JP4570452B2 - 繊維用仕上げ剤、その製造方法及びそれを用いた繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維用仕上げ剤、その製造方法及びそれを用いた繊維製品に関し、より詳しくは、イソフラボンを内包する小包体を含有する繊維用仕上げ剤、その製造方法及びそれを付着せしめた繊維製品に関する。
近年、天然由来のスキンケア成分を付着せしめた繊維製品が多く見られるようになってきている。このような天然由来のスキンケア成分としては、女性ホルモン様作用を有する物質であること、骨粗鬆症予防、発ガン予防効果、美白効果等の効果が見出されていること等から、大豆由来の成分であるイソフラボンが注目されている。例えば、特開2003−313774号公報(特許文献1)においては、ウルソール酸、ウルソール酸誘導体、イソフラボン及びイソフラボン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を繊維材料に固着せしめてなる負荷ストレス低減繊維材料が開示されている。
ところで、天然由来のスキンケア成分を繊維へ付着させる方法としては、スキンケア成分をそのままの形で乳化、分散させた乳化液(分散液)を直接繊維へ付着させる方法が一般的であり、例えば、特開2002−061073号公報(特許文献2)においては、アスコルビン酸誘導体を含有する乳化液を付与する繊維材料の処理方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載のような繊維材料の処理方法では、スキンケア成分が直接外界と接触するため、付着させたスキンケア成分の洗濯耐久性が弱く、また変質し易いという欠点を有していた。
また、特開平11−107163号公報(特許文献3)においては、乳化又はマイクロカプセル化した油脂中にγ−リノレン酸を含有させた繊維処理剤が開示されており、国際公開WO91/01801号パンフレット(特許文献4)においては、アスコルビン酸、トコフェロール等をホルマリン系樹脂、ポリスチレンスルホン酸ソーダ等の乳化分散剤を用いてマイクロカプセル化させた繊維処理用マイクロカプセルが開示されており、特開2002−88650号公報(特許文献5)においては、イソフラボンを含むマイクロカプセルと樹脂成分(バインダー成分)とを含有する繊維処理剤が開示されており、特開2004−113975号公報(特許文献6)においては、ホスホリルコリン類似基を有する単量体等を重合してなる重合体を添加して製造したマイクロカプセルを、繊維に固着させてなる繊維製品が開示されている。しかしながら、特許文献3〜6に記載のような従来のマイクロカプセルを用いて天然由来のスキンケア成分を繊維へ付着させる方法では、マイクロカプセルの繊維に対する付着性が十分に高くないため洗濯耐久性の向上に限界があり、また、付着性を向上させるための樹脂固着成分(バインダー成分)を使用した場合には、樹脂成分によって皮膚刺激や風合いが低下するという問題があった。
特開2003−313774号公報 特開2002−061073号公報 特開平11−107163号公報 国際公開WO91/01801号パンフレット 特開2002−88650号公報 特開2004−113975号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、樹脂固着成分を使用せずとも繊維材料にイソフラボンを十分な強度で付着させて、高度な洗濯耐久性を付与することを可能とする繊維用仕上げ剤、その製造方法、並びに、それを用いて皮膚刺激や風合いの低下を招くことなく長期間に亘って皮膚のうるおい性を向上させることが可能な繊維製品を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体の中にイソフラボンを内包させることによって、樹脂固着成分を使用することなく繊維材料にイソフラボンを十分な強度で付着させることが可能となり、それによって優れた洗濯耐久性が達成されることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の繊維用仕上げ剤は、リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体に内包されたイソフラボンを含有し、前記リン脂質がホスファチジルコリンを5〜99質量%含有するリン脂質であることを特徴とするものである。
上記本発明にかかる前記ベシクル小包体としては、前記リン脂質の溶液を水中に分散させて得られる分散液にイソフラボンの水分散液を加え、機械的衝撃を与えることにより得られるものであることが好ましい。
また、上記本発明の繊維用仕上げ剤としては、前記リン脂質がホスファチジルコリンを20〜75質量%含有するリン脂質であることが好ましい。
さらに、本発明の繊維製品は、上記本発明の繊維用仕上げ剤を繊維材料に付着せしめてなるものであることを特徴とするものである。
また、本発明の繊維用仕上げ剤の製造方法は、リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体に内包されたイソフラボンを含有し、前記リン脂質がホスファチジルコリンを5〜99質量%含有するリン脂質である繊維用仕上げ剤の製造方法であって、前記リン脂質の溶液を水中に分散させて分散液を得る工程と、前記分散液にイソフラボンの水分散液を加える工程と、前記分散液に機械的衝撃を与えて前記イソフラボンが内包された前記ベシクル小包体を得る工程と、を含むことを特徴とする方法である。
上記本発明の繊維用仕上げ剤の製造方法においては、前記リン脂質の溶液に用いられる溶媒がグリセリンであることが好ましい。
本発明によれば、樹脂固着成分を使用せずとも繊維材料にイソフラボンを十分な強度で付着させて、高度な洗濯耐久性を付与することを可能とする繊維用仕上げ剤、その製造方法、並びに、それを用いて皮膚刺激や風合いの低下を招くことなく長期間に亘って皮膚のうるおい性を向上させることが可能な繊維製品を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の繊維用仕上げ剤について説明する。すなわち、本発明の繊維用仕上げ剤は、リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体に内包されたイソフラボンを含有することを特徴とするものである。
このような本発明にかかるリン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体とは、細胞膜と同じ組成のリン脂質からなるカプセル状の粒子であってリン脂質の二重膜閉鎖小包体である。
このような本発明にかかるベシクル小包体(リン脂質二重膜閉鎖小包体)の膜構成成分として含有させるリン脂質としては、下記一般式(1):
Figure 0004570452
で表されるホスファチジルコリン、下記一般式(2):
Figure 0004570452
で表されるホスファチジルエタノールアミン、下記一般式(3):
Figure 0004570452
で表されるホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、少なくともホスファチジルコリンを含有するような大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質、前記リン脂質の不飽和炭素鎖を水素により飽和させた水素添加リン脂質等を挙げることができる。また、前記膜構成成分としては、前記リン脂質及び前記水素添加リン脂質の他、糖脂質、ジアルキル型界面活性剤等を併用すること、コレステロール、ホスフェート型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンエステル型界面活性剤、酸化防止剤等の添加剤を更に添加することが可能である。
また、このような膜構成成分として含有させるリン脂質の中でも、ホスファチジルコリンを含有させることが好ましい。ホスファチジルコリンを含有させることで、ホスホリルコリン基の両性加工物の性質を利用して樹脂固着成分を使用せずとも繊維材料へ付着させることが可能となり、得られる繊維用仕上げ剤の繊維材料への付着性が向上するためである。また、このような膜構成成分中におけるホスファチジルコリンの含有量としては、膜構成成分中に5〜99質量%であることが好ましく、20〜75質量%であることがより好ましい。前記含有量が5質量%を下回る場合はリン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体の形成が困難になるとともに繊維材料への付着性が低下する傾向にあり、他方、99質量%を上回る場合は、繊維用仕上げ剤としての経済性が低下するとともに洗濯耐久性が低下する傾向にある。
本発明にかかるイソフラボンとは、イソフラボン又はその誘導体のことであり、豆科の植物に含まれるフラボノイド配糖体の一つである、ダイジン、グリシチン、ゲニスチン、それらのアグリコンであるダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、並びに、それらのアセチル配糖体及びマロニル配糖体等が挙げられる。このようなイソフラボンの生理活性については、一般にエストロジェン作用、抗酸化作用、抗菌作用等が知られている。また、前記イソフラボンは、水又はアルコール等の溶媒で大豆、納豆等から抽出することができるが、このようにして抽出されるイソフラボンの大部分はダイジンとゲニスチンである。
また、本発明にかかるイソフラボンを内包させた前記ベシクル小包体(リン脂質二重膜閉鎖小包体)において、基質であるイソフラボンと前記ベシクル小包体の膜脂質との質量換算による比率は、基質:膜脂質=1:0.5〜1:20であることが好ましく、基質:膜脂質=1:1〜1:5であることがより好ましい。このような比率とすることで、前記ベシクル小包体の安定性及び得られる繊維用仕上げ剤の付着性が向上する傾向にある。
本発明にかかるベシクル小包体(リン脂質二重膜閉鎖小包体)の平均粒子径は内包されるイソフラボンの粒径によっても左右されるものではあって特に制限されないが、0.05〜50μm程度であることが好ましく、0.5〜10μm程度であることがより好ましい。平均粒子径が前記下限未満では得られる繊維用仕上げ剤の繊維への付着性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると洗濯耐久性が低下する傾向にある。
また、本発明にかかるベシクル小包体としては、リン脂質の溶液を水中に分散させて得られる分散液にイソフラボンの水分散液を加え、機械的衝撃を与えることにより得られるものであることが好ましい。このようなベシクル小包体を用いることで、繊維材料に繊維用仕上げ剤を付着させた際に、より高い洗濯耐久性が得られるためである。
次に、本発明の繊維用仕上げ剤の製造方法を説明する。本発明の繊維用仕上げ剤の製造方法は、(i)リン脂質の溶液を水中に分散させて分散液を得る工程と、(ii)前記分散液にイソフラボンの水分散液を加える工程と、(iii)前記分散液に機械的衝撃を与えてイソフラボンが内包された前記ベシクル小包体を得る工程と、を含むことを特徴とする方法である。
このような製造方法は、有機溶媒を使用する際の工業的生産を容易にするという観点から特に利点が大きい。以下において、各工程(i)〜(iii)を具体的に説明する。
先ず、工程(i)においては、リン脂質の溶液を水中に分散させて分散液を得る。
このようなリン脂質の溶液に用いられる溶媒としては、水溶不揮発性のグリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類を用いることが好ましく、リン脂質の溶解性という観点から、グリセリンを用いることがより好ましい。
このようなリン脂質の溶液は、リン脂質を前記溶媒に加熱下、均一に膨潤させることで得ることができる。このような溶液を調製する際の加熱温度としては、80〜150℃程度であることが好ましい。
このようなリン脂質の溶液がホスファチジルコリンのグリセリン溶液であることが好ましい。リン脂質としてホスファチジルコリンを含有させることで得られる繊維用仕上げ剤の繊維材料への付着性が向上するためである。
また、このようにして得られたリン脂質の溶液には、糖脂質、ジアルキル型界面活性剤、コレステロール、ホスフェート型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンエステル型界面活性剤、酸化防止剤等を添加することができる。
また、リン脂質の溶液を水中に分散させて分散液を得る方法としては、前記リン脂質の溶液を80〜100℃程度に冷却した後、水を加えて40〜80℃程度に冷却させることで分散液を得る方法を挙げることができる。このようにして得られる分散液中、リン脂質の含有量としては、0.1〜20質量%であることが好ましい。リン脂質の含有量が前記下限未満では、前記ベシクル小包体の成膜が困難になる傾向にあり、前記上限を超えると、水中に分散させた際にペースト化し、作業効率が低下する傾向にある。
次に、工程(ii)においては、前記分散液にイソフラボンの水分散液を加える。
このような工程(ii)に用いられるイソフラボンの水分散液の調製方法は特に制限されず、適宜公知の方法を用いて調製することができる。
このようなイソフラボンの水分散液中のイソフラボンの含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましい。イソフラボンの含有量が前記下限未満では、繊維材料に繊維用仕上げ剤を付着させた際に得られるイソフラボンの有効性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、洗濯耐久性が低下する傾向にある。
また、このようなイソフラボンの水分散液に用いられるイソフラボンの平均粒子径としては、0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。得られる前記ベシクル小包体の平均粒子径が、イソフラボンの平均粒子径によって左右されるためである。そのため、イソフラボンの水分散液を調製する際には、前もってイソフラボンを微粉砕しておくことが好ましい。このような微粉砕の方法としては特に制限されず、公知の乾式粉砕方法、湿式粉砕方法等を用いることができる。
また、前記イソフラボンの水分散液には、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンエステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤等の安定化剤を添加することができる。
また、前記分散液にイソフラボンの水分散液を加えた後において、分散液中のイソフラボンとホスファチジルコリンとの質量換算による比率は、イソフラボン:ホスファチジルコリン=1:1〜1:20であることが好ましい。
前記工程(iii)においては、前記分散液に機械的衝撃を与える。
ここにいう機械的衝撃を与えるために用いられる機械としては特に制限されず、超音波乳化機、ナノマイザー、ホモジナイザー等を用いることができる。このような機械を用いて機械的衝撃を与えことで本発明の繊維用仕上げ剤を得ることができる。
以上、本発明の繊維用仕上げ剤の製造方法を説明したが、本発明の繊維用仕上げ剤は他の製造方法によっても得ることができる。
このような他の製造方法としては特に制限されず、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、エーテル等の有機溶媒中に膜脂質及び内包させる基質であるイソフラボンを溶解させた後に、前記有機溶媒を留去し、得られた成分を水層に分散させた後、機械的衝撃を与えることでイソフラボンを内包された前記ベシクル小包体を得ることで繊維用仕上げ剤を製造する方法を挙げることができる。
本発明の繊維用仕上げ剤は、イソフラボンが内包された前記ベシクル小包体(リン脂質二重膜閉鎖小包体)を含有するものである。このような繊維用仕上げ剤を用いることで、樹脂固着成分を使用することなく繊維にイソフラボンを付着させながら、高度な洗濯耐久性を付与することが可能となる。
本発明の繊維用仕上げ剤は、イソフラボンが内包された前記ベシクル小包体を水又は有機溶剤に溶解又は分散(好ましくは分散)させた形態とすることも可能である。このような有機溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、メタノール、エタノール等のアルコール等が挙げられる。
次に、本発明の繊維製品を説明する。すなわち、本発明の繊維製品は、本発明の繊維用仕上げ剤を繊維材料に付着せしめてなるものである。
本発明の繊維用仕上げ剤を付着せしめる繊維材料としては特に制限はなく、綿、絹、ウール等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアラミド繊維等の合成繊維、それらを用いた複合繊維等が用いられ、その形態としては糸、編物、織物、不織布等が挙げられる。
本発明の繊維用仕上げ剤を繊維材料に付着せしめる方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができ、具体的には、水又は有機溶剤に前記繊維用仕上げ剤を溶解又は分散(好ましくは分散)させた後、スプレー法、パッド法、浸漬法、コーティング法等で繊維材料に繊維用仕上げ剤を付着させて、乾燥させることにより繊維用仕上げ剤を繊維材料に付着せしめることが挙げられる。
また、本発明の繊維製品における繊維用仕上げ剤の付着量としては特に制限されないが、繊維材料(例えば、目付150g/m)1mあたり、その付着量が0.1〜1000mgであることが好ましく、1〜100mgであることがより好ましい。前記付着量が0.1mg/m未満であると、イソフラボンによる効果が乏しくなる傾向にあり、他方、1000mg/mを超えても使用量に見合うスキンケア効果が得られ難く、経済性が低下する傾向にある。
また、本発明の繊維用仕上げ剤を付着させる際には、柔軟剤、帯電防止剤、抗菌防臭剤等の繊維の加工剤等を併用することが可能であり、このような他の加工剤を併用することで、繊維材料に多種多用途の加工をすることが可能となって、加工後の繊維製品に他の機能性を付与することが可能となる。
本発明の繊維製品の形態としては、特に制限されないが、例えば下着、ファンデーション、ストッキング、靴下、手袋等の形態が挙げられ、直接肌に触れるような物を構成する繊維製品として使用することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、200mlのナス型コルベン中に、水素添加大豆リン脂質であるレシノールS−10E(ニッコーケミカルズ社製、ホスファチジルコリンの含有量75質量%)2g、イソフラボンである豊年イソフラボン80(ホーネンコーポレーション社製、各成分の含有量:ダイジン31.1質量%、グリシチン42.7質量%、ゲニスチン7.4質量%、その他0.5質量%)1g、クロロホルム100mlを加えて均一に溶解させた後、ロータリーエバポレターを用いてクロロホルムを留去し、ナス型コルベンの内壁にイソフラボン含有リン脂質膜を形成させた。次に、ナス型コルベン中にpHを6.5に調整したリン酸緩衝液97gを加えてナス型コルベンの内壁からイソフラボン含有リン脂質膜をかき取り、日本精機社製の超音波乳化機US−600Tを用いて5分間機械的衝撃を与えて、イソフラボンが内包されたリン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体(平均粒子径0.1μm)を含有する分散液(濃度=1質量%)を製造し、本発明の繊維用仕上げ剤を得た。
(実施例2)
先ず、100℃に加熱した濃グリセリン20g中に水素添加大豆リン脂質であるベイシスLP−20H(日清オイリオ社製:ホスファチジルコリンの含有量20質量%)5gを均一膨潤させたものを90℃まで冷却させた後、水65gを加えて30℃以下に冷却し、リン脂質のグリセリン溶液を得た。次に、予め湿式粉砕にて平均粒子径を0.3μmに調整した10質量%の豊年イソフラボン80と2質量%のステアリルアルコールの20モルエチレンオキサイド付加物とを水に分散せしめ、イソフラボンの水分散物を得た。次いで、イソフラボンの水分散物10gを前記リン脂質のグリセリン溶液に加え、1時間撹拌した後、ナノマイザー社製のLA−31を用いて950kg/cmの圧力を加えることで機械的衝撃を与えて、イソフラボンが内包されたリン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体(平均粒子径0.35μm)を含有する分散液(濃度=1質量%)を製造し、本発明の繊維用仕上げ剤を得た。
(比較例1)
先ず、豊年イソフラボン80を1g、乳化分散剤としてポリビニルアルコールの10質量%溶液20g、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートトライマー10g、及び水69gを室温の条件下でラボミキサーを用いて5000rpmで攪拌して一次乳化液を得た。次に、架橋補助剤であるジエチレントリアミン0.5gを前記一次乳化液に加えて室温の条件下で2時間攪拌した後、加熱して70℃まで昇温させて1時間反応を進行させた。このようにしてイソフラボンを含有させたマイクロカプセル(平均粒子径5.3μm)を含有する分散液(濃度=1質量%)を製造し、比較としての従来の繊維用仕上げ剤を得た。
(比較例2)
先ず、豊年イソフラボン80を1g、分散剤としてソルビタンモノステアリン酸エステルのエチレンオキサイド(20モル)付加物1g、分散補助剤としてリン脂質類似構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン含有重合体であるLipidure MF−3(日本油脂株式会社製)20g、及び水78gを室温の条件下でラボミキサーを用いて5000rpmで攪拌して一次分散液を得た。次に、前記一次分散液に日本精機社製の超音波乳化機US−600Tを用いて10分間機械的衝撃を与えて、イソフラボンの分散液(濃度=1質量%)を製造し、比較としての従来の繊維用仕上げ剤を得た。
(洗濯耐久性の評価)
先ず、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた繊維用仕上げ剤(濃度=1質量%)を、それぞれ綿ニット布(肌着用途:目付150g/m)に、Pick up=80%で付着させ、120℃の温度条件で5分間乾燥させて、それぞれの繊維用仕上げ剤を付着させた繊維製品を得た。
次に、前述のようにして得られた各繊維製品に対して、JIS L 0217 103に規定されているニット生地試験方法における洗濯試験方法に準拠して洗濯試験を10回行い、乾燥させた後、各繊維製品に対してメタノールを用いてソックスレー抽出を6時間行った。その後、このようにして各繊維製品から抽出された抽出物について下記の条件でHPLCを用いて定量分析し、イソフラボンの定量を行って洗濯耐久性を評価した。
(HPLCの条件)
カラム:HRC−ODS(40℃:島津製作所製)
検出器:SPD−M10A(260nm:島津製作所製)
移動相:アセトニトリル/メタノール/水=5/4/1(リン酸0.05%含有)
流速:1ml/分。
得られた結果を以下の表に示す。なお、下記の洗濯残存率とは、洗濯前の繊維製品に付着しているイソフラボンの抽出量を100とし、それに対して洗濯後の繊維製品に付着しているイソフラボンの抽出量の割合を計算して求めた値である。
洗濯残存率
実施例1 65.4%
実施例2 81.1%
比較例1 12.4%
比較例2 検出限界以下。
このような結果からも明らかなように、実施例1及び2で得られた本発明の繊維用仕上げ剤は高い洗濯耐久性を有しており、特に、実施例2で実施された製造方法によって得られた本発明の繊維用仕上げ剤においては、イソフラボンの洗濯残存率が81.1%と高く、極めて高い洗濯耐久性を有していることが確認された。
(うるおい性の評価)
本発明の繊維用仕上げ剤に含有されているイソフラボンは配糖体であるため、その繊維用仕上げ剤を付着せしめた繊維製品を肌にあてがった場合、イソフラボンに由来して、うるおいが肌へ与えられる。
うるおい性の試験には、未加工の綿ニット布(未加工布)、洗濯耐久性の試験の際に加工された実施例2で得られた繊維用仕上げ剤を付着せしめた繊維製品(本発明の繊維製品)及び比較例1〜2で得られた繊維用仕上げ剤をそれぞれ付着せしめた繊維製品(比較のための繊維製品)を用いた。うるおい性の試験は、それぞれの繊維製品を20℃における相対湿度40%の条件下で24時間放置して繊維製品の生地水分量を平衡にした後、各繊維製品を男性3名の上腕内側にあてがい、角質水分計であるSKICON−200を用いて皮膚上の電気伝導度を測定することで行った。得られた結果を以下の表に示す。なお、下記の結果は、各繊維製品を男性の上腕内側にあてがってから30、60、120分後に計測して得られた電気伝導度測定値(μS)を、試験前に測定しておいた男性の肌の電気伝導度測定値(μS)で割った後に100をかけて得られる値を前記3名の男性についてそれぞれ計算して求め、その平均値を示したものである。
30分後 60分後 120分後
未加工布 102 105 101
実施例2 105 118 124
比較例1 103 107 106
比較例2 103 114 113 。
このようなうるおい性の結果からも明らかなように、実施例2で得られた本発明の繊維用仕上げ剤を付着せしめた繊維製品においては、肌に高いうるおい性を付与できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、樹脂固着成分を使用せずとも繊維材料にイソフラボンを十分な強度で付着させて、高度な洗濯耐久性を付与することを可能とする繊維用仕上げ剤、その製造方法、並びに、それを用いて皮膚刺激や風合いの低下を招くことなく長期間に亘って皮膚のうるおい性を向上させることが可能な繊維製品を提供することが可能となる。
したがって、本発明の繊維用仕上げ剤を付着せしめた繊維製品は、繊維材料に樹脂固着成分を用いずにイソフラボンが付着されていることから、その繊維製品を着用した時に皮膚のうるおい性を向上させることができるとともにイソフラボンの持つ様々な効果をも期待することができるため、敏感肌用の衣類等として有用である。

Claims (6)

  1. リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体に内包されたイソフラボンを含有し、前記リン脂質がホスファチジルコリンを5〜99質量%含有するリン脂質であることを特徴とする繊維用仕上げ剤。
  2. 前記ベシクル小包体が、前記リン脂質の溶液を水中に分散させて得られる分散液にイソフラボンの水分散液を加え、機械的衝撃を与えることにより得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維用仕上げ剤。
  3. 前記リン脂質がホスファチジルコリンを20〜75質量%含有するリン脂質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維用仕上げ剤。
  4. リン脂質の2分子膜からなるベシクル小包体に内包されたイソフラボンを含有し、前記リン脂質がホスファチジルコリンを5〜99質量%含有するリン脂質である繊維用仕上げ剤の製造方法であって、前記リン脂質の溶液を水中に分散させて分散液を得る工程と、前記分散液にイソフラボンの水分散液を加える工程と、前記分散液に機械的衝撃を与えて前記イソフラボンが内包された前記ベシクル小包体を得る工程と、を含むことを特徴とする繊維用仕上げ剤の製造方法。
  5. 前記リン脂質の溶液に用いられる溶媒がグリセリンであることを特徴とする請求項4に記載の繊維用仕上げ剤の製造方法。
  6. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の繊維用仕上げ剤を繊維材料に付着せしめてなるものであることを特徴とする繊維製品。
JP2004359894A 2004-12-13 2004-12-13 繊維用仕上げ剤、その製造方法及びそれを用いた繊維製品 Expired - Fee Related JP4570452B2 (ja)

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