JP2011135728A - 磁石埋め込み型回転子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】永久磁石3と磁性体ヨーク4が接合一体化された磁石構造体を回転子コア1に形成された磁石穴2に挿入配置する構成において、前記磁性体ヨーク4に形成した磁性体ヨーク嵌合部6と磁石穴に形成した磁石穴嵌合部7の各々嵌合部を嵌合させ、固定したことを特徴とする磁石埋め込み型回転子である。
【選択図】図1
Description
図9に示すように周方向60°毎に形成された磁石穴112を形成した回転子コア111、及び、図10に示すように周方向45°毎に形成された一対の磁石穴122a及び122bからなるV字型磁石穴122を形成した回転子コア121の、各々磁石穴112及び122に厚み方向に磁化した永久磁石(図示せず)を挿入配置し、前者は回転子コア111の外周面に6極、後者は回転子コア121の外周面に8極の磁極を形成する磁石埋め込み型回転子である。
また、着磁した後の永久磁石の取り扱いや製造工程の自動化等を考慮し、永久磁石を回転子コアに形成された磁石穴に挿入配置した後で着磁する方法が一般的に採用されている。
近年、地球温暖化ガスの削減の観点から注目されている発電出力1MWを超える風力発電機では、回転子コアの直径、軸方向の長さともに1m以上となる。
また、磁石穴に挿入配置される永久磁石も磁気特性に優れたNd−Fe−B系焼結磁石が多用されるため、着磁用のコイルは大型化するばかりでなく着磁磁場を形成するために着磁用コイルに流す電流は極めて大きなものとなり着磁磁場発生用の電源が大型化し、工業的規模における生産には前記組立着磁方法の採用は不向きであるとされている。
前記電磁鋼板は打ち抜き加工によって所定形状に形成されるが、一般的な機械加工に比べて高い寸法精度を得ることは困難であり、各電磁鋼板に形成された磁石穴の寸法および位置に変動が発生する。又、積層過程における各電磁鋼板の積層方向のずれにより、必ずしも十分な磁石穴内部の寸法精度が得られるわけではない。結果として最終的に得られる磁石穴の壁面に凹凸が発生する。
永久磁石を無着磁の状態で挿入配置する場合には、このように磁石穴の壁面に凹凸が存在しても、永久磁石と磁石穴の壁面との間で磁力による吸引力(磁気的吸引力)が発生しないため、永久磁石と磁石穴の壁面とが接触しても永久磁石が受ける衝撃は軽微となり前記凹凸の存在による永久磁石への影響は少ない。
また、着磁されている永久磁石が回転子コアの磁石穴内部で破損した場合、磁石穴内部から破損した永久磁石を除去し回転子コアを再利用するのも困難を極める。
すなわち、風力発電機用磁石埋め込み型回転子等の直径が大きい回転子に作用する遠心力は、従来から多用される直径が小さい回転子に作用する遠心力に比べて極めて大きくなる。したがって、回転中の回転子コアからの永久磁石の飛び出し防止のためには、磁気的な効率よりも機械的強度を優先し、永久磁石を回転子コアのより内部に配置する構造を採用せざるを得ないのが現状である。
磁石埋め込み型回転子が回転した時、上記張出凹部135と張出凸部136の係合によって遠心力による取付部材132の外れ防止をすることができると記載されている。
なお、永久磁石133の着磁(磁化)方法について具体的な説明はないが、最終的な磁化方向は図示のように永久磁石133の厚み方向と推測される。
したがって、特許文献2の構成を、直径の大きな回転子コアを有する磁石埋め込み型回転子に採用しても、磁気的な効率よりも機械的強度を優先した従来から公知の構造と大差なく、昨今の要望を満足する構成とは言い難い。
すなわち、予め着磁(磁化)された永久磁石の磁石穴での保持構成を工夫することにより、永久磁石と回転子コアの外周面との間隔を狭く(肉厚を薄く)しても、遠心力による永久磁石の回転子コアからの飛び出しが防止でき、もって上記間隔の増大を要因とする閉磁路
形成(永久磁石から発生する磁束の短絡)による磁気的な損失増大を抑制し、永久磁石の持つポテンシャルを有効に使う事のできる磁石埋め込み型回転子の提供を目的とする。
また、予め着磁された永久磁石の磁石穴への挿入配置を容易にし、永久磁石の傷の発生や、破損を防止することが容易な磁石埋め込み型回転子の提供を目的する。
上記構成とすることにより、遠心力による永久磁石の回転子コアからの飛び出し防止手段を、従来の構成に比べて実質的に回転子コアの内側(中心側)に移動することで機械的強度が比較的容易に確保でき、従来の構成に比べて永久磁石を回転子コア外周面に近付けて配置することが可能となり、磁気的効率に優れた磁石埋め込み型回転子の提供を可能にする。
また、前記磁性体ヨーク嵌合部と磁石穴嵌合部を嵌合することで、予め着磁された永久磁石を磁石穴へ挿入配置する場合でも、安全かつ比較的容易に実現でき、永久磁石と磁石穴壁面との間に発生する磁気的吸引力を要因とする衝突を低減し、永久磁石の傷発生や破損防止を可能とする。
この構成によれば、最も簡単な構造で目的とする嵌合を達成することができる。
この構成によれば、嵌合部の形状とともにその列数を選定することで、嵌合部に作用する遠心力を効果的に分散することができる。
この構成によれば、特に永久磁石が大型化した場合に効果的であり、予め着磁されたブロック状永久磁石を磁性体ヨーク上面に順次接合配置することで、機械的強度を確保した上で、大型化が可能となり、取扱いが容易となる。
このような外径が大きな磁石埋め込み型回転子に本発明を適用した場合に、最もその効果を有効に活用可能となる。
また、予め着磁された永久磁石を磁石穴へ挿入配置する場合でも、永久磁石と磁石穴壁面との磁気的吸引力による衝突が低減され、永久磁石の傷発生や破損を防止することが可能となる。
図1は、本発明の磁石埋め込み型回転子10の部分縦断面図である。また、図2は、図1の磁石埋め込み型回転子における、永久磁石と磁性体ヨークとの配置関係を示す側面図である。
図において1は回転子コアであり、電磁鋼板の積層体からなり、所定位置に磁石穴2を形成している。3は厚さ方向に着磁された複数のブロック状永久磁石を接合一体化した永久磁石であり、回転子コア1の外周面に対向する主面とは反対側の主面に磁性体ヨーク4を一体的に接合配置している。磁性体ヨーク4は、永久磁石3と接合する平板状部5と、永久磁石3の接合面とは反対側の面に形成される蟻ほぞ状の凸状部からなる磁性体ヨーク嵌合部6とからなる。なお、図の構成では平板状部5と磁性体ヨーク嵌合部6との軸方向の長さは同一であり、磁性体ヨーク嵌合部6は遠心力への作用だけでなく機械的剛性向上、磁石穴2への挿入時のガイドとしての機能を備える。
7は前記磁石穴2のほぼ底面中央部にて軸方向に伸延する蟻ほぞ穴状の凹状部からなる磁石穴嵌合部であり、前記磁性体ヨーク嵌合部6と嵌合する。
なお、磁石穴2の大きさは、永久磁石3と磁性体ヨーク4が一体化された所謂磁石構造体が挿入配置可能な寸法とし、磁石構造体と磁石穴壁面との間に接着剤や緩衝材を配置することが可能なクリアランスを形成できる大きさとなっているのが好ましい。図においては、クリアランスを誇張して示すが、永久磁石3の回転子コア1外周面に対向する主面側のクリアランスは磁気的な空隙にもなることから、必要以上に大きくすることは磁気的効率の観点からは好ましくなく、各構成部材の加工精度に応じて最適なクリアランスを選定することが好ましい。
前記永久磁石3と磁性体ヨーク4が一体化された磁石構造体は、前記磁性体ヨーク嵌合部6と磁石穴嵌合部7を嵌合して磁石穴2内に挿入配置され、本発明の磁石埋め込み型回転子を構成する。
このような構成において、本発明の磁石埋め込み型回転子10の外周面には前記永久磁石3から発生する磁束によって、所定位置に磁極が形成(図においてはN極が形成)される。
よって磁石構造体にかかる遠心力は分散して受け止められており、磁石穴2の壁面で受け止める遠心力が最終的に伝達される部分(永久磁石3と回転子コアの外周面との間)にかかる応力が低減され、この部分の強度を大きくする必要が無く、磁石構造体の位置をより回転子コアの外周面近くに配置する事ができる。
したがって、本発明の磁石埋め込み型回転子10によれば、永久磁石3と回転子コア1の外周面とが最も接近する回転子コア薄肉部8を従来構成よりも狭く(薄く)することができ、この回転子コア薄肉部8を介して形成される閉磁路による磁気的損失を低減し、前記磁極部に効率的に磁束を発生することが可能となる。
さらに、磁性体ヨーク嵌合部6は、平板状部5と一体物にて形成する必要はなく、別々に加工作成した後、ボルトや接着剤等を用いて一体化する構成でも良い。
本発明者は、複数のブロック状磁石を着磁可能な大きさに接着固定した小接合体磁石を形成し、この状態で一度に着磁した後、この小接合体磁石を特定治具にて磁性体ヨーク4の平板状部5に移動し、一旦これら小接合体磁石と磁性体ヨーク4とを強固に接着固定し、さらに、着磁済みの別の小接合体磁石を順次前記と同様な方法にて磁性体ヨーク4の平板状部5に接着固定し、最終的に本発明の磁石埋め込み型回転子を構成する磁石構造体を作成した。
また、着磁前の複数のブロック状磁石を予め磁性体ヨーク4の平板状部5に接着固定した後に、これら一体品を所定面積の磁極面を形成する一対の着磁ヨーク(図示せず)間に挟持し、前記ブロック状磁石を部分的に着磁しながら、この着磁方法を複数回繰り返すことで、最終的に本発明の磁石埋め込み型回転子を構成する磁石構造体を作成することも可能であることを確認した。
例えば、永久磁石は、公知の種々材質のものが適用可能であるが、磁気特性の観点からNd−Fe−B系焼結磁石を用いるのが最も好ましい。
回転子コアの材質は、電磁鋼板等の軟磁性材料からなる積層体が加工性や渦電流対策の観点から好ましいが、その他パーマロイ(FeNiを主体とした合金)等の積層体の使用も可能であり、また電磁鋼や圧粉磁心等の軟磁性材料のブロック体から切り出し加工して形成しても良い。
磁性体ヨークも、 電磁鋼板、パーマロイ、圧粉磁心、軟鉄 等の軟磁性材料を使用することが可能である。
周方向45°毎に形成された一対の磁石穴2a及び2bからなるV字型磁石穴2を形成した回転子コア1の、各々磁石穴2a及び2bに厚み方向に磁化した永久磁石3を挿入配置し、回転子コア1の外周面に周方向に極性が交互に異なる8極の磁極を形成する磁石埋め込み型回転子30である。
なお、前記永久磁石3は、図1と同様に、永久磁石3と接合する平板状部5と永久磁石3の接合面とは反対側の面に形成される蟻ほぞ状の凸状部からなる磁性体ヨーク嵌合部6とからなる磁性体ヨーク4に一体的に固定されている。
また、磁石穴2の前記磁性体ヨーク嵌合部6との対応部には磁石穴嵌合部7(図示せず)が形成され、互いが嵌合している。
なお、図中9は、回転軸配置用の貫通孔である。
回転子30の回転により永久磁石3と磁性体ヨーク4とからなる各磁石構造体には黒塗の太矢印で示す遠心力が回転子コア1の軸心から外側に向かって働く。しかし、その遠心力による磁石構造体を回転子コアの外側に飛び出さそうとする力は、磁石穴2壁面だけでなく前記磁性体ヨーク嵌合部6前記磁石穴嵌合部7との嵌合部によって抑制(分散)される。
上記作用により、永久磁石3と回転子コア1の外周面とが最も接近する回転子コア薄肉部8を非常に狭く(薄く)することができ、この薄肉部8を介して形成される閉磁路(図中太実線ロで示す)
による磁気的な損失を低減することが可能となる。
すなわち、回転子コア1の表面に形成される磁極に永久磁石3から発生する磁束を有効に作用させ、結果として磁気的効率を向上することが可能となる。
回転子コア1の周方向に45°毎に形成された磁石穴2に厚み方向に磁化した永久磁石3を挿入配置し、回転子コア1の外周面に周方向に極性が交互に異なる8極の磁極を形成する磁石埋め込み型回転子40である。
なお、前記永久磁石3は、永久磁石3と接合する平板状部5と永久磁石3の接合面とは反対側の面に形成される2列の蟻ほぞ状の凸状部6a、6bからなる磁性体ヨーク嵌合部6とからなる磁性体ヨーク4に一体的に固定されている。
また、磁石穴2の前記磁性体ヨーク嵌合部6との対応部には、前記蟻ほぞ状の凸状部6a、6bに対応する位置に2列の蟻ほぞ穴状の凹部からなる磁石穴嵌合部7(図示せず)が形成され、互いが嵌合している。
なお、図中9は、回転軸配置用の貫通孔である。
この構成においては、嵌合部が複数になることから遠心力がより分散され、各々嵌合部の形状・寸法の設計の自由度が向上する。
なお、この構成においても、永久磁石3と回転子コア1の外周面とが最も接近する回転子コア薄肉部8を非常に狭く(薄く)することができ、先に説明した本発明の磁石埋め込み型回転子と同様に磁気的効率を向上することが可能となる。
同一寸法の回転子コア及び永久磁石を用い、図1に示す嵌合部以外は全く同一形状の構成からなる磁石埋め込み型回転子を比較例として製作した。
各々磁石埋め込み型回転子において、遠心力による永久磁石3の飛び出し防止可能な設計とし、永久磁石3が回転子コア1外周面に最も接近した場合の薄肉部8寸法(厚さ)及び回転子コア1外周面に形成される磁極から発生する磁束量を比較したところ、本発明の磁石埋め込み型回転子10は比較例の磁石埋め込み型回転子に比べ、薄肉部8寸法は約23mmが12mm程度となり、磁束量は10%程度向上していることが確認できた。
磁石埋め込み型回転子の回転により永久磁石に発生する遠心力を、磁石穴壁面だけでなく、永久磁石を一体的に接合配置する磁性体ヨークに形成した磁性体ヨーク嵌合部と磁石穴に形成した磁石穴嵌合部からなるこれら嵌合部により分散して受け止めるため、永久磁石と回転子コア外周面との間隔を狭く設定する事が可能となり、結果として磁気的効率を向上するため、従来から多用される比較的小型(小径)の磁石埋め込み型回転子だけでなく、特に風力発電機用等の大型(大径)の磁石埋め込み型回転子に採用した場合に有効である。
2、2a、2b、102、112、122、122a、122b 磁石穴
3、103、133 永久磁石
4 磁性体ヨーク
5 磁性体ヨークの平板状部
6、6a、6b 磁性体ヨークの磁性体ヨーク嵌合部
7 磁石穴嵌合部
8 回転子コア薄肉部(永久磁石と回転子コア外周面の間隔)
9 回転軸の配置用貫通孔
10、20、30、40、100、130 磁石埋め込み型回転子
135 張出凹部
136 張出凸部
イ、ロ 閉磁路
134 回転軸の凹部
Claims (5)
- 回転子コアに形成された磁石穴に永久磁石を挿入配置し、前記回転子コアの外周面に磁極を形成した磁石埋め込み型回転子であって、
前記永久磁石の前記回転子コアの外周面に対向する主面とは反対側の主面に磁性体ヨークを一体的に接合配置するとともに、前記磁性体ヨークの永久磁石接合面とは反対側の面に凹状または凸状からなる磁性体ヨーク嵌合部を形成し、かつ、前記磁石穴に前記磁性体ヨーク嵌合部に対応する位置に凸状または凹状からなる磁石穴嵌合部を形成し、前記磁性体ヨーク嵌合部と磁石穴嵌合部を嵌合して前記永久磁石を前記磁石穴に固定したことを特徴とする磁石埋め込み型回転子。 - 前記磁性体ヨーク嵌合部が蟻ほぞ状であり、前記磁石穴嵌合部が蟻ほぞ穴状であることを特徴とする請求項1に記載の磁石埋め込み型回転子。
- 前記磁性体ヨーク嵌合部及び前記磁石穴嵌合部が前記回転子コアの軸方向に複数列形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁石埋め込み型回転子。
- 前記永久磁石が複数のブロック状永久磁石を接合一体化した接合磁石であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁石埋め込み型回転子。
- 前記回転子コアの外径が1000mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石埋め込み型回転子。
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