JP4572083B2 - 予圧サポートとこれを用いた薄肉部材の超精密加工方法 - Google Patents
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特許文献1の「コレット式クランプ」は、図12に示すように、ハウジング52内に挿入したサポートロッド54に環状のコレット60を外嵌し、そのコレットに環状テーパ隙間Cをあけて環状の伝動具64を配置したものである。その環状テーパ隙間Cに多数のボールBを周方向かつ上下方向に並べた状態で挿入し、これらボールBを押圧バネ67によって押し上げる。
クランプ時に、油圧作動室65へ圧油を供給すると、クランプ用ピストン74が復帰用バネ78に抗して伝動具64を下向き移動させ、その伝動具64のテーパ内周面がボールBを転動させながらコレット60のテーパ外周面に係合し、これによりコレット60が縮径されてサポートロッド54を所定の高さ位置に挟持固定するものである。
(1)薄肉で精密な製品を機械加工する場合、その素材自体は、剛性が高く、熱伝導率が高く、熱膨張率が低い必要がある。しかしこのような特性を有する素材は、例えばSiCであり、非常に硬く、加工しにくい。
(2)SiCのような硬い素材であっても、高能率で鏡面加工できる加工手段として、ELID(Electrolytic In-process Dressing)研削法が知られている。このELID研削法は、導電性砥石を電解でドレッシングしながら研削加工するものであり、加工抵抗が小さく、かつ高能率で鏡面加工できる特徴を有している。しかしELID研削法によっても加工抵抗はある程度(例えば約2〜5kg程度)は発生する。そのため、この加工抵抗によって、薄肉部材が変形するため精密加工が困難となる。
しかし、かかる油圧支持パットやコレット式クランプは、加工部分背面に当接させる際の押付け力が大きく、この押付け力により薄肉部分に無視できない変形や内部応力が発生する。
またスプリング等で摺動抵抗に打ち勝つ以上の力を利用しサポートすると、製品を固定する際にピストンがシリンダとの静止抵抗を越えた時点で瞬発的に動くために製品に変形等が発生する。薄肉製品や超精密加工ではこの変形・内部応力は大きな問題となる。
さらにスプリングの力によりサポート力を制御する方式は、ストロークに応じて力が変化してしまう。
また、手作業に頼り変形や内部応力を発生させないような微小な力でサポート部材を加工反対面に当接させて固定することが原理的には可能である。しかし、この手段ではダイアルゲージ等で変形量を測定しながら、ねじ等を利用して調整するため、長時間を必要とするばかりでなく、熟練を要し、再現性や信頼性に乏しい問題点があった。
さらに従来の精密加工方法では、地上において薄肉部材を加工する場合、薄肉部材に重力(自重)が作用した状態で加工するため、重力による変形を回避できない問題点があった。
該シリンダは、内部に供給されるガスの圧力でピストンを軸方向に移動可能に収容する円筒形のガスチャンバと、ピストンロッドを囲み油圧が供給されるようになった中空円筒形のオイルチャンバとを有し、
該オイルチャンバの内壁は、前記油圧が所定の低圧より低いときに、ピストンロッドとの間にガスチャンバと連通する微小隙間を形成し、この微小隙間をガスチャンバから前記ガスが通過してピストンロッドの摺動抵抗を極小化するように構成されており、
前記油圧が所定の高圧より高いときに、前記内壁が弾性変形により内方に膨らんでピストンロッドを把持して固定し、その摺動抵抗を極大化するように構成し、
被加工物の加工外力による変形をシミュレーションした結果をフィードバックしたピストンロッドの押付け力を被加工物の自重や加工外力による変形量を補償する大きさで被加工物の加工部分背面に与える、ことを特徴とする予圧サポートが提供される。
また、オイルチャンバの内壁は、油圧が所定の高圧より高いときに、内壁が弾性変形により内方に膨らんでピストンロッドを把持して固定し、その摺動抵抗を極大化するように構成されているので、被加工物に当接させた位置で十分大きな加工抵抗(例えば約20kg以上)に抗して強固に被加工物を支持することができ、これにより機械加工時の被加工物の変形を大幅に低減することができる。
また、エアーの圧力を極低圧に設定することで被加工物への押付力を変形や内部応力がほとんど発生しない微小な力に制御することができる。
被加工物の加工部分背面に前記端面が当接した状態でピストンロッドを把持して固定する固定ステップと、
固定ステップでピストンロッドを固定した状態で被加工物の加工部分を加工する加工ステップとを有する、ことを特徴とする薄肉部材の超精密加工方法が提供される。
中空円筒形のオイルチャンバ16bは、ピストンロッド14を囲み油圧が供給されるようになっている。
この内壁17aの厚さは、供給される油圧が所定の低圧(例えば約0.2MPa)より低いときに、ピストンロッド14との間にガスチャンバと連通する微小隙間(例えば約5μm)を形成し、この微小隙間をガスチャンバ16aに供給したガスが通過してピストンロッド14の摺動抵抗を極小化(例えば400g未満)するように構成されている。
一方、この内壁17aの厚さは、供給される油圧が所定の高圧(例えば約1.0MPa)より高いときに、内壁が弾性変形により内方に膨らんでピストンロッド14を把持して固定し、その摺動抵抗を極大化(例えば約20kg以上)するように構成されている。
エアー源22は、ガスチャンバ16aにオイルミストを含むエアーを供給する。また圧力制御弁23は、エアー源22からのエアーの圧力を微調整する。この圧力制御弁23により、エアーの圧力を、ピストン12及びピストンロッド14が被加工物に向けて移動し、かつその変形や内部応力がほとんど発生しない微小な力(例えば400g未満)で被加工物に当接する極低圧に設定する。
油圧源24は、オイルチャンバ16bに所定の圧力(上記低圧以下、又は高圧以上)の油圧を供給する。またノンリーク弁25は、油圧源から供給した油圧を漏れのないように封入する。
なお、上記エアーライン及び油圧ラインに、その他の周知の配管機器(例えば、方向切換弁、圧力調整弁、開閉弁、クイックジョイント、等)を備えてもよい。
この例では、円筒形のガスチャンバ16aは、ピストン12とピストンロッド14の段差部分に供給され、内部に供給されるガスの圧力でピストン12の下降力を調整するようになっている。その他の構成は図1と同様である。
また、オイルチャンバの内壁17aは、油圧が所定の高圧より高いときに、内壁が弾性変形により内方に膨らんでピストンロッド14を把持して固定し、その摺動抵抗を極大化するように構成されているので、被加工物に当接させた位置で十分大きな加工抵抗(例えば約20kg以上)に抗して強固に被加工物を支持することができ、これにより機械加工時の被加工物の変形を大幅に低減することができる。
図3は、本発明の方法を示すフロー図である。この図に示すように、本発明の方法は、当接ステップS1、固定ステップS2及び加工ステップS3からなる。
固定ステップS2では、被加工物の加工部分背面にピストンロッドの端面14aが当接した状態でピストンロッド14を把持して固定する。
加工ステップS3では、固定ステップでピストンロッドを固定した状態で被加工物を加工する。
またこの例で、被加工物1(ワーク)は、ロータリーテーブル2の上面に取り付けられて回転し、円筒形の砥石31で上面を所定の形状に鏡面研削されるようになっている。なお、ELID研削装置30は、各軸が数値制御されるのが好ましい。
この構成により、SiCのような硬い素材であっても、小さい加工抵抗でかつ高能率で鏡面加工ができる。
従来例(A)では、左図のように、砥石の軌跡を数値制御するが、ワークの変形を考慮しないため、右図に示すように、被加工物の薄肉部分が加工中の切削力で逃げるため、加工部分に凸部が形成されてしまう。
これに対して、本発明の例(B)では、左図のように、ワークの変形を考慮したシミュレーションを行い、その結果をフィードバックして砥石の軌跡を数値制御する。これにより、ワークの変形を考慮しているため、右図に示すように、被加工物の薄肉部分も所定の形状に加工することができる。
なお、本発明の例(B)において、上述した予圧サポートを用い、ピストンロッドの押付け力を、被加工物の加工部分の自重や加工外力による変形量を補償する大きさの力に設定するのが好ましい。
大型化した被加工物1(ワーク)は、直径360mmのSiC材、厚さは5mmであり、背面に同一の大きさの三角形のリブ部を複数設けたものである。この構成により、直径が実施例1の4.5倍になっているにもかかわらず、厚さはほぼ同じであり、全体として軽量にできることがわかる。また、同一の大きさの三角形で構成されているので、その中心部の変形量は実施例1と同等程度になると予想することができる。
エアーにオイルミストを混入しシールを施すことは、従来の2つに機能(加圧と軸受)を1つ減らしているといえる。またエアーを常時排出することにより、クーラントや異物の侵入を防ぐエアーパージ効果を持つ。
また本発明では摺動抵抗を極小化させることで、サポート力を広範囲で制御可能である。またストローク全域で一定のサポート力を再現できる。
さらに本発明の摺動抵抗を極小化する技術と弾性変形によるクランプを組み合わせることにより、微小定圧にてサポートされた状態で変位することなくクランプすることが可能である。
また加圧ピストン部の構造により水平・垂直方向等、いかなる方向の予圧を得ることが可能である。
例えば、薄肉製品を加工する際のビビリ、加工変形を発生させないための接触圧力を制御可能なサポートで、自重や加工外力で変形してしまう部位に対し、自動的にあらかじめ計算・設定した定圧を与えることで変形をキャンセルし、理想的な受け面を構成できる。
また加圧ピストン部の構造により水平・垂直方向等、いかなる方向の予圧を得ることが可能であり、n個用いることで複雑形状の薄肉ワーク(例えばX線観測用ミラーなど)へ適用可能である。
更に本発明を利用することで、超小型ハードディスクなどの小型、薄肉製品の変形防止切削用サポート、圧力調整によりアクティブに風力を可視化する装置等にも適用することができる。
薄肉製品を加工する際に加工変形を発生させないようにサポートとワークを接触させるが、接触圧力を制御することでビビリ防止の効果を期待できる。
10 予圧サポート、12 ピストン、14 ピストンロッド、14a 一端面、
16 シリンダ、16a ガスチャンバ、16b オイルチャンバ、
17a 内壁、17b 外壁、
22 エアー源、23 圧力制御弁、24 油圧源、25 ノンリーク弁、
30 ELID研削装置、31 導電性砥石、32 電極、
33 パルス電源、34 電解液供給ノズル
Claims (4)
- 円筒形のピストンと、該ピストンに同心に連結され軸方向に延びる円筒形のピストンロッドと、前記ピストン及びピストンロッドを軸方向に移動可能に案内するシリンダとを備え、
該シリンダは、内部に供給されるガスの圧力でピストンを軸方向に移動可能に収容する円筒形のガスチャンバと、ピストンロッドを囲み油圧が供給されるようになった中空円筒形のオイルチャンバとを有し、
該オイルチャンバの内壁は、前記油圧が所定の低圧より低いときに、ピストンロッドとの間にガスチャンバと連通する微小隙間を形成し、この微小隙間をガスチャンバから前記ガスが通過してピストンロッドの摺動抵抗を極小化するように構成されており、
前記油圧が所定の高圧より高いときに、前記内壁が弾性変形により内方に膨らんでピストンロッドを把持して固定し、その摺動抵抗を極大化するように構成し、
被加工物の加工外力による変形をシミュレーションした結果をフィードバックしたピストンロッドの押付け力を被加工物の自重や加工外力による変形量を補償する大きさで被加工物の加工部分背面に与える、ことを特徴とする予圧サポート。 - 前記ガスチャンバにオイルミストを含むエアーを供給可能なエアー源と、該エアーの圧力を微調整可能な圧力制御弁とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の予圧サポート。
- 前記オイルチャンバに所定の圧力の油圧を供給可能な油圧源と、油圧を漏れのないように封入可能なノンリーク弁とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の予圧サポート。
- 被加工物の加工外力による変形をシミュレーションした結果をフィードバックしたピストンロッドの押付け力を被加工物の自重や加工外力による変形量を補償する大きさで被加工物の加工部分背面に、これを支持する端面を有する円筒形のピストンロッドを当接する当接ステップと、
被加工物の加工部分背面に前記端面が当接した状態でピストンロッドを把持して固定する固定ステップと、
固定ステップでピストンロッドを固定した状態で被加工物の加工部分を加工する加工ステップとを有する、ことを特徴とする薄肉部材の超精密加工方法。
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