JP4564545B2 - コーティング方法 - Google Patents
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Description
本発明で用いられる電解装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、電解装置1の全体構成を示す図である。図2は、回転電極装置10を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、電解装置1は、次の構成要素を備えている。すなわち、分散液97を満たした電解槽70と、この分散液97中に筒状回転電極21を備えた回転ドラム部11が浸漬されるように設置された回転電極装置10と、この回転電極装置10の回転ドラム部11を先端部に取り付けて、分散液97中で移動させるためのロボットアーム50と、このロボットアーム50の動きを制御する制御装置60と、回転ドラム部11から分散液97を噴出させるように回転電極装置10に接続された分散液供給ポンプ45と、分散液97を撹拌する攪拌器75と、を備えている。
一方、吐出口に接続される吐出側ホース47の端部は回転電極装置10のドラム操作部材13の中空部に接続され、分散液97を回転電極装置10のドラム操作部材13に供給する。ドラム操作部材13内の分散液97は、軸支部材12の図示しない中空部を介して回転ドラム部11の図示しない中空部内に供給される。
回転電極装置について、図面を参照して詳細に説明する。図2は、回転電極装置10を示す斜視図である。図3は、図2のA−A線に沿う断面の一部を模式的に示す断面図である。図4は、図2のB−B線に沿う断面を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、回転ドラム部11は、筒状回転電極21と、筒状回転電極21の軸方向の両端面を閉塞する円盤状の側面部材22、22とからなり、円柱状になっている。側面部材22、22の中心部には、軸孔23、23が設けられ、軸支部材12を挿入可能になっている。
図2に示すように、軸支部材12は、棒状の基部12cと、基部12cの両端から直角方向に屈曲した中間部12b、12dと、中間部12b、12dからそれぞれ直角方向に屈曲した先端部12a、12eとからなり、外形が略C字状になっている。
図2に示すように、ドラム操作部材13は、軸支部材12の基部12cに接続される。ドラム操作部材13は、内部に図示しない中空部が設けられ、この中空部が軸支部材12の中空部28に連通している。
図2に示すように、不織布層31は、筒状回転電極21の表面を被覆する。不織布層31としては、分散液97中の電解液が通過可能であり、かつ、MCrAlY粉末94が捕捉されるような大きさの目を有する不織布が用いられる。
本発明で用いられる合金基材80は、Ni、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素を主成分として含む超合金からなる。ここで、超合金とは、少なくとも耐熱性を有する合金を意味し、高温での耐酸化性、耐食性を有している。
本発明で用いられる電解液は、特定の金属Aのイオンを含む。本発明に用いられる金属Aとしては、CoまたはNiが挙げられる。電解液は、金属Aイオンとして、通常、CoイオンまたはNiイオンのみを含む。電解液の具体例としては、スルファミン酸ニッケル水溶液、スルファミン酸コバルト水溶液が挙げられる。
本発明で用いられるMCrAlY粉末は、金属M、Cr、AlおよびYからなる合金の粉末である。本発明においてMCrAlY粉末とは、金属M、Cr、AlおよびYからなる合金の粉末であればよく、金属M、Cr、AlおよびYの組成比を限定しない意味で用いる。
本発明で用いられる分散液は、上記電解液中に上記MCrAlY粉末を分散させて得られる。電解液中にMCrAlY粉末を分散させる方法としては、たとえば、電解液中にMCrAlY粉末を加えて攪拌させる方法が挙げられる。
本発明に係るコーティング方法は、上記回転電極装置10を含む電極装置1を用い、上記分散液中で電解して、合金基材80の表面上に特定の複合被膜層を形成する。
はじめに、合金基材80に、ブラスト処理等の粗面化処理と、酸洗、アルカリ洗浄等の洗浄処理とを、必要により行う。粗面化処理および洗浄処理を行うと、合金基材80に対する複合被膜層の密着性が高くなるため好ましい。
一方、図1に示すように、電解装置1の電解槽70に分散液97を貯留した後、分散液97中に合金基材80を浸漬し、撹拌器75を用いて分散液97を撹拌させておく。
次に、分散液の供給工程として、分散液供給ポンプ45を稼動して、電解槽70中の分散液97を回転電極装置10の回転ドラム部11の中空部27内に供給する。回転ドラム部11の中空部27内に供給された分散液97は、分散液供給ポンプ45の吐出圧により、回転ドラム部11の第1の液噴出孔25を通過し不織布層31の第2の液噴出孔35から噴出される。
さらに、分散めっき工程として、合金基材80の表面上に、不織布層31で被覆された筒状回転電極21を転がしながら、直流電源40を用い定電流で電解して、合金基材80の表面に分散めっきを行う。電解は、回転電極装置10の筒状回転電極21が陽極、合金基材80が陰極になるようにする。
次に、本発明で用いられる電解装置の第2実施形態について、図面を参照して説明する。第2の実施形態に示される電解装置1Aは、第1の実施形態に示された電解装置1において、回転電極装置10に代えて回転電極装置10Aを用いるとともに、吸込側ホース46の吸込口46aにMCrAlY粉末94を捕捉する図示しないフィルターを設けたものである。
電解装置1Aを用いるコーティング方法は、分散液の撹拌工程の後に、電解液の供給工程を行う。電解液の供給工程は、吸込側ホース46の吸込口46aにMCrAlY粉末94を捕捉するフィルターが設けられた分散液供給ポンプ45を稼動することにより、電解槽70に貯留された分散液97中の電解液のみを回転電極装置10Aの回転ドラム部11の中空部27内に供給する工程である。
電解液の供給工程の後は、分散めっき工程として、合金基材80の表面上に不織布層31Aで被覆された筒状回転電極21を転がしながら、直流電源40を用い定電流で電解して、合金基材80の表面に分散めっきを行う。
次に、本発明で用いられる電解装置の第3実施形態について、図面を参照して説明する。第3の実施形態に示される電解装置1Bは、第1の実施形態に示された電解装置1において、回転電極装置10に代えて回転電極装置10Bを用いるとともに、分散液供給ポンプ45を備えない構成にしたものである。
分散液の撹拌工程の後は、分散液や電解液の供給工程を行わずに、分散めっき工程を行う。分散めっき工程は、合金基材80の表面上に不織布層31Aで被覆された筒状回転電極21Aを転がしながら、直流電源40を用い定電流で電解して、合金基材80の表面に分散めっきを行うものである。
図1に示す電解装置1の電解槽70内に下記分散液97を貯留し、撹拌器75で分散液97を撹拌した。この状態で、分散液97中に、図5に示す形状の61Ni−16Cr−8.5Co−1.7Mo−2.6W−残部他金属成分製タービンブレードの動翼80を浸漬し、動翼80の表面に、不織布層31で被覆された筒状回転電極21を転がしながら、下記電解条件で電解した。電解は、ロボットアーム50で筒状回転電極21の転がり具合を制御して、動翼80の表面に供給される電気量がどの場所でも均等になるようにして行った。
分散液として、下記電解液に下記MCrAlY粉末を、分散液中の配合量が20g/lになるように分散させたものを用いた。
電解液(スルファミン酸液)の条件を以下に示す。
・NiCl2・6H2O:10g/l
・H3BO3:40g/l
・H3PO3:20g/l
・pH:1.4
(MCrAlY粉末)
MCrAlY粉末の組成を表1に示す。表中のBal.は残部を意味する。
分散液の液温:50℃
電流密度:20A/dm2
電解時間:30分
複合被膜層92の断面写真を撮影し、この断面写真で観察される複合被膜層92の全面積に対する空隙の面積の比率(%)を気孔率とした。
MCrAlY粉末の粒径を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、複合被膜層92を形成し、評価を行った。結果を表2に示す。
MCrAlY粉末の粒径を20μmとし、かつ電流密度を10A/dm2に変えた以外は、実施例1と同様にして、複合被膜層92を形成し、評価を行った。結果を表3に示す。
電流密度を表3に示すように変えた以外は、実施例5と同様にして、複合被膜層92を形成し、評価を行った。結果を表3に示す。
分散液中のMCrAlY粉末の配合量を10g/lとした以外は、実施例7と同様にして、複合被膜層92を形成し、評価を行った。結果を表4に示す。
10 回転電極装置
11 回転ドラム部
12 軸支部材
12a、12e 軸支部材の先端部
12b、12d 軸支部材の中間部
12c 軸支部材の基部
13 ドラム操作部材
17 軸受
21、21A 筒状回転電極
22 側面部材
23 軸孔
25 第1の液噴出孔
27 回転ドラム部の中空部
28 軸支部材の中空部
31、31A 不織布層
35 第2の液噴出孔
40 直流電源
41、42 導線
45 分散液供給ポンプ
46 吸込側ホース
46a 吸込側ホースの先端部
47 吐出側ホース
50 ロボットアーム
51 ロボットアームの基部
52、54、56 ロボットアームの関節部
53 ロボットアームの基部アーム
55 ロボットアームの中間アーム
57 ロボットアームの先端アーム
60 制御装置
70 電解槽
75 撹拌器
80 複合被膜層形成前のタービンブレードの動翼(合金基材)
80A 複合被膜層形成後のタービンブレードの動翼(被覆層形成製品)
81 複合被膜層形成前のタービンブレードの動翼の基部(合金基材)
81A 複合被膜層形成後のタービンブレードの動翼の基部(被覆層形成製品)
82 複合被膜層形成前の翼部(合金基材)
82A 複合被膜層形成後の翼部(被覆層形成製品)
83 複合被膜層形成前のタービンブレードの動翼(合金基材)の先端部
85 空気冷却孔
91 合金基材相
92 複合被膜層
93 マトリクス相
94 MCrAlY粉末
97 分散液
Claims (21)
- Aイオン(Aは、CoまたはNiを示す。)を含む電解液中にMCrAlY粉末(式中、Mは、NiおよびCoから選択される少なくとも1種の元素を示し、かつ、前記AがCoであるときに少なくともNiを含み、前記AがNiであるときに少なくともCoを含む。)を分散させて得られた分散液中に、合金基材を浸漬し、回動可能な筒状回転電極とこの筒状回転電極の表面を被覆する不織布層とを有する回転電極装置を用い、前記合金基材の表面に前記不織布層で被覆された筒状回転電極を転がしながら電解して、前記合金基材表面上に複合被膜層を形成することを特徴とするコーティング方法。
- 前記複合被膜層は、前記Aからなるマトリクス相中に前記MCrAlY粉末が分散されたものであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記回転電極装置は、
筒状回転電極とこの筒状回転電極の軸方向の両端面を閉塞し軸孔が設けられた側面部材とからなる回転ドラム部と、
この回転ドラム部の軸孔を軸支する軸支部材と、
この軸支部材に連接されるドラム操作部材と、
前記筒状回転電極の表面を被覆する不織布層と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。 - 前記回転電極装置は、
前記回転ドラム部の内部に中空部が形成されるともに、前記筒状回転電極に前記中空部に連通する複数個の第1の液噴出孔が設けられ、
前記軸支部材およびドラム操作部材は、それぞれ中空部が形成されこの中空部は各々連結されていることを特徴とする請求項3に記載のコーティング方法。 - 前記回転電極装置の中空部に前記電解液を供給する分散液供給ポンプをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のコーティング方法。
- 前記第1の液噴出孔は、直径が0.1mm〜0.5mmの範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載のコーティング方法。
- 前記回転電極装置の不織布層は、この不織布層を貫通する複数個の第2の液噴出孔が設けられたことを特徴とする請求項3に記載のコーティング方法。
- 前記第2の液噴出孔は、直径が0.1mm〜0.5mmの範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のコーティング方法。
- 前記回転電極装置の筒状回転電極は、鉛基材の表面に金および白金を順次めっきしてなる複合電極であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記回転電極装置のドラム操作部材に接続されるロボットアームと、
このロボットアームの動きを制御する制御装置と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。 - 前記制御装置は、予め入力された前記合金基材の三次元形状のデータに基づき、前記ロボットアームの動きを制御することを特徴とする請求項10に記載のコーティング方法。
- 前記分散液に含まれる前記MCrAlY粉末は、粒径が10μmを超え30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記分散液は、前記MCrAlY粉末を10g/l〜30g/l含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 電解時の電流密度は、10A/dm2〜30A/dm2であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 電解時の前記分散液の温度は、40℃〜60℃であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記分散液は、前記電解液がスルファミン酸ニッケル水溶液であり、前記MCrAlY粉末がCoCrAlY粉末であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記分散液は、前記電解液がスルファミン酸コバルト水溶液であり、前記MCrAlY粉末がNiCrAlY粉末であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記合金基材は、Ni、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素を主成分として含む超合金からなることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記合金基材および複合被膜層を800℃〜1200℃で60分〜300分加熱することを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記合金基材は、ガスタービン用部品であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング方法。
- 前記ガスタービン用部品は、タービンブレードであることを特徴とする請求項20に記載のコーティング方法。
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