JP4566604B2 - 糖鎖標識試薬 - Google Patents
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Description
Naven,T.J.P.;Harvey,D.J.,Cationic derivatization of oligosaccharides with Girard’s T reagent for improved performance in matrix−assisted laser desorption/ionization and electroscopy mass spectrometry. Rapid Communications in Mass Spectrometry (1996),10(7),829−834。
R3は水素原子、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、または式:
で表される化合物;または
式:
1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン、
1,2−ジステアロイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン、
Fmoc−Gln(Trt)−OH(Fmoc−N−γ−トリチル−D−グルタミン)、
1,2−ジステアロイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン、
1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン、
1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン、
10−ノニルアクリジンオレンジ、
2,4,6−トリス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピラニリウム、
1,2−ジミリストイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン、
1,2−ジミリストイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン、
デヒドロコリダリン、
N−[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]メチレン,N−{2−[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)]メチレン−1−メチルヒドラジノ}エチルメタナミニウム(Methanaminium, N−[2−hydroxy−3−(2−propenyl)phenyl]methylene,N−{2−[2−hydroxy−3−(2−propenyl)phenyl]methylene−1−methylhydrazino}ethyl)、
ケレリスリン、
イソデスモシン、
デスモシン、
パルマチン、
5−(3−メトキシ−フェニル)−3,8−ジニトロ−ベンゾ[c]シンノリン、
サンギナリン、
ベンゼトニウム、
ノバシン(NOVACINE)(4,6−メタノ−6H,14H−インドロ[3,2,1−ij]オキセピノ[2,3,4−de]ピロロ[2,3−h]キノリン)(ストリキニジニウム)(4,6−Methano−6H,14H−indolo[3,2,1−ij]oxepino[2,3,4−de]pyrrolo[2,3−h]quinoline, strychnidinium)、
N−ベンジル−4−スチルバゾリウム、
N,N,N−トリメチルスフィンゴシン、
N,N,N−トリメチルフィトスフィンゴシン、
N,N,N−トリメチルスフィンガニン、
AAMC(N,N−ジエチル−7−メトキシ−N,4−ジメチル−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン)(2H−1−Benzopyran−3−ethanaminium, N,N−diethyl−7−methoxy−N,4−dimethyl−2−oxo−)、
N−(1,4−ジフェニル−2−オキソ−ブタ−3−エニリデン),N−メチルメタナミニウム(Methanaminium,N−(1,4−diphenyl−2−oxo−but−3−enylidene),N−methyl)、および
(1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル)トリメチルアンモニウム、
からなる群から選択される化合物もしくはその塩、または該化合物においてアルデヒド基と特異的に反応する官能基を置換した化合物もしくは該化合物中の官能基をアルデヒド基と特異的に反応する官能基に変換した化合物である、項目1に記載の組成物。
(7) 以下の式:
1)アルデヒド基と特異的に反応する官能基およびイオン化を促進する官能基を有し、モル屈折の計算値が5以上である1または2以上の標識化合物と、アルデヒド基を有する被検体化合物を含有する試料とを、該標識化合物と該被検体化合物とが反応し得る条件下で接触して、該被検体化合物を標識する工程、および
2)工程1)で得られた試料の質量分析を行う工程、
を包含する、標識された被検体化合物を分析する方法。
1)糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、および
2)消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、により得られ、
前記被検体化合物が、遊離された糖鎖である、項目8に記載の方法。
1)糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、
2)消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、
3)遊離された糖鎖およびアルデヒド基と特異的に反応する官能基、イオン化を促進する官能基を有し、モル屈折の計算値が5以上である1または2以上の標識化合物を反応させ、糖鎖を標識する工程、および
4)標識された糖鎖の質量分析を行う工程
を包含する糖タンパク質の糖鎖を同定する方法。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
m/z=2eVt2/L2
で表すことができる。このようなMALDI−TOF測定には、島津/KratosのKOMPACT MALDI II/IIIなどを使用することができる。その測定の際には、製造業者が作成したパンフレットを参照することができる。MALDI−TOFの測定時に使用されるレーザー照射の照射エネルギーを本明細書において「解離エネルギー」という。
本明細書において「検出」とは、例えば、質量分析の文脈においては、観測されるスペクトルにおいてシグナルとして認識されるピークを見出すことをいう。認識された対象となるピークが特定の被検体に対応する場合は、その被検体のピークが検出されたという。あるいは、診断に関連する文脈においては、被験体における疾患、障害、病因、状態などに関連する種々のパラメータを同定することをいう。
有機化学については、例えば、モリソン ボイド有機化学(上)(中)(下)第5版(東京化学同人発行(1989年))、March,Advanced Organic Chemstry 第4版(Wiley Intersience,JOHN WILEY & SONS,1992)などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、分析化学、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。
本明細書において、「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ物質または生物などを、特定の操作および/または評価方法で多数の候補から選抜することをいう。本明細書では、本発明のアルデヒド基と特異的に反応する官能基、イオン化を促進する官能基を有し、モル屈折の計算値が組成物、5以上である化合物を1または2以上含む組成物、その組成物を使用して標識された被検体化合物の分子量を測定する方法などを用いることによって、スクリーニングを行うことができる。スクリーニングは、インビトロ、インビボなど実在物質を用いた系を使用してもよく、インシリコ(コンピュータを用いた系)の系を用いて生成されたライブラリーを用いてもよい。本発明では、所望の活性を有するスクリーニングによって得られた化合物もまた、本発明の範囲内に包含されることが理解される。また本発明では、本発明の開示をもとに、コンピュータモデリングによる薬物が提供されることも企図される。
本発明の方法において使用される質量分析(マススペクトル分析)の技術は当該分野において周知であり、例えば、丹羽、最新のマススペクトロメトリー、化学同人、1995;Modern NMR Spectroscopy:A guide for Chemists,J.K.M.Sanders and B.K.Hunter (2nd Ed.,Oxford University Press,New York,1993);Spectrometric Identification of Organic Compounds,R.M.Silverstein,G.Clayton Bassler,and Terrence C.Morill (5th Ed.,John Wiley & Sons,New York,1991)などを参照することができる。
本発明の化合物、組成物および方法は、種々の糖鎖の検出に使用することができ、検出する糖鎖の種類は特に限定されないことから種々の検査、診断、鑑定、鑑別にも用いることができる。そのような検出される糖鎖としては、例えば、ウイルス病原体(たとえば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、G型)、HIV、インフルエンザウイルス、ヘルペス群ウイルス、アデノウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパルボウイルス、ムンプスウイルス、ヒトロタウイルス、エンテロウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、HTLVを含むがそれらに限定されない)の遺伝子;細菌病原体(たとえば、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ヘリコバクターピロリ菌、カンピロバクター、コレラ菌、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア、淋菌、リステリア菌、レプトスピラ、レジオネラ菌、スピロヘータ、肺炎マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアを含むがそれらに限定されない)の遺伝子、マラリア、赤痢アメーバ、病原真菌、寄生虫、真菌などに特異的な糖鎖の検出に用いることができる。
以下に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
Z−AA−Arg−Y
で表され得る。式中、AAはアミノ酸残基であり、Zは、好ましくは水素原子、アリールオキシ、アリールカルボニル、またはアリールアルキルオキシカルボニルであり得、より好ましくは、水素原子、ベンゾイル、またはベンジルオキシカルボニルであり得る。C末端置換基Yは、好ましくはヒドロキシ、アルキルオキシ、アリールオキシ、−NH−NH2であり得る。
1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン[Toronto Research Chemicals]、
1,2−ジステアロイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン[Avanti Polar Lipids, Inc.]、
Fmoc−Gln(Trt)−OH(Fmoc−N−γ−trityl−D−glutamine)[NOVABIOCHEM]、
1,2−ジステアロイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン[Avanti Polar Lipids, Inc.]、
1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(1,2−DIPALMITOYL−3−TRIMETHYLAMMONIUM−PROPANE)[参考文献:国際公開第WO01/032218A1号パンフレット;CAN 134:344613 AN 2001:338387 CAPLUS]、
1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(1,2−DIPALMITOYL−3−TRIMETHYLAMMONIUM−PROPANE)[参考文献:国際公開第WO95/11670A1号パンフレット;CAN 123:93286 AN 1995:698951 CAPLUS]、
10−ノニルアクリジンオレンジ[Fluka]、
2,4,6−トリス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピラニリウム[SciFinder Registry Number:201415−58−9]、
1,2−ジミリストイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン[参考文献:国際公開第WO01/032218A1号パンフレット;CAN 134:344613 AN 2001:338387 CAPLUS]、
1,2−ジミリストイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン、
デヒドロコリダリン[参考文献:特開平7−010764号公報;CAN 122:196955 AN 1995:452260 CAPLUS]、
N−[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]メチレン,N−{2−[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)]メチレン−1−メチルヒドラジノ}エチルメタナミニウム(Methanaminium, N−[2−hydroxy−3−(2−propenyl)phenyl]methylene,N−{2−[2−hydroxy−3−(2−propenyl)phenyl]methylene−1−methylhydrazino}ethyl)、
ケレリスリン[Apin Chemicals]、
イソデスモシン[SIGMA]、
デスモシン[MP Biomedicals Product List]、
パルマチン[Apin Chemicals]、
5−(3−メトキシ−フェニル)−3,8−ジニトロ−ベンゾ[c]シンノリン、
サンギナリン[Apin Chemicals]、
ベンゼトニウム[Fluka]、
ノバシン(NOVACINE)(4,6−Methano−6H,14H−indolo[3,2,1−ij]oxepino[2,3,4−de]pyrrolo[2,3−h]quinoline, strychnidinium)[参考文献:Biochem.Physiol.Alkaloide,Int.Symp.,4th(1972),Meeting Date 1969,379−86]、
N−ベンジル−4−スチルバゾリウム[KOEI Chemical]、
N,N,N−トリメチルスフィンゴシン[参考文献:FEBS letters(1995 Jun 26),367(2),205−9]、
N,N,N−トリメチルフィトスフィンゴシン[参考文献:欧州特許出願公開第1291340号明細書;CAN 138:215282 AN 2003:201513 CAPLUS]、
N,N,N−トリメチルスフィンガニン[SciFinder Registry Number:474943−87−8]、
AAMC(2H−1−Benzopyran−3−ethanaminium, N,N−diethyl−7−methoxy−N,4−dimethyl−2−oxo−)[参考文献:国際公開第WO00/004008A1号パンフレット;CAN 132:119571 AN 2000:68445 CAPLUS]、
N−(1,4−ジフェニル−2−オキソ−ブタ−3−エニリデン),N−メチルメタナミニウム(Methanaminium,N−(1,4−diphenyl−2−oxo−but−3−enylidene),N−methyl)、
(1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル)トリメチルアンモニウム[SALOR]、
からなる群から選択される化合物もしくはその塩、またはこれらの化合物においてアルデヒド基と特異的に反応する官能基を置換した化合物である。[ ]内にこれらの化合物の入手先、参考文献またはその他の情報を記載した。これらの化合物は、いずれもイオン化を促進する官能基として4級窒素を有するオニウム部分を有し、かつ5以上のモル屈折を有しており、これらの化合物骨格にアルデヒド基と特異的に反応する基を導入することにより、本発明の標識化合物として有用な化合物が得られる。アルデヒド基と特異的に反応する基の導入は、化合物のモル屈折を有意に低下(例えば、5未満にする)しない限り、任意の様式で行われ得る。これらの化合物の合成は、公知化合物であってかつ分子内にアルデヒド基と特異的に反応する基を有する場合は、上で示した入手先から購入するかまたはそれぞれ参考文献に記載の公知の合成法により合成して直接本発明において使用される。骨格が公知であるがアルデヒド基と特異的に反応する基を有していない場合には、官能基変換によりアルデヒド基と特異的に反応する基を導入するか、または出発物質として、アルデヒド基と特異的に反応する基またはアルデヒド基と特異的に反応する基に変換可能な基を有する化合物を使用して、公知の合成方法に従って、合成し得る。
本発明において有用な代表的な標識化合物のCMR値を以下に示す:
ZWRh 14.0828
ZYRh 13.1184
ZFRh 12.9653
EHIEP 9.75
BRh 8.0414
HEITA 7.82
Rh 5.0307
Girard’sT(従来技術) 3.73
これらのCMR値は、CSChem3Dに搭載されたBioByte Corp社提供による計算機能を使用して算出した。
1)アルデヒド基と特異的に反応する官能基、イオン化を促進する官能基を有し、モル屈折の計算値が5以上である1または2以上の標識化合物と、アルデヒド基を有する被検体化合物を含有する試料とを、該標識化合物と該被検体化合物とが反応し得る条件下で接触して、被検体化合物を標識する工程、および
2)工程1)で得られた試料の質量分析を行う工程
を包含する、標識された被検体化合物の分子量を測定する方法に関する。
糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、および
2)消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、により得られ、そして被検体化合物が、遊離された糖鎖である。
1)糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、
消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、
3)遊離された糖鎖およびアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有し、モル屈折の計算値が5以上である1または2以上の標識化合物を反応させ、糖鎖を標識する工程、および
4)質量分析を行う工程
を包含する糖タンパク質の糖鎖を同定する方法に関する。
((3−(2−(ヒドラジノカルボニル)エチル)−2−インドリル)トリメチルアンモニウム(HEITA)の合成)
ヨウ化(3−(2−(メトキシカルボニル)エチル)−2−インドリル)トリメチルアンモニウム(Sigma−Aldrich) 21.7mg(55.9umol)を2.8mLのMeOHに溶解し(20mM)、ヒドラジン1水和物500uL(10.3nmol)を加え、室温で16時間撹拌した。N2ガスで溶媒留去し、トルエンを加えて共沸を繰り返してヒドラジンを除去した後、TLC(展開溶媒 クロロフォルム/メタノール/酢酸/水=50:50:12:12)で原料のスポットが消失し、新たなスポットを認めた。MALDI−TOFによる解析により、目的物のM+イオンをm/z261に計測した。
3−Et−1−(2−(2−メトキシカルボニルメチル−1H−インドール−3−イル)−エチル)−ピリジニウム パークロレート(Sigma−Aldrich)11.1mg(26.2umol)を1.31mLのMeOHに溶解し(20mM)、ヒドラジン1水和物300uL(6.2nmol)を加え、室温で16時間撹拌した。N2ガスで溶媒留去し、トルエンを加えて共沸を繰り返してヒドラジンを除去した後、TLC(展開溶媒 クロロフォルム/メタノール/酢酸/水=50:50:12:12)で原料のスポットが消失し、新たなスポットを認めた。MALDI−TOFによる解析により、目的物のM+イオンをm/z323に計測した。
Z−アミノ酸(Z−TrpまたはZ−Tyr)(2.5mmol)のテトラヒドロフラン(6ml)溶液を−20℃に冷却した。ついでN−メチルモルホリン(3.0mmol)とギ酸イソブチル(3.0mmol)を添加し、溶液を室温に戻し、15分攪拌することで混合酸無水物を調製した。反応溶液を再び0℃へ冷却し、別の反応容器にてArg−OMe−2HCl(3.0mmol)を水(3ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(3.0mmol)を添加することにより調製したArg−OMe溶液を混合し1時間攪拌した。反応用液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロフォルム/メタノール=5:1)により精製することでZ−AA−Arg−OMeを得た。
ZYR−OMe5.2mg(6.2umol)を536uLのMeOHに溶解し(20mM)、ヒドラジン1水和物100uL(1.0nmol)を加え、室温で4時間撹拌した。N2ガスで溶媒留去し、トルエンを加えて共沸を繰り返してヒドラジンを除去した後、TLC(展開溶媒 クロロフォルム/メタノール=1:1)で原料のスポットが消失し、新たなスポットを認めた。MALDI−TOFによる解析により、目的物の[M+H]+イオンをm/z486に計測した。
Arg−OMe(261mg,1.0mmol)を水(5ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(161mg,2.0mmol)とZクロリド(313μl,1.0mmol)添加し室温で12時間攪拌した後、反応溶液をクロロフォルムで希釈した。反応混合物を飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロフォルム/メタノール=5:1)により精製することでZ− Arg−OMeを得た。ZR−OMe3.0mg(9.3umol)を465uLのMeOHに溶解し(20mM)、ヒドラジン1水和物100uL(1.0nmol)を加え、室温で4時間撹拌した。N2ガスで溶媒留去し、トルエンを加えて共沸を繰り返してヒドラジンを除去した。MALDI−TOFによる解析により、目的物の[M+H]+イオンをm/z323に計測した。
N−α−ベンゾイル−L−アルギニンメチルエステル炭酸水素塩(Sigma) 4.5mg (10.3umol)を770uLのMeOHに溶解し(20mM)、ヒドラジン1水和物 280uL (3.9nmol)を加え、室温で4時間撹拌した。N2ガスで溶媒留去し、トルエンを加えて共沸を繰り返してヒドラジンを除去した。MALDI−TOFによる解析により、目的物の[M+H]+イオンをm/z 293に計測した。
鶏卵由来卵白アルブミン(シグマ社製)を0.1%の界面活性剤RapiGest SF(ウオーターズ社製)を含む50mM炭酸水素アンモニウムに溶解し、トリプシン(プロメガ社製)を添加し、37℃で1時間温置した。反応液を一部とり、マトリクス溶液(2,5−ジヒドロキシ安息香酸、10mg/mL 30%アセトニトリル溶液)で10倍に混合し、MALDI−TOF MS(Bruker社製、UltraFLEX)で質量分析した結果を図1(a)に示す。反応液を100℃で3分加熱し、室温まで冷却した後ペプチドN−グリコシダーゼ(ロシュ社製)を添加し、37℃で一晩温置した。反応液を一部とり、マトリクス溶液で10倍に混合し、MALDI−TOF MSで質量分析した結果を図1(b)に示す。反応液を一部とり、3−Et−1−(2−(2−ヒドラジノカルボニルメチル−1H−インドール−3−イル)−エチル)−ピリジニウム(EHIEP)を加え、90℃で1時間加熱した。冷却後、反応液をマトリクス溶液(2,5−ジヒドロキシ安息香酸、10mg/mL 30%アセトニトリル溶液)で10倍に混合し、MALDI−TOF MS(Bruker社製、UltraFLEX)で直接質量分析することによって、標識糖鎖のみからなるスペクトルを得た結果を図1(c)に示す。図1(a)に示したペプチドパターンからタンパク質の同定が可能であり、図1(b)では全く検出できなかった糖鎖のシグナルが図1(c)では独占的にスペクトル上に検出された。
ヒトα1−酸性糖タンパク質(シグマ社製)を定法に従い、SDS−PAGEで分離し、クマシーブルーで染色後に、染色されたゲル上のスポットを切り出した。十分量の0.2M重炭酸アンモニウム−アセトニトリル(50:50)で洗浄し、乾燥後トリプシン(プロメガ社製)の50mM炭酸水素アンモニウム溶液を添加し、37℃で16時間温置した。反応液を100℃で3分加熱し、室温まで冷却した後ペプチドN−グリコシダーゼ(ロシュ社製)を添加し、37℃で一晩温置した。反応液を一部とり、ZFRhを加え、90℃で1時間加熱した。冷却後、反応液をマトリクス溶液(2,5−ジヒドロキシ安息香酸、10mg/mL 30%アセトニトリル溶液)で10倍に混合し、MALDI−TOF MS(Bruker社製、UltraFLEX)で直接質量分析することによって、標識糖鎖のみからなるスペクトルを得た。 (実施例3:MALDI用384マイクロプレート(Bruker社製)上での糖タンパク質由来糖鎖の標識による糖鎖発現解析)
ウシ血清由来アシアロフェツイン(シグマ社製)を0.1%の界面活性剤RapiGest SF(ウオーターズ社製)を含む50mM炭酸水素アンモニウムに溶解し、トリプシン(プロメガ社製)を添加し、37℃1時間温置した。100℃で3分加熱し、室温まで冷却した後ペプチドN−グリコシダーゼ(ロシュ社製)の50mM炭酸水素アンモニウムを滴下し、37℃で一晩温置した。反応液の一部をMALDI用384マイクロプレートに滴下し、3−Et−1−(2−(2−ヒドラジノカルボニルメチル−1H−インドール−3−イル)−エチル)−ピリジニウムおよびマトリクス溶液(2,5−ジヒドロキシ安息香酸、10mg/mL 30%アセトニトリル溶液)を直接滴下し、90℃1時間加熱した。冷却後、MALDI−TOF MS(Bruker社製、UltraFLEX)で直接質量分析することによって、標識糖鎖のみからなるスペクトルを得た。
Claims (12)
- 一般式(I):
[式中、R2は−NH−NH2または式:
(式中、R4は−NH−NH2)で表される基;
R3は水素原子、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、または式:
(式中、R5はフェニル、4−ヒドロキシフェニルまたはインドリル;R6は水素原子、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、または式:
(式中、R7はフェニル、4−ヒドロキシフェニルまたはインドリル;R8は水素原子、ベンゾイル、またはベンジルオキシカルボニル)で表される基)で表される基]
で表される化合物;または
式:
で表される化合物を1または2以上含む、アルデヒド基を有する化合物を含有する試料を質量分析するための標識試薬組成物。 - 以下の式:
で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。 - 以下の工程:
1)1または2以上の請求項2記載の化合物と、アルデヒド基を有する被検体化合物を含有する試料とを、該化合物と該被検体化合物とが反応し得る条件下で接触して、該被検体化合物を標識する工程、および
2)工程1)で得られた試料の質量分析を行う工程、
を包含する、標識された被検体化合物を分析する方法。 - 前記被検体化合物が糖鎖である請求項3記載の方法。
- 請求項2記載の化合物と前記被検体化合物とを10℃〜200℃で反応させる請求項3記載の方法。
- 請求項2記載の化合物と前記被検体化合物とを0.1時間〜3時間で反応させる請求項3記載の方法。
- 請求項2記載の化合物と前記被検体化合物との反応の反応液のpHが3〜9である請求項3記載の方法。
- 前記質量分析をMALDI−TOF MSにより行う請求項3記載の方法。
- 前記MALDI−TOF MSにより質量分析を行う工程において使用されるマトリックス試薬が、2,5−ジヒドロキシベンゾイックアシッド、α−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮酸、シナピン酸、trans−3−インドール−アクリル酸、1,5−ジアミノ−ナフタレン、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、9−ニトロ−アントラセン、2−ピコリン酸、3−ヒドロキシ−ピコリン酸、ニコチン酸、アントラニル酸、5−クロロ−サリチル酸、2’−(4−ヒドロキシ−フェニルアゾ)安息香酸、ジスラノール、および3−アミノ−キノリンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記マトリックス試薬が、2,5−ジヒドロキシベンゾイックアシッドである、請求項8に記載の方法。
- 前記試料が、
1)糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、および
2)消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、により得られ、
前記被検体化合物が、遊離された糖鎖である、請求項3に記載の方法。 - 以下の工程:
1)糖タンパク質をプロテアーゼで消化する工程、
2)消化された糖タンパク質の糖鎖を遊離させる工程、
3)遊離された糖鎖および1または2以上の請求項2記載の化合物を反応させ、糖鎖を標識する工程、および
4)標識された糖鎖の質量分析を行う工程
を包含する糖タンパク質の糖鎖を同定する方法。
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