20モル%以下で十分である。ノルボルネン化合物と水素ホスホン酸エステル化合物の使用率は、一般的にモル比で1:1が好ましいが、これより大きくても小さくても、反応の生起を阻害するものではない。反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。
溶媒としては、炭化水素系もしくはエーテル系の溶媒が一般的に用いられる。反応温度は、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、あまりに高温では触媒が分解するので、一般的には、室温ないし300℃の範囲から選ばれ、好ましくは50ないし150℃の範囲で実施される。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、実施態様は実施例に限定されるものではない。
代表的な実験操作
1,4−ジオキサン 1ミリリットルに、HP(O)(OCMe2−Me2CO) 1ミリモル、ノルボルネン 1ミリモル、触媒として 酢酸パラジウム(5モル%)と光学活性なホスフィン(適量)を加え、窒素雰囲気下、100℃で20時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離精製すると、光学活性な2-ノルボニル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが得られた。付加物の光学純度は、液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ダイセル社製chiralpak AS columnより求めた。
実施例1−14
上記実験操作を行い、種々の条件下反応を行った。結果は、表1と表2にまとめた。
実施例15
酢酸パラジウムと光学活性ホスフィンを用いる代わりに、以下に示すジメチルパラジウム錯体(5モル%)を使い、実施例4と同じ条件下で反応を行ったところ、付加物が90%の収率で得られた(81% eeであった。)
実施例16
酢酸パラジウムの代わりに、(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを用い、実施例4と同じ条件下で反応を行ったところ、付加物が82%の収率で得られた(83% eeであった。)

Claims (1)

  1. 以下の一般式(4)で示される光学活性配位子及びパラジウム金属を含む触媒
    [化3](4)

    (式中、RとR’は、それぞれ、シクロヘキシル、フェニル、3級ブチルから選ばれる基を示す。)の存在下、
    下記一般式(1)
    [化1](1)
    で表されるノルボルネンまたはこの骨格を有する誘導体に、
    下記一般式(2)
    HP(O)(OR)(OR) (2)
    (式中RとRは、異なっても又環状を形成してもよい。RとRは環状を形成しない時は、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す炭化水素基を示す。RとRは環状を形成する時には、アルキレン基又は置換アルキレン基を示す)で表される第2級ホスホン酸エステルを反応させることを特徴とする、
    下記一般式(3)
    [化2](3)
    (式中、R〜Rは、前記と同じ)で表される光学活性ノルボニルまたは置換ノルボニルホスホン酸エステル類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003261581A (ja) * 2002-03-08 2003-09-19 Daicel Chem Ind Ltd アルキルホスホン酸エステル類の製造法
JP2005528354A (ja) * 2002-03-13 2005-09-22 デグサ アクチエンゲゼルシャフト フェロセニル配位子及び触媒反応におけるその使用

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