JP4572228B2 - 衛生薄葉紙収納箱 - Google Patents

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Description

本発明は、ティシュペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー等を収納するための衛生薄葉紙収納箱に関する。
紙箱の上面に環状のミシン目線が形成されており、その環状のミシン目線を切り剥がすことで、紙箱に開口部が形成されるとともに、その開口部内にスリットが露出される衛生薄葉紙収納箱はよく知られる。
この種の衛生薄葉紙収納箱では、前記環状ミシン目線を被覆するようにして、紙箱内面にスリットを有する樹脂製又は樹脂を含むフィルムシートを貼付した構造を採るのが一般的である。
そして、この種の収納箱は、使用後の廃棄時にフィルムシートと紙箱の分別を要する場合がある。しかし、従来箱においては、紙箱内に手を入れることが想定されていないため、フィルムを剥離するのに煩雑な操作が要せられる。
他方、フィルム貼付部分を囲む別のミシン目線を形成し、使用後にこれを引き剥がすことで、フィルム貼付部分を紙箱本体より分離できるように構成した衛生薄葉紙収納箱も開示される(例えば、特許文献1等)。
しかし、この衛生薄葉紙収納箱の構成としても、分離したフィルム貼付部において、さらに紙部分とフィルムシート等とを分別する操作が必要であり、操作の煩雑さは軽減されているとはいえない。また、使用状態で上面のミシン目線が常に視認される状態であるため見た目にも好ましくない。
一方、煩雑な操作を有さない衛生薄葉紙収納箱として、フィルムシートに変えて紙製シートを用いた衛生薄葉紙収納箱箱(例えば、特許文献2等)も市販に供されている。
しかし、フィルムシートを用いた構造のほうが柔軟性があるため衛生薄葉紙、例えばティシュペーパーを取り出し易い傾向にあり、また防湿性、シール性及び防水性の点でもフィルムシートを用いたもののほうが優れる。
他方、従来の衛生薄葉紙収納箱は、一度に大量の衛生薄葉紙が必要な場合、数十回のポップアップ作業を繰り返すか、又は箱を破壊して内部に収められた衛生薄葉紙束を取り出すしかない。
さらに、この種の衛生薄葉紙収納箱では、例えば使用が進んで内部の衛生薄葉紙の残量が少なくなると、衛生薄葉紙束と紙箱上面との距離が離間するため、取り出しがたくなることが知られており、これに鑑みて衛生薄葉紙残が少なくなった場合の取り出し性の悪化を防止する技術を確保する必要もある。
特開2000−281155 特開2005−225563
そこで、本発明の主たる課題は、スリットを配したフィルムシートと紙箱部とを容易に分別することができ、しかも、場合により一度に大量の衛生薄葉紙を取り出し可能な衛生薄葉紙収納箱を提供することにある。また、他の課題として、この衛生薄葉紙収納箱において衛生薄葉紙の残量が少なくなった場合の取り出し性低下を防止することもできるようにすることにある。
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
上面と底面とこれらに連接する側面とを有する箱本体と、前記上面に形成された環状の裂開用ミシン目線と、前記ミシン目線内範囲を箱本体内側から覆う樹脂を含むフィルムシートとを有し、
前記フィルムシートが、スリットを有し、そのスリットが少なくとも環状ミシン目線内範囲に位置され、前記環状ミシン目線に沿ってミシン目線に囲まれる範囲を引き剥がすことにより、取り出し口が形成されるとともに、前記フィルムシート及びそれに形成されたスリットが取り出し口から露出され、箱内に収納された衛生薄葉紙が取り出し可能となる衛生薄葉紙収納箱であって、
底面に、略環状又はアーチ状を描くように配された裂開用ミシン目線を有し、
この底面の裂開用ミシン目線の裂開により、この裂開用ミシン目線の基端と終端を結ぶ線をヒンジとする蓋片が形成されるとともに、前記取出し口とは別の前記蓋片と同形状の箱内外に連通する底面取出し口が形成され、
箱内に収納された衛生薄葉紙をすべて取り出した後にその底面取出し口から前記フィルムシートを取り出すことを可能とした、ことを特徴とする衛生薄葉紙収納箱。
<請求項2記載の発明>
底面側の裂開用ミシン目線及びその端同士を結ぶ直線で囲まれる範囲は、短手が70mm以上、長手が110mm以上あり、かつ、80cm2以上の面積を有する請求項1記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項3記載の発明>
前記底面が長方形であり、底面の短手縁又は長手縁と、底面の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線とが平行である請求項1又は2記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項4記載の発明>
前記底面が長方形であり、底面側の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線と底面の短手縁とが平行であり、その離間距離が3〜65mm、底面の短手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜65mmであり、底面の長手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜45mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項5記載の発明>
前記底面が長方形であり、底面側の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線と底面長手縁とが平行であり、その離間距離が3〜45mm、底面の短手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜65mmであり、底面の長手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜45mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項6記載の発明>
前記底面が長方形であり、底面の裂開用ミシン目線は、底面の長手縁及び短手縁に向かって湾曲する円弧線の連続による略楕円形状に配されている請求項1〜5記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項7記載の発明>
前記底面が長方形であり、底面の裂開用ミシン目線は、底面の長手縁及び短手縁に沿う直線又は湾曲線の連続による略コ字状に配されている請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項8記載の発明>
底面の裂開用ミシン目線及びこの裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線は、これらにより囲まれる範囲に上面の裂開用ミシン目線を垂下させて底面に投影した範囲が包含される位置に形成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項9記載の発明>
前記底面の裂開用ミシン目線で囲まれる範囲内に、共通のミシン目線によって相接し、これに連なる非共通のミシン目線を有し、基端に形成された相互に平行な起立折目線部分を残して、それぞれ裂開可能でかつ相対向して切り起こし可能な2個の屈折片を有する請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
<請求項10記載の発明>
底面側の裂開用ミシン目線は、そのカットタイ比が1:0.5〜10:4であり、ミシン目の切れ残りの長さが0.5〜4.0mmである請求項1〜9の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
以上詳述のとおり、本発明によれば、スリットを配したフィルムと紙箱部とを容易に分別することができる衛生薄葉紙収納箱が提供され、また、この衛生薄葉紙収納箱において衛生薄葉紙の残量が少なくなった場合の取り出し性低下を防止することもできる。
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態を図1〜3を参照しながら以下に詳述する。図1は、本実施形態の衛生薄葉紙収納箱X1の上面1U側からの斜視図であり、図2は衛生薄葉紙、例えばティシュペーパー取り出し時の状態を示す斜視図であり、図3は、本実施形態の衛生薄葉紙収納箱X1の底面1B側からの斜視図である。図4は、本実施形態の衛生薄葉紙収納箱X1の底面1B側からの他の状態の斜視図である。
本形態の衛生薄葉紙収納箱X1は、上面1U及び底面1Bに裂開用ミシン目線11,40を有する紙箱1と、上面の裂開用ミシン目線内範囲11aを内側から覆うフィルムシート2とを備える(以下、上面の裂開用ミシン目線11を上面裂開用ミシン目線11という)。
本形態の紙箱1は、衛生薄葉紙収納箱X1の外形をなす直六面体の紙製の箱体であるが、その大きさ、形状、展開形状等はこれに限らず既知の衛生薄葉紙収納箱の紙箱の構成を採用できる。
なお、本形態の衛生薄葉紙収納箱X1は、上面1U、底面1B及びこれらを連接する側面と、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片、側面端面片、上面側端面片とを有し、前記側面端面片を箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片と底面側端面片とを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着して構成される構造をなしている。
また、この種の一般的な収納箱の大きさは、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150程度であり、少なくとも本願発明はこの大きさの箱は対象となる。
他方、紙箱1は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
他方、紙箱1の上面1Uに形成される上面裂開用ミシン目線11は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成される。
上面裂開用ミシン目線11により囲まれる範囲11aの具体的形状については限定されない。従来既知の形状を採用できる。具体的には、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状が代表的に採用される。
他方、フィルムシート2は、上面裂開用ミシン目線11により囲まれる範囲11aのサイズより大きく、例えば、方形であり紙箱1上面の内面側に接着剤により接着されている。
前記フィルムシート2のスリット21は上面裂開用ミシン目線11により囲まれる範囲11aに位置されており、前記環状の上面裂開用ミシン目線11に沿ってこれにより囲まれる範囲11aを引き剥がすことにより、図2に示されるように、取り出し口12(以下、上面の取り出し口を上面取り出し口12という)が形成されるとともに、前記フィルムシート2及びそれに形成されたスリット21が上面取り出し口12を介して露出される。
フィルムシート2の紙箱1への接着に用いる接着剤の種類は特に限定されない。好適には、リサイクルの点で水性接着剤が好ましい。
他方、スリット21の長さは、上面取り出し口12の長手方向全長より短くすることが望ましいが、上面取り出し口12の長手方向全長と同じ長さにすることもでき、さらに、フィルムシート2の長手方向長さより短い条件の下で、上面取り出し口12の長手方向全長より長くすることもできる。
紙箱1とフィルムシート2との接着力(剥離強度)は特に限定されない。従来製品における紙箱1とフィルムシート2との接着力と同程度でよい。
フィルムシート2の素材は、紙箱との分別が必要となるものであり、例示すれば樹脂を含むシートである。具体例を言えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる樹脂性フィルムシート、又はこれらを積層した積層の樹脂性フィルムシート、フィルムシートと薄葉紙等を積層したラミネートフィルムシート、樹脂製繊維からなる合成紙シート等である。取り出し性を考慮すると樹脂製フィルムシートが好ましく、特にポリエチレンフィルムシートが好ましい。
フィルムシート2の厚みは、15〜200μmが適する。15μm未満では、強度的に不足し、衛生薄葉紙の取り出し時においてフィルムシートの裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、フィルムシートが裂ける等の強度の問題はないものの、衛生薄葉紙取り出し時のひっかかりが大きくなり、薄葉紙が取り出しにくくなったり破れたりする可能性がある。またコスト高ともなる。
他方、本形態の紙箱1は、特徴的に底面1Bにも裂開用ミシン目線42が形成されている(以下、底面の裂開用ミシン目線42を底面裂開用ミシン目線42という)。この底面裂開用ミシン目線42は、本形態では、底面1Bの長手方向中心から等距離離間し、一方の長手縁側に近い位置にある二点42P,42Pの一端側から他端側に向かってアーチ状を描くように配されている。
従って、この底面裂開用ミシン目線42の裂開により、図4に示すように、前記二点の端同士を結ぶ線をヒンジとする蓋片40Fと取り出し口40が底面に形成されるようになっている(以下、この底面裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線を以下ヒンジ線41という。また、底面の取り出し口を底面取り出し口40という)。
本形態では、ヒンジ線41が底面1Bの長手縁1Lと平行に配されているが、これに限定されず、例えば、ヒンジ線41は短手縁1Sと平行となるように配してもよい。
また、本形態の底面裂開用ミシン目線42は、裂開しやすいように、その変曲点位置の小凹状の押し込み部43が形成されている。この押し込み部43を押し込むことによってアーチ状の裂開用ミシン線は、両端側42P,42Pに向かって容易に裂開される。
そして、その裂開により形成される自由片部分に親指をかけたり摘んだりしてミシン目線をいっそう両端42P,42Pまで裂開させることで、蓋片40Fと底面取り出し口40が形成される
ここで、底面側裂開用ミシン目線42は、好ましくは、そのカットタイ比が1:0.5〜10:4であり、ミシン目の切れ残りの長さが0.5〜4.0mmであるのが望ましい。意図しない裂開事故は生じ難く、意図的な裂開操作はしやすいミシン目線となる。
なお、カットタイ比とはミシン目の切れ目の部分(カット部)の長さと切れ残りの部分(タイ部)の長さとの比のことである。
他方、底面裂開用ミシン目線42及びヒンジ線41で囲まれる範囲は、箱内部に手をいれて適当量の衛生薄葉紙束を取り出したり、内部の衛生薄葉紙を全て前記取り出し口から取り出し終わった後、衛生薄葉紙収納箱廃棄にあたってフィルムシートを引き剥がしたりするために使用する底面取り出し口40の形成を目的とすることから、その大きさは、短手が70mm以上、長手が110mm以上あり、かつ、80cm2以上の面積を有するように形成するのがよい。更に好ましくはその大きさは、短手が85mm以上、長手が190mm以上あり、かつ、160cm2以上の面積を有するように形成するのがよい。大きさの上限は底面の長手縁又は短手縁から3mmの離間距離を保つこととする。また、このような衛生薄葉紙収納箱を利用する需用者が箱内に手を入れようとするときの、手の大きさはほとんどが70mm×110mmに収まる程度であることから、上述の大きさとすれば利用者が箱内に手を入れることができる取り出し口が形成される。なお、ここで言う短手、長手とは当該範囲の短手方向の最も短い部分の長さと長手方向の最も短い部分の長さである。
さらに、本形態においては、ヒンジ線41の長さは具体的には、70〜240mm程度とするのがよい。ヒンジの長さが70mm以下であるとフィルムシートを引き剥がす時に手が入れづらくなる。また、240mm以上であるとミシン目を開封しづらくなる。
他方、前記ヒンジ線41及び底面裂開用ミシン目線42は、輸送時の積み重ね時や使用時に通常想定される収納箱に加わる外圧等によって意図せず裂開しないように、底面の短手縁1S又は長手縁1Lとヒンジ線41との離間距離L1は、短手縁1Sと平行とするならば3〜65mm、長手縁1Lと平行とするならば3〜45mmとするのが望ましい。短手縁又は長手縁との離間距離が3mm未満であると長手縁すなわち稜線から近すぎて、側面への外圧によって底面が歪んだときに意図せずヒンジ近傍から底面裂開用ミシン目線が裂開するおそれが高まる。反対に短手縁1Sとの離間距離が65mm、長手縁1Lとの離間距離が45mmを超えると底面に対して十分な広さの取り出し口を確保するのが困難となる。
また、同様に意図しない裂開を防止するとともに十分な広さの底面取り出し口を確保すべく、底面1Bの短手縁1Sと底面裂開用ミシン目線42との最近位の離間距離L2は3〜65mmとするのがよく、長手縁1Lと底面裂開用ミシン目線42との最近位の離間距離L3は3〜25mmとするのがよい。
また、ヒンジ線41は、長手縁長さの1/5〜5/6とするのがよい。ヒンジ線が長手縁長さの1/5以下であると衛生薄葉紙束をまとめて取り出しづらくなる。また、ヒンジ線が長手縁長さの5/6以上であると蓋40Fを開いた際に、内部の衛生薄葉紙束が底面1Bの蓋40Fにならない部分によって保持されず、不必要に衛生薄葉紙束が取り出される事故が起きやすくなる。内部の衛生薄葉紙束を全部取り出さない場合に特に適する。
他方、紙箱1の底面1Bの前記ヒンジ線41及び底面裂開用ミシン目線42の位置は、これらによって囲まれる範囲40が、好適には、上面1Uに形成され裂開用ミシン目線11を垂下させて底面1Bに投影してできる範囲が包含されるようにするのがよい。上面1Uの裂開用ミシン目線11との関係で底面裂開用ミシン目線42等の位置をかかる位置とすることで、収納箱内の衛生薄葉紙を使い切って底面裂開用ミシン目線42を裂開させて底面取り出し口40を形成したときに、上面1Uの取り出し口12を被覆しているフィルムシート2に容易に到達して引き剥がして分離することができるようになる。
他方、本形態の衛生薄葉紙収納箱X1は、好ましい例として、紙箱1の底面1Bのほぼ中央に、共通のミシン目線31によって相接し、これに連なる非共通のミシン目線32,32を有し、基端に形成された相互に平行な起立折目線部分33,33を残して、それぞれ裂開可能でかつ相対向して切り起こし可能な2個の屈折片30,30を有する。
この屈折片30,30を箱内面側に押し上げることで、内部の衛生薄葉紙残量が少なくなった場合にも、衛生薄葉紙束の上面が前記取り出し口12の近くに位置され、上面側からの取り出し性の低下がなくなる。
この切り起こし可能な2個の屈折片30,30は、前記底面の取り出し口を形成するための裂開用ミシン線で囲まれる範囲にあり、これとは不連続となっている。
従って、前記屈折片30,30と底面裂開用ミシン目線40とは、別々に裂開することができ、また、何れかの裂開作業時に他方のミシン目線を意図せずに裂開させるおそれがほとんどない。
他方、前記衛生薄葉紙収納箱X1は、特に複数の衛生薄葉紙を所謂ポップアップ式に重畳してなる衛生薄葉紙束は内部に収容され、図2に示されるように、スリット21から衛生薄葉紙Pを一枚一枚取り出して使用される。
衛生薄葉紙P自体の大きさ、紙厚、プライ数(重ね枚数)及び組成は本発明では限定されない。また、衛生薄葉紙Pは用途に応じた既知の薄様紙の抄紙技術にしたがって製造することができる。
抄紙には、例えば、抄紙原料を実質的に湿紙に形成するワイヤーパート、湿紙を脱水するプレスパート、脱水された湿紙を乾燥するドライヤーパートの少なくとも3つのパートから成る、公知種々の抄紙機を用いることができる。
かかる衛生薄葉紙は、例えば、ティシュペーパー、キッチンペーパー。ワイプなどに応じて適宜既知の技術によりその物性、組成を変更することができる。
なお、衛生薄葉紙をティシュペーパーとするならば、その好適な坪量としては、例えば、10〜40g/m2(JIS P 8124)、1枚あたりの好適な紙厚25〜800μm、好適な乾燥引張強度は、2プライで縦方向;150〜800cN/幅25mm、横方向;50〜400cN/幅25(JIS P 8113)である。また、好適なソフトネスは0.5〜6.0g(JIS L1096)、MMDは3〜18、伸びは5〜40%の範囲である。
衛生薄葉紙束の製造は、既知のインターホルダーにより衛生薄葉紙原紙を折り畳んだ後に、所定の大きさに切断する既知の方法を採用できる。
なお、本発明においては、衛生薄葉紙束の高さや大きさ等は特に限定されるものではなく、収容する衛生薄葉紙収納箱の大きさに併せて適宜変更することができる。
他方、衛生薄葉紙収納箱の使用方法を詳述すると、まず、内部に収められた全ての衛生薄葉紙Pを引き出してその使用を終えたときに、前記底面裂開用ミシン目線42を裂開して蓋片40Fを形成するとともに、底面取り出し口40を形成し、前記蓋片40Fを開けて紙箱内面に手を入れフィルムシート2の端部等を持ち、フィルムシート2を紙箱1から剥離する。
また、衛生薄葉紙Pを束として取り出したいときは、衛生薄葉紙を使い切る前に、底面裂開用ミシン目線42を裂開して蓋片40Fを形成して衛生薄葉紙収納箱内のティシュペーパー束を取り出すようにすればよい。
(第2の実施の形態)
次いで、第2の実施の形態を図5に基づいて説明する。
第2の実施の形態X2は、衛生薄葉紙収納箱X2の底面1Bの構成以外については、第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と同様の構成については概ね省略し、主に第1の実施の形態と相違する構成について説明する。
本形態の衛生薄葉紙収納箱X2は、底面の短手縁1Sとヒンジ線41とが平行であり、底面裂開用ミシン目線42が、底面1Bの長手縁1L及び短手縁1Sに向かって湾曲する円弧線が連続する略楕円形状を描くように配されている。
本形態の底面裂開用ミシン目線42もまた、裂開しやすいように、ヒンジ線41と遠位にある短手縁1Sに最も近い部位に小凹状の押し込み部43が形成されており、この押し込み部43を押し込むことによって底面裂開用ミシン線42を両端42P,42Pに向かって容易に裂開できるように構成されている。
そして、それにより形成される自由片部分に親指をかけたり摘んだりして底面裂開用ミシン目線42をいっそう両端42P,42Pまで裂開させることで、蓋片40と底面取り出し口40が形成される。
ここで、底面側裂開用ミシン目線42のカット対比及びミシン目の切れ残り部分の長さは第1の実施の形態と同様である。また、底面裂開用ミシン目線42及びヒンジ線41で囲まれる範囲の大きさ及び面積もまた第1の実施の形態と同様でよい。
他方、ヒンジ線41を短手縁1Sと平行にする本形態の例では、ヒンジ線41の長さは、10〜100mm程度とするのがよい。ヒンジ線41の長さが10mm以下であるとミシン目を破った際にヒンジ部が切れやすくなる。また、100mm以上であると収納箱の大きさによっては楕円形部の長手方向のミシン目線が直線に近くなることがあり、加工機で成形する際に罫線で折り曲がらずにミシン目線で折れ曲がり、支障をきたす可能性がある。
他方、本形態X2においても、前記ヒンジ線41及び底面裂開用ミシン目線42は、輸送時の積み重ね時や使用時に通常想定される収納箱に加わる外圧等によって意図せず裂開しないように、底面1Bの短手縁1S又は長手縁1Lとヒンジ線41との離間距離L1を3〜65mmとするのが望ましい。3mm未満であると長手縁1Lすなわち稜線から近く、側面への外圧によって底面が歪んだときに意図せずヒンジ線41近傍から底面裂開用ミシン目線42が裂開するおそれが高まる。反対に65mmを超えると底面1Bに対して十分な広さの底面取り出し口42を確保するのが困難となる。
また、同様に意図しない裂開を防止するとともに十分な広さの底面取り出し口40を確保すべく、底面1Bの短手縁1Sと底面裂開用ミシン目線42との最近位の離間距離L2は3〜45mmとするのがよく、長手縁1Lと底面裂開用ミシン目線42との最近位の離間距離L3は3〜65mmとするのがよい。
また、上記ミシン目線42と長手縁1L及び短手縁1Sとの関係、及びヒンジ線41と短手縁1Sとの関係を満たさないと蓋片40Fを開いた際に、内部の衛生薄葉紙束が底面1Bの蓋片40Fにならない部分によって保持されず、不必要に衛生薄葉紙束が取り出される事故が起きやすくなる。従って、当該数値範囲を満たすと内部の衛生薄葉紙束を全部取り出さない場合に特に適するものとなる。
また、ヒンジ線41は、短手長さの1/10〜4/5とするのがよい。ヒンジ線41が短手縁長さの1/10以下であると衛生薄葉紙束をまとめて取り出しづらくなる。また、ヒンジ線が長手縁長さの4/5以上であると蓋40Fを開いた際に、内部の衛生薄葉紙束が底面1Bの蓋40Fにならない部分によって保持されず、不必要に衛生薄葉紙束が取り出される事故が起きやすくなる。
他方、紙箱1の底面1Bの前記ヒンジ線41及び底面裂開用ミシン目線42の位置は、これらによって囲まれる範囲が、好適には、上面1Uに形成され裂開用ミシン目線11を垂下させて底面1Bに投影される範囲が包含される位置ように形成するのがよい。これも第1の実施の形態と同様である。
他方、本形態の衛生薄葉紙収納箱X2もまた、好ましい例は、切り起こし可能な2個の屈折片が、前記底面の取り出し口を形成するための裂開用ミシン線で囲まれる範囲にあり、これとは不連続となっている例である。
この屈折片30,30を箱内面側に押し上げることで、内部のティシュペーパー残量が少なくなった場合にも、ティシュペーパー束の上面が前記取り出し口近くに位置され、取り出し性の低下がなくなる。
(第3の実施の形態)
次いで、第3の実施の形態を図6に基づいて説明する。第3の実施の形態X3は、底面裂開用ミシン目線42とヒンジ線41とで囲まれる部分の形状以外の構成については、第2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
この第3の実施の形態の底面裂開用ミシン目線42は、底面1Bの長手縁1L及び短手縁1Sに沿うように略コ字状をなすように配されており、前記ヒンジ線41と底面裂開用ミシン目線42とで囲まれる範囲が方形となっている。
本形態ではコ字状の各縁1L,1Sに沿う部分が、それぞれ各縁に対して凹となるように湾曲している。なお、縁に対して凹ではなく凸となる湾曲であってもよい。
図示例のように凹となる湾曲線の連続による略コ字状の底面裂開様ミシン目線とすると他の形状に比べより広い裂開部面積を得ることができ、フィルムシートを分別する際に手が入れやすいという利点がある。
本発明は、所謂ポップアップ式で折り畳まれたシート束を収容する収容箱に利用可能である。
第1の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の上面側からの斜視図である。 第1の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の使用時の斜視図である。 第1の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の底面側からの斜視図である。 第1の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の底面裂開用ミシン目線裂開時の底面側からの斜視図である。 第2の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の底面図である。 第3の実施の形態の衛生薄葉紙収納箱の底面図である。
1…紙箱、1U…紙箱上面、1B…紙箱底面、1L…底面の長手縁、1S…底面の短手縁、2…フィルムシート、11…上面裂開用ミシン目線、11a…上面裂開用ミシン目線により囲まれる範囲、12…上面取り出し口、21…スリット、30…屈折片、31,31’…共通ミシン目線、32…非共通ミシン目線、33…起立折目線部分、40…底面取り出し口、40F…蓋片、41…ヒンジ線、42…底面裂開用ミシン目線、42P…底面裂開用ミシン目線の端、43…押し込み部、40a…底面裂開用ミシン目線とヒンジ線とで囲まれる範囲、P…ティシュペーパー、X1〜X3…衛生薄葉紙収納箱。

Claims (10)

  1. 上面と底面とこれらに連接する側面とを有する箱本体と、前記上面に形成された環状の裂開用ミシン目線と、前記ミシン目線内範囲を箱本体内側から覆う樹脂を含むフィルムシートとを有し、
    前記フィルムシートが、スリットを有し、そのスリットが少なくとも環状ミシン目線内範囲に位置され、前記環状ミシン目線に沿ってミシン目線に囲まれる範囲を引き剥がすことにより、取り出し口が形成されるとともに、前記フィルムシート及びそれに形成されたスリットが取り出し口から露出され、箱内に収納された衛生薄葉紙が取り出し可能となる衛生薄葉紙収納箱であって、
    底面に、略環状又はアーチ状を描くように配された裂開用ミシン目線を有し、
    この底面の裂開用ミシン目線の裂開により、この裂開用ミシン目線の基端と終端を結ぶ線をヒンジとする蓋片が形成されるとともに、前記取出し口とは別の前記蓋片と同形状の箱内外に連通する底面取出し口が形成され、
    箱内に収納された衛生薄葉紙をすべて取り出した後にその底面取出し口から前記フィルムシートを取り出すことを可能とした、ことを特徴とする衛生薄葉紙収納箱。
  2. 底面側の裂開用ミシン目線及びその端同士を結ぶ直線で囲まれる範囲は、短手が70mm以上、長手が110mm以上あり、かつ、80cm2以上の面積を有する請求項1記載の衛生薄葉紙収納箱。
  3. 前記底面が長方形であり、底面の短手縁又は長手縁と、底面の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線とが平行である請求項1又は2記載の衛生薄葉紙収納箱。
  4. 前記底面が長方形であり、底面側の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線と底面の短手縁とが平行であり、その離間距離が3〜65mm、底面の短手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜65mmであり、底面の長手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜45mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
  5. 前記底面が長方形であり、底面側の裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線と底面長手縁とが平行であり、その離間距離が3〜45mm、底面の短手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜65mmであり、底面の長手縁と底面側の裂開用ミシン目線との最近位の離間距離が3〜45mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
  6. 前記底面が長方形であり、底面の裂開用ミシン目線は、底面の長手縁及び短手縁に向かって湾曲する円弧線の連続による略楕円形状に配されている請求項1〜5記載の衛生薄葉紙収納箱。
  7. 前記底面が長方形であり、底面の裂開用ミシン目線は、底面の長手縁及び短手縁に沿う直線又は湾曲線の連続による略コ字状に配されている請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
  8. 底面の裂開用ミシン目線及びこの裂開用ミシン目線の端同士を結ぶ直線は、これらにより囲まれる範囲に上面の裂開用ミシン目線を垂下させて底面に投影した範囲が包含される位置に形成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
  9. 前記底面の裂開用ミシン目線で囲まれる範囲内に、共通のミシン目線によって相接し、これに連なる非共通のミシン目線を有し、基端に形成された相互に平行な起立折目線部分を残して、それぞれ裂開可能でかつ相対向して切り起こし可能な2個の屈折片を有する請求項1〜8の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
  10. 底面側の裂開用ミシン目線は、そのカットタイ比が1:0.5〜10:4であり、ミシン目の切れ残りの長さが0.5〜4.0mmである請求項1〜9の何れか1項に記載の衛生薄葉紙収納箱。
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