JP4561644B2 - 粉末成形方法及び粉末成形装置 - Google Patents

粉末成形方法及び粉末成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、粉末組成物を加圧成形するための粉末成形方法及び粉末成形装置に関し、特に、成形対象である粉末組成物がダイにかじる現象を防止するために潤滑剤を用いて粉末を加圧成形する方法及び装置に関するものである。
従来より、粉末冶金法を利用して焼結磁石等が作製されている。一般的な粉末冶金法では、数百ミクロン以下にまで微粉化した原料合金粉末を加圧成形し、得られた粉末成形体(圧粉体)を所定温度で加熱保持して焼結することによって焼結磁石等の焼結体が作製される。
特に、モータ等に対して利用頻度が高いNd−Fe−B系焼結磁石は、まず、原料合金を粗粉砕及び微粉砕をおこなってミクロンオーダまで微粉化する。次いで、この微粉末を磁場中で加圧成形した後、焼結及び時効処理を行うことによってNd−Fe−B系焼結磁石は作製される。
この加圧成形は、鉛直方向に貫通するダイホールを備えたダイと、前記ダイホールに上方から進退可能な上パンチと、前記ダイホール内にダイと相対移動可能に配設された下パンチとを備える粉末成形装置を用いて行われる。そして、下パンチをダイホール内の所定位置に配置することによってダイのダイホール内にキャビティを形成し、このキャビティ内に上記微粉末(磁石粉末)を上方から落下させて充填した後、上パンチをダイホール内に挿入して下パンチと協働して加圧して成形体を得る。
Nd−Fe−B系の磁石粉末に代表される希土類磁石粉末は流動性が悪く、その圧縮成形の工程においてダイにかじりが発生する問題があった。このかじりとは、被成形体である粉末が、摩擦熱によりダイに少量付着することをいう。ダイに付着した粉末は、付着力が強いため、そのまま成形を続けると、付着した粉末によって成形体にキズや割れ、クラック等が発生して、成形体の品質低下を招いてしまう。
上述したような問題を解消するために、特許文献1には、磁石粉末に潤滑剤を添加する技術が開示されている。この特許文献1には、Fe−R−B系磁石粉末に、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛及びビスアマイドのうち少なくとも1種を含む)を混合することによって、成形性を改善して、かじりによる成形体へのキズ等の発生を抑制できることが開示されている。特許文献1では、固体状の潤滑剤を溶剤に溶解又は分散させた液状の潤滑剤を成形対象である磁石粉末に添加している。
特許文献1のように磁石粉末に潤滑剤を添加する方法は、成形性向上に一定の効果がある。しかし、成形性をさらに向上させようとすると、必要以上の量の潤滑剤を添加することが必要である。磁石粉末に添加する方法では、成形性の向上に寄与しない潤滑剤が相当量存在するからである。潤滑剤は有機物から構成されているため、必要以上の量の潤滑剤を添加すると、保磁力等の磁気特性を低下させる要因の一つである炭素量の増加に繋がる。
一方、潤滑剤をダイに塗布する方法も開示されている。例えば、特許文献2には、下パンチの上部側壁面の周囲に溝を設け、前記溝内に複数の供給口としてのノズルから液状の潤滑剤をダイの内壁面に向かって流出させる技術が開示されている。
また、特許文献3には、下パンチ側壁面に設けられた供給口から液状の潤滑剤を気体とともにダイホール内壁面に対して供給する供給口を設けた粉体プレス装置が開示されている。この粉体プレス装置は、下パンチの上部周囲かつ供給口を覆うように、フェルト等の繊維からなる潤滑剤の吸着部材を配設し、この吸着部材に対して霧状の潤滑剤を供給し、吸着部材を介してダイホール側壁面に潤滑剤を塗布している。
特開平4−214803号公報 特開平3−291307号公報 特開2000−197997号公報
特許文献2及び特許文献3に記載の方法にて潤滑剤を供給する場合に、成形サイクル数が比較的少ない場合には良好な成形性を得ることができる。しかし、本発明者等の検討によれば、成形サイクルが増加するにつれて潤滑剤を供給する供給口に磁石粉末が詰まり、あるいは吸着部材に磁石粉末が入りこむことで、潤滑剤の供給口に目詰まりが発生する。このような現象により潤滑剤の供給が不足することで成形性が低下して、成形体にキズや割れ、クラック等が発生して成形不良につながる。つまり、従来の粉末成形装置では、長期の連続加圧成形に対しての効果が不十分であった。
また、特許文献3のように吸着部材を設ける技術は、薄肉の成形体を得る場合に適していない。吸着部材は、下パンチの周囲に配設するため、下パンチを吸着部材の厚さを差し引いた厚さにする必要がある。成形すべき成形体の厚さが例えば15mm以下と薄い場合には、下パンチの厚さをそれ未満に薄くしなければならず、加圧時に加わる応力に耐えることが容易でなくなる。特に、潤滑剤を供給する経路を下パンチ内に作り込むことをも考慮すると、厚さの薄い成形体に対して、吸着部材を配設する技術を採用することは事実上困難である。
そこで、本発明は、吸着部材を設けることなく、連続成形しても成形性が劣化しない粉末成形方法及び粉末成形装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、液状の潤滑剤を下パンチに設けた供給口から供給する方法について、特に磁石粉末の供給口への詰まり防止について検討を行った。その結果、詰まった磁石粉末を除去することは、困難であった。供給口に詰まった磁石粉末を除去するには、潤滑剤を高圧で噴出させることが考えられるが、相当の圧力で潤滑剤を噴出させても磁石粉末を除去することはできなかった。これは、気体を用いて磁石粉末を除去しようとしても同様であった。また、高圧で潤滑剤を噴出させることは必要以上に潤滑剤をキャビティ内に供給することにつながり、磁気特性にとって好ましいことではない。
そこで本発明者等は、詰まった磁石粉末を事後的に除去するのではなく、詰まり自体を防止することを念頭にして検討を行った。その結果、磁石粉末がキャビティに充填されている期間中に、下パンチから気体を供給することによって、下パンチに形成した供給口への磁石粉末の詰まりを防止することができた。しかも、供給する気体の圧力は微小であってもその効果を十分に得ることができるため、成形に悪影響をほとんど与えることがないことが判明した。
以上の検討結果に基づく本発明の粉末成形方法は、ダイのダイホールに形成されたキャビティ内の粉末組成物から上パンチ及び下パンチを用いて成形体を作製する粉末成形方法であって、ダイホールに面するダイの内壁面に対して、下パンチの側壁面から液状の潤滑剤を供給する供給工程と、キャビティに所定量の粉末組成物を供給する工程と、キャビティ内に供給された粉末組成物を上パンチ及び下パンチによって加圧成形する工程と、を備え、粉末組成物を供給する工程及び加圧成形する工程のいずれか又は双方の期間に、ダイホールに面するダイの内壁面に対して、下パンチの側壁面に開口されたガス供給口からガスを供給し、ガスはガス供給口よりも上方に向けて流れることを特徴とする。
本発明の粉末成形方法は、粉末充填工程及び加圧成形工程のいずれか又は双方の期間に、ダイホールに面するダイの内壁面に対して、下パンチの側壁面に開口されたガス供給口からガスを供給し、ガスはガス供給口よりも上方に向けて流れることにより、下パンチに形成した潤滑剤の供給口への粉末組成物の詰まりを防止することができる。
本発明の粉末成形方法において、潤滑剤の供給圧力は0.01〜0.5MPa、ガスの供給圧力は0.03〜3MPaであることが好ましい。
本発明の粉末成形方法において、粉末組成物として、R−T−B系焼結磁石の原料粉末を用いることができるが、この場合にはガスを非酸化性ガスとすることが好ましい。特に、この原料粉末の酸素濃度が3000ppm以下である場合には、酸素濃度増加を防止するために、ガスを非酸化性ガスとすることが重要となる。
本発明は、以上説明した粉末成形方法を実現することのできる、粉末成形装置を提供する。この、粉末組成物を加圧成形して成形体を作製する粉末成形装置は、鉛直方向に貫通するダイホールを有するダイと、ダイホール内に供給された粉末組成物に加圧力を付与する上パンチ及び下パンチと、を備え、下パンチの内部には、外部から供給された潤滑剤を下パンチの側壁面に開口された複数の第1の供給口まで供給する潤滑剤供給路と、外部から供給されたガスを下パンチの側壁面に開口された複数の第2の供給口まで供給するガス供給路が形成され、外部から供給されたガスは、第2の供給口より上方に向けて流れることを特徴とする。
本発明の粉末成形装置において、粉末組成物をダイホール内に供給する前に、潤滑剤供給経路を介して第1の供給口から潤滑剤をダイの内壁面に向けて供給し、その後に、ガス供給路を介して第2の供給口からガスをダイの内壁面に向けて供給し、しかる後に粉末組成物をダイホール内に供給するように粉末成形装置を制御するコントローラを備えることができる。このようにコントローラが、潤滑剤の供給、ガスの供給を制御することにより、潤滑剤を供給する第1の供給口の粉末組成物による詰まりを防止することができる。
ここで、上記潤滑剤供給路は、下パンチの鉛直方向に潤滑剤を供給する潤滑剤鉛直供給路と、潤滑剤鉛直供給路に連なり、潤滑剤鉛直供給路から供給された潤滑剤を水平方向かつ第1の供給口まで供給する潤滑剤水平供給路を備える構成とすることができる。同様に、ガス供給路は、下パンチの鉛直方向にガスを供給するガス鉛直供給路と、ガス鉛直供給路に連なり、ガス鉛直供給路から供給されたガスを水平方向かつ第2の供給口まで供給するガス水平供給路を備える構成とすることができる。
そして、上記構成において、潤滑剤鉛直供給路とガス鉛直供給路とは独立したものとするが、潤滑剤水平供給路はガス水平供給路を兼ねることができる。
さらに上記構成において、潤滑剤水平供給路は、潤滑剤鉛直供給路から分岐した格子状の経路をなし、ガス水平供給路は、ガス鉛直供給路から分岐した格子状の経路をなすことができる。
以上説明したように、本発明によれば、粉末充填工程及び加圧成形工程のいずれか又は双方の期間に、ダイホールに面するダイの内壁面に対して、下パンチの側壁面に開口されたガス供給口からガスを供給し、ガスはガス供給口よりも上方に向けて流れることにより、下パンチに形成した潤滑剤の供給口への粉末組成物の詰まりを防止することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による粉末成形装置10の概略構成を示す図である。なお、粉末成形装置10は、粉末組成物である磁性粉末Pに所定方向の磁場を印加しつつ加圧成形するものであるが、以下の説明では磁場を印加するためのコイル等の記載、言及を省略する。
粉末成形装置10は、鉛直方向に貫通するダイホール12を有するダイ11と、ダイ11のダイホール12に対して上方から進退可能に構成された上パンチ13と、ダイ11のダイホール12内に嵌装された下パンチ14とを備える。
粉末成形装置10において、下パンチ14は基台15に固定されているが、ダイ11は、図示しないアクチュエータによって昇降可能に構成されている。したがって、下パンチ14はダイ11に対して鉛直方向に相対的に昇降可能である。
図1に示すように、ダイ11が下パンチ14に対して所定位置まで上昇した状態では、下パンチ14によってダイ11のダイホール12内にキャビティ16が形成されている。
ダイ11の上面には、フィーダボックス17が配設されている。フィーダボックス17は、内部に成形対象である磁性粉末Pを収容している。磁性粉末Pとしては、例えば希土類焼結磁石の原料である磁石粉末を用いることができる。もっとも、本発明の成形対象はこの磁石粉末に限らず、他の如何なる成形用の粉末組成物を用いることができる。フィーダボックス17は、図示しないアクチュエータによって、ダイ11の上面を図中左右方向にスライドさせることができる。
ダイ11の上面と接しているフィーダボックス17内の磁性粉末Pは、フィーダボックス17がキャビティ16の上方までスライドされると、フィーダボックス17内の磁性粉末Pがキャビティ16内に自由落下して充填される。キャビティ16内に充填された磁性粉末Pは、ダイホール12に挿入された上パンチ13と下パンチ14とによって加圧成形される。
図2に下パンチ14の正面図、図3に図2のA−A矢視断面図を示す。
下パンチ14は、ダイホール12に対応する矩形断面を有するパンチヘッド14aとパンチヘッド14aの下部に位置する矩形断面の基部14bとから構成される。パンチヘッド14aの側壁面には潤滑剤又は非酸化性ガスを供給するための開口である複数の供給口30が形成されている。各供給口30は、パンチヘッド14a内に格子状にかつ水平方向に配設されたパンチヘッド供給路34に連通している。パンチヘッド供給路34には、潤滑剤又は非酸化性ガスが供給される。
下パンチ14の基部14bからパンチヘッド14aにかけて、2つの潤滑剤供給路31、33が形成されている。また、下パンチ14の基部14bからパンチヘッド14aにかけて、非酸化性ガス供給路32が形成されている。そして、パンチヘッド14aにおいて、潤滑剤供給路31、33の上端及び非酸化性ガス供給路32の上端は、パンチヘッド供給路34に連通されている。したがって、潤滑剤供給路31、33を通じて鉛直方向に供給される潤滑剤は、さらにパンチヘッド供給路34を水平方向に供給されて各供給口30からダイ11の内壁面に向けて吐出される。また、非酸化性ガス供給路32を通じて鉛直方向に供給される非酸化性ガスは、さらにパンチヘッド供給路34を水平方向に供給されて各供給口30からダイ11の内壁面に向けて吐出される。
以上のように、下パンチ14においては、潤滑剤供給路31、33と非酸化性ガス供給路32とは独立しているが、パンチヘッド供給路34は潤滑剤の供給路及び非酸化性ガスの供給路を兼ねている。したがって、供給口30もまた潤滑剤の供給及び非酸化性ガスの供給を兼ねることになる。
下パンチ14に形成された潤滑剤供給路31には、図1に示されるように、潤滑剤供給配管18が接続されている。潤滑剤供給配管18の他端には潤滑剤貯留層24が接続されている。そして、潤滑剤供給配管18の経路上には、潤滑剤貯留層24側から第1ポンプ22、第1バルブ20が配設されている。潤滑剤貯留層24内に貯留されている潤滑剤は第1ポンプ22によって潤滑剤供給配管18上に供給される。そして、第1バルブ20が開いているときには下パンチ14の潤滑剤供給路31に対して供給されるが、第1バルブ20が閉じているときには潤滑剤供給配管18上に留まる。このように、第1バルブ20は、潤滑剤の下パンチ14への供給を制御する。
下パンチ14に形成された非酸化性ガス供給路32には、非酸化性ガス供給配管19が接続されている。非酸化性ガス供給配管19の他端には非酸化性ガス貯留層25が接続されている。そして、非酸化性ガス供給配管19の経路上には、非酸化性ガス貯留層25側から第2ポンプ23、第2バルブ21が配設されている。非酸化性ガス貯留層25内に貯留されている非酸化性ガスは第2ポンプ23によって非酸化性ガス供給配管19上に供給される。そして、第2バルブ21が開いているときには下パンチ14の非酸化性ガス供給路32に対して供給されるが、第2バルブ21が閉じているときには非酸化性ガス供給配管19上に留まる。このように、第2バルブ21は、非酸化性ガスの下パンチ14への供給を制御する。
粉末成形装置10は、その動作を制御するためのコントローラ26を備えている。すなわち、コントローラ26は、ダイ11の昇降、上パンチ13の昇降及びフィーダボックス17のスライドの動作を、各々に付設されるアクチュエータを介して制御する。また、第1バルブ20及び第2バルブ21の開閉動作を制御する。
以上のように構成された粉末成形装置10の動作を図9及び図10を参照しつつ説明する。この動作は、コントローラ26が制御する。
当初は、前回の一連の工程が終了し、図9(a)に示すように、ダイ11は下降端に位置しているとともに、上パンチ13は上昇端に退避している。この状態を、図10に示すように初期状態と呼ぶ。
初期状態においては、フィーダボックス17も退避しており、図9(a)には示されていない。
また、この初期状態において、潤滑剤供給配管18上の第1バルブ20は開いており(図10では「ON」、以下同様)、また、非酸化性ガス供給配管19上の第2バルブ21は閉じている(図10では「OFF」、以下同様)。したがって、下パンチ14のパンチヘッド14aに設けられた供給口30から、潤滑剤が吐出される。この潤滑剤は、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えば、ステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の助剤を用いることができ、溶剤はエタノール等の有機溶剤を使用し、前記脂肪酸と混合して使用する。溶剤に助剤が溶け込んでいても、いわゆる混合状態でも使用可能であり、本発明の液状の潤滑剤とは両者を包含している。本発明では、特許文献3に開示されるような吸着部材(例えば、フエルト)を使用しないため、潤滑剤と溶剤の混合状態のものを使用することができる。潤滑剤の供給圧力は、0.01〜0.5MPaとすることが好ましい。供給圧力が低すぎると所定量の潤滑剤を供給するのに時間が必要であり、逆に供給圧力が高すぎると潤滑剤がダイ11の内壁面へ吐出される際に飛散して供給が不安定になるためである。供給圧力は好ましくは、0.05〜0.3MPaである。
所定量の潤滑剤の供給が終了したならば、次に、コントローラ26は、キャビティ16形成のためにダイ11を上昇端まで上昇させる(図9(b))。このダイ11の上昇に伴って、ダイ11の内壁面の所定領域に潤滑剤が塗布される。この潤滑剤の塗布をより確実にするために、ダイ11を上昇端まで上昇させた後に、下降端まで下降させ、再度上昇端まで上昇させるという動作を行うことも有効である。
ダイ11を上昇端まで上昇させたタイミングで、コントローラ26は、第1バルブ20をOFFにする一方、第2バルブ21をONにする。したがって、下パンチ14のパンチヘッド14aに設けられた供給口30から、非酸化性ガスが吐出される。この非酸化性ガスは、ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙を流れる。より具体的には、ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙において、パンチヘッド14aに形成された供給口30を基準として上方及び下方に向けて非酸化性ガスが流れる。非酸化性ガスを用いると、磁性粉末PがR−T−B系焼結磁石の原料粉末のように酸化されやすいものに対して、酸化防止に有効となる。もっとも、耐酸化性の粉末組成物の場合には、空気等の酸化性ガスを用いることもできる。非酸化性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスを用いることができる。ガス供給圧力が高いと、次工程でのキャビティ16への粉末充填を阻害する。一方、ガス供給圧力が低いと、ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙に粉末の進入が容易となり、供給口30の詰まり防止に効果がなくなる。したがって、0.03〜3MPaが好ましく、より好ましくは0.05〜2MPa程度とする。
キャビティ16形成の段階では、上パンチ13、フィーダボックス17は、退避位置に制御されている。
ついで、ダイ11が上昇端に達した後に、図9(c)に示すように、コントローラ26は、フィーダボックス17をキャビティ16上までスライドさせる。そうすると、フィーダボックス17内に収容されていた磁性粉末Pがキャビティ16内に落下する。
このとき、コントローラ26は、第1バルブ20のOFF、第2バルブ21のONの状態を継続する。したがって、キャビティ16内に充填された磁性粉末Pは、下パンチ14に形成された供給口30から吐出される非酸化性ガスの抵抗力によって、ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙に、容易に入り込むことはない。
なお、この粉末充填の段階では、上パンチ13は、退避位置に制御されたままである。
キャビティ16上へフィーダボックス17が移動して所定時間経過後、コントローラ26は、フィーダボックス17をキャビティ16上から退避させる。このとき、フィーダボックス17の下面で磁性粉末Pが摺り切られて、キャビティ16内に所定量の磁性粉末Pが充填される。
フィーダボックス17の退避完了後、磁性粉末Pは加圧成形される。加圧成形のために、コントローラ26は、上パンチ13を下降させる。上パンチ13は、図9(d)に示すように、ダイ11のダイホール12(キャビティ16)に挿入され、キャビティ16内の磁性粉末Pを下パンチ14と協働して加圧成形する。このときの加圧力は、30〜300MPa程度である。
この加圧成形の過程において、コントローラ26は、第1バルブ20のOFF、第2バルブ21のONの状態を継続する。したがって、キャビティ16内に充填された磁性粉末Pは、下パンチ14に形成された供給口30から吐出される非酸化性ガスの抵抗力によって、ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙に、容易に入り込むことはない。
所定の加圧成形が完了したならば、コントローラ26は、図9(e)に示すように、上パンチ13及び下パンチ14の位置を維持したまま、ダイ11を下降端まで下降させる。成形体Cはキャビティ16外に排出される。この時点では、コントローラ26は、第1バルブ20のOFF、第2バルブ21のONの状態を継続する。
その後、コントローラ26は、図9(f)に示すように、上パンチ13を所定位置まで退避させると、成形体Cを取り出すことができる。上パンチ13を所定位置まで退避させたならば、コントローラ26は第1バルブ20をON、第2バルブ21をOFFに切り替えて、粉末成形装置10を初期状態に設定し、以後の加圧成形サイクルに備える。
本実施の形態において、下パンチ14は、潤滑剤供給路31と非酸化性ガス供給路32とを各々独立して設けておき、磁性粉末Pがダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙に磁性粉末Pが最も入り込む可能性のある期間には非酸化性ガスの供給を連続的に行い、その他の所定期間に潤滑剤を供給する。非酸化性ガスの供給が行われている際、潤滑剤は潤滑剤供給路31内において、その上部まで満たされていることが好ましい。このようにすることで、第1バルブ20をONした時に潤滑剤供給が瞬時に行なえる利点がある。
また、下パンチ14は、2つの潤滑剤供給路31、33を設けてあるが、これは下パンチ14が矩形断面をしているからである。つまり、潤滑剤供給路が1つしかないと、下パンチ14が矩形断面の場合に、各供給口30から吐出される潤滑剤の圧力が均等とならないために、ダイ11の内壁面に潤滑剤を均一に塗布できないことも想定される。これに対して、本実施の形態の下パンチ14は、2つの潤滑剤供給路31、33を設けてあるため、各供給口30から吐出される潤滑剤の圧力をより均等にすることができる。このような2つの潤滑剤供給路31、33又は3以上の潤滑剤供給路31、33を設けることは、特に長手方向の長さの長い矩形断面を有する下パンチにとって有効である。
下パンチ14のパンチヘッド供給路34は、格子状をなしている。したがって、パンチヘッド14aの外壁面に形成された複数の供給口30に潤滑剤又は非酸化性ガスを供給する形態であっても、潤滑剤供給路31又は非酸化性ガス供給路32を最小限の数とすることができる。また、パンチヘッド供給路34は、潤滑剤と非酸化性ガスの共用としているので、パンチヘッド供給路34の構成を簡易にすることができる。
本実施の形態による粉末成形装置10は、下パンチ14の構造に特徴を有するが、例えば図4及び図5に示す下パンチ40の構造とすることもできる。
図4に下パンチ40の正面図、図5に図4のB−B矢視断面図を示す。
下パンチ40は、ダイホール12に対応する矩形断面を有するパンチヘッド40aとパンチヘッド40aの下部に位置する矩形断面の基部40bとから構成される。パンチヘッド40aの側壁面には潤滑剤又は非酸化性ガスを供給するための開口である複数の供給口50が形成されている。各供給口50は、パンチヘッド40a内に格子状に配設された第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54に連通している。下パンチ40は、互いに独立した第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54を備えている点で、下パンチ14のパンチヘッド供給路34と相違する。
下パンチ40の基部40bからパンチヘッド40aにかけて、2つの潤滑剤供給路51及び2つの非酸化性ガス供給路52が形成されている。そして、パンチヘッド40aにおいて、第1パンチヘッド供給路53に、一方の潤滑剤供給路51及び非酸化性ガス供給路52の上端が連通している。また、パンチヘッド40aにおいて、第2パンチヘッド供給路54に、他方の潤滑剤供給路51及び非酸化性ガス供給路52の上端が連通している。したがって、一方の潤滑剤供給路51又は非酸化性ガス供給路52を通じて供給される潤滑剤又は非酸化性ガスは、第1パンチヘッド供給路53を介して各供給口50からダイ11の内壁面に向けて吐出される。また、他方の潤滑剤供給路51又は非酸化性ガス供給路52を通じて供給される潤滑剤又は非酸化性ガスは、第2パンチヘッド供給路54を介して各供給口50からダイ11の内壁面に向けて吐出される。
下パンチ40も下パンチ14と同様に、潤滑剤供給路51には潤滑剤供給配管18が接続され、非酸化性ガス供給路52には非酸化性ガス供給配管19が接続されている。
下パンチ40も、下パンチ14と同様の効果を奏する他に以下のような特徴を有している。すなわち、下パンチ40は互いに独立した第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54を備えており、第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54に各々潤滑剤が供給される。第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路51が各々設けられているため、第1パンチヘッド供給路53を介して供給口50から吐出される潤滑剤の圧力の均一性、第2パンチヘッド供給路54を介して供給口50から吐出される潤滑剤の圧力の均一性を向上することができる。しかも、図5に示すように、潤滑剤供給路51は、第1パンチヘッド供給路53、第2パンチヘッド供給路54の平面状のほぼ中心に位置しているから、潤滑剤の吐出圧力の均一性をより向上することができる。したがって、ダイ11の内壁面へ潤滑剤をより均一に塗布することができる。このように均一な潤滑剤の塗布は、潤滑剤の塗布をより少量でまかなうことができるため、磁気特性低下の原因となるC量の少ないR−T−B系焼結磁石の製造を可能にする。
本発明では、図6〜図8に示す形態の下パンチ60を用いることも有効である。
図6に下パンチ60の正面図、図7に図6のC−C矢視断面図、図8に図6のD−D矢視断面図を示す。
下パンチ60は、ダイホール12に対応する矩形断面を有するパンチヘッド60aとパンチヘッド60aの下部に位置する矩形断面の基部60bとから構成される。パンチヘッド60aの側壁面には潤滑剤を供給するための開口である複数の供給口70aが略同一平面上に形成されている。また、パンチヘッド60aの側壁面には非酸化性ガスを供給するための開口である複数の供給口70bが略同一平面上に形成されている。図6に示すように、潤滑剤を供給する供給口70aの上方に非酸化性ガスを供給する供給口70bが配設されている。
供給口70aは、パンチヘッド60a内に格子状に配設された第1パンチヘッド供給路73、第2パンチヘッド供給路74に連通している。第1パンチヘッド供給路73及び第2パンチヘッド供給路74は、互いに独立している。
また、供給口70bは、パンチヘッド60a内に格子状に配設された第3パンチヘッド供給路75に連通している。第3パンチヘッド供給路75は、第1パンチヘッド供給路73及び第2パンチヘッド供給路74よりも上層に形成され、かつ第1パンチヘッド供給路73及び第2パンチヘッド供給路74に対して独立している。
このように、下パンチ60は、潤滑剤を供給する第1パンチヘッド供給路73及び第2パンチヘッド供給路74に対して、非酸化性ガスを供給する第3パンチヘッド供給路75が独立している点で、下パンチ14、下パンチ40と相違する。
下パンチ60の基部60bからパンチヘッド60aにかけて、2つの潤滑剤供給路71及び1つの非酸化性ガス供給路72が形成されている。そして、パンチヘッド60aにおいて、第1パンチヘッド供給路73に一方の潤滑剤供給路71の上端が連通し、第2パンチヘッド供給路74に他方の潤滑剤供給路71の上端が連通している。また、パンチヘッド60aにおいて、第3パンチヘッド供給路75に、非酸化性ガス供給路72の上端が連通している。したがって、一方の潤滑剤供給路71を通じて供給される潤滑剤は、第1パンチヘッド供給路73を介して各供給口70aからダイ11の内壁面に向けて吐出される。また、他方の潤滑剤供給路71を通じて供給される潤滑剤は、第2パンチヘッド供給路74を介して各供給口70aからダイ11の内壁面に向けて吐出される。さらに、非酸化性ガス供給路72を通じて供給される非酸化性ガスは、第3パンチヘッド供給路75を介して各供給口70bからダイ11の内壁面に向けて吐出される。
下パンチ60も下パンチ14と同様に、潤滑剤供給路71には潤滑剤供給配管18が接続され、非酸化性ガス供給路72には非酸化性ガス供給配管19が接続されている。
下パンチ60も、下パンチ14と同様の効果を奏する他に以下のような特徴を有している。すなわち、下パンチ60は、潤滑剤を供給する第1パンチヘッド供給路73、第2パンチヘッド供給路74と、非酸化性ガスを供給する第3パンチヘッド供給路75とが独立している。したがって、潤滑剤の供給路と非酸化性ガスの供給路とを共用していた下パンチ14、下パンチ40では、潤滑剤の供給と非酸化性ガスの供給の切り替えのタイミングを厳密に制御する必要があるのに対して、下パンチ60では潤滑剤の供給と非酸化性ガスの供給が多少重なったとしても特別な支障は生じない。
また、下パンチ60は、潤滑剤を吐出する供給口70aの上方に非酸化性ガスを吐出する供給口70bを設けているため、上方からダイ11の内壁面と下パンチ60の外壁面との間に入り込んだ磁性粉末Pが潤滑剤を吐出する供給口70aまでの移動を効果的に防ぐことができる。
さらに、下パンチ40と同様に、第1パンチヘッド供給路73、第2パンチヘッド供給路74が各々独立しており、かつ潤滑剤供給路71は、第1パンチヘッド供給路73、第2パンチヘッド供給路74の平面上のほぼ中心に位置しているから、潤滑剤の吐出圧力の均一性を確保することができる。
以上の実施形態では、キャビティ16形成の段階から成形終了までの間、非酸化性ガスを供給しており、磁性粉末Pによる供給口30の詰まり防止には最も有効であるが、本発明はこの形態に限定されない。ダイ11の内壁面と下パンチ14外壁面との間隙に磁性粉末Pが最も入り込みやすい期間だけ非酸化性ガスを供給するようにしてもよいし、あるいは、キャビティ16形成の段階から成形終了までの間で間欠的に非酸化性ガスを供給するようにしてもよい。
以上の実施形態では、下パンチ14の断面を矩形状にしたが、他の多角形状であってもよく、円形であってもよいことは言うまでもない。さらに、以上の実施形態では、下パンチ14を固定しダイ11を鉛直方向に昇降可能にした例について述べたが、ダイ11を固定して下パンチ14を鉛直方向に昇降可能にしてもよい。
次に本発明が適用される希土類焼結磁石について説明する。本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが好ましい。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。好ましいRの量は28〜35wt%、さらに好ましいRの量は29〜33wt%である。
また、R−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。好ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに好ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
R−T−B系焼結磁石におけるTはFe又はFe及びCoを意味する。ここで、Coを含む場合には3.0wt%以下(0を含まず)、好ましくは0.1〜1.0wt%、さらに好ましくは0.3〜0.7wt%とする。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
さらに、R−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、好ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに好ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、好ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに好ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが好ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下とする。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。さらに高磁気特性を得る場合には、その量を3000ppm以下、好ましくは2000pp以下、より好ましくは1000ppm以下とする。本発明は、このように酸素量の少ないR−T−B系焼結磁石の加圧成形に適用することが好ましい。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが好ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、Mn及びCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、好ましくはさらにCu又は、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に好ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、好ましくはSmCo17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo系を主体とする副相が存在する。
以上のR−T−B系焼結磁石は以下のようにして製造される。
原料金属を真空又は非酸化性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより、原料合金を得ることができる。原料合金を得るための原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。
原料合金が作製された後、これらの原料合金は粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、各母合金をそれぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させた後、粗粉砕を行なうことが効果的である。また、水素吸蔵を行った後に、水素を放出させることにより、機械的な手段を用いることなく、粗粉砕を行うこともできる。
高磁気特性を得るために、粉砕処理(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を、100ppm未満の酸素濃度に抑えることが好ましい。そうすることにより、焼結体に含まれる酸素量を3000ppm以下に制御することができる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕は、主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉を平均粒径1〜8μmになるまで粉砕される。本発明の原料合金を用いることにより、微細かつ粒度分布幅の狭い微粉砕粉を得ることができる。ジェットミルは、高圧の非酸化性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉を加速し、粗粉砕粉同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の添加剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。
次いで、微粉砕された磁性粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。なお、上述した粉末成形装置10では、磁場印加の要素であるコイル等の記載、言及は省略している。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増又は漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
ここで、粉砕処理からの各工程の雰囲気を100ppm未満の酸素濃度に抑える場合、磁場中成形の対象である磁性粉末Pに含まれる酸素量も低い。このように酸素量の低い磁性粉末Pは、活性度が高いために、ダイ11に対するかじりが非常に発生しやすい。したがって、低酸素濃度にてR−T−B系焼結磁石を製造する場合に、本発明は特に有効である。
磁場中成形後、その成形体を真空又は非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。時効処理は、保磁力を制御する上で重要である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800〜900℃近傍、600〜700℃近傍での所定時間の保持が有効である。
高純度の原料を用意して、ストリップキャスト法により原料合金を作製した。次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行う水素粉砕処理を行った。水素粉砕処理が施された合金に微粉砕を行い、平均粒径4μmの微粉砕粉を得た。なお、微粉砕はジェットミルで行った。該微粉砕粉末の組成は以下の通りである。
30.2wt%Nd−1.4wt%Dy−1wt%B−0.1wt%Cu−0.2wt%Al−0.5wt%Co−bal.Fe
以上で得られた微粉砕粉(酸素量:4000ppm、炭素量:1000ppm)を、図1〜図3に示す形態の粉末成形装置10を用い、図9〜図10で示した要領で40gの微粉砕粉を成形体密度が4.2g/ccとなるように連続成形した(実施例)。キャビティ16(下パンチ14)のサイズは、60mm×10mmである。また、下パンチ14には、φ1.5mmの供給口30を、60mmの辺に5つ、10mmの辺に2つ設けてある。また、非酸化性ガスとしては窒素ガスを用い、潤滑剤としてはステアリン酸亜鉛をエタノール溶媒と混合したものを用いた。窒素ガスの供給圧力は0.05MPa、潤滑剤の供給圧力は0.1MPaである。
比較例として、下パンチの各辺に潤滑剤供給用の供給口を1つずつ設けた以外は、上記と同様の条件で連続成形した。なお、この比較例では窒素ガスの供給は行わずに、潤滑剤の供給のみを供給圧力=0.1MPaで行った。
比較例では、800ショットでかじり又はクラックが発生したので中断したのに対して、実施例では10000ショット経過してもかじりの発生はなかった。
合金組成を以下としたこと及び粉砕処理から成形までの雰囲気を100ppm未満の酸素濃度に抑えることを除いて、実施例1と同様に連続成形を行った(実施例2)。なお、得られた焼結体の酸素量は1000ppm、炭素量は1000ppmであった。
24.9wt%Nd−5.9wt%Pr−0.4wt%Dy−1wt%B−0.05wt%Cu−0.2wt%Al−0.5wt%Co−bal.Fe
下パンチの各辺に潤滑剤供給用の供給口を1つずつ設けた比較例では、500ショットでかじり又はクラックが発生したので中断したのに対して、実施例2では10000ショット経過してもかじりの発生はなかった。
以上のように、本発明にしたがった成形方法を採用することにより、低酸素雰囲気下での長期の連続成形であっても、かじりの発生を防止することができることが判った。
本実施の形態による粉末成形装置の概略構成図である。 本実施の形態による下パンチの構成を示す正面図である。 図2のA−A矢視断面図である。 本実施の形態による下パンチの他の構成を示す正面図である。 図4のB−B矢視断面図である。 本実施の形態による下パンチのさらに他の構成を示す正面図である。 図6のC−C矢視断面図である。 図6のD−D矢視断面図である。 本実施の形態による粉末成形装置の動作を説明する図である。 本実施の形態による粉末成形装置の主要素の動作フローを示す図である。
符号の説明
10…粉末成形装置、11…ダイ、12…ダイホール、13…上パンチ、14,40,60…下パンチ、14a,40a,60a…パンチヘッド、14b,40b,60b…基部、15…基台、16…キャビティ、17…フィーダボックス、18…潤滑剤供給配管、19…非酸化性ガス供給配管、20…第1バルブ、21…第2バルブ、22…第1ポンプ、23…第2ポンプ、24…潤滑剤貯留層、25…非酸化性ガス貯留層、26…コントローラ、30,50,70a,70b…供給口、31,33,51,71…潤滑剤供給路、32,52,72…非酸化性ガス供給路、34…パンチヘッド供給路、53,73…第1パンチヘッド供給路、54,74…第2パンチヘッド供給路、75…第3パンチヘッド供給路

Claims (9)

  1. ダイのダイホールに形成されたキャビティ内の粉末組成物から上パンチ及び下パンチを用いて成形体を作製する粉末成形方法であって、
    前記ダイホールに面する前記ダイの内壁面に対して、前記下パンチの側壁面から液状の潤滑剤を供給する工程と、
    前記キャビティに所定量の前記粉末組成物を供給する工程と、
    前記キャビティ内に供給された前記粉末組成物を前記上パンチ及び前記下パンチによって加圧成形する工程と、を備え、
    前記粉末組成物を供給する工程及び前記加圧成形する工程のいずれか又は双方の期間に、前記ダイホールに面する前記ダイの内壁面に対して、前記下パンチの側壁面に開口されたガス供給口からガスを供給し、前記ガスは前記ガス供給口よりも上方に向けて流れることを特徴とする粉末成形方法。
  2. 前記潤滑剤の供給圧力が0.01〜0.5MPaであり、
    前記ガスの供給圧力が0.03〜3MPaであることを特徴とする請求項1に記載の粉末成形方法。
  3. 前記粉末組成物が、R−T−B系焼結磁石の原料粉末であり、
    前記ガスが非酸化性ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末成形方法。
    ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを示す。
  4. 前記原料粉末の酸素濃度が3000ppm以下であることを特徴とする請求項3に記載の粉末成形方法。
  5. 粉末組成物を加圧成形して成形体を作製する粉末成形装置であって、
    鉛直方向に貫通するダイホールを有するダイと、
    前記ダイホール内に供給された前記粉末組成物に加圧力を付与する上パンチ及び下パンチと、を備え、
    前記下パンチの内部には、
    外部から供給された潤滑剤を前記下パンチの側壁面に開口された複数の第1の供給口まで供給する潤滑剤供給路と、
    外部から供給されたガスを前記下パンチの側壁面に開口された複数の第2の供給口まで供給するガス供給路が形成され、外部から供給された前記ガスは、前記第2の供給口より上方に向けて流れることを特徴とする粉末成形装置。
  6. 前記粉末組成物を前記ダイホール内に供給する前に、前記潤滑剤供給経路を介して前記第1の供給口から前記潤滑剤を前記ダイの内壁面に向けて供給し、
    その後に、前記ガス供給路を介して前記第2の供給口から前記ガスを前記ダイの内壁面に向けて供給し、
    しかる後に前記粉末組成物を前記ダイホール内に供給するように前記粉末成形装置を制御するコントローラを備えることを特徴とする請求項5に記載の粉末成形装置。
  7. 前記潤滑剤供給路は、前記下パンチの鉛直方向に前記潤滑剤を供給する潤滑剤鉛直供給路と、前記潤滑剤鉛直供給路に連なり、前記潤滑剤鉛直供給路から供給された前記潤滑剤を水平方向かつ前記第1の供給口まで供給する潤滑剤水平供給路を備え、
    前記ガス供給路は、前記下パンチの鉛直方向に前記ガスを供給するガス鉛直供給路と、前記ガス鉛直供給路に連なり、前記ガス鉛直供給路から供給された前記ガスを水平方向かつ前記第2の供給口まで供給するガス水平供給路を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉末成形装置。
  8. 前記潤滑剤鉛直供給路と前記ガス鉛直供給路は独立しており、前記潤滑剤水平供給路が前記ガス水平供給路を兼ねることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の粉末成形装置。
  9. 前記潤滑剤水平供給路は、前記潤滑剤鉛直供給路から分岐した格子状の経路をなし、
    前記ガス水平供給路は、前記ガス鉛直供給路から分岐した格子状の経路をなすことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の粉末成形装置。
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