JP4564290B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は高密度磁気記録における読み出し用磁気ヘッドや磁性不揮発メモリなどに応用される磁気センサに関する。
巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を利用したGMRヘッドの登場以来、磁気記録の記録密度は、年率100%で向上している。GMR素子は、強磁性層/非磁性層/強磁性層のサンドイッチ構造の積層膜からなる。GMR素子は、一方の強磁性層に交換バイアスを及ぼして磁化を固定し、他方の強磁性層の磁化方向を外部磁界により変化させ、2つの強磁性層の磁化方向の相対角度の変化を抵抗値の変化として検出する、いわゆるスピンバルブ膜の磁気抵抗効果を利用した素子である。スピンパルブ膜の膜面に電流を流し、抵抗変化を検出するCIP-GMR素子と、スピンバルブ膜の膜面に垂直に電流を流し抵抗変化を検出するCPP-GMR素子が開発されている。
トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を利用したTMR素子の開発が進められている。TMR素子は強磁性層/絶縁体/強磁性層の積層膜からなり、強磁性層間に電圧を印加してトンネル電流を流す。TMR素子は、トンネル電流の大きさが上下の強磁性層の磁化の向きによって変化することを利用し、磁化の相対的角度の変化をトンネル抵抗値の変化として検出する素子である。TMR素子は、GMR素子よりもMR比が大きいため、信号電圧も大きくなる。しかしながら、純粋な信号成分だけでなく、ショットノイズによる雑音成分も大きくなり、S/N比(信号対雑音比)が改善できないという問題を抱えている。ショットノイズは、電子がトンネル障壁を不規則に通過することによって発生する電流の揺らぎに起因しており、ショットノイズを抑えかつ必要な信号電圧を得るには、トンネル絶縁層を薄くし、トンネル抵抗を低抵抗化する必要がある。しかし、トンネル絶縁層を薄くするほど上下電極間の短絡が生じやすく抵抗効果(MR)比の低下を招くため、素子の作製は飛躍的に困難になっていく。
以上の素子はいずれも広い意味での磁気抵抗効果を利用しているが、これらの素子に共通した磁気的白色雑音(ホワイトノイズ)の問題が近年急浮上している。この雑音は上に述べたショットノイズなどの電気的ノイズとは異なり、微小磁化の熱揺らぎに起因して生じるため素子の微細化に伴いより支配的となり、200〜300Gbpsi対応の素子では電気的雑音を凌駕すると考えられている。そこで、印加磁場に対する高周波ノイズの検証とこれに関連して磁性体中の磁気共鳴の検討がなされた(非特許文献1参照)。
N. Stutzke, et al, Applied Physics Letters, Vol. 82, No. 1, Jan. 6, 2003.
上述の通り、磁気的白色雑音は高密度磁気記録において大きな問題となっているが、本発明はこの問題を解決する新規な回路構成による磁気センサを提供する。
本発明は、外部磁場に依存して磁化の熱揺らぎに起因する雑音電圧の周波数スペクトル
が所定のスペクトル周波数において極大となり、その所定の周波数スペクトルは前記外部
磁場に依存して変化する磁気抵抗効果膜と、一対の入力端と出力端を備え、前記入力端が
前記磁気抵抗効果膜に接続され、前記所定周波数の近傍において透過率が減少もしくは増
大する周波数フィルタと、前記周波数フィルタの出力端に接続する検波器とを備えること
を特徴とする磁気センサを提供する。

本発明は、微小な磁性体において不可避な磁化の熱揺らぎを積極的に利用するもので、詳しくは磁化の熱揺らぎによって磁気抵抗効果型素子(GMR型素子)に発生する雑音のGHz帯におけるスペクトルが外部磁場により変化することを利用して外部磁場を検出するものである。このような本発明では、微小磁性体磁化の熱揺らぎを利用するためCPP-GMR、TMRなどの磁気抵抗効果素子のサイズが減少しても、感度およびS/N比が低減しないという特徴を有し、外部磁場の再生用磁気ヘッドに応用した場合、記録密度が数100Gbpsiから1Tbpsiを超える超高密度記録への対応が期待できる。
本発明は、高密度、高S/N比の磁気センサを提供することができる。特に、磁気抵抗効果素子のサイズが減少しても、感度およびS/N比を維持できるという優れた効果を期待できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。尚、実施の形態や実施例を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる箇所もあるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の磁気センサに関わる第1の実施の形態を説明するための構成図である。
磁気抵抗効果素子1には一対の端子(磁性導電層)が備えられ、その一端はアースされ、他端は配線を介してマイクロ波フィルタ3の入力端31に接続されている。マイクロ波フィルタ3の出力端33は、配線を介して検波器5に接続され、磁気抵抗効果素子1の出力は、マイクロ波フィルタ3及び検波器5を介して読み出すことができる。
磁気抵抗効果素子1は、トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した磁性トンネル接合素子、膜面垂直通電型(CPP)GMR素子などのGMR素子である。CPP-GMR素子は、基板上に適宜バッファ層などを介して形成された、一対の磁性導電層11、13とこれらの間の非磁性導電層15とを備える積層膜である。一対の磁性導電層の一方は、磁化が一方向に固定された磁化固定層11(あるいは13)であり、他方は外部磁場を受けて磁化が回転する磁化自由層13(あるいは11)である。一対の磁性導電層11、13を、共に外部磁場を受けて磁化が回転する磁化自由層とすることもできる。この場合には、外部磁場がゼロの状態における磁性導電層11,13の磁化方向は、互いに反平行にするのが望ましい。
マイクロ波フィルタ3は、磁性体の磁気共鳴現象を利用したハンドストップフィルタ、バンドパスフィルタなどのマイクロ波フィルタである。磁性体の磁気共鳴現象を利用したバンドパスフィルタは、高周波透磁率の実数部μ’か0となる周波数においてマイクロ波の透過率が増大することを利用した素子である(JAP 83, 3744(1998))。
また、検波器5は、ショットキーダイオード、点接触ダイオードなどである。これらは磁気抵抗効果素子1、マイクロ波フィルタ3及び検波器5は、同一基板上に形成することができる。
この磁気センサによる磁場の検知方法について、1Tbpsi対応の磁気センサを想定して、磁気抵抗効果素子1にCPP-GMR素子、マイクロ波フィルタにバンドストップフィルタを用いた例を説明する。
積層膜の各層を同一のパターンで形成しCPP-GMR素子のサイズ(平面積)を30x30nm、磁化自由層の厚さを約1nmとした。このCPP-GMR素子に電流Iを流すと素子の両端に磁化自由層の磁化の熱揺らぎに起因する雑音電圧が発生する。この雑音電圧の実効値Vmagは(1)式のように表すことができる。
Figure 0004564290
ここで、RはCPP-GMR素子の素子抵抗、ΔR/RはCPP-GMR素子のMR比であり、ΔVmagは磁化自由層の磁化揺らぎによって発生する雑音電圧スペクトルである。ここで、磁化自由層の磁化揺らぎのパワースペクトルS<mt>は磁化自由層の帯磁率の虚部χ”を用いて(2)式のように表される。
Figure 0004564290
但し、kはボルツマン定数、Tは温度(Kelvin)、fresは(3)式で示される磁化自由層の磁化の共鳴周波数、MおよびVは磁化自由層の飽和磁化および体積である。
Figure 0004564290
(3)式のHおよびHは、それぞれCPP-GMR素子1に印加される外部磁場、及び磁化自由層が持つ異方性磁場である。(3)式中のγは磁気回転比である。磁化自由層としてFe層を用いた場合にfresは10GHz程度である。(4)式の雑音電圧Vmagの周波数スペクトルを模式的に図2(a)に示す。この周波数スペクトルは共鳴周波数fresでピークを示し、ピークの幅Δfはギルバートの減衰係数αを用いてΔf=2αfresと表される。図2(a)では外部磁場Hが0および100Oeの場合のスペクトルが示されているが、ピーク周波数が外部磁場の印加により(3)式に従って変化することがわかる。例えば、0.2〜0.3GHz程度変化する。
図2(b)は、バンドストップフィルタ3の透過率の周波数特性を示す。磁気共鳴効果型のフィルタを用いると透過率はその共鳴周波数fres1で最小となる。但し、磁気共鳴効果型のフィルタを本実施形態に用いる場合には、必要に応じて、外部磁場により共鳴周波数の周波数特性が変化しないように磁気シールド内に収めるなどの配慮が必要である。フィルタを構成する磁性体として磁化自由層材料と同一の磁性体を用いれば、磁化自由層へのバイアス磁場の調節などによりフィルタおよび磁化自由層の共鳴周波数をH=0で一致させることは容易である。磁化自由層へのバイアス磁場にはCPP-GMR素子の脇に形成したCoPt等の硬質磁性膜の漏洩磁場を用いることができる。また、バンドストップフィルタ3用の磁気シールドには、MR素子の磁気シールドを併用することができる。
バンドストップフィルタ3の共鳴周波数と磁化自由層の共鳴周波数が実質的に一致(fresとfres1とが略等しい状態)していると、図2(c)に示すように、雑音スペクトルのピーク近く(H=0近傍)のマイクロ波(f=fnres)はバンドストップフィルタ3を透過できずに出力は極めて小さくなる。他方、磁化自由層に外部磁場Hが印加されると図2(a)に示したように雑音スペクトルのピークは移動して、図2(c)に示すように、磁化自由層の共鳴周波数ピーク(周波数fres)から外れたマイクロ波がバンドストップフィルタ3を透過できるようになる。この透過したマイクロ波出力を検波器5において検波、増幅(あるいは増幅後検波)することにより外部磁場Hの変化に対応した信号を取り出すことができる。
出力電圧(雑音電圧の実効値)フィルタの入力端における電圧の大きさは、例えば磁化自由層としてFe層を用いたMR比6.7%のCPP-GMR素子を想定し、飽和磁化M=1700G、雑音係数α=0.03、共鳴周波数fres=10GHzとして計算することができる。
出力電圧は素子に流す直流電流Iに依存するが、素子の破壊を防ぐため消費電力W=RIを50μWとして計算した結果を図3に示す。図3の横軸はCPP-GMR素子の抵抗Rであり、縦軸は出力電圧である。出力電圧はCPP-GMR素子に繋がれた伝送線の特性インピーダンスに依存するが(a)は特性インピーダンスが200Ω、(b)は50Ωの場合である。(a)、(b)とも素子抵抗Rが特性インピーダンスに一致した場合に高い出力電圧が得られている。CPP-GMR素子には磁化の熱揺らぎに伴う雑音以外にジョンソン雑音、ショット雑音などの電子流のゆらぎに伴う電気的雑音Ve1が存在し、一般的に(4)式で表されることが知られている。
Figure 0004564290
この電気的雑音は周波数に依存しない白色雑音であるが、印加電圧Vが、eV<<2KT=50MVの場合にはジョンソン雑音の式(に一致し、逆にEV>>2kTの場合にはショット雑音の式と一致する。(4)式のΔfは電気的雑音のバンド幅であり、利用する周波数範囲を調整することにより上に述べたゆらぎスペクトルすなわち上に述べたゆらぎスペクトルのピーク幅と同じにとることができる。
本実施の形態の磁気センサでは、磁気的雑音の外部磁場による変化を信号として利用するが、外部磁場に依存しない(4)式の電気的雑音はそのまま雑音としてS/N比を劣化させる要因となる。図3に示した信号強度Vmagと(4)式の雑音を用いて計算されたS/N比を図4に示す。図4の横軸はCPP-GMR素子の素子抵抗Rである。S/N比は伝送線の特性インピーダンスにはあまり依存せず、S/N比は20(26dB)程度である。
上述のような磁化の熱揺らぎが生じる磁性体の大きさは、例えば50nm×5nm×1nm程度以下の体積である。CPP-GMR素子の磁性導電層11、13には、Feの他に、Co,Ni,FeNi,FeCoなど、特に磁化が小さく揺らぎの大きいFeNiが好ましい。磁性導電性11、13の一方を磁化固定層11(あるいは13)とするには、その磁性材料として、予定する外部磁場下でも磁化が回転しない高い保磁力を持つ材料を用いる。一方、磁化自由層13(あるいは11)には、外部磁場下で磁化が回転する低い保磁力を持つ材料を用いることができる。磁化固定層11(13)に保磁力の低い材料を用い、これに隣接する反強磁性材料との交換結合によって、磁化固定層11(13)の磁化を固定することも可能である。
また、非磁性導電層15には、Cu,Au,Ag,Ptなどの貴金属、Ru,Rd,Pd,Crなどの非磁性遷移金属を用いることができる。積層膜には、磁性導電層11、13、非磁性導電層15の他に、バッファ層、キャップ層、その他の付加的、補助的な層を加えてもよい。
高周波フィルタとしてバンドパスフィルタを用いる場合は、狭帯域の増幅器を用いれば同等の効果が得られる。
図1の構成では、フィルタ3をセンサに内蔵することにより、後段の増幅器に安価、汎用品を用いることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態の磁気センサは、電界効果トランジスタ(FET)と組み合わせることによりさらに特性を向上させたものである。図5に、第1の実施の形態の磁気センサとFETとを組み合わせた例を示す。
図5ではCPP-GMR素子1がインピーダンスの低い伝送線を介さずに直接入力抵抗の高いFET7のゲート部71に繋がれているので、磁気抵抗効果素子1としてCPP-GMR素子よりも抵抗が高くMR比の大きいTMR素子を用いるほうが大きな出力が得られ有利である。但し、TMR素子の抵抗が高すぎると図中に示した1fF程度のFETのゲート容量により時定数が長くなり、素子で発生したマイクロ波が減衰してしまうので注意が必要である。
TMRの磁化自由層としてFe層を用い、MR比20%、消費電力10μWとした場合の出力電圧(Vmag)と磁気抵抗効果素子1の抵抗Rとの関係を図6に、S/N比と磁気抵抗効果素子1の抵抗Rとの関係を図7に示す。図3と図6の比較から、MR比の大きなTMR素子を使うことができるため、CPP-GMR素子の場合よりも大きな出力電圧が得られることが分かる。また、抵抗が大きいため電気的雑音が増加するが信号電圧も大きくなるためS/N比は低減せず、図7に示したように接合抵抗10KΩの場合、S/N=28(29dB)程度である。図6において高抵抗側で出力が減少しているのはFET7のゲート容量によるためでこの容量を低減することにより出力電圧をさらに高めることが可能となる。
本実施の形態では、磁気抵抗効果素子1とフィルタ3間が、インピーダンスの低い伝送線を介さずに入力抵抗の高いFET7のゲート部71を介して繋がれているので、磁気抵抗効果素子1として抵抗が高くMR比の大きいTMR素子を用いて大きな出力が得られる。
(第3の実施の形態)
本発明の各実施の形態による磁気センサを磁気ヘッドとして用いる場合は、図8(a)に模式的に示したように、バイアス磁場などを調節して素子の共鳴周波数とフィルタの周波数をずらすことにより記録媒体の信号を再生することが可能となる。
マイクロ波フィルタとして図8(a)はバンドストップフィルタを用いた場合であるが、図8(b)に示したバンドパスフィルタや高周波(低周波)遮断フィルタなどを用いることも可能である。また本発明の実施の形態は上記の例に限られるものではない。たとえばマイクロ波フィルターを狭帯域増幅器で代用することや検波器内部に組み込んで用いることも可能である。
本実施の形態によれば、高感度、高S/N比の磁気ヘッドを提供することができる。
(実施例1)CPP-GMR素子の作製と磁気雑音の測定
スパッタ成膜と電子線リソグラフィーを用いてサファイア基板上に図9(a)の断面膜式図に示す磁気抵抗効果素子1を作製した。
各層の厚さは、Au層100nm/Fe層50nm/Au層30nm/Fe層1nm/AlO層0.5nm/Au層100nm/Au層100nmとした。尚、各層の厚さは、成膜プロセス時の予定厚さであり、得られた素子における厚さとは誤差程度の相違が生じる可能性がある。AlO層には、この層を上下に貫通する複数の微小孔を利用する。通常の作製法では、0.5nmのAlO層には短絡が発生する(制御された微小孔ではない)。抵抗を50Ωに近づけるためにこの様な微小孔を利用する。積層膜(Fe層/Au層/Fe層/AlO層/Au層)の接合面積は、100x100nmとした。
2つのFe層の形成は約1000Oeの磁場印加の下で行い、これらの層には公知の方法により磁気的一軸異方性を付与した。厚さ0.5nmのAlOには微小孔を介して隣接するFe層、Au層とオーミック接合しているため、この素子はトンネル接合にはなっておらずAlOにより、電流狭窄するCPP-GMR素子である。
この素子の素子抵抗Rは52Ω、MR比=ΔR/Rは約4.8%であった(室温、電流0.2mA、磁場I500Oeの範囲で測定)。
この素子の雑音スペクトルを図10に示した測定系により観測した。
まず、図10の測定系について説明する。導波路には特性インピーダンス50Ωのコプレナガイドを用いた。導波路は、プローバを介して、バイアスティーに接続され、さらにアンプ(増幅器)、スペアナ(スペクトラム・アナライザ)に接続されている。バイアスティーは高周波信号に対して影響を与えず電圧を加えるために用いる。
Fe層の面内の容易磁化方向に外部磁場(H)を印加し、バイアスティーを介してCPP-GMR素子に1.4mAの電流を流して雑音スペクトルの測定を行った。結果を図11に示す。白丸(a)は400Oeの外部磁場Hを印加した場合のスペクトル、黒丸(b)は外部磁場H=100Oeの下でのスペクトルであり、外部磁場Hが60Oe変化するとスペクトルのピークが約0.3GHz移動することが分かる。
スペクトルピークの幅(半値幅)から見積もったギルバートの減衰係数αは約0.03である。約2.5nV/√Hzの電気的雑音に最大で約7.2nV/√Hzの磁気的雑音が重畳していることが分かる。
(実施例2) TMR素子の作製と磁気雑音の測定
実施例1と同様の方法により、図9(b)に断面模式図を示したトンネル接合素子を形成した。トンネル接合素子は、Au層(厚さ100nm)/Fe層(厚さ50nm)/AlO層(厚さ1nm)/Fe層(厚さ1nm)/Cu層(厚さ100nm)/Au層(厚さ100nm)の積層膜を備える。実施例2のAlO層は、微小孔のない連続膜であり、隣接する2つのFe層と共にトンネル接合を形成している。
この素子の抵抗Rは2.1KΩ、MR比=ΔR/Rは22%であった(実施例1と同じ測定条件)。
図10と同様な方法により、素子に0.2mAの電流を流した状態で雑音スペクトルの測定を行った。約0.4nV/√Hzの電気的雑音に最大で約9.3nV/√Hzの磁気的雑音が重畳していることが分かった。
(実施例3) 磁性体を用いたバンドストップフィルタの作製
磁気共鳴周波数を持つ磁性体を用いたバンドストップフィルタについて、図12(a)の断面模式図を用いて説明する。図12(a)は、コプレナガイド型バンドストップフィルタを示す。スパッタ成膜と光リソグラフィーを用いてサファイア基板上に作製した。
実施例1と同様、Fe層のスパッタ成膜では約1KOeの外部磁場を基板面内に印加して行った。グランドプレーンとして厚さ3μmのCuを用い、ストリップラインには幅(図12の紙面左右方向の幅)20μm、厚さ3μmのFe(厚さ400nm)/Au(厚さ2.6μm)積層膜を用いている。
ストリップラインとグランドプレーンの間隔は特性インピーダンスが50Ωとなるように10μmとし、ストリップフィルタの全長(図12の紙面垂直方向の長さ)は3mmとした。
フィルタ特性の評価は、一定の外部磁場Hをストリップラインの長さ方向に印加した状態で、ネットワークアナライザを用いて行ったが、フィルタとネットワークアナライザの測定ケーブルとの接続にはマイクロ波プローバを用いた。
1000Oeの外部磁場Hの下での測定結果を図13に示す。約9.75GHz近傍に共鳴吸収に伴う透過パワーの減少が観測される。最大減衰量は25dB、半値幅は0.3GHz、挿入損失は2dBであった。
(実施例4) 磁気センサの作製と評価
実施例1のCPPGMR素子と同様の素子、および図12(b)のバンドストップフィルタを同一のサファイア基板上に作製し、両者をコプレナガイドで接続した。
バンドストップフィルタのストリップライン部には、図12(b)の断面模式図に示すように、Au層を挟んで上下2層のFe層が形成されているが、表皮効果により流されるマイクロ波は下部(サファイア基板側)のFe層にのみ作用する。上部のFe層は下部Fe層に有効磁場を印加するために形成されたもので、静磁相互作用により約100Oeの有効磁場を下部Fe層に印加することができる。
このバンドストップフィルタはパーマロイ薄膜により形成された一対の磁気シールド内に収められている。CPP-GMR素子に1.4mAの電流を流し、素子を中心周波数10GHzバンド幅約1.5GHzの狭帯域増幅器で増幅し、増幅された信号をショットキーダイオードを用いて検波した。その際の出力信号の磁場変化を図14に示す。磁場H=0で40μVの出力が磁場H=80Oeで20μV以下に減少するのが観測される。
本発明の磁気センサに関わる第1の実施の形態を説明するための構成図。 第1の実施の形態について、(a)微小強磁性体における磁化の熱揺らぎにより生じるマイクロ波電圧の周波数スペクトル、(b)バンドストップフィルタの透過率スペクトル、(c)フィルタ透過後の電圧スペクトル。 第1の実施の形態について、(a)200Ω、(b)50Ωの導波路に繋がれた磁気抵抗効果素子に生じるマイクロ波電圧の素子抵抗依存性。 第1の実施の形態について、(a)200Ω、(b)50Ωの導波路に繋がれた磁気抵抗効果素子のS/N比の素子抵抗依存性。 本発明の第2の実施の形態による、FETを用いた磁気センサの構成図。 第2の実施の形態による磁気センサの出力電圧の素子抵抗依存性。 第2の実施の形態による磁気センサの素子抵抗依存性。 本発明の第3の実施の形態による磁気読出しヘッド((a)バンドストップフィルタ、(b)バンドパスフィルタ)との併用例を説明するための図。 (a)実施例1、(b)実施例2で用いた磁気抵抗効果素子を説明するための断面模式図。 実施例1で用いた測定系を説明するための図。 実施例1で観測されたマイクロ波電圧スペクトル。 実施例3および実施例4で用いたバンドストップフィルタを説明するための断面模式図。 実施例3で用いたバンドストップフィルタの透過率スペクトル。 実施例4で観測された出力電圧の磁場依存性。
符号の説明
1・・・磁気抵抗効果素子
3・・・バンドパスフィルタ
5・・・検波器
7・・・FET
9・・・増幅器

Claims (5)

  1. 化の熱揺らぎに起因する雑音電圧の周波数スペクトルが所定のスペクトル周波数において極大となり、その所定のスペクトル周波数は外部磁場に依存して変化する磁気抵抗効果膜と、
    一対の入力端と出力端を備え、前記入力端が前記磁気抵抗効果膜に接続され、所定周波数の近傍において透過率が減少もしくは増大する周波数フィルタと、
    前記周波数フィルタの出力端に接続する検波器とを備えることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記周波数フィルタは、前記所定周波数において磁気共鳴を生じて透過率が変化する磁気共鳴効果フィルタであることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記磁気抵抗効果膜は、磁性体、誘電体、及び磁性体からなるトンネル接合を備え、前記磁気抵抗効果膜の出力端と配線を介して接続されたゲートを備える電界効果トランジスタを備え、前記電界効果トランジスタの出力端が前記周波数フィルタに配線を介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  4. 前記周波数フィルタは磁性体膜により構成されるバンドストップフィルタあるいはバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気センサ。
  5. 前記磁気抵抗効果素子、前記周波数フィルタ、及び前記検波器が同一基板上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気センサ。
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