JP4558179B2 - 圧力センサユニット及びその取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧力センサユニットとその取付構造とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の燃焼状態やノッキング検出、あるいは燃費向上や排気ガス清浄化等を目的として、スパークプラグに内蔵した圧力センサにより内燃機関の燃焼室内の圧力を検出することが行なわれている。このような目的に使用される圧力センサ内蔵型スパークプラグの概略は以下のようなものである。すなわち、スパークプラグの主体金具に形成された取付ねじ部の基端位置に、外側からリング状の圧電セラミック素子からなる圧力センサ素子を出力取出用のリング状電極とともにはめ込み、鍔状のセンサ保持部にてこれを受けるとともに、全体を外側からセンサケースにて覆う。リング状電極からの出力リード線はセンサケースから後方に取り出される。取付ねじ部においてスパークプラグを内燃機関のプラグホールに取り付けると、圧力センサはセンサケースを介してプラグホールの開口外縁部に押し付けられる。燃焼圧はセンサケースを介して圧力センサに伝わる。圧力センサは、圧電効果により、検出した圧力レベルに応じた電圧を、センサ出力リード線を介して出力することとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、省スペース化を推し進めた最近のエンジン、特に自動車用ガソリンエンジンにおいては、スパークプラグを取り付けるシリンダヘッド周辺の機構が複雑化しており、深いプラグホール内にスパークプラグを取り付ける構造のエンジンでは、プラグホール断面積の縮小が余儀なくされている。また、プラグホールの内周面には、エンジンオイルの漏れ込みを阻止するためプラグチューブがはめ込まれているが、該プラグチューブもプラグホール内スペースを消費する要素の一つである。その結果、その内側に配置される圧力センサユニットは、プラグホール底への着脱を行なうためのガイド部材などの、周辺部品の取り付けスペースを確保しにくくなっている。
【0004】
本発明の課題は、断面の小さいプラグホール内においても、ガイド部材などの周辺部品用のスペース確保を容易に行なうことができる圧力センサユニットと、その取付構造とを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明の圧力センサユニットは、
プラグホール底に形成された取付孔に取り付けられるスパークプラグの主体金具の外周面から鍔状に突出するセンサ支持部と、取付孔の開口周縁部との間に配置されるようにリング状の圧力センサ素子が組み込まれたユニット本体部が、プラグホール内に配置されるとともに、プラグホールの内周面を覆うプラグチューブがユニット本体部に一体的に設けられ、
ユニット本体部は金属材料にて構成されるとともに、プラグチューブは高分子材料にて構成され、
プラグチューブは、ユニット本体部側に設けられかつ全体が柔軟弾性材料で構成された接続部にてユニット本体部と結合されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の圧力センサユニットの取付構造は、
プラグホール底に形成された取付孔に取り付けられるスパークプラグの主体金具の外周面から鍔状に突出するセンサ支持部と、取付孔の開口周縁部との間に、圧力センサユニットのユニット本体部に組み込まれた圧力センサ素子が配置され、ユニット本体部に一体化されたプラグチューブにより、プラグホールの内周面が覆われ、
ユニット本体部は金属材料にて構成されるとともに、プラグチューブは高分子材料にて構成され、
プラグチューブは、ユニット本体部側に設けられかつ全体が柔軟弾性材料で構成された接続部にてユニット本体部と結合されていることを特徴とする。
【0007】
従来は、プラグチューブが、圧力センサユニットとは全くの別部品としてプラグホール内に取り付けられていたので、圧力センサユニットにガイド部材を取り付けると、プラグホール内のスペースは、プラグチューブとガイド部材との両方に消費される形となっていた。しかしながら、上記本発明によると、プラグチューブを圧力センサユニットのユニット本体部に一体化したので、該プラグチューブを、ユニット本体部をプラグホールに対して着脱するためのガイド部材として活用できる。その結果、プラグホール内の省スペース化を有効に図ることができ、例えば、センサ出力リード線や点火コイルなどの配置の便宜を向上させることが可能となる。
【0008】
なお、本明細書の特許請求の範囲において各要件に付与した符号は、添付の図面の対応部分に付された符号を援用して用いたものであるが、あくまで発明の理解を容易にするために付与したものであり、特許請求の範囲における各構成要件の概念を何ら限定するものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態をなす圧力センサユニット1を、シリンダヘッドSHへの取付状態にて示す断面図である。圧力センサユニット1は、底面にスパークプラグ挿通孔4が形成された筒状のユニット本体部2を有し、スパークプラグ挿通孔4を取り囲む形態でリング状の圧力センサ素子3がこれに組み込まれている。図1(a)に示すように、ユニット本体部2の軸線Oの方向において、圧力センサ素子3の位置する側を前端側としたとき、ユニット本体部2は、該前端側からプラグホールPH内に挿入・固定される。
【0010】
プラグホールPHの内面は、図2に示すように、底部が段部DBにて若干縮径されることにより縮径部PSとされ、圧力センサユニット1は、該ユニット本体部2の下端部が該縮径部PS内に配置される。プラグホールの底面にはスパークプラグ100の取付孔PFが雌ねじ孔の形で形成されている。そして、図2に示すように、ユニット本体部2の底面外周縁部は、取付孔PFの開口周縁部GSに密着するとともに、スパークプラグ挿通孔4が取付孔PFに同心的に位置合わせされる。なお、プラグホールPHの内面上端部には、プラグチューブ11に対するオイルシールリングTRがはめ込まれている。
【0011】
上記の状態でスパークプラグ挿通孔4にスパークプラグ100が挿通され、主体金具101の外周面前端側に形成された取付ねじ部104を、取付孔PFにねじ込む形で取り付けされている。これにより、ユニット本体部2に組み込まれた圧力センサ素子3は、スパークプラグ100の主体金具101の外周面から鍔状に突出するセンサ支持部102と、取付孔PFの開口周縁部GSとの間で挟圧保持される。
【0012】
ユニット本体部2には、プラグホールPHへの取付状態において、該プラグホールPHの内周面を覆うプラグチューブ11が一体的に設けられている。プラグチューブ11は、ユニット本体部2側に設けられた接続部19にて該ユニット本体部2と結合されている。この構造によると、ユニット本体部2のケーシングをなす部分(本実施形態で後述の内筒部材6と外筒部材5)と、プラグチューブ11とを別材質により構成して、接続部19により接続する構成が可能であるから、プラグチューブ11への特有の機能付与、例えば軽量化や高強度化等を容易に図ることができる。本実施形態では、プラグチューブ1がプラスチック等の高分子材料にて形成されており、軽量化を図る上でより有利な構造となっている。
【0013】
次に、ユニット本体部2の外周面には、プラグホールPHの内周面と密着するシール部13が設けられている。これにより、シリンダヘッドSH側から、スパークプラグ100の取付孔PFが位置するプラグホールPHの底部内面にエンジンオイル等が漏れこむことを防止することができる。シール効果を高めるためには、シール部13は、ユニット本体部2の外周面の全周にわたって設けられていることが望ましい。なお、図7に示すように、シール部73は、プラグチューブ11の外周面に設けてもよい。この場合、プラグホールPH内にてシール部73よりも底側にて発生するオイル漏れに対しては、シール部73によるシール効果が及ばないので、シール部73は、プラグチューブ11のユニット本体部2との接続側端部に設けることが望ましい。
【0014】
また、シール部13を省略し、ユニット本体部2あるいはプラグチューブ11をプラグホールPH内に圧入することによりオイル漏れ等の防止を図ることもできる。この場合、圧力センサ素子3による圧力検出を確実に行なうためには、該圧力センサ素子3を、センサ支持部102と取付孔PFの開口周縁部GSとの間で挟圧保持する力を一定以上に確保することが重要であるが、上記のような圧入方式の場合、壁面摩擦により圧力センサ素子3に十分な挟圧力を付与できない場合がある。しかしながら、上記のようなシール部13を設けておけば、ユニット本体部2あるいはプラグチューブ11をプラグホールPH内に、隙間嵌め状態にて配置すること、つまり、プラグホールPHの内周面とユニット本体部2あるいはプラグチューブ11の外周面との間に隙間CLを生じた状態にて配置することができる。このような隙間嵌め構造が採用可能となることで、壁面摩擦による狭圧力の損失を効果的に抑制でき、ひいては圧力センサ素子3の挟圧保持状態を確実なものとして圧力検出精度を高めることが可能となる。
【0015】
図2の圧力センサユニット1においては、接続部19の外周面をなすゴムやエラストマーなどの柔軟弾性材料構成部がシール部13を形成している。プラグチューブ11とユニット本体2との接続部19をなす柔軟弾性材料構成部19をシール部13に流用することで、シール部13を別体形成する場合と比較して部品点数が減少し、また、組立て工数の削減を図ることができる。ここでは接続部19の全体が柔軟弾性材料構成部とされている。また、シール部13は、柔軟弾性材料構成部の外周面において周方向に連続的に形成された凸条部とされている。
このような構造の採用により、シール性が一層高められている。
【0016】
ユニット本体部2は、同軸的に配置された2つの円筒状の金属筒部材、すなわち、外周面部をなす外筒部材5と同じく内周面部をなす内筒部材6とを有し、それらの間に形成された隙間7に圧力センサ素子3が配置されている。そして、該圧力センサ素子3からの出力は、隙間7内に引き出されるセンサ出力端子8を経て、センサ出力リード線9により取り出される。センサ出力リード線9は、芯線9aとその外側を覆うシールド被覆10とからなる。この構造によると、2つの筒部材5,6の間にリング状の圧力センサ素子3が配置され、出力取り出し用の端子8が筒部材5,6の隙間7内に引き出される構造となっているから、これに接続されるセンサ出力リード線9ともども、圧力センサ素子3の半径方向外側つまり側方に突出しなくなる。これにより、プラグホールPH内にて圧力センサ素子3の周辺部に余分なスペースを確保することが不要となり、例えばプラグホールPH底の周囲に動弁系部品等が密集したシリンダヘッドSHにも容易に取付可能である。なお、外筒部材5は、本体部5mと、段部DBを介して該本体部5mの前端側に一体化された縮径部5dとされている。
【0017】
図2に示すように、内筒部材6は、軸線O方向前端側の端部壁を半径方向内側に膨出させた膨出部6gを有し、該膨出部6gの内周面がスパークプラグ挿通孔4とされている。また、外筒部材5と内筒部材6の膨出部6gとは、軸線Oの方向における前端側にて隙間7を塞ぐ底閉塞部14により一体化されている。そして、膨出部6gとこれに対向する外筒部材5の壁部5hと底閉塞部14とが、圧力センサ素子3を収容するセンサ収容部15を形成している。このように内筒部材6の膨出部6gを設け、ここに圧力センサ素子3を収容することで、図1(a)に示すスパークプラグ100の取付状態において、圧力センサ素子3は該センサ収容部15とともにセンサ支持部102と取付孔PFの開口周縁部GSとの間で確実に挟圧される。その結果、シリンダヘッドSH側からの圧力情報を確実に検出することができる。
【0018】
図2に示すように、センサ収容部15内にてリング状の圧力センサ素子3に対しリング状の電極板60が積層されている。そして、電極板60の少なくとも内周縁側をなす部分が内筒部材6の膨出部6g内に収容される一方、センサ出力端子8は電極板60の外周縁に基端部8aが一体化されてなり、末端側部分8bが隙間7の膨出部6gよりも軸線O方向後方側に位置する空間内に延出している。
【0019】
圧力センサ素子3は、図3に示すような圧力センサ組立体318をなす形でセンサ収容部15内に収容されている。該圧力センサ組立体318は、底閉塞部14に近い側から、リング状の板パッキン59、リング状の圧力センサ素子3、リング状の電極板60及びリング状の絶縁板61がこの順序にて積層された構造を有する。このような構造は、例えば図4に示すような工程により簡単に製造することができる。まず、(a)に示すように、内筒部材6として、本体部6mと縮径部6sとが段部6hを介して接続された構造のものを用意する。そして、その縮径部6sに対し、絶縁板61、電極板60、圧電セラミック素子3及び板パッキン59を順次はめ込んで、圧力センサ組立体318を段部6h上に積み上げる。このとき、(b)に示すように、電極板60の外周縁に一体化された電極端子部8は下方(すなわち、図2の軸線O方向における後方側)へ曲げ返し、本体部6mの外周面に沿わせた状態としておく。なお、電極端子部8には、ポリ四フッ化エチレンチューブ等で構成された絶縁被覆18を予め装着しておく。また、縮径部6sの外周面のうち圧力センサ組立体318の内周面と対向する領域を少なくとも、ポリ四フッ化エチレンチューブ等で構成された絶縁被覆418で覆っておく。
【0020】
次に、(c)に示すように、外筒部材5において円筒状に形成された本体部5mの端面内周縁に、周方向の張り出し部5sを形成しておき、圧力センサ組立体318から突出する内筒部材6の縮径部6sの先端部分6s’を該張り出し部5sの内側に挿通しながら、本体部5mを内筒部材6の本体部6mに被せる。これにより、張り出し部5sは圧力センサ組立体318の上面側を覆うとともに、本体部5mは内筒部材6の本体部6mとの間に隙間7が形成される。このとき、電極端子部8は予め下向きに曲げ返してあるので、外筒部材5を被せるに伴い自動的に該隙間7内に位置する形となる。そして、内筒部材6の縮径部6sの先端部分6s’を張り出し部5s側に向けて加締める。この加締めを適当な圧力にて行なうことで、圧力センサ組立体318に対する段部6h及び加締められた先端部分6s’との間の密着が良好となる。
【0021】
最後に、(d)に示すように、先端部分6s’と張り出し部5sとを周方向の溶接部W(例えばレーザー溶接部)にて溶接することにより、外筒部材5と内筒部材6とは気密状態にて結合される。図から明らかな通り、先端部分6s’と張り出し部5sとは底閉塞部14を形成している。
【0022】
図2に戻り、内筒部材6と外筒部材5との隙間7は、内部が絶縁用の高分子材料(例えばシリコンゴム)にて充填され、高分子材料充填部16とされている。
そして、センサ出力端子8と、該センサ出力端子8及びセンサ出力リード線9との結線部17とが、絶縁被覆18にて覆われた状態で高分子材料充填部16内に埋設されている。これにより、該センサ出力端子8及びセンサ出力リード線9と内筒部材6あるいは外筒部材5との間の絶縁状態が良好に確保され、かつ、強度的に弱い結線部17が高分子材料充填部16内に没することで、外力付与等による断線や接触不良などの不具合も生じにくくなる。
【0023】
隙間7内の高分子材料充填部16は前述のシリコンゴムなどの柔軟弾性材料により形成され、該高分子材料充填部16が外筒部材5の後端縁5aよりも軸線O方向後方側に延出して接続部19を形成している。そして、その接続部19の外周面にシール部13が形成されている。この方法によると、ゴム充填等により充填部16を形成する際に接続部19を一括して形成でき、かつ、その外周面には金型成形等によりシール部13を簡単に形成できる利点がある。
【0024】
また、軸線O方向において、内筒部材6の後端部6jは外筒部材5の後端5aよりも後方側に突出しており、該後端部6jがプラグチューブ11の前端部内側に挿入されている。これにより、プラグチューブ11を後端部6jに嵌め合わせることによりユニット本体部2に対して簡単に組み付けることができ、また、接続部19あるいは接続部19を形成するための、柔軟弾性材料(ゴム等)の成形工程時に、プラグチューブ11とユニット本体部2との位置ずれ(特に半径方向の位置ずれ)も生じにくい。なお、プラグチューブ11の内周面と後端部6jの外周面とは図示しない接着層により接着される。
【0025】
次に、外筒部材6は、前述の通り外周面が円筒面状の外筒本体部5mを有している。また、スパークプラグ100の取付状態において、内筒部材5と外筒部材との少なくとも一方のものの軸線O方向における後端が、圧力センサ素子3の後端とスパークプラグ100の絶縁体110の後端との間(基準区間SS)に位置するとともに、該基準区間SSよりも後方側において、センサ出力リード線9の軸線Oに関する半径方向外側の縁位置が、該半径方向において外筒本体部5mの内周面位置よりも外側にある。つまり、基準区間SSよりも後方ではセンサ出力リード線9が、外筒本体部5mの内周面ないしその延長によって囲まれる空間領域から半径方向外側にいわばオフセットされる形となり、プラグホールPH内空間にて点火コイル等を取り付けるためのスペースを容易に確保することができる。
【0026】
センサ出力リード線9は、具体的には、圧力センサ素子3の後端から、圧力センサ素子3の後端面から軸線O方向後方側に所定長離れた取出位置AP(基準区間SS内であって、内筒部材6と外筒部材5との各後端6a,5aのうち、基準区間SS内にて最も軸線O方向後方側に存在するものとして定義される基準位置(ここでは内筒部材6の後端6a)よりも前方側に設定される)に至るまでの区間において、外筒本体部5mの内周面と、内筒部材6の本体部6mの外周面との間を通される。そして、取出位置APよりも後方側の区間においては、センサ出力リード線9の軸線Oに関する半径方向外側の縁位置が、該半径方向において外筒本体部5mの内周面位置よりも外側となるように曲げられている。
【0027】
また、図1(b)に示すように、プラグチューブ11は円筒状に形成されているが、その周方向の一部区間を半径方向外側に膨出させた軸線方向の凸条部11aが形成され、該凸条部11aの内側に形成された溝部11g内にユニット本体部2からのセンサ出力リード線9が収容されている。このような溝部11g内にセンサ出力リード線9を収容することで、プラグホールPH内において、後述の点火コイル等を取り付けるためのスペースを確保しやすくなる。なお、プラグホールPH側にも対応する位置に溝部PHGが形成されている。
【0028】
上記のような圧力センサユニット1を図5に示すようにプラグホールPH内に取り付ける。なお、プラグチューブ11の上端部にはゴム製の取付リング34が一体化されており、その下面側に形成された嵌合溝34a内にプラグホールPHの開口周縁に形成されたリブFRを嵌合することにより、圧力センサユニット1の上部側の固定を行なうことができる。そして、図1に示すように、プラグレンチPWを主体金具101の六角部103に係合させることによりスパークプラグを取り付ける。なお、取付孔PFに螺合する取付ねじ部104の呼びは、例えばM14である。図5に示すように、基準位置6aよりも後方側においては、センサ出力リード線9がプラグチューブ11の溝部11g内を通されることで、外筒本体部5mの外周面よりも外側に取り出される。従って、プラグチューブ11内の空間の溝部11g内部を除いた領域CSをフルに活用する形で、プラグホールPH内にペンシル型の点火コイルユニット300を配置することができる。点火コイルユニット300は全体が円筒状の外形を有し、その軸線Oの方向における前端部はゴム製のプラグキャップ部301とされ、端子金具105及び絶縁体110の後端部に被せられる。そして、その後方に点火コイル302が配置され、高圧端子部309を介して端子金具105に点火用の高電圧を供給する。
【0029】
以下、本発明に係る圧力センサユニットの種々の変形例について説明する(なお、すでに説明済みのものと共通の部分には同一の符号を付与して詳細な説明は省略している)。図6の圧力センサユニット150は、組みつけられるスパークプラグ100の取付ねじ部104の呼びが、図1の圧力センサユニット1よりも小さい、例えばM12となっている。また、センサ支持部102及び六角部103の外形寸法もこれに合わせて縮小されている。そして、ユニット本体部2においては、このような小径の取付ねじ部104を有するスパークプラグ100に対応できるよう、内筒部材6は、本体部6mと、段部6kを介してその前端側に一体化された縮径部6dが形成されている。
【0030】
次に、図7の圧力センサユニット200においては、シール部は、プラグチューブ11の外周面に嵌め込まれたシールリング73とされている。シールリング73は例えばゴムやエラストマー等にて構成できる。このように、シール部を別体のシールリング73として構成することにより、損傷や材質劣化によりシール部のシール性能が損なわれた場合でも、これを容易に交換することができる。ここでは、シールリング73は、前記した接続部19との結合端部側においてプラグチューブ11の外周面に設けられている。つまり、接続部19とプラグチューブ11との接続境界よりも後方側にシールリング73が位置しているので、軸線方向後方側から上記接続境界に向かうオイルを確実にブロックでき、例えば該接続境界の気密が損なわれた場合でも、該境界を介してユニット本体2の内側にオイル等が漏れこむことを効果的に防止できる。
【0031】
本実施形態では、プラグチューブ11の外周面には、シールリング73を保持するための保持溝11pが形成されている。該保持溝11pにより、圧力センサユニット200をプラグホールPH内に挿入・固定する場合等において、シールリング73の軸線Oの向きにおける位置ずれを防止することができる。
【0032】
次に、図8の圧力センサユニット201においては、外筒部材5を内筒部材5pの後端5aよりも後方側に延長し、その延長部をプラグチューブ5eとした例である。プラグチューブ5eはこの場合、金属により外筒部材5ひいてはユニット本体2と一体形成される形となる。なお、外筒部材5は、上記の延長部(プラグチューブ)5eを除いた部分が、ユニット本体2に属するものとみなす。シールリング73は、外筒部材5の外周面に形成された周方向の溝部5epにはめ込まれている。また、溝部5epの形成位置は、ユニット本体部2をなす外筒部材5の本体部5m上である(つまり、ユニット本体部2にシール部が設けられている)。
【0033】
また、図9に示す圧力センサユニット202においては、プラグチューブ11をユニット本体部2及びセンサ出力リード線9と別体形成しておき、ユニット本体部2に対し、プラグチューブ側係合部11aとユニット本体部側係合部16aとにより係合させる構成としている(これは、ユニット本体部2と別体のプラグチューブ11が高分子材料製である場合はもちろん、他の材質、例えば金属製である場合にも同様に適用できる)。ここでは、プラグチューブ側係合部11aは、プラグチューブ11の底面から突出する凸部であり、ゴム等の柔軟弾性材料にて構成された高分子材料充填部16にユニット本体部側係合部16aとしての凹部を形成し、ここに凸部11aを圧入することによりプラグチューブ11とユニット本体部2と係合させるようにしている。このようにすると、圧力センサ素子3が一体化されるユニット本体部2とプラグチューブ11とが連続体を形成しなくなる結果、両者の連成振動による共振モード、特に低周波の共振モードを抑制できる利点が生ずる。なお、シールリング73は、プラグチューブ11の接続端部側外周面に形成された溝部11p内にはめ込まれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧力センサユニットの第一の実施形態を、スパークプラグの取付状態にて示す縦断面図及びそのA−A断面図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】圧力センサ組立体の分解斜視図。
【図4】内筒部材へのリード線支持部の取付工程の一例を示す説明図。
【図5】図1の圧力センサユニットに点火コイルを取り付けた状態を示す縦断面図。
【図6】本発明に係る圧力センサユニットの第二の実施形態を、スパークプラグの取付状態にて示す縦断面図。
【図7】本発明に係る圧力センサユニットの第三の実施形態を、スパークプラグの取付状態にて示す要部縦断面図。
【図8】本発明に係る圧力センサユニットの第四の実施形態を示す要部拡大断面図。
【図9】本発明に係る圧力センサユニットの第五の実施形態を示す要部分解斜視図。
Claims (10)
- プラグホール(PH)底に形成された取付孔(PF)に取り付けられるスパークプラグ(100)の主体金具(101)の外周面から鍔状に突出するセンサ支持部(102)と、前記取付孔(PF)の開口周縁部(GS)との間に配置されるようにリング状の圧力センサ素子(3)が組み込まれたユニット本体部(2)が、前記プラグホール(PH)内に配置されるとともに、該プラグホール(PH)の内周面を覆うプラグチューブ(11,5e)が前記ユニット本体部(2)に一体的に設けられ、
前記ユニット本体部(2)は金属材料にて構成されるとともに、前記プラグチューブ(11)は高分子材料にて構成され、
前記プラグチューブ(11)は、前記ユニット本体部(2)側に設けられかつ全体が柔軟弾性材料で構成された接続部(19)にて該ユニット本体部(2)と結合されていることを特徴とする圧力センサユニット(1,150,200,202)。 - 前記ユニット本体部(2)の外周面又は前記プラグチューブ(11,5e)の外周面に、前記プラグホール内周面に密着するシール部(13,73)が設けられている請求項1に記載の圧力センサユニット(1,150,200,202)。
- 前記接続部(19)の外周面をなす柔軟弾性材料構成部(19)が前記シール部(13)を形成し、
前記シール部(13)は、前記柔軟弾性材料構成部(19)の外周面において周方向に連続的に形成された凸条部(13)である請求項2に記載の圧力センサユニット(1,150)。 - 前記シール部(73)は、該接続部(19)との結合端部側における前記プラグチューブ(11)の外周面に設けられている請求項2又は3に記載の圧力センサユニット(200,202)。
- 前記プラグチューブ(11,5e)は円筒状に形成されるとともに、その周方向の一部区間を半径方向外側に膨出させた軸線方向の凸条部(11a)が形成され、該凸条部(11a)の内側に形成された溝部(11g)内に前記ユニット本体部2からのセンサ出力リード線(9)が収容されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧力センサユニット(1,150,200,202)。
- 前記ユニット本体部(2)は、底面にスパークプラグ挿通孔(4)が形成された筒状に形成され、該スパークプラグ挿通孔(4)を取り囲む形態でリング状の圧力センサ素子(3)が組み込まれており、該ユニット本体部(2)の外周面部をなす外筒部材(5)と同じく内周面部をなす内筒部材(6)との間に形成された隙間(7)に前記圧力センサ素子(3)が配置され、該圧力センサ素子(3)からの出力が、前記隙間(7)内に引き出されるセンサ出力端子(8)を経てセンサ出力リード線(9)により取り出されるようになっている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧力センサユニット(1,150,200,202)。
- 前記隙間(7)内に柔軟弾性材料による充填部(16)が形成されるとともに、該充填部が前記外筒部材(5)の後端縁(5a)よりも軸線(O)方向後方側に延出して前記接続部(19)を形成し、その接続部(19)の外周面にシール部(13)が形成されている請求項6に記載の圧力センサユニット(1,150)。
- 前記軸線(O)方向において、前記内筒部材(6)の後端部(6j)が前記外筒部材(5)の後端(5a)よりも後方側に突出しており、該後端部(6j)が前記プラグチューブ(11)の前端部内側に挿入されている請求項6又は7に記載の圧力センサユニット(1,150,200)。
- 前記外筒部材(5)は、外周面が円筒面状の外筒本体部(5m)を有し、前記スパークプラグ(100)の取付状態において、前記内筒部材(6)と前記外筒部材(5)との少なくとも一方のものの軸線(O)方向における後端が、前記圧力センサ素子(3)の後端と前記スパークプラグ(100)の絶縁体(110)の後端との間(以下、基準区間(SS)という)に位置するとともに、前記基準区間(SS)よりも後方側において、センサ出力リード線(9)の前記軸線(O)に関する半径方向外側の縁位置が、該半径方向において前記外筒本体部(5m)の内周面位置よりも外側にある請求項1ないし8のいずれか1項に記載の圧力センサユニット(1,150,200,202)。
- プラグホール(PH)底に形成された取付孔(PF)に取り付けられるスパークプラグ(100)の主体金具(101)の外周面から鍔状に突出するセンサ支持部(102)と、前記取付孔(PF)の開口周縁部(GS)との間に、圧力センサユニット(1,150,200,202)のユニット本体部(2)に組み込まれた圧力センサ素子(3)が配置され、前記ユニット本体部(2)に一体化されたプラグチューブ(11,5e)により、前記プラグホール(PH)の内周面が覆われ、
前記ユニット本体部(2)は金属材料にて構成されるとともに、前記プラグチューブ(11)は高分子材料にて構成され、
前記プラグチューブ(11)は、前記ユニット本体部(2)側に設けられかつ全体が柔軟弾性材料で構成された接続部(19)にて該ユニット本体部(2)と結合されていることを特徴とする圧力センサユニットの取付構造。
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