JP2001346345A

JP2001346345A - 同期機ロータ

Info

Publication number: JP2001346345A
Application number: JP2000162282A
Authority: JP
Inventors: Toshihiko Furukawa; 利彦古川
Original assignee: Sodick Co Ltd
Current assignee: Sodick Co Ltd
Priority date: 2000-05-31
Filing date: 2000-05-31
Publication date: 2001-12-14
Anticipated expiration: 2020-05-31
Also published as: JP4566336B2

Abstract

(57)【要約】【課題】円筒形のロータコアの外周面に複数個の永久磁
石片を貼り付け固定した方式の回転子を用いる交流同期
モータは、製作容易で制御性が良く、高速回転も可能な
ところから工作機械の主軸用ビルトインモータとして使
用されるようになってきているが、接着剤老化等による
永久磁石片の剥離の問題があり、磁石片の両側面に回転
子中心側へ拡開するテーパ面を形成し、これを回転子外
周の周方向の両側端にテーパ面を有するあり溝凹所に摺
動嵌着して楔作用で保持させていたが充分でなかった。【解決手段】上記永久磁石片に、更に回転子中心側の幅
方向の中央部に両側面が中心側に拡開したテーパ面を有
する凸条部分を形成し、回転子あり溝凹所の幅方向中央
部分に、上記凸条部分が嵌合する相補形のテーパ面を有
する凹所を有せしめ、永久磁石片の幅方向中央部分でも
回転子に結合保持させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械、例えば
マシニングセンタ等の主軸装置、特に、主軸装置にビル
トイン可能で高性能の小型、軽量で、制御性が良く、高
速回転の可能な交流同期モータ，特にその回転子ロータ
に係わる。

【０００２】

【従来の技術】最近の工作機械では、テーブル、ワーク
等の送り制御用に直流モータから永久磁石形交流同期モ
ータ、あるいはさらに各種のリニアモータが使用され、
主軸用には主に交流誘導モータが使用されているのが多
いようである。これは、主軸用モータでは、多くの場
合、回転速度制御と特定位置割出し制御のみが必要で、
送り制御ほどの制御の複雑さはないからで、構造が簡単
で大出力を発生するかご型誘導モータの使用が多かっ
た。

【０００３】しかるに近時、主軸回転速度が数万ＲＰＭ
またはそれ以上の超高速切削等の加工の要請に対し、回
転モータを主軸構造と一体化したビルトイン形の所謂高
周波モータが使用されるようになってきている。しかし
ながら斯種高周波モータ等による高速回転のためには、
固定子等の強制冷却が必要なだけでなく、軸受に磁気式
や流体圧方式の非接触軸受の使用が必要とされ、高速回
転時における軸受剛性等が問題となるだけでなく、極め
て精密、複雑な構成で、精細な保守制御が要請される。

【０００４】これに対し、近時希土類合金系の永久磁石
の高性能化開発が進み、最大エネルギ積が約２４０ＫＪ
／ｍ^３（≒３０ＭＧＯ）に及ぶＳｍ_２Ｃｏ_１７から、資
源問題をも同時に解決する約３２０ＫＪ／ｍ^３（≒４０
ＭＧＯ）超のＮｄＦｅＢ系焼結磁石が開発されるに到
り、制御性の良好な高性能の永久磁石形交流同期モータ
が得られるようになり、送り用モータとしてだけでな
く、主軸用モータとしても使用されるようになってきて
いる。

【０００５】而して、斯種の永久磁石形の交流同期モー
タのロータとしては、ヨークを成すロータコアと永久磁
石とを円周方向に交互に挟持構造で配置したラジアル形
ロータと、円筒形のロータコアの外周面に複数の永久磁
石片を貼り付け式に固定した表面貼り付け形ロータの２
種が多く実用されている。本発明は、上記後者の表面貼
り付け形ロータの構成を改良して、高速回転で必要とす
る主軸用のビルトイン交流同期モータとして使用できる
ようにしたものである。

【０００６】上記の表面貼り付け形のロータは、一般に
複数個のＮｄＦｅＢ合金系の焼結永久磁石片を、接着剤
を用いて円筒形をしたロータコアの表面に磁気吸着と接
着剤で、貼り付ける固定構造をとっている。この場合に
は、ロータの回転に伴う遠心力と固定子の磁界との磁気
的相互作用に基づく磁気吸引力との両力を受けた状態で
長時間回転する場合にも、永久磁石片がロータコアの表
面から剥離しないためには、磁気吸着と接着剤の接着強
度が各永久磁石片に作用する上記の遠心力と磁気吸引力
との合力に充分に勝る強度であることが要求される。

【０００７】このためには、永久磁石片の固定を磁気吸
着と接着剤のみに頼ることを避け、ロータコアの外周表
面に軸方向に延在するように凹所を形成し、この凹所内
に永久磁石片の下底面側の一部以上を沈めることによ
り、凹所の側壁で永久磁石片の側面を保持するようにな
ってきている。そして、最近では、上記の凹所を回転軸
の中心に向けて両側面が拡開したテーパ状に形成すると
共に、永久磁石片を同凹所の相補形に接着面側が上面側
より広がったテーパ面に形成し、各永久磁石片をロータ
コアの軸方向端面から凹所に差込み式に挿入位置決め
し、必要に応じ接着剤を用い、固定した楔形剥離防止構
造が採られるようになってきている（例えば、特開平５
−１６１，２８７号公報等参照）。

【０００８】また、さらに、上述のような永久磁石片の
固定構造に於ける接着剤の老化に起因する問題を回避す
るために、前述テーパ広がりの永久磁石片を相補形のロ
ータコア凹所に、両者の界面を拡散接合させたもの（例
えば、特開平６−１０５，５０４号公報参照）、あるい
はさらに、ロータコアの凹所に嵌着する永久磁石片を、
永久磁石片を台金にろう付けした２層構造とし、この２
層構造体をロータコアの凹所に焼きばめによって嵌着保
持させるものもある（例えば、特開平８−８０，０１５
公報参照）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなロータ回転子にあっては、接着剤の老化等によっ
てロータコアと永久磁石片間の剥離が生じてしまった場
合、永久磁石片はロータコア凹所の両傾斜側面部の楔作
用によって支えられるものの、高速回転で永久磁石片の
曲げ応力が曲げ強度を上回ると、剥離、飛散による損壊
は避けられない。また、上述特開平６−１０５，５０４
号公報に開示のものは、ロータコアと永久磁石片との固
着に拡散接合法を用いており、両者の固着強度は高いも
のの、高価な設備を必要とし、製造コストが上昇してし
まったり、せっかくの高性能磁石片の磁気特性を損なう
可能性もあった。また、さらに上述特開平８−８０，０
１５号公報に開示のものは、ろう付けが硬ろうによる面
間ろう付けで、また焼きばめはロータコア側全体の加熱
であって、何れも比較的難作業であると共に高磁気特性
の磁石およびロータコアへの熱影響の問題があった。

【００１０】本発明は、このような問題を解決するもの
であって、前述両側面が傾斜して軸心方向に拡開したテ
ーパ面を持つ希土類磁石等の高性能の永久磁石片を、相
補形の軸方向に延在する凹所に摺動させ、接着剤を用い
ず、または用いて接着固定する方式の交流同期のロータ
コアに於ける磁石片剥離、脱落の欠点を解消することを
目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前述の本発明の目的は、
（１）内周円筒形の固定子内に回転可能に配置され、円
柱形の回転子コアの表面に周方向に貼り付けて固定され
た複数個の永久磁石片を有する同期機の回転子におい
て、前記永久磁石片は、前記回転子コア表面に軸方向に
平行に延在するように周方向に所定数形成したあり溝凹
部に、軸方向に摺動して嵌合する相補形の寸法形状を有
し、前記あり溝凹部における相補形が、前記周方向の両
端に於いて、回転子中心側に向けて両側面が拡開したテ
ーパ面に形成された凹溝であって、さらに、前記回転子
中心側の面の両側端間の中央部に、回転子の中心側に向
けて両側面が拡開したテーパ面に形成された軸方向に伸
びる所定深さの凹溝を有することを特徴とする同期機ロ
ータとすることにより達成される。

【００１２】また、前述の本発明の目的は、（２）前記
あり溝凹部に相補形の永久磁石片が、回転子表面側の磁
石部分と回転子中心側の保持凸条部分からなる前記
（１）に記載の同期機ロータとすることにより達成され
る。

【００１３】

【実施例】以下本発明の同期機の回転子ロータを図示実
施例により説明する。図１は、第１の実施例の回転子ロ
ータの軸直角断面図で、１は中空主軸、２は主軸と同軸
の磁石保持材、そして３は永久磁石片で回転子を構成し
ている。前記中空主軸１と磁石保持材２とは、各磁石片
３間および回転子の外周表面と図示しない内周円筒形の
固定子内面の微小間隔を置いて相対向する固定子鉄芯と
の間に良好な界磁磁場を形成するように、前者中空主軸
１を所定強磁性体の鋼材製のものとし、これに対し、後
者磁石保持材２を非強磁性の、例えば２．０％Ｃ以上の
Ｆｅ−Ｃ系鋳鉄のような鉄系合金、または希にＣｕ−Ｂ
ｅ系のような高強度銅合金を使用する。中空主軸１に対
する磁石保持材２の取付けは、接着剤による接着、ある
いは軸方向の所望複数箇所におけるねじ止めの両方また
は一方により行なわれているものとする。

【００１４】上記永久磁石片３は、前述希土類合金磁
石、好ましくはＮｄＦｅＢ合金系の焼結合金から成り、
前記中空主軸１表面に磁気吸着するが、より好ましく
は、接着剤による主軸１および保持材２との接着をも行
わせるものである。

【００１５】そして、本発明に於いては、永久磁石片３
は図示の場合、磁石保持材２を介し、主軸１に機械的に
保持される。即ち、前記の各永久磁石片３は、中空主軸
１と該主軸１を同軸に包皮する磁石保持材２から成る回
転子コアの表面に、軸方向に相互に平行に延在するよう
に周方向に所定数形成したあり溝凹部４に、軸方向に摺
動して嵌合する相補形の寸法・形状を有し、そしてこの
あり溝凹部４に於ける前記の相補形が、前記周方向の両
端に於いて、回転子の中心側へ向けて両側面が拡開した
テーパ面５Ａに回転子周面に形成された凹溝５であっ
て、さらに、前記回転子中心側の面の両側端間の中央部
に、回転子の中心側に向けて拡開したテーパ面６Ａに形
成された軸方向に伸びる所定深さの凹溝６を有するもの
である。

【００１６】従って、前記回転子コア表面に形成された
あり溝凹部４に軸方向に摺動して嵌合する各永久磁石片
３は、図２に斜視図として示すように、前記凹溝５に対
応する軸方向と直角方向の両端に於いて、回転子の中心
側へ向けて両側面が拡開するテーパ面３Ａに形成された
回転子周面の磁石部分３Ｂと、回転子中心側の面の両側
端間の中央部に、回転子の中心側に向けて拡開したテー
パ面３Ｃに形成された凸条部分３Ｄを有している。この
ため、永久磁石片３は、磁石部分３Ｂとこれに相補形の
凹溝５間の接着剤による接着と、磁石部分３Ｂの両側端
のテーパ面３Ａと回転子のテーパ面５Ａとの楔作用によ
り保持されているが、接着剤老化による耐遠心力弱点部
分、即ち磁石部分３Ｂの幅方向の中央部分が、回転子の
中心側に於いて、凸条部分３Ｄのテーパ面３Ｃと回転子
の凹溝６のテーパ面６Ａ間の楔作用により固定された状
態に保持されているので、永久磁石片３は、回転子の高
速回転によっては簡単に剥離しないことになる。

【００１７】前記のあり溝凹部４に対応する磁石保持材
２の、特に磁石片３摺動嵌合面は、機械的研削および研
磨による外、好ましくは、永久磁石片３の切り出し成形
に適用されるワイヤ電極を工具とするワイヤ放電加工の
輪郭加工により切り出し成形加工するのが良い。また、
前記永久磁石片３として、前記凸条部分３Ｄを強磁性体
の鋼製として磁石部分３Ｂとろう付けしたものを用いる
ようにすると、磁石材の使用量を減少させ、また、ワイ
ヤ放電加工を必要としないから、加工費を低減させるこ
とが出来る。

【００１８】図３は、本発明の他の実施例の前述図１と
同様な回転子ロータの直角断面図を示すもので、中心部
分７が、中空柱状のセラミックス製で、該セラミックス
７に同軸状に包皮して、強磁性体の鋼材等からなるロー
タヨーク８が設けられることにより回転子が形成され、
該ロータヨーク８に前述図１のものと同一の永久磁石片
３を摺動嵌着する前述あり溝凹部４がワイヤ放電加工に
より加工形成してあり、この永久磁石片３とあり溝凹部
４間の相補形の嵌合、保持の関係等は、前述のものと同
一のものである。なお、前記セラミックスとしては、窒
化硅素Ｓｉ_３Ｎ _４等が好ましく、回転子を軽量に構成す
ることができる。

【００１９】図４は、本発明の、また他の実施例の回転
子ロータの直角断面図で、全体としては前述図１の実施
例のものと同一であるが、細部に於いて永久磁石片３０
の断面形状や、その回転子の中心側に形成される保持凸
条部分３０Ｄの形状および保持位置等の変更例を示して
いる。即ち、磁石部分３０Ｂおよびそのテーパ面３０
Ａ、これに対する磁石保持材２０およびその凹部５０保
持テーパ面５０Ａとの関係は、前述図１のものとほぼ同
等であるのに対し、上記磁石部分３０Ｂに回転子の中心
側の幅方向の中央部に設けられる保持凸条部分３０Ｄ
が、中空主軸１０中に楔グリップ状に形成されており、
該楔グリップ状の凸条部分３０Ｄは磁石部分３０Ｂの永
久磁石にろう付けされた強磁性体鋼等の合金であっても
良い。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の同期機ロ
ータによれば、回転子の周表面に設けられる永久磁石片
が、回転子表面側においては、周方向の両側端部におけ
るテーパ面により磁石保持材により保持されるだけでな
く、回転子の中心側においては、幅方向の中央部におけ
る凸条部分の両側テーパ面と磁石保持材または主軸ロー
タコアの嵌合テーパ面とによって保持されているので、
永久磁石片とロータコア間等の接着剤の老化があったと
しても、上記永久磁石片は難剥離性とすることができ、
従って、高制御性で、高速回転の工作機械のビルトイン
主軸用同期機ロータとして使用して有用なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の同期機の回転子ロータの実施例の直角
断面図。

【図２】同実施例に於ける永久磁石片の斜視図。

【図３】他の実施例の回転子ローラの直角断面図。

【図４】また、他の実施例の回転子ローラの直角断面
図。

【符号の説明】

１、１０回転主軸２、２０磁石保持材３、３０永久磁石片４あり溝凹部５、６凹溝５Ａ、６Ａテーパ面３Ａ、３Ｃテーパ面３Ｂ、３０Ｂ磁石部分３Ｄ、３０Ｄ凸条部分

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内周円筒形の固定子内に回転可能に配置
され、円柱形の回転子コアの表面に周方向に貼り付けて
固定された複数個の永久磁石片を有する同期機の回転子
において、前記永久磁石片は、前記回転子コア表面に軸
方向に平行に延在するように周方向に所定数形成したあ
り溝凹部に、軸方向に摺動して嵌合する相補形の寸法形
状を有し、前記あり溝凹部における相補形が、前記周方
向の両端に於いて、回転子中心側に向けて両側面が拡開
したテーパ面に形成された凹溝であって、さらに、前記
回転子中心側の面の両側端間の中央部に、回転子の中心
側に向けて両側面が拡開したテーパ面に形成された軸方
向に伸びる所定深さの凹溝を有することを特徴とする同
期機ロータ。
【請求項２】前記あり溝凹部に相補形の永久磁石片
が、回転子表面側の磁石部分と回転子中心側の保持凸条
部分からなることを特徴とする請求項１に記載の同期機
ロータ。