以下、本発明の扉付きコンセント装置1の実施形態について図1乃至図18を参照して説明する。尚、図1(a)における上方を扉付きコンセント装置1の前方、右方を装置1の一端側、左方を装置1の他端側、下方を装置1の後方、紙面に直交する方向を装置1の幅方向とする。
(実施形態1)
本実施形態の扉付きコンセント装置1は、前面が開口した箱状のボディ2と、ボディ2に収納され、プラグ3(図6(b)参照)の一対の電源用の栓刃3a,3aがそれぞれ接続される一対の電源用の刃受部4,4と、プラグ3の接地極用の栓刃3b(図6(b)参照)が接続される接地極用の刃受部5(図3(b)参照)と、前壁に一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7b、及び接地極用の栓刃挿入孔7cを有してボディ2の前面に被着されるカバー6と、カバー6の前壁の後方に位置して一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7bを開閉する扉体10と、該扉体10のカバー6の前後方向(図1(a)における上下方向)に対して交差する方向(図1(a)における左右方向)の一端面(図1(a)における右端面)が腕部11b,11bにカバー6の前後方向に摺動自在に当接されて、扉体10が一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7bを遮蔽するように扉体10を他端側(図1(a)の左方)へ付勢する弾性体11と、一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7bをそれぞれ挿通した一対の電源用の栓刃3a,3aにより扉体10がカバー6の後方へ押し込まれた際に、扉体10を一端側(図1(a)の右方)に誘導するガイド手段を構成する突部23及び斜面部26aと、接地極用の栓刃挿入孔7cを接地極用の栓刃3bの挿抜によって開閉する接地極用の扉体12とを具備している。
ボディ2は、図1(a)に示すように、例えば合成樹脂を用いて前面が開口した箱状に形成されており、その内部は仕切り壁2a等によって仕切られて、一対の電源用の刃受部4,4がそれぞれ収納される一対の電源用の収納部2b,2bと、接地極用の刃受部5(図3(b)参照)が収納される接地極用の収納部2c(図3(b)参照)が形成されている。また、各電源用の収納部2bには、例えば外部電源の電源線(図示せず)を収納部2b内へ挿入するための電源線挿入孔(図示せず)が形成されており、電源用の収納部2bには、前記電源線を接触接続するための速結端子等の端子部(図示せず)が刃受部4とともに収納されて、刃受部4と電気的に接続されている。同様に、接地極用の収納部2cには、例えば外部の接地線(図示せず)を収納部2c内へ挿入するための接地線挿入孔(図示せず)が形成されており、接地極用の収納部2cには、前記接地線を接触接続するための速結端子等の端子部(図示せず)が接地極用の刃受部5とともに収納されて、接地極用の刃受部5と電気的に接続されている。
電源用の刃受部4は、図1(a)に示すように、弾性を有して互いに対向する一対のばね片4a,4bと、両ばね片4a,4bの基端部を一体に連結する連結部4cとを備えて導電性の金属板から形成されており、一対のばね片4a,4bでプラグ3の電源用の栓刃3aを弾性狭持して電気的接触を得るものである。一対のばね片4a,4bは、先部が栓刃3aの挿抜方向に対して交差する方向に湾曲した略円弧状に形成されるとともに、先端部が互いに離間する方向へ開かれて、栓刃3aを挿入し易く形成されている。また、一方のばね片4bには、栓刃3aの先端部に形成された透孔に係合する係合突起(図示せず)が形成されており、この係合突起によれば、栓刃3aを刃受部4に接触接続した後に、プラグ3をその挿抜方向に交差する面内で回動させて、栓刃3aの透孔を係合突起に係合させることで、プラグ3の抜け止めを行うことができ、これにより不意に栓刃3aが刃受部4から抜けないようにすることができる。
接地極用の刃受部5は、図3(b)に示すように、弾性を有して互いに対向する一対のばね片5a,5bと、両ばね片5a,5bの基端部を一体に連結する連結部5cとを備えて導電性の金属板から形成されており、一対のばね片5a,5bで接地極用の栓刃3bを弾性狭持して電気的接触を得るものである。一対のばね片5a,5bは、先部が栓刃3bの挿抜方向に対して交差する方向に湾曲した略円弧状に形成されるとともに、先端部が互いに離間する方向へ開かれて、栓刃3bを挿入し易くしてある。
カバー6は、図1(a)に示すように、ボディ2の前面に被着されるものであり、図2に示すように、後面が全面に亘って開口し、前壁に一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7b、及び接地極用の栓刃挿入孔7cが形成された前部カバー7、及び前部カバー7の開口した後面に取り付けられて各栓刃挿入孔7a,7b,7cとそれぞれ連通する挿通孔8a,8b,8cが形成された後部カバー8からなるカバー本体9に、電源用の栓刃挿入孔7a,7bを開閉する電源用の扉体10と、電源用の扉体10を付勢する電源用の弾性体11と、接地極用の栓刃挿入孔7cを開閉する接地極用の扉体12と、接地極用の扉体12を付勢する接地極用の弾性体13とが収納されて構成されている。
前部カバー7は、例えば合成樹脂を用いて、後面が全面に亘って開口した箱状に形成されており、カバー6の前壁となる前部カバー7の前壁には、一端側に略円弧状の電源用の栓刃挿入孔7aと、他端側に略円弧状の電源用の栓刃挿入孔7bとが互いに点対称且つ同一円周上に位置するように形成され、両栓刃挿入孔7a,7bの側方(図2における右上方)には、略円弧状の接地極用の栓刃挿入孔7cが形成されている。また、前部カバー7の内部は、図4に示すように、仕切り壁7d,7dによって、一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7b側の第1の収納部14aと、接地極用の栓刃挿入孔7c側の第2の収納部14bとに分けられている。この第1の収納部14aには、電源用の扉体10及び弾性体11が収納され、第2の収納部14bには、接地用の扉体12及び弾性体13が収納される。また、第1の収納部14aの長手方向の一端側(図4における左方)には、弾性体11を位置決めするための一対の円柱状の突部15,15と、栓刃挿入孔7bを介した外力が扉体10にかかった際に扉体10が移動しないように規制する規制手段である一対の突部16,16が突設されており、長手方向の他端側(図4における右方)には、栓刃挿入孔7aを介した外力が扉体10にかかった際に扉体10が移動しないように規制する規制手段である直方体状の突部17が突設されている。一方、第2の収納部14bには、接地極用の栓刃挿入孔7cに前部カバー7の外方から隣接して、第2の収納部14bの長手方向に走る溝部18が形成されており、第2の収納部14bの長手方向における溝部18の両端部付近には略コ字状の軸受部19,19が前部カバー7から後方へ向けて突設されている。尚、図1(a)に示すように前部カバー7の両端側の内壁面部には、後部カバー8を前部カバー7に取り付ける際に用いられる係止凹部20がそれぞれ形成されている。
電源用の扉体10は、例えば合成樹脂を用いて、互いに並行する一対の長尺状の片部10a,10aと、両片部10a,10aをそれぞれの長手方向の一端部、略中央部、他端部同士で一体に連結する橋絡部10b,10c,10dとからなる略日字状に形成され、一対の片部10a,10aと橋絡部10b,10cとで囲まれた第1の窓部21aと、一対の片部10a,10aと橋絡部10c,10dとで囲まれた第2の窓部21bとを有している。また橋絡部10b,10cの前面部には一対の電源用の栓刃挿入孔7a,7bとそれぞれ嵌合する略円弧状の電源用の遮蔽部22a,22bが突設されており、第1の窓部21aの内周面となる各片部10a,10aの側面には、それぞれスライド軸となる突部23,23が互いに同軸且つ近接する方向に突設されている。
電源用の弾性体11は、例えば弾性を有する金属板から、平板部11aと、平板部11aの両端部を平板部11aに対して鋭角方向且つ平板部11aと重複するように折り曲げてなる腕部11b,11bとを備えて略ム字状に折り曲げ形成された板ばねである。
接地極用の扉体12は、例えば合成樹脂から形成されて、前部カバー7の軸受部19に回動自在に支持される円柱状の軸部12aと、軸部12aに一体に突設された平板部12bとを備え、この平板部12bの前面部には前部カバー7の接地極用の栓刃挿入孔7cと嵌合する略円弧状の接地極用の遮蔽部12cが突設されている。
接地極用の弾性体13は、所謂ねじりコイルばねであり、コイル部13aの一端から延設された腕部13bと、コイル部13aの他端から延設された腕部13cとが略180度の曲げ角度となるように形成してあり、腕部13cの先端部をコイル部13aの中心軸に添う方向へ向けて折り曲げてある。
後部カバー8は、例えば合成樹脂から形成されて、前部カバー7の開口した後面に位置して前部カバー7の各収納部14a,14bに収納される扉体10,12、弾性体11,13の押え板となる平板部24と、平板部24の裏部に突設され、ボディ2の開口した前面に被着されてボディ2の各収納部2b,2b,2cから前方へ突出した各刃受部4,4,5の先端部を各別に収納する凹部25a,25a,25bを備えた箱状の突設部25とを有している。
平板部24は、図2に示すように、前部カバー7の挿入孔7a,7b,7cに対応する位置に、挿通孔8a,8b,8cが形成されており、後部カバー8を前部カバー7に取り付けた際には、挿入孔7a,7b,7cと挿通孔8a,8b,8cがそれぞれ連通してプラグの栓刃3a,3a,3bがカバー6を挿通できるようになっている。また、平板部24の前面部において、一対の挿通孔8a,8b間の部位には、平板部24の一端側(図2の右下方)から他端側(図2の左上方)へいくにしたがって前方に傾斜した斜面部26aを備えた三角形状のスライドリブ26が、斜面部26aの幅方向に離間して一対突設されている。尚、このスライドリブ26は他端側が斜面部26aの幅方向において肉厚に形成されており、これによりスライドリブ26の強度の向上が図られている。さらに、平板部24の前面部において、挿通孔8cの一端側及び他端側の周辺部には、接地極用の扉体12の軸部12aを支持するための略コ字形の支持台27,27が突設されており、加えて、平板部24の前面部の両端側の略中央部には、前部カバー7の係止凹部20に引掛係止される係止突部28,28が突設され、この係止突部28を前部カバー7の係止凹部20に引掛係止することで前部カバー7に後部カバー8が取り付けられることになる。
突設部25は、後面が開口した略箱状を有し、内部には、図1に示すように、ボディ2の各収納部2b,2b,2cから前方へ突出した各刃受部4,4,5の先端部を各別に収納するための凹部25a,25a,25bが形成されている。加えて各凹部25a,25a,25bは、平板部24の挿通孔8a,8b,8cとそれぞれ連通している。
本実施形態の扉付きコンセント装置1は、上記の部材により構成されており、各部材は次のようにして配置、収納されている。
まず、ボディ2は、その各電源用の収納部2b,2bに、電源用の刃受部4,4と、該刃受部4,4と各別に電気的に接続されて外部電源の電源線と接続される端子部(図示せず)とがそれぞれ収納され、また、接地極用の収納部2cに、接地極用の刃受部5と、該刃受部5と電気的に接続されて外部の接地線と接続される端子部(図示せず)とが収納されている。
次にカバー6は、前部カバー7及び後部カバー8からなるカバー本体9に、電源用の扉体10と、電源用の弾性体11と、接地極用の扉体12と、接地極用の弾性体13とが以下のようにして組み込まれている。すなわち、前部カバー7の第1の収納部14aには、図1(a)に示すように、電源用の弾性体11が、腕部11bをカバー6の他端側へ向けるとともに、平板部11aが突部15,15に固定されて収納されており、また電源用の扉体10が、その一端面となる橋絡部10bの一端側の側面部を弾性体11の両腕部11bにカバー6の前後方向に摺動自在に当接させて、遮蔽部22a,22bで一対の栓刃挿入孔7a,7bを遮蔽するようにして収納されている。このとき、遮蔽部22a,22bは前部カバー7の電源用の栓刃挿入孔7a,7bに嵌合しており、また前部カバー7の各突部16が扉体10の橋絡部10bの一端側の側面部に近接するとともに、突部17が第2の窓部21b内において扉体10の橋絡部10dの一端側の側面部に近接している。このように配置された扉体10において、突部23,23は、カバー6の前後方向に交差する面内で弾性体11の付勢方向と直交する方向に突出することになる。
一方、前部カバー7の第2の収納部14bには、接地極用の扉体12が、軸部12aを溝部18に位置させるとともに軸受部19,19によって回転自在に支持され、遮蔽部12cが接地極用の栓刃挿入孔7cに嵌合するようにして収納されている。この扉体12の軸部12aには接地極用の弾性体13のコイル部13aが嵌着してあり、弾性体13は、腕部13bが前部カバー7の前壁の後面部に当接するとともに、腕部13cが扉体12の平板部12bの後面部に当接するように配置されて、軸部12aを回転中心として扉体12の平板部12bを前部カバー7に向かって回転するように付勢している。
このようにして前部カバー7には、扉体10,12、弾性体11,13が配置収納されており、前部カバー7の開口した後面には後部カバー8が、係止突部28を前部カバー7の係止凹部20に引掛係止することで前部カバー7に後部カバー8が取り付けられている。このとき、後部カバー8の一対のスライドリブ26は、扉体10の第1の窓部21a内に位置して、図1(a)に示すように、各スライドリブ26の斜面部26a,26aの他端側に、扉体10の一対の突部23,23が各別に当接されており、このように突部23が斜面部26aに摺動自在に当接することで、扉体10がカバー6の後方へ押し込まれた際に、扉体10を一端側(図1(a)の右方)に誘導するガイド手段が構成されている。また、支持台27,27は、その先部で扉体12の軸部12aを回転自在に支持しており、各挿通孔8a,8b,8cは、前部カバー7の栓刃挿入孔7a,7b,7cの後方に位置している。そして、後部カバー8の突設部25が、その凹部25a,25a,25bに、ボディ2から突出した各刃受部4,4,5の先端部を各別に収納して、ボディ2の開口した前面に取り付けられることで、カバー6がボディ2の前面に被着されているのである。
扉付きコンセント装置1の各部材は上記のように配置されており、次に扉付きコンセント装置1の動作について説明する。
図1(a)、及び図3(a)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込む前、すなわち通常時の扉付きコンセント装置1を示している。この通常時において、電源用の扉体10は、弾性体11にカバー6の前後方向に摺動自在に当接しているので、扉体10の前後位置によらずに弾性体11によって他端側(図1(a)の左方)へ付勢されており、そのため扉体10の突部23は、スライドリブ26の斜面部26aの他端側に位置している。ここで、斜面部26aは上述したように一端側から他端側にかけてカバー6の前方に向かうように傾斜しているので、扉体10はカバー6の前壁の後方に近接し、このとき扉体10の遮蔽部22a,22bが電源用の栓刃挿入孔7a,7bと嵌合するから、両栓刃挿入孔7a,7bが扉体10により遮蔽されている。また、接地極用の扉体12は、上記の弾性体13により軸部12aを回転中心として前部カバー7に向けて回転するように付勢されているため、平板部12bが接地極用の栓刃挿入孔7bの後方に位置し、このとき遮蔽部12cが接地極用の線刃挿入孔7cと嵌合するから、栓刃挿入孔7cが扉体12により遮蔽されている。
図1(b)、及び図3(b)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込んだ際の扉付きコンセント装置1を示している。扉付きコンセント装置1にプラグ3を接続する際には、プラグ3の電源用の栓刃3a,3aを電源用の栓刃挿入孔7a,7bから、プラグの接地極用の栓刃3bを接地極用の栓刃挿入孔7cからカバー6内に差し入れて、栓刃3a,3aにより扉体10をカバー6の後方へ向けて押し込むとともに、栓刃3bにより扉体12をカバー6の後方へ向けて押し込んでいく。このように電源用の扉体10が栓刃3a,3aによりカバー6の後方へ押し込まれると、突部23がスライドリブ26の斜面部26aに沿ってカバー6の一端側へ摺動していくことになる。すなわち、扉体10は、突部23と斜面部26aとから構成されたガイド手段によって、弾性体11を撓ませる方向へと誘導されるのである。そして扉体10が弾性体11の付勢に抗して一端側に移動していくと、やがて、図1(b)や図3(b)に示すように、遮蔽部22a,22bが栓刃挿入孔7a,7bの後方から一端側にずれて、扉体10の窓部21a,21bが栓刃挿入孔7a,7bの後方に位置し、これにより栓刃挿入孔7a,7bと挿通孔8a,8bとが連通するから、栓刃3a,3aを刃受部4,4に接触接続することができるようになる。このようにして扉体10はカバー6の前壁に対して斜め後方向に並行移動し、この扉体10の移動によって栓刃挿入孔7a,7bが開閉するのである。また、接地極用の扉体12がカバー6の後方へ押し込まれると、弾性体13による付勢に抗して、平板部12bが軸部12aを中心としてカバー6の後方へ回転していき、やがて、図3(b)に示すように、平板部12bが接地極用の栓刃挿入孔7cを遮蔽しない位置に移動し、これにより栓刃挿入孔7cと挿通孔8cとが連通するから、栓刃3bを刃受部5に接触接続することができるようになる。
一方、この扉付きコンセント装置1は、栓刃挿入孔7a,7b,7c、挿通孔8a,8b,8c、及び刃受部4,4,5の先端部がそれぞれ略円弧状に形成されるとともに、刃受部4,4のばね片4b,4bにプラグ3の栓刃3a,3aの先端部に形成された透孔に係合する係合突起(図示せず)を備えた、所謂接地極付きの抜け止め型コンセントであり、プラグ3の栓刃3a,3a,3bを接触接続した際に、プラグ3の挿抜方向を軸としてプラグ3を所定距離回転させることで、栓刃3a,3aの透孔を前記係合突起に係合させておけば、プラグ3が扉付きコンセント装置1から不意に抜けてしまうことを防止することができるようになっている。
プラグ3を扉付きコンセント装置1に接続した後、プラグ3の栓刃3a,3a,3bを扉付きコンセント装置1から引き抜いた場合、扉体10は、栓刃3a,3aによる押し込み方向の外力がかからないために、弾性体11によって他端側へ付勢され、これにより突部23がスライドリブ26の斜面部26aに沿って他端側へ摺動するから、扉体10は前方へと押し上げられて、図1(a)及び図3(a)に示す上述の通常時の位置に復帰する。また、扉体12も同様に栓刃3bによる押し込み方向の外力がかからなくなるため、弾性体13により軸部12aを回転中心として前部カバー7に向けて回転するように付勢されて、図1(a)及び図3(a)に示す上述の通常時の位置に復帰するのである。
本実施形態の扉付きコンセント装置1によれば、扉体10をカバー6の前壁に対して斜め方向に並行移動させることによる栓刃挿入孔7a,7bの開閉動作を、図19及び図20に示す従来の扉付きコンセント装置のように複数の弾性体、コイルスプリング106及び板ばね107を用いることなく、一つの弾性体11を用いて行うことができるために、扉付きコンセント装置1に必要な部品点数を削減でき、これにより製造工程を簡略化できるから、製造コストを抑えて安価に製造することができる。また、従来のように弾性体自体をその付勢方向に直交する方向に摺動させるのではなく、弾性体11に扉体10を前後方向に摺動自由に当接させているから、弾性体11がその付勢方向に対して交差する方向に曲げられることがなくなるため、弾性体11が破損したり所定位置から外れたりして栓刃挿入孔7a,7bの開閉動作を正しく行えなくなるというおそれがなく、これにより安定した開閉動作を行うことができるようになる。加えて、扉体10に突設した突部23,23と、該突部23,23が摺動自在に当接される斜面部26a,26aとの簡単な構成から、扉体10をカバー6の前壁に対して斜め方向に並行移動させるガイド手段を得ることができるから、扉付きコンセント装置1の構成部品を少なくして部品点数を削減でき、これにより製造工程を簡略化することができるので、製造コストを抑えてさらに安価に製造することができる。
ところで、図19及び図20に示した上述の従来技術の扉付きコンセント装置は、接地極を備えていないコンセントの例であったが、例えば、図5(a)に示すような、矩形状の一対の電源用の栓刃挿入孔29a,29a及び略矩形状の接地極用の栓刃挿入孔29bを有する接地極付きの平型コンセント29や、図5(b)に示すような、それぞれ略円弧状の電源用の栓刃挿入孔30a,30a及び接地極用の栓刃挿入孔30bを有する抜け止め型コンセント30に適用した場合、プラグ3の電源用の栓刃3aと接地極用の栓刃3bとが板ばね107を介して短絡するおそれがあった。例えば、接地極付きの抜け止め型コンセントでもある本実施形態の扉付きコンセント装置1において、弾性体11の替わりに上記の従来技術のコイルスプリング106と板ばね107とを用いた構成とした場合、カバー6の内部構造は図6(a)に示すようになる。尚、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。すなわち、上記の従来構成を適用したコンセント装置109は、図6(a)に示すように、扉体10をカバー6の前後方向に直交する方向に付勢する手段としてコイルスプリング106を備え、扉体10をカバー6の前方へ付勢する手段として略コ字状の板ばね107を備えているものである。この板ばね107は、扉体10をカバー6の前方へ付勢するために、扉体10の片部10a,10aと橋絡部10bとに重複して扉体10の後方に配置されるために、栓刃3a,3a,3bと板ばね107との距離が非常に近く、このために栓刃3a,3bが板ばね107を介して短絡するおそれが生じているのである。特に抜け止め型コンセント30では、図5(a),(b)に示すように、プラグ3の抜け止めを行うために各栓刃挿入孔30a,30bが平型コンセント29の各栓刃挿入孔29a,29bに比べて大きく形成されており、加えてプラグ3の栓刃3a,3a,3bをプラグの挿抜方向を軸として回転させた際に、栓刃3a,3bが板ばね107にさらに接近することになってしまうのである。これに対し、本実施形態の扉付きコンセント装置1は、図6(b)に示すように、弾性体11が、扉体10の一端側に位置して各栓刃3a,3a,3bと十分に離れているから、栓刃3a,3bが弾性体11によって短絡してしまうことがなく、この点においても上述の従来技術よりも優れた効果を奏することができるのである。
また、本実施形態の扉付きコンセント装置1では、一対の栓刃挿入孔7a,7bのうちいずれか一方にのみ栓刃や工具を差し込んでも栓刃挿入孔7a,7bが開閉しない、所謂片刃挿入防止が図られており、扉体10の遮蔽部22a,22b、前部カバー7の一対の突部16,16、及び突部17が、片刃挿入防止のための規制手段となっている。
例えば、図7(a)に示すように、栓刃挿入孔7aにのみ栓刃3aが差し込まれた場合、扉体10の遮蔽部22aのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜する。このとき、栓刃挿入孔7bに嵌合している遮蔽部22bの一端側の側面部が栓刃挿入孔7bの一端側の内側面部に引っ掛かるとともに、突部17の他端側の側面部が橋絡部10dの一端側の側面部に引っ掛かり、これら遮蔽部22b及び突部17によって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。
逆に、図7(b)に示すように、栓刃挿入孔7bにのみ栓刃3aが差し込まれた場合、扉体10の遮蔽部22bのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜する。このとき、栓刃挿入孔7aに嵌合している遮蔽部22aの一端側の側面部が栓刃挿入孔7aの一端側の内側面部に引っ掛かるとともに、突部16,16の他端側の側面部が橋絡部10bの一端側の側面部に引っ掛かり、これら遮蔽部22a及び突部16,16によって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。
このような規制手段によれば、仮に一方の栓刃挿入孔からプラグの栓刃や工具等を差し込んで栓刃挿入孔を開けようとしても、扉体10がプラグの栓刃や工具等による外力を受けて傾斜した際には、規制手段が扉体10を引掛係止して、扉体10が弾性体11の付勢に抗して移動することを規制するので、扉体10が移動しないようになっており、例えばプラグの栓刃の片刃挿入やいたずら等による感電を防止することができる。
上記の扉付きコンセント装置1では、各栓刃挿入孔7a,7bに対応して扉体10がそれぞれ2箇所で規制手段により引掛係止されることになるが、図8乃至図10に示すように、扉体10に遮蔽部22a,22bを形成せずに、前部カバー7に突部16,16,17のみを形成して、規制手段を各栓刃挿入孔7a,7bに対応して1箇所ずつ設ける構成としてもよく、以下にこの構成における片刃挿入時の動作について説明する。
例えば、図10(a)に示すように、栓刃挿入孔7aにのみ栓刃3aが差し込まれた場合、扉体10の橋絡部10bのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜し、このとき突部17の他端側の側面部が橋絡部10dの一端側の側面部に引っ掛かることによって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。
逆に、図10(b)に示すように、栓刃挿入孔7bにのみ栓刃3aが差し込まれた場合は、扉体10の橋絡部10cのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜し、このとき突部16,16の他端側の側面部が橋絡部10bの一端側の側面部に引っ掛かることによって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。
このように、規制手段は各栓刃挿入孔7a,7bに対応して少なくとも1箇所ずつ設けられていれば片刃挿入防止の効果を得ることができる。
尚、本実施形態の扉付きコンセント装置1は、例えば図11に示すように、長手方向に4つの扉付きコンセント装置1を並設したテーブルタップ31に用いることができ、また、このようなテーブルタップ31に限らず様々な配線器具に用いることができる。
(実施形態2)
本実施形態の扉付きコンセント装置1は、上記の実施形態1に比べて、後部カバー8の構成に特徴があり、その他の構成は上記の実施形態1と略同様なので同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、本実施形態の扉付きコンセント装置1の後部カバー8は、図12に示すように、平板部24の挿通孔8bの他端側に、一端側から他端側にいくにしたがって前方に傾斜した斜面部32aを備えた三角形状の扉破損防止用リブ32が、斜面部32aの幅方向に離間して一対突設してある。この後部カバー8は上記の実施形態1と同様にして前部カバー7に取り付けられており、このとき扉破損防止用リブ32,32は、図13(a)に示すように、扉体10の橋絡部10dの他端側の側面部の後方に位置し、扉体10のカバー6後方への押し込み量を規制する規制突起となっている。
この扉破損防止用リブ32によれば、例えば図13(a)に示すように、栓刃挿入孔7bのみに栓刃3aを差し込んだ、所謂片刃挿入時に、栓刃3aによって扉体10に過剰な外力がかけられたとしても、扉体10の橋絡部10dの後面部が扉破損防止用リブ32の斜面部32aの他端部に当接して該扉破損防止用リブ32に支持されることになるから、扉体10のカバー6後方への押し込み量が規制され、これにより扉体10の突部23,23や片部10a,10a等の破損を防止することができる。
加えて、仮に扉体10の突部23,23が破損してしまったとしても、扉破損防止用リブ32は、スライドリブ26の斜面部26aと同様の、一端側から他端側にいくにしたがって前方に傾斜した斜面部32aを備えているので、図13(b)に示すように、扉破損用防止リブ32の斜面部32aと扉体10の橋絡部10dとで、扉体10をカバー6の一端側へ誘導する上記のガイド手段が構成されることになり、このガイド手段によって扉体10を移動させて栓刃挿入孔7a,7bを開閉することができるようになっているのである。
本実施形態の扉付きコンセント装置1によれば、扉体10の押し込み量を規制する規制突起として扉破損防止用リブ32を設けてあるので、プラグ3の栓刃3aの片刃挿入時に、栓刃3aによって扉体10に過剰な外力がかけられても、扉破損防止用リブ32によって扉体10が支持されて扉体10の押し込み量が規制されるから、扉体10の破損を防止することができる。また、この破損防止用リブ32は、面方向が弾性体11の付勢方向を向いた扉体10の側面部を有する橋絡部10dの後方に設けられているので、扉体10の開閉に際しても邪魔になることがない。加えて、扉破損防止用リブ32の斜面部32aと橋絡部10dとで予備のガイド手段が構成されることになるため、例えば不測の事態により突部23が破損して、突部23とスライドリブ26の斜面部26aとからなるガイド手段が機能しなくなったとしても、上記の予備のガイド手段により扉体10を誘導して、扉体10による一対の栓刃挿入孔7a,7bの開閉を行うことができるのである。
(実施形態3)
本実施形態の扉付きコンセント装置1は、上記の実施形態1に比べて、扉体10と後部カバー8の構成に特徴があり、その他の構成は上記の実施形態1と略同様なので同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の扉体10には、図14に示すように、上記実施形態1の突部23の替わりに、第1の窓部21aの内周面となる各片部10a,10aの側面には、それぞれ一端側から他端側にかけて前方、すなわちカバー6の前壁へ近付く方向へ傾斜した溝部33,33が形成してある。
後部カバー8には、上記実施形態1の一対のスライドリブ26,26の替わりに、一対のガイドリブ34,34が形成してあり、このガイドリブ34,34は、各ガイドリブ34,34のカバー6の外方を向いた側面部に、カバー6の前後方向に交差する面内で弾性体11の付勢方向と直交する方向に突出して、付勢方向、すなわち一端側から他端側にいくにしたがって前方へ傾斜し、溝部33,33にそれぞれ摺動自在に嵌め合わされる突部34a,34aを備えている。
上記実施形態1では、扉体10は、図1(a),(b)に示すように、突部23,23を一対のスライドリブ26,26の斜面部26a,26aに摺動自在に当接されており、これら突部23と斜面部26aとから、扉体10がカバー6の後方へ押し込まれた際に扉体10を一端側へ誘導するガイド手段が構成されていたが、本実施形態では、扉体10は、図15(a),(b)に示すように、溝部33,33に一対のガイドリブ34,34の突部34a,34aが摺動自在に嵌め合わされており、これらガイドリブ34の突部34aと扉体10の溝部33とからガイド手段が構成されているのである。
次に、本実施形態の扉付きコンセント装置1の動作について説明する。尚、接地極用の扉体12については上記実施形態1と同様なので説明を省略する。
図15(a)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込む前、すなわち通常時の扉付きコンセント装置1を示している。この通常時において、電源用の扉体10は、弾性体11にカバー6の前後方向に摺動自在に当接しているので、扉体10の前後位置によらずに弾性体11によって他端側(図1(a)の左方)へ付勢されており、そのため扉体10の溝部33は、ガイドリブ34の突部34aの他端側に位置している。ここで、突部34aは上述したように一端側から他端側にかけてカバー6の前方に向かうように傾斜しているので、扉体10はカバー6の前壁の後方に近接し、このとき扉体10の遮蔽部22a,22bが電源用の栓刃挿入孔7a,7bと嵌合するから、両栓刃挿入孔7a,7bが扉体10により遮蔽されている。
図15(b)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込んだ際の扉付きコンセント装置1を示している。扉付きコンセント装置1にプラグ3を接続する際には、プラグ3の電源用の栓刃3a,3aを電源用の栓刃挿入孔7a,7bから、プラグの接地極用の栓刃3bを接地極用の栓刃挿入孔7cからカバー6内に差し入れて、栓刃3a,3aにより扉体10をカバー6の後方へ向けて押し込むとともに、栓刃3bにより扉体12をカバー6の後方へ向けて押し込んでいく。このように電源用の扉体10が栓刃3a,3aによりカバー6の後方へ押し込まれると、溝部33がガイドリブ34の突部34aに沿ってカバー6の一端側へ摺動していくことになる。すなわち、扉体10は、溝部33と突部34aとから構成されたガイド手段によって、弾性体11を撓ませる方向へと誘導されるのである。そして扉体10が弾性体11の付勢に抗して一端側に移動していくと、やがて、図15(b)に示すように、遮蔽部22a,22bが栓刃挿入孔7a,7bの後方から一端側にずれて、扉体10の窓部21a,21bが栓刃挿入孔7a,7bの後方に位置し、これにより栓刃挿入孔7a,7bと挿通孔8a,8bとが連通するから、栓刃3a,3aを刃受部4,4に接触接続することができるようになる。このようにして扉体10はカバー6の前壁に対して斜め後方向に並行移動し、この扉体10の移動によって栓刃挿入孔7a,7bが開閉するのである。
このようにしてプラグ3を扉付きコンセント装置1に接続した後、プラグ3の栓刃3a,3a,3bを扉付きコンセント装置1から引き抜いた場合、扉体10は、栓刃3a,3aによる押し込み方向の外力がかからないために、弾性体11によって他端側へ付勢され、これにより溝部33がガイドリブ34の突部34aに沿って他端側へ摺動するから、扉体10は前方へと押し上げられて、図15(a)に示す上述の通常時の位置に復帰することになる。
また、本実施形態の扉付きコンセント装置1では、上記実施形態1の扉付きコンセント装置1と同様に、扉体10の遮蔽部22a,22b、前部カバー7の一対の突部16,16、及び突部17が、片刃挿入防止のための規制手段となっている。例えば、図16(a)に示すように、栓刃挿入孔7aにのみ栓刃3aが差し込まれた場合、扉体10の遮蔽部22aのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜する。このとき、上述したように栓刃挿入孔7bに嵌合している遮蔽部22bの一端側の側面部が栓刃挿入孔7bの一端側の内側面部に引っ掛かるとともに、突部17の他端側の側面部が橋絡部10dの一端側の側面部に引っ掛かり、これら遮蔽部22b及び突部17によって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。逆に、図16(b)に示すように、栓刃挿入孔7bにのみ栓刃3aが差し込まれた場合は、扉体10の遮蔽部22bのみが栓刃3aにより押し込まれるため、扉体10は、栓刃挿入孔7b側においてカバー6の後方へと沈み、栓刃挿入孔7a側においてカバー6の前方へと押しつけられるように傾斜する。このとき、栓刃挿入孔7aに嵌合している遮蔽部22aの一端側の側面部が栓刃挿入孔7aの一端側の内側面部に引っ掛かるとともに、突部16,16の他端側の側面部が橋絡部10bの一端側の側面部に引っ掛かり、これら遮蔽部22a及び突部16,16によって扉体10が引掛係止されることになるから、扉体10が弾性体11の付勢に抗してカバー6の一端側へ移動することが規制され、これにより扉体10が開くことを防止することができる。このような規制手段によれば、例えば一方の栓刃挿入孔からプラグの栓刃や工具等を差し込んで扉体10を開けようとしても、扉体10がこのような外力を受けて傾斜した際には、規制手段が扉体10を引掛係止して、扉体10が弾性体11の付勢に抗して移動することを規制するので、扉体10が開かないようになっており、例えばプラグの栓刃の片刃挿入やいたずら等による感電を防止することができる。
本実施形態の扉付きコンセント装置1によれば、電源用の扉体10に設けた溝部33と、該溝部33に摺動自在に嵌め合わされる突部34aとからガイド手段が構成されているので、栓刃挿入孔7a,7bの開閉動作中に溝部33と突部34aとが外れて扉体10がカバー6から外れてしまうことがなくなり、これにより上記実施形態1よりも、さらに安定した栓刃挿入孔7a,7bの開閉動作を行うことができるようになる。
(実施形態4)
本実施形態の扉付きコンセント装置1は、上記の実施形態1に比べて、扉体10と後部カバー8の構成に特徴があり、その他の構成は上記の実施形態1と略同様なので同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の扉体10は、図17に示すように、上記実施形態1の突部23の替わりに、扉体10のカバー6の前後方向に交差する面内で弾性体11の付勢方向と直交する方向である短手方向において、前記扉体10の両端側に、それぞれ弾性体10の付勢方向である扉体10の長手方向に離間した一対の突部35,35が突設してあり、扉体10は合計4つの突部35を備えている。
後部カバー8は、上記実施形態1の一対のスライドリブ26,26の替わりに、扉体10の短手方向において互いに対向する一対のガイドリブ36,36を、扉体10の長手方向に離間して二対突設して、合計4つのガイドリブ36を設けてあり、この4つのガイドリブ36において扉体10の短手方向で互いに対向する内側面部に、一端側から他端側にいくにしたがって前方へ傾斜する斜面部36aを有する溝部36bを形成してある。
上記実施形態1では、扉体10は、図1(a),(b)に示すように、突部23,23を一対のスライドリブ26,26の斜面部26a,26aに摺動自在に当接されており、これら突部23と斜面部26aとから、扉体10がカバー6の後方へ押し込まれた際に扉体10を一端側へ誘導するガイド手段が構成されていたが、本実施形態では、扉体10は、図18(a),(b)に示すように、4つのガイドリブ36の斜面部36aに扉体10の4つの突部35がそれぞれ摺動自在に当接されて、これら4つの斜面部36aと該4つの斜面部36aにそれぞれ対応する4つの突部35とから、合計4つのガイド手段が構成されているのである。
次に、本実施形態の扉付きコンセント装置1の動作について説明する。尚、接地極用の扉体12については上記実施形態1と同様なので説明を省略する。
図18(a)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込む前、すなわち通常時の扉付きコンセント装置1を示している。この通常時において、電源用の扉体10は、弾性体11にカバー6の前後方向に摺動自在に当接しているので、扉体10の前後位置によらずに弾性体11によって他端側へ付勢されており、そのため扉体10の4つの突部35は、4つのガイドリブ36の斜面部36aの他端側に位置している。ここで、斜面部36aは上述したように一端側から他端側にかけてカバー6の前方に向かうように傾斜しているので、扉体10はカバー6の前壁の後方に近接し、このとき扉体10の遮蔽部22a,22bが電源用の栓刃挿入孔7a,7bと嵌合するから、両栓刃挿入孔7a,7bが扉体10により遮蔽されている。
図18(b)は、扉付きコンセント装置1にプラグ3の栓刃3a,3a,3bを差し込んだ際の扉付きコンセント装置1を示している。扉付きコンセント装置1にプラグ3を接続する際には、プラグ3の電源用の栓刃3a,3aを電源用の栓刃挿入孔7a,7bから、プラグ3の接地極用の栓刃3bを接地極用の栓刃挿入孔7cからカバー6内に差し入れて、栓刃3a,3aにより扉体10をカバー6の後方へ向けて押し込むとともに、栓刃3bにより扉体12をカバー6の後方へ向けて押し込んでいく。このように電源用の扉体10が栓刃3a,3aによりカバー6の後方へ押し込まれると、4つの突部35がそれぞれ4つのガイドリブ36の斜面部36aに沿ってカバー6の一端側へ摺動していくことになる。すなわち、扉体10は、4つの突部35と4つの斜面部36aとから構成されたガイド手段によって、弾性体11を撓ませる方向へと誘導されるのである。そして扉体10が弾性体11の付勢に抗して一端側に移動していくと、やがて、図18(b)に示すように、遮蔽部22a,22bが栓刃挿入孔7a,7bの後方から一端側にずれて、扉体10の窓部21a,21bが栓刃挿入孔7a,7bの後方に位置し、これにより栓刃挿入孔7a,7bと挿通孔8a,8bとが連通するから、栓刃3a,3aを刃受部4,4に接触接続することができるようになる。このようにして扉体10はカバー6の前壁に対して斜め後方向に並行移動し、この扉体10の移動によって栓刃挿入孔7a,7bが開閉するのである。
プラグ3を扉付きコンセント装置1に接続した後、プラグ3の栓刃3a,3a,3bを扉付きコンセント装置1から引き抜いた場合、扉体10は、栓刃3a,3aによる押し込み方向の外力がかからないために、弾性体11によって他端側へ付勢され、これにより各突部35が各ガイドリブ36の斜面部36aに沿って他端側へ摺動するから、扉体10は前方へと押し上げられて、図18(a)に示す上述の通常時の位置に復帰する。
また、本実施形態の扉付きコンセント装置1においても、上記実施形態1の扉付きコンセント装置1と同様に、扉体10の遮蔽部22a,22b、前部カバー7の一対の突部16,16、及び突部17が、片刃挿入防止のための規制手段となっており、このような規制手段によれば、例えば一方の栓刃挿入孔からプラグの栓刃や工具等を差し込んで扉体10を開けようとしても、扉体10がこのような外力を受けて傾斜した際には、規制手段が扉体10を引掛係止して、扉体10が弾性体11の付勢に抗して移動することを規制するので、扉体10が開かないようになっており、例えばプラグの栓刃の片刃挿入やいたずら等による感電を防止することができる。
本実施形態の扉付きコンセント装置1によれば、電源用の扉体10の短手方向の両端側に長手方向に離間して突設した各一対の突部35,35と、各突部35が摺動自在に当接される斜面部36aとからガイド手段が構成され、合計4つのガイド手段を備えているので、プラグの栓刃挿入時に、扉体10が4つのガイド手段により支持されて誘導されることになるので、扉体10が移動する際にがたつきが生じなくなり、これにより上記の実施形態1に比べてさらに安定した栓刃挿入孔7a,7bの開閉動作を行うことができるようになる。