JP2005349662A - 記録装置および記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数のノズルを配列してなる記録ヘッドの主走査と、各主走査間での記録媒体の副走査とにより記録を行う記録装置において、モータ等副走査機構の特性に起因して副走査量の最小単位に制限がある場合にも、無駄な主走査を極力排し、効率的な画像記録動作が行われるようにする。
【解決手段】 最も給紙側に位置するノズルの位置から次に記録すべき記録データの位置までの副走査の方向上の相対距離を取得し、この相対距離と、副走査量の最小単位と、記録ヘッドに配列されたノズル数とに基づいて、記録データを記録する位置までの副走査の量を決定するとともに(S1202)、上記相対距離および副走査量の最小単位に基づいて、記録素子の配列から記録データを記録するために使用する範囲を決定する(S1203)。
【選択図】 図12

Description

本発明は、複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に記録走査(主走査)するとともに、その主走査間で記録媒体を主走査方向と直交する方向に搬送(副走査)させることで記録を行う記録装置および記録方法に関し、特にインクジェット方式による記録装置に適用して好適なものである。
近年、オフィスや家庭におけるパーソナルコンピュータやワードプロセッサ、ファクシミリ、デジタルカメラ等の普及により、これらの機器の情報出力機器として様々な記録方式のプリンタが開発されている。その中でもインクジェット方式によるプリンタは、カラー記録への対応が容易で、動作時の騒音が低く、また多種多様の記録媒体に対して高品位の記録が可能であり、さらに小型である等の利点があるため、オフィスや家庭でのパーソナルユースにも好適である。その中でも、記録媒体上を記録ヘッドが往復主走査しながら記録を行うシリアルスキャン型のインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)は、低コストで高品位の画像をプリントできるため広く市場に普及している。
カラー記録が可能な記録装置としては、図1に示すような記録に使用する各色のノズル群を主走査方向に沿って並置し、同一の記録走査において各ノズル群から同一のラスタにそれぞれインク滴を吐出させるようにしたいわゆる横並び記録ヘッドが用いられている。図1においては、記録に使用する色として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)および黒(ブラック;BK)を用いる場合を図示しており、このため、シアンインク吐出口群301、マゼンタインク吐出口群302、イエローインク吐出口群303、およびブラックインク吐出口群304が用いられ、各吐出口群には複数(例えば128個)の吐出口ないしノズル305が副走査方向に配列されている。
インクジェット記録装置においては通常、記録ヘッドの主走査方向への走査(記録走査)と、主走査方向と直交する副走査方向への搬送とを交互に繰り返すことにより記録が行われる。そして、高品質な記録が望まれる場合には、マルチパスと呼ばれる記録方法がとられることも多い。
ここでマルチパス記録について簡単に説明すると、図2に示すように、ある記録領域に対し記録ヘッドを複数回、副走査方向の位置を変えて記録走査させるとともに、画像データをある所定の画像データ配列に従って間引き、1ノズルが1回の主走査で形成するドットを規定することで、実施された記録走査のいずれかにおいてドットが形成され、複数回の記録走査によって当該記録領域の記録が完結するものである。かかるマルチパス記録では、記録領域に対する記録走査回数をもって記録動作名を呼ぶことが通例であり、図2に示すように1つの記録領域に対して3回の主走査を行うものは3パス記録と呼ばれる。
このようなマルチパス記録を行うと、ノズル毎の吐出量のばらつきや、吐出方向のばらつきに起因して記録画像で生じ得る濃度ムラや主走査方向へのスジ、主走査間での搬送制度に起因する白スジ(搬送量過多の場合)あるいは黒スジ(搬送量過少の場合)などが緩和もしくは解消される。
また、図1のような複数の色に対応した吐出口群を並置した記録ヘッドを用いる場合であれば、主走査方向の往路および復路で記録を行う場合(双方向記録時)のインク付着順の違いによる色むらの発生も緩和される。すなわち図1に示す構成では、主走査の方向によって、インクがC→M→Y→BKの順序で付着する記録と、BK→Y→M→Cの順序で付着する記録とが記録媒体の搬送ごとに入れ替わることになる。この場合、マルチパスを行わない記録では1記録走査の幅(使用されるノズルの配列範囲)を単位として色インクの付着順の違いに起因した色味の相違が表れるため色むらが認識され易いが、適切なデータ間引きを行ったマルチパス記録を行うことで、1記録領域において色インクの付着順の異なるドットが分散するので、色むらが認識されにくくなるのである。以上のように、マルチパス記録を行うことで、記録画質の飛躍的な向上を図ることが可能となる。
さて、上述のように主走査と副走査との繰返しにより記録を行う所謂シリアル記録型のインクジェット記録装置には、キャリッジモータの駆動力によって記録ヘッドを搭載したキャリッジが往復移動されるとともに、その過程で記録ヘッドに記録信号を与えてインクを吐出させることによって、プラテン等の支持部材上に支持された記録媒体の全幅にわたって記録が行われる。
一方、記録媒体は、一般に、搬送ローラとこれに当接するピンチローラとによって挟持されながら搬送される。搬送ローラは、その一端に固着された搬送ローラギアおよび中間ギアを含む伝動機構を介して搬送モータに接続され、その駆動に伴って回転する。
ここで、搬送モータとしては主にパルスモータ(ステッピングモータ)もしくはDCモータが使用される。DCモータは静粛性に優れているものの、閉ループ制御を行うために位置情報を取得するためのエンコーダを併設しなければならないので、その分コストがパルスモータに比較して高くなる傾向にある。これに対して、パルスモータは駆動パルス自体により開ループの位置(回転量)制御を行うことが可能ながら、DCモータに比較して静粛性には劣る。従って、これらモータの選択は、それを搭載する記録装置の性格により決定される。最近では、一般に、比較的高価格であってもよい記録装置ではDCモータが採用され、比較的低価格の記録装置ではステッピングモータが採用されることが多い。
しかしこれらのステッピングモータあるいはDCモータのいずれが採用される場合であっても、記録媒体の搬送量(モータ回転量)の精度は、ある基本単位の整数倍にしか設定できない、もしくはそれ以外では精度が確保できないという基本的な特性をもっている。精度高く微小な回転角を得ることは困難であるし、またステッピングモータの場合には回転角はステップ角によって制限されるからである。
従って、このようなモータについての基本的な特性と、さらに記録媒体を実際に搬送する搬送ローラないしはこれにモータの回転を伝達するために介在する伝動機構(ギアなど)の特性とから、高い搬送精度を確保できる搬送量、もしくは実際に搬送が可能な搬送量の基本条件(主走査間に介在させることのできる副走査量すなわち搬送量の最小単位)が決定される。
そして、主走査間に介在させる搬送量ないしは実際に使用するノズル数およびノズル範囲は、かかる搬送量の基本条件、使用可能なノズル数、および記録走査数(1記録領域に対するパス数)により決定される。例えば、使用可能なノズル数が128であり、搬送量の基本条件がノズルピッチの10倍であるならば、10の倍数分の連続ノズルに対応した範囲を搬送量として選択でき、128個のノズルのうち最大で120個の連続ノズルを使用した記録を行うのが自然である。つまり、全128ノズルに対し、給紙側(記録媒体搬送方向上流側)の端部にあるノズルから排紙側(記録媒体搬送方向下流側)の端部にあるノズルまで、「seg0」から「seg127」の符号を与えるものとすると、例えばノズルseg0〜seg119を使用ノズルとするのである。つまり、モータの基本的特性などによって搬送量が選択されるとともに、一意的ないし固定的に使用ノズル数ならびに使用ノズル位置ないし範囲が決定されているのである(例えば特許文献1)。
特開平09−070959号公報
しかしながら、従来は上記のように搬送量の基本条件から一意に使用ノズル数を決定していたため、記録データの位置によっては記録走査時に無駄な走査が発生することがあった。
図3〜図9を用いてその問題を説明する。
図3は、1パス記録の一例を示す模式図である。ここで、記録ヘッド501には、給紙側の端部に位置するノズルseg0から排紙側の端部に位置するノズルseg11まで、合計12個のノズルが配列されているものとする。搬送量の基本条件(搬送量の最小単位)が5ノズルピッチ分であったとすると、5の倍数である連続した10ノズルを使用し、1パス記録の場合は記録走査間で10ノズルピッチ分の搬送を行うのが自然である。図5では中間にあるノズルseg1〜seg10を使用し、10ノズルピッチずつの搬送を行って記録動作をするものとしてある。このとき、記録媒体505上に白丸で示した記録データ504を記録しようとすると、第2記録走査まででは記録が未完成であり、さらに第3記録走査(不図示)を要することがわかる。
これに対しては、図4に示すように、使用ノズル位置ないし範囲をノズルseg0〜seg9とし、ノズルseg10およびseg11を非使用とすることで、図3と同一のデータ504を第2記録走査までで完成させることが可能となる。このように、一見したところでは、使用ノズル位置ないし範囲を給紙側につめればよいとも考えられる。
しかしながらこれは、図5に示すような記録データ504−bを記録する場合には最適なものとは言い難い。つまり、図5ではノズルseg0〜ノズルseg9を使用して記録データ504−bを記録するのに、第1記録走査および第2記録走査を要している。これに対し、図6に示すように、同じ記録データ504−bを記録するのに使用ノズルseg2〜seg11とすれば、第2記録走査のみで記録が完成する。
以上のように、一意的に使用ノズル位置ないし範囲を決定する場合には、記録すべき画像データによっては無駄な、ないしは非効率的な記録走査が生じてしまうのである。以上は1パス記録の例であるが、同様の現象はマルチパス記録においても同様に発生する。
図7は、ノズルの個数および配列ないしは搬送量の基本条件等に関して図3等と同じ条件の記録ヘッドないしは記録装置を用いて、2パス記録を行う場合の一例を示す模式図である。ここで、搬送量の基本条件は5ノズルピッチ分であり、2パス記録を行う場合の各記録走査間に介在する搬送量もこれに一致している。
このとき、ノズルseg1〜seg10を用いて記録データ904を記録する場合には、第1記録走査、第2記録走査および第3記録走査の合計3回の主走査を要する。これに対し、同じ記録データ904を記録するのに、図8に示すようにノズルseg0〜seg9のノズルを使用する場合には、第1記録走査と第2記録走査とによって画像形成が可能である。しかし、これが必ずしも最少の記録走査数を保証するものではなく、記録データによっては無駄な記録走査が生じ得ることは、1パス記録の場合と同様である。
上記のような無駄な記録走査は、必ずしも画像先端部分においてのみ発生するのではない。図9に示すように、副走査方向に分かれて記録データが存在する画像データを記録する場合においても、記録データ同士の副走査方向間の距離と、搬送量の基本条件(搬送量の最小単位)、および記録ヘッド上のノズル数によって、同様な問題が発生する。すなわち、記録データが副走査方向に細かく配置されるような場合には、無駄な記録走査発生の頻度がより高くなる。
以上のような無駄な記録走査が生じることによって、1枚の画像を記録するのに要する時間が増大し、これは、特に最近強く要望される記録の一層の高速化を図る上での阻害要因となるものである。
よって、本発明は、搬送量の最小単位に制限がある記録装置においても、無駄な記録走査を極力排して記録することができるようになし、効率的な画像記録動作を行うことで記録の高速化を達成することを目的とする。
そのために、本発明は、複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に相対的に主走査するとともに、各主走査間で記録媒体を前記主走査の方向と直交する方向に相対的に副走査させることで記録を行う記録装置または方法において、前記記録媒体に対する前記記録ヘッドの所定の記録素子の位置から、前記記録媒体に次に記録すべき記録データの位置までの、前記副走査の方向における相対距離を取得する手段または工程と、当該取得された相対距離、前記副走査を行うための機構の特性によって定まる前記副走査の量の最小単位、および、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数に基づいて、前記記録データを記録する位置までの前記副走査の量を決定する副走査量決定手段または工程と、前記相対距離および前記副走査の量の最小単位に基づいて、前記記録素子の配列から前記記録データを記録するために使用する範囲を決定する使用記録素子範囲決定手段または工程と、を具えたことを特徴とする。
ここで、前記複数の記録素子のうち前記副走査の方向の最上流側に位置する記録素子を前記所定の記録素子とした場合の前記相対距離をYd、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数をK、前記副走査の量の最小単位をL、前記Kを前記Lで除した際の余りをP、前記Ydを前記Lで除した際の余りをMとするとき、M>(L−P)の場合とそれ以外とで、副走査量を変更することができる。また、前記Mの大きさに応じて前記範囲を変更することができる。ここで、記録に関与させる前記記録素子の数も含めて前記範囲を変更することができる。
また、前記副走査方向上の前記記録ヘッドの位置を変更して同一の記録領域に対し1以上の整数であるN回の前記主走査を行わせる手段をさらに具え、前記副走査量決定手段により決定された副走査量によっては、当該副走査後に行われる前記N回の主走査において前記記録に関与させる記録素子の数を増加させることができる。さらに、前記記録素子の数を増加させた前記N回の主走査後には、前記記録に関与する記録素子のうち前記副走査方向の最上流側に位置する記録素子から必要数分の記録素子だけを使用するように設定を行うことができる。
また、本発明は、複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に相対的に主走査するとともに、各主走査間で記録媒体を前記主走査の方向と直交する方向に相対的に副走査させることで記録を行う記録装置における、記録素子の使用範囲を決定するためのプログラムであって、前記記録媒体に対する前記記録ヘッドの所定の記録素子の位置から、前記記録媒体に次に記録すべき記録データの位置までの、前記副走査の方向における相対距離を取得する工程と、当該取得された前記相対距離、前記副走査を行うための機構の特性によって定まる前記副走査の量の最小単位、および、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数に基づいて、前記記録データを記録する位置までの前記副走査の量を決定する工程と、前記相対距離および前記副走査の量の最小単位に基づいて、前記記録素子の配列から前記記録データを記録するために使用する範囲を決定する工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、副走査を行うための機構の特性によって副走査量に最小単位が存在するという制限のもとで、適切な副走査量を定め、記録データ開始位置に合わせて使用記録素子の範囲を決定するという処理を行うことにより、記録データ開始位置に応じて副走査量および使用記録素子の範囲を適切に変更することができる。従って、記録データの位置によらず使用記録素子(ノズル)範囲を固定する従来例において発生していた無駄な記録走査を排することが可能となり、記録に要する時間を短縮することが可能となる。
また、副走査方向上の記録ヘッドの位置を変更して同一の記録領域に対し1以上の整数であるN回の主走査を行わせるマルチパス記録を行う場合においても、記録データ位置に応じて適切な副走査量を定め、またその副走査を実施した直後の使用記録素子の範囲を使用記録素子数を含めて可変とすることにより、無駄な記録走査を記録データによらず排することが可能となり、記録に要する時間を短縮することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置について例示する。
なお、この明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、不織布、OHP用等のプラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、吐出口を言うものとするが、さらに、その吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギを発生する素子を総括して言う場合もある。
(インクジェット記録装置の機械的構成)
図10は本発明の代表的な実施形態であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。この記録装置は、主走査と副走査との繰返しにより記録媒体P上に記録を行う所謂シリアル記録型の装置である。
図示のインクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行う記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるとともに、その過程で記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出させることができる。一方、例えば紙などの記録媒体Pは、給紙機構5から送給され、被記録位置まで搬送され、その被記録位置において記録ヘッド3から吐出されたインクを受容する。
キャリッジ2には、記録ヘッド3が搭載されるだけでなく、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6が装着される。このインクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
図10に示した記録装置はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)およびブラック(K)のインクをそれぞれ収容した4つのインクカートリッジないしこれら4色に対応した吐出口群が配設された記録ヘッドが搭載される。これら4つのインクカートリッジは各々独立に着脱可能である。
キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両者の所定接合面が適正に接触することで所要の電気的接続を確保し、維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施形態の記録ヘッド3は、熱エネルギを利用してインクを吐出する方式のものであり、電気エネルギを熱エネルギに変換するための電気熱変換体を備える。そして、その熱エネルギをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって発生する圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させるものである。この電気熱変換体は例えば吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に対応して電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって、対応する吐出口からインクを吐出する。
図10に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝動機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転および逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施形態では、スケール8は透明なPETフィルムに所要ピッチで黒色のバーを印刷したものを用いており、その一端はシャーシ9に固着され、他端は板ばね(不図示)で支持されている。
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向する領域にプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動される過程で、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出させることにより、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
さらに、図10において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15は不図示のばねにより搬送ローラ14に当接する方向に付勢されたピンチローラ、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17および中間ギア(不図示)を含む伝動機構を介して、搬送モータM2の駆動力を伝達することにより、搬送ローラ14が回転駆動され、記録媒体Pは搬送ローラ14およびピンチローラ16によって挟持・搬送される。
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20に対しては、不図示のばねにより付勢された拍車ローラ(不図示)が記録媒体Pの被記録面側から圧接する。22はこの拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
またさらに、記録装置には、図10に示されているように、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所定位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復する、ないしは吐出状態を良好な状態に維持するための回復装置10が配設されている。
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えており、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
また、非記録時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によりキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
これらキャッピング機構11およびワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
(インクジェット記録装置の制御系の構成)
図11は図10に示した記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図11に示すように、装置の主制御部をなすコントローラ600は、MPU601、後述する制御手順に対応したプログラム、所要のテーブルおよびその他の固定データを格納したROM602、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御および記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604のほか、これらMPU601、ASIC603およびRAM604を相互に接続してデータの授受を行うためのシステムバス605、および、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などから構成される。
また、図11において、610はコンピュータ、画像読取り用のリーダ、あるいはデジタルカメラなど、記録装置に対する画像データの供給源となるホスト装置である。ホスト装置610と記録装置との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等が送受信される。
620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、および記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指示入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
さらに、640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
以上のような構成において、記録装置本体はインタフェース611を介して転送された記録データのコマンドを解析し、記録に用いる画像データをRAM604に展開する。画像データの展開領域(展開バッファ)は2次元の領域であり、その横サイズをキャリッジ移動方向(主走査方向)の記録可能領域分の画素数に対応させ、記録媒体の搬送方向(副走査方向)の画素数に対応したものとして構成することができ、これをRAM604の記憶領域上に確保する。
また、記録走査において記録ヘッド3に記録データを転送するために参照されるRAM604上の記憶領域(プリントバッファ)も2次元の領域であり、その横サイズを主走査方向の記録可能領域分の画素数に対応したもの、その縦サイズを記録ヘッドの1回の記録走査で記録される副走査方向の画素数、すなわち記録ヘッド3に配列されたノズル群のうち記録に使用するノズル数に対応したものとして構成することができる。
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子である電気熱変換体(吐出ヒータ)の駆動データを転送する。
(第1の実施形態)
以上の構成の記録装置に対して採用される、本発明を実施するための好適な制御処理について説明する。
図12は、第1の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図13は本例で用いる記録ヘッド3と記録データの関係を示す模式図である。
本例では、高い搬送精度を確保できる搬送量、もしくは実際に搬送が可能な搬送量の基本条件(主走査間に介在させることのできる副走査量すなわち搬送量の最小単位)はノズルピッチpの10倍、従って搬送量の制限は10ノズルピッチ(10p)の長さの倍数となる。また、1色の記録ヘッド3には、給紙側(記録媒体搬送方向上流側)の端部にあるノズルseg0から排紙側(記録媒体搬送方向下流側)の端部にあるノズルseg127まで、128個のノズル(吐出口)が配列されているものとし、記録は1パスで行うものとする。従って、記録走査ごとに使用するノズル数は120となり、通常の記録走査間に介在する搬送量は120ピッチに対応した長さ(120p)とすることができる。また、記録データ1304も副走査方向にノズルピッチpと同じドットピッチで用意する。
以上を前提として、本実施形態の制御手順を説明する。
まず、記録装置が記録データを受信すると(ステップS1201)、ステップS1202に進み、最初の記録走査を行うまでの副走査量すなわち搬送量である「紙送り量1」を決定する。ここで、ノズルseg0からデータ開始位置までの距離をYd(>0;ドットピッチ単位)とする。Ydは、例えばRAM602の展開バッファに展開された画像データから得ることもできるし、またはホスト装置610から送信されてくる画像データに基づいて認識することもできる。そして、このYdを搬送量の最小単位(本実施の形態では10ノズルピッチ分)で割った商の整数部をN10、余りをM10(本実施の形態では0〜9の値を取り得る)として、ステップS1202において「紙送り量1」を以下のように決定する。
・M10=0または1または2のとき :120+10×N10
・M10が上記以外のとき :120+10×(N10+1)
次にステップS1203へと進み、使用ノズル位置すなわち範囲を決定する。使用ノズル範囲はステップS1202で計算したM10の結果により異なり、
・M10=1または2のとき :ノズルseg0〜ノズルseg119
・M10が0のとき :ノズルseg1〜ノズルseg120
・M10が0,1,2ではないとき :ノズルseg(11−M10
〜ノズルseg(10−M10+120)
とする。
そしてステップS1204にて、ステップS1202で決定された「紙送り量1」だけ搬送を実行し、続くステップS1205にて、上記ステップS1203において決定された範囲のノズル群を使用して記録走査を実行する。
次にステップS1206に進み、使用範囲のノズルのうち最も給紙側に位置するノズルから「紙送り量2」の範囲の領域に記録データが存在するか否かを判定する。この「紙送り量2」とは、本実施形態での前提である、ノズル数が0seg〜127segの128個であること、搬送量が最小単位(10ノズル分)の倍数であること、および1パス記録を行うことという条件から算出される数値であって、上述のように120ノズル分に相当する。そして、その範囲に記録データが存在するならば、ステップS1207にて「紙送り量2」の搬送を実行し、再度ステップS1205へ戻って記録走査を行う。
一方、ステップS1206においてその範囲に記録データが存在しないと判断されたならば、ステップS1208に進み、記録終了か否かの判断を行う。記録終了であれば、記録媒体の排出等を行って処理を終了する。また、記録が終了していないと判断された場合にはステップS1202に復帰し、次の記録データが存在する位置までの距離に基づいて再度「紙送り量1」の決定を行い、それ以降の処理を続行する。これは、「紙送り量2」より大きく離隔して記録データが分散する場合に対して、当該記録データ位置に記録ヘッドを設定するための搬送、ないしは記録に使用するノズルの範囲を定めるものである。すなわち、本実施形態は、記録媒体の先頭部分だけでなく、図9で説明したように記録データが副走査方向に分散する場合に対しても有効なものである。
上記手順に従えば、例えば図14に示すように、記録データ1405が記録媒体Pの上端部(Yd=1)から存在し、副走査方向に120ノズル分の位置まで存在する場合には、N10=0、M10=1となるため、「紙送り量1」は120ノズル分、使用ノズル範囲はノズルseg0〜ノズルseg119となる。つまり、記録ヘッド3が図14の符号1401で示す位置から符号1402で示す位置となるように120ノズル分の搬送を実行し、ノズルseg0〜ノズルseg119を使用して記録走査を行うことになる。
また、図15に示すように、記録データ1505が記録媒体P上端から9ノズル分のところから存在し、副走査方向に120ノズル分の幅にわたって存在する場合には、N10=0、M10=9であるので、「紙送り量1」は130ノズル分、使用ノズル範囲はノズルseg2〜ノズルseg121となる。つまり、記録ヘッド3を図15の符号1501で示す位置から符号1502で示す位置となるように130ノズル分の搬送を実行し、ノズルseg2〜ノズルseg121を使用して記録走査を行うことになる。
以上のように、搬送量に最小単位が存在するという制限のもとで、適切な搬送量を定め、記録データ開始位置に合わせて使用ノズル範囲を決定するという処理を行うことにより、記録データ開始位置に応じて搬送量および使用ノズル範囲を適切に変更することができる。従って、記録データの位置によらず使用ノズル範囲を固定する従来例において発生していた無駄な記録走査を排することが可能となり、記録に要する時間を短縮することが可能となる。
なお、上記実施形態では、ノズル数が128であること、搬送量が最小単位(10ノズル分)の倍数であること、および1パス記録を行うこと、という条件下で、上記ステップS1202およびステップS1203にあるような設定を行うものとしたが、これは次のように一般化することができる。
すなわち、ノズル数をK、搬送量の最小単位をL、ノズル数Kを搬送量最小単位Lで割った余りをP、データ開始位置Ydを搬送量最小単位Lで割った商の整数部をN、余りをMとするならば、ステップS1202における「紙送り量1」を次のように決定することができる。
・M>L−Pのとき :(K−P)+(L×(N+1))
・上記以外のとき :(K−P)+(L×N)、
また、ステップS1203における使用ノズル範囲は、
・M=0のとき :ノズルseg1〜ノズルseg(K−P
・M>L−Pのとき :ノズルseg((L+1)−M
〜ノズルseg(L−M+(K−P))
・上記以外のとき :ノズルseg0〜ノズルseg(K−P−1)
とすすることができる。
これらのようにすれば、上記と同様、搬送量に最小単位が存在するという制限のもとで、適切な搬送量を定め、記録データ開始位置に合わせて使用ノズル範囲を決定するという処理を行うことにより、記録データ開始位置に応じて搬送量および使用ノズル範囲を適切に変更することができる。従って、記録データの位置によらず使用ノズル範囲を固定する従来例において発生していた無駄な記録走査を排することが可能となり、記録に要する時間を短縮することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施の形態においては、記録データの開始位置に応じて使用ノズル範囲を変更することにより、従来発生していた無駄な記録走査の削減が可能となったが、記録走査数をより削減し得る第2の実施形態について説明する。
図16に示すような記録ヘッドの構成と記録データとを考える。ここでは、記録ヘッド3’には、給紙側の端部にあるノズルseg0から排紙側の端部にあるノズルseg11まで、12個のノズル(吐出口)が配列されているものとし、記録は1パスで行うものとする。従って、記録走査ごとに使用するノズル数は10となり、記録走査間に介在する搬送量は10ノズル分としている。
このとき図16のような位置に記録データ1604が存在する場合には(ノズルseg0からデータ開始位置までの距離Yd=1)、第1の実施形態で説明した一般的な設定規則を用いると、「紙送り量1」は20ノズル分、使用ノズル範囲はノズルseg2〜ノズルseg11となり、記録データ1604は第2記録走査、第3記録走査および第4記録走査(不図示)の3回の主走査にて記録を行うことになる。
これに対し、本発明の第2の実施形態では、使用ノズル数を変更することで、同じ記録データ1604を2回の主走査により記録可能とするものである。
図17は、第2の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図18はその記録態様を示す模式図である。ここで、記録ヘッドに配列されるノズルの個数その他の条件は図16と同様とする。また、図17において、第1の実施形態に係る図12において説明したものと同様の処理ステップに対しては、同一の参照番号を付してその説明は省略する。すなわち、以下の説明は本実施形態に特有の処理についてのみ行うこととする。
まず、ステップS1201において記録データ受信を行い、記録データの開始位置から「紙送り量1」を決定する(ステップS1202)。この後、ステップS1203aにおいて「使用ノズル範囲1」を決定するが、この決定条件を以下のようにする。
・M=0のとき :ノズルseg0〜ノズルseg(K−P
・M>L−Pのとき :ノズルseg0〜ノズルseg(L−M+(K−P))
・上記以外のとき :ノズルseg0〜ノズルseg(K−P−1)
すなわち、「紙送り量1」の搬送後の「使用ノズル範囲1」を、給紙側は常にseg0とし、排紙側使用ノズルおよび使用ノズル数を記録データ開始位置により決定する。このように「使用ノズル範囲1」を決定した後、「紙送り量1」の搬送を実行し(ステップS1204)、ステップS1205aにおいて、先のステップS1203aにて決定した「使用ノズル位置1」のノズル群により記録走査を行う。
次にステップS1206で次の「紙送り量2」の領域中に記録データがあるか否かを判定し、ない場合には、それ以降は第1の実施形態と同様の処理とする。またステップS1206において記録データがあると判断された場合には、「紙送り量2」だけ搬送を実行し(ステップS1207)、「使用ノズル範囲2」による記録を行う(ステップS1207a)。この際の「使用ノズル範囲2」とは、給紙側のノズルseg0から始まって、使用ノズル数が「紙送り量2」の分と等しくなる位置のノズルまでのことである。この後、再度ステップS1206へ復帰し、上記説明した処理を繰り返す。
図18を参照するに、「紙送り量1」の搬送実施後において使用するノズル数は、第1の実施形態ではその後の記録走査時と等しい数としていたのに対し、本実施形態では排紙側に使用可能なノズルの余裕(非使用ノズル)があるならば、そこまで範囲を拡大して使用することを可能としている。このため図18においては、第2の記録走査と第3の記録走査とで記録データ1604の記録が可能となるのである。そして、各記録走査に使用するノズル数が異なっており、第2記録走査ではseg0〜seg11の12ノズル、第3記録走査ではseg0〜seg9の10ノズルが使用されていることがわかる。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、「紙送り量1」の搬送を実施した直後の使用ノズル範囲をその大きさについても可変とし、それ以後の記録走査においては使用ノズル位置を最も給紙側のノズルから一定数使用することにより、第1の実施形態よりもさらに、無駄な記録走査を有効に排することが可能となり、記録速度の一層の向上を図ることが可能となる。
(第3の実施の形態)
以上の2つの実施形態においては、ステップS1206において、次の「紙送り量2」の領域中に記録データがあるか否かを判定する処理としていたが、第3の実施形態はこの判定基準を変更するものである。
図19は、第3の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。ここで、第1および第2の実施形態において説明したものと同様の処理ステップに対しては、同一の参照番号を付してその説明は省略する。すなわち、説明は本実施形態に特有の処理についてのみ行うこととする。
本実施形態に特有の処理ステップS1206aでは、第1および第2の実施形態と異なり、ノズル数Kを搬送量最小単位Lで割った余りをPとするとき、記録データが(L−P)の範囲に存在するかを判定する。
ここで、図20および図21に示すような記録データ2003を考える。ここでは、給紙側の端部にあるノズルseg0から排紙側の端部にあるノズルseg11まで、12個のノズル(吐出口)が配列されているものとし、搬送量最小単位L=5、記録は1パスで行うものとする。
第2の実施形態の処理を適用した場合には、図20に示すように、第2〜第4の計3回の記録走査が必要であった画像を、本実施形態によれば、図21に示すように、第2の記録走査と第3の記録走査との計2回の主走査によって記録可能となる。すなわち、第2の実施形態よりさらに高速記録が可能となるのである。さらに言えば、記録データが(L−P)の範囲に存在するか否かを判定して搬送量ならびに使用ノズル範囲の設定を行うことは、記録媒体の先頭位置において記録データ受信後に行っている処理(ステップS1202〜S1205a)と同じであり、これによって第2実施形態よりもさらに効率的な記録が可能となっている。
(第4の実施形態)
以上の第1ないし第3の実施形態では、1パス記録を行う場合について例示したが、マルチパス記録を行う場合でも同様の考え方による処理、すなわち、記録データ位置に応じた「紙送り量1」の設定を行う処理、並びに使用ノズル範囲をその大きさ(使用ノズル数)を含めて可変とする処理を適用することで、高速記録を実現することが可能となる。
図22および図23は、それぞれ、本発明の第2実施形態と同様の処理を適用する場合および適用しない場合(従来)のマルチパス記録の1例を示す。ここでは、図16と同様なヘッド構成、すなわち、給紙側の端部にあるノズルseg0から排紙側の端部にあるノズルseg11まで、12個のノズル(吐出口)の配列を有するものとし、搬送量最小単位L=5、記録は2パスで行うものとする。
従来であれば、使用ノズル数を10とし、使用ノズル範囲において排紙側および給紙側それぞれの5ノズルずつで補完記録を行うため、図23に示すように、第0記録走査から第4記録走査までの計5回の記録走査により記録を行うことになる。
これに対し、本発明によれば、図22に示すように、従来方式であれば第0記録走査から第2記録走査までの計3回の記録走査で記録を行う領域を、第1記録走査および第2記録走査では使用ノズル数を増やすことにより、第1記録走査と第2記録走査で記録される領域を記録する際に同時に記録することが可能となる。つまり、第0記録走査を行わずに済ませることが可能となる。これによりマルチパス記録においても高速化を図ることができることがわかる。
より一般化すれば、通常記録時の搬送量(「紙送り量2」)と異なる「紙送り量1」の搬送(記録媒体先頭部分の記録データ位置、または図9に示すように「紙送り量2」より大きく離隔して存在する記録データ位置に記録ヘッドを設定するための搬送)を行ってからマルチパス記録がなされるある記録領域に着目した場合、当該搬送後にマルチパス記録の記録走査回数N(N=1,2,・・・,n)だけ、使用ノズル数を増加させて使用ノズル範囲を拡大し、さらにその後には、次の記録領域の記録に対しては、その領域の記録に関与するノズルのうち最も給紙側(搬送方向最上流側)に位置するノズルから必要数分だけを使用するように可変設定すればよい。
以上説明したように、マルチパス記録を行う場合においても、記録データ位置に応じて「紙送り量1」の搬送、並びに当該搬送を実施した直後の使用ノズル範囲をその大きさ(使用ノズル数)を含めて可変とし、それ以後の記録走査においては給紙側から必要数のノズルを用いて記録を行うことにより、使用ノズル範囲を固定する場合に発生していた無駄な記録走査を記録データによらず排することが可能となり、記録に要する時間を短縮することが可能となる。
(その他)
なお、上述のすべての実施形態では、説明を簡略化するために使用ノズル列を1列とし、かつこれが副走査方向に整列しているものとしたが、図1に示すように異なる色調に対応して複数のノズル列が配設された記録ヘッド、あるいは1色調についても複数のノズル列が配設された記録ヘッド、さらには配列方向が副走査方向および主走査方向に対して傾いている記録ヘッドを用いる場合においても、同様の効果が得られることは勿論である。また、用いられるインクの色調についても、単数であっても複数であってもよい。
また、上例では電気熱変換体によって発生した熱エネルギをインクに付与することよって生じる発泡力によりインクを吐出させる方式、すなわち所謂サーマル方式を用いた記録ヘッドを用いた例について説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、インクを吐出させるためにピエゾ素子などの圧電アクチュエータを用いた記録ヘッドを用いるものでもよい。
さらに、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液体はインクであるとして説明したが、その液体は上述のように狭義のインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液が吐出されるものでもよい。
加えて、記録ヘッドに配列されるノズル数、使用ノズル範囲に含まれるノズル数、モータないしは伝動機構を含む搬送系の基本特性によって定まる搬送量最小単位、およびその最小単位と配列ノズル数との関係から選択し得る搬送量などについて、上記各実施形態で示した数値は、説明を簡単にするために例示したものであって、本発明がそれら例示の数値によって限定されないことは言うまでもない。
さらに加えて、本発明は、パーソナルコンピュータ,デジタルカメラ,スキャナ等の画像データ供給源と接続されて情報出力端末をなす一般的なプリント装置のほか、複写機,通信システムを有するファクシミリ,ワードプロセッサ等の装置に一体化されたプリント装置や、各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置(捺染装置や印刷装置など)にも適用できるのは勿論である。
また、本発明は、記録素子の配列を用い、各記録素子が形成するドットによって記録を行う記録装置であれば、上述のようにインクジェット記録ヘッドを用いるもののみならず、その他の記録装置、例えば熱転写型やワイヤドット型などの記録ヘッドを用いる記録装置に対しても適用可能である。
記録ヘッドにおけるノズル配列の一例を示す模式図である。 マルチパス記録を説明するための模式図である。 1パス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 1パス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 1パス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 1パス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 マルチパス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 マルチパス記録の一例を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 記録媒体上に記録データが分散している状態を示し、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式図である。 本発明の代表的な適用例であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。 図10の装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 第1の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態における記録ヘッドと記録データの関係を示す模式図である。 第1の実施形態による記録態様の一例を示す模式図である。 第1の実施形態による記録態様の他の例を示す模式図である。 第1の実施形態をさらに改良する前提を説明するための模式図である。 第2の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態による記録態様を示す模式図である。 第3の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態をさらに改良する前提を説明するための模式図である。 第3の実施形態による記録態様を示す模式図である。 第4の実施形態であるマルチパス記録での記録態様を示す模式図である。 第4の実施形態を適用しないマルチパス記録での記録態様を示す模式図である。
符号の説明
2 キャリッジ
3、3’、505 記録ヘッド
50、P 記録媒体
600 コントローラ
601 MPU
602 ROM
603 ASIC
604 RAM
605 システムバス
605 A/D変換器
610 ホスト装置
611 インタフェース
1304、1405、1505、1604、2003 記録データ
seg0〜seg127 ノズル(吐出口)
p ノズルピッチ

Claims (9)

  1. 複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に相対的に主走査するとともに、各主走査間で記録媒体を前記主走査の方向と直交する方向に相対的に副走査させることで記録を行う記録装置において、
    前記記録媒体に対する前記記録ヘッドの所定の記録素子の位置から、前記記録媒体に次に記録すべき記録データの位置までの、前記副走査の方向における相対距離を取得する手段と、
    当該取得された相対距離、前記副走査を行うための機構の特性によって定まる前記副走査の量の最小単位、および、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数に基づいて、前記記録データを記録する位置までの前記副走査の量を決定する副走査量決定手段と、
    前記相対距離および前記副走査の量の最小単位に基づいて、前記記録素子の配列から前記記録データを記録するために使用する範囲を決定する使用記録素子範囲決定手段と、
    を具えたことを特徴とする記録装置。
  2. 前記複数の記録素子のうち前記副走査の方向の最上流側に位置する記録素子を前記所定の記録素子とした場合の前記相対距離をYd、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数をK、前記副走査の量の最小単位をL、前記Kを前記Lで除した際の余りをP、前記Ydを前記Lで除した際の余りをMとするとき、前記副走査量決定手段は、M>(L−P)の場合とそれ以外とで、副走査量を変更することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記使用記録素子範囲決定手段は、前記Mの大きさに応じて前記範囲を変更することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記使用記録素子範囲決定手段は、記録に関与させる前記記録素子の数も含めて前記範囲を変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録装置。
  5. 前記副走査方向上の前記記録ヘッドの位置を変更して同一の記録領域に対し1以上の整数であるN回の前記主走査を行わせる手段をさらに具え、前記使用記録素子範囲決定手段は、前記副走査量決定手段により決定された副走査量によっては、当該副走査後に行われる前記N回の主走査において前記記録に関与させる記録素子の数を増加させることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記使用記録素子範囲決定手段は、前記記録素子の数を増加させた前記N回の主走査後には、前記記録に関与する記録素子のうち前記副走査方向の最上流側に位置する記録素子から必要数分の記録素子だけを使用するように設定を行うことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. 前記記録ヘッドは、インクを吐出するためのノズルを前記記録素子として有するインクジェット記録ヘッドの形態を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の記録装置。
  8. 複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に相対的に主走査するとともに、各主走査間で記録媒体を前記主走査の方向と直交する方向に相対的に副走査させることで記録を行う記録方法において、
    前記記録媒体に対する前記記録ヘッドの所定の記録素子の位置から、前記記録媒体に次に記録すべき記録データの位置までの、前記副走査の方向上の相対距離を取得する工程と、
    当該取得された前記相対距離、前記副走査を行うための機構の特性によって定まる前記副走査の量の最小単位、および、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数に基づいて、前記記録データを記録する位置までの前記副走査の量を決定する工程と、
    前記相対距離および前記副走査の量の最小単位に基づいて、前記記録素子の配列から前記記録データを記録するために使用する範囲を決定する工程と、
    前記決定された範囲の記録素子を用いて記録を行う記録工程と、
    を具えたことを特徴とする記録方法。
  9. 複数の記録素子を配列してなる記録ヘッドをその配列方向とは異なる方向に相対的に主走査するとともに、各主走査間で記録媒体を前記主走査の方向と直交する方向に相対的に副走査させることで記録を行う記録装置における、記録素子の使用範囲を決定するためのプログラムであって、
    前記記録媒体に対する前記記録ヘッドの所定の記録素子の位置から、前記記録媒体に次に記録すべき記録データの位置までの、前記副走査の方向における相対距離を取得する工程と、
    当該取得された前記相対距離、前記副走査を行うための機構の特性によって定まる前記副走査の量の最小単位、および、前記記録ヘッドに配列された前記記録素子の数に基づいて、前記記録データを記録する位置までの前記副走査の量を決定する工程と、
    前記相対距離および前記副走査の量の最小単位に基づいて、前記記録素子の配列から前記記録データを記録するために使用する範囲を決定する工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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CN113492591A (zh) * 2020-03-19 2021-10-12 深圳市汉森软件有限公司 以图像采集装置为辅的打印方法、装置、设备及存储介质

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