JP4564140B2 - ハイドロフォーム加工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製の素材管を用いたハイドロフォーム加工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金型の内部にセットされた素材管の端面を、内面に液体圧を加えながら軸押しするハイドロフォーム加工法は従来から知られている。この加工法においては、素材管はまず分割式の金型内部にセットされ、型締めしたうえで軸押し工具により素材管の内面に液体圧を加えながら軸押しが行われる。
【0003】
従来、ハイドロフォーム加工用の金型は中央で分割されるものが普通であり、稀に分割面が偏ったものがあったとしても、ピアス孔開け等の製品形状によりやむを得ずに変形させたものであった。ところが、分割面を型中央とした金型1の内面形状が例えば図3に示すように上下不均等である場合、断面円形の素材管2をその内部にセットして定法によりハイドロフォーム加工を行うと、下隅部において割れが生ずることがあった。
【0004】
ハイドロフォーム加工工程の理論的な解明は未だ始まったばかりであり、割れの原因についても完全に解明されたわけではないが、素材管の変形度合いが素材管の限界変形度合いを越えたときに割れが発生すると考えられる。この変形度合いとして本来は三次元歪を採用すべきであるが、測定や計算が極めて困難であるので、簡便化のために最近では拡管率という概念が用いられている。この拡管率とは、ある断面における素材管の全周長Aとそれに対応する金型の全内周長(すなわち製品周長)Bとの比B/Aとして定義される値である。また限界拡管率とは、周長Acの素材管が周方向に一様に拡管して周の何れかが破断に至る周長Bcに達するまでの伸率Bc/Acとして定義される値である。すなわち最近では、B/AがBc/Acより大きくならないように設計が行われてきた。
【0005】
ところが、図3のような例では拡管率が限界拡管率よりも小さいにもかかわらず、割れが発生することがあり、これまでのところその有効な防止対策を見出すことができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、金型の内面形状が不均等である場合にも、割れを発生させることなくハイドロフォーム加工を完遂することができる方法を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、分割式の金型内部に素材管をセットし、型締めしたうえ素材管の内面に液体圧を加えながら軸押しするハイドロフォーム加工法において、素材管を断面が縦長の管とし、縦長方向への型締めの進行に伴い変形した素材管と金型との接触点に挟まれた型締め完了時における素材管上の未接触の周長dAと、それに対応する金型内周長dBとの比dB/dAとして定義される局所拡管率の分布に応じて分割面を型中央から移動させた金型を用いることにより、型締めしたときの金型内面と素材管との接触状況により決定される局所拡管率のアンバランスを緩和することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の実施形態を説明する前に、新しい概念である局所拡管率について説明する。ハイドロフォームは素材管が金型と接触しながら加工が進行し、接触状況が変化すると加工性も変化することは潤滑等を通じて従来から知られてきた事実である。ところが従来の設計指針である拡管率では素材管と金型との接触状況が考慮できないので、この点に致命的な欠陥があるといわざるを得ない。これはひとえに、接触状況の加味が困難であることに原因がある。そこで本発明では、接触状況を直接考慮するのではなく、局所拡管率という新しい概念を用い、接触により発生する未接触部の広さ,長さ、または形状を考慮することにより接触状況を考慮することにした。
【0009】
例えば図3の場合、型締めを行うことにより素材管2と金型1とが4つの接触点11、12、13、14で接触したとすると、例え潤滑剤を上手く用いたとしても接触位置の摩擦力はかなり大きくなるため、型締め後の加工中に素材管上の接触位置は移動しないと考えるのが妥当である。従って、そのような接触点に囲まれた範囲では、加工中の変形はその範囲内で完了し、範囲外から素材が供給されることも、他の範囲に素材を供給することもない。そこで11-12、11-14間と、12-13、13-14間とを局所的に考慮してそれぞれ拡管率(素材管上の未接触の周長dAと、それに対応する金型内周長dBとの比dB/dA)を算出し、局所拡管率とする。
【0010】
この例では、中心よりも上側ではdAとdBとが近いため局所拡管率は比較的小さいが、下側ではdBが大きいため、局所拡管率は明らかに大きくなっている。この結果、図3の型締め状態からハイドロフォーム加工を行うと、11-12、11-14の区間では素材管2は僅かに拡管すればよいが、12-13、13-14の区間では素材管2は金型1の内面に達するまでに大きく拡管しなければならず、素材の供給が不十分となって割れに至るのである。このように型締め状態における局所拡管率が大きい部分が割れの発生源となる可能性が高いため、本発明では金型の分割位置を見直すという新規な着想により局所拡管率の均一化を図ろうとしたのである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態を示す図であり、金型1は上部金型5と下部金型6とからなる分割式とされているが、上部金型5の内面には傾斜部7が設けられている。素材管2はやや縦長の鋼管であるが、金型を中央分割式として縦長方向に普通に型締めすると、図3において説明したと同様に局所拡管率がアンバランスになり、下隅部において割れる可能性がある。
【0012】
そこで図1に示すように、この実施形態では金型1の分割面8を局所拡管率が大きい下側に移動させた。まず図1のAの状態では素材管2と金型1との接触点11、12、13、14のうち3点は上部金型5側にあり、下部金型6側の接触点は13の1点のみである。
【0013】
この結果、上部金型5側の接触点11、12、14に挟まれた区間では素材管2が摩擦力により拘束され、しかも各接触点間の距離は一定であるから、図1のBのように型締めが進行しても素材管2はあまり変形することがない。しかし下部金型6側では接触点間の距離が変化するため、素材管2の下部は両外側に向かって変形し、型締めが完了したCの状態では下部金型6との接触部が大きく広がる。
【0014】
この図1のCの状態では、型締めの進行に伴い変形した素材管2と金型1との接触点15、16間における局部拡管率は図3の場合よりもかなり小さくなっており、素材管の内面に液体圧を加えながら軸押しするハイドロフォーム加工を開始しても、もはや割れ発生の恐れはない。このように、第1の実施形態では金型1の分割面8を局所拡管率が大きい下側に移動させることにより、型締め完了時の局部拡管率のアンバランスを緩和し、割れの発生を防止することができる。
【0015】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態を示す図である。この実施形態では、金型1は上部金型5と下部金型6とからなる分割式とされており、上部金型5の左側内面と下部金型6の右側内面にはR部9が設けられている。素材管2はやや縦長の鋼管である。この場合、素材間2と金型との接触点は図2のAに示すように11、12、13、14の4点となるが、R部9のある側の区間11-14と12-13は局所拡管率は小さいが、その他の区間の局所拡管率は大きくなり、金型を中央分割式として普通に型締めすると、局所拡管率がアンバランスになり区間11-12、13-14において割れる可能性がある。
【0016】
そこでこの実施形態では、金型1の分割面8を局所拡管率が大きい右上側および左下側に移動させた。この結果、同一の金型に接触している接触点11と14間及び12-13間では素材間2はロックされ、前記したように素材間2の変形は生じにくい。しかし型締めの進行に伴い接触点11-12、13-14間の距離は接近するため、図2のB、Cに示すように型締めの進行に伴い素材管の右上側および左下側が外側に張り出す。
【0017】
このCの状態では、型締め完了時における接触点11-12、13-14間における局部拡管率は小さくなっており、素材管の内面に液体圧を加えながら軸押しするハイドロフォーム加工を開始しても、もはや割れ発生の恐れはない。このように、第2の実施形態では金型1の分割面8を局所拡管率が大きい右上側および左下側に移動させることにより、型締め完了時の局部拡管率のアンバランスを緩和し、割れの発生を防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は金型の内面形状が不均等である場合にも、局所拡管率の分布に応じて分割面を型中央から移動させるという新しい手法により、型締めしたときの局所拡管率のアンバランスを緩和し、ハイドロフォーム加工工程中の割れの発生を防止することに成功したものである。本発明によれば、従来は成形できなかった形状の成形が可能となり、また不良発生率を低減できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図であり、Aは型締め開始前、Bは型締め中、Cは型締め完了時の状態を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す断面図であり、Aは型締め開始前、Bは型締め中、Cは型締め完了時の状態を示す。
【図3】従来技術を示す断面図であり、Aは型締め開始前、Cは型締め完了時の状態を示す。
【符号の説明】
1 金型
2 素材管
5 上部金型
6 下部金型
7 傾斜部
8 分割面
9 R部
11 接触点
12 接触点
13 接触点
14 接触点
15 接触点
16 接触点
Claims (1)
- 分割式の金型内部に素材管をセットし、型締めしたうえ素材管の内面に液体圧を加えながら軸押しするハイドロフォーム加工法において、素材管を断面が縦長の管とし、縦長方向への型締めの進行に伴い変形した素材管と金型との接触点に挟まれた型締め完了時における素材管上の未接触の周長dAと、それに対応する金型内周長dBとの比dB/dAとして定義される局所拡管率の分布に応じて分割面を型中央から移動させた金型を用いることにより、型締めしたときの金型内面と素材管との接触状況により決定される局所拡管率のアンバランスを緩和することを特徴とするハイドロフォーム加工法。
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