JP4560278B2 - 非化学機械研磨用水溶液、研磨剤セット及び半導体装置を製造する製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造において有用な非化学機械研磨用水溶液、研磨剤セット及び半導体装置を製造する製造方法に関する。更に詳しくは、高速ロジックLSI等の0.03μm程度の微細な配線から100μm程度の広い配線までの混載を必要とする半導体装置の製造工程において好適に使用できる非化学機械研磨用水溶液、研磨剤セット及び半導体装置を製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の高密度化に伴い、形成される配線の微細化が進んでいる。
この配線の更なる微細化を達成することができる技術としてダマシン法と称される方法が注目されている。この方法は、絶縁材料等に形成された溝等に配線材料を埋め込んだ後、化学機械研磨により余剰な配線材料を除去することによって所望の配線を形成するものである。この方法においては、研磨工程の歩留まり向上の観点から、効率的な研磨工程を行うことが望まれている。
【0003】
上記溝に埋め込む配線材料として金属銅を用いた場合、公知のスラリーを用いて化学機械研磨を行うと、配線部分が過剰に研磨され、凹状の形状となることがある。このような現象は、「ディッシング」又は「エロージョン」と呼ばれ、製品(半導体装置)の歩留まりを低下させてしまうこととなる。更に、研磨面にスクラッチ等の欠陥を生じることがあり、ディッシング、エロージョンと同様に歩留まりを低下させるおそれがある。
また、研磨後、配線上に砥粒が残る現象、絶縁膜上に銅成分(銅錯体等)が残る現象等が発生することがあり、更に、配線が腐食するというコロージョンの発生から歩留まりに大きく影響することが知られている。
【0004】
上記のようなディッシング、エロージョン等を抑え、平滑性を向上させる目的や、スクラッチ、腐食等の表面欠陥を抑制する等の目的で、各種の組成物が提案されている。
例えば、特許文献1では、研磨剤、水、及び鉄化合物からなる組成物がディッシング抑制に効果があることが開示されている。また、特許文献2では、研磨剤、α−アラニン、過酸化水素、及び水からなる組成物が開示され、ディッシング及びエロージョンの抑制に有効であり、更に平滑性に優れた研磨面を得ている。
更に、特許文献3では、ウェハ表面の平滑性改良のために界面活性剤が有効である旨が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−163141号公報
【特許文献2】
特開平2000−160141号公報
【特許文献3】
特開平10−44047号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属配線上に腐食を発生させず、砥粒残りのない製品の歩留まりを向上させる非化学機械研磨用水溶液、研磨剤セット及び半導体装置を製造する製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
本発明の非化学機械研磨用水溶液は、砥粒を含有せず、電気伝導度が28〜5000μS/cmであって、
有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であり、
化学機械研磨後の研磨面に残留する砥粒及び配線材料の反応物を除去する用途に用いられることを特徴とする。
本発明の研磨剤セットは、上記非化学機械研磨用水溶液と、砥粒を含有する化学機械研磨用水系分散体と、からなることを特徴とする。
本発明の製造方法は、
基板と、該基板の表面に形成された、少なくとも2層からなり、且つ、溝を有する絶縁膜と、該絶縁膜の表面に形成された配線材料を含む金属膜、とを備える被研磨材から半導体装置を製造する製造方法であって、
砥粒を含む化学機械研磨用水系分散体を用いた、上記絶縁膜の表面が露出するまで上記金属膜を研磨する化学機械研磨工程と、
上記化学機械研磨工程の後に、非化学機械研磨用水溶液を用いた非化学機械研磨工程と、を備え、
上記非化学機械研磨用水溶液は、砥粒を含有せず、電気伝導度が28〜5000μS/cmである非化学機械研磨用水溶液であり、有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であり、上記非化学機械研磨用水溶液は、化学機械研磨後の研磨面に残留する砥粒及び配線材料の反応物を除去することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の非化学機械研磨用水溶液は、砥粒を含有せず、電気伝導度が28〜5000μS/cm、好ましくは28〜3000μS/cm、より好ましくは28〜2000μS/cmである。上記電気伝導度が0.5μS/cm未満では、研磨終了後に銅等からなる金属配線が腐食することがあり、一方、5000μS/cmを超えると、金属配線のエッチングが発生することがある。
尚、「砥粒」は、一般に研磨性能を有するものであるが、本非化学機械研磨用水溶液においては、研磨性能の有無にかかわらず固体として存在するものすべてをいう。従って、本発明の非化学機械研磨用水溶液には、固体状の物質は含有しない。
【0009】
本発明の非化学機械研磨用水溶液は、水溶性の無機化合物及び/又は水溶性の有機化合物が、蒸留水、イオン交換水等の水に溶解して得られるものであり、これによって、上記電気伝導度を備えるものである。本発明においては、有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が溶解した水溶液が用いられる。
【0010】
上記有機酸としては、分子内にカルボキシル基を有するカルボン酸、スルホン酸基を有するスルホン酸等が挙げられる。
上記カルボン酸は、モノカルボン酸であってもよいし、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等のポリカルボン酸であってもよい。
モノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、没食子酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、キナルジン酸、ジエチル酢酸、ヘキサン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、キノリン酸等が挙げられる。
また、トリカルボン酸としては、クエン酸等が挙げられる。
更に、ポリアクリル酸を用いることもできる。このポリアクリル酸としては、分子量が1000〜100000であるものが好ましい。
上記カルボン酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
上記スルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
上記有機酸を用いる場合の含有量は、本非化学機械研磨用水溶液全体に対して、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0014】
上記アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ヒドラジン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記アミン塩としては、上記カルボン酸のアミン塩、ヒドロキシルアミン塩等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第4級アンモニウム塩を用いることもでき、特に、下記一般式(1)で表される第4級アルキルアンモニウム塩が好ましい。
[NR4]+[OH]− (1)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。尚、これら4個のRはすべて同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。)
上記一般式(1)で表される化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらのうち、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記アミン、アミン塩あるいは第4級アンモニウム塩を用いる場合の含有量は、本非化学機械研磨用水溶液全体に対して、好ましくは0.0002〜0.1質量%、より好ましくは0.0005〜0.05質量%、更に好ましくは0.001〜0.02質量%である。
【0017】
上記アミドとしては、尿素、ホルムアルデヒド、アセトアミド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸、グリシンアミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
上記アミドを用いる場合の含有量は、本非化学機械研磨用水溶液全体に対して、好ましくは0.0005〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.05質量%、更に好ましくは0.002〜0.02質量%である。
【0019】
上記アルコールは、ヒドロキシル基を有するものであれば、1価アルコールであってもよいし、2価アルコール、3価アルコール等の多価アルコールであってもよい。また、アミノアルコールでもよい。
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール等のアルケノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、オクチレングリコール、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
また、アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
上記アルコールは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記アルコールを用いる場合の含有量は、本非化学機械研磨用水溶液全体に対して、好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.02〜2質量%、更に好ましくは0.05〜1質量%である。
【0023】
上記有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩の各成分を単独であるいは組み合わせて用いる場合には、水溶液の電気伝導度が28〜5000μS/cmの範囲にあるように適宜選択すればよい。
【0024】
本非化学機械研磨用水溶液は、水に溶解するものであれば、他の成分、例えば、アスコルビン酸又はその塩、フッ化水素酸又はその塩、水酸化カリウム等を含有してもよい。尚、鉄、ニッケル、亜鉛等の金属あるいはそのイオンが含有されないことが好ましい。
本非化学機械研磨用水溶液としては、上記のように所望の配合剤を配合したものであることができる。
【0025】
本非化学機械研磨用水溶液のpHは、溶解する成分によって異なり、特に限定されないが、酸性で用いる場合、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜5、更に好ましくは2〜4である。本非化学機械研磨用水溶液のpHが2未満の強酸の場合は、配線(特にそのエッジ部分)に腐食が発生する場合がある。
また、アルカリ性で用いる場合、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜12、更に好ましくは10〜12である。本非化学機械研磨用水溶液のpHが12を超える強アルカリの場合は、スクラッチが発生しやすくなる場合がある。
【0026】
本発明の研磨剤セットは、上記非化学機械研磨用水溶液と、砥粒を含有する化学機械研磨用水系分散体と、からなることを特徴とする。
上記化学機械研磨用水系分散体に含有される砥粒としては特に限定されないが、公知の無機粒子、有機粒子、有機・無機複合粒子等を用いることができる。
無機粒子を構成する無機材料の具体例としては、シリカ、アルミナ、セリア、酸化チタン、酸化クロム、二酸化マンガン、三酸化二マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンド、炭酸バリウム等が挙げられる。これらの材料からなる無機粒子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記無機粒子としては、シリカが好ましい。このシリカは、気相中で塩化ケイ素、塩化アルミニウム、塩化チタン等を、酸素及び水素と反応させるヒュームド法により合成されたヒュームド法シリカ;金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ;精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカ等を用いることができる。
【0027】
有機粒子を構成する有機材料の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン、オレフィン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、スチレン、メチルメタクリレート等と、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等とを共重合させて得られる架橋構造を有する共重合樹脂、更に、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
これらの材料からなる有機粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、乳化分散法、粉砕法等、各種の方法により製造することができる。尚、これらの材料からなる有機粒子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
また、有機・無機複合粒子としては、無機粒子と有機粒子とが、研磨中に容易に分離しない程度に一体化されていればよく、その種類、構成等は特に限定されない。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体粒子の存在下、アルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、重合体粒子の少なくとも表面に、ポリシロキサン等が結合されてなるものを使用することができる。尚、生成する重縮合体は、重合体粒子が有する官能基に直接結合されていてもよいし、シランカップリング剤等を介して結合されていてもよい。
【0029】
上記有機・無機複合粒子としては、重合体粒子等の有機粒子の表面にシリカ、アルミナ等の無機微粒子を付着させたものを用いることもできる。これらは静電気的に保持されていてもよいし、無機微粒子が有するヒドロキシル基等の官能基とシランカップリング剤等により有機粒子に化学的に結合されていてもよい。
上記有機・無機複合粒子としては、符号の異なるゼータ電位を有する有機粒子と無機粒子とを含む水分散体において、これら粒子が静電力により結合されてなるものを使用することもできる。
有機粒子のゼータ電位は、全pH域あるいは低pH域を除く広範な領域に渡って負であることが多いが、カルボキシル基、スルホン酸基等を有する重合体からなる有機粒子とすることによって、より確実に負のゼータ電位を有する有機粒子とすることができる。また、アミノ基等を有する有機粒子とすることにより、特定のpH域において正のゼータ電位を有する有機粒子とすることもできる。
一方、無機粒子のゼータ電位はpH依存性が高く、この電位が0となる等電点を有し、その前後でゼータ電位の符号が逆転する。
従って、特定の有機粒子と無機粒子とを組み合わせ、それらのゼータ電位が逆符号となるpH域で混合することによって、静電力により有機粒子と無機粒子とを一体に複合化することができる。また、混合時、ゼータ電位が同符号であっても、その後、pHを変化させ、ゼータ電位を逆符号とすることによって、有機粒子と無機粒子とを一体とすることもできる。
更に、上記有機・無機複合粒子は、このように静電力により一体に複合化された粒子の存在下、前記のようにアルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、この粒子の少なくとも表面に、更にポリシロキサン等が結合されて複合化されてなるものを用いることもできる。
【0030】
上記化学機械研磨用水系分散体に含有される砥粒は、無機粒子、有機粒子及び有機・無機複合粒子を1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記砥粒の平均粒子径は、好ましくは5〜1000nm、より好ましくは5〜700nm、更に好ましくは10〜500nmである。この平均粒子径が5nm未満では、研磨速度が十分でない場合があり、一方、1000nmを超えると、ディッシング及びエロージョンの抑制が不十分となり、また、砥粒が化学機械研磨用水系分散体中に沈降し、分離し、安定性に劣る傾向がある。尚、上記範囲の平均粒子径を有する砥粒であれば、研磨速度が大きく、ディッシング及びエロージョンが十分に抑制され、且つ粒子の沈降、分離を生ずることのない、安定な化学機械研磨用水系分散体とすることができる。
上記砥粒の平均粒子径は、レーザー散乱回折型測定機あるいは透過型電子顕微鏡等により測定することができる。
【0031】
尚、上記砥粒には、鉄、ニッケル、亜鉛、ナトリウム等の金属あるいはそのイオンが含有されないことが好ましく、これら不純物金属含有量を10ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは5ppm以下、更に3ppm以下、特に1ppm以下に抑えることが好ましい。これによって、研磨処理後の半導体装置に残留せず、歩留まり低下を引き起こす可能性が低くなる。上記不純物金属の含有量は、上記化学機械研磨用水系分散体に対しても同様である。
【0032】
上記化学機械研磨用水系分散体に含有される砥粒の含有量は、水系分散体全体に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.3〜10質量%である。上記砥粒の含有量が多すぎると、この化学機械研磨用水系分散体の安定性が低下する傾向にある。
【0033】
上記化学機械研磨用水系分散体には、分散状態の安定性を更に向上させたり、研磨速度を高めたり、2種以上の被加工膜等、硬度の異なる被研磨材の研磨に用いた場合の研磨速度の差異を調整したりする等の研磨性能を向上させるために、酸、塩基、酸化剤、多価金属のイオン、界面活性剤等の添加剤を配合することができる。
【0034】
例えば、酸を含有させることによって、水系分散体を安定させ、選択性を向上させることができる。この酸としては特に限定されず、有機酸、無機酸のいずれをも用いることができる。
有機酸としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、キナルジン酸及びキノリン酸等が挙げられる。これらの有機酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、1分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸が好ましい。好ましい有機酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、キナルジン酸及びキノリン酸等である。
【0035】
無機酸としては硝酸、硫酸及びリン酸等が挙げられる。これらの無機酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記化学機械研磨用水系分散体の安定性を高めるためには、有機酸が特に好ましい。尚、この有機酸は研磨速度を高める作用をも併せ有する。
【0036】
上記酸は、水系分散体全体に対して、その含有量が10質量%以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.01〜8質量%である。上記酸の含有量が上記範囲であれば、砥粒の分散性に優れ、十分に安定な水系分散体とすることができ、また、過度のエッチング等も抑えることができる。
【0037】
また、塩基を含有させ、使用する砥粒の構成材料によってpHを調整し、砥粒の分散性、研磨速度及び選択性をより向上させることができる。この塩基としては特に限定されず、有機塩基、無機塩基のいずれをも用いることができる。
有機塩基としては、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の窒素含有有機化合物等が挙げられる。
また、無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。これら有機塩基及び無機塩基は、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、更に、有機塩基と無機塩基とを併用することもできる。
【0038】
上記化学機械研磨用水系分散体のpHは、被研磨材を構成する材料の電気化学的性質、砥粒の分散性、安定性、並びに研磨速度を勘案しつつ、砥粒が安定して存在し得る範囲内で適宜選択すればよい。
【0039】
上記酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸塩、ヘテロポリ酸等が挙げられる。
また、上記多価金属のイオンとしては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、セリウム等が挙げられる。
【0040】
上記化学機械研磨用水系分散体の媒体としては、水、水及びアルコール(メタノール等)の混合媒体、水及び更に他の成分の混合媒体等が挙げられる。これらのうち、水のみを用いることが特に好ましい。
【0041】
本発明の製造方法は、基板と、該基板の表面に形成された、少なくとも2層からなり、且つ、溝を有する絶縁膜と、該絶縁膜の表面に形成された配線材料を含む金属膜、とを備える被研磨材から半導体装置を製造する製造方法であって、
砥粒を含む化学機械研磨用水系分散体を用いた、上記絶縁膜の表面が露出するまで上記金属膜を研磨する化学機械研磨工程と、
上記化学機械研磨工程の後に、非化学機械研磨用水溶液を用いた非化学機械研磨工程と、を備え、
上記非化学機械研磨用水溶液は、砥粒を含有せず、電気伝導度が0.5〜5000μS/cmである非化学機械研磨用水溶液であり、有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であり、上記非化学機械研磨用水溶液は、化学機械研磨後の研磨面に残留する砥粒及び配線材料の反応物を除去する用途に用いられることを特徴とする。
化学機械研磨用水系分散体及び非化学機械研磨用水溶液は、上記で説明したものをそのまま用いることができる。
【0042】
本発明の製造方法において、上記非化学機械研磨用水溶液及び上記化学機械研磨用水系分散体は、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO−112」、「EPO−222」等や、ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」等や、アプライドマテリアル社製、品名「Mirra」等や、ラム・リサーチ社製、品名「Teres」等や、Speed Fam−IPEC社製、型式「AVANTI 472」等の装置とともに用いることができる。これらの研磨装置は、通常、図1に示すような構成で被研磨材を研磨する。即ち、軸回転する定盤2の上に、研磨パッド1を固定する一方、被研磨材4は、加圧ヘッド3の一端に取り付けられる。加圧ヘッド3は、被研磨材4を研磨パッド1の表面に押圧しながら自身が回転及び移動することにより、被研磨材4を研磨パッド1の表面に摺動させることができる。この摺動を行いながら、研磨パッド1の表面に非化学機械研磨用水溶液あるいは砥粒が分散された化学機械研磨用水系分散体を上方(スラリー供給部5等)から流下させて研磨が行われる。
【0043】
本発明の製造方法に用いられる被研磨材としては、研磨によって金属配線が形成されるもの、すなわち、基板と、この基板の表面に形成された、少なくとも2層からなり、且つ、溝を有する絶縁膜と、この絶縁膜の表面に形成された金属膜と、を備えるものである。このような被研磨材の具体例としては、シリコン等からなる基板に、酸化シリコン(SiO2)等からなる第1絶縁膜、溝を有する第2絶縁膜、バリアメタル膜、金属膜(純銅膜、純タングステン膜、純アルミニウム膜、合金膜等)が順次形成された複合基板等が挙げられる。
上記第1絶縁膜及び上記第2絶縁膜を構成する絶縁材料としては、酸化シリコン(SiO2)以外に、SiO2中に少量のホウ素及びリンを添加したホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、SiO2にフッ素をドープしたFSG(Fluorine doped silicate glass)と呼ばれる絶縁膜、低誘電率の酸化シリコン系絶縁膜等が挙げられる。
上記酸化シリコンとしては、例えば、熱酸化膜、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱CVD法により得られる酸化シリコン膜等が挙げられる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成することができる。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により得ることができる。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により得ることができる。
また、上記FSGと呼ばれる絶縁膜は、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
更に、上記低誘電率の酸化シリコン系絶縁膜は、原料を回転塗布法等によって基体上に塗布した後、酸化性雰囲気下で加熱して得ることができ、例えば、トリエトキシシランを原料とするHSQ膜(Hydrogen Silsesquioxane膜)や、テトラエトキシシランに加え、メチルトリメトキシシランを原料の一部として含むMSQ膜(Methyl Silsesquioxane膜)等が挙げられる。
また、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリレンエーテル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー等の有機ポリマーを原料とする低誘電率の絶縁膜等が挙げられる。
【0044】
上記バリアメタル膜の構成材料としては、タンタル、チタン、タングステン等の金属あるいはそれらの酸化物及び窒化物等が挙げられる。尚、バリアメタル膜は、タンタル、チタン等のうちの1種のみにより形成されることが多いが、タンタルと窒化タンタル等が併用されることもある。
【0045】
上記複合基板を被研磨材とした場合、余剰の積層部を除去し、配線部を平坦化して配線部を形成する(ダマシン法による配線形成)ために、本発明の製造方法によって行うことができ、これによって、一段と平坦性に優れた配線基板を得ることができる。また、研磨面に、砥粒残りや、金属膜を構成する金属と、化学機械研磨用水系分散体の成分とから生成する金属錯体等による汚れ、更には腐食を発生させることもない。
【0046】
本発明において、被研磨材が図2に示すような構造を有する複合基板である場合、化学機械研磨工程、非化学機械研磨工程の順で行うことが好ましい。
図2に示す被研磨材4は、シリコン等からなる基板41と、このシリコン基板41の上に形成されたシリコン酸化物等からなる絶縁膜42と、この絶縁膜42の上に形成されたシリコン窒化物等からなる絶縁膜43と、この絶縁膜43の上に溝を設けるように形成されたPETEOS(テトラエトキシシランを原料としてCVD法で合成された材料)等からなる絶縁膜44と、この絶縁膜44及び上記溝を覆うように形成されたタンタル等からなるバリアメタル膜45と、更に、上記溝を充填し且つ上記バリアメタル膜45の上に形成された金属銅等の配線材料からなる膜46(表面には溝が形成されており、凹凸面となっている。)と、を備える。
この場合、例えば、以下のような研磨が行われる。最初の工程では、研磨パッド上に砥粒が分散された化学機械研磨用水系分散体のみを流しながら、膜46、バリアメタル膜45の順に研磨を行い、所定の面、例えば、絶縁膜44の表面が露出するまで研磨する(図4参照)。その後、次の工程において、非化学機械研磨用水溶液のみを流しながら研磨を行う。上記第1及び第2工程における研磨パッドは同じものを続けて用いてもよいし、被研磨材を構成する材料あるいは研磨状況を考慮し、異なる研磨パッドを用いてもよい。
尚、上記被研磨材4の膜46のみを研磨する場合には、他の化学機械研磨用水系分散体を用い、バリアメタル膜45が露出したところで、本発明の製造方法を実施してもよい。
【0047】
上記化学機械研磨工程における研磨速度は特に限定されないが、金属タンタルあるいは窒化タンタルに対する研磨速度換算で200〜2000Å/分であることが好ましく、更に250〜1800Å/分、特に300〜1500Å/分であることがより好ましい。この範囲の研磨速度とすることによって、初期の研磨から平坦性を維持しながら研磨を続けることができる。
【0048】
また、上記非化学機械研磨工程においては、研磨速度は極めて小さいものであると考えられ、研磨面に残留する砥粒及び配線材料との反応物を十分に除去することができる。
【0049】
上記2つの研磨工程の後、被研磨材の表面に残留する砥粒はほぼ除去されるが、更に以下の洗浄工程を備えてもよい。例えば、本非化学機械研磨用水溶液によって洗浄を行うことができる。また、研磨面に吸着した不純物金属種を洗浄するために、シュウ酸水溶液、クエン酸水溶液、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)水溶液等を用いることができる。
【0050】
本発明は、DRAMや高速ロジックLSIに搭載されるダマシン配線の形成に極めて有効に用いられ、その工業的価値は絶大である。
【0051】
【実施例】
以下に、実験例(実験例1−11、16は実施例であり、実験例12−15、17は参考例である。)を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、実験例及び比較例において、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
【0052】
[1]砥粒を含有する化学機械研磨用水系分散体の調製
(1)ヒュームド法シリカ粒子を含む水分散体の調製
ヒュームド法シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#90」)2000部を、イオン交換水6700部中、超音波分散機によって分散させ、その後、孔径5μmのフィルタによって濾過し、ヒュームド法シリカを含有する水分散体を調製した。
【0053】
(2)コロイダルシリカを含む水分散体の調製
フラスコに、25%濃度のアンモニア水70部、イオン交換水40部、エタノール175部及びテトラエトキシシラン21部を投入し、180rpmで攪拌しながら60℃に昇温し、この温度のまま2時間攪拌を継続した。その後、冷却し、平均粒子径が97nmのコロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。次いで、エバポレータを用い、この分散体にイオン交換水を添加しながら80℃でアルコール分を除去する操作を数回繰り返し、分散体中のアルコール分を除き、平均粒子径が97nmのコロイダルシリカを8%含む水分散体を調製した。
【0054】
(3)バリアメタル用化学機械研磨用水系分散体の調製
上記(1)及び(2)において調製された各水分散体の所定量を、それぞれポリエチレン製の瓶に入れ、これに、表1に記載の添加剤を加えて、十分に攪拌し、各成分が表1に記載の濃度となるように調製した。その後、孔径5μmのフィルタで濾過し、各バリアメタル用化学機械研磨用水系分散体を得た。
【0055】
[2]非化学機械研磨用水溶液の調製
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、炭酸ガス、ポリアクリル酸アンモニウム(PAA−NH4)、過酸化水素、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム(DBS−NH4)、没食子酸及びベンゾトリアゾール(BTA)をそれぞれ、イオン交換水に溶解させ、水酸化カリウム水溶液又はアンモニア水溶液によりpH及び上記成分の濃度が表1に記載の値となるように調整した。その後、孔径5μmのフィルタで濾過し、各非化学機械研磨用水溶液を得た。得られた各水溶液の電気伝導度及びpHは表1のとおりである。
【0056】
[3]銅配線基板の研磨
実験例1
まず、上記で調製したバリアメタル用水系分散体の金属タンタルに対する研磨速度を調べた。金属タンタルの均一膜(凹凸のない膜)を被研磨材として、化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に備えられた研磨パッド(Rodel(米国)社製、商品名「IC1000−050−(603)−(P)−S400J」)と、上記で調製した表1に記載のバリアメタル用化学機械研磨用水系分散体と、を用い、下記条件により研磨を行い、研磨速度を測定し、450Å/分を得た。
〔研磨条件〕
キャリア荷重 ; 300g/cm2
キャリア回転数 ; 80rpm
定盤回転数 ; 100rpm
水系分散体供給量 ; 200ミリリットル/分
研磨時間 ; 3分。
【0057】
次に、被研磨材として、シリコン基板と、このシリコン基板上に形成された、膜厚5500ÅのSiO2膜と、このSiO2膜上に形成された、膜厚1000ÅのSi3N4膜と、このSi3N4膜上に幅3500Åの溝を設けるように形成された膜厚7000ÅのPETEOS膜と、このPETEOS膜及び上記溝を覆うように形成された膜厚250Åのタンタル膜(バリアメタル膜)と、更に、上記溝を充填し且つ上記タンタル膜(バリアメタル膜)上に形成された、膜厚15000Åの銅膜と、を備えるウェハ(セマテック社製、商品名「テストウェハ#831」、図2参照)を準備した。研磨は、初めに、銅用化学機械研磨用水系分散体(ジェイエスアール社製、商品名「CMS7303/7304」)を使用して上記タンタル膜(バリアメタル膜)が露出するまで銅膜を研磨した。その後、上記バリアメタル用化学機械研磨用水系分散体を用いて上記と同じ条件により研磨を行い、PETEOS膜が露出したところで終了した。
【0058】
その後、電気伝導度28μS/cm、pH9.7の0.001%TMAH溶液を用い、研磨時間を30秒として上記と同様にして研磨を行った。
得られた銅配線基板について、配線部となる銅膜表面の腐食及び砥粒残りを電子顕微鏡で観察面積;10000μm2として観察した。尚、被研磨材としての上記「テストウェハ#831」は、1辺が15.4mmの正方形の1つの単位の中に配線パターンを備え、各種形状の配線パターンが繰り返してなるウェハである。電子顕微鏡による観察は、正方形の4つの角部の縦2μm及び横2.5μmの面積の部分(図5及び図6に示すパターン)について行った。図5は、配線幅0.35μmの銅配線の折り返し部分を含むパターンの一部を示し、図6は、角がとれた120μm×120μmの略正方形のパターンの一部を示す。
上記2種のパターンの合計8箇所について、それぞれ5段階で総合評価した。
評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
〔腐食〕
5;腐食なし
4;微量腐食
3;腐食一部あり
2;腐食多い
1;全面的に腐食あり。
〔砥粒残り〕
5;砥粒残りなし
4;微量砥粒残り
3;砥粒残り一部あり
2;砥粒残り多量
1;全面的に砥粒残り。
【0059】
上記化学機械研磨用水系分散体及び上記非化学機械研磨用水溶液を用いた研磨は、以下のように進行するものと推定される。即ち、まず、銅用化学機械研磨用水系分散体を用いた研磨により銅膜が除去され、銅の充填部とタンタル膜(バリアメタル膜)表面が露出する(図3)。その後、バリアメタル用化学機械研磨用水系分散体による研磨によってタンタル膜(バリアメタル膜)が除去され、PETEOS膜が露出する(図4)。次いで、上記非化学機械研磨用水溶液を用い、PETEOS膜表面及び配線部となる銅膜表面の砥粒残りや、配線部となる銅膜表面の汚れが除去される。
【0060】
実験例2〜17
表1に示すバリアメタル用化学機械研磨用水系分散体及び非化学機械研磨用水溶液を用い、上記実験例1と同様にしてウェハの研磨を行った。評価結果を表1に併記した。
【0061】
比較例1
表1に示すバリアメタル用化学機械研磨用水系分散体を用いた化学機械研磨工程、及び、電気伝導度が0.055μS/cmであるイオン交換水を用いた非化学機械研磨工程を順次行った以外は、上記実験例と同じ条件でウェハの研磨を行った。評価結果を表1に併記した。
【0062】
比較例2〜5
表1に示すバリアメタル用化学機械研磨用水系分散体及び非化学機械研磨用水溶液を用い、上記実験例1と同様にしてウェハの研磨を行った。評価結果を表1に併記した。
【0063】
比較例6
表1に示すバリアメタル用化学機械研磨用水系分散体を用いた化学機械研磨工程のみとした以外は、上記実験例と同じ条件でウェハの研磨を行った。評価結果を表1に併記した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1より、比較例6は、非化学機械研磨工程を行わなかった例であり、配線の腐食はなかったものの、研磨面全面にわたって砥粒が残っていた。また、比較例1、比較例2及び比較例4は、非化学機械研磨工程において、本発明の範囲外の小さい電気伝導度を有する非化学機械研磨用水溶液(水、TMAH溶液、クエン酸溶液)を用いた例であり、配線の一部に腐食が見られ、多量の砥粒が観察された。
比較例3は、非化学機械研磨工程において、本発明の範囲外の高い電気伝導度を有する非化学機械研磨用水溶液(pH12.2のTMAH溶液)を用いた例であり、砥粒残りは全くなかったが、配線の全面に腐食が発生していた。また、比較例5も、非化学機械研磨工程において、本発明の範囲外の高い電気伝導度を有する非化学機械研磨用水溶液(pH1.9のクエン酸溶液)を用いた例であり、砥粒残りは微量であったが、配線の全面に腐食が発生していた。
一方、実験例1〜実験例17は、非化学機械研磨水溶液の電気伝導度が0.5〜5000μS/cmであり、溶液が酸性であってもアルカリ性であっても、腐食の程度及び砥粒残りにおいて優れていた。
【0066】
【発明の効果】
本発明の非化学機械研磨用水溶液によれば、金属成分を含む被研磨材を研磨した後において、腐食を発生させず、砥粒残りのない研磨面を形成することができる。
また、上記非化学機械研磨用水溶液が、有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であるので、特に腐食を発生させず、砥粒残りのない研磨面を形成することができる。
本発明の研磨剤セットによれば、化学機械研磨用水系分散体を用いて、金属成分を含む被研磨材の効率的な研磨を行い、非化学機械研磨用水溶液を用いて、腐食を発生させず、砥粒残りのない研磨面を形成することができる。
【0067】
本発明の製造方法によれば、ダマシン配線を有する半導体基板等を製造するために、化学機械研磨工程によって、被研磨材の研磨面の平坦化を、十分な研磨速度で、且つ効率よく行うことができ、非化学機械研磨工程によってその平坦性を維持しながら、金属配線に腐食を発生させず、砥粒残りのない研磨面を形成することができる。特に、非化学機械研磨工程においては、用いる非化学機械研磨用水溶液のpHが酸性を示してもアルカリ性を示しても、上記効果を発揮する。また、上記化学機械研磨用水系分散体に、更に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選ばれる少なくとも1種を含有する場合には、平坦性に優れた研磨を行うことができる。
そして、被研磨材を、基板と、この基板の表面に形成された、少なくとも2層からなり、且つ、溝を有する絶縁膜と、この絶縁膜の表面に形成された金属膜と、を備えるものとした場合には、研磨面に、砥粒残りや、金属膜を構成する金属と、化学機械研磨用水系分散体の成分とから生成する金属錯体等による汚れ、更には腐食を発生させることなく、研磨面の平坦化を、十分な研磨速度で、且つ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 研磨形態を示す説明模式図である。
【図2】 実験例において用いた被研磨材(ウェハ)の説明断面図である。
【図3】 実験例において、銅用化学機械研磨用水系分散体を用いて研磨され、バリアメタル膜が露出した様子を示す説明断面図である。
【図4】 実験例において、バリアメタル用化学機械研磨用水系分散体を用いて、バリアメタル膜が更に研磨された様子を示す説明断面図である。
【図5】 実験例において、研磨評価を行ったウェハのパターンの一部を示す説明平面図である。
【図6】 実験例において、研磨評価を行ったウェハの他のパターンの一部を示す説明平面図である。
【符号の説明】
1;研磨パッド、2;定盤、3;加圧ヘッド、4;被研磨材、41;シリコン基板、42;SiO2膜、43;Si3N4膜、44;PETEOS膜、45;バリアメタル膜、46;銅膜、5;スラリー供給部。
Claims (5)
- 砥粒を含有せず、電気伝導度が28〜5000μS/cmである非化学機械研磨用水溶液であって、
有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であり、
化学機械研磨後の研磨面に残留する砥粒及び配線材料の反応物を除去する用途に用いられることを特徴とする非化学機械研磨用水溶液。 - 上記水溶液が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、及び没食子酸から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液である請求項1に記載の非化学機械研磨用水溶液。
- 請求項1又は2に記載の非化学機械研磨用水溶液と、砥粒を含有する化学機械研磨用水系分散体と、からなることを特徴とする研磨剤セット。
- 基板と、該基板の表面に形成された、少なくとも2層からなり、且つ、溝を有する絶縁膜と、該絶縁膜の表面に形成された配線材料を含む金属膜、とを備える被研磨材から半導体装置を製造する製造方法であって、
砥粒を含む化学機械研磨用水系分散体を用いた、上記絶縁膜の表面が露出するまで上記金属膜を研磨する化学機械研磨工程と、
上記化学機械研磨工程の後に、非化学機械研磨用水溶液を用いた非化学機械研磨工程と、を備え、
上記非化学機械研磨用水溶液は、砥粒を含有せず、電気伝導度が28〜5000μS/cmである非化学機械研磨用水溶液であり、有機酸、アミン、アミン塩、アミド、アルコール、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種が水に溶解した水溶液であり、
上記非化学機械研磨用水溶液は、化学機械研磨後の研磨面に残留する砥粒及び配線材料の反応物を除去することを特徴とする半導体装置を製造する製造方法。 - 上記化学機械研磨用水系分散体に、更に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、キナルジン酸及びキノリン酸から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項4に記載の半導体装置を製造する製造方法。
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