JP4565610B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像処理装置及び画像処理方法に関し、より詳細には、インクジェット記録装置で所定の範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる画像処理装置及び画像処理方法に関する。
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタが広く使用されている。
プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては、所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを用紙等の記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復走査させながら記録を行なうシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
このような記録装置では、通常キャリッジに記録ヘッドとインクタンクとを搭載し、インクタンク内のインクが無くなった際には、インクタンクを交換したり、インクタンクへインクを注入するように構成されている。
記録の途中でインクが無くなるのを避けるため、現在インクタンク内に残っているインク残量を検出し、検出したインク残量に基づいて次ページの記録が可能であるか否かを判定する機能を有する記録装置が提案されている。
この判定方法としては、1ページの記録に必要なインク量の最大値を現在のインク残量から減算して、次ページの記録が可能であるかを判定する方法が知られている。しかしながら、この方法では、例えば、インク消費量が少ない画像などは実際には記録可能であるにもかかわらず、記録不可能と判定されるため、インクタンク内のインクを有効に使用することができない。
特に、記録装置の小型化のためインクタンク(あるいはサブタンク)の容量を小さくすると、インクタンクの交換又はインク注入の回数が、ランニングコスト及びスループットに大きく影響するため、インクタンク内のインクを有効に使用することが重要となる。
インクタンク内のインクを有効に使用することは通常のプリンタにおいても重要であり、インク消費量を見積もる方法がいくつか提案されている。
例えば、特開2001−277554号公報(特許文献1)には、特定色のインク残量を取得し、取得したインク残量が特定色のインクの使用を許容する下限値未満であるか否かを判定し、インク残量が許容下限値未満であると判定した場合には、特定色を他色で置き換えて記録を実行する記録制御装置およびその記録方法が開示されている。
特開2001−277554号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法では、記録を実行する前にインク残量を取得し、所定の閾値と比較することによって記録可能か否かを判定しており、あらゆる種類の画像に対応するためには、上述したように閾値を大きめに設定する必要があり、インクタンク内のインクを有効に使用できず、無駄が生じてしまう。
また、このような無駄を削減するため、RGB画像データとインク消費量を予め関連付けておき、RGB画像データから直接インク消費量の概算値を求め、次のページの記録が可能か否かを判定する方法も開示されているが、この方法では上記の関連付けのために新たにLUT(ルックアップテーブル)や多値データの累積演算が必要になり、加えて、インク消費量の見積もり精度があまり高くならないという問題がある。
一方、記録ヘッドから吐出されるドット数よりインク消費量を見積もる方法も知られており、この方法ではかなり高精度でインク消費量を見積もることができるが、最終的なドットパターンデータが必要となるため、実際の記録の時と全く同じ処理が必要となり、演算に時間がかかる、あるいはページメモリが必要になる等の問題が生じる。
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、所定の範囲を記録するときに消費されるインクの量を高い精度で見積もることができ、かつ、演算時間やコストを削減することができる、画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の一態様による画像処理装置は、
インクジェット記録で予め定められた範囲に記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる画像処理装置であって、
擬似中間調処理を行って、各画素を記録するのに用いるパターン内のドット数に関するデータを出力する中間調処理部と、
前記中間調処理部から出力されたデータを前記予め定められた範囲に対応する量だけ累積加算する累積加算部と、
前記累積加算部から出力された累積値に基づいて、前記予め定められた範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を算出するインク消費量算出部と、を備えている。
上記目的を達成する本発明の別の態様による画像処理方法は、
インクジェット記録で予め定められた範囲に記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる画像処理方法であって、
擬似中間調処理を行って、各画素を記録するのに用いるパターン内のドット数に関するデータを出力する中間調処理工程と、
前記中間調処理工程で出力された前記データを前記予め定められた範囲に対応する量だけ累積加算する累積加算工程と、
前記累積加算工程で出力された累積値に基づいて、前記予め定められた範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を算出するインク消費量算出工程と、を備えている。
すなわち、本発明では、インクジェット記録装置で所定の範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる際に、擬似中間調処理を行って、各画素を記録するのに用いるパターン内のドット数に関するデータを出力し、中間調処理で出力されたデータを所定の範囲に対応する量だけ累積加算し、累積加算された累積値に基づいて、所定の範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を算出する。
このようにすると、所定の範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる際に、ビットマップデータの生成を行わないので、記録バッファを必要としない。さらに、記録方向に応じた回転処理や入力画像と記録画像との解像度に応じた変倍処理などの画像処理も不要となる。従って、簡単な構成で短時間で消費するインクの量を正確に見積もることができる。
算出されたインクの量と、現在のインク残量とを比較して前記所定の範囲の記録が可能か否かを判定するようにしてもよい。
入力画像を記録画像の解像度に応じて変倍処理し、変倍処理された画像に対して中間調処理を行うようにしても良い。
あるいは、入力画像を所定のブロックに分割し、ブロック内の濃度値の合計値を求め、ブロック内の画素数をBn、記録時の中間調処理の諧調値をCoとすると、中間調処理で、求められた濃度値の合計値を、(Co×Bn+1)の諧調値で記録するのに用いるパターン内のドット数に関するデータを出力する、又は、入力画像を所定のブロックに分割し、ブロック内の濃度値の平均値を求め、中間調処理で、求められた平均値の画素を記録するのに用いるパターン内のドット数に関するデータを出力するようにしてもよい。
これらの場合、入力画像と記録画像の解像度の比率に応じて累積値に対して補正を行うようにしてもよい。
所定の範囲は、例えば、記録媒体1ページとすることができる。
なお、上記の目的は、上記の画像処理方法をコンピュータ装置に実行させるコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを格納した記憶媒体によっても達成される。
本発明によれば、所定の範囲の記録を行う際に消費されるインクの量を見積もる際に、ビットマップデータの生成を行わないので、記録バッファを必要としない。さらに、記録方向に応じた回転処理や入力画像と記録画像との解像度に応じた変倍処理などの画像処理も不要となる。従って、簡単な構成で短時間で消費するインクの量を正確に見積もることができる。
以下に、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
なお、便宜上複数の実施形態を記載するが、これらは個別に発明として成立するだけでなく、もちろん、複数の実施形態を適宜組み合わせることでも発明が成立することは、当業者であれば容易に理解できよう。
なお、以下に説明する実施形態では、本発明をインクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置に適用する例を説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
[第1の実施形態]
<インクジェット記録装置の説明>
図5は本発明を適用するインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
図5に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるとともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
また、記録ヘッド3の状態を良好に維持するためにキャリッジ2を回復装置10の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド3の吐出回復処理を行う。
記録装置のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクタンク6が搭載されている。後述するインク残量検知処理によって、インクタンク6の残量が1ページの記録媒体を記録するのに必要な量未満となったと判定されたとき、不図示のメインタンクからインクタンクにインクが供給される。
図5に示した記録装置はカラー記録が可能でり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施形態の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備え、その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
図5に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施形態では、スケール8は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバーを印刷したものを用いており、その一方はシャーシ9に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動されると同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
さらに、図5において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラ、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。22は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
またさらに、記録装置には、図5に示されているように、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えており、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
これらキャッピング機構11及びワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
<インクジェット記録装置の制御構成>
図6は図5に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図6に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
また、図6において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
さらに、640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
<画像処理部の説明>
図1は、本実施形態の記録装置の画像処理部の一構成例を示すブロック図である。
図1において、101は解像度変換部、102は色変換部、103はγ変換部、104は中間調処理部、105は切替えスイッチ、106はドットパターン生成部、107はドットカウンタ、108は累積加算部である。なお、図1に示した画像処理部の各部は、図6の制御構成における、ASIC603内にロジック回路などの形態で実現されるハードウェアモジュール、あるいは、MPU601がROM602やRAM604に格納されたプログラムコードを実行することによって所望の機能が実現されるソフトウェアモジュールのいずれの形態でも良い。
次に、上述した構成による画像処理部の動作について説明する。なお、以下のインク消費量に関する処理では1色のインクに関して説明するが、使用する各色のインクに関して同様な処理が行われる。
入力された記録データは、解像度変換部101にて出力解像度に合わせて画素数が変換され、色変換部102にてインクの濃度値に変換される。変換されたインク濃度値はγ変換部103にてドットゲイン等による出力γが補正され、中間調処理部104にて擬似中間調処理されたデータが出力される。
ここで中間調処理部104の出力は所定のパターン内でのドット数を表しており、例えば、中間調処理部104の入力解像度が600ppiで、記録解像度が1200dpiであった場合、2×2のブロックパターンに形成されるドット数を示している。本実施形態では、各画素単位で中間調処理を行うので、中間調処理部104の出力データを累積加算することにより、記録されるドット数が得られる。なお、中間調処理部104が実行する中間調処理方法としては、公知の多値誤差拡散法や多値ディザ法等の手法を用いることができる。
切替えスイッチ105は、インク消費量を求めるシミュレーション動作の際には中間調処理部104の出力を累積加算部108の入力に接続し、実際の記録動作の際には中間調処理部104の出力をドットパターン生成部106の入力に接続する。
シミュレーションの際には、累積加算部108は、中間調処理部104からの出力データを1ページ分累積加算し、その結果をMPUに出力する。
実際の記録動作の際には、ドットパターン生成部106では、中間調処理部104からの出力で表されるドットを所定のブロックパターン内に配置してビットマップデータを生成し、プリントエンジン(記録実行部)の同期信号に合せて上記ビットマップデータをプリントエンジンに出力する。
一方、ドットカウンタ107は、記録を実行したときのインク消費量を求めるため、上記のビットマップ上のドット数をカウントする。MPUは求められたドットカウント値をインク残量より減算することにより記録後のインク残量を得る。なお、上記ドットカウンタの最大値がインクタンク容量相当のドット数以上であれば、インクタンク交換時にインク容量に対応するドットカウント値(実際はマージンを見込んで若干少なめに設定する)を上記ドットカウンタにロードし、ダウンカウントするようにしてインク残量を求めるようにしても良い。また、インク残量検出機構がある場合は、所定のインク残量を検出したときに対応するドットカウント値をロードするようにしても良い。
次に、本実施形態の画像処理部での処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、記録開始前に記録するページのインク消費量を見積もるため、スイッチ105を累積加算部108に接続する(S201)。
次に、記録する1ページ分の画像処理(中間調処理部104までの処理)を行い、累積加算部108にて中間調処理部104の出力データを1ページ分累積加算して累積値Scを求める(S202)。
次に、現在のインク残量Irを取得し(S203)、上記1ページ分の中間調処理部の出力データの累積値Scと比較する(S204)。
現在のインク残量Irが累積値Sc未満であった場合、メインタンクからインクタンクへインクをリフィルし、インク残量が累積値以上になるようにする(S205)。
インク残量Irが累積値Sc以上となったら、スイッチ105をドットパターン生成部106に接続し(S206)、プリントエンジンを起動し、実際の記録動作を開始する(S207)。
本実施形態では、記録開始前にインク消費量の見積もりを行うシミュレーションの際には、ビットマップ生成を行わないので、バンドバッファ(ページプリンタなど記録の単位がページである場合にはページバッファ)等の記録バッファを必要としない。従って、記録データをバンド単位で生成するバンド処理の場合においても、記録バッファを節約するため複数のバンドに分割する必要は無く、1ページ分連続して処理できる。また、記録方向が異なるため回転操作が必要な場合も、回転操作を行わなくとも面積が同じであるならインクの消費量は変わらないので、回転操作なしにインクの見積もりができる。また、余白部分やブランク部に対してはドットが生成されないので、処理を省略できる。
[第2実施形態]
以下、本発明に係る第2の実施形態について説明する。以下の説明では第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、第2の実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
第2の実施形態も第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、画像処理部の構成が第1の実施形態と異なっている。図2は第2の実施形態に係る画像処理部の一構成例を示すブロック図である。図2において、109はスケーリング部である。
第1の実施形態の構成と比較すると、本実施形態では、解像度変換部101が省略され、替わりに累積加算部108の累積値を入力画像と記録画像の面積比に応じて変倍するスケーリング部109が追加されている。
デジタルカメラ等で撮影された画像を記録する場合、通常記録用紙サイズに合わせて解像度変換(リサイズ)が行われる。インク消費量は記録領域の面積に比例するので、解像度変換(リサイズ)を行わない画像のインク消費量を求め、入力画像と実際の記録領域の面積比に応じて補正(スケーリング)することで、実際のインク消費量を正確に見積もることができる。
本実施形態の画像処理部での処理は、図4のフローチャートにおけるステップS202とS203の間に、累積値を入力画像と記録画像の面積比に応じて変倍するスケーリング処理を行うこととなる。
この様に本発明の第2の実施形態によれば、解像度変換を省略できるので、インク消費量の見積り処理が簡略化される。また、解像度変換にて拡大される場合は、拡大する前の画像にてインク消費量を見積もるので、処理対象となる画素数も少なくなる。通常、プリントエンジンの解像度が高いため、上記解像度変換にて拡大される場合が多い。また、上記解像度変換は、画質向上のため、複雑な処理を行う場合が多く、処理が重たいため、省略時の効果は大きい。一方、スケーリングは1ページに1回の処理であるため、負荷は非常に少ない(MPUにて実行可能である)。
[第3実施形態]
以下、本発明に係る第3の実施形態について説明する。以下の説明では第1及び第2の実施形態と同様な部分については説明を省略し、第3の実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
第3の実施形態も第1及び第2の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、画像処理部の構成が第1及び第2の実施形態と異なっている。図3は第3の実施形態に係る画像処理部の一構成例を示すブロック図である。図中、110はブロック内累積部、111は中間調処理部、112は累積加算部である。
第2の実施形態の構成と比較すると、本実施形態では、ブロック内の画素(濃度)値を累積するブロック内累積部110が追加されている。ブロック内の画素(濃度)値を累積した場合、濃度レンジはブロック内の画素数倍に拡大される。従って、中間調処理部111では拡大された濃度レンジに対し中間調処理を行う。
このとき、ブロック内の画素数をBnとすると、中間調処理部111の出力データのレンジもBn倍となれば、1ページのインク消費量の見積もりは第2の実施形態と同一となる。即ち、レンジ拡大前の中間調処理部の出力データの最大値をCoとすると、レンジ拡大後の中間調処理部111の出力データの最大値CeはCe=Co×Bn、即ち(Co×Bn+1)値の中間調処理を行えば良い。累積加算部112は上記のようにレンジ拡大された中間調処理部111の出力データCeを1ページ分累積加算する。
本実施形態の画像処理部での処理は、図4のフローチャートにおけるステップS202での累積加算処理において、累積加算された値を求め、ブロック内の画素(濃度)値を累積した値に基づいて累積加算された値に演算を行うこととなる。
この様に本発明の第3の実施形態によれば、ブロック内累積値(総和)を用いることで、中間調処理部111の処理する画素数を大幅に削減することが出来る。中間調処理部111の処理量に対しブロック内累積(総和)の処理量は大幅に少ないので、処理の負荷を軽減することが可能となる。
なお、ブロック内累積値(総和)はJPEGではDC成分として符号化されているので、DC成分からインク消費量の見積もりも可能である。この場合、入力画像データがブロック内累積値(DC成分)であるので、ブロック内累積部110は不要である。
また、ブロック内累積値(総和)の替わりにブロック内平均値を用いることで、中間調処理部として第1の実施形態と同様な中間調処理部104(Co+1値の中間調処理)を用いることも可能である。この場合はスケーリング部109にてブロック内の画素数Bn分のスケーリングも同時に行う。
特に、ブロック内の画素数Bnが2のべき乗となるように設定すれば、上記Bn分のスケーリングはビットシフトで実現できる。ただし、ブロック内平均値にて見積もりを行った場合は、平均値の丸めの際に誤差が発生するので、前記記録開始の判定の際に若干のマージンを考慮する必要がある(図4のS204はSc+α<Ir,αは平均値の丸め誤差の最大値×1ページの画素数となる)。
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、説明を容易にするため、記録媒体1ページの記録が可能か否かを判定する構成を説明しているが、これに限らず、1つのジョブや所望の範囲の記録が可能か否かを判定するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、インクタンクへインクを供給するメインタンクを有し、インクタンク内のインク残量が1ページの記録媒体の記録に必要な量未満と判定されたときに、メインタンクからインクが供給される構成としたが、インクタンク自体を交換可能なカートリッジとし、メインタンクを有さない構成であってもよい。このような構成では、インク残量が1ページの記録媒体の記録に必要な量未満と判定されたときに、インクカートリッジを交換するようにユーザに通知するのが好ましい。
さらに、上記の実施形態では記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で走査させて記録を行う、いわゆるシリアル型の記録装置を例に挙げて説明したが、最大記録幅に対応した長さの記録ヘッドを備え、記録媒体を記録ヘッドに対して相対的に移動させて記録を行う、フルライン型の記録装置にも本発明は適用できる。
さらにまた、上記の実施形態では記録装置においてインク消費量を見積もる構成としたが、記録装置にホスト機器として接続されるコンピュータ等にインストールされるプリンタドライバで、上記実施形態の機能を実現するようにしても良い。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(本実施形態では図1、図2及び図3に示す機能ブロック図や図4のフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
本発明の第1の実施形態の画像処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。 本発明の第2の実施形態の画像処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。 本発明の第3の実施形態の画像処理部の一構成例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態の画像処理部での処理を示すフローチャートである。 本発明を適用するインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。 図5の記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
符号の説明
101 解像度変換部
102 色変換部
103 γ変換部
104 中間調処理部
105 スイッチ
106 ドットパターン生成部
107 ドットカウンタ
108 累積加算部
109 スケーリング部
110 ブロック内累積部
111 中間調処理部
112 累積加算部

Claims (5)

  1. 画素毎に対応するドットパターンであって、記録されるドットの配置を示す該ドットパターンからなるビットマップデータに従って、複数の画素から構成される画像を記録するインクジェット記録装置における画像処理を行う画像処理装置であって、
    画素毎のインクの濃度値に従って擬似中間調処理を行い、前記ドットパターン内に記録されるドット数を画素毎に出力する中間調処理部と、
    前記中間調処理部により出力された前記ドット数に従って、画素毎に対応する前記ドットパターン内に前記ドットを配置して前記ビットマップデータを生成する生成部と、
    前記中間調処理部により出力された前記ドット数を累積加算する累積加算部と、
    前記累積加算部により出力された累積値に基づいて、前記インクジェット記録装置により記録を行う際に消費されるインクの量を算出するインク消費量算出部と、
    前記中間調処理部による前記ドット数の出力先として、前記生成部と前記累積加算部とのいずれかを切り替えて選択する切替部と
    を備え、
    前記切替部は、
    予め定められた範囲の画像の記録に消費されるインクの量を求める場合、前記中間調処理部による前記出力先として前記累積加算部を選択し、前記インクジェット記録装置により記録を行う場合、前記中間調処理部による前記出力先として前記生成部を選択することを特徴とする画像処理装置。
  2. 記録する画像に対応して入力される画像データを記録する画像の解像度に応じて変倍処理する解像度変換部をさらに備えており、
    前記中間調処理部には、前記解像度変換部により変倍処理された画像データに応じた画素毎のインクの濃度を示すデータが入力されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記予め定められた範囲は、記録媒体のページに対応する範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置と、インクを収容するインクタンク内のインク残量を検知する検知手段とを備えるインクジェット記録装置。
  5. 画素毎に対応するドットパターンであって、記録されるドットの配置を示す該ドットパターンからなるビットマップデータに従って、複数の画素から構成される画像を記録するインクジェット記録装置における画像処理を行う画像処理装置の画像処理方法であって、
    中間調処理部が、画素毎のインクの濃度値に従って擬似中間調処理を行い、前記ドットパターン内に記録されるドット数を画素毎に出力する工程と、
    生成部が、前記中間調処理部により出力された前記ドット数に従って、画素毎に対応する前記ドットパターン内に前記ドットを配置して前記ビットマップデータを生成する工程と、
    累積加算部が、前記中間調処理部により出力された前記ドット数を累積加算する工程と、
    インク消費量算出部が、前記累積加算部により出力された累積値に基づいて、前記インクジェット記録装置により記録を行う際に消費されるインクの量を算出する工程と、
    切替部が、前記中間調処理部による前記ドット数の出力先として、前記生成部と前記累積加算部とのいずれかを切り替えて選択する工程と
    を備え、
    前記切替部は、
    予め定められた範囲の画像の記録に消費されるインクの量を求める場合、前記中間調処理部による前記出力先として前記累積加算部を選択し、前記インクジェット記録装置により記録を行う場合、前記中間調処理部による前記出力先として前記生成部を選択することを特徴とする画像処理方法。
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