JP4565696B2 - タンパク質及び/又は糖質の改質方法 - Google Patents
タンパク質及び/又は糖質の改質方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4565696B2 JP4565696B2 JP2000114165A JP2000114165A JP4565696B2 JP 4565696 B2 JP4565696 B2 JP 4565696B2 JP 2000114165 A JP2000114165 A JP 2000114165A JP 2000114165 A JP2000114165 A JP 2000114165A JP 4565696 B2 JP4565696 B2 JP 4565696B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- carbohydrate
- water
- solvent
- manufactured
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、化粧品、医薬、化学品等に極めて有用な、タンパク質及び/又は糖質の改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質は、乳化性や起泡性、或いはゲル化性といった保型性等の面から食品分野を中心に産業界で古くから利用されているが、加熱、冷凍、pH、塩等の影響によりこれらの機能が低下したり、十分に発揮されない場合がある。これらの課題を克服すべく、或いはタンパク質の持つ機能を向上させて積極的に利用すべく、タンパク質のアシル化、アルキル化、アミド化、エステル化等の化学修飾や酵素修飾が試みられてきた(R.E.Feeney、J.R.Whitaker:「食品蛋白質」、学会出版センター1979年 3月30日発行を参照)。
【0003】
一方、糖質に関しては、例えば澱粉のカルボキシメチル化、エステル化、リン酸化や架橋することで、溶解性、加工適性等、様々な性質を改変する試みがなされ、実用化に至っている例も多い。
しかし、これらの化学修飾による改質方法では、多くの場合、化学薬品を用いるため、改質されたタンパク質或いは糖質を食品用途で用いるには安全性の面から馴染みにくいものであった。また、改質によって性能が発揮されても、製造コストがかかりすぎる問題もあった。
【0004】
これらの問題に対し、主にタンパク質の機能を向上させる方法として、タンパク質と多糖、オリゴ糖を50〜70℃、相対湿度60〜80%程度の雰囲気下で2日から6週間程度保持することにより、アミノカルボニル反応(メイラード反応)によってタンパク質を多糖、オリゴ糖等の糖質で修飾でき、その結果、タンパク質の乳化性、溶解性、熱安定性、プロテアーゼ消化耐性等の機能が向上することや、リゾチームの抗菌スペクトルが拡大することが報告されている(Agric. Biol. Chem., 54,107-112(1990)、Biosci. Biotech. Biochem.,56,567-571(1992)、日本食品科学工業会第46回大会講演集(2A−p7)、特開平3-215498号公報、特開平4-304887号公報、特開平6-277056号公報、特開平7-258292号公報、特開平9-107886号公報を参照)。
しかし、これらの文献等に開示されている方法では、粉体のまま気相中で長時間加熱するため、生産効率が低く、莫大な設備が必要となり、大量生産時には品質的にムラができる等、大量に低コストで製造することが困難であった。
【0005】
これらの問題を解決するために、特開平5-339298号公報にはエクストルーダーを用いることにより、特開平5-339299号公報には高圧処理を施すことにより、特開平5-339300号公報にはマイクロ波照射をすることにより、溶液系で効率的に生成物を得る方法が開示されているが、これらの公報に開示されている方法も、大掛かりな設備を必要とする等、必ずしも効率的とは言えなかった。
【0006】
一方、多糖類の改質例としては、例えば「化学と生物,34,96-102(1996)」に示されているように澱粉に乳清タンパク質を結合させることによって糊化温度の改変、老化抑制、酵素消化耐性付与といった機能性向上が報告されているが、化学薬品を使用せず、澱粉をタンパク質で修飾するにあたっては、タンパク質の糖質による改質と同じ方法で実施されるため、製造には前記と同じ課題があった。
また、上述した従来のタンパク質や糖質の改質方法では、タンパク質、糖質を溶解混合する必要があるため、溶解しない成分は十分に改質されないとの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食品、化粧品、医薬品、化学品等に極めて有用なタンパク質及び/ 又は糖質を食品としても使用することができる安全な方法で、且つ効率良く大量に低コストで、しかも容易に改質することができるタンパク質及び/又は糖質の改質方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水分存在下、タンパク質と糖質を溶解しない溶媒に分散した状態で、加熱、攪拌するタンパク質及び/又は糖質の改質方法であって、加熱温度が40〜100℃であり、加熱、攪拌時間が1〜16時間であり、水の添加方法が、水を混合又は分散させた溶媒にタンパク質及び糖質を分散させるか、又はタンパク質及び糖質が分散した溶媒中に水を添加する方法であることを特徴とするタンパク質及び/又は糖質の改質方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタンパク質及び/又は糖質の改質方法について詳述する。
本発明の改質方法の対象となるタンパク質としては、遊離アミノ基を有していればその起源は特に限定されず、動物、植物、微生物由来のもの、例えばカゼイン、β- ラクトグロブリン、α- ラクトアルブミン等の乳タンパク質、オボアルブミン、オボムコイド、リゾチーム、ホスビチン、リポタンパク質等の卵タンパク質、グルテン等の小麦タンパク質、大豆タンパク質、魚肉タンパク質が挙げられ、これらの加水分解物や人工的に合成したポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸等も含まれる。さらに、これらタンパク質やペプチド、アミノ酸のナトリウム塩、塩酸塩等の塩類も改質することができる。また、二種類以上からなるタンパク質、ペプチド、アミノ酸の混合物でも改質できる。以降、特に記載無き場合はこれらを総称してタンパク質と呼ぶ。
【0010】
また、本発明の改質方法の対象となる糖質としては、還元末端を有していればその起源は特に限定されず、動物、植物、微生物由来の単糖類、オリゴ糖類、多糖類が挙げられる。単糖類としては、例えばアラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられ、オリゴ糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトオリゴ糖、マンノオリゴ糖等が挙げられる。多糖類としては、デキストラン、プルラン、マンナン、カードラン、カラギーナン、アラビアガム、グアーガム、タマリンドガム( キシログルカン) 、ローカストビーンガム、アルギン酸、ペクチン、キチン等が挙げられ、これら多糖類の加水分解物でも良い。また、これらを構成する糖の一部にリン酸基、アセチル基、カルボキシル基、アミノ基等を有するものであっても良い。以降、特に記載無き場合はこれらを総称して糖質と呼ぶ。
【0011】
而して、本発明のタンパク質及び/又は糖質の改質方法を実施するには、先ず、水分存在下、上記タンパク質と上記糖質を溶解しない溶媒に分散させる。
上記タンパク質と上記糖質の混合比率は、モル比で好ましくは5:1乃至1:5、より好ましくは2:1乃至1:2である。上記タンパク質と上記糖質の混合比率が上記範囲外では改質されていないタンパク質或いは糖質が大量に残存しやすい。尚、部分的にタンパク質及び/又は糖質を改質する目的がある場合には、上記タンパク質と上記糖質の混合比率を上記範囲外とすると良い。
【0012】
また、水分量は、予め上記タンパク質及び上記糖質に含まれる水分並びに分散溶媒に含まれる水分も併せ、原料であるタンパク質及び糖質の総重量の0.08〜20倍量、特に0.2〜5倍量であることが好ましい。水分量が0.08倍量より少ない場合は改質効率の低下が著しく、20倍量より多い場合は原料の一部若しくは全部が水に溶解し、不均一な分散状態となるため良好な改質効率が得難い。
また、水の添加方法は制限されるものではないが、水の好ましい添加方法は、水を混合又は分散させた溶媒にタンパク質及び糖質を分散させる方法であり、より好ましい方法はタンパク質及び糖質が分散した溶媒中に水を添加する方法である。
【0013】
また、上記タンパク質及び上記糖質を分散させる上記溶媒は、親水性溶媒でも疎水性溶媒でも良く、また親水性溶媒と疎水性溶媒を任意の割合で混合した混合溶媒でも良い。上記溶媒としては、特にアルコール類や油脂が好ましく、食品や医薬品の用途で用いる場合は、安全性の面からエタノール、グリセロール、食用油脂等が特に好ましい。食用油脂の例としては、なたね油、コーン油、大豆油、コメ油、パーム油等が挙げられ、硬化油、分別油、エステル交換油等を用いることもできる。また、食用油脂等を用いた場合には、加熱・攪拌後に、乾燥、粉末化等の操作を行わずに、そのまま利用することもできるので好ましい。
上記分散溶媒の使用量は、水分量の0.6〜50倍量、特に2〜30倍量であることが好ましい。上記分散溶媒の使用量が0.6倍量より少ないとタンパク質及び糖質の一部が水に不均一に分散又は溶解し、改質効率が低下する。また50倍量より多いとタンパク質と糖質の接触が少なく、改質効率が低下する。
【0014】
次いで、上記のようにしてタンパク質と糖質を溶媒に分散させた分散溶液を加熱、攪拌する。
加熱温度は、40〜100℃、好ましくは50〜70℃である。40℃を下回ると改質効率が低く、100℃を越えると成分の加水分解、凝集等の変性を起こすため好ましくない。また、加熱方法は、特に限定されず、マイクロ波加熱、ジュール加熱、高圧下或いは減圧下での加熱等も可能である。
【0015】
また、攪拌方法は、原料が均一に分散される方法であれば特に限定されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、プロペラ式攪拌機、ニーダー、超音波発振機、振盪式攪拌機、エクストルーダー、ボールミル等の装置を用いることができる。また、撹拌速度も、原料が均一に分散できる条件であれば特に限定されず、撹拌装置の特性により決定することができる。
また、撹拌時間は、好ましくは5分間〜72時間、より好ましくは1時間〜16時間がよい。5分間より短い場合は、ほとんど改質されず、5分間〜1時間では改質効率がやや低い。1時間〜16時間では十分に改質され、且つ作業性も良い。16時間〜72時間では十分に改質されるが、タンパク質の不溶化、分解等の変性が起こる場合がある。72時間を越えるとタンパク質が変性したり成分が着色しやすくなる。
【0016】
上述の本発明の方法により改質されたタンパク質及び/又は糖質は、そのまま、或いは乾燥・粉末化、又は抽出・精製して用いることができる。乾燥・粉末化は目的物と溶媒を分別、或いは減圧留去等の方法で除去した後、或いはそのまま噴霧乾燥、熱風乾燥等の一般的な乾燥方法を適用することができる。また、目的物のみを抽出・精製する場合にはゲル濾過、イオン交換クロマト等の手法によって分離・回収することができる。また、水と溶媒の分配を利用して分離できる場合もある。
【0017】
尚、本発明においては、改質時又は改質後に、必要に応じて、酸、アルカリを添加することもできる。酸、アルカリを添加することで改質を促進する場合がある。かかる酸、アルカリとしては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の任意の酸、或いは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の任意のアルカリが挙げられ、これらの組み合わせから成る塩類も用いることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。尚、実施例5、7及び8は参考例である。
【0019】
実施例1
カゼイン(ALANATE180、日本プロテン(株)製) 及びグアーガム加水分解物(サンファイバーR、太陽化学(株) 製) 各10gずつを混合し、水を80g含んだエタノール650mlを加え、60℃の水浴中でホモジナイザー(POLYTRON PT-3100 、KINEMATICA AG 製) により、回転数15,000r.p.m.で6時間攪拌した。エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、改質カゼインを得た。
【0020】
実施例2
ホエータンパク質(ラクプロダン80、MDフーズイングレディエンツジャパン(株)製)0.2kg及びキシログルカン(グリロイド3S、大日本製薬(株)製) 1.8kgを混合し、ヘキサン76L(リットル)を加え、羽根式ミキサー(ポータブルミキサーA520V型、佐竹機械製作所(株))により、十分に原料を分散させた後、攪拌したまま水を4kg加え、回転数400r.p.m.で環流しながら50℃で16時間攪拌した。ヘキサンを減圧留去後、凍結乾燥し、改質ホエータンパク質を得た。
【0021】
実施例3
カゼイン(ALANATE180、日本プロテン(株)製) 0.2kg及びグアーガム加水分解物(サンファイバーR、太陽化学(株) 製) 0.4kgを混合し、水を1.8kg加え、よく混合し、そぼろ状にした後、なたねサラダ油を10L加え、90℃の水浴で加温しながらホモミキサー(ウルトラホモミキサーUM−4、(株)日本精機製作所製)により、回転数12,000r.p.m.で1時間攪拌し、改質カゼイン含有なたね油を得た。
【0022】
実施例4
乾燥卵白(SIGMA社製)15g及び寒天粉末(和光純薬工業(株)製)1gを混合し、Potter-Elvehjem 型ホモジナイザーを用い、グリセロール33ml中に分散させた後、水を1.6g加え、70℃の水浴中にて同ホモジナイザーで300r.p.m.で4時間加熱攪拌し、改質卵白含有グリセロールを得た。
【0023】
実施例5
小麦グリアジン画分(グリアA 、アサマ化成(株) 製)10g及びグルコース6リン酸(2ナトリウム塩、和光純薬工業(株) 製)0.12gを混合し、0.05重量%酢酸水溶液200gとエタノール500mlの混合溶液を加え、95℃の水浴中でマグネチックスターラーにて、1,000 r.p.m.で30分間攪拌した。エタノールを減圧留去後、凍結乾燥し、改質グリアジンを得た。
【0024】
実施例6
小麦グリアジン画分(グリアA 、アサマ化成(株) 製)20kg及びアラビアガム(アラビックコール、三栄薬品貿易(株) 製)120kgを混合し、エタノール60Lに分散させたものを、ニーダー(梶原工業(株) 製、レオニーダーKQ−8E型) 中で攪拌しながらコーンサラダ油540L中に加え、さらに水70kgを加え、80℃に加温しながら回転数30r.p.m.で6時間加熱攪拌した。その後、減圧しながら撹拌を30分間継続し、エタノール、水を除去することにより、改質小麦グリアジン含有コーンサラダ油を得た。
【0025】
実施例7
小麦バイタルグルテン(エマソフトEX-100、理研ビタミン(株) 製)88g及びデキストラン(デキストラン40000 、和光純薬工業(株) 製)140gを混合し、ニーダー((株) 入江商会製、PN-1型) 中で攪拌しながらエタノール420mlに分散させた後、1重量%酢酸ナトリウム水溶液100mlを加え、40℃に加温しながら回転数10r.p.m.で71時間加熱攪拌した。その後、70℃に加熱すると同時に減圧しながらさらに1時間撹拌を継続し、エタノールを除去することにより、ペースト状の改質バイタルグルテン(水分含量25%)を得た。
【0026】
実施例8
酵素分解コラーゲン(和光純薬工業(株) 製、平均分子量2000)0.025g及びカラギーナン(シーピーガムFA、大日本製薬(株) 製)2.5gを混合し、水12.5gを含んだエタノール/ヘキサンの1:4混合物200mlを加え、超音波発振器(トミー精工( 株) 製、UD-201型) にて出力目盛り5にて、30分間連続照射した。この時温度は50℃であった。溶媒を留去し、改質カラギーナンを得た。
【0027】
実施例9
水溶性ペプチド(カゼインホスホペプチドCPP-III、明治製菓(株)製)0.12g及び1,3-β- グルカン(カードラン、武田薬品工業(株)製)1.75gを混合し、94.5%エタノールを65ml(含水量3g)添加し、振盪培養器を用いて、60℃で16時間振盪撹拌した。エタノールを減圧留去し、改質カードランを得た。
【0028】
実施例10
10%加塩チルド卵黄(キューピー(株)製)20kg、キトサン(キミツキトサンLLWP、君津化学工業(株) 製)3kg及び大豆サラダ油35LをレオニーダーKQ-SV06L型(梶原工業(株) 製) を用い、80℃で5時間混合攪拌を行い、改質卵黄含有大豆油を得た。
【0029】
比較例1
カゼイン(ALANATE180、日本プロテン(株)製) 及びグアーガム加水分解物(サンファイバーR、太陽化学(株) 社製) 各10gずつを粉体のまま、室温(25℃)で均一になるまで混合し、比較サンプルを得た。
【0030】
比較例2
ホエータンパク質(ラクプロダン80、MDフーズイングレディエンツジャパン(株)製)0.2kg及びキシログルカン( グリロイド3S、大日本製薬(株) 製)1.8kgを混合し、水180kgを加え、羽根式ミキサー(ポータブルミキサーA520V型、佐竹機械製作所(株)製)により、回転数800r.p.m.で25℃で5分間攪拌した後、凍結乾燥し、比較サンプルを得た。
【0031】
比較例3
カゼイン(ALANATE180、日本プロテン(株)製) 0.2kg及びグアーガム加水分解物(サンファイバーR、太陽化学(株) 製) 0.4kgを粉体のまま、室温(25℃)で均一になるまで混合し、比較サンプルを得た。
【0032】
比較例4
乾燥卵白(SIGMA社製)15g及び寒天粉末(和光純薬工業(株)製)1gを粉体のまま、室温(25℃)で均一になるまで混合し、比較サンプルを得た。
【0033】
比較例5
小麦グリアジン画分(グリアA 、アサマ化成(株) 製)10g及びグルコース6リン酸(2ナトリウム塩、和光純薬工業(株) 製)0.12gを粉体のまま、室温(25℃)で均一になるまで混合し、比較サンプルを得た。
【0034】
比較例6
水に変えてエタノール70Lを加えた以外、実施例6と同様に行い、比較サンプルを得た。
【0035】
比較例7
エタノールに分散させることに変えて水に分散、溶解させたこと以外、実施例7と同様に行い、比較サンプルを得た。
【0036】
比較例8
水12.5gを含んだエタノール/ヘキサンの1:4混合物200mlを加える代わりに、水250gを加えたこと以外、実施例8と同様に行い、比較サンプルを得た。
【0037】
比較例9
94.5%エタノールを65ml加える代わりに、モレキュラーシーブにより脱水したエタノール300mlを加えたこと以外、実施例9と同様に行い、比較サンプルを得た。
【0038】
比較例10
10%加塩チルド卵黄(キューピー(株) 製)20kg、キトサン(キミツキトサンLLWP、君津化学工業(株) 製)3kg及び大豆サラダ油35Lをレオニーダーに入れ、25℃で30分間混合し、比較サンプルを得た。
【0039】
<乳化性試験1>
実施例1〜7及び10で得られた改質タンパク質並びに比較例1〜7及び10で得られた比較サンプルについて、タンパク質の純分換算で最終濃度1.0重量%となるようサンプルを計量し、油相/水相=45/55の乳化系を調製した。
即ち、実施例1、2、5及び7で得られた改質タンパク質並びに比較例1、2、5及び7で得られた比較サンプルのタンパク質純分1.8重量%水溶液(それぞれ順番に1.0g/27.5ml 、5.0g/27.5ml 、0.5g/27.5ml 、2.0g/27.0ml 、1.0g/27.5ml 、5.0g/27.5ml 、0.5g/27.5ml 、2.0g/27.0ml)に菜種サラダ油22.5mlを加え、ホモジナイザー(POLYTRON PT-3100 、KINEMATICA AG 製) を用いて40℃にて、回転数25,000r.p.m.で3分間ホモジナイズした。また、実施例3で得られた改質タンパク質29.5mlに水23.0mlを加え同様にホモジナイズした。また、比較例3で得られた比較サンプル1.5gに水27.5ml、菜種サラダ油22.5mlを加え同様にホモジナイズした。また、実施例4で得られた改質タンパク質1.6gに水27.5ml、菜種サラダ油22.5mlを加え同様にホモジナイズした。また、比較例4で得られた比較サンプル0.53gに水27.5ml、菜種サラダ油22.5mlを加え同様にホモジナズした。また、実施例6で得られた改質タンパク質及び比較例6で得られた比較サンプル18mlに菜種サラダ油5ml及び水26.5mlを加え、同様にホモジナイズした。また、実施例10で得られた改質タンパク質及び比較例10で得られた比較サンプル10mlに菜種サラダ油15.5ml及び水25mlを加え、同様にホモジナイズした。乳化液を50ml容メスシリンダーに入れ、50℃で2日間放置した後の離水した水の容量を測定した。その結果を下記表1に示した。
【0040】
<乳化性試験2>
乳化性試験1の水を2%クエン酸溶液に変え、同様に乳化液を50ml容メスシリンダーに入れ、50℃で24時間放置した後の離水した水の容量を測定した。
その結果を下記表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
<タンパク質水溶解性試験>
実施例4、5及び7で得られた改質タンパク質並びに比較例4、5及び7で得られた比較サンプルのタンパク質純分換算で0.2g分を水5mlに溶解、即ち、実施例4で得られた改質タンパク質及び比較例4で得られた比較サンプル0.21gを水5mlに、実施例5で得られた改質タンパク質及び比較例5で得られた比較サンプル0.2gを水5mlに、実施例7で得られた改質タンパク質0.25gを水4.95mlに、比較例7で得られた比較サンプル0.2gを水5mlに溶解し、600nmの吸光度の値を濁度の指標としたタンパク質の溶解性を評価した。その結果を下記表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
<多糖溶解性試験>
実施例9で得られた改質糖質及び比較例9で得られた比較サンプル0.2gに水5mlを加え、充分攪拌した後、5,000r.p.m. で遠心して沈殿の有無を目視で確認した。その結果、実施例9の改質糖質には沈殿は見られなかったが、比較例9の比較サンプルには沈殿が確認された。
【0045】
<カルシウムによる不溶化防止試験>
カゼインはカルシウム存在下で凝集・不溶化することが知られている。また、カラギーナンは2価陽イオン存在下で不溶化することが知られている。本発明における改質の効果をカルシウムイオン存在下での溶解性を測定することによって評価するため、実施例1で得られた改質タンパク質及び実施例1で得られた改質糖質並びに比較例1及び8で得られた比較サンプルの4%溶液と1M塩化カルシウム溶液を等量混合し、500nmの吸光度から濁度を測定した。その結果を下記表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
<製パン性試験>
実施例6及び10で得られた改質タンパク質含有油の製パン用素材としての評価をするため、従来通り製パン改良剤を用いたパンと比較した。パンの配合及び工程をそれぞれ下記表4及び表5に示した。得られたパンは体積、重量を測定し、比容積を求め、一部スライスした後、家庭用冷凍庫に1週間保存し、室温で解凍したパンについて、それぞれ厚さ1.5cmにスライスし、パネラー10名による官能試験を行った。判定は風味、口どけ、及び弾力性の各項目についてそれぞれ5段階の点数で評価し平均を求めた。また、厚さ1.5cmにスライスしたパンを物性試験機(レオナーRE−33005型、山電製)により硬さ(直径3mmのプランジャーにより厚さの70%圧縮)を測定し、1週間冷凍保存した後の硬さが、焼成直後の硬さに比べて10%以上固くなっていた場合を老化したと判断し、パンの老化を測定した。その結果を下記表6に示した。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】
本発明のタンパク質及び/又は糖質の改質方法によれば、食品、化粧品、医薬品、化学品等に極めて有用なタンパク質及び/ 又は糖質を食品としても使用することができる安全な方法で、且つ効率良く大量に低コストで、しかも容易に改質することができる。
また、本発明の改質方法によって改質されたタンパク質及び糖質は、改質前に比べ乳化性、溶解性等の機能が向上しており、従来にない天然系乳化剤、添加剤等として食品、医薬品、化粧品等の素材として有用なものである。
Claims (6)
- 水分存在下、タンパク質と糖質を溶解しない溶媒に分散した状態で、加熱、攪拌するタンパク質及び/又は糖質の改質方法であって、加熱温度が40〜100℃であり、加熱、攪拌時間が1〜16時間であり、水の添加方法が、水を混合又は分散させた溶媒にタンパク質及び糖質を分散させるか、又はタンパク質及び糖質が分散した溶媒中に水を添加する方法であることを特徴とするタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
- 水分量が、タンパク質と糖質の総重量に対して0.08〜20倍量である請求項1記載のタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
- タンパク質と糖質の混合比率が、モル比で5:1乃至1:5である請求項1又は2記載のタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
- 溶媒の使用量が、水分量の0.6〜50倍量である請求項1乃至3の何れかに記載のタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
- 溶媒がアルコール類である請求項1乃至4の何れかに記載のタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
- 溶媒が油脂である請求項1乃至4の何れかに記載のタンパク質及び/又は糖質の改質方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000114165A JP4565696B2 (ja) | 2000-04-14 | 2000-04-14 | タンパク質及び/又は糖質の改質方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000114165A JP4565696B2 (ja) | 2000-04-14 | 2000-04-14 | タンパク質及び/又は糖質の改質方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001302694A JP2001302694A (ja) | 2001-10-31 |
JP4565696B2 true JP4565696B2 (ja) | 2010-10-20 |
Family
ID=18626015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000114165A Expired - Lifetime JP4565696B2 (ja) | 2000-04-14 | 2000-04-14 | タンパク質及び/又は糖質の改質方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4565696B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4651345B2 (ja) * | 2004-09-29 | 2011-03-16 | 日本化薬株式会社 | コラーゲン含有製剤の製造方法 |
US20080206406A1 (en) * | 2004-12-15 | 2008-08-28 | Csm Nederland B.V. | Modified Proteins With Altered Aggregation Properties |
KR20110007155A (ko) * | 2008-03-31 | 2011-01-21 | 아지노모토 가부시키가이샤 | 숙성감을 부여하는 조미료의 제조 방법 |
US20120258230A1 (en) * | 2011-04-08 | 2012-10-11 | Tic Gums, Inc. | Thickening and emulsifying guar gum and guar blends conjugated with endogenous and exogenous proteins |
US20200305445A1 (en) * | 2017-10-26 | 2020-10-01 | Basf Se | Protein hydrolysates as emulsifier for baked goods |
CN117837707A (zh) * | 2024-01-11 | 2024-04-09 | 广州好孝心营养健康研究有限公司 | 一种固体饮料及制备方法和应用 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52125641A (en) * | 1976-04-12 | 1977-10-21 | Kiyokutou Kagaku Sangiyou Kk | Method of producing emulsion |
JPS59154945A (ja) * | 1983-02-21 | 1984-09-04 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 乳化食品 |
JPS62275646A (ja) * | 1986-02-04 | 1987-11-30 | Asahi Denka Kogyo Kk | 高粘性水中油型乳化物の製造法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07258292A (ja) * | 1994-03-25 | 1995-10-09 | Dainippon Pharmaceut Co Ltd | 蛋白質−キシログルカン複合体 |
JP4100750B2 (ja) * | 1998-02-13 | 2008-06-11 | 株式会社Adeka | 乳化油脂組成物 |
-
2000
- 2000-04-14 JP JP2000114165A patent/JP4565696B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52125641A (en) * | 1976-04-12 | 1977-10-21 | Kiyokutou Kagaku Sangiyou Kk | Method of producing emulsion |
JPS59154945A (ja) * | 1983-02-21 | 1984-09-04 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 乳化食品 |
JPS62275646A (ja) * | 1986-02-04 | 1987-11-30 | Asahi Denka Kogyo Kk | 高粘性水中油型乳化物の製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001302694A (ja) | 2001-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mine | Recent advances in egg protein functionality in the food system | |
Razi et al. | An overview of the functional properties of egg white proteins and their application in the food industry | |
JP4427950B2 (ja) | 大豆蛋白質及びその製造法並びにそれを使用した酸性の蛋白食品。 | |
JP3415146B2 (ja) | ゲル状製品とその製造方法 | |
EP2172114B1 (en) | Dispersion improver for gluten and method of producing active gluten | |
EP1176877A1 (en) | Methods for lowering viscosity of glucomannan compositions | |
BRPI0606909A2 (pt) | composições hidrocolóide e aquosa gelificada ou espessada, produto alimentìcio, encapsulado, uso de peptìdeos, e, processo de preparação de uma composição hidrocolóide | |
WO2001005247A9 (en) | Thermal and ph stable protein thickening agent and method of making the same | |
Kaur et al. | Sunflower protein isolates-composition, extraction and functional properties | |
JP5321028B2 (ja) | 食品用物性改良剤 | |
JP4565696B2 (ja) | タンパク質及び/又は糖質の改質方法 | |
CN112402404A (zh) | 一种虾青素酯纳米复合物颗粒的制备方法 | |
JP2008531054A (ja) | マルチアニオン処理ダイズタンパク質および該物質の調製方法 | |
Stefanova et al. | Chicken egg white-characteristics of its properties and the prospects for functional foods development | |
JP2002363197A (ja) | タンパク質・糖質複合組成物 | |
CN117179121A (zh) | 一种植物蛋白及其制备方法和应用 | |
GB2179043A (en) | Foamed products | |
WO2012002303A1 (ja) | 酸性水中油型乳化食品 | |
Furlán et al. | Functional and physical properties of bovine plasma proteins as a function of processing and pH, application in a food formulation | |
JP4168102B2 (ja) | 食品用品質改良剤 | |
WO2004078334A1 (ja) | 多糖と蛋白質との複合体を有効成分とする乳化剤およびその製造方法ならびに乳化組成物 | |
JPH03502639A (ja) | 穀物産物 | |
JP6494823B2 (ja) | 食品改質剤およびその製造方法 | |
Chi et al. | Egg White Protein Functionality | |
WO2003045163A1 (en) | Sugar-protein conjugates and their formation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100112 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100309 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100601 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100624 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100803 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100803 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4565696 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130813 Year of fee payment: 3 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |