JP6212144B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置に関する。
HDD(Hard Disk Drive)は、データ記録の大容量化に向けてより高密度な記録が要求されている。この要求を解決する1つの方法として再生部側にSTO(Spin Torque Oscillator)素子を搭載した読み出し磁気ヘッドを用いることが知られている。
しかし、読み出し磁気ヘッドは、磁気記録媒体に記録されたデータ信号を読み出し磁気ヘッドを用いて再生した振幅レベルの変動または信号の位相の遅延を利用して検出している。このため、上記読み出し磁気ヘッドによって再生すると、媒体のデータ信号の磁化の状態やデータ信号のパターンによって位相の遅延自体が変動し精度のよい再生ができないという課題がある。
本実施形態は、精度のよい再生を可能にする磁気ディスク装置を提供する。
本実施形態による磁気ディスク装置は、第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に配置された非磁性層とを有し、外部磁場に応じた高周波発振信号を出力する磁気センサと、前記磁気センサからの高周波発振信号の発振周波数に同調した信号を出力する同調回路と、前記同調回路から出力される信号の包絡線を検波する包絡線検波回路と、を備えている。
以下に図面を参照して各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態による磁気ディスク装置を図1に示す。この第1実施形態の磁気ディスク装置は、読み出し磁気ヘッド1と、同調回路40と、包絡線検波回路50と、を備えている。
第1実施形態による磁気ディスク装置を図1に示す。この第1実施形態の磁気ディスク装置は、読み出し磁気ヘッド1と、同調回路40と、包絡線検波回路50と、を備えている。
読み出し磁気ヘッド1は、磁気記録媒体100に記憶された磁気情報を読み出す磁気センサを備えている。この磁気センサは、スピントランスファートルクを利用したセンサである。この磁気センサの具体例を図2A乃至2Hを参照して説明する。
(第1具体例)
図2Aに磁気センサ10の第1具体例を示す。この第1具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13を積層した構造を有している。第1磁性層11および第2磁性層13は面内磁気異方性を有する。第1磁性層11の磁化をM1、第2磁性層13の磁化をM2とする。この第1具体例では、第1磁性層11の磁化M1は実質的に固着されており、第2磁性層13の磁化M2は固着されていない。図2Aに示すように、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13の膜面に垂直に電流Iを通電すると、実質的に固着された第1磁性層11の磁化M1による静的なスピントランスファートルクが、非磁性金属層12を介して、第2磁性層13の磁化M2に作用し、磁化M2の歳差運動が励起される。この歳差運動は外部磁場の影響を受けるので、この歳差運動の周波数に関連する高周波信号の振幅、位相または発振周波数の外部磁場による変化を検出することにより、外部磁場を検出することができる。
図2Aに磁気センサ10の第1具体例を示す。この第1具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13を積層した構造を有している。第1磁性層11および第2磁性層13は面内磁気異方性を有する。第1磁性層11の磁化をM1、第2磁性層13の磁化をM2とする。この第1具体例では、第1磁性層11の磁化M1は実質的に固着されており、第2磁性層13の磁化M2は固着されていない。図2Aに示すように、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13の膜面に垂直に電流Iを通電すると、実質的に固着された第1磁性層11の磁化M1による静的なスピントランスファートルクが、非磁性金属層12を介して、第2磁性層13の磁化M2に作用し、磁化M2の歳差運動が励起される。この歳差運動は外部磁場の影響を受けるので、この歳差運動の周波数に関連する高周波信号の振幅、位相または発振周波数の外部磁場による変化を検出することにより、外部磁場を検出することができる。
(第2具体例)
図2Bに磁気センサ10の第2具体例を示す。この第2具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13を積層した構造を有している。この第2具体例の磁気センサ10においては、第1磁性層11および第2磁性層13のいずれの磁化(M1、M2)も固着されていない。これらの2つの磁性層11、13間に働くスピントランスファートルクにより、2つの磁化M1、M2に一定の位相差をもつ歳差運動が同時に励起される。このような歳差運動の同時励起を実現するには、第1磁性層11の磁気共鳴周波数をf1、第2磁性層13の磁気共鳴周波数をf2としたとき、2つの磁気共鳴周波数の差(f2−f1)が第1磁性層11が有する共鳴線幅(共鳴吸収ピークの半値幅)の半分よりも大きく、かつ2つの磁気共鳴周波数の比f2/f1が1.6以下、さらに1.4以下であることが好ましい。2つの磁気共鳴周波数f1、f2がこれらの条件を満たしていないと、歳差運動の同時励起が困難になる。図2Bに示す磁気センサでは、図2Aに示す磁気センサと比較してより低電流で、より安定な発振が得られる。
図2Bに磁気センサ10の第2具体例を示す。この第2具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11、非磁性金属層12、および第2磁性層13を積層した構造を有している。この第2具体例の磁気センサ10においては、第1磁性層11および第2磁性層13のいずれの磁化(M1、M2)も固着されていない。これらの2つの磁性層11、13間に働くスピントランスファートルクにより、2つの磁化M1、M2に一定の位相差をもつ歳差運動が同時に励起される。このような歳差運動の同時励起を実現するには、第1磁性層11の磁気共鳴周波数をf1、第2磁性層13の磁気共鳴周波数をf2としたとき、2つの磁気共鳴周波数の差(f2−f1)が第1磁性層11が有する共鳴線幅(共鳴吸収ピークの半値幅)の半分よりも大きく、かつ2つの磁気共鳴周波数の比f2/f1が1.6以下、さらに1.4以下であることが好ましい。2つの磁気共鳴周波数f1、f2がこれらの条件を満たしていないと、歳差運動の同時励起が困難になる。図2Bに示す磁気センサでは、図2Aに示す磁気センサと比較してより低電流で、より安定な発振が得られる。
(第3および第4具体例)
図2Cおよび図2Dに第3および第4具体例の磁気センサ10をそれぞれ示す。これらの第3および第4具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11および第2磁性層13として垂直磁化膜を用いたものである。図2Cに示す第3具体例の磁気センサでは、第1磁性層層11の磁化は実質的に固着されており、第2磁性層13の磁化は固着されていない。図2Dに示す第4具体例の磁気センサでは、第1磁性層11および第2磁性層13のいずれの磁化も固着されていない。図2Cおよび図2Dに示す第3および第4具体例の磁気センサでは、磁化の歳差運動の軌跡が円軌道となるため、膜面内に等方的な振動磁場を発生させることができる。
図2Cおよび図2Dに第3および第4具体例の磁気センサ10をそれぞれ示す。これらの第3および第4具体例の磁気センサ10は、第1磁性層11および第2磁性層13として垂直磁化膜を用いたものである。図2Cに示す第3具体例の磁気センサでは、第1磁性層層11の磁化は実質的に固着されており、第2磁性層13の磁化は固着されていない。図2Dに示す第4具体例の磁気センサでは、第1磁性層11および第2磁性層13のいずれの磁化も固着されていない。図2Cおよび図2Dに示す第3および第4具体例の磁気センサでは、磁化の歳差運動の軌跡が円軌道となるため、膜面内に等方的な振動磁場を発生させることができる。
(第5具体例)
図2Eに第5具体例の磁気センサ10を示す。この第5具体例の磁気センサ10は、図2Bに示す第2具体例の磁気センサ10において、第1磁性層11を垂直磁化膜にした場合に相当する。
図2Eに第5具体例の磁気センサ10を示す。この第5具体例の磁気センサ10は、図2Bに示す第2具体例の磁気センサ10において、第1磁性層11を垂直磁化膜にした場合に相当する。
(第6具体例)
図2Fに第6具体例の磁気センサ10を示す。この第6具体例の磁気センサ10は、図2Bに示す第2具体例の磁気センサにおいて、第1磁性層11として、強磁性層21a、非磁性金属層21b、強磁性層21a、非磁性金属層21bおよび強磁性層21aを積層し、反強磁性結合層とした場合に相当する。図2Eおよび図2Fに示す第5および第6具体例の磁気センサは、発振周波数の外部磁場依存性が小さい。
図2Fに第6具体例の磁気センサ10を示す。この第6具体例の磁気センサ10は、図2Bに示す第2具体例の磁気センサにおいて、第1磁性層11として、強磁性層21a、非磁性金属層21b、強磁性層21a、非磁性金属層21bおよび強磁性層21aを積層し、反強磁性結合層とした場合に相当する。図2Eおよび図2Fに示す第5および第6具体例の磁気センサは、発振周波数の外部磁場依存性が小さい。
(第7および第8具体例)
図2Gおよび図2Hに第7および第8具体例の磁気センサ10を示す。第7および第8具体例の磁気センサ10は、それぞれ、図2Aおよび図2Bに示す第1および第2具体例の磁気センサ10の非磁性金属層12を、トンネル絶縁膜22に代えたものに相当する。この第7および第8具体例の磁気センサ10は、出力信号を大きくできるという利点をもつ。
図2Gおよび図2Hに第7および第8具体例の磁気センサ10を示す。第7および第8具体例の磁気センサ10は、それぞれ、図2Aおよび図2Bに示す第1および第2具体例の磁気センサ10の非磁性金属層12を、トンネル絶縁膜22に代えたものに相当する。この第7および第8具体例の磁気センサ10は、出力信号を大きくできるという利点をもつ。
なお、面内磁気異方性を有する強磁性層で形成された第1および第2磁性層のうち少なくとも一方の両端部に一対のバイアス磁性膜を設けてもよい。第1および第2磁性層のうち一方を、面内磁気異方性を有する強磁性層と反強磁性層とを積層した交換結合膜で形成してもよい。第1および第2磁性層のうち一方を、面内磁気異方性を有する強磁性層、交換バイアス磁場の大きさを調節する非磁性中間層および反強磁性層を積層した交換結合膜で形成してもよい。
図2A乃至図2Hに示したいずれの磁気センサ10を用いた場合でも、例えば、図1に示す磁気ディスク装置1により、第1磁性層層11および第2磁性層13のうち少なくともいずれか一方の磁化の歳差運動の周波数に関連する高周波発振出力が得られる。この高周波発振出力は、外部磁場に依存して変化する。
例えば、図3(a)に示すように外部磁場が変化すると、図3(b)に示すように外部磁場に応じて高周波発振信号の発振周波数が変化する。例えば、図3(a)、3(b)に示すように、外部磁場の強い領域では、発振周波数は高くなる。
(同調回路)
次に、図1に示す同調回路40は、磁気センサ10から出力される信号の中心発振周波数に同調した信号を出力する。この同調回路40の一具体例を図4の中央に示す。
次に、図1に示す同調回路40は、磁気センサ10から出力される信号の中心発振周波数に同調した信号を出力する。この同調回路40の一具体例を図4の中央に示す。
この一具体例の同調回路40は、グランドとなる導体(図示せず)と、この導体上に形成された誘電体層42と、この誘電体42上に配置された例えば銅からなる複数のストリップライン、例えば4本のストリップライン44a、44b、44c、44d、44eを備えている。これらのストリップライン44a〜44eは、磁気センサ10から出力される信号の中心波長の1/4程度の長さを有している。ストリップライン44aは入力端子に接続され、ストリップライン44bは出力端子に接続される。ストリップライン44aとストリップライン44bはギャップaだけ離れて1直線状に配置される。ストリップライン44cは、ストリップライン44a、44bに対してそれぞれギャップaだけ離れて並列に配置される。ストリップライン44dはストリップライン44cに対してギャップbだけ離れて並列に配置される。ストリップライン44eはストリップライン44dに対してギャップbだけ離れて並列に配置される。
磁気センサ10から発振される信号の周波数がおおよそ10GHzであるとし、同調回路40が上記周波数に同調するように、ストリップライン44a〜44eのサイズは以下のように決定した。ストリップライン44a〜44eの幅が0.8mm、ストリップライン44aの長さが6.8mm、ストリップライン44b〜44eの長さが7.2mm、ストリップライン44a〜44eの誘電体42の上面からの高さが0.08mmとした。また、ギャップaを1.2mm、ギャップbを0.8mmとした。
このように構成された同調回路40に、図4の左側に示す磁気センサ10からの信号が入力端子を介してマイクロストリップライン44aに入力されると、マイクロストリップライン44bを介して出力端子から図4の右側に示す信号が出力される。これを図5および図6を参照して説明する。
図5は、同調回路40における反射信号S11および位相角θ11の伝送特性を示す図である。図5からわかるように、同調回路40がターゲットとしている周波数10GHzにおいては、反射信号S11の伝送特性は−24dBとなり、反射信号は抑制される。すなわち、10GHz近辺の信号は通過し易いことを意味する。
図6は、同調回路40における通過信号S21および位相角θ21の伝送特性を示す図である。図6からわかるように、10GHz付近では、信号S21の伝送特性は−1dBとなり、信号S21はあまり減衰せずに通過している。以上のことより、同調回路40は、10GHz付近で同調していることを意味する。なお、図5および図6は、ストリップライン44a〜44eは銅で形成し、その導電率が5.8×107S/mとし、誘電体42の比誘電率を4.3としてシミュレーションで求めた伝送特性である。
図4の左側に示す波形は磁気センサから出力される高周波発振信号であり、この波形の密な部分の周波数を10GHzとした場合、密な部分の波形は同調回路40を通過する。しかし、図4に示す波形の疎な部分は、10GHzよりも周波数が低いため、同調回路40では同調せずにカットされてしまう。したがって、同調回路40の出力信号は、図4の右側に示す波形となる。
(包絡線検波回路)
次に、第1実施形態の磁気ディスクの包絡線検波回路50について説明する。この包絡線検波回路50の構成の一具体例を図7に示す。この包絡線検波回路50は、同調回路40の出力を整流するダイオード52と、抵抗R1と、キャパシタC1と、インダクタL1と、抵抗R2とを備えている。抵抗R1とインダクタL1は直列に接続されて一端がダイオード52のカソードに接続され、他端が包絡線検波回路50の出力端子に接続される。キャパシタC1は、一端がダイオード52のカソードに接続され、他端が接地される。抵抗R2は一端が包絡線検波回路50の出力端子に接続され、他端が接地される。この包絡線検波回路50においては、抵抗R1の抵抗値を例えば100Ωとし、インダクタL1のインダクタンスを10nHとし、キャパシタC1のキャパシタンスを1pFとし、抵抗R2の抵抗値を50Ωとしている。
次に、第1実施形態の磁気ディスクの包絡線検波回路50について説明する。この包絡線検波回路50の構成の一具体例を図7に示す。この包絡線検波回路50は、同調回路40の出力を整流するダイオード52と、抵抗R1と、キャパシタC1と、インダクタL1と、抵抗R2とを備えている。抵抗R1とインダクタL1は直列に接続されて一端がダイオード52のカソードに接続され、他端が包絡線検波回路50の出力端子に接続される。キャパシタC1は、一端がダイオード52のカソードに接続され、他端が接地される。抵抗R2は一端が包絡線検波回路50の出力端子に接続され、他端が接地される。この包絡線検波回路50においては、抵抗R1の抵抗値を例えば100Ωとし、インダクタL1のインダクタンスを10nHとし、キャパシタC1のキャパシタンスを1pFとし、抵抗R2の抵抗値を50Ωとしている。
このように構成された包絡線検波回路50に、同調回路40の出力である図8(a)に示す信号が入力すると、ダイオード52によって整流され、ダイオード52のカソードから図8(b)に示す信号が出力される。包絡線検波回路50における抵抗R1、キャパシタC1、インダクタL1、および抵抗R2によって構成される回路の信号の伝送特性を図9に示す。なお、図9は、シミュレーションにより求めた結果を示す図である。
この図9から分かるように、通過信号S21の通過特性は、低周波の信号を通過させ、反射信号S11の通過特性は低周波の信号を抑制する。すなわち、低周波の包絡線が包絡線検波回路50から出力される。このように、図8(b)に示す、ダイオード52のカソードからの出力信号は、抵抗R1、キャパシタC1、インダクタL1、および抵抗R2によって、上記出力信号の包絡線が検波され、図8(c)に示す信号が出力される。すなわち、精度の良い再生信号を得ることができる。
(比較例)
次に、比較例の磁気ディスク装置として、図2A乃至図2Hのいずれかに示す磁気センサと、この磁気センサの出力信号をろ過する高周波フィルタ回路と、この高周波フィルタ回路の出力を積分する積分回路と、を備えたものを考えた。
次に、比較例の磁気ディスク装置として、図2A乃至図2Hのいずれかに示す磁気センサと、この磁気センサの出力信号をろ過する高周波フィルタ回路と、この高周波フィルタ回路の出力を積分する積分回路と、を備えたものを考えた。
この比較例の磁気ディスク装置においては、本実施形態の磁気ディスク装置と異なり、包絡線は検出できず、精度の良い再生を行うことができない。
以上説明したように第1実施形態によれば、精度のよい再生を行うことが可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態による磁気ディスク装置について図10および図11を参照して説明する。この第2実施形態の磁気ディスク装置は、図1に示す第1実施形態の磁気ディスク装置において、包絡線検波回路50を図10に示す包絡線検波回路50Aに置き換えた構成を有している。
次に、第2実施形態による磁気ディスク装置について図10および図11を参照して説明する。この第2実施形態の磁気ディスク装置は、図1に示す第1実施形態の磁気ディスク装置において、包絡線検波回路50を図10に示す包絡線検波回路50Aに置き換えた構成を有している。
この包絡線検波回路50Aは、図7に示す包絡線検波回路50において、抵抗R1、キャパシタC1、およびインダクタL1を、4つのストリップライン54a、54b、54c、54dに置き換えた構成を有している。これらのストリップライン54a〜54dは、誘電体53の上に配置される。また、誘電体52下には図示しないグランドとなる導電体が配置されている。
ストリップライン54aは一端がダイオード52のカソードに接続され、他端がストリップライン54bおよびストリップライン54cのそれぞれの一端に接続される。ストリップライン54bおよびストリップライン54cのそれぞれの他端は、ストリップライン54dの一端に接続される。ストリップライン54dの他端は包絡線検波回路の50Aに出力端子に接続される。すなわち、ストリップライン54bおよびストリップライン54cは、ストリップライン54aの他端とストリップライン54dの一端との間で並列に接続された構成となっている。
ストリップライン54aは幅が0.2mm、長さが3.0mm、ストリップライン54dは幅が0.2mm、長さが3.8mm、ストリップライン54bは幅が0.8mm、長さが0.6mm、ストリップライン54cは幅が0.4mm、長さが0.6mm、ストリップライン54a〜54dの誘電体52の上面からの高さが0.03mmとした。
このように構成されたストリップライン54a〜54dの伝送特性を図11に示す。この図11は、ストリップライン54a〜54dは銅で形成し、その導電率が5.8×107S/mとし、誘電体53の比誘電率を4.3としてシミュレーションで求めた伝送特性である。この図11に示す伝送特性は、図9に示す第1実施形態の包絡線検波回路50と同様に、通過信号S21の通過特性は、低周波の信号を通過させ、反射信号S11の通過特性は低周波の信号を抑制する。すなわち、低周波の包絡線が包絡線検波回路50Aから出力される。したがって、精度の良い再生信号を得ることができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、精度のよい再生を行うことが可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による磁気ディスク装置を図12に示す。図12は、第3実施形態の磁気ディスク装置の平面図である。この磁気ディスク装置は、磁気センサ10と、同調回路40Aと、包絡線検波回路50Bと、を備え、これらが同一のウェハ上に形成されている。
第3実施形態による磁気ディスク装置を図12に示す。図12は、第3実施形態の磁気ディスク装置の平面図である。この磁気ディスク装置は、磁気センサ10と、同調回路40Aと、包絡線検波回路50Bと、を備え、これらが同一のウェハ上に形成されている。
磁気センサ10は、第1磁性層11と、第2磁性層13と、第1磁性層11と第2磁性層13との間に配置された非磁性層12と、を有している。
同調回路40Aは、キャパシタと、このキャパシタと並列に接続されたインダクタとを備えている。キャパシタは第2磁性層13に接続し金属からなる電極45と、金属からなる電極46と、電極45と電極46との間に配置された誘電体47とを備えている。インダクタは金属49から形成される。なお、誘電体47とインダクタ49との間に絶縁体48が配置されている。
包絡線検波回路50Bは、ダイオード52を備えている。このダイオード52は、磁気センサと同じ構成を有し、電極46およびインダクタ49に接続する磁性層52aと、磁性層52cと、磁性層52aと磁性層52cとの間に配置された非磁性層52bとを有している。
また、包絡線検波回路50Bは、キャパシタC1と、インダクタL1と、抵抗R1とを更に備えている。キャパシタC1はダイオード52の電極52cに接続される金属からなる電極61と、金属からなる電極63と、電極61と電極63との間に配置された誘電体64と、を有している。誘電体64とダイオード52の電極52cとの間に絶縁体62が配置されている。インダクタL1は金属から形成され、一端が電極61に接続され、他端が抵抗R1に接続される。抵抗R1は、インダクタL1に接続する電極67と、電極69と、電極67と電極69との間に配置された抵抗体68とを備えている。なお、電極67と誘電体64との間に絶縁体66が配置されている。なお、キャパシタC1の電極63にはサイドシールド70が接続している。
このような構成とすることにより、磁気センサ10、同調回路40A、および包絡線検波回路50Bは磁気ヘッドのスライダ内に配置することができ、磁気ディスク装置を小さくすることができる。
この第3実施形態も第1実施形態と同様に、精度のよい再生を行うことが可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態による磁気ディスク装置について説明する。
第4実施形態による磁気ディスク装置について説明する。
上述した第1乃至第3実施形態に記載された磁気センサ、同調回路、および包絡線検波回路は、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込まれ、磁気記録再生装置(HDD)に搭載することができる。このように構成された磁気ディスク装置を第4実施形態として説明する。なお、本実施形態による磁気ディスク装置は、再生機能を有することもできるし、再生機能と記録機能の両方を有することもできる。この場合、磁気記録媒体に情報を書き込む書き込み部を備えている。
図13は第4実施形態による磁気ディスク装置の構成を示す斜視図である。図13に示すように、磁気ディスク装置は、筐体110を備えている。筐体110は、上面の開口した矩形箱状のベース112と、複数のねじ111によりベース112にねじ止めされてベース112の上端開口を閉塞したトップカバー114と、を有している。ベース112は、矩形状の底壁112aと、底壁112aの周縁に沿って立設された側壁112bとを有している。
筐体110内には、記録媒体としての1枚の磁気ディスク116、およびこの磁気ディスク116を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ118が設けられている。スピンドルモータ118は、底壁112a上に配設されている。なお、筐体110は、複数枚、例えば、2枚の磁気ディスクを収容可能な大きさに形成され、スピンドルモータ118は、2枚の磁気ディスクを支持および駆動可能に形成されている。
筐体110内には、磁気ディスク116に対して情報の記録、再生を行なう複数のハードディスクヘッド117と、これらのハードディスクヘッド117を磁気ディスク116に対して移動自在に支持したヘッドスタックアッセンブリ(以下HSAともいう)122と、HSA122を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMともいう)124と、ハードディスクヘッド117が磁気ディスク116の最外周に移動した際、ハードディスクヘッド117を磁気ディスク116から離間した退避位置に保持するランプロード機構125と、HDDに衝撃などが作用した際、HSA122を退避位置に保持するラッチ機構126と、プリアンプなどを有する基板ユニット121と、が収納されている。ベース112の底壁112a外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。プリント回路基板は、基板ユニット121を介してスピンドルモータ118、VCM124、およびハードディスクヘッド117の動作を制御する。ベース112の側壁には、可動部の稼動によって筐体内に発生した塵埃を捕獲する循環フィルタ123が設けられ、磁気ディスク116の外側に位置している。
磁気ディスク116は、例えば、直径65mm(2.5インチ)に形成され、上面および下面に磁気記録層を有している。磁気ディスク116は、スピンドルモータ118の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね127によりクランプされ、ハブに固定されている。これにより、磁気ディスク116は、ベース112の底壁112aと平行に位置した状態に支持されている。そして、磁気ディスク116は、スピンドルモータ118により所定の速度、例えば、5400rpmあるいは7200rpmの速度で回転される。
図14は、本実施形態の磁気ディスク装置のヘッドスタックアッセンブリ(HSA)122を示す斜視図、図15はHSA122を示す分解斜視図である。図14、図15に示すように、HSA122は、回転自在な軸受部128と、軸受部から延出した2本のヘッドジンバルアッセンブリ(以下、HGAと称する)130と、HGA130間に積層配置されたスペーサリング144と、ダミースペーサ150とを備えている。
軸受部128は、ベース112の長手方向に沿って磁気ディスク116の回転中心から離間して位置しているとともに、磁気ディスク116の外周縁近傍に配置されている。軸受部128は、ベース112の底壁112aに立設される枢軸132と、枢軸に軸受134を介して回転自在にかつ枢軸と同軸的に支持された円筒形状のスリーブ136とを有している。スリーブ136の上端には環状のフランジ137が形成され、下端部外周には、ねじ部138が形成されている。軸受部128のスリーブ136は、最大本数として、例えば4本のHGAと、隣り合う2つのHGA140間に位置するスペーサとを積層状態で取付け可能な大きさ、ここでは取付け可能な軸方向長さを有して形成されている。
本実施形態において、磁気ディスク116は1枚に設定されていることから、取付け可能な最大本数である4本よりも少ない2本のHGA130が軸受部128に設けられている。各HGA130は、軸受部128から延出したアーム140、アームから延出したサスペンション142、およびサスペンションの延出端にジンバル部を介して支持されたハードディスクヘッド117を有している。
アーム140は、例えば、ステンレス、アルミニウム、ステンレスを積層して薄い平板状に形成され、その一端、つまり、基端には円形の透孔141が形成されている。サスペンション142は、細長い板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム140の先端に固定され、アームから延出している。なお、サスペンション142およびアーム140は、同一材料で一体に形成してもよい。
ハードディスクヘッド117は、第2実施形態のいずれか1つの磁気記録ヘッドであって、図示しないほぼ矩形状のスライダとこのスライダに形成された記録ヘッドを備えている。このハードディスクヘッド117は、サスペンション142の先端部に形成されたジンバル部に固定されている。また、ハードディスクヘッド117は、図示しない4つの電極を有している。アーム140およびサスペンション142上には図示しない中継フレキシブルプリント回路基板(以下、中継FPCと称する)が設置され、ハードディスクヘッド117は、この中継FPCを介してメインFPC121bに電気的に接続される。
スペーサリング144は、アルミニウムなどにより所定の厚さおよび所定の外径に形成されている。このスペーサリング144には、合成樹脂からなる支持フレーム146が一体的に成形され、スペーサリングから外方に延出している。支持フレーム146には、VCM124のボイスコイル147が固定されている。
ダミースペーサ150は、環状のスペーサ本体152と、スペーサ本体から延出したバランス調整部154とを有し、例えば、ステンレスなどの金属に一体的に形成されている。スペーサ本体152の外径は、スペーサリング144の外径と等しく形成されている。
すなわち、スペーサ本体152のアームと接触する部分の外径は、スペーサリング144がアームに接触する部分の外径と同一に形成されている。また、スペーサ本体152の厚さは、HGAの最大本数よりも少ない本数分、ここでは、2本のHGAにおけるアームの厚さ、つまり、2本のアーム分の厚さと、これらアーム間に配設されるスペーサリングの厚さとを合計した厚さに形成されている。
ダミースペーサ150、2本のHGA130、スペーサリング144は、スペーサ本体152の内孔、アーム140の透孔141、スペーサリングの内孔に軸受部128のスリーブ136が挿通された状態でスリーブの外周に嵌合され、スリーブの軸方向に沿ってフランジ137上に積層配置されている。ダミースペーサ150のスペーサ本体152は、フランジ137と一方のアーム140との間、およびスペーサリング144は、2本のアーム140間にそれぞれ挟まれた状態でスリーブ136の外周に嵌合されている。更に、スリーブ136の下端部外周には、環状のワッシャ156が嵌合されている。
スリーブ136の外周に嵌合されたダミースペーサ150、2本のアーム140、スペーサリング144、ワッシャ156は、スリーブ136のねじ部138に螺合されたナット158とフランジ137との間に挟持され、スリーブの外周上に固定保持されている。
2本のアーム140は、スリーブ136の円周方向に対して互いに所定位置に位置決めされ、スリーブから同一の方向へ延出している。これにより、2本のHGAは、スリーブ136と一体的に回動可能となっているとともに、磁気ディスク116の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて向かい合っている。また、スペーサリング144と一体の支持フレーム146は、軸受部128からアーム140と反対の方向へ延出している。
支持フレーム146からはピン状の2本の端子160が突出し、これらの端子は、支持フレーム146内に埋め込まれた図示しない配線を介してボイスコイル147に電気的に接続されている。
サスペンション142は信号の書き込み及び読み取り用のリード線(図示しない)を有し、このリード線とスライダに組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。また、図示しない電極パッドが、磁気ヘッドアセンブリ130に設けられる。
そして、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う、図示しない信号処理部が設けられる。この信号処理部は、例えば、図13に示した磁気ディスク装置の図面中の背面側に設けられる。上記信号処理部の入出力線は、電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に結合される。
このように、本実施形態に係る磁気ディスク装置は、磁気記録媒体と、磁気ヘッドと、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で対峙させながら相対的に移動可能とした可動部(移動制御部)と、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合せする位置制御部と、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う信号処理部と、を備える。すなわち、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク116が用いられる。上記の可動部は、スライダを含むことができる。また、上記の位置制御部は、HSA122を含むことができる。
磁気ディスク116を回転させ、ボイスコイルモータ124にアクチュエータアーム140を回転させてスライダを磁気ディスク116上にロードすると、ハードディスクヘッドに搭載したスライダの媒体対向面(ABS)が磁気ディスク116の表面から所定の浮上量をもって保持される。この状態で、上述したような原理に基づいて、磁気ディスク116に記録された情報を読み出すことができる。
この第4実施形態の磁気ディスク装置は、第1乃至第3実施形態に記載された磁気センサ、同調回路、および包絡線検波回路を用いているので、精度のよい再生を行うことが可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1・・・磁気ヘッド、10・・・磁気センサ、11・・・第1磁性層、12・・・非磁性層、13・・・第2磁性層、40,40A・・・同調回路、42・・・誘電体、44a〜44e・・・ストリップライン、45,46・・・電極、47・・・誘電体、49・・・絶縁体、49・・・インダクタ、52a、52c・・・電極、52b・・・誘電体、50,50A,50B・・・包絡線検波回路、52・・・ダイオード、53・・・誘電体、54a〜54d・・・ストリップライン、61・・・電極、62・・・絶縁体、63・・・電極、64・・・誘電体、65・・・インダクタ、66・・・絶縁体、67・・・電極、68・・・抵抗体、69・・・電極、70・・・サイドシールド
Claims (9)
- 第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に配置された非磁性層とを有し、外部磁場に応じた高周波発振信号を出力する磁気センサと、
前記磁気センサからの高周波発振信号の発振周波数に同調した信号を出力する同調回路と、
前記同調回路から出力される信号の包絡線を検波する包絡線検波回路と、
を備え、前記同調回路は、前記磁気センサからの高周波発振信号を受ける第1入力端子と、前記包絡線検波回路の第2入力端子に接続された第1出力端子と、前記第1入力端子に一端が接続された第1ストリップラインと、前記第1出力端子に一端が接続された第2ストリップラインと、前記第1および第2ストリップラインに並列に配置された第3ストリップラインと、前記第3ストリップラインに並列に配置された第4ストリップラインと、前記第4ストリップラインに並列に配置された第5ストリップラインと、を備える磁気ディスク装置。 - 前記包絡線検波回路は、アノードが前記同調回路の出力端子に接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードに一端が接続されたキャパシタと、前記ダイオードのカソードに一端が接続された抵抗と、前記抵抗の他端に一端が接続されたインダクタと、を備える請求項1記載の磁気ディスク装置。
- 第1磁性層と、第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に配置された非磁性層とを有し、外部磁場に応じた高周波発振信号を出力する磁気センサと、
前記磁気センサからの高周波発振信号の発振周波数に同調した信号を出力する同調回路と、
前記同調回路から出力される信号の包絡線を検波する包絡線検波回路と、
を備え、
前記包絡線検波回路は、前記同調回路の出力端子に接続された第2入力端子と、第2出力端子と、前記第2入力端子にアノードが接続されたダイオードと、前記ダイオードのカソードに一端が接続された第6ストリップラインと、前記第2出力端子に一端が接続された第7ストリップラインと、前記第6ストリップラインの他端と前記第7ストリップラインの他端との間に並列に接続された第8および第9ストリップラインと、を備える磁気ディスク装置。 - 前記磁気センサ、前記同調回路、および前記包絡線検波回路は同じウェハ上に形成される請求項1または2に記載の磁気ディスク装置。
- 前記第1磁性層は固着された磁化を有し、前記第2磁性層は固着されていない磁化を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
- 前記第1および第2磁性層は固着されていない磁化を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
- 前記非磁性層は、非磁性金属層である請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
- 前記非磁性層は、非磁性絶縁層である請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
- 前記ストリップラインはCuから構成される請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
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