JP2003207553A - 磁気検知装置 - Google Patents
磁気検知装置Info
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Abstract
変化する磁界等の被検知磁界を、高感度でかつ高速に検
知することができる磁気検知装置を提供する。 【解決手段】この磁気検知装置は、例えば相対的に移動
する被検知磁界の変化を検知し、被検知磁界の変化を示
す検知信号を出力する。導体層6上に薄膜の磁性膜を形
成してなる薄膜磁気検知素子1と、薄膜磁気検知素子1
の近傍に配置されると共に導体層6に接続され、磁性膜
2の持つ磁気共鳴周波数の付近で磁気特性が変化するこ
とにより発振周波数を変化させる発振回路8と、を備え
る。被検知磁界の変化により磁性膜2の磁気共鳴周波数
が変化し、磁気共鳴周波数近傍の磁気特性の変化に応じ
て発振回路8の発振周波数が変化し、被検知磁界の変化
を発振周波数の変化として発振回路8から出力する。
Description
による磁気特性の変化を磁性体の複素透磁率の虚部、す
なわち、磁性体としての特性を失っていく周波数領域の
特性を用いて検出する磁気検出装置に関するものであ
る。さらに詳しくは、この発明は、ハードディスクドラ
イブなどの磁気ヘッド、モータなどに用いられるロータ
リーエンコーダ、バーコードリーダーの磁気ヘッドな
ど、着磁により記憶された磁気パターンの検出、およ
び、携帯電話、DVD、デジタルTV等のデジタル家電にお
いて電気信号によって励磁された磁界を介して伝達され
る信号伝達装置などに用いられる磁気検知装置に関する
ものである。
クス、デジタル信号処理技術の発展によって、携帯電
話、AV機器、パソコン等の小型高性能化が急速に進んで
いる。これらのデジタル情報機器では、その性能は、デ
ジタル信号の処理能力、すなわち、単位秒当たりどれだ
けのビットの信号処理が行え得るかによって決定され
る。従って、今後とも予想されるデジタル機器の発達
は、それらの機器に利用される全ての部品に対して、さ
らなる高速化を要求し続けることとなる。
要な役割を果たしてきた。たとえば、磁気記憶媒体に記
憶された情報の読み出し、その記憶媒体のモータに使用
されるロータリーエンコーダなど多種多様にわたって使
用されている。しかし、今後とも、その役割を維持し、
且つ、発展させるためには、従来の技術では限界を向か
え、高速化技術に於いて高速化が可能な新たな原理に基
づく磁気検知装置の開発が期待されている。
知素子は、従来技術より、MR素子(magneto-resistance
effect sensor)、GMR素子(giant magneto-resistance
effect sensor)、最近になって、MI素子(magneto im
pedance device)という新たな素子が開発されてきた。
しかしながら、それらは、いずれも急激な情報量の処理
に伴う高速化等の磁気検知素子への要求に応えられない
でいる。
部磁界によって磁性体内のスピン方向が変化し、その結
果、磁性体の電気抵抗が変化し、その電気抵抗変化量を
外部磁界の量として検知する素子である。これらの素子
の長所は、MI素子の様に交流電流を流さず、磁性体の直
流抵抗を特別な回路を必要とせず直接検知できることで
ある。しかしながら、交流電流による磁性変化を利用し
ないことで、検知周波数限界が、低周波数で生じてしま
う。その理由を下記に示す。
化(出力変化)の出力特性を示している。この図32の
特性グラフからGMR素子の出力変化は、正負の被検知磁
界に対する抵抗出力にヒステリシスを持っていることが
分かる。これは、磁性体が被検知磁界によって一部が磁
化されたままで残ることを意味する。別の考え方をする
と、被検知磁界が正負印加されたとき、その変化に追随
せず、元の状態に戻らない現象が現れる。これは、GMR
素子が、被検知磁界の高周波数変化を検知するには、不
利な素子であることを示している。
性特性(B−Hカーブ)におけるヒステリシス、および、
磁気余効(magnetic after effect)があげられる。こ
れらの磁気損失現象によって、外部磁界に対して、変化
せず、かつ検出できない限界周波数が存在する。
界周波数以下の殆どその影響を受けない磁性体の透磁率
などの磁気特性が一定の特性を有する周波数帯で使用さ
れる素子であり、且つ、その使用可能周波数は損失が増
加する限界周波数より一般的には1/10程度と低い。
素子は、交流電流で駆動することによって、GMR素子の
問題点である出力のヒステリシスを生じず、GMR素子よ
り遥かに高感度で検知できる磁気検知素子である。
化すると、その電流に作用する磁性体の有効透磁率が変
化することで、電流に作用するリアクタンスが変化し、
且つ、その透磁率変化によって表皮効果による抵抗が変
化することによって、被検知磁界によりリアクタンス、
抵抗の両成分の交流インピーダンスが変化する素子であ
る。
体の有効透磁率、即ち複素透磁率の実部の変化を利用す
る素子であって、その検知周波数限界は、磁性体の有効
透磁率(複素透磁率の実部)の限界に依存する。したが
って、MR、GMR素子と同様に、複素透磁率の虚部が急激
に増加する限界周波数近傍ではなく、殆ど虚部の増加の
影響を受けない有効透磁率が一定の比較的低い周波数帯
で、MI素子は使用せざるを得ない。
性の一般的な2つ代表的現象がある。一つはMR、GMR、M
I素子などにこれまでの磁気検知素子に利用されるスピ
ン方向が変化することによって発生する有効透磁率変化
であり、もう一つは、複素透磁率の有効成分である実部
が急激に低下し、損失成分である虚部が急激に増加する
領域、いいかえると、磁性体が磁性体としての性質を失
っていく限界の周波数領域が変化する現象である。
界周波数変化を、外部磁界を検出する手段として使用し
た磁気検知装置である。即ち、有効透磁率が一定である
必要がある従来の検知方法から、その必要性がない検知
方法を新たに着想することによって、同一限界周波数特
性を有する磁性体を利用しても、10倍程度の高周波ま
で応答周波数をあげることができるようにしたものであ
る。
複素透磁率の関係を示したグラフであるが、この図33
のグラフに示すように、被検知磁界により磁性体の複素
透磁率がμ1からμ2になった時、その複素透磁率の実部
μ1'はμ1"に、複素透磁率の虚部μ2'はμ2"に変化す
る。従来使用されていたMR、GMR、MI素子などでは、複
素透磁率の虚部が増加しない周波数領域Aで使用してお
り、また複素透磁率の実部がμ1'からμ2'に変化する物
理現象を利用している。それに対し、本発明の磁気検知
装置は、複素透磁率の実部が減少し、且つ、虚部が増加
する周波数領域Bを利用し、且つ、その増減の周波数が
被検知磁界により移動する物理現象を利用する。
で、高密度で記録された磁気記憶パターン、高速で変化
する磁界等の被検知磁界を、高感度でかつ高速に検知す
ることができる磁気検知装置を提供することを目的とす
る。
めに、本発明の請求項1の磁気検知装置は、被検知磁界
を受ける磁性体と、磁性体の限界周波数領域で発振する
発振手段と、を備え、発振手段は、磁性体が複素透磁率
の虚部である損失成分が増加し、実部である有効透磁率
が急激に低下する過渡的な限界周波数領域で発振し、被
検知磁界の変化を限界周波数領域の発振周波数の変化と
して検知することを特徴とする。
界周波数領域を、磁性体の磁気共鳴周波数近傍とするこ
とができる。
化を検知し、該被検知磁界の変化を示す検知信号を出力
する磁気検知装置において、磁性体と、磁性体の持つ限
界周波数近傍の周波数に発振周波数を設定して発振する
発振回路と、を備え、被検知磁界の変化に伴って変化す
る磁性体の限界周波数の変化を、発振回路の発振周波数
の変化として捉え、被検知磁界の変化を発振周波数の変
化として発振回路から出力することを特徴とする。
検知素子に含まれ、磁気検知素子は磁性体と共に発振回
路の電流を通す導体を有し、磁性体は該導体に比して充
分に高い体積低効率を有するように構成することができ
る。
検知素子に含まれ、磁気検知素子は、磁性体と、電気的
絶縁層と、磁性体に対し電気的絶縁層を介して配置され
磁性体の限界周波数の影響を受けると共に発振回路の電
流を通す導体と、を有して構成することができる。
の少なくとも磁性体は、薄膜プロセスを使用し、薄膜の
磁性膜として形成することができる。
7のように、磁性膜は、磁性体層と非磁性体層を積層し
た多層膜で形成することができる。
の発振回路は、磁気検知素子と同一の半導体基板上に形
成することができる。
にバイアス磁界を印加するためのバイアス磁界発生素子
を、磁気検知素子の近傍に配設することができる。
は着磁により記憶された磁気記憶パターンとすることが
できる。
はコイルによって発生した電気信号による磁界とするこ
とができる。
構成図を示している。この構成図に示すように、磁気検
知装置は、被検知磁界により限界周波数が変化する磁性
体を有する磁気検知素子1を有し、その磁性体の限界周
波数を電気的に検知する為、磁性体の影響を受ける、い
わゆる電気磁気結合された電流通路を有している。その
電流通路は、発振回路8に接続され、磁気検知素子1の
限界周波数が変化すると、その変化に伴い発振周波数が
変化するように設定されている。回路に接続されるコン
デンサ7は、寄生容量の影響を抑制する為に設けられた
ものであり、特に必要としない場合がある。
て発振回路8の発振周波数が変化し、その周波数の変化
を磁界の検知信号として取り出す。つまり、磁気検知素
子1の磁性体の被検知磁界による限界周波数の変化が、
発振回路8の出力周波数の変化として取り出され、それ
が磁界の検知信号となる。
のものと比べ、利用する磁性体の複素透磁率領域の違い
により、次のような相違点がある。つまり、本発明の磁
気検知装置では、従来、被検知磁気の検知手段として利
用されてこなかった、透磁率が高くなれば限界周波数が
下がり、透磁率を低く抑えると限界周波数がその分高く
なる、という磁気現象を利用するものである。
に、必然的に複素透磁率の有効成分である実部が一定で
ある周波数領域を検知するのではなく、損失成分が急激
に増加する領域、即ち、磁性体が磁性体としての性質を
失っていく磁性体の特性としては過渡的な限界周波数領
域を利用する。そのことによって、同一限界周波数を持
つ磁性体を利用した場合でも、従来の約10倍もの応答
周波数を実現することができる。
変化を、抵抗、リアクタンス、即ちインピーダンスとし
て検知するのではなく、デジタル情報処理が容易な周波
数、即ち限界周波数を検知する。
知磁界による限界周波数変化を、次元を変えずに同一次
元である周波数変化として検知し、且つ出力する。この
ことによって、検出変化量の減衰を排除でき、かつ、デ
ジタル情報処理に適したパルス信号でも、情報が失われ
ない周波数、周期などの時間情報に直接変換でき、従来
の振幅、位相等の所謂アナログ情報を排除することがで
きる。
波数領域を磁気共鳴周波数近傍とし、請求項6のよう
に、薄膜の磁性膜を用いて磁気検知素子を構成した場合
について説明する。
子の近傍の被検知磁界が変化すると、その被検知磁界の
磁気記憶パターン等に応じて、発振回路の発振周波数
(磁性膜の磁気共鳴周波数近傍の周波数)が変化する。
その発振回路から出力される周波数信号を、例えばFM
復調回路により復調し、磁気ディスクなどの磁気記憶パ
ターン(記録情報)を出力するように動作する。
比してその膜厚を非常に薄く形成され、高周波に対し有
利な構造を持ち、つまり高周波電流や高周波磁界の表皮
効果による損失を生じさせず、その磁気共鳴周波数(限
界周波数とも言える)の近傍で磁気特性が急激に変化
し、その変化に応じて変わる発振回路の発振周波数の変
化を情報として取り出すから、例えば200Mbit/s以上
の高速で情報を読み取ることができる。
素子のできるだけ近くに配置することにより、高周波に
より発生する配線などの寄生容量や寄生インピーダンス
の影響を少なくすることができる。また、磁気検知素子
の磁性膜をできる限り薄く積層・形成することにより、
高周波電流や高周波磁界の表皮効果による交流損失を低
減し、高周波での動作を可能としている。さらに、請求
項5のように、薄膜磁気検知素子の磁性膜を導体層から
電気的に絶縁することで、磁性膜に高周波電流が流れた
とき、インピーダンスが増加し発振の容易さを示すQ値
が悪化して、高周波損失が増大することを防止してい
る。
のMI素子とはその構造・作用において以下のような違い
がある。すなわち、この磁気検知装置は、MI素子のよ
うに、磁性膜に交流電流による交番磁界を発生させる
が、MI素子のように被検知磁界によるインピーダンス
変化を利用するのではなく、被検知磁界により磁性膜の
磁気共鳴周波数が変化することを利用して被検知磁界を
検知する。
働く上限の限界周波数となるもので、この周波数になる
と、磁性体の透磁率は急激に低下し、交流電流により発
生する磁気エネルギーは、急激に熱となって損失となっ
ていく。言いかえれば、複素透磁率の実部が急激に低下
し、損失部である虚部が急激に増加する周波数である。
は、MI素子とは大きく原理的に異なる。MI素子は、
電流が流れる部位(導体)の周りにできる磁束の大きさ
の変化をインピーダンスと検出する素子である。したが
って、導体周りの磁路(magnetic path)の磁気抵抗
(magnetic reluctance)の変化を検知する素子であ
る。すなわち、MI素子は、磁路の形状、たとえば断面積
とか長さなどに依存した素子である。それに対して、磁
気共鳴周波数は、基本的に磁性膜の物理的性質(physic
al property)に依存した特性である。また、被検知磁
界により磁気共鳴周波数が変化することは、どのような
磁性材料でも発生する普遍的な物理現象である。
インピーダンス値を大きくすることが有利であり、した
がって、小型化すると変化量が減少する傾向がある。ま
た、高周波化に向く材料を用いるほど、インピーダンス
の絶対値が減少しやすく、且つ、高周波でのインピーダ
ンス変化量を検知する回路構成は一般的に非常に難し
い。したがって、小型化、高周波化に向かない。
磁性体の性質そのものを検知するものであり、磁性体で
は、基となる被検知磁界を印加しない状態での磁気共鳴
周波数、すなわち、自然磁気共鳴周波数が同じなら、磁
気共鳴周波数の変化もほぼ同じになる。このことは、膜
の厚さ、断面積や磁性体の総量などの形状的要素に制限
されず、磁気検知素子を形成することができ、これによ
り、磁気検知装置を極めて、小型化することができる。
造にした磁性膜は、一般に極めて磁気共鳴周波数が高
く、特に非磁性体を絶縁膜にすると、その傾向が顕著で
ある。よって、磁性膜を30nm以下の薄膜にした場合で
も、その磁気共鳴周波数を例えば200MHz以上の高周
波にすることは可能である。さらに、この磁性膜は微細
加工ができる。よって、磁性膜の幅を、例えば200n
m以下にすることは、現在の技術でも可能であり、幅2
00nmで厚さ30nm以下の狭い磁気記憶エリアを、その
エリアより小さい磁気検知エリアをもった薄膜磁気検知
素子の磁気検知装置を用いて、例えば200Mbit/s以上
の高速で磁気記録面の情報を読み取ることができる。
基づいて説明する。
一実施形態の概略構成図を示している。薄膜磁気検知素
子1は、例えば厚さ0.5μmのCu或はAlの導体層6の上
に、絶縁体層5を厚さ例えば0.1μmで、蒸着などによ
り形成し、その上に例えば厚さ30nmの磁性膜2が蒸着
などにより形成される。磁性膜2は、厚さ1nmのCoSiB,
FeNbZr等の軟磁性のアモルファス金属からなる磁性体層
3と、厚さ1nmのCuの非磁性体層4とを多層に蒸着して
形成され、磁性膜2の膜幅は、例えば横幅が30nm以
下、縦幅が200nm以下と非常に微細に形成される。
気共鳴周波数が変化する磁気検知用の磁性膜であり、磁
性体層3と非磁性体層4よりなる多層膜で構成される
が、磁性体の単層膜でも原理的には実施可能である。ま
た、非磁性体層4は金属膜としたが、絶縁性の膜でも良
い。また、この磁性膜2の磁気共鳴周波数近傍でおこる
磁気的変化を電気的特性の変化に変換するために、磁性
体層3の近くに導体層6を配置した。被検知磁界によっ
て磁性膜2の透磁率が変化すると、導体層6を流れる電
流磁界に対して影響を及ぼすように磁性膜2は配置され
ている。薄膜磁気検知素子1を形成する場合、この導体
層6は、磁性膜2の上層、または下層に積層することが
できる。導体層6と磁性膜2の間は、高周波での抵抗成
分を少なくするために、絶縁体層5により絶縁されてい
る。
導体層6の両端にコンデンサ7を並列接続し、さらにコ
ンデンサ7と並列に発振回路8を接続する。コンデンサ
7は、導体層6に寄生する容量成分を安定化し、且つ、
発振条件を整えるために、導体層6と並列に接続され
る。発振回路8は、アンプ9とフィルタ10を有し、発
振回路8の出力側に、被検知磁界の変化分のみを取り出
すために、FM復調回路11が接続される。さらに、FM復
調回路11の出力をデジタル化するためにFM復調回路
11の出力側にパルス整形回路12が接続される。
導体層6のインピーダンス、及び、フィルタ10のイン
ピーダンスにより決定される。この発振条件を磁気共鳴
周波数が変化する周波数近傍の急激なインピーダンス変
化が発生する条件に設定すれば、発振周波数は、磁気共
鳴周波数を代表し、且つ、被検知磁界により磁気共鳴周
波数が変化すると、それに伴い、発振周波数も変化し、
被検知磁界の変化を信号として取り出すことができる。
性膜2の磁気共鳴周波数の変化を、電気的に取りだし可
能な物理量として、導体層6の電気的変化を利用して検
出する。検知すべきは、磁気共鳴周波数という周波数で
あるから、当然、検出される物理量は周波数として検出
することが、当然、最も容易である。したがって、磁気
共鳴周波数近傍での磁性膜2の複素透磁率変化によっ
て、導体層6のインピーダンスが急激に変化するので、
このインピーダンス変化を、発振回路8の発振条件に組
み入れれば、被検知磁界による磁気共鳴周波数の変化
を、発振周波数変化として検出できる。複素透磁率につ
いては以下に説明する。
い磁気ディスク装置などの磁気ヘッドに装着し、磁気デ
ィスクの磁気記録面を検知素子1の近傍で移動させる
と、被検知磁界が変化し、その被検知磁界の変化に応じ
て、薄膜磁気検知素子1の磁気共鳴周波数が変化し、そ
の磁気共鳴周波数の変化に応じて発振回路8の発振周波
数が変化し、発振回路8から磁気ディスクの磁気記憶パ
ターンを示す周波数信号が出力される。発振回路8から
出力された周波数信号はFM復調回路11に送られ、そこ
で復調された磁気記憶パターンを示す波形信号が取り出
され、パルス整形回路12により波形整形されデジタル
化された磁気記憶パターンを示す信号が出力される。
番磁界を与えて磁化させていくと、印加した交番磁界の
周波数が増加するに従い、さまざまな損失が増加してい
く。この損失は、交番磁界の変化に、磁性体が磁化され
たことにより発生する磁束がついて行けなくなり、位相
が遅れていくことに起因する。
相遅れをδ、発生する磁束Bとすると、 H=H0・eiωt B=B0・ej(ωt-δ) と表される。
からなり、この透磁率μが複素透磁率となる。虚部μ"
は、磁界Hより90度位相が遅れた磁束Bの成分を表し
ているから、その成分を引きずって磁化していくには、
エネルギーが必要であり、この虚部μ"が磁性体内で熱
として消えていく損失を代表する。次に磁性体の損失に
ついて説明する。
波で印加すると、さまざまな損失が発生する。印加する
交番磁界の周波数が低い方から発生する損失を説明する
と、まず、最も低い周波数から発生するものとして、ヒ
ステリシス損がある。これは、磁化ループ(magnetizat
ion curve)がヒステリシスループ(hysteresis loop)
を描くと、そのループの囲む面積をいう。すなわち、交
流磁界が印加されると、その周期ごとに消費され、熱エ
ネルギーに変換される損失である。この損失は、周波数
に比例して増加する。よって、高周波まで使用する磁性
体は、ヒステリシスを描かない軟磁性材料(soft magne
tic material)特性が求められる。
るのが、渦電流損(eddy currentloss)である。これ
は、交番磁界によって、磁性体内に電磁誘導(electroma
gnetic induction)によって渦電流が発生し、電流が磁
性体内を流れ、熱となり消費される。特に磁壁が移動し
やすい磁区構造の磁性体では、渦電流は磁壁の付近に集
中し、損失は、磁壁が移動しないと仮定した場合の倍以
上になる。
ることもできる。これは、高周波になるにつれ、表皮効
果によって、磁化が表面に集中し、内部が磁化されない
状態になっていくことを示す。この表皮効果によって、
磁路(magnetic path)が狭くなり、或いは内部ほど磁
束の位相が遅れることにより、損失となって表れる。
ffect)などによる損失があるが、それらの損失を全
て、解決したとしても、磁性体は、使用できる周波数に
限界、すなわち磁性体として働く周波数に限界が存在す
る。その限界が、磁気共鳴周波数である。次に、磁気共
鳴周波数について説明する。
磁界によってスピンが磁界方向に向き、磁束となって磁
化を生ずる。しかし、周波数が増加すると、ついには、
交番磁界の変化にスピンの動きがついて行けなくなり、
位相遅れを生じ、ついには、全く動かなくなる。
スピンの追随があるが、ある周波数で、急激に追随しな
くなくなり、位相の遅れ、言い換えれば、損失分のμ"
が急激に増加し、ついには、全く追随しない状態、磁性
体ではない状態に近づく。
ピンの回転が位相遅れを生じ、その位相遅れによって,
損失分のμ"が極大値を持つ位相の部分が存在し、その
周波数を、磁気共鳴周波数という。
鳴現象である。この現象は、磁性体として働く、最も高
い周波数であり、原子の歳動運動(precession)によ
り、説明できる。原子のような微細な粒子が、磁気モー
メントを持つことにより、磁界方向を軸として回転運動
を行っている。その運動をラモアの歳動運動(Larmor p
recession)よぶ。この運動の回転周波数は、磁界の強
さに影響される。
性体にはさまざまな磁気異方性が存在し、その異方性に
対応する磁界が印加されたと、同様な動きをする。この
歳動運動の周波数が、結局は磁気共鳴周波数である。磁
気共鳴周波数に外部から印加される交番磁界の周波数
が、近づくことによって、共鳴現象を引き起こす。共鳴
現象であるから、その周波数近傍で歳動運動に対して、
劇的な変化をもたらす。すなわち、周波数が全て一致す
ると、外部から印加される交番磁界のエネルギーが歳動
運動に殆ど変換され、結局は熱エネルギーに変換され
る。よって、虚部(μ")は極大値を持つことになる。
って影響を受ける。この共鳴現象の前に若干の増加を示
し、急激な減少に転ずる。これは、共振等の一般的に表
れる現象である。急激な減少は、スピンが動かなくなる
ために、印加される交番磁界につれて発生する磁束、す
なわち、有効な透磁率が急激に減少することを意味す
る。
変化と磁気共鳴周波数の関係を示している。磁気共鳴周
波数は、共鳴現象により、損失分であるμ"が極大値を
示すところであり、その近傍で、μ'は急激に減少に転
ずる。本発明では、この磁気共鳴周波数近傍の磁性体の
μ'、μ"の急激な変化を、外部磁気を検知するために使
用している。
ば、前記のさまざまな原因により、磁性体は、損失が発
生し、磁気共鳴周波数と同様に、急激な複素透磁率
(μ'、μ")の変化を起こすことがある。また、急激な
損失増加の周波数が、被検知磁界により変化することが
ある。これらを検知することによっても被検知磁界を検
知することが可能であり、広い意味で磁気共鳴周波数の
検知の概念に入る。また、最も高い周波数まで磁気を検
知可能な磁気共鳴周波数を使用することは、将来にわた
ってその利用価値は高い。よって、次に、被検知磁界に
よる磁気共鳴周波数の変化について説明する。
化)磁気共鳴周波数は、被検知磁界により以下のように
変化する。すなわち、磁気共鳴周波数は、上述のように
原子レベルの歳動運動であるから、下記の理論式のよう
に、電子の電荷などを用いて表すことができる。
ular frequency) μ0は真空透磁率(space permeability) eは電子の電荷(charge) mは電子の質量(mass) gはジャイロ係数(gyro-magnetic ratio) Hは磁界の強さ(magnetic field) γ=g・μ0・e・/2m γはジャイロ磁気乗数(gyro-magnetic constant) ω=γ・H 磁気共鳴周波数ωは、一般には、上記の式のようにな
り、結論的には、磁界とジャイロ磁気乗数とに比例す
る。磁性体は、被検知磁界がないときでも、一般的に磁
気共鳴周波数は0とならない。したがって、外部の磁界
がない時の磁気共鳴角周波数を自然磁気共鳴周波数ωo
(natural magnetic resonance angular frequency) と
いい、以下の式の様に表される。
性体には、何らかの磁気異方性(magnetic anisotropy)
があり、その存在により自発磁化(spontaneousmagnetiz
ation)Isの影響を受けて、磁気共鳴周波数は0とはな
らない。このような自発磁化を生じさせる磁界つまり異
方性磁界(anisotropy field)Haは次の式で表される。
界Heff及び反磁界Hdemは以下のように表される。
ex)が加わると自然共鳴周波数(ωo)から増加してい
く。その周波数の増加には、上記の式で示されるよう
に、有効磁界(effective field)Heffが支配的に関与
する。
被検知磁界(effective field)が印可されると磁性体
端部に磁極が現れることにより、被検知磁界に反対方向
に反磁界(demagnetizing field)Hdemが発生する。した
がって磁性体に有効に働く有効磁界(effective fiel
d)Heffは、印加される被検知磁界と反磁界の差によっ
て表される。反磁界は、反磁界係数Ndemと呼ばれる係
数で、磁化ベクトルMの一部が転化されると考えられ
る。
との関係を示している。被検知磁界が0の付近では、被
検知磁界のエネルギーが、磁壁エネルギーに転化されや
すいこと、及び、反磁界の影響を受けやすいことから、
被検知磁界に対して増加する割合は低い。また磁界が大
きくなると、磁性体の磁気共鳴周波数が有限であること
から、被検知磁界に対しての磁気共鳴周波数の増加率が
鈍る。また、被検知磁界による影響は、磁化ベクトルの
符号(正負方向)に関わらず同一であるから、被検知磁
界と磁気共鳴周波数の関係は図4のように表される。次
に、磁気共鳴周波数の検出について説明する。
磁率の変化を電気的特性に変換する。磁性体の複素透磁
率の変化は電気インピーダンスの変化に影響を及ぼし、
その変化を検出するためには、磁気インピーダンス(ma
gnetic impedance)と電気インピーダンス(electric i
mpedance)が、カップリングしていることが不可欠であ
る。つまり、被検知磁界により磁気共鳴周波数が変化す
る磁性体に隣接して、電気回路を構成する電流が流れる
導体部が配置されることが不可欠である。この条件下
で、一般的に知られるように、磁気インピーダンスと電
気インピーダンスの関係は、下記のように示される。
ダンス、N:コイル巻き数である。
巻き数は1であるから、N=1とすると、 Zm=L/(μ*・S) となり、ここで、Lは磁気回路の長さ、Sは磁気回路の
断面積、μ*は複素透磁率である。
において、磁気インピーダンスZmの損失分の虚部が、
電気インピーダンスZの実部、すなわち電気回路におけ
る抵抗分(損失)となり、同様に磁気インピーダンスZ
mの実部が、電気インピーダンスZの虚部となる。この
ことは、磁気回路の損失は、電気回路に変換されても損
失となる。
導体の電気インピーダンスZは、磁性体の透磁率の変化
を検出でき、磁性体の透磁率の実部(有効透磁率μ')
を電気インピーダンスZの虚部として検出し、磁性体の
透磁率の虚部(損失部である透磁率μ")は、電気イン
ピーダンスZの実部(損失)として検出する。また、導
体の交流損失などは、電気インピーダンスZの実部(損
失)として検出する。電気インピーダンスZにおいて、
実部は、導体、磁性体などのあらゆる損失成分を表し、
虚部は伝達される損失とならない成分を表す。よって、
極めて高い周波数である磁気共鳴周波数まで検出する素
子では、磁性体、及び導体などあらゆる損失が、その周
波数まで増加しない工夫が要求される。
照して磁気共鳴周波数による電気的特性の変化の例を説
明する。上述のように、複素透磁率の変化は、電気イン
ピーダンスの変化として検出でき、実際に電気インピー
ダンスは以下のように変化する。
ップリングした導体を有する磁気検知素子Dと並列にコ
ンデンサCを接続したモデルを示している。磁性体は、
実際の磁気特性に近づけるため、1軸磁気異方性を付与
された一般的なアモルファス金属の単層薄膜磁性膜の複
素透磁率特性と仮定した。磁気検知素子Dのインピーダ
ンスZLとコンデンサCのインピーダンスZcは、以下に
示す式で表すことができる。
すように、交番磁界に対し低周波数で複素透磁率μ'は
120程度、複素透磁率μ"は4程度であり、磁気共鳴
周波数は2.1GHzとして、である。
ピーダンスを計算する上で、比例乗数となる式上のS/
LをKslとし、その値を10^−7とし、複素透磁率
(μ' μ")の値から磁気検知素子の導体の両端のイン
ピーダンスZLを求めた。そして、コンデンサCは、
0.5pFと仮定した。
存在し、その寄生容量は並列に存在すると考えられるか
ら、コンデンサCを並列に接続したモデルとした。その
寄生容量は、安定して存在しないため、容量変化の影響
を受けないように、より大きな容量として、ここでは
0.5pFのコンデンサCを挿入した。安定した容量を
得ることができれば、コンデンサCの並列挿入は必要な
い。
コンデンサCの容量、磁気共鳴周波数、複素透磁率
(μ'、μ")を設定した場合、上記式を用いて算出した
インピーダンス及び複素透磁率の周波数に対する変化
を、図6のグラフに示す。求めるインピーダンスZは、
磁気検知素子のインピーダンスZLとコンデンサのイン
ピーダンスZcの並列接続の和である。また、導体の表皮
効果などの高周波損失は、無視した。
ダンスZは、周波数が100MHz近傍と、より高周波側
の1000MHz近傍、つまり磁気共鳴周波数付近で、
大きく変化する極値が存在することがわかる。低周波側
の100MHz近傍の極値は、LC共振の周波数であり、1
000MHz近傍が磁気共鳴周波数の極値である。10
0MHz近傍の極値は、ほぼ一定な複素透磁率μ'によ
るインダクタンス値とCの共振であり、この周波数近傍
でのインピーダンス変化は穏やかで、発振のしやすさを
示す指標であるQ値が低いことを示している。
波数近傍でのインピーダンス変化の拡大図を示してい
る。図7のグラフから、磁気共鳴周波数近傍で、インピ
ーダンスZが大きく変化することが分かる。すなわち、
複素透磁率μ"の最大値の周波数が磁気共鳴周波数であ
る。その周波数の僅かに低い周波数で、インピーダンス
Zが大きく変化し、まず周波数Aにおいて上向きの極値
を有し、次に周波数Bにおいて下向きの極値を有してい
る。
周波数A,Bでのインピーダンス変化は極めて大きく、
そのため、Q値が大きくなり、発振回路でおいては発振
条件を満たしやすく、発振が容易である。また、電気部
品によってフィルタ定数を設定すると、その発振条件
は、インピーダンスの極大点、極小点の何れか、及びそ
の中間点、極大点より下の周波数、極小点より上の周波
数を任意に選択することができる。つまり、磁気共鳴周
波数の変化を反映する周波数範囲であって、且つその周
波数で発振する条件を整えれば、磁気共鳴周波数付近の
インピーダンス変化を周波数として電気的に検出するこ
とは容易である。
ンピーダンス変化は、磁気共鳴現象による複素透磁率変
化により引き起こされる現象であり、この極値を持つ周
波数は、磁気共鳴周波数そのものを代表する。被検知磁
界により磁気共鳴周波数は変化し、その変化に伴い、周
波数A、周波数Bも変化していくから、周波数A又は周波
数Bにおいて発振条件を満たすように回路を構成すれ
ば、その発振回路の発振周波数の変化から被検知磁界の
変化を検知することができる。
磁率の関係を示している。磁気共鳴周波数と複素透磁率
の関係は、スノエク(Snoek)によって、古くから
実証されてきた。スノエクは、同一磁性体で、透磁率
(複素透磁率μ')を下げると磁気共鳴周波数は上が
り、逆に透磁率が上がれば、共鳴周波数は下がり、限界
線以上に、透磁率と磁性体の使用限界(磁気共鳴周波
数)の両方を上げることはできないことを示した。この
ことは、被検知磁界により磁気共鳴周波数が変化する
と、それに伴い、複素透磁率も変化することを意味して
いる。
ける磁気検知装置の構成図を示している。この実施形態
の回路では、図2に示す第一実施形態の回路に、基本周
波数制御回路13を付加したものである。
8の発振周波数を自然磁気共鳴周波数から予め高い周波
数にオフセットさせ、且つ、その周波数を一定に維持さ
せるために接続される。被検知磁界の変化により薄膜磁
気検知素子1の磁気共鳴周波数が変化したことにより発
振周波数が変化する発振回路8、その変化量のみ、すな
わち外部磁場の変化量をベースバンド出力として取り出
す為のFM復調回路11、磁気変化をN,S極のビット
データに対応したデジタルデータとして処理できる電気
信号に変換するパルス整形回路12は、上記図2の例と
同様である。
発振周波数を検知する周波数検知回路16、バイアス磁
界を発生させるバイアスコイル14、及び検知した発振
周波数に基づき、バイアスコイル14に供給する電流を
制御するバイアス電流制御回路15から構成される。バ
イアスコイル14によりバイアス磁界を発生させる理由
は、磁界のN,S方向の極性の違った磁界を安定的に検
知するためには、予めバイアス磁界を印加すると有利で
あること、及びより発振周波数を高く設定することに有
効であることである。
基本周波数と呼ぶが、バイアスコイル14によるバイア
ス磁界の発生は、基本周波数を一定に維持することによ
り、磁性体の透磁率などの温度変化、及び地磁気など検
出すべき磁界以外のいわゆる外乱磁界の影響、磁気検知
素子1と着磁された記憶媒体とのギャップの変化など、
外的要因による発振周波数変化を抑制するために有効で
ある。
回路16が発振回路8の発振周波数を検知し、バイアス
電流制御回路15は、平均的な発振周波数が予め設定さ
れた磁気共鳴周波数より高い周波数となるように、バイ
アス電流をフィードバック制御し、バイアスコイル14
に直流成分を含むバイアス電流を印加し、発振周波数が
その周波数に維持されるように、バイアスコイル14の
電流を制御する。
周波数との関係を示すグラフ図を示している。自然界に
は、地磁気などの静磁界があり、これがバイアス磁界H
bと同様の働きをする。このため、安定的にバイアス磁
界を設定するためには、コイルまたは磁石により磁界を
発生させる必要がある。
することにより、図10に示すように、被検知磁界(磁
気記憶パターン)による周波数変化の最大点を捉えて感
度を上げることができ、被検知磁界の変化が周波数の増
減に反映できるように磁界をオフセットすることができ
る。また、発振回路8の発振周波数を自然磁気共鳴周波
数より高く設定することができる。したがって、このバ
イアス磁界により被検知磁界(磁気記憶パターン)の
N,S極を、基本周波数からの周波数の増減として安定
的に検出することができる。
の関係を示すグラフ図を示している。グラフAは被検知
磁界がある場合を示し、グラフBは被検知磁界がない場
合を示している。図11のグラフA,Bから、被検知磁
界によりまずμ値変化が起こり、導体両端のインダクタ
ンス成分と挿入したキャパシタ成分によるLC共振周波数
と磁気共鳴周波数付近で、インピーダンスの極値を持つ
ことが分かる。薄膜磁気検知素子1の両端に並列接続し
たコンデンサCは、高周波を使用する場合、磁気検知素
子に寄生の容量(キャパシタ)成分が存在するため、そ
の影響を除去する。
いときのLC共振周波数A1から、磁界を印加すると、LC
共振周波数B1に変化する。同様に、磁気共鳴による変
曲点である周波数A2は、同様に磁気共鳴による周波数
B2に変化する。このように、図11のグラフから被検
知磁界(磁気記憶パターン)の変化を周波数の変化とし
て検知できることが分かる。
MI素子によるインダクタンス変化を、発振周波数を用い
て検知する場合の周波数変化である。このインダクタン
ス変化を、発振周波数を用いて検知する方法でも、被検
知磁界の変化を、周波数変化して検出できる。しかし、
μ値変化を周波数変化として利用すると、磁気共鳴周波
数を検知する方法に比べ、被検知磁界による周波数変化
が小さく検知する感度が低いという欠点がある。
とインダクタンスLと透磁率μ'の関係を示している。
この式から、LC共振周波数fLcは、良く知られるよ
うに、インダクタンスLと関係づけられ、インダクタン
スLが透磁率μ値(実部μ')に比例するから、結局
は、スノエクが示したように、磁気共鳴周波数frの1
/2乗に比例することが分かる。したがって、磁気共鳴
周波数を直接検知する方式は、当然のことながら、1乗
に比例するから、LC共振による周波数変化により透磁
率μ値を検出する方式は、磁気共鳴周波数を直接検知す
る方式に比べ、感度が悪いのである。本発明の磁気検知
装置は、一般的な透磁率の変化をLC共振周波数で検出
するものとは異なり、磁気共鳴周波数の変化そのものを
検知して被検知磁界を検知する装置であり、上記に比べ
感度も良好である。
加えた場合のインピーダンスZの周波数に対する変化の
グラフを示している。グラフAは被検知磁界がある場合
を示し、グラフBは被検知磁界がない場合を示す。この
磁気検知装置の発振回路8は、その発振周波数が、磁気
共鳴周波数に関係し、かつ、その近傍の周波数で発振条
件を成立させ、被検知磁界を周波数として変化する必要
がある。現在の電子回路技術によれば、磁気共鳴周波数
は、例えば200MHz以上で2GHz程度までは実現が
可能である。
けることよって、発振周波数条件を、図12に示す周波
数A1、又は周波数A2に設定できる。発振回路8は、
薄膜磁気検知素子1に交流電流を流して発振する。発振
条件は、インピーダンスZが極値をもつ周波数条件で決
定される。したがって、薄膜磁気検知素子1の磁性膜2
の磁気共鳴周波数で発振させるために、その他の条件の
防ぐ必要がある。
で発振することを防ぐために、コンデンサCを挿入し、
その発振条件、いわゆるLC発振条件の周波数を下げ、
自然磁気共鳴周波数での発振条件と差を多くする。これ
によって、フィルタなどにより磁気共鳴周波数での発振
を容易にし、他の周波数で発振条件が成立しないように
フィルタリングし帰還をかける。被検知磁界によって薄
膜磁気検知素子1の磁気共鳴周波数が変化すると、その
周波数近傍で、透磁率が増加し、インピーダンスZが低
下し極小値をとる。LC発振の条件の方が、周波数が低
くインピーダンスも小さいが、フィルタにより分離し磁
気共鳴周波数での発振を可能にしている。
ると、グラフAからグラフBに変化し、磁気共鳴周波数
に対応する周波数A1、周波数A2は、周波数B1、周
波数B2に変化する。周波数A1は、インピーダンスZ
の上の極値(a inflection point)であり、周波数A2
は下の極値(a inflection point)である。周波数A、
周波数Bで発振させる電子回路は、いくつか考えられ
る。
帰還型発振回路であり、高周波の周波数を選択するため
に、この検知すべき周波数より低い周波数のインピーダ
ンスを実際、又は見かけ上あげることを、フィルタ10
を挿入することで実現している。挿入したフィルタ10
はバンドパスフィルタとしてもよく、インダクタタンス
成分を含む回路は周波数が上がるとインピーダンスが自
然と上がるので、フィルタ10はローパスフィルタとし
ても良い。また、この他の発振回路として、反射型発振
回路など具体的な実現方法は複数存在する。
素子1を、磁気ディスク装置の磁気ヘッド20に装着
し、ハードディスクなどの磁気記憶媒体21から磁気記
憶パターンを読み出す際の模式図を示している。
れ、その微小な記憶エリアが、薄膜磁気検知素子1に対
して回転移動することにより、検知素子に対し高速な磁
界変化をもたらし、記憶エリアの磁極を検知する。本磁
気検知装置によれば、記憶エリアの着磁パターンを、例
えば200Mbit/S以上の速度で読み出しが可能であ
る。
ターンの波形、変動後の発振周波数の波形、FM復調回
路11の出力波形、及びパルス整形回路12の出力波形
を示している。発振回路8の発振周波数は、磁気記憶媒
体21の着磁パターンの磁界を検知し、発振周波数の増
減をもたらす。いま、記憶媒体のS極が発振周波数の減
少、N極が発振周波数の増加をもたらすように、バイア
ス磁界が設定されている。
数制御回路13により所定の周波数となるように制御さ
れる。具体的には、バイアスコイル14によりバイアス
磁界を印加し、発振周波数の変化の中心が、設定された
基本周波数になるようにフィードバック制御される。こ
の状態で、着磁された磁気記憶媒体21の着磁パターン
が薄膜磁気検知素子1に対し高速で相対移動することに
より、発振回路8の発振周波数を変化させる。図14の
着磁パターンでは下側がS極を表し、発振周波数を減少
させ、上側がN極を表し、発振周波数を増加させる。
回路11により復調され、着磁パターンが、信号として
出力される。そして、FM復調回路11の出力がパルス
整形回路12に送られ、コンピュータ等に使用されるデ
ジタル信号として処理するために、波形整形された信号
が出力される。
磁気記憶パターンを例えば200Mbit/Sで検出するた
めには、発振回路8の基本発振周波数は、200MHzで
あれば、十分である。これは、基本発振周波数の1周期
が、磁気記憶媒体21のビット幅に着磁されたデータの
読み出しに対応するから、1周期に1つのデータの確定
をすればよく、信号処理上、極めて容易である。例え
ば、半周期で、着磁による磁極の判定をすることも可能
であるから、少なくとも、発振周波数の2倍の速さ、す
なわち400Mbit/Sのデータ読み取りは、容易であ
る。
バイアス磁界を変化させ、読み出し速度を可変すること
も、可能である。このことは、磁気記憶媒体21の回転
速度が、定常回転に達する前にも、読み出しが可能であ
ることを示し、総合的に読み出し時間を短縮することが
できる。
の速さで、着磁パターンを読み出した時の各部の信号波
形を示している。したがって、基本発振周波数を例えば
200MHzとすると、読み出し可能な速さは、少なくと
も200Mbit/Sであり、倍速も可能である。このよう
に、本発明の磁気検知装置によれば、磁気ディスクなど
の磁気記憶媒体から記憶データを極めて高速に読み取る
ことができる。
気検知素子1の製造について説明する。薄膜磁気検知素
子1を微細化して製造する場合、GMRなど現在HDD
用の磁気ヘッドに使用されている薄膜製造プロセスを使
用することが有効である。薄膜製造技術は、フォトリソ
グラフィなどの技術により、エッチング等の技術が確立
されており、容易に微細化できる。上述のように、本発
明では磁性体の磁気共鳴周波数の変化を、電気インピー
ダンスの変化として検出する。
透磁率変化が大きく電気インピーダンスに影響を及ぼす
構造を取る必要があり、このために、電気インピーダン
スを検出するための導体と磁性体を、積層する構造をと
る。また、高周波でのインピーダンスの損失を抑える必
要がある為、導体は表面面積が大きくなる構造が必要で
あり、薄膜にすることで、電流通路断面積に比して、必
然的に表面積が大きくなり、この意味でも、薄膜構造に
することは、効果的である。
電気的に絶縁されるか、または、絶縁されていると同様
な効果、すなわち、磁性体が高周波での表皮効果を考慮
しても、その電流が無視できるほど、磁性体の体積抵抗
率が、導体層に比して大きいことが求められる。その理
由は、磁性体と導体を電気的に導通させると、高周波で
は、表皮効果により低周波に比して、より多くの電流が
磁性体にながれ、結果的に、導体を流れる電流が減少す
る。このことは、導体のインピーダンスと並列に寄生の
インピーダンスが増加したと考えられ、高周波での損失
分が増大する。
界により磁気共鳴周波数が変化する磁性膜2は、例えば
200MHz以上の磁気共鳴周波数を持つ必要がある。し
たがって、極めて高い高周波まで損失の少ない、高周波
用軟磁性膜とし、その構造は、単層磁性膜でも、多層磁
性膜でもよい。また、磁性膜2を、より高い高周波まで
軟磁性に保ち、高い磁気共鳴周波数を持たせる技術とし
て、磁気異方性を持たせることにより、磁区構造を双方
向にスピン方向をそろえる1軸磁気異方性の付与技術な
ど、超軟磁性化の技術がある。
00MHz以上の高周波の磁気共鳴周波数を持つ必要があ
る。それらの単層磁性膜材料は、基本的に高周波数でも
比較的高い透磁率と抵抗率を有することが求められる。
その材料としてアモルファス薄膜、粒子微粒化薄膜、グ
ラニュラー薄膜などを使用できる。
パッタ蒸着を行うと、アモルファス状の薄膜が積層され
ることにより、形成される。このアモルファスの内、特
に軟磁性を示すもの、たとえば、FeSiB、CoZrTz、CoNbZ
rなど、多くの軟磁性体薄膜が、発見されている。この
軟磁性薄膜材料の特色として、添加物の濃度、種類を選
定することで、磁歪乗数が小さく、透磁率の高い材料を
見出すことができる。アモルファスは、一般的に130
μΩ.cm程度の銅などに比して数十倍の高い抵抗率を有
する。
以下程度に極めて小さくすることにより、結晶間、粒子
間の磁気的結合が弱くなるため、極めて良好な軟磁性体
を示す。近年、数百MHz以上の高周波帯で、比透磁率が
1000を超えるものが発見されている。粒子の材料
は、アモルファス磁性体とほぼ同様な元素の含有率を持
つ。
子間をさらに磁気結合を弱めるために、非磁性マトリッ
クスの中に強磁性粒子を適当な相互間隔をとって孤立さ
せ、一様に分布させた構造である。この強磁性粒子は、
次のような、一般的な軟磁性材料であれば良い。一般的
な、軟磁性材料としては、1.鉄Fe、Niなどの軟磁性
金属、2.軟磁性合金(soft magnetic alloys)例え
ばFe-based alloy (Fe-T.M.)、Permalloy (Ni-F
e)、Hard perm (Ni-Fe:Nb,Mo)、Sendust (Fe-Si-
Al)、Softmax ( (Fe:Ru)-Si-Ga )、Fe-Al based
alloy (Fe-Al-T.M.)、3.アモルファス、4.フェライ
ト、を例示することができる。また、非磁性体として
は、窒素添加、酸素添加、SiO2添加などがある。
磁性体を交互に積層したものである。磁性体は、粒子微
粒化薄膜、グラニュラー構造膜などで構成しても良い
が、当然、それらの複雑な構造を持たない単なる磁性膜
でもよい。また、非磁性体は、磁性を持たない金属、Si
O2のような絶縁膜などでもよい。多層膜は、グラニュラ
ーなどと同様に、超軟磁性を実現する。
ち、高い磁気共鳴周波数を持たせる技術として、グラニ
ュラーに代表される磁性粒子間の磁気結合を極めて小さ
くする技術がある。図16はグラニュラー構造膜を用い
て形成した薄膜磁気検知素子1を示している。グラニュ
ラー構造膜では、磁性粒子が非磁性体(diamagnetic ma
trix)によって、磁気的に遮断され、より小さな保磁力
(coercive force)Hcを持つようになる。図17に示すよ
うに、高周波でのB−H曲線のヒステリシス損を少なく
するために、極度にHcを小さくすることができる。
構造を示している。高周波帯で高い透磁率を示す軟磁性
体は(A)に示すような磁区構造になっていることが望
ましい。しかし、全ての磁化が同じ向きの場合、自由磁
化発生し、エネルギー的に不安定である。よって、現実
には熱力学的に安定な(B)のような磁区構造になって
しまう。すなわち、磁性膜には、180度磁区のほか
に、自由磁化ができない様に磁化を還流させて静磁エネ
ルギーを下げようとする還流磁区(三角磁区)が存在す
る。
して、非磁性体を挟んだ多層膜が効果的である。薄い非
磁性膜で分割された磁性膜間には、その端部で静磁結合
が発生するため、磁性膜間で磁化が還流し、自由磁極や
還流磁区の発生が抑制される。したがって、磁区構造
は、(C)のように、180度磁壁が支配的となる。そ
の構造は、磁壁移動が少なく高周波まで損失が少ない。
また、非磁性膜を挟んだ多層膜を高周波数帯まで検知可
能な磁気検知素子を構成できる。磁性層が複数個でなけ
れば、スピン(magnetization vector)によって、磁
極を発生させるので、安定な磁区構造を作れないことが
一般的である。
方向が膜の面内に存在させ、膜に垂直な方向のスピンを
抑制する効果がある。このことは、スピン方向の自由度
が少なくなることで透磁率が大きくなることを意味す
る。これは、交番磁界によって回転させられるスピンが
より多いと考えると、容易に理解できる。
気異方性を電流方向と同一方向に付与する方法がある。
本薄膜磁気検知素子の場合、1軸磁気異方性を電流の流
れる方向に図19のY方向の様に平行に付ける。するとB
-Hカーブは、Y方向に対しては、図20のように方形と
なるが、電流によって発生する磁界方向であるY軸に垂
直なX方向では、図20のように方形の頂点を結ぶ極め
て良好な軟磁性を示す。
ラニュラーの様に、ひたすら保磁力を下げる方法と、磁
気異方性を利用して、スピンを揃えることにより、その
スピン方向に直行する方向が極めて、軟磁性を示すこと
を利用する方法がある。これは、磁性膜材料自体は軟磁
性として、あまり優れていない材料でも、磁場中熱処理
や磁場中アニールによって、1軸磁気異方性を付与する
ことにより、軟磁性体として作用させることができるこ
とを示している。当然のことであるが、図19のように
多層膜と、この磁気異方性の付与を併用すること、ま
た、多層膜の磁性体として、グラニュラー構造を持つ磁
性膜を利用することもできる。
として、磁性体の材料、多層膜等の構造、1磁気異方性
による磁区構造などを選定する必要がある。それは、周
波数をあまり高くすると回路が製作上難しくなるので、
対象となる磁気記憶媒体の記憶エリアの大きさや、その
周波数を考慮し、適度に磁性体の磁気共鳴周波数を設定
する必要があるからである。
具体的な実施例について説明する。図21は薄膜磁気検
知素子31とそれにバイアス磁界を印加するバイアス磁
界発生素子36の構造を示している。薄膜磁気検知素子
31は、厚さ約0.5μmのCu、Alなどから形成した
導体層32上に、多層状の磁性膜33を蒸着などで形成
して構成される。磁性膜33は、厚さ0.1μm程度の
絶縁体層35と厚さ0.1μm程度のCo等の磁性体層
34を積層して形成される。
周囲にコイル38を巻回して形成され、コア37はCo
等の磁性体の薄膜を微細な矩形形状に成形して形成さ
れ、その周囲に巻回されるコイル38は薄膜の導体で形
成される。このように、バイアス磁界発生素子36を薄
膜で形成することにより、薄膜磁気検知素子31と同じ
プロセスで製造することができる。
子36は被検知磁界と同一方向の磁界を対向側より印加
するように、薄膜磁気検知素子31の側部に隣接・対向
して配置される。なお、図示は省略されているが、薄膜
磁気検知素子31には、図9のような発振回路が接続さ
れ、バイアス磁界発生素子36にはバイアス電流制御回
路が接続される。
イル38に電流を流して矢印方向(検知素子1の方向)
にバイアス磁界を発生させる。これにより、発振回路の
発振周波数が磁性膜の自然共鳴周波数より高い周波数に
安定して保持される。そして、被検知磁界の変化に伴い
薄膜磁気検知素子31の磁気共鳴周波数近傍での磁気特
性が変化し、それに伴い発振回路の発振周波数が変化し
て、被検知磁界の変化がその発振周波数の変化として出
力される。
検知装置を示している。この例では、上記のバイアス磁
界発生素子36と薄膜磁気検知素子31を同一の半導体
基板(シリコンウエハ)39上に形成する。さらに、薄
膜磁気検知素子31に接続されるコンデンサ47、発振
回路48、バイアス磁界発生素子36に接続される基本
周波数制御回路43も同じ半導体基板39上に形成す
る。さらに、発振回路48の出力側に接続されるFM復
調回路44、FM復調回路44の出力側に接続されるパ
ルス整形回路42、発振回路48の周波数を周波数検知
回路41を介して検知してバイアス磁界発生素子36を
制御するバイアス電流制御回路45も同じ半導体基板3
9上に形成される。各素子と回路との接続は半導体基板
39上に形成した導体層により接続される。このよう
に、素子や回路はオンチップ構造として半導体基板上に
一体化することができ、装置の小型化が可能になると共
に、素子や回路の接合を容易に行うことができる。ま
た、各素子と回路間の接続長が短くなり、浮遊容量や線
間のインダクタンス等の寄生インピーダンスを小さくす
ることができ、高周波に伴う不要な損失を縮小し、例え
ば200MHz以上の高周波による磁気の検知が可能と
なる。
している。この例では、薄膜磁気検知素子51の磁性膜
53が単層膜として形成され、導体層32上に絶縁体層
34を介して取着される。上述のように、磁性膜は多層
膜とすることにより高周波損失を少なくできるが、材料
の選択により高周波の磁気共鳴周波数を持つことが可能
であれば、単層膜の磁性膜53を使用することもでき
る。
検知装置を示している。この例では、薄膜磁気検知素子
51が、導体層62の上下に絶縁体層65を介して磁性
膜63が導体層62を挟むように積層し、かつ導体層6
2が絶縁体層65を介して磁性膜63を囲うように配置
される。これにより、寄生インピーダンスに対する磁気
検知素子のリラクタンス成分の割合を増加させ、発振回
路の発振条件を成立しやすくすることができる。
検知装置のバイアス磁界発生素子76を示している。こ
のバイアス磁界発生素子76は、コア77の周囲にコイ
ル78が巻回され、コア77が、磁性体層77aと絶縁
体層77bとの積層構造となっている。コア77を積層
構造とすることにより、発生するバイアス磁界を増大さ
せることができ、これによってバイアス磁界発生素子7
6の形状を小型化することができる。
検知装置のバイアス磁界発生素子86を示している。こ
のバイアス磁界発生素子86は、磁性膜のコア87の周
囲にコイル88が巻回され、バイアス磁界発生素子86
の下側または上側に沿って磁界還流部81が配置され
る。磁界還流部81は導体膜82上に磁性膜83と絶縁
膜84を積層した膜状の磁性体から形成され、コイル8
8によって発生した磁界をその部分で還流させる。この
ために、コイル88によって発生した磁界の漏れが少な
く、バイアス磁界を薄膜磁気検知素子側に効率よく印加
することができる。例えば磁気ヘッドの場合、磁気記憶
媒体と薄膜磁気検知素子のギャップは極めて小さく、磁
気記憶媒体の着磁も極めて小さいため、バイアス磁界発
生素子から外部に磁界が漏れると、磁気記憶媒体の着磁
パターンがその漏れ磁界により書き換えられる恐れがあ
るが、上記のような構造にすることにより、着磁パター
ンの書き換えを防止することができる。
検知装置のバイアス磁界発生素子96を示している。こ
のバイアス磁界発生素子96は、薄膜の永久磁石97と
その上または下に配置された磁界還流部91とから構成
される。磁界還流部91は上記と同様に導体膜92上に
磁性膜93と絶縁膜94を積層した膜状の磁性体から形
成され、永久磁石97によって発生した磁界をその部分
で還流させる。このバイアス磁界発生素子96によれ
ば、永久磁石97を使用するため、電流を供給する配線
や回路が不要となり、構造を簡単化することができ、磁
界の漏れも少なくすることができる。
検知装置を示している。この磁気検知装置は、半導体基
板109上に薄膜磁気検知素子101、バイアス磁界発
生素子106、発振・検知回路108、及び端子部10
5を配置して構成される。薄膜磁気検知素子101は、
絶縁膜104上に磁性膜103を配置して形成され、磁
性膜103の先端はテーパ形状として先細り状に形成さ
れ、より狭い範囲の着磁パターンを検知可能にしてい
る。また、磁性膜103の下側から側部に絶縁膜104
を介してバイアス磁界発生素子106が配置され、薄膜
磁気検知素子101にバイアス磁界を印加する。さら
に、薄膜磁気検知素子101に隣接して発振・検知回路
108が半導体基板109上に配置され、その回路の端
子部105が半導体基板109の縁部に形成される。こ
の発振・検知回路108は上記実施例2で使用していた
コンデンサを使用せずに構成することができ、コンデン
サなしで発振回路の発振条件を決定することができる。
112から送られた電気信号を周波数信号に変換する回
路を示している。この回路では、磁気検知素子111の
導体が接続される回路に信号源112の電気信号を入力
するコイル113が、その回路と電磁的に結合するよう
に配置されている。そして、図2の例と同様に、磁気検
知素子111の導体の両側にコンデンサ7が接続され、
そのコンデンサ7と並列に発振回路8が接続される。発
振回路8はアンプ9とフィルタ10を有し、その出力側
には、周波数の変化を取り出すために、FM復調回路が接
続される。
号がコイル113に印加され、コイル113にはその信
号に応じて変化する磁界が発生する。その磁界の変化が
発振回路8の発振周波数の変化として出力され、信号が
復調されて取り出される。このような磁気検知素子11
1を用いた信号の変換器によれば、TV,DVD,ビデ
オデッキなどにおいて、多くのノイズを含んだ微弱なビ
デオ信号や音声信号などからノイズを除去し、良好な信
号の伝達が可能となる。また、この信号変換器では、信
号が電圧や振幅に無関係な周波数に変換されてFM復調
回路を通して出力されるから、従来の信号処理回路に比
べ、回路を格段に簡素化することができ、信号のS/N
比を向上させることができる。
気信号を、磁気検知装置を用いて周波数信号に変換する
回路を示している。この回路では、アンテナ122によ
り受信された信号を入力するコイル123が、その回路
と電磁的に結合するように配置されている。そして、図
3の例と同様に、磁気検知素子121の導体の両側にコ
ンデンサ7が接続され、そのコンデンサ7と並列に発振
回路8が接続される。発振回路8はアンプ9とフィルタ
10を有し、その出力側には、周波数の変化を取り出す
ために、FM復調回路が接続される。
123に印加され、コイル123にはその信号に応じて
変化する磁界が発生する。その磁界の変化が発振回路8
の発振周波数の変化として出力され、復調されて取り出
される。このような磁気検知素子121を用いた信号の
変換器によれば、受信信号を振幅の大きい信号に直接変
換して取り出すことができ、TVやラジオなどにおい
て、多くのノイズを含んだ微弱なビデオ信号や音声信号
などからノイズを除去し、良好な信号の受信と再生を行
うことができる。また、この信号変換器では、信号が電
圧や振幅に無関係な周波数に直接変換されて出力される
から、受信周波数を選択する検波動作を、その後のデジ
タルデータ処理により簡単に行うことができ、従来の同
調検波回路を使用せずに、S/N比の良好な信号を取り
出すことができる。
用する薄膜磁気検知素子131において、バイアス磁界
発生素子133と磁界発生素子132を薄膜素子として
同一基板上に形成した例を示している。バイアス磁界発
生素子133は、上記と同様に、コアの周囲にコイルを
巻回して形成され、コアはCo等の磁性体の薄膜を微細
な矩形形状に成形して形成され、その周囲に巻回される
コイルは薄膜の導体で形成される。また、磁界発生素子
132も、同様に、コアの周囲にコイルを巻回して形成
され、コアはCo等の磁性体の薄膜を微細な矩形形状に
成形して形成され、その周囲に巻回されるコイルは薄膜
の導体で形成される。磁界発生素子132とバイアス磁
界発生素子133は、同一方向の磁界を対向側より印加
するように、薄膜磁気検知素子131の両側に隣接・対
向して配置される。図示は省略されているが、薄膜磁気
検知素子131には、図9のような発振回路が接続さ
れ、バイアス磁界発生素子133にはバイアス電流制御
回路が接続される。
ス磁界発生素子133を薄膜磁気検知素子131と同じ
基板に薄膜形成することにより、周波数信号変換器をき
わめて小型に形成することができ、さらに、図22の例
と同様に、発振回路やバイアス回路などを同一基板上に
一体化すれば、回路のIC化が可能となる。
換器に、磁気検知素子に適用した例を説明したが、磁気
カードに記録された着磁パターンやバーコードの読み取
り装置、磁気式ロータリエンコーダ、回転体の回転角や
回転速度を検知する装置の磁気検知装置として適用する
こともできる。
装置によれば、被検知磁界により磁気検知素子の磁性膜
の限界周波数が変化し、それに伴って変化する発振手段
の発振周波数の変化として、被検知磁界の変化を検知す
るから、従来の装置に比べ、高密度の着磁パターンを高
感度で、且つ従来より遥かに高速で高い周波数まで磁気
を検知することができ、また、この磁気検知装置は、膜
厚、膜の断面積、磁性体の総量などの形状的要素に制限
されず、きわめて小型に形成することができる。
である。
成図である。
フ図である。
フ図である。
ある。
フ図である。
ンスの関係を示すグラフ図である。
フ図である。
ラフ図である。
フ図である。
ンピーダンスZの関係を示すグラフ図である。
ある。
界発生素子の斜視図である。
界発生素子の斜視図である。
界発生素子の斜視図である。
である。
である。
である。
図、(b)はその分解斜視図である。
波数信号変換器の構成図である。
波数信号変換器の構成図である。
界発生素子、バイアス磁界発生素子の斜視図である。
る。
明の使用周波数領域に対する複素透磁率の関係を示すグ
ラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 被検知磁界を受ける磁性体と、該磁性体
の限界周波数領域で発振する発振手段と、を備え、該発
振手段は、該磁性体が複素透磁率の虚部である損失成分
が増加し、実部である有効透磁率が急激に低下する過渡
的な限界周波数領域で発振し、該被検知磁界の変化を該
限界周波数領域の発振周波数の変化として検知すること
を特徴とする磁気検知装置。 - 【請求項2】 前記磁性体の限界周波数領域が該磁性体
の磁気共鳴周波数近傍である請求項1記載の磁気検知装
置。 - 【請求項3】 被検知磁界の変化を検知し、該被検知磁
界の変化を示す検知信号を出力する磁気検知装置におい
て、 磁性体と、 該磁性体の持つ限界周波数近傍の周波数に発振周波数を
設定して発振する発振回路と、 を備え、被検知磁界の変化に伴って変化する該磁性体の
限界周波数の変化を、該発振回路の発振周波数の変化と
して捉え、該被検知磁界の変化を該発振周波数の変化と
して該発振回路から出力することを特徴とする磁気検知
装置。 - 【請求項4】 前記磁性体は磁気検知素子に含まれ、該
磁気検知素子は該磁性体と共に発振回路の電流を通す導
体を有し、該磁性体は該導体に比して充分に高い体積抵
抗率を有している請求項3記載の磁気検知装置。 - 【請求項5】 前記磁性体は磁気検知素子に含まれ、該
磁気検知素子は、該磁性体と、電気的絶縁層と、該磁性
体に対し該電気的絶縁層を介して配置され該磁性体の限
界周波数の影響を受けると共に発振回路の電流を通す導
体と、を有している請求項3記載の磁気検知装置。 - 【請求項6】 前記磁気検知素子の少なくとも前記磁性
体が薄膜プロセスを使用して薄膜の磁性膜として形成さ
れている請求項3記載の磁気検知装置。 - 【請求項7】 前記磁性膜が磁性体層と非磁性体層を積
層した多層膜で形成されている請求項6記載の磁気検知
装置。 - 【請求項8】 前記発振回路が前記磁気検知素子と同一
の半導体基板上に形成されている請求項3記載の磁気検
知装置。 - 【請求項9】 前記磁気検知素子にバイアス磁界を印加
するためのバイアス磁界発生素子が該磁気検知素子の近
傍に配設された請求項8記載の磁気検知装置。 - 【請求項10】 前記被検知磁界が着磁により記憶され
た磁気記憶パターンである請求項1記載の磁気検知装
置。 - 【請求項11】 前記被検知磁界がコイルによって発生
した電気信号による磁界である請求項1記載の磁気検知
装置。
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- 2002-01-15 JP JP2002006399A patent/JP4014875B2/ja not_active Expired - Fee Related
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