JP3494361B2 - 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニアネットで薄肉
長尺の希土類焼結磁石を製造する方法および希土類焼結
磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類焼結磁石は原料合金を粉砕、成
形、焼結、熱処理、加工し、さらに必要に応じて表面処
理を施したものが実用に供されている。特にR14
B型金属間化合物(RはYを含む希土類元素の少なくと
も1種、TはFeまたはFeとCo)を主相とするR−
T−B系希土類焼結磁石は高性能磁石として多用されて
いる。しかし、前記原料合金の粉砕粉末は大気中で急激
に酸化し、磁気特性の劣化を招来する。顕著な場合は急
激な酸化により発火してしまうため安全性の面からも問
題があった。急激な酸化を防止する方法として、本発明
者らは、非酸化性の鉱物油または合成油中に希土類焼結
磁石用の原料微粉を回収し、酸化を抑えつつ磁場中成形
後、脱油、焼結、熱処理する希土類焼結磁石の製造方法
(特開平6−322469号公報等参照)を提案した。
この製造方法により、従来に比べて酸素含有量が低く抑
えられてほぼ理論密度に相当する緻密化した高密度の焼
結体が得られ、従来に比べて(BH)maxを顕著に向上
することができた。さらに、所定量のオレイン酸を添加
した非酸化性の鉱物油、合成油又は植物油中に希土類焼
結磁石用の原料合金の微粉を回収して成形用のスラリー
原料とすれば、連続成形性が顕著に改善されて高性能の
希土類焼結磁石を効率よく量産できることを提案した
(特開平8−130142号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記提案をも
とにしても、薄肉長尺品を量産するに当たって、特にア
ークセグメントに代表される異形品に対しては、その成
形性の悪さに起因した問題があった。通常薄肉とは厚み
が3mm以下のものを、長尺とは長さが50mm以上の
ものを言うことが多いが、ここで言う薄肉長尺は、厚み
と長さが単に上記数値範囲に入るものということではな
く、成形体が満足に形成できないものや、形成できたと
しても密度が均一になり難いものを言い、厚みと長さ寸
法で規定する場合、上記より広い範囲まで含むことにな
る。従って、薄肉長尺品の作製に当たっては、成形時に
割れやクラックが生ずるだけでなく、その局部的な成形
体密度の差によって、焼結体には顕著な変形が発生する
という問題がある。このため、厚肉のブロック品を成形
し、後で所定の形状に加工して対処せざるをえず、最終
製品のコスト増を招来していた。なお、異形品とは、例
えば図8の斜視図において、(a)に示す矩形以外の、
(b)リング型、(c)アークセグメント型、(d)か
まぼこ型等のものを言い、広義には断面形状が凸部を有
するものを包含している。
【0004】さらに、前記薄肉長尺の希土類焼結磁石
は、成形の難しさに加え、磁化方向の配向度(Br/4
πImax)が十分高くならず、高性能品実現の障害にも
なっていた。ここで、4πImaxは4πI(磁化の強
さ)−H(磁界の強さ)曲線における4πIの最大値で
ある。従って本発明は、薄肉長尺の希土類焼結磁石をで
きるだけ加工することなく、望ましくはニアネットで、
さらには高い磁気特性を有するように製造する方法、及
び希土類焼結磁石を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の希土類焼結磁石
の製造方法は、スラリーを作成し、成形機へ供給し、加
圧成形し、焼結する工程を有する希土類焼結磁石の製造
方法において、スラリーは、希土類焼結磁石用微粉と、
鉱物油、合成油、植物油の少なくとも1種の油と、非イ
オン性または陰イオン性の界面活性剤を混合して作成
し、成形機のキャビティへのスラリーの供給は、スラリ
ー供給管の先端一方のパンチがダイスに押し込まれ
てなるキャビティの底部近傍に挿入し、スラリーを吐出
しながら他方へ引き抜いて行い、成形は、横磁場を印加
しながら、一方のパンチを押し込んでその一方のパンチ
側のスラリーを押圧して該キャビティに押し込んだ他方
のパンチ側から溶媒を排出し、次いで他方のパンチを押
し込んで他方のパンチ側のスラリーを押圧して行なうこ
とを特徴としている。
【0006】鉱物油、合成油または植物油としては、脱
油および成形性の点から、分留点が350℃以下のもの
がよく、動粘度については室温において10cSt以下
のものがよく、さらに好ましくは5cSt以下のものが
よい。また、有用な非イオン性の界面活性剤として、ポ
リエチレングリコール型界面活性剤または多価アルコー
ル型界面活性剤が挙げられる。ポリエチレングリコール
型界面活性剤として、高級アルコールエチレンオキサイ
ド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加
物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール
脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキ
ルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチ
レンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加
物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加
物の1種または2種以上が挙げられる。また、多価アル
コール型界面活性剤として、グリセロールの脂肪酸エス
テル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビ
トールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂
肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、ア
ルカノールアミン類の脂肪酸アミドの1種又は2種以上
が挙げられる。これらのうち、高級アルキルアミンエチ
レンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステ
ル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、
多価アルコールのアルキルエーテルのいずれかがより好
ましい。また、陰イオン性の界面活性剤としては、例え
ば特殊高分子界面活性剤または特殊ポリカルボン酸型高
分子界面活性剤が挙げられる。また、スラリーに投入す
る前記原料合金の微粉の総重量に対する界面活性剤の添
加量は0.01〜0.3重量%が好ましい。添加量が
0.01重量%未満では添加効果が認められず、0.3
重量%超では逆に磁気特性が劣化する。
【0007】スラリーの供給は、70〜85重量%に調
整したスラリーを、スラリーの供給手段に連通したスラ
リー供給管の先端をキャビティ底部近傍に挿入し、スラ
リーをキャビティの底部から上方に向けて吐出しながら
適宜引き抜いて充填する。スラリー供給管の引き抜きタ
イミングは、スラリーの吐出開始と同時に徐々に引き上
げてもよいし、最初は停止状態で吐出し、その後そのま
ま吐出しながら又は吐出せずに引き上げるようにしても
よい。これにより、スラリーを空気を巻き込むことなく
キャビティの隅々まで充填することができる。なお、キ
ャビティ上方は開放したままでもよいが、通気性を保ち
ながら遮蔽しておくほうがよい。この遮蔽手段により、
上方に盛上がったスラリーは速やかに横方向に均される
とともに、供給量が多少多目であっても廻りに溢れるこ
とがない。
【0008】磁場中で加圧成形する方式には、加圧方向
と磁場印加方向とが略平行な縦磁場成形方式と、加圧方
向と磁場印加方向とが略直角の横磁場成形方式とがあ
る。縦磁場成形方式に比べて横磁場成形方式の方が成形
体の配向度が高くなるので、最終的に得られる希土類焼
結磁石のBr、(BH)maxが高くなり、iHcがやや
低下する傾向を示す。本発明に係わる成形は横磁場成形
に適用すると効果的であり、スラリーにキャビティの上
下両側から順次押圧力を作用させることにより、溶媒を
所定量排出するとともに、スラリーを上下側から中央部
に向かって圧密する。これにより、密度が高く、特に上
下側共に密度が高く、かつバラツキ範囲の少ない成形体
を得ることができる。即ち、横磁場印加状態で一方のパ
ンチ、例えば下パンチをキャビティ内に移動させると、
下パンチ側からスラリーに押圧力が伝播されるが、磁粉
同士の接触による摩擦及び壁面との摩擦で消費され、上
に行くほど磁粉には押圧力は伝わらず、他方のパンチで
ある上パンチ側の磁粉密度は下パンチ側ほど高くならな
い。これに対して、溶媒にはほぼ均等に圧力は伝播さ
れ、下パンチ移動の初期は溶媒がキャビティと下パンチ
の隙間から漏れることもあるが、その後下パンチ側は磁
粉密度が高くなるため、磁粉密度が低く抵抗の少ない上
パンチ側に流れ、キャビティと上パンチの隙間から排出
される。溶媒を排出し易くするために上パンチの側面に
数十ミクロン程度の浅い溝を形成してもよい。横磁場を
かけることにより、キャビティ内の磁粉、特に磁場方向
に直交するキャビティ壁面周辺の磁粉は磁場拘束により
動き難くなり、磁場拘束力の方が磁粉に作用する押圧力
や溶媒の付着による流動力より勝る場合には、一層磁粉
は移動し難く、特に上パンチ付近の磁粉には押圧力がほ
とんど働かないため、隙間があってもほとんど漏れな
い。その後、上パンチを移動させると、すでに溶媒量が
少なくなりスラリー濃度が高まっているため、磁粉は流
動し難く、隙間から漏れることなく上パンチ側の磁粉密
度は高くなるのである。なお、ここで言う溶媒とは、前
記の油又は油と界面活性剤の混合物を言う。
【0009】なお、成形体は酸化による磁気特性の劣化
を抑えるために、成形直後から脱油までの間前記油中で
保存することが望ましい。焼結に当たっては、成形体を
常温から焼結温度まで急激に昇温すると、成形体の内部
温度が急激に上昇し、成形体に残留する油と成形体の希
土類元素とが反応して希土類炭化物を生成し磁気特性が
劣化する。この対策として、温度100〜500℃、圧
力10−1Torr以下で30分以上加熱する脱油処理
を施すことが望ましい。脱油処理により成形体に残留す
る油が十分に除去される。なお、脱油の加熱温度は10
0〜500℃であれば一点である必要はなく二点以上で
あってもよい。また10−1Torr以下で室温から5
00℃までの昇温速度を10℃/分以下、より好ましく
は5℃/分以下とする脱油処理を施すことによっても脱
油が効率よく行われる。
【0010】また、本発明の希土類焼結磁石の製造方法
は、希土類焼結磁石用原料合金を非酸化性雰囲気中で微
粉砕した微粉を、室温における動粘度が10cSt以下
鉱物油、合成油、植物油の少なくとも1種の油中に回
収し、スラリーを作成するようにするものであり、特性
の高い希土類焼結磁石を得るために用いるとよい。希土
類焼結磁石用原料合金の微粉砕は、例えば不活性ガスを
粉砕媒体とするジェットミル等による乾式粉砕装置また
は酸化を阻止できる条件に設定された湿式ボールミル等
の湿式粉砕装置を用いて行うことができる。これによ
り、実質的に酸素濃度が0vol%の不活性ガス雰囲気
中でジェットミル微粉砕後、大気に触れないように前記
不活性ガス雰囲気中から直接微粉を鉱物油、合成油また
は植物油の少なくとも1種の油中に回収することができ
る。この方式により、微粉を大気から遮断して酸化、水
分の吸着を抑制することができる。なお、非イオン性ま
たは陰イオン性の界面活性剤は、予め鉱物油、合成油、
植物油のうちの1種以上からなる油中に混合しておいて
もよいし、後で混入するようにしてもよい。なお、前記
の実質的に酸素濃度が0vol%の不活性ガス雰囲気中
とは、酸素濃度が0.005vol%以下、好ましくは
0.002vol%以下の不活性ガス雰囲気を言う。
【0011】また、前述した希土類焼結磁石の製造方法
において、希土類焼結磁石用原料合金を微酸化雰囲気中
で微粉砕して乾粉として回収し、回収した微粉を鉱物
油、合成油または植物油の少なくとも1種と混ぜてスラ
リーを作成してもよい。この場合も、非イオン性または
陰イオン性の界面活性剤は、予め鉱物油、合成油、植物
油のうちの1種以上からなる油中に混合しておいてもよ
いし、後で混入するようにしてもよい。
【0012】本発明の希土類焼結磁石は、上記製造方法
スラリーを加圧成形し、焼結して製造される希土類磁
石において、R14B型金属間化合物(RはYを含
む希土類元素の少なくとも1種、TはFeまたはFeと
Co)を主相とし、横磁場により成形した成形体の密度
分布が4.3〜4.7Mg/m(g/cm)であ
り、磁化方向の寸法が2〜10mm、加圧方向の寸法が
10〜150mmの寸法範囲にある希土類焼結磁石であ
る。前記寸法は、焼結体素材そのままの寸法、又は焼結
体の焼結肌を除去する程度に表面に倣って加工した後の
寸法を言う。なお、前記範囲内のもので、かつ、厚さを
横軸に、長さを縦軸とした座標系で示した時、座標(2
mm、60mm)と(5mm、150mm)の2点を結
ぶ直線で規定される長さ範囲内のものは、より安定して
製造することができる。なお、信頼性高くニアネットシ
ェイプの希土類焼結磁石を得る上では、前述した希土類
焼結磁石の製造方法を用いるとよい。即ち、界面活性剤
により移動性を高めたスラリーをキャビティに隙間なく
供給し、キャビティの上下から押圧することにより薄肉
長尺品を成形することができ、かつ異形品であっても成
形体の密度分布を4.3〜4.7g/cmという高い
範囲でかつ略均一にできるので、成形体から焼結体素材
に至る収縮率および焼結による変形が従来より小さく抑
えられるからである。
【0013】本発明の希土類焼結磁石は、20℃におい
て25MGOe以上の最大エネルギー積(BH)max
と、13KOe以上の保持力を有する希土類焼結磁石で
ある。また、磁化方向の配向度(Br/4πImax)が
96%以上である希土類焼結磁石である。また、(10
5)面からのX線回折ピーク強度I(105)と、(0
06)面からのX線回折ピーク強度I(006)との比
率;I(105)/I(006)が0.5〜0.8であ
ることを特徴としている。
【0014】また、希土類焼結磁石の全重量を100重
量%としたとき、重量%でRが28〜31%、Bが0.
8〜1.5%、残部Tからなる主成分を有する希土類焼
結磁石であって、重量%で酸素を0.25%以下、炭素
を0.15%以下、窒素を0.15%以下含有する希土
類焼結磁石である。また、希土類焼結磁石の全重量を1
00重量%としたとき、重量%でRが31.0〜33.
0%(31.0%は含まず)、Bが0.80〜1.50
%、残部Tからなる主成分を有する希土類焼結磁石であ
って、重量%で酸素を0.25〜0.58%(0.25
%は含まず)、炭素を0.15%以下、窒素を0.03
%以下含有する希土類焼結磁石である。また、本発明の
希土類焼結磁石は、前述した製造方法で製造することに
よって、前述した各発明の特徴を併せ持ったものを得る
ことができる。特に、厚さが2〜10mm、長さが10
〜150mmの寸法範囲のものは、従来、ニアネットで
は極めて実現が難しかったものである。
【0015】以下、本発明の希土類焼結磁石の組成につ
いて詳細に説明する。本発明の希土類焼結磁石がR
14B型金属間化合物を主相とする場合、許容される主
成分組成は、最も広い場合で、重量%で、R 28〜3
3%、B 0.5〜2%、M0〜0.6%(MはN
b,Mo,W,V,Ta,Cr,Ti,Zr,Hfの少
なくとも1種)、残部Tからなることが好ましい(ただ
し、R+B+T+M=100重量%とした場合)。R
量は28〜33%が好ましい。R量が28%未満では十
分なiHcが得られず、33%超ではBrが大きく低下
する。B量は0.5〜2%が好ましく、0.8〜1.5
%がより好ましい。B量が0.5%未満では十分なiH
cが得られず、2%超ではBrが大きく低下する。N
b,Mo,W,V,Ta,Cr,Ti,Zr,Hfの少
なくとも1種からなる高融点金属元素Mを0.01〜
0.6%含有することがより好ましい。Mを0.01
〜0.6%含有することにより、焼結過程での主相結晶
粒の過度の粒成長が抑えられて、14.0kOe以上の
iHcを実現できる。しかし、Mを0.6%超含有す
ると逆に主相結晶粒の正常な粒成長が阻害され、Brの
低下を招く。また、M含有量が0.01%未満では添
加効果が認められない。
【0016】特に、重量%で、主成分がR 28〜33
%、B 0.8〜1.5%、M0.01〜0.6%
(MはNb,Mo,W,V,Ta,Cr,Ti,Z
r,Hfの少なくとも1種)、M0.01〜0.3%
(MはAl,Ga,Cuの少なくとも1種)、残部T
からなる場合が実用性に富んでいる(ただし、R+B+
T+M+M=100重量%とした場合)。M元素
(Al,Ga,Cuの少なくとも1種)の含有量は0.
01〜0.3%とされる。Alの含有によってiHcが
向上し、焼結体の耐食性が改善される。しかし、Al含
有量が0.3%超ではBrが大きく低下し、0.01%
未満ではiHcや耐食性を改善する効果が得られない。
Gaの含有によりiHcが顕著に向上するが、Ga含有
量が0.3%超ではBrが大きく低下し、0.01%未
満ではiHcを向上する効果が得られない。Cuの微量
添加は焼結体の耐食性の改善とiHcの向上に有効であ
るが、Cu含有量が0.3%超ではBrが大きく低下
し、0.01%未満では耐食性の改善およびiHcの向
上が認められない。Coの含有により焼結体の耐食性が
改善され、かつキュリー点が上昇して永久磁石としての
耐熱性が向上する。しかし、Co含有量が5%超では磁
気特性に有害なFe−Co相が形成され、BrとiHc
が共に低下する。よって、Co含有量は5%以下とされ
る。一方、Co含有量が0.5%未満では耐食性の改善
や耐熱性の向上が認められない。よって、Co含有量は
0.5〜5%が好ましい。不可避に含有される酸素は
0.6%以下、炭素は0.15%以下が許容される。特
に、酸素含有量が0.25%超で0.6%以下の場合
は、R含有量が31%超で33%以下になるように選択
することが高い磁気特性と良好な耐食性とを確保するた
めに好ましい。
【0017】さらに、重量%で、Rが28〜31%、B
が0.8〜1.5%、残部Tからなる主成分を有すると
ともに、前記希土類焼結磁石の全重量を100重量%と
したとき重量%で酸素を0.25%以下、炭素を0.1
5%以下、窒素を0.15%以下含有することが好まし
い。さらに、酸素含有量を0.18%以下、炭素含有量
を0.10%以下とすると、20℃において48.0M
GOe以上の最大エネルギー積(BH)maxと、14.
0kOe以上の保磁力iHcと、96.0%以上の磁化
方向の配向度(Br/4πImax)とが実現できより好
ましい。本発明の希土類焼結磁石がR14B型金属
間化合物を主相とする場合、Niめっき等の表面処理が
必要になるが、窒素含有量が0.02〜0.15%の場
合に良好な耐食性が付与されるのでより好ましい。
【0018】また、原料合金としてCaを還元剤とする
還元拡散法により作製したものを用いて本発明の希土類
焼結磁石を作製した場合、20℃において25.0MG
Oe以上の最大エネルギー積(BH)maxと13.0k
Oe以上の保磁力iHcと、96.0%以上の磁化方向
の配向度(Br/4πImax)とを実現するために、前
記希土類焼結磁石の全重量を100重量%としてCa含
有量をより好ましくは0.1重量%以下(0を含ま
ず)、特に好ましくは0.03重量%以下(0を含ま
ず)に抑えることがよい。また、本発明の希土類焼結磁
石は、SmCoまたはSmTM17(TMはCoと
FeとCuとM’とからなり、M’はZr,Hf,T
i,Vの少なくとも1種である)を主相とするものでも
よい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明する
が、本発明はそれら実施例により限定されるものではな
い。 (実施例1)図8(a)で示す矩形の薄板長尺の焼結体
を作製した。焼結体の目標寸法は、厚みTは約3.8m
m、長さLは約60mm、幅は約30mmである。主成
分組成が、重量%で、Nd22.6%、Pr6.3%、
Dy1.3%、B1.0%、Nb0.2%、Al=0.
15%、Co2.0%,Ga0.08%、Cu0.1
%,残部Feからなる希土類焼結磁石用の原料合金粗粉
を準備した。次に、この粗粉を酸素濃度が0.001v
ol%以下の窒素ガス雰囲気中でジェットミル粉砕し、
平均粉末粒径4.0μmの微粉を得た。微粉は窒素ガス
雰囲気中で、大気に触れさせずに直接、グリセロールの
脂肪酸エステルであるオレイン酸モノグリセライド(花
王(株)製、商品名:エマゾールMO−50)を所定量添
加した鉱物油(出光興産(株)製、商品名:出光スーパ
ーゾルPA−30)中に回収しスラリー化した。グリセ
ロールの脂肪酸エステルの添加量はスラリーに投入した
前記微粉の総重量対比で0.08重量%とした。次い
で、スラリーを(微粉総重量)/(微粉総重量+鉱物油
総重量)×100(%)で定義するスラリー濃度が約7
0%になるように調整し、図9に示すスラリー供給装置
15の原料タンク13に充填した。
【0020】次に、スラリー供給装置15のスラリー供
給管6を矩形の薄板長尺状のキャビティ3の開口部のほ
ぼ中央に配置した。キャビティの寸法は、厚み方向が5
mm、長さ方向が150mm、幅方向が35mmであ
る。次に、スラリー供給管6をシリンダー(図示省略)
で下降させ、下パンチ2の上面近傍位置(キャビティ3
の底面近傍位置)で停止させた。次に、ポンプ10を作
動させて原料タンク13からスラリーを配管11を通し
てキャビティ3に吐出しながら、スラリー供給管6を上
昇させてキャビティ3に所定量のスラリーを充填した。
続いて、磁場強度13kOeで厚みT方向に磁場をか
け、下パンチを所定量押し込んで上パンチ側から溶媒を
排出した後、上パンチを所定量押し込んで成形圧1.0
ton/cmで加圧成形を行い(横磁場成形)、成形
体を得た。この時の成形体の長さは約70mmとなっ
た。この成形体を、約5×10−1Torr、200℃
で1時間加熱して脱油した。引き続き約3×10−5
orr、1070℃で2時間焼結して焼結体を得た。次
に、Ar雰囲気中で900℃で2時間加熱後、冷却して
480℃で1時間加熱し、続いて460℃で1時間加熱
する熱処理を行い、その後室温まで冷却して本発明の希
土類焼結磁石を得た。この磁石を所定寸法に加工後、2
0℃において150kOeのパルス磁場を印加して磁気
特性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0021】(実施例2、3)表1に示す非イオン性界
面活性剤を用いた以外は実施例1と同様にして希土類焼
結磁石を作製し、磁気特性を測定した。測定結果を表1
に示す。 (実施例4、5)表1に示す陰イオン性界面活性剤を用
いた以外は実施例1と同様にして希土類焼結磁石を作製
し、磁気特性を測定した。測定結果を表1に示す。 (実施例6)主成分組成が、重量%で、Nd24.2
%、Pr6.8%、Dy1.5%、B1.02%、Nb
0.3%、Al0.08%、Co1.5%,残部Feか
らなる希土類焼結磁石用の原料合金粗粉を、酸素濃度が
0.1vol%の窒素ガス雰囲気中でジェットミル粉砕
し、平均粉末粒径が4.2μmの微粉を得た。この微粉
の酸素量は0.48wt%であった。この微粉を鉱物油
(出光興産(株)製、商品名:出光スーパーゾルPA−
30)中に回収しスラリー化した。このスラリーの中
に、スラリー中の微粉純分の重量の0.08wt%に相
当するグリセロールの脂肪酸エステル(花王(株)製、商
品名:エマゾールMO−50)を添加し混合した。次い
で、スラリーを実施例1の定義でのスラリー濃度が約7
5%になるように調整した。このスラリーを実施例1と
同条件にて希土類焼結磁石を作製したところ、表1に示
すような測定結果を得た。
【0022】(実施例7)主成分組成が、重量%で、N
d17.3%、Pr5.7%、Dy7.5%、B1.0
5%、Nb0.7%、Al0.12%、Co2.5%、
Ga0.08%、Cu0.1%,残部Feからなる希土
類焼結磁石用の原料合金粗粉を用いた以外は実施例1と
同様にして希土類焼結磁石を作製し磁気特性を測定し
た。表1に測定結果を示す。 (実施例8)主成分組成が、重量%で、Nd13.0
%、Pr5.0%、Dy12.0%、B1.10%、N
b0.50%、Al0.08%、Co2.0%、Ga
0.08%、Cu0.10%,残部Feからなる希土類
焼結磁石用の原料合金粗粉を用いた以外は実施例1と同
様にして希土類焼結磁石を作製し磁気特性を測定した。
表1に測定結果を示す。
【0023】(比較例1)界面活性剤を用いずに前記微
粉と鉱物油とからなるスラリーとした以外は実施例1と
同様にして希土類焼結磁石を作製し、磁気特性を測定し
た。測定結果を表1に示す。 (比較例2)非イオン性界面活性剤の代わりに、スラリ
ーに投入した微粉の総重量に対する比率で0.04wt
%に相当するオレイン酸を鉱物油に添加したものを用い
てスラリーを形成した以外は、実施例1と同様にして希
土類焼結磁石を作製し、磁気特性を測定した。測定結果
を表1に示す。なお、実施例1〜8、比較例1〜2と
も、成形体には割れ、クラック等は見当たらず、焼結体
の変形、特に変形が顕著に表われ易い幅方向寸法変化に
おいても、一見したところでは認識できない程度であっ
たが、わずかに中央部の寸法の方が小さく(0.3mm
程度)なっていた。
【0024】
【表1】
【0025】表1より、非イオン型の界面活性剤を添加
したスラリーを用いて形成した実施例1、2、3の各希
土類焼結磁石の磁化方向の配向度(Br/4πIma
x)、(BH)maxが界面活性剤を添加しないスラリーを
用いて形成した比較例1の希土類焼結磁石に比べて顕著
に向上しており、かつほぼ同等のiHcを保持している
ことがわかる。また、陰イオン型の界面活性剤を添加し
たスラリーを用いて形成した実施例4、5の希土類焼結
磁石の(Br/4πImax)、(BH)maxも比較例1の
希土類焼結磁石に比べて向上しており、かつほぼ同等の
iHcを保持していることがわかる。これに対し、界面
活性剤の替わりにオレイン酸を添加したスラリーを用い
て形成した比較例2の希土類焼結磁石の(Br/4πI
max)は比較例1に比べて向上しているが、iHcおよ
び(BH)maxが顕著に低下しており、好ましくないこ
とがわかる。なお、上記の各実施例および各比較例の希
土類焼結磁石の含有炭素量は0.06〜0.08重量%
の範囲にあり、かつ含有窒素量は約0.06重量%であ
り、有意差は認められなかった。
【0026】図2に、実施例1〜5および比較例1、2
で作製した各成形体の平均成形体密度(ρg)を示す。
図2より、比較例1の場合に比べて、非イオン性または
陰イオン性の界面活性剤を添加したスラリーを用いた実
施例1〜5の各成形体密度(ρg)が増大していること
がわかる。ρgの増大は収縮率が低下することであり、
かつ成形体強度が改善されて薄肉、長尺形状の成形が容
易になることでもある。図3に、実施例1〜5及び比較
例1、2の各成形体の代表的な含油率を示す。含油率
は、[(成形体の重量)−(焼結体素材の重量)]/
(成形体の重量)×100(%)で定義した。図3よ
り、非イオン性または陰イオン性の界面活性剤を添加し
たスラリーを用いた実施例1〜5の各成形体の含油率が
減少していることがわかる。含油率の減少は脱油工程の
負担が軽減されることであり好ましい。図4に、実施例
1〜5および比較例1、2の各焼結体素材の磁化方向
(厚さ)の平均収縮率を示す。収縮率は[(磁化方向の
成形体寸法)−(磁化方向の焼結体素材寸法)]/(磁
化方向の成形体寸法)×100(%)で定義した。図4
より、実施例1〜5では磁化方向の収縮率が24〜26
%であり小さい。これに対し、比較例1、2の磁化方向
の収縮率は28〜31%と大きい。このように、本発明
によれば、磁化方向の収縮率が28%未満であるニアネ
ットのものが得られる。
【0027】(実施例9)グリセロールの脂肪酸エステ
ルの添加量を変化した以外は実施例1と同様にして横磁
場の圧縮成形を行い、成形体を作製した。各成形体の密
度(ρg)を測定した結果を図5に示す。図5より、ρ
gはグリセロールの脂肪酸エステルの添加量に比例して
増加するが、添加量が0.2〜0.3%ではρgおよび
配向度がほぼ飽和することがわかった。そして、添加量
が0.3%超ではiHcの低下が大きくなり、総合的に
磁気特性が劣化する傾向が認められた。一方、添加量が
0.01%未満では添加効果が認められなかった。よっ
て、グリセロールの脂肪酸エステルの添加量は0.01
〜0.3%が好ましく、0.01〜0.2%がより好ま
しい、さらに0.08〜0.2%が一層好ましい。
【0028】図6に、実施例1の希土類焼結磁石からX
線回折用の試料を切り出し、その試料のほぼ磁化方向に
垂直な面が表面になるようにして理学電気(株)製のX線
回折装置(RU-200BH)にセットし、2θ−θ走査法により
X線回折した結果を示す。X線源にはCuKα1線(λ
=0.15405nm)を用い、ノイズ(バックグラウ
ンド)は装置に内蔵されたソフトにより除去した。図6
から、主な回折ピークは主相であるR14B型金属
間化合物の、2θ=29.08°の(004)面、3
8.06°の(105)面、44.34°の(006)
面であり、(006)面からのX線回折ピーク強度:I
(006)を100%として、I(004)/I(00
6)=0.33、 I(105) /I(006)=0.
63だった。次に、図7に、比較例1の希土類焼結磁石
からX線回折用の試料を切り出し、以降は実施例1の試
料の場合と同様にしてX線回折した結果を示す。図7の
主な回折ピークは図6と同様だったが、I(004)/
I(006)=0.32、I(105)/I(006)
=0.96だった。さらに、実施例2〜8および比較例
2の各希土類焼結磁石についても同様のX線回折を行っ
た。その結果、実施例1〜8のものはI(105)/I
(006)=0.50〜0.80の範囲にあり、比較例
1、2ではI(105)/I(006)=0.91〜
0.96だった。
【0029】次に、本発明を異形品であるアークセグメ
ント形状の希土類焼結磁石を作製した実施例で説明す
る。 (実施例10)キャビティの形状・寸法が異なる他は実
施例1と同様にして20個のサンプルを作製した。成形
体20は、図8(c)に示す厚みT’が約4mm、長さ
L’が約95mm、中心各θが45度、曲率半径が約4
5mmのアークセグメント形状であり、201側が上パ
ンチ側である。配向磁場の印加方向は図8(c)の紙面
に対してほぼ垂直方向である。作製した成形体20を、
図8(c)の点線で示すように5分割し、各分割成形体
のρgを測定した。測定結果の平均値を表2に示す。表
2より、4.5g/cm超でかつ最大値と最小値の差
が0.20g/cm未満である良好なρg分布が得ら
れた。また焼結、熱処理したものを、表面の焼結肌がな
くなる程度の加工をし、薄肉長尺アークセグメント形状
の焼結体30を得た。この時の寸法の平均値は、厚さT
は2.8mm、長さLは80mm、中心角θは45°、
幅は40mmであった。また、前記焼結体素材の磁化方
向の収縮率は25.5%と小さく、かつ前記焼結体素材
の外周面側の中央位置で評価したL方向の反りも小さか
った。20℃で磁気特性を測定した結果、磁化方向の配
向度(Br/4πImax)=96.9%、iHc=1
5.4kOe、(BH)max=49.8MGOeという
高い磁気特性が得られた。
【0030】(比較例3)比較例1のスラリーを用い
(界面活性剤なし)、実施例10と同様な条件でアーク
セグメント形状の希土類焼結磁石を20個作製した。成
形体の中には上部に亀裂が出るものや、剥がれが出るも
のがあった。外観的に問題のない成形体を実施例10と
ほぼ同様に5分割し、測定したρgの平均分布を表2に
示す。また、得られた焼結体素材の磁化方向の収縮率は
30.9%であり、実施例10に比べて約5.4%大き
かった。また、前記焼結体素材の外周面側の中央位置で
測定したL方向の反りは実施例10に比べて約1.3m
m大きかった。反りが大きいと、中心角度θが大きくな
る。反りが大きいのは、表2に示す通り、ρgの最大値
と最小値との差が実施例10に比べて大きく、かつρg
が低いからである。20℃で測定した磁気特性は、磁化
方向の配向度(Br/4πImax)=95.0%、iH
c=15.4kOe、(BH)max=47.3MGOe
であり低かった。
【0031】
【表2】
【0032】次に、ニアネット可能な薄肉長尺品の寸法
限界を評価した。対象品寸法は実用的には厚さは10m
m以下、長さは10mm以上の範囲にあるものである
が、さらにスラリー供給ノズルの外形寸法制約から焼結
体最小厚さは2mm程度、成形機の仕様から最大長さは
150mm程度の範囲に限定し、その中で成形がし難い
と考えられる薄くて長いものに対して、実施例10と同
様な製造条件で、各種寸法のアークセグメント形状の希
土類焼結磁石のサンプルを各20個作製して(実施例1
1〜14)評価した。中心角度、曲率半径は実施例10
と同一である。表3に、実施例10及び比較例3を含ん
だ焼結体の概略平均寸法(厚さ、長さ)と、その成形体
時と焼結体時後の外観性状を示す。なお、剥がれ、亀裂
が生じた成形体については、以降の焼結は行なわなかっ
た。
【0033】
【表3】
【0034】表3に示すように、実施例10、12、1
4については問題なく作製できることがわかる。厚さを
Tとして横軸にとり、長さをLとして縦軸にとった時、
前記サンプルは、L=30Tで表される直線の近傍にあ
ることがわかり、この直線より下方のものについては問
題ないことが推測できる。実施例11、13について
は、歩留が悪くなったり、加工代が余分に必要になると
いう課題はあるが、実用可能レベルであり、これより厚
さ2〜10mm、長さ10〜150mmの範囲のものは
ニアネットが可能であることが分かる。比較例3につい
ては、外観的にも、密度、配向度とも問題があることは
明らかであり、量産への適用は難しい。また、上記実施
例では中心角度が45°のアークセグメントの場合を記
載したが、20〜180°のものも作製可能である。幅
が15〜100mmのものも作製可能である。また、上
記実施例ではアークセグメントの場合を記載したが、本
発明によれば、他の横磁場成形法による異形品形状のも
の(例えば図8の(b)または(d)の形状を有し、図
8の紙面にほぼ垂直な方向に異方性を付与したもの)で
も、20℃において25.0MGOe以上の最大エネル
ギー積(BH)maxと13.0kOe以上の保磁力iH
cと96.0%以上の磁化方向の配向度(Br/4πI
max)とが実現可能である。
【0035】また、前記実施例では、横磁場成形法によ
る場合を記載したが、縦磁場成形法を適用した場合でも
従来とほぼ同等の高いiHcを保持しつつ、従来に比べ
て高い磁化方向の配向度(Br/4πImax)および
(BH)maxを実現することができる。また本発明によ
れば、20℃における測定値で、(BH)max=25〜
52MGOe、iHc=13〜20kOe、磁化方向の
配向度(Br/4πImax)=96.0〜98.0% が
実現可能である。
【0036】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明は次の効果を有
する。 1)磁性スラリーを薄肉長尺であっても、高い密度範囲
でバラツキ少なく成形することができる。 2)薄肉長尺の希土類焼結磁石をニアネット或いはそれ
に近い状態で提供することができる。 3)磁化方向の配向度を顕著に改善した高性能の希土類
焼結磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の希土類焼結磁石の製造方法を説明する
ための図
【図2】界面活性剤の種類と成形体密度との相関の一例
を示す図
【図3】界面活性剤の種類と成形体含油率との相関の一
例を示す図
【図4】界面活性剤の種類と収縮率の相関の一例を示す
【図5】界面活性剤の添加量と成形体密度との相関の一
例を示す図
【図6】本発明の希土類焼結磁石のX線回折パターンの
一例を示す図
【図7】比較例の希土類焼結磁石のX線回折パターンを
示す図
【図8】本発明の希土類焼結磁石の代表的な形状を示す
【図9】本発明に用いるスラリー供給装置の一例を示す
要部断面図
【符号の説明】
1 ダイス、2 下パンチ、3 キャビティ、6 スラ
リー供給管、9 供給ヘッド本体、10 スラリー供給
手段、11 配管、12 制御装置、13 タンク、1
5 スラリー供給装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 公穂 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 所 久人 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (56)参考文献 特開 平8−130142(JP,A) 特開 平9−94814(JP,A) 特開 平6−220504(JP,A) 特開 平10−55929(JP,A) 特開 平8−88133(JP,A) 特開 平11−54351(JP,A) 特開 平11−195548(JP,A) 特開 平3−289103(JP,A) 特開 平7−37716(JP,A) 特開 平10−233306(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 41/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラリーを作成し、成形機へ供給し、加
    圧成形し、焼結する工程を有する希土類焼結磁石の製造
    方法において、 スラリーは、希土類焼結磁石用微粉と、鉱物油、合成
    油、植物油の少なくとも1種の油と、非イオン性または
    陰イオン性の界面活性剤を混合して作成し、 成形機のキャビティへのスラリーの供給は、スラリー供
    給管の先端一方のパンチがダイスに押し込まれてな
    るキャビティの底部近傍に挿入し、スラリーを吐出しな
    がら他方へ引き抜いて行い、 成形は、横磁場を印加しながら、一方のパンチを押し込
    んでその一方のパンチ側のスラリーを押圧して該キャビ
    ティに押し込んだ他方のパンチ側から溶媒を排出し、次
    いで他方のパンチを押し込んで他方のパンチ側のスラリ
    ーを押圧して行なうことを特徴とする希土類焼結磁石の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 希土類焼結磁石用原料合金を非酸化性雰
    囲気中で微粉砕した微粉を、室温における動粘度が10
    cSt以下の鉱物油、合成油、植物油の少なくとも1種
    の油中に回収し、スラリーを作成する請求項1に記載の
    希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製造方法で
    ラリーを加圧成形し、焼結して製造される希土類磁石に
    おいて、R14B型金属間化合物(RはYを含む希
    土類元素の少なくとも1種、TはFeまたはFeとC
    o)を主相とし、横磁場により成形した成形体の密度分
    布が4.3〜4.7Mg/m(g/cm)であり、
    磁化方向の寸法が2〜10mm、加圧方向の寸法が10
    〜150mmの寸法範囲にある希土類焼結磁石。
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