JP4570211B2 - 光コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送機器の接続点で用い、基板の挿抜によりコネクタ着脱を行う光コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝送機器において、接続点で用いる光コネクタに関しては、単心のMU(Miniature Unit coupling)コネクタを適用したプラグイン光コネクタが実用化されている。このコネクタでは、基板の挿抜によりコネクタ部分の着脱を行う。かかる光コネクタの一例として、実用新案登録第2562491号公報に記載されたコネクタが挙げられる。このコネクタは、雄側光コネクタを雌側光コネクタに差し込むだけで、雌側光コネクタの外部ハウジングに収容された内部ハウジングの係合を解除し、内部ハウジングの移動を可能にし、雌・雄側光コネクタのユニットへの実装時の軸方向のばらつきを吸収して接続プラグの衝合を良好に行わせ、伝達性能を向上させるものである。
【0003】
更に、このような機構を多心のMT(Mechanical Transferable)コネクタに応用したものが、例えば、特開平8−211250号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の大型コンピュータの進歩に伴い、より多心の光コネクタを一括で接続する技術が求められている。上述の実用新案登録第2562491号公報に記載されたコネクタは、複数のMUコネクタを一括接続するものであるが、このように一度に接続するコネクタの数が増加すると、ハウジングが大型化してしまう。又、内部ハウジングが外部ハウジングに係合状態で収容され、雄側光コネクタと雌側光コネクタとが接続されるときに、内部ハウジングが外部ハウジングの内部で係合解除するような構造をとると、ハウジングの成型精度を非常に高く保たなければならない。
【0005】
しかし、上述のように、一度に接続するコネクタ数が増加し、ハウジングが大型化してしまうと、ハウジングの基本形状が複雑になり、成型精度を一定に保つことが困難である。
本発明の目的は、単純な形状を有し、特殊な治工具を用いることなく着脱可能な光コネクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る光コネクタは、少なくとも1つのフェルールを備えた第1のハウジングを有する光コネクタに対して接続される光コネクタであって、第1のハウジングのフェルールに接続されるフェルールを備えた第2のハウジングと、第2のハウジングを、第1のハウジングと係合しない第1の位置と第1のハウジングと係合する第2の位置との間で進退可能に収容する第3のハウジングとを有し、第2のハウジングには、第2のハウジングが第2の位置に移動すると第1のハウジングを挟持する、回動可能な2つのラッチ爪が備わり、ラッチ爪は第1のハウジングと第2のハウジングとを係合状態に導くように開き角が規制されていることを特徴としている。
【0007】
第1のハウジングを第2のハウジングに係合させるだけで、第2のハウジングに備わった2つのラッチ爪が第1のハウジングと係合し、フェルール同士の接続状態を確保することができる。特に、第1のハウジングと第2のハウジングとが複数のフェルールを備えている場合、複雑な形状のハウジングを使用することなくフェルール同士を確実に接続することができる。
【0008】
又、第2のハウジングに設けられた回動可能な2つのラッチ爪は、第1のハウジングと第2のハウジングとを係合状態に導くように開き角が規制されているので、第1のハウジングと第2のハウジングとの係合を容易に行なうことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る光コネクタについて説明する。
本発明の一実施形態に係る光コネクタ10は、図1に示すように、MTフェルール21を備えた第1のハウジング11と、このフェルール21に接続されるコネクタプラグ(MTフェルール)22を備え、且つ第1のハウジング11を挟持するラッチ爪15a,15bを有した第2のハウジング12と、第2のハウジング12を進退可能に収容する第3のハウジング13等とから構成されている。
【0010】
第1のハウジング11は、プリント基板Pに固定可能な断面略T字型形状を有するプラスチック製のブロック体であり、フェルール21を収容するハウジング本体11aとハウジング本体11aから両側に延在した取付部11bとから構成されている。
フェルール21は、MT型フェルールであり、この端面(図中、下端部)には、相手側フェルールとの位置合わせ用ピン21pが突設している。またフェルール21は、端面がハウジング本体11aの端面から若干内側に位置するようにハウジング本体内に固定されている。
【0011】
ハウジング本体11aには、第2のハウジング12に当接する面(図中、下端面)に第1のハウジング11と第2のハウジング12とを位置決めする位置合わせピン11pが突設すると共に、第1のハウジング11の両側面にはラッチ爪15a,15bが係合するための凹部11rが形成されている。凹部11rには、コネクタ離脱時にラッチ爪15a,15bの係合が解除し易いように傾斜(テーパ)面11tが形成されている。又、取付部11bには、ラッチ爪15a,15bが貫通する貫通孔11hと、第1のハウジング11と第3のハウジング13を固定するネジ孔11nとが形成されている。
【0012】
第2のハウジング12は、矩形状断面を有するプラスチック製のブロック体であり、コネクタプラグ22及びコイルスプリング22sを進退自在に収容するプラグ収容穴12pと、プラグ収容穴12pの両側に穿設され、第1のハウジング11の位置合わせピン11pと係合する位置合わせ穴12hと、ハウジング12の両側にピンによって回動自在に固定されたラッチ爪15a,15bを有している。
【0013】
プラグ収容穴12pの開口部には内向きのフランジ12f(図2参照)が形成され、コイルスプリング22sの付勢力によってコネクタプラグ22の段部をフランジ12fに当接させている。コネクタプラグ22の端面には、フェルール21の位置決めピン21pと係合する位置決め穴(図示せず)が形成され、フェルール21の端面とコネクタプラグ22の端面とが当接したとき、夫々の光ファイバ端面が厳密に一致して光接続が確保されるようになっている。又、コネクタプラグ22には光ファイバ心線Aが接続され、光ファイバ心線Aは第2のハウジング12及び後述する第3のハウジング13に夫々穿設された孔(図示せず)を通って外部に導出されている。
【0014】
第2のハウジング12の位置合わせ穴12hは、第1のハウジング11の位置合わせピン11pが係合したとき、フェルール21が挿通固定された第1のハウジング11の開口部にコネクタプラグ22の端面が侵入するように形成されている。
尚、第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに第1のハウジング11の位置合わせピン11pが完全に係合したとき、コネクタプラグ22は、フェルール21の端面と密着しながら第2のハウジング12内に所定量だけ押し込まれるようになっている。
【0015】
第2のハウジングに回動自在に固定されたラッチ爪15a,15bは、先端部の対向面に第1のハウジングの凹部と係合するための凸部15t,15uが形成されている。又、ラッチ爪15a,15bは、これらが所定の開き角度で拡開するように開き量が制御されている。
かかる開き角度は、後述する第3のハウジング13の開口部に形成されたテーパ(傾斜)面13tによって規制され、具体的には、第1のハウジング11と第2のハウジング12とが非係合状態において、ラッチ爪15a,15bが第1のハウジング11の貫通孔11hを貫通でき、且つ第1のハウジング11を第2のハウジング12に幅方向に合致させながら接近させることができるように規制されている。
【0016】
第3のハウジング13は、略U字状断面を有するプラスチック製のブロック体であり、図2に示すように、開口部の内壁に沿ってテーパ角度の小さい第1のテーパ部13tと、これと隣接したテーパ角度の大きい第2のテーパ部13uが形成されている。
第1のテーパ部13tのテーパ角度は、第2のハウジング12が第3のハウジング13内に押し込まれていない状態で、第1のテーパ部13tに各ラッチ爪15a,15bが摺接するようになっている。具体的には、図2に示すように、ラッチ爪の先端部が夫々、第2のハウジング12の進退方向に対して一定の角度αをなし、これら先端部の最小幅Wが第1のハウジングの幅と略同等となるように規制され、これによって、これらラッチ爪15a,15bの開き角度が上述した通りに規制されるようになっている。
【0017】
又、第3のハウジング13の開口部側には、図1に示すように、第1のハウジング11の取付部11bと当接する取付部13bが形成され、図示しないネジ等の締結手段によって両取付部を連結できるようになっている。
尚、第3のハウジング13は、その側面及び底面において、図示しないネジを介して光接続装置(図示せず)に固定できるようになっている。
【0018】
第3のハウジング13と第2のハウジング12とはコイルスプリング12sによって互いに相対運動可能に連結されている。尚、コイルスプリング12sは、前述の通り、第1のハウジング11と第2のハウジング12とが接触していない状態でラッチ爪15a,15bの側面が第3のハウジング13の第1のテーパ面13tに押し当てられ、ラッチ爪15a,15bが開き位置(非係合位置)に留まるようにその長さ及びバネ定数が設定されている。
【0019】
又、コネクタプラグ22に接続されたコイルスプリング(第1の弾性体)22sと、第2及び第3のハウジング間のコイルスプリング(第2の弾性体)12sとは、コイルスプリング22sの方がコイルスプリング12sよりもバネ定数が小さく設定され、第1のハウジング11を第2のハウジング12に係合させたとき、コネクタプラグ22がフェルール21の端面に密着したのち、コネクタプラグ側スプリング22sが所定量だけ圧縮され、第1のハウジング11の位置合わせピン11pが第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに完全に挿入され、その後、第2のハウジング12が第1のハウジング11に押されて第3のハウジング13に押し込まれるようになっている。
【0020】
以下、かかる構造を有した光コネクタ10の接続手順について、図3乃至図5に基づき説明する。
まず最初に、図3(a)に示すように、基板Pに取り付けられた第1のハウジング11を装置(図示せず)に取り付けられた第2及び第3のハウジング12,13に近づける。尚、この状態では、第2のハウジング12はコイルスプリング12sを介して第3のハウジング13内で第1の位置に留まっている。
【0021】
続いて、図3(b)に示すように、基板Pを装置に押し付けることで、第1のハウジング11の位置合わせピン11pを第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに挿入する。この工程では、まず最初に、ラッチ爪15a,15bの先端部が予め、上述の通り、所定の開き角度でテーパ状に拡開しており、凸部15t,15u間の最小幅が第1のハウジング11の幅と略同等となっているので、凸部15t,15uが第2のハウジング12をハウジング幅方向にスムーズに案内しながら第1のハウジング11を第2のハウジング12に接近させることができる。
【0022】
これと同時に、第1のハウジング11の位置合わせピン11pが第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに幅方向に合致するようになる。これによって、第2のハウジング12のラッチ爪15a,15bを第1のハウジング11の貫通孔11hに容易に挿入することができる。
続いて、図4(a)に示すように、基板Pを装置に更に押し付けると、第1のハウジング11の位置合わせピンが第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに更に挿入され、フェルール21の位置決めピン21pがコネクタプラグ22の位置決め穴(図示せず)に入り込むと共に、ラッチ爪15a,15bの先端部が第1のハウジング11の貫通孔11hを貫通する。
【0023】
更に、図4(b)に示すように、基板Pを装置に押し付けることで、フェルール21とコネクタプラグ22とが当接する。この状態から、コネクタプラグ22は、フェルール21に押されてスプリング22sの付勢力に抗してハウジング12の内方に移動し始める。
更に、図5(a)に示すように、基板Pを装置に押し付けることで、第1のハウジング11の位置合わせピン11pが第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに完全に挿入され、第1のハウジング11が第2のハウジング12に当接すると共に、コネクタプラグ22は、第2のハウジング12のプラグ収容部12pに所定量だけ押し込まれる。尚、コネクタプラグ22はコイルスプリング22sによって付勢されているので、コネクタプラグ22が第2のハウジング12に押し込まれることで、フェルール21との接合面に荷重がかかり、フェルール21の端面にコネクタプラグ22を密着させることができる。これと同時に、第2のハウジング12が、コイルスプリング12sの付勢力を受けながら第3のハウジング13の内方に押し込まれ、これに伴って、ラッチ爪15a,15bが第3のハウジング13の内壁に押されて互いに閉じる方向(矢印X)に回転し始める。
【0024】
続いて、図5(b)に示すように、基板Pを装置に押し付け、第1のハウジング11の取付部11bを第3のハウジング13の取付部13bに当接させると、第2のハウジング12が第3のハウジング13の内方に更に移動し、図中に示す第2の位置で停止する。これに伴って、ラッチ爪15a,15bが更に回転して第1のハウジング11の凹部11rに係合し、第1のハウジング11をしっかりと挟持する。
【0025】
コイルスプリング12s,22sのバネ定数を予め最適に設定しておくことで、コイルスプリング12s,22sの付勢力と、ラッチ爪15a,15bと第3のハウジング13との間の摩擦力とが釣り合い、第1のハウジング11と第3のハウジング13とをネジ等の締結具で固定することなく、光コネクタの接続状態を維持することができる。
【0026】
尚、ラッチ爪15a,15bに加わる応力を緩和するために、第1のハウジング11の取付部11bと第3のハウジング13の取付部13bとを図示しないネジ等の締結手段によって連結しても良い。
以上説明したように、基板Pを装置に向かって押し付けるだけで、光コネクタ10の接続を容易且つ確実に行うことができる。即ち、第1のコネクタ11を第2のコネクタ12に近づけると、ラッチ爪15a,15bによって第1のハウジング11と第2のハウジング12とが幅方向に合致するので、第2のハウジング12の位置合わせ穴12hに第1のハウジング11の位置合わせピン11pを容易に挿入する。
【0027】
そして、フェルール21の位置決めピン21pがコネクタプラグ22の位置決め穴に係合することで、光ファイバの端面同士が正確に一致する。これと同時に、コイルスプリング12sの付勢力によって、フェルール21とコネクタプラグ22との接合面に適当な接触圧を作用させることができる。その結果、接続端面間で好ましい光学的接続が図られる。又、ラッチ爪15a,15bによって第1のハウジング11と第2のハウジング12とがしっかりと結合しているので、光コネクタ10の適切な接続状態を長期に亘って維持することができる。
【0028】
一方、かかる光コネクタ10を離脱させるに際し、両取付部11b,13bをネジ等で固定している場合はネジ等の締結具を外す。そして、基板Pを装置から引き離す。これによって、第1のハウジング11の凹部11rに形成された傾斜面11t(図1参照)がラッチ爪15a,15bを押し開くように作用する。これと同時に、圧縮されていた第2のハウジング12と第3のハウジング13を連結するスプリング12sが伸長する。これによって、第2のハウジング12が第3のハウジング13の開口部方向に移動し、ラッチ爪15a,15bが第3のハウジング13のテーパ部13tに摺接しながら拡開する。そして、両ラッチ爪15a,15bが開き位置(非係合位置)まで外側に開き、第1のハウジング11とラッチ爪15a,15bの係合が解除する。
【0029】
その結果、第1のハウジング11と第2のハウジング12とが分離する。更に、基板Pを引っぱることで、第1のハウジング11のフェルール21と第2のハウジング12のコネクタプラグ22とが離れ、光学的接続が解除される。
尚、第2のハウジング12と第3のハウジング13とを清掃したい場合は、第2のハウジング12のラッチ爪15a,15bが第2のテーパ部13uに摺接するように、第2のハウジング12を第3のハウジング13から更に引き離せば良い。
【0030】
これによって、ラッチ爪15a,15bが上記開き角度より更に拡開するので、清掃作業をより容易に行うことができる。
以上説明したように、基板Pを装置から引き離すだけで、光コネクタ10の接続を簡単に解除することができる。又、従来のように複雑な嵌合機構を必要としないので、ハウジングを複雑な形状に成型する必要がない。更に、基板Pの接続や脱着において特殊な治工具を用いなくて済む。
【0031】
次に、本発明に係る光コネクタの別の実施形態について説明する。
尚、上述の実施形態と同様の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
別の実施形態に係る光コネクタ30は、上述の実施形態に係る光コネクタ10と異なり、並行に配置された複数のフェルール41a,41b,・・・とコネクタプラグ42a,42b,・・・とを一度に接続できることを特徴としている。即ち、光コネクタ30は、図6に示すように、複数のMTフェルール41a,41b,・・・を並列に配置した第1のハウジング31と、これらのフェルール41a,41b,・・・に夫々接続される相手側コネクタプラグ(フェルール)42a,42b,・・・を並列に配置し、且つ第1のハウジング31を保持するためのラッチ爪35a,35bを両端に備えた第2のハウジング32と、第2のハウジング32を進退可能に収容する第3のハウジング33等とから構成されている。
【0032】
尚、第1のハウジング31に配置されたフェルール41a,41b,・・・は、上述の実施形態と同様に、夫々2本の位置決めピン41pを有しており、位置決め穴(図示せず)を有するコネクタプラグ42a,42b,・・・と適切に接続されるようになっている。
第2のハウジング32には、両端部にラッチ爪35a,35bが回動自在に設けられ、このラッチ爪35a,35bは、開き量が制御されると共に、第3のハウジング33の開口部に形成されたテーパ(傾斜)面33t及びコイルスプリング35sによって開き角度が規制されている。具体的には、上述の実施形態と同様に、第1のハウジング31を第2のハウジング32に近づける際、ラッチ爪35a,35bの先端部に対向して形成された凸部がハウジング同士を幅方向に合致させるようにラッチ爪35a,35bの開き角度が規制されている。又、ラッチ爪35a,35bの先端部に形成された凸部間の最小幅は第1のハウジング31の幅と略同等になるように拡開している。
【0033】
又、第2のハウジング32のコネクタプラグ42a,42b・・・は夫々、コイルスプリング42sによって一方向(図中、上方向)に付勢され、第2のハウジング32に形成された図示しない内向きフランジにコネクタプラグ42a,42b・・・の段部が当接している。
第2のハウジング32と第3のハウジング33とは、コイルスプリング32sによって連結されており、第1のハウジング31が固定された基板(図示せず)を第3のハウジング33が固定された装置(図示せず)に向かって押し付けることで、コイルスプリング32sが圧縮し、第2のハウジング32が第3のハウジング33に押し込まれるようになっている。
【0034】
又、コネクタプラグ42a,42b・・・を付勢するコイルスプリング42sのバネ定数は、第2及び第3のハウジング間のコイルスプリング32sのバネ定数より小さく設定されている。
本発明の別の実施形態に係る光コネクタ30は、上述のように構成されているので、基板を装置に押し付けることで、複数のフェルール41a,41b,・・・とコネクタプラグ42a,42b,・・・とを一度に確実に接続できる。即ち、上述の実施形態と同様に、第1のハウジング31を第2のハウジング32に幅方向に合致させながら両ハウジングを係合させることができる。
【0035】
具体的には、第2のハウジング32が第1の位置に停止したまま、まず最初に各フェルール41a,41b,・・・とコネクタプラグ42a,42b,・・・とを夫々幅方向に合致させながら接続する。
基板を装置に更に押し付けることで、各コネクタプラグ42a,42b・・・が第2のハウジング32の内方に夫々移動すると共に第1のハウジング31が第2のハウジング32に当接する。
【0036】
続いて基板を装置に押し付けると、第2のハウジング32が第3のハウジング33の内方に押し込まれ、開き位置にあったラッチ爪35a,35bも第3のハウジング33の内壁に押されて閉じ方向に回転する。
更に基板を装置に押し付けると、コイルスプリング32sの付勢力と基板を挿入する力が釣り合った位置(第2の位置)で第2のハウジング32が停止する。この位置において、ラッチ爪35a,35bが第1のハウジング31の凹部31rに係合し、第1のハウジング31と第2のハウジング32とがしっかりと結合する。
【0037】
第2のハウジング32が第2の位置に留まった状態では、コイルスプリング32sが第2のハウジング32に付勢力を加えているが、ラッチ爪35a,35bと第3のハウジング33の内壁との摩擦力によって第2のハウジング32が第3のハウジング33内に押し込まれたままとなり、ラッチ爪35a,35bの係合が解除することはない。
【0038】
一方、かかるコネクタ30を離脱するときは、上述の実施形態と同様に、基板を装置から引き離すだけで良い。即ち、基板を装置から引き離すことで、第1のハウジング31と第2のハウジング32が双方とも、第3のハウジング33の開口部に向かって移動し、これと同時にラッチ爪35a,35bが第3のハウジング33の内壁によって押されなくなり、開き位置(非係合位置)に拡開する。これによって、第1のハウジング31を第2のハウジング32から容易に引き離すことができ、各フェルール41a,41b,・・・とコネクタプラグ42a,42b,・・・との光学的接続を解除することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明に係る光コネクタは、従来の光コネクタと異なり、光コネクタを構成する各ハウジングが単純な形状で構成されているので、特に複数のフェルールを備えた光コネクタの製造に適している。
尚、光コネクタの変形例として、図7に示すように、第1の実施形態と同様に、第1のハウジング31'と第3のハウジング33'の双方に、取付用突起部31b,33bを形成して、ドライバやレンチ等の工具を用いて基板Pに取り付けたガイドGを介して第1のハウジング31'と第3のハウジング33'とをネジによって固定するようにしても良い。これによってラッチ爪に余分な応力がかかるのを防止する。
【0040】
又、上述の実施形態では、多心フェルールを用いて説明したが、この代わりに単心フェルールを用いても良い。
更に、フェルールの数は上述の実施形態に限定されず、ラッチ爪の2個以外の複数個備えても良い。
又、ハウジングやラッチ爪の材質はプラスチックに限らず、金属を用いても良い。
【0041】
更に又、コイルスプリングの代わりに適切なバネ定数を有する板バネやゴム等の弾性体を用いても良い。
又、ラッチ爪側の自由端部に凹部を形成し、第1のハウジングの両側面にこの凹部と係合可能な凸部を形成しても良い。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光コネクタは、少なくとも1つのフェルールを備えた第1のハウジングと、このフェルールに接続されるフェルールを備えた第2のハウジングと、第2のハウジングを、第1のハウジングと係合しない第1の位置と第1のハウジングと係合する第2の位置との間で進退可能に収容する第3のハウジングとを有し、第2のハウジングには、第2のハウジングが第2の位置に移動すると第1のハウジングと係合する、回動可能な2つのラッチ爪が備わっている。その為、第1のハウジングを第2のハウジングに係合させるだけで、第2のハウジングに備わったラッチ爪が第1のハウジングと係合し、フェルール同士の接続状態を確保することができる。特に、第1のハウジングと第2のハウジングとが複数のフェルールを備えている場合、簡易な構成でフェルール同士を確実に接続することができる。従って、ハウジングを複雑な形状に成型する必要がない。
【0043】
又、第2のハウジングに設けられた回動可能な2つのラッチ爪は、第1のハウジングと第2のハウジングとを係合状態に導くように開き角が規制されているので、第1のハウジングと第2のハウジングとの係合を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光コネクタの接続前の状態を断面で示す図である。
【図2】図1の光コネクタを部分的に示す詳細断面図である。
【図3】図1の光コネクタを接続する手順を説明する図である。
【図4】図3に続く図1の光コネクタ10を接続する手順を説明する図である。
【図5】図4に続く図1の光コネクタを接続する手順を説明する図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る光コネクタの接続前の状態を断面で示す図である。
【図7】図6の光コネクタの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 光コネクタ
11 第1のハウジング
11p 位置合わせピン
11r 凹部
11t 傾斜面
12 第2のハウジング
12h 位置合わせ穴
12s コイルスプリング
13 第3のハウジング
15s コイルスプリング
21 フェルール
22 コネクタプラグ
22s コイルスプリング
30 光コネクタ
31 第1のハウジング
32 第2のハウジング
33 第3のハウジング
35a,35b ラッチ爪
35s コイルスプリング
41a,41b,・・・ フェルール
42a,42b,・・・ コネクタプラグ
42s コイルスプリング

Claims (4)

  1. 少なくとも1つの第1のフェルールを収容するハウジング本体を備え、該ハウジング本体の両側面に凹部が形成された第1のハウジングと、
    前記第1のフェルールに接続される第2のフェルールを進退自在に収容するプラグ収容穴を備えた第2のハウジングと、
    前記第2のハウジングを、前記第1のハウジングと係合しない第1の位置と前記第1のハウジングと係合する第2の位置との間で進退可能に収容する第3のハウジングとを有し、
    前記第1のフェルールは、端面が前記ハウジング本体の端面から内側に位置するように該ハウジング本体内に固定され、
    前記プラグ収容穴の開口部には内向きのフランジが形成され、前記第2のフェルールの段部を前記フランジに当接させる第1のスプリングが前記プラグ収容穴内に設けられ、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングは、前記第1のスプリングより大きなバネ定数を有し、前記第2のハウジングを前記第1の位置側へ付勢する第2のスプリングによって連結され、
    前記第2のハウジングには、前記第2のハウジングが前記第2の位置に移動すると、前記凹部に係合し前記ハウジング本体を挟持する、回動可能な2つのラッチ爪が備わり、
    前記2つのラッチ爪は、先端部の対向面に前記凹部とそれぞれ係合する凸部を有し、前記先端部の最小幅が前記第1のハウジングの幅と略同等となるように開き角が前記第3のハウジングの開口部に形成されたテーパ面及び第3のスプリングによって規制され、
    前記2つのラッチ爪は、前記第2のハウジングが前記第2の位置へ移動する過程で、前記第3のハウジングの内壁に押されて互いに閉じる方向に回転するように構成され、かつ、
    前記凹部には、コネクタ離脱時に前記ラッチ爪を押し開くように作用する傾斜面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
  2. 前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとのいずれか一方に位置合わせピンが設けられ、その他方に前記位置合わせピンと係合する位置合わせ穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
  3. 前記第1のハウジングは、前記第1のフェルールを収容するハウジング本体と該ハウジング本体から両側に延在した取付部とから構成され、該取付部には、前記ラッチ爪が貫通する貫通孔と、前記第1のハウジングと前記第3のハウジングを固定するネジ孔とが形成されており、
    前記第3のハウジングの開口部側には、前記第1のハウジングの前記取付部と当接する取付部が形成され、該両取付部を締結手段によって連結できるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
  4. 前記第1のハウジングは複数の前記第1のフェルールを有し、
    前記第2のハウジングは複数の前記第2のフェルールを有し、
    前記複数の第1のフェルールと前記複数の第2のフェルールとを一度に接続できることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の光コネクタ。
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