JP4565338B2 - 永久磁石の固定構造及び固定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、永久磁石を支持部材に固定した永久磁石の固定構造及び固定方法に関する。
従来、永久磁石を支持部材に取り付ける場合には、永久磁石に接着剤を塗布して、支持部材上に配置した後、昇温し、接着剤を硬化させることによって、永久磁石を支持部材に固定する。
この種の技術としては、例えば、永久磁石をモータ等に固定する際に適用され、熱伝導性の高い接着剤を用い、モータの稼動によって発熱した永久磁石を冷却し易くしたもの(例えば、特許文献1参照)や、シリコーン系樹脂を主成分とする接着剤を使用することにより、磁力の劣化を抑えたもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、表面に被膜が形成された永久磁石の接着力を高めるものとして、ニッケルメッキ膜の表面にリン酸塩被膜を設けること(例えば、特許文献3参照)や、ポリイミド樹脂被膜に無機質微粒子を分散させること(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
さらに、永久磁石をモータに固定する別の方法として、ロータコアの外周面に周方向に沿って複数設けられた突起部の間に、永久磁石を嵌合し、その後、突起部を変形させて、永久磁石に接触させること(例えば、特許文献5参照)や、高分子材料と強磁性粒子との混合物からなる弾性を有する被膜を設けた永久磁石を圧入すること(例えば、特許文献6参照)も知られている。
特開2005−204352号公報 特開2004−194472号公報 特開2005−210135号公報 特開2004−71649号公報 特開2004−023944号公報 特開2004−56033号公報
しかし、前記従来の接着剤を用いて、永久磁石を固定する際には、接着剤を接着させるための工程が必要となる。すなわち、例えば、永久磁石をモータに固定する場合、通常のモータの組立工程とは別に、接着剤を硬化させるために接着剤を加熱したり、室温であっても長時間放置したりする必要があった。このため、モータの組立てには手間と時間がかかり、これがモータのコストアップの要因になっていた。
一方、永久磁石は、通常、磁化容易軸方向とこれに垂直な方向とで線膨張率が異なる。例えば、ストロンチウム・フェライト磁石では、磁化容易軸方向の線膨張率は15×10−6/℃であり、これに垂直な方向の線膨張率は10×10−6/℃である。また、ネオジウム・鉄・ボロン磁石では、磁化容易軸方向の線膨張率は5.2×10−6/℃であり、これに垂直な方向の線膨張率は−0.8×10−6/℃である。このように、磁化容易軸方向とこれに垂直な方向では、熱膨張が異なっており、特にネオジウム・鉄・ボロン磁石では、温度上昇によって磁化容易軸方向は膨張するのに対し、これに垂直方向では縮小する。このため、接着剤が硬化した後、永久磁石が熱膨張や熱収縮すると、永久磁石は接着剤によりその動きが抑制され、応力が発生して不具合が生じる虞があった。
また、ロータコアの隣り合う突起部の間に永久磁石を嵌合し、固定する技術にあっては、永久磁石の固定部分に過大な応力が加わるため、永久磁石に不具合が生じるという問題があった。特に、永久磁石の端部の稜線に応力が加わり、クラックが発生する場合には、クラックはモータの回転による遠心力によってさらに成長する虞があった。このような傾向は、フェライト磁石や希土類磁石等の靭性に劣る永久磁石の場合に高くなっていた。
さらに、永久磁石に弾性を有する被膜を設けて圧入する技術にあっては、被膜を弾性変形させることによって、永久磁石を固定するため、被膜が0.5mm程度の厚みが必要になる。このため、膜形成に手間がかかり、コストが高くなっていた。また、被膜を均一な厚みで形成することが難しく、被膜の厚みに応じて、永久磁石からの漏れ磁束や磁界が変化する虞もあった。
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであり、永久磁石を支持部材に、安価に、不具合なく固定できる永久磁石の固定構造及び固定方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明に係る永久磁石の固定構造の第1特徴構成は、永久磁石と、磁性を有し、前記永久磁石を支持する支持部材とを備え、前記永久磁石を、磁性イオン液体を介して、前記支持体に磁気吸着させてある点にある。
つまり、この構成によれば、磁性イオン液体を介して、永久磁石を支持部材に磁気吸着させることができ、接着剤等による他の接着工程を必要としないため、安価な永久磁石の固定構造を提供することができる。
また、永久磁石と支持部材とは、磁性イオン液体を介して固定しているため、使用環境の温度が変化して、永久磁石が大きく体積変化する場合であっても、磁性イオン液体はその体積変化に追随することができる。したがって、永久磁石の体積変化が妨げられることにより、不具合が生じることを防止することができる。
さらに、磁性イオン液体は、高温時でも蒸気圧がほとんどなく(例えば、200℃における蒸気圧は0に近い値)、耐熱性も200℃以上であるため、幅広い環境下で長期に亘って使用することができる。
本発明に係る永久磁石の固定構造の第2特徴構成は、前記磁性イオン液体は、下記式(I)で表される陰イオンから選ばれる少なくとも1種の陰イオンを備える点にある。
Figure 0004565338
(但し、M,Nはそれぞれ遷移金属原子であり、x+y+z=1,nはx,y,zにより定まる数値である。)
つまり、この構成によれば、磁性イオン液体は、吸湿性がなく、酸、アルカリに対してもほとんど反応しないため、磁性イオン液体の分解物等は発生せず、永久磁石に対する影響を小さくすることができる。
本発明に係る永久磁石の固定構造の第3特徴構成は、前記磁性イオン液体が、強磁性粒子を有する点にある。
つまり、この構成によれば、永久磁石を支持部材により強力に磁気吸着させることができる。
本発明に係る永久磁石の固定方法の第1特徴手段は、永久磁石を磁性を有する支持部材に固定する永久磁石の固定方法であって、永久磁石素材を前記支持部材の所期の位置に位置決めする位置決め工程と、前記永久磁石素材と前記支持部材との間に、磁性イオン液体を充填する充填工程と、前記永久磁石素材を着磁して前記永久磁石とし、前記支持部材に対する磁気吸着力を発生させる着磁工程と、を備える点にある。
つまり、この手段によれば、加熱、冷却工程や、長時間放置する工程が必要なくなるため、永久磁石を支持部材に安価に固定することができる。
本発明に係る永久磁石の固定方法の第2特徴手段は、永久磁石を磁性を有する支持部材に固定する永久磁石の固定方法であって、永久磁石素材の表面に、磁性イオン液体を塗布する塗布工程と、前記永久磁石素材を前記支持部材の所期の位置に位置決めする位置決め工程と、前記永久磁石素材を着磁して前記永久磁石とし、前記支持部材に対する磁気吸着力を発生させる着磁工程と、を備える点にある。
つまり、この手段によれば、前記第1特徴手段と同様に、加熱、冷却工程や、長時間放置する工程が必要なくなるため、永久磁石を支持部材に安価に固定することができる。
本発明に係る永久磁石の固定構造は、例えば、希土類磁石等のような永久磁石と、例えば、圧延鋼板等のような、磁性を有し、前記永久磁石を支持する支持部材とを備え、前記永久磁石を、磁性イオン液体を介して、前記支持体に磁気吸着させてあるものである。これにより、磁性イオン液体を介して、永久磁石を支持部材に磁気吸着させることができ、接着剤等による他の接着工程を必要としないため、安価な永久磁石の固定構造を提供することができる。
また、永久磁石と支持部材とは、磁性イオン液体を介して固定しているため、使用環境の温度が変化して、永久磁石が大きく体積変化する場合であっても、磁性イオン液体はその体積変化に追随することができる。したがって、永久磁石の体積変化が妨げられることにより、不具合が発生することを防止することができる。
このような固定構造で固定できる永久磁石は、特に制限はなく、フェライト磁石や、ネオジウム磁石等の希土類磁石等、いずれの永久磁石であっても適用可能である。また、支持部材は、圧延鋼板等のように、磁性を有し、永久磁石が磁気吸着することができるものであれば、問題なく使用することができる。
本発明で使用する磁性イオン液体は、高温時でも蒸気圧がほとんどなく(例えば、200℃における蒸気圧は0に近い値)、耐熱性も200℃以上であるため、幅広い環境下で長期に亘って使用することができる。例えば、自動車用のモータ等のように、10年以上使用する場合であっても、磁性イオン液体が蒸発してなくなることがない。
このような磁性イオン液体は、特に限定はされないが、下記式(I)で表される陰イオンから選ばれる少なくとも1種の陰イオンを備えるものを使用することができる。
Figure 0004565338
(但し、M,Nはそれぞれ遷移金属原子であり、x+y+z=1,nはx,y,zにより定まる数値である。)
具体的には、陰イオンとして、上記式(I)において、x=1,y=z=0,n=1である[FeCl4]-を有し、陽イオンとして1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムを有する塩化鉄(III)酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化鉄(III)酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化鉄(III)酸1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化鉄(III)酸1−デシル−3−メチルイミダゾリウムが例示される。
上記に例示した磁性イオン液体の場合、特に、吸湿性がなく、酸、アルカリに対してもほとんど反応しないため、例えば、腐食による吸引力の劣化等のような永久磁石に及ぼす影響を極力小さくすることができ、従来のように接着剤から塩化物イオン等が溶出し、永久磁石を腐食することはない。
また、磁性イオン液体は、さらに強磁性粒子を有することもできる。これにより、永久磁石を支持部材により強力に磁気吸着させることができる。強磁性粒子としては、例えば、鉄粉、マグネタイト等を挙げることができ、鉄粉の場合、平均粒径が1μm程度のものを用いて磁性イオン液体に分散させる。鉄粉と磁性イオン液体とは比重差があるため、鉄粉を磁性イオン液体中に分散させる際には、カップリング剤を用い、鉄粉と磁性イオン液体とをカップリング剤を介して結合させるとよい。カップリング剤としては、特に限定はされないが、例えば、親水性のチタン系カップリング剤等を使用することができる。この場合、例えば、鉄粉と磁性イオン液体の体積割合が1:2となるように混合し、これに鉄粉の重量の2wt%に相当するカップリング剤を加えて1時間程度混合することにより、鉄粉が分散した磁性イオン液体を作製することができる。
このような永久磁石を支持部材に固定する永久磁石の固定方法は、例えば、永久磁石素材を前記支持部材の所期の位置に位置決めする位置決め工程と、前記永久磁石素材と前記支持部材との間に、磁性イオン液体を充填する充填工程と、前記永久磁石素材を着磁して前記永久磁石とし、前記支持部材に対する磁気吸着力を発生させる着磁工程と、を備えるものである。これらの方法によれば、加熱、冷却工程や、長時間放置する工程が必要なくなるため、永久磁石を支持部材に安価に固定することができる。なお、永久磁石素材とは、着磁することによって永久磁石となるものである。
位置決め工程は、永久磁石素材を、支持部材の固定したい位置に位置決めする工程で、例えば、支持部材の上に永久磁石をそのまま配置したり、クリップ等で永久磁石と支持部材とを挟持させて仮固定してもよく、従来公知の位置決め手段を適用することができる。
充填工程は、永久磁石と支持部材との間に磁性イオン液体を注入して、充填する工程で、例えば、注射針を備えた充填器を使用することにより、永久磁石と支持部材との間に容易に充填することができる。そして、充填した後は、永久磁石と支持部材とを摺動させることにより、磁性イオン液体を両者の間に満遍なく行き渡らせることができる。また、本発明に係る永久磁石の固定方法においては、充填工程に代えて、前記位置決め工程の前に、永久磁石素材の表面に、磁性イオン液体を塗布する塗布工程を行うこともできる。この場合には、永久磁石の表面の一部または全体に磁性イオン液体を塗布し、支持部材の所期の位置に位置決めした後、前記充填工程と同様に、永久磁石と支持部材とを摺動させて磁性イオン液体を両者の間に満遍なく行き渡らせればよい。
着磁工程は、着磁機によって永久磁石素材に磁界をかけて永久磁石とし、支持部材に対する磁気吸着力を発生させる工程である。この工程において、永久磁石は、着磁機によって全ての磁区を形成する磁気モーメントが、磁界方向に向けられる。
一方、永久磁石素材を着磁する際には、着磁機からの大きな磁界が磁性イオン液体にも印加され、磁性イオン液体の磁気モーメントは磁界方向に揃えられる。このため、磁性イオン液体の磁気モーメントの方向は、永久磁石の磁気モーメントと同一方向になり、永久磁石からの漏れ磁束や磁界は、磁性イオン液体中に集中される。これにより、永久磁石からの漏れ磁束や磁界は、減ずることなく支持部材に伝えることができる。
本発明に係る永久磁石の固定方法で使用する磁性イオン液体は、特に制限はないが、上記に例示した磁性イオン液体は、30℃において10数mPa・sの粘度を有するため、注射針を有する充填器で注入することが可能であり、その反面、この粘度に基づく表面張力を有するため、磁気吸着させる前であっても、永久磁石と支持部材との間から磁性イオン液体が脱落することがなく、好ましく使用することができる。
以下、本発明に係る永久磁石の固定構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、図1に示すような直流モータ(以下、「モータ」と称する)1に適用した場合を例として説明する。
モータ1は、本発明の支持部材であるハウジング2と、ハウジング2に取り付けられた永久磁石3と、ハウジング2の内部に挿入されたロータ4とを備えて構成され、ロータ4には、ロータ4が回転する際の回転軸となるシャフト5と、電流を流してロータ4を磁化させるためのコイル6とが設けられている。ハウジング2はヨークを兼ねるものであり、ハウジング2と永久磁石3との間隙7には、磁性イオン液体8が充填されている。
このようなモータ1において、永久磁石3を固定する場合には、(1)永久磁石3が体積変化した場合に、その変化に追随できるもので固定してあること、(2)永久磁石3の磁束や磁界の減少がないもので固定してあること、(3)永久磁石3とハウジング2との間隙7が狭いこと、等の一般的な要求に加えて、(4)永久磁石3を加熱したり、冷却したりする必要がないこと、(5)モータ1を組み立てる際に、他の部品と同様の工程の中で、永久磁石3をハウジング2に固定できること、(6)モータ1の稼動中に永久磁石3が脱落しないこと、等について求められる。
これについては、モータ1の組立工程の一例を示すと、まず、ハウジング2に永久磁石3を挿入して仮固定した後、磁性イオン液体8を間隙7に充填する。そして、ハウジング2と永久磁石3と磁性イオン液体8とを備えるハウジング部材に、ロータ4とシャフト5とコイル6とを備え、サブアセンブリされたロータ部材と、サブアセンブリされたエンドベルキャップ部材(図示せず)とを挿入して、ハウジング部材に固定する。この後、着磁機によって、ハウジング2の外側から永久磁石3を着磁する。このため、永久磁石3をハウジング2に固定する際に、昇温、冷却工程を必要とせず、また、従来のモータ1の一連の組立工程の中で永久磁石3をハウジング2に固定することができる。なお、モータ1のその他の構成は、従来公知のものと同様である。
また、ハウジング2と永久磁石3との周方向の加工精度が±0.05mmで加工することにより、両者が形成する最大で100μmの間隙7に磁性イオン液体8を充填することができ、従来のように300〜500μmの厚みを有する接着剤の層によって、永久磁石3からの漏れ磁束が減少することがないため、永久磁石3はハウジング2により強力に磁気吸着することができる。
以上の通り、本発明に係る永久磁石の固定構造をモータ1に適用することにより、(1)モータ1を自動車等に使用することにより、幅広い温度変化があったとしても、磁性イオン液体8は形状変化自在であるため、永久磁石3の体積変化、及び磁性イオン液体8の体積変化によって永久磁石3に応力を与えることはない。(2)磁性イオン液体8は、永久磁石3と同様に着磁機による磁界が印加され、磁石と同一方向に磁気モーメントが揃うため、永久磁石3とハウジング2との間隙7における磁束や磁界の減少を防止できる。(3)磁性イオン液体8は、永久磁石3とハウジング2との寸法公差による間隙7に、容易に充填することができるため、永久磁石3とハウジング2との間隙7が大きくなることがなく、永久磁石3のハウジング2への磁気吸着力を大きくすることができる。(4)磁性イオン液体8を永久磁石3とハウジング2との間隙7に充填させる工程、もしくは永久磁石3に塗布する工程のみからなるので、従来のような接着剤の昇温、高温保持、冷却等の工程を必要せず、製作コストを安くすることができる。(5)モータ1の組み立ての最終工程である着磁工程で、磁性イオン液体8を介して永久磁石3をハウジング2に固定させるので、モータ1の組立工程に影響を与えず、連続した一連の工程の中で行うことができ、(4)と同様に、製作コストを安くすることができる。(6)磁性イオン液体8は、永久磁石3とハウジング2との寸法公差に基づくわずかな間隙7に充填することができるので、永久磁石3とハウジング2との磁気結合力が強大になり、モータ1が稼動しても、遠心力によって永久磁石3が脱落することを防止することができる。
以下、本発明に係る永久磁石の固定構造を、図1に示すモータ1に適用した場合の実施例について説明する。
内径50mm、厚み1.6mmで、強磁性体の冷間圧延鋼板SPCC材製のハウジング2の内側に、永久磁石素材として、予め耐食性の保護膜が形成された肉厚5mmの円弧状のネオジウム・鉄・ボロン焼結磁石(以下、「ネオジウム磁石」と称する)素材を、図1のように2つ配置した。この時のハウジング2の内径とネオジウム磁石素材の外径との加工精度は、100μmの幅である。
そして、ハウジング2とネオジウム磁石素材との間隙7に、磁性イオン液体8として、塩化鉄(III)酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウムを1ml充填し、ネオジウム磁石素材の位置を固定したまま、ハウジング2を1回転させた後、再び、同様の磁性イオン液体8を間隙7に1ml充填し、ハウジング2を1回転させて、間隙7の全体に磁性イオン液体8を行き渡らせた。
この後、従来公知の方法によってサブアセンブリされたロータ4とシャフト5とコイル6とを備えるロータ部材を、ネオジウム磁石素材の内側に配置した。さらに、同様にサブアセンブリされたエンドベルキャップ部材を配置し、エンドベルキャップを構成している固定部材を加工して、モータ1を組み上げた。そして、フル着磁に必要な20kAの電流を流せる着磁機によって、ネオジウム磁石素材をフル着磁し、ネオジウム磁石とした。
こうして作製したモータ1を、このモータ1の最高回転速度である3000rpmの回転速度で、図2に示す温度サイクル条件により、連続500時間、回転させた。この後、モータの4点性能である無負荷回転数、無負荷電流、停動トルク、停動電流について測定した。なお、モータ1は密閉構造であるため、可動部の摺接熱によって昇温し、最高で150℃付近まで昇温した。
その結果、モータ1の4点性能には、前記の温度サイクル試験前後において、大きな変化は見られなかった。これにより、ハウジング2に固定された永久磁石3であるネオジウム磁石の位置変化はなく、磁性イオン液体8の性質にも変化がないことが確認できた。
以上に説明したように、本発明では、磁石と支持部材との間隙に、磁性イオン液体を充填することによって、磁石の固定が行われる。これによって、磁石を用いる製品、例えばモータを組み立てる工程の中で、磁性イオン液体を充填させることができる。この結果、モータの組み立て費用が安価にできる。
また、磁性イオン液体は、粘度の低い液体であるため、磁石と支持部材との加工精度に基づく僅かな間隙に、充填させることができる。さらにまた、磁性イオン液体は、磁石を着磁するときの磁界によって、磁気モーメントが磁界方向に揃うため、磁石からの磁束や磁界を減少させずに、支持部材に伝える。これによって、磁石からの磁力を減じることなく、強力な磁気吸引力で、磁石を固定させることができる。
本発明に係る永久磁石の固定構造及び固定方法は、永久磁石を支持部材に、安価に、不具合なく固定できるため、直流モータ等のモータ用途に限らず、様々な用途に適用することができる。
本実施形態に係るモータの構成を示す断面図 本実施例に係る温度サイクル試験の条件を示すグラフ
符号の説明
1 モータ
2 ハウジング(支持部材)
3 永久磁石
8 磁性イオン液体

Claims (5)

  1. 永久磁石と、磁性を有し、前記永久磁石を支持する支持部材とを備え、前記永久磁石を、磁性イオン液体を介して、前記支持体に磁気吸着させてある永久磁石の固定構造。
  2. 前記磁性イオン液体は、下記式(I)で表される陰イオンから選ばれる少なくとも1種の陰イオンを備える請求項1に記載の永久磁石の固定構造。
    Figure 0004565338
    (但し、M,Nはそれぞれ遷移金属原子であり、x+y+z=1,nはx,y,zにより定まる数値である。)
  3. 前記磁性イオン液体は、強磁性粒子を有する請求項1または2に記載の永久磁石の固定構造。
  4. 永久磁石を磁性を有する支持部材に固定する永久磁石の固定方法であって、
    永久磁石素材を前記支持部材の所期の位置に位置決めする位置決め工程と、
    前記永久磁石素材と前記支持部材との間に、磁性イオン液体を充填する充填工程と、
    前記永久磁石素材を着磁して前記永久磁石とし、前記支持部材に対する磁気吸着力を発生させる着磁工程と、
    を備える永久磁石の固定方法。
  5. 永久磁石を磁性を有する支持部材に固定する永久磁石の固定方法であって、
    永久磁石素材の表面に、磁性イオン液体を塗布する塗布工程と、
    前記永久磁石素材を前記支持部材の所期の位置に位置決めする位置決め工程と、
    前記永久磁石素材を着磁して前記永久磁石とし、前記支持部材に対する磁気吸着力を発生させる着磁工程と、
    を備える永久磁石の固定方法。
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