JP4563536B2 - 樹脂組成物ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミドイミド樹脂とその他の熱可塑性樹脂とを溶融混練して、ペレットを製造する方法に関し、さらに詳しくは、ハンドリング性と押出機への供給安定性に優れ、かつ、効率よくペレットを製造することができる樹脂組成物ペレットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、機械的強度、電気特性、耐薬品性、難燃性などに優れており、各種機械部品、OA機器部品、フィルム、ワニスなどとして使用されている。ところが、ポリアミドイミド樹脂は、ワニスやキャストフィルムの用途には好適であるものの、成形加工性に劣り、その殆どのものは、射出成形や押出成形などの溶融成形加工が困難である。そのため、ポリアミドイミド樹脂を用いて成形品を製造するには、主として圧縮成形法が採用されている。
【0003】
従来より、ポリアミドイミド樹脂と各種熱可塑性樹脂とをブレンドすることにより、成形加工性、耐熱性、機械的強度などのバランスに優れた樹脂組成物とすることが提案されている。例えば、芳香族ポリアミドイミド樹脂とポリエステル樹脂からなる樹脂組成物(特開平7−207157号公報)、芳香族ポリアミドイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂を溶融混練してなる樹脂組成物(特開平6−200154号公報)、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とからなる樹脂組成物(特開昭59−164360号公報)などが提案されている。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂からなる成形品の接着性を高めるために、少量のポリアミドイミド樹脂をブレンドして表面を改質する方法が提案されている(特開平7−309957号公報)。
【0004】
このような樹脂組成物を射出成形機や押出成形機などの成形加工機に供給する場合、予め各樹脂成分を押出機で溶融混練して、ペレット化してから供給している。ペレットを作るには、各樹脂成分と必要に応じて各種添加剤とを押出機に供給して、溶融混練した後、ペレタイザにより、コールドカット、ホットカット、アンダウォータカット、シートカットなどの方式でペレット化している。ところが、ポリアミドイミド樹脂は、その製造工程において、嵩密度の小さな微細な粉末として回収され、粉末のままで各種樹脂とのブレンドに供されているため、ハンドリング性に劣り、押出機への供給安定性に欠け、さらには押出効率が非常に低いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアミドイミド樹脂とその他の熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレット化する方法において、ポリアミドイミド樹脂のハンドリング性に優れ、押出機への供給安定性に優れ、かつ、効率良くペレットを製造することができる樹脂組成物ペレットの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、ポリアミドイミド樹脂粉末を機械的に造粒して粒子径の大きな造粒物とし、この造粒物と他の熱可塑性樹脂とを溶融押出してペレット化する方法に想到した。ポリアミドイミド樹脂造粒物を使用することにより、ハンドリング性、押出機への供給安定性、押出効率に優れた樹脂組成物ペレットの製造方法が提供される。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリアミドイミド樹脂(A)粉末を機械的に造粒した造粒物(A1 )とその他の熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練して、ペレット化する樹脂組成物ペレットの製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
ポリアミドイミド樹脂(A)
本発明で使用されるポリアミドイミド樹脂は、通常、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとから製造され、構造的には、イミド基とアミド基を交互に含む形をしたポリマーである。すなわち、ポリアミドイミド樹脂は、一般に、式(1)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Arは、少なくとも一つの炭素6員環を含む3価の芳香族基であり、Rは、2価の芳香族または脂肪族基であり、R1 は、水素原子、アルキル基、またはフェニル基である。)
で表される繰り返し単位を主構成単位として有する樹脂である。式(1)中のイミド結合の一部(好ましくは50モル%未満、より好ましくは30%モル未満)がアミド結合のままでとどまっていてもよい。アミド結合は、成形後、成形品をポストキュアすることによりイミド結合とすることができる。
【0011】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は、式(1)で表される繰り返し単位を100モル%含有するものが特に好ましいが、その他の繰り返し単位を好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下の割合で含有するコポリマーを用いることもできる。その他の繰り返し単位としては、下記の式(2)〜(4)で表される各繰り返し単位を挙げることができる。コポリマーは、これらの繰り返し単位の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Ar1 は、少なくとも一つの炭素6員環を含む2価の芳香族基または脂肪族基であり、Rは、2価の芳香族基または脂肪族基である。)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Ar2 は、少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の芳香族基であり、Rは、2価の芳香族基または脂肪族基である。)
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Ar2 は、少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の芳香族基であり、Rは、2価の芳香族基または脂肪族基である。)
前記式(1)において、3価の芳香族基(Ar)の具体例としては、式(5)〜(8)で表される基が挙げられる。
【0018】
【化5】
【0019】
これらの中でも、式(5)で表される基が好ましい。
2価の芳香族基または脂肪族基(R)の具体例としては、式(9)〜(35)で表される基が挙げられる。
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
これらの中でも、式(9)、(10)、(11)、(16)、(17)、(29)、(23)、(24)、(27)、及び(28)で表される基が好ましく、式(9)、(10)、(11)、(20)、(23)、及び(24)で表される基がより好ましく、式(9)、(11)、及び(20)で表される基が特に好ましい。
前記式(2)において、Ar1 の具体例としては、前記式(9)、(10)、(16)、(17)、(18)、(19)、(29)、(30)、及び(35)で表される基に加えて、次式(36)〜(41)で表される基が挙げられる。
【0025】
【化10】
【0026】
前記式(3)及び(4)において、Ar2 の具体例としては、次式(42)及び(43)で表される基が挙げられる。
【0027】
【化11】
【0028】
前記の式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、ポリアミドイミド樹脂中に、異なったAr、Ar1 、Ar2 、またはRに対応する一種以上が存在してもよい。
ポリアミドイミド樹脂は、(イ)芳香族トリカルボン酸無水物ハライドとジアミンを溶媒中で反応させる方法(酸クロリド法)、(ロ)芳香族トリカルボン酸無水物とジアミンを溶媒中で反応させる方法(直接重縮合法)、(ハ)芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシアネートを溶媒中で反応させる方法(イソシアネート法)などの方法により製造することができる。これらのうち、酸クロリド法とイソシアネート法では、いずれも芳香族ジアミンとカルボキシル基との遅い反応を補うために、どちらかのモノマーを活性化誘導体に変えて重縮合させる方法である。
【0029】
前記(イ)の酸クロリド法においては、2種類以上の芳香族トリカルボン酸無水物ハライドとジアミンを用いてもよく、また、必要に応じて、ジカルボン酸ジクロライド、芳香族テトラカルボン酸無水物を反応させてもよい。反応は、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどのハロゲン化水素受容剤の存在下または不存在下で、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶媒中で行うか、あるいは、ハロゲン化水素受容剤の存在下で、水と一部でも混和する有機溶媒(例えば、アセトン)と水の混合溶媒中で行うことができる。
【0030】
前記(ロ)の直接重縮合法においては、2種類以上の芳香族トリカルボン酸無水物とジアミンを用いてもよく、また、必要に応じて、ジカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸無水物を反応させてもよい。反応は、脱水触媒の存在または不存在下で、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶媒中、あるいは無溶媒下で行うことができる。
【0031】
前記(ハ)のイソシアネート法においては、2種類以上の芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシアネートを用いてもよく、また、必要に応じて、ジカルボン酸や芳香族テトラカルボン酸無水物を反応させてもよい。反応は、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶媒中、あるいは無溶媒下で行うことができる。この方法において、厳密に規定された水分量で行うこと、反応温度を多段階に制御しアミド基の生成が終了してからイミド基の生成反応を行うこと、必要に応じて触媒を用いること、酸無水物化合物とカルボン酸化合物のモル比を厳密に制御して反応させることなどは、反応の効率化、生成ポリマーの構造制御、分子量調節から有効な手段である。
【0032】
以上の各方法において、分子量調整またはポリマー末端の構造制御を目的として、安息香酸などのモノカルボン酸類;安息香酸クロライドなどの酸クロライド類;無水コハク酸、ナフタレンジカルボン酸無水物などのジカルボン酸無水物類;フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネート類;フェノール類といった一官能性化合物を用いることができる。以上の各方法で得られたポリマーは、必要に応じて、アミド酸構造をイミド環に転換するために熱処理(キュア)をすることができる。
【0033】
本発明に使用されるポリアミドイミド樹脂は、溶媒中で重合反応を行った場合には、反応終了後の溶液またはスラリーを、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;などを用いて処理して、生成ポリマーを沈殿させ、洗浄することにより回収される。重合反応終了後、重合溶媒を直接蒸発除去してポリマーを析出させた後、上記の溶媒で洗浄して回収してもよい。イソシアネート法においては、重合反応終了後、溶媒をある程度濃縮した後、押出機などにより減圧下に溶媒を除去することもできる。このようにして、重合反応系からポリアミドイミド樹脂を回収する。回収されたポリアミドイミド樹脂は、重量平均粒子径が100μm未満、通常50μm以下、多くの場合20〜30μm程度の微細な粉末である。
【0034】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は、酸クロリド法、直接重縮合法、及びイソシアネート法のいずれの方法で製造されたものであってもよいが、射出成形や押出成形の用途に用いる場合、生成ポリマーの構造制御及び分子量調節の容易さの点から、イソシアネート法により調製されたポリアミドイミド樹脂が好適に用いられる。本発明で使用するポリアミドイミド樹脂は、濃度1g/dlのジメチルホルムアミド中、30℃で測定した還元粘度が、通常、0.1〜1.5dl/g、好ましくは0.12〜1.00dl/g、より好ましくは0.15〜0.80dl/gである。
【0035】
ポリアミドイミド樹脂造粒物(A 1 )
本発明におけるポリアミドイミド樹脂造粒物は、ポリアミドイミド樹脂粉末をポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度以下の温度で機械的に圧縮し、例えば、シートや棒状の固形物とした後、該固形物を粉砕することにより得ることができる。ポリアミドイミド樹脂粉末の機械的な圧縮により、固形物の嵩密度を好ましくは0.5g/cm3 以上、より好ましくは0.7g/cm3 以上、特に好ましくは0.9g/cm3 以上とする。固形物の嵩密度が小さすぎると、脆くなりすぎて、粉砕時に所望の大きさの造粒物を得ることが困難になる。また、固形物の嵩密度が小さすぎると、造粒物が得られた場合でも、熱可塑性樹脂や充填剤との混合時、あるいは押出機への供給時に形状を保持することが難しくなる。
【0036】
固形物の粉砕は、通常の粉砕機を用いて行うことができる。粉砕により得られる造粒物の重量平均粒子径は、好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、さらに好ましくは500μm以上である。造粒物の重量平均粒子径の上限は、5mm(5000μm)程度である。多くの場合、造粒物の重量平均粒子径は、500μm以上、3mm以下の範囲にある。造粒物の重量平均粒子径が小さすぎると、ハンドリング性の改善効果が小さいことに加えて、押出機への供給安定性及び押出効率が低下する。造粒物の嵩密度は、好ましくは0.30g/cm3 以上、より好ましくは0.35g/cm3 以上、特に好ましくは0.40g/cm3 以上である。
【0037】
熱可塑性樹脂(B)
本発明で使用する熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ナイロン、6、ナイロン66、ナイロン6/66などのポリアミド樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂;ポリスチレンなどの芳香族ビニル重合体;テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂;全芳香族ポリエステル、液晶ポリエステル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミドなどのエンジニアリングプラスチック;ポリアセタール、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリ−p−キシレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、トリアジン樹脂、及びこれらの変性物が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリフェニレンスルフィド樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂などが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、粉末、顆粒状、ペレットなどの様々な形態で使用することができるが、ハンドリング性や押出機への供給性、押出効率などを勘案すると、顆粒状またはペレット状であることが好ましい。
【0039】
充填剤(C)
本発明の樹脂組成物ペレットには、必要に応じて、各種充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物;等の繊維状充填剤が挙げられる。また、充填剤としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、磁性粉(例えば、フェライト)、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの非繊維状(粒状、粉末状、フレーク状を含む)充填剤を挙げることができる。
【0040】
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。充填剤は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物の官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、充填剤に対して予め表面処理または集束処理を施してから用いるか、あるいは樹脂組成物の調製の際に同時に添加してもよい。シラン系カップリング剤などは、樹脂組成物の調製の際に充填剤と共に配合すると、一種の相溶化剤としての機能を発揮する。
【0041】
その他の添加剤(D)
本発明には、前記充填剤以外のその他の添加剤として、例えば、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ボロンナイトライドのような核剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤等を適宜添加することができる。
【0042】
樹脂組成物
ペレットを構成する樹脂組成物において、ポリアミドイミド樹脂とその他の熱可塑性樹脂との配合割合は、特に限定されないが、成形加工性、耐熱性、その他の物性を勘案すると、ポリアミドイミド樹脂が通常0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜55重量%であり、その他の熱可塑性樹脂が通常30〜99.5重量%、好ましくは40〜99重量%、より好ましくは45〜95重量%である。
【0043】
充填剤を配合する場合には、樹脂成分100重量部に対して、通常0〜800重量部、好ましくは0〜500重量部、より好ましくは0〜300重量部の範囲で配合することができる。特に、充填剤としてガラス繊維など無機繊維状充填剤を配合すると、引張強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げたわみなどの機械的物性に優れた樹脂組成物を得ることができる。充填剤を配合する場合、配合割合の下限は、所望により適宜定めることができるが、機械的物性を改善するには、通常1重量部以上、好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上とする。
【0044】
樹脂組成物ペレット製造方法
樹脂組成物ペレットは、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等により予備混合し、必要があればガラス繊維等の充填剤を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押出機を使用して溶融混練し、押し出して成形用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとしてから、残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合して、溶融押出することも可能である。
【0045】
ペレット化法としては、特に限定されず、例えば、押出機を用いて溶融材料をストランド状に押し出し、冷却後に切断するコールドカット方式、ダイの出口で切断するホットカット方式、水中でカットするアンダーウォータカット方式、シート状に押し出した後、小さい直方体に切断するシートカット方式などを採用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性などの測定法は、次のとおりである。
(1) 重量平均粒子径
重量平均粒子径は、JIS K−0069に準拠して粒子径分布を測定し、この粒子径分布に基づいて算出した。
(2) 押出量の変動
46mmφの2軸混練押出機により押出を行い、その際、2分間隔で20回、36秒間に押し出されるコンパウンド量を計量し、単位時間当りの押出量の変動を算出した。
【0047】
[製造例1]ポリアミドイミド樹脂の合成
攪拌機、温度計、ガス導入管を装着した20リットルの反応機に、乾燥窒素を流しながら、室温で、N−メチル−2−ピロリドンを10リットル、次いで、無水トリメリット酸2kgを仕込んだ。この時点で、系内の水分量は、45ppmであった。直ちに、2,4−トリレンジイソシアネートを1.81kgを加え、窒素を流しながら、室温から30分かけて90℃に昇温し、この温度で60分間反応を行った。その後さらに、20分かけて115℃に昇温し、この温度を保ったまま反応を8時間継続した。反応終了後、ポリマー溶液を半分にし、それぞれに10リットルのN−メチル−2−ピロリドンを加え、希釈した。その後、各ポリマー溶液を高速で攪拌している各40リットルのメタノール中に滴下した。析出した各ポリマーを吸引濾過し、さらに各40リットルのメタノール中に再分散し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した後、全回収物を200℃で減圧乾燥を行い、粉末状のポリマーを得た。
得られたポリマーの赤外吸収スペクトルから、アミド基とイミド基の吸収を確認した。濃度1g/dlのジメチルホルムアミド溶媒中、30℃で測定したポリマーの還元粘度は、0.22dl/gであった。示差走査熱量計(DSC)により測定したポリマーのガラス転移点温度は323℃で、重量平均粒子径は25μmで、嵩密度は0.25g/cm3 であった。
【0048】
[製造例2]ポリアミドイミド樹脂造粒物の作製
製造例1で得られた重量平均粒子径25μm、嵩密度0.25g/cm3 のポリアミドイミド樹脂粉末を、フィードスクリューと2個のローラーを備えたローラーコンパクター(栗本鉄鋼社製、RCP−200H)の中に押し込み、板状固形物を作製した。ローラーコンパクターの運転条件は、ロール圧縮力=1.3t/cm2 、ロール回転数=55rpm、ロール回転数=2.5rpm、処理量=7.8kg/hであった。得られた板状固形物の嵩密度は、0.98g/cm3 であった。板状固形物を粉砕機により粉砕して、重量平均粒子径600μm、嵩密度0.45g/cm3 の造粒物を得た。
【0049】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
表1に示す各成分をタンブラーミキサーで均一にドライブレンドした後、46mmφの2軸混練押出機(池貝鉄鋼社製、PCM−46)へ供給し、溶融押出を行って、押出量及び押出量の変動を評価した。押出温度は、実施例1〜2と比較例1〜2では280℃〜350℃の範囲とし、実施例3及び比較例2では240℃〜280℃の範囲として、溶融押出を実施した。また、溶融材料をストランド状に押し出し、コールドカット方式により、直径3mm、長さ3mmのペレットを作成した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(脚注)
(1) PPS:ポリフェニレンスルフィド樹脂顆粒(呉羽化学工業社製、フォートロンKPS;平均粒子径=500μm)
(2) PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡社製、パイロペット;直径2.5mm、長さ4mm)
(3) PAI:ポリアミドイミド樹脂(製造例1〜2)
(4) ガラス繊維:(旭ファイバー社製;直径10μm、長さ3mmの短繊維)
【0052】
表1に示された実験結果から明らかなように、ポリアミドイミド樹脂造粒物を用いた場合(実施例1〜3)は、ポリアミドイミド樹脂粉末を使用した場合(比較例1〜3)と比較して、押出量が大きくて押出効率に優れており、かつ、押出量の変動が小さい(吐出ムラが小さい)ことがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアミドイミド樹脂とその他の熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレット化する方法において、ポリアミドイミド樹脂のハンドリング性に優れ、押出機への供給安定性に優れ、かつ、効率良くペレットを製造することができる樹脂組成物ペレットの製造方法が提供される。本発明の樹脂組成物ペレットは、射出成形や押出成形により、各種成形品に成形することができる。
Claims (7)
- ポリアミドイミド樹脂(A)粉末を機械的に造粒した造粒物(A1 )とその他の熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練して、ペレット化する樹脂組成物ペレットの製造方法。
- 造粒物(A1 )が、ポリアミドイミド樹脂(A)粉末の機械的な圧縮による固形物の粉砕物である請求項1記載の製造方法。
- 造粒物(A1 )の重量平均粒子径が100μm以上、5mm以下である請求項1または2に記載の製造方法。
- 造粒物(A1 )と熱可塑性樹脂(B)との溶融混練に際し、充填剤(C)とその他の添加剤(D)とを存在させて、ペレット化する請求項1記載の製造方法。
- ポリアミドイミド樹脂(A)が、芳香族トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを溶媒中で重縮合させて得られたポリアミドイミド樹脂である請求項1記載の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1記載の製造方法。
- 造粒物(A1 )1〜60重量%と熱可塑性樹脂(B)40〜99重量%とを溶融混練して、ペレット化する請求項1記載の製造方法。
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