JP4559656B2 - 搬送装置および加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物の両側部を支持してこの被処理物を搬送する搬送装置およびそれを備えた加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の搬送装置としては、例えば図8に示す構成が知られている。
【0003】
この図8に示す搬送装置1は、被処理物としてのプリント基板Pの下面両側を、一対の搬送体としての搬送チェーン2a,2bの支持部としての突起体3a,3bでそれぞれ支えて、このプリント基板Pを搬送する。また、一対の搬送チェーン2a,2bは、互いに平行に配設された一対のレール体4a,4bによりそれぞれ支持されてガイドされている。
【0004】
さらに、これら一対の搬送チェーン2a,2b間における幅方向の中間域の例えば中央には、これら一対の搬送チェーン2a,2bにて搬送するプリント基板Pの反りを防止する反り防止チェーン5が取り付けられている。この反り防止チェーン5は、一対の搬送チェーン2a,2bにより搬送されるプリント基板Pの下面略中央域を、このプリント基板Pの搬送方向に沿って支持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この搬送装置1を、搬送中のプリント基板Pの下面を遠赤外線や熱風などの加熱媒体で加熱する図示しない加熱装置に用いた場合には、反り防止チェーン5がプリント基板Pへの加熱媒体の到達を阻害してしまう。このため、この反り防止チェーン5により支持されるプリント基板Pの一部の温度が上昇しにくい。
【0006】
そして、この加熱装置で加熱するプリント基板Pに、特に環境問題に即して普及しつつある無鉛はんだを使用した場合には、一般的な無鉛はんだの融点が錫鉛共晶はんだの融点と比べ高いことにより、プリント基板P自体の耐熱温度との差が小さくなってしまう。このため、このプリント基板Pを、このプリント基板Pの耐熱温度以下、かつ無鉛はんだの融点以上の温度に加熱するためには、このプリント基板Pの加熱温度をより高精度に制御しなければならない。
【0007】
この場合、錫鉛共晶はんだに比べプリント基板Pをより高温に加熱しなければならないので、このプリント基板Pの反りが大きくなり、反り防止チェーン5がさらに必要となることが多いが、この反り防止チェーン5を多く用いることにより、下面からの加熱媒体の到達が反り防止チェーン5により阻害されて、プリント基板Pの加熱効率が低下するという問題を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被処理物の加熱効率を向上させつつ、この被処理物の反りを防止できる搬送装置およびそれを備えた加熱装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の搬送装置は、被処理物の両側部を支持する支持部を有し、この被処理物を搬送する一対の搬送体と、これら一対の搬送体間でこれら一対の搬送体による前記被処理物の搬送方向に沿って移動する移動部、およびこの移動部に設けられこの移動部の移動時に前記被処理物の下面を支持し前記一対の搬送体による前記被処理物の搬送面に直交しかつ前記搬送方向に平行な面方向を有する薄板状の支持片を備えた支持体と、前記一対の搬送体間における幅方向に向けて前記支持体を移動させる幅方向移動調整機構とを具備し、前記一対の搬送体それぞれの前記支持部は、互いに相対する方向へ突出した長さ寸法が異なる対をなす突起体であり、前記支持片の上端の高さ位置は、前記突起体の上端の高さ位置に等しくし、前記幅方向移動調整機構は、互いに相対する方向へ突出した前記突起体のうち長さ寸法が短い突起体に前記支持片を幅寄せさせる機能を備えたものである。
【0010】
そして、この構成では、被処理物の両側部を一対の搬送体の支持部にて支持させて、この被処理物を一対の搬送体で搬送する。このとき、一対の搬送体間でこれら一対の搬送体による被処理物の搬送方向に沿って支持体の移動部が移動する。すると、この支持体の移動部に設けた支持片が被処理物の下面を支持する。この結果、一対の搬送体により搬送される被処理物の搬送時に生じる反りが支持体の支持片により防止される。よって、この支持片を、一対の搬送体による被処理物の搬送面に直交しかつこれら一対の搬送体による被処理物の搬送方向に平行な面方向を有する薄板状にしたことにより、一対の搬送体により搬送される被処理物を支持する面積が少なくなる。この分、被処理物が加熱媒体に曝されやすくなり、一対の搬送体による搬送時における被処理物の加熱効率を向上させつつ、この被処理物の反りが防止可能となる。
【0011】
また、一対の搬送体間における幅方向に向けて幅方向移動調整機構により支持体を進退可能に移動させることが可能となる。このため、幅寸法の異なる被処理物を搬送する際に、この被処理物の幅方向における所望する位置を支持するように支持体を移動できる。よって、所定の寸法より幅寸法が小さい被処理物に生じる搬送時の反りがより確実に防止可能となるとともに、被処理物の形状などの変更に応じた微調整が可能となる。
【0012】
さらに、一対の搬送体それぞれの支持部を、互いに相対する方向へ突出した長さ寸法が異なる対をなす突起体とし、この突起体の上端の高さ位置を、支持体の支持片の上端の高さ位置に等しくしたので、一対の搬送体にて搬送する被搬送物を支持体の支持片にて支持する必要がない場合に、この支持体の支持片を、長さ寸法が短い突起体に幅寄せさせることにより、この短い突起体と支持体の支持片とにより、十分な支持幅が確保されるとともに、上記幅寄せにより、支持体による被処理物の反り防止が不要でも、この支持体を下方へと待避させる必要がなくなり、支持体の待避のための複雑な機構が不要となる。
【0013】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置における支持片は、被処理物の幅方向における任意の位置に当接してこの被処理物を支持しこの被処理物の搬送時に生じる反りを防止する細長板状の防止片本体と、この防止片本体より長さ寸法が短い防止片補強体とを備えているものである。
【0014】
そして、防止片補強体により、細長板状の防止片本体の面方向へと向かう弾性変形を防止可能となる。
【0015】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、一対の搬送体の一方の突起体の長さ寸法は、これら一対の搬送体の他方の突起体の長さ寸法および前記支持体の前記支持片の厚さ寸法の和と略等しくしたものである。
【0016】
そして、この構成では、一対の搬送体の一方の突起体の長さ寸法を、この一対の搬送体の他方の突起体の長さ寸法および支持体の支持片の厚さ寸法の和と略等しくしたので、これら一対の搬送体の他方の突起体に支持片を幅寄せすれば、これら一対の搬送体の一方の突起体による被処理物の支持幅と、これら一対の搬送体の他方の突起体および支持体の支持片による被処理物の支持幅とが略等しくなる。よって、支持体による被処理物の反り防止が不要でも、この支持体を下方に向けて待避させる必要がなくなり、支持体の待避のための複雑な機構が不要となる。
【0017】
請求項4記載の加熱装置は、内部に搬送された被処理物を加熱する加熱炉と、この加熱炉内にて前記被処理物を搬送する請求項1ないし3いずれか記載の搬送装置とを具備しているものである。
【0018】
そして、この構成では、請求項1ないし3いずれか記載の搬送装置により被処理物を加熱炉内にて搬送する際に、この搬送装置により移動する支持体の支持片が被処理物の下面を支持する。この結果、一対の搬送体による被処理物の搬送中におけるこの被処理物に生じる反りが支持片により防止される。よって、この支持片を、一対の搬送体による被処理物の搬送面に直交しかつこれら一対の搬送体による被処理物の搬送方向に平行な面方向を有する薄板状にすることにより、一対の搬送体による搬送中の被処理物の支持面積が少なくなる。この分、被処理物が加熱炉内において加熱媒体に曝されやすくなり、一対の搬送体による搬送時における被処理物の加熱効率を向上させつつ、この被処理物の反りが防止可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の搬送装置の一実施の形態の構成を図1ないし図7を参照して説明する。
【0020】
図1ないし図7において、11は搬送装置で、この搬送装置11は、例えばこの搬送装置11にて搬送する被処理物としてのワークであるプリント基板Sを加熱するリフロー装置や硬化炉装置などの加熱装置12に通して配設されている。このプリント基板Sは、電子部品を搭載した面実装型である。また、加熱装置12は、図7に示すように、内部を通過するプリント基板Sを、遠赤外線または熱風などの加熱媒体により加熱する炉体としての加熱炉13を備えている。
【0021】
この加熱炉13内には、酸化防止用の不活性ガス、例えば窒素ガスが注入されて不活性雰囲気が形成されており、電子部品の金属面や、はんだ付け面の酸化によるはんだ付け不良が防止される。
【0022】
さらに、この加熱炉13内には、搬送装置11にて搬送されるプリント基板Sの上面および下面それぞれを加熱媒体にて加熱する加熱手段としてのヒータユニット14が配設されている。これらヒータユニット14は、搬送装置11の搬送方向における上方および下方それぞれに水平方向に沿って並設されている。
【0023】
また、搬送装置11は、プリント基板Sが加熱炉13内を通過するように設置されている。そして、この搬送装置11は、図1に示すように、プリント基板Sを搬送する一対の搬送体としてのコンベアである搬送チェーン21a,21bを備えている。これら一対の搬送チェーン21a,21bは、互いに平行に並設されている。また、これら一対の搬送チェーン21a,21b個々は、無端状に形成されている。さらに、これら一対の搬送チェーン21a,21bの往路面は、水平に配設されている。
【0024】
そして、これら一対の搬送チェーン21a,21bそれぞれの互いに相対する側には、これら一対の搬送チェーン21a,21bでプリント基板Sを搬送する際に、このプリント基板Sの両側部を支持してガイドする複数の支持部としての突起体である対をなす搬送ピン22a,22bが突出している。これら複数の搬送ピン22a,22bは、各搬送チェーン21a,21bのリンクプレート23a,23bを屈曲可能に連結するチェーンピン24a,24bを延長してそれぞれ形成されている。
【0025】
また、これら搬送ピン22a,22bは、長さ寸法が異なる。すなわち、一方の搬送チェーン21aの搬送ピン22aの長さ寸法は2.5mmで、他方の搬送チェーン21bの搬送ピン22bの長さ寸法は4.0mmである。また、これら搬送ピン22a,22bそれぞれは、プリント基板Sの下面両側縁を水平方向に沿って保持する。
【0026】
そして、一方の搬送チェーン21aは、図1および図4に示すように、固定された固定レール25にて摺動可能に支持およびガイドされている。また、他方の搬送チェーン21bは、これら一対の搬送チェーン21a,21b間における幅方向に向けて進退可能に移動する可動レール26にて摺動可能に支持およびガイドされている。
【0027】
さらに、一対の搬送チェーン21a,21b間には、これら一対の搬送チェーン21a,21bにて搬送されるプリント基板Sの搬送時に生じる反りを防止する支持体としての反り防止手段である反り防止チェーン31がこれら一対の搬送チェーン21a,21bに沿って平行に設置されている。
【0028】
この反り防止チェーン31は、図2に示すように、一対の搬送チェーン21a,21bと同期して、これら一対の搬送チェーン21a,21bによるプリント基板Sの搬送方向に沿って移動する移動部としての駆動部であるチェーン部32を有している。このチェーン部32は、対をなすチェーン体33a,33bにより形成されており、これらチェーン体33a,33bそれぞれは、複数のリンクプレート34a,34b間それぞれをチェーンピン35で屈曲可能に無端状に連結して形成されている。
【0029】
さらに、図3に示すように、反り防止チェーン31のチェーン体33a,33b間に位置するリンクプレート34a,34b間には、この反り防止チェーン31の駆動方向に対して垂直に外方に向かう長手方向を有する細長矩形薄板状の支持片としての反り防止片36が取り付けられている。この反り防止片36は、チェーンピン35に挿通されてリンクプレート34a,34b間に位置している。この反り防止片36は、一対の搬送チェーン21a,21bにてプリント基板Sを搬送する際に、このプリント基板Sの幅方向における任意の位置に当接してこのプリント基板Sを支持し、このプリント基板Sの搬送時に生じる反りを防止する細長板状の防止片本体37と、この防止片本体37より長さ寸法が短い細長板状の防止片補強体38とを備えている。この防止片補強体38は、防止片本体37の面方向へと向かう弾性変形などを防止する。
【0030】
また、これら防止片本体37および防止片補強体38それぞれは、一対の搬送チェーン21a,21bによる搬送面に直交し、かつこれら一対の搬送チェーン21a,21bによる搬送方向に平行な面方向を有している。そして、防止片本体37の先端には、この防止片本体37における幅方向に向けてこの防止片本体37の先端縁を円弧状に形成した当接部39が設けられている。この当接部39は、一対の搬送チェーン21a,21bにてプリント基板Sを搬送する際に、このプリント基板Sの下面の幅方向における任意の位置に当接する。
【0031】
さらに、防止片本体37の先端、すなわち上端の高さ位置は、一対の搬送チェーン21a,21bの搬送ピン22a,22bの上端の高さ位置と等しい。さらに、この防止片本体37は、0.75mmの厚さ寸法を有している。この結果、可動レール26に保持された搬送チェーン21bの搬送ピン22bの長さ寸法は、固定レール25に保持された搬送チェーン21aの搬送ピン22aの長さ寸法と、反り防止片36の防止片本体37の厚さ寸法との和と略等しい。
【0032】
また、反り防止チェーン31は、図7に示すように、搬送終端に位置し図示しないモータにより一対の搬送チェーン21a,21bと同期して回転され、回転により反り防止チェーン31を回行させる終端スプロケット41と、搬送始端に位置する回転自在な始端スプロケット42と、これら終端スプロケット41および始端スプロケット42の下方に位置する回転自在な回転スプロケット43,44それぞれに回行可能に掛け渡されている。
【0033】
ここで、終端スプロケット41は、反り防止チェーン31の各チェーン体33a,33bにおけるリンクプレート34a,34b間それぞれに嵌合させるため、外周面に図示しない2列の歯部が周方向に等間隔に離間されて設けられている。さらに、各回転スプロケット43,44も同様に、図6に示すように、軸体45の外周面に2列の歯部46,47が周方向に沿って等間隔に離間されており、この軸体45の軸方向における両端に、これらの各歯部46,47からの反り防止チェーン31の離脱を防止する円盤状のカバー片48,49がそれぞれ同心状に取り付けられている。
【0034】
さらに、反り防止チェーン31のチェーン体33a,33bは、図2に示すように、一対の搬送チェーン21a,21bによる搬送面において、これらチェーン体33a,33bを移動方向にガイドするガイドレール51内に摺動可能に保持されている。このガイドレール51は、反り防止チェーン31のチェーン体33a,33bの下面を支持する断面略矩形状の基部52を備えている。そして、この基部52の上面には、反り防止チェーン31の各チェーン体33a,33bのリンクプレート34a,34b間の下面が摺動可能に嵌合し、これらリンクプレート34a,34b間のチェーンピン35が摺動可能に載置する一対の嵌合凸部53a,53bが等間隔に離間されて搬送方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0035】
また、このガイドレール51の基部52の幅方向における両側には、この基部52の嵌合凸部53a,53bに摺動可能に嵌合させた反り防止チェーン31のチェーン体33a,33bのリンクプレート34a,34b間のチェーンピン35の上面に摺動可能に当接して、この反り防止チェーン31の嵌合凸部53a,53bからの離脱を防止する細長略断面凹状の保持片54a,54bがそれぞれ取り付けられている。
【0036】
そして、ガイドレール51には、図5に示すように、このガイドレール51を一対の搬送チェーン21a,21bにおける幅方向に向けて、これら一対の搬送チェーン21a,21bの搬送方向に沿って移動させることにより、反り防止チェーン31を幅方向へと搬送方向に沿って移動させる幅方向移動調整機構としての位置決め機構61が取り付けられている。
【0037】
この位置決め機構61は、複数、例えば3本のねじ体62,63,64を備えている。これらねじ体62,63,64は、細長円柱状の外周面にねじ溝が螺刻されて形成されている。また、これらねじ体62,63,64は、ガイドレール51の搬送始端近傍と、搬送始端近傍と、これら搬送始端および搬送終端間とにおいて、このガイドレール51に直角に摺動可能に螺合して挿通されている。この結果、これらねじ体62,63,64を同期させて回動させることにより、ガイドレール51が幅方向に水平に移動する。
【0038】
そして、ガイドレール51の搬送始端近傍に挿通されたねじ体62には、ハンドル65が取り付けられている。このハンドル65は、回動させることによりねじ体62が回動する。また、このねじ体62より搬送終端側のガイドレール51には、このねじ体62の回動により移動されるガイドレール51を支持する細長略円柱状のガイド66が摺動可能に直角に挿通されている。このガイド66の両端は、対をなす取付プレート67,68間に接続されている。また、これら取付プレート67,68間には、ねじ体62が回動可能に取り付けられている。
【0039】
また、ガイドレール51の搬送終端近傍に挿通されたねじ体64の両端には、このねじ体64の回動により移動されるガイドレール51を支持する略細長略円柱状のガイド71,72がそれぞれ取り付けられている。これらガイド71,72は、ガイドレール51に直角に摺動可能に挿通されている。また、これらガイド71,72の両端は対をなす取付プレート73,74間それぞれ接続されており、これら取付プレート間73,74にはねじ体64が回動可能に取り付けられている。
【0040】
さらに、ねじ体62にハンドル65を取り付けた端部の反対側の端部には、傘歯車75が同軸状に取り付けられている。また、この傘歯車75が位置する側の各ねじ体63,64の端部にも同様に、傘歯車76,77がそれぞれ同軸状に取り付けられている。そして、これら傘歯車75,76,77は、一本の連動軸81に同軸状に挿通させて取り付けた傘歯車82,83,84に噛合している。この結果、ハンドル65を回動させることによりねじ体62が回動し、このねじ体62の回動により傘歯車75およびこの傘歯車に噛合した傘歯車82が回動し、この傘歯車82の回動により連動軸81が回動し、この連動軸81の回動により傘歯車83,84に噛合した傘歯車76,77がそれぞれ回動して各ねじ体62,63,64が同期して回動する。よって、このハンドル65の回動によりガイドレール51を搬送方向に沿って幅方向に向けて水平に移動することが可能となる。
【0041】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0042】
まず、プリント基板Sの下面両側部を一対の搬送チェーン21a,21bの搬送ピン22a,22bでそれぞれ支持できるように、可動レール26を幅方向における適宜な位置に移動する。
【0043】
次いで、これら一対の搬送チェーン21a,21bでプリント基板Sを搬送した際に、反り防止チェーン31にてこのプリント基板Sの下面の適宜な位置を支持できるように、位置決め機構61のハンドル65を回動させて、この反り防止チェーン31を幅方向における適宜な位置に移動する。
【0044】
そして、一対の搬送チェーン21a,21bおよび反り防止チェーン31をモータにより同期させて等速で移動するように回行駆動しながら、これら一対の搬送チェーン21a,21bの搬送始端側にプリント基板Sを搬入する。
【0045】
すると、これら一対の搬送チェーン21a,21bによりこのプリント基板Sが加熱炉13内へと搬送される。
【0046】
このとき、このプリント基板Sの下面が反り防止チェーン31の反り防止片36の当接部39にて支持されつつ、このプリント基板Sが加熱炉13内へと搬送される。
【0047】
また、一対の搬送チェーン21a,21bにて搬送されるプリント基板Sを反り防止チェーン31で支持する必要がない場合には、位置決め機構61のハンドル65を回動させて、この反り防止チェーン31の反り防止片36を、固定レール25に支持された搬送チェーン21aの搬送ピン22a側に向けて幅寄せ移動する。
【0048】
このとき、図4に示すように、固定レール25にて支持された搬送チェーン21aの搬送ピン22aは、プリント基板Sを搬送する際に、このプリント基板Sの一側縁を反り防止チェーン31の反り防止片36の当接部39とともに支持してこのプリント基板Sを搬送する。
【0049】
上述したように、上記一実施の形態によれば、プリント基板Sの両側部を一対の搬送チェーン21a,21bの搬送ピン22a,22bにて支持させて、このプリント基板Sを一対の搬送チェーン21a,21bで加熱炉13内に搬送する際に、これら一対の搬送チェーン21a,21bの搬送方向に沿って反り防止チェーン31が移動し、この反り防止チェーン31の反り防止片36の当接部39がプリント基板Sの下面に当接して、このプリント基板Sを支持する。よって、一対の搬送チェーン21a,21bにて搬送されるプリント基板Sの搬送時に生じる反りを反り防止チェーン31の反り防止片36で防止できる。
【0050】
また、この反り防止片36を、一対の搬送チェーン21a,21bによるプリント基板Sの搬送面に直交し、かつこれら一対の搬送チェーン21a,21bによるプリント基板Sの搬送方向に平行な面方向を有する薄板状にしたので、これら一対の搬送チェーン21a,21bにより搬送されるプリント基板Sの支持面積を少なくできる。
【0051】
この分、加熱炉13内において遠赤外線や熱風などの加熱媒体にプリント基板Sを曝されやすくできるから、一対の搬送チェーン21a,21bによる搬送時におけるプリント基板Sの加熱効率を向上できつつ、このプリント基板Sの反りを防止できる。
【0052】
さらに、一対の搬送チェーン21a,21bの幅方向に向けて位置決め機構61で反り防止チェーン31を進退可能に移動できるので、幅寸法の異なるプリント基板Sを搬送する際に、このプリント基板Sの幅方向における所望する位置を支持するように反り防止チェーン31を移動できる。
【0053】
このため、所定の寸法より幅寸法が小さいプリント基板Sに生じる搬送時の反りをより確実に防止できるとともに、このプリント基板Sの形状などの変更に応じた微調整ができる。
【0054】
また、一対の搬送チェーン21a,21bの搬送ピン22a,22bを、互いに相対する方向へ突出した長さ寸法が異なる対をなすようにし、これら搬送ピン22a,22bそれぞれの上端の高さ位置を、反り防止チェーン31の反り防止片36の当接部39の上端の高さ位置に等しくした。よって、一対の搬送チェーン21a,21bにて搬送するプリント基板Sを反り防止片36で支持し、このプリント基板Sの反りを防止する必要がない場合に、この反り防止片36を固定レール25に保持された搬送チェーン21aの長さ寸法が短い搬送ピン22a側に幅寄せさせることにより、この搬送ピン22aと反り防止片36とで十分な支持幅を確保できるとともに、搬送時におけるプリント基板Sの加熱効率の低下を防止できる。
【0055】
さらに、可動レール26に保持された搬送チェーン21bの搬送ピン22bの長さ寸法を、固定レール25に保持させた搬送チェーン21aの搬送ピン22aの長さ寸法および反り防止片36の厚さ寸法の和と略等しくした。よって、固定レール25に保持された搬送チェーン21aの搬送ピン22a側に向けて反り防止片36を移動させて幅寄せすることにより、可動レール26に保持された搬送チェーン21bの搬送ピン22bによるプリント基板Sの支持幅と、固定レール26に保持された搬送チェーン21aの搬送ピン22aおよび反り防止片36によるプリント基板Sの支持幅とを略等しくできる。
【0056】
この結果、反り防止チェーン31によるプリント基板Sの反り防止が不要な場合であっても、この反り防止チェーン31を、水平移動させるだけで済み、固定レール25の下方に向けて待避させる必要がなくなるので、この反り防止チェーン31を待避させるための複雑な機構を不要にできるから、搬送装置11の製造性を向上できるとともに、この搬送装置11の使い勝手を向上できる。
【0057】
さらに、反り防止チェーン31は、プリント基板Sの中央部に位置するときは、このプリント基板Sの中央部を支持して、このプリント基板Sの反りによる脱落を防止するとともに、固定レール25側に待避させるときは、この固定レール25側の搬送ピン22aの軸方向における突出長の短さを補なって、反りによる脱落を防止する。
【0058】
また、可動レール26に保持された搬送チェーン21bの搬送ピン21bでなく、固定レール25に保持された搬送チェーン21aの搬送ピン22aの長さ寸法を短くしたので、この搬送ピン22a側に向けて反り防止片36を幅寄せして待避させた状態で、搬送するプリント基板Sの幅寸法に合わせて可動レール26を移動させることができる。このため、反り防止片36による反り防止が不要な場合における可動レール26の移動を容易にできる。
【0059】
なお、上記一実施の形態では、加熱装置12の加熱炉13へとプリント基板Sを搬送する搬送装置11について説明したが、加熱炉13へと搬送する以外であってもこの搬送装置11を使用でき、プリント基板S以外のワークでもこの搬送装置11により搬送できる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1記載の搬送装置によれば、被処理物の両側部を一対の搬送体の支持部にて支持してこの被処理物を搬送する際に、支持体の支持片が被処理物の下面を支持し、一対の搬送体による被処理物の搬送面に直交しかつこれら一対の搬送体による搬送方向に平行な面方向を有する薄板状に支持片をしたので、被処理物を支持する面積を少なくできるから、被処理物を加熱媒体に曝されやすくでき、一対の搬送体による搬送時における被処理物の加熱効率を向上できつつ、この被処理物の反りを防止できる。
【0061】
また、幅方向に向けて幅方向移動調整機構で支持体を移動できるので、幅寸法の異なる被処理物を搬送する際に、この被処理物の幅方向における所望位置を支持するように支持体を移動できるから、所定の寸法より幅寸法が小さい被処理物に生じる搬送時の反りをより確実に防止でき、被処理物の形状などの変更に応じた微調整ができる。
【0062】
さらに、一対の搬送体それぞれの支持部を、互いに相対する方向へ突出した長さ寸法が異なる対をなす突起体とし、この突起体の上端の高さ位置を支持片の上端の高さ位置と等しくしたから、被搬送物の支持片による支持が不要な場合に、この支持片を短い突起体に幅寄せさせれば、この短い突起体と支持片とで十分な支持幅を確保できるとともに、上記幅寄せにより、支持体による被処理物の反り防止が不要でも、この支持体を下方へと待避させる必要がなくなり、支持体の待避のための複雑な機構を不要にできる。
【0063】
請求項2記載の搬送装置によれば、防止片補強体により、細長板状の防止片本体の面方向へと向かう弾性変形を防止できる。
【0064】
請求項3記載の加熱装置によれば、請求項1または2記載の搬送装置の効果に加え、一方の突起体の長さ寸法を、他方の突起体の長さ寸法と支持体の支持片の厚さ寸法との和と略等しくしたので、この他方の突起体に支持体の支持片を幅寄せさせれば、一方の突起体による被処理物の支持幅と、他方の突起体および支持片による被処理物の支持幅とを略等しくできるから、支持体による被処理物の反り防止が不要でも、この支持体を下方へと待避させる必要がなくなり、支持体の待避のための複雑な機構を不要にできる。
【0065】
請求項4記載の加熱装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の搬送装置で被処理物を加熱炉内に搬送する際に、この搬送装置の支持片が被処理物の下面を支持するから、被処理物の搬送中におけるこの被処理物の反りを支持片で防止でき、また、一対の搬送体による被処理物の搬送面に直交しかつこれら一対の搬送体による被処理物の搬送方向に平行な面方向を有する薄板状に支持片をしたので、一対の搬送体による搬送中の被処理物の支持面積を少なくできるから、加熱炉内で被処理物を加熱媒体に曝されやすくできるとともに、被搬送物の支持片による支持が不要な場合は、この支持片を短い突起体に幅寄せさせることで、搬送時における被処理物の加熱効率を向上できつつ、この被処理物の反りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の搬送装置の一実施の形態の一部を示す説明図である。
【図2】 同上搬送装置の支持体を示す断面図である。
【図3】 同上搬送装置の支持体の一部を示す側面図である。
【図4】 同上搬送装置の一部を示す断面図である。
【図5】 同上搬送装置の一部を示す上面図である。
【図6】 同上搬送装置の一部を示す断面図である。
【図7】 同上搬送装置を用いた加熱装置を示す説明図である。
【図8】 従来の搬送装置を示す説明図である。
【符号の説明】
11 搬送装置
12 加熱装置
13 加熱炉
21a,21b 搬送体としての搬送チェーン
22a,22b 支持部としての突起体である搬送ピン
31 支持体としての反り防止チェーン
32 移動部としてのチェーン部
36 支持片としての反り防止片
61 幅方向移動調整機構としての位置決め機構
S 被処理物としてのプリント基板
Claims (4)
- 被処理物の両側部を支持する支持部を有し、この被処理物を搬送する一対の搬送体と、
これら一対の搬送体間でこれら一対の搬送体による前記被処理物の搬送方向に沿って移動する移動部、およびこの移動部に設けられこの移動部の移動時に前記被処理物の下面を支持し前記一対の搬送体による前記被処理物の搬送面に直交しかつ前記搬送方向に平行な面方向を有する薄板状の支持片を備えた支持体と、
前記一対の搬送体間における幅方向に向けて前記支持体を移動させる幅方向移動調整機構とを具備し、
前記一対の搬送体それぞれの前記支持部は、互いに相対する方向へ突出した長さ寸法が異なる対をなす突起体であり、
前記支持片の上端の高さ位置は、前記突起体の上端の高さ位置に等しくし、
前記幅方向移動調整機構は、互いに相対する方向へ突出した前記突起体のうち長さ寸法が短い突起体に前記支持片を幅寄せさせる機能を備えた
ことを特徴とした搬送装置。 - 支持片は、
被処理物の幅方向における任意の位置に当接してこの被処理物を支持しこの被処理物の搬送時に生じる反りを防止する細長板状の防止片本体と、
この防止片本体より長さ寸法が短い防止片補強体とを備えている
ことを特徴とした請求項1記載の搬送装置。 - 一対の搬送体の一方の突起体の長さ寸法は、これら一対の搬送体の他方の突起体の長さ寸法および支持体の支持片の厚さ寸法の和と略等しくした
ことを特徴とした請求項1または2記載の搬送装置。 - 内部に搬送された被処理物を加熱する加熱炉と、
この加熱炉内にて前記被処理物を搬送する請求項1ないし3いずれか記載の搬送装置と
を具備していることを特徴とした加熱装置。
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