以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず,本発明の第1の実施形態にかかる光ディスク装置の構成について説明する。図1は,本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置が搭載されたノート型パソコンを示す斜視図である。図2は,本実施形態に係る光ディスク装置を示す分解斜視図である。図3及び図4は,本実施形態に係るディスクトレイの裏面を示す平面図である。
光ディスク装置1(記録媒体駆動装置)は,CD(compact disk),DVD(digital versatile disk)等の情報記録再生媒体である光ディスク4(記録媒体)に情報を記録及び/又は再生する装置であり,図1に示すように,例えばノート型パソコン2等の電子機器に搭載される。図2に示すように,光ディスク装置1は,情報の記録再生用光ディスク4を収容するディスクトレイ6(記録媒体トレイ)と,ディスクトレイ6を出入可能に支持する筐体8と,ディスクトレイ6の前面に設けられる前面パネル100と,ディスクトレイ6を筐体8内に保持固定するディスクトレイ保持機構18(記録媒体トレイ保持機構)と,光ディスク4に記録された情報の再生を行い,光ディスク4に情報を記録する光ピックアップユニット10と,から構成される。以下に,光ディスク装置1の各構成要素について説明する。
ディスクトレイ6は,光ディスク4を収納する収納凹部12と,収納凹部12に形成された開口部14と,ディスクトレイ6の側部に形成されたガイド突条16とを有する。収納凹部12は,ディスクトレイ6の主面6bから窪んだ略円形の凹部からなる。開口部14は,収納凹部12の略中央部からディスクトレイの前面6a側にかけて形成される。開口部14は,光ディスク4が設置されるディスクトレイ6の主面6b側に,ディスクテーブル154と対物レンズ156とを露出させる。ガイド突条16は,ディスクトレイ6の側部において,ディスクトレイの前面6aから背面6dにかけて溝状に形成される。
ディスクトレイ6の主面6bには,上述のとおり,略円形の収納凹部12が形成され,ディスクトレイ6の裏面6c側には,図3及び図4に示すように,光ピックアップユニット10が収容される収納部24と,ディスクトレイ6を筐体8内部に保持するディスクトレイ保持機構18が形成される。収納部24には,複数の係合突起26が設けられる。係合突起26は,略円柱形状を有しており,光ピックアップユニット10のベースシャーシに設けられた複数の係合孔(図示せず。)と係合される。収納部24の係合突起26と,光ピックアップユニット10の係合孔とが係合されることにより,ディスクトレイ6と光ピックアップユニット10とが接続される。
筐体8は,ディスクトレイ6を出入可能に保持する本体部8bと,本体部8bを被覆するカバー部8aとからなる。筐体8は,カバー部8aと本体部8bとを組み合わせて形成される。筐体8の本体部8bは,一端側が開放され,開放された一端側と対向する他端側は,背面壁28aが形成される。また,開放端側と背面壁28aとを結んだ縁部には,側壁28b,28cが形成される。
側壁28b,28cには,ガイドレール30が配設される。ガイドレール30は,背面壁28aから開放端側にかけて,断面が略コ字形状で形成される。そして,コ字形状の凹部30aを筐体8の内部側に向けて配設される。ガイドレール30には,ガイド部材20が摺動可能なように係合される。ガイド部材20は,断面が略コ字形状に形成され,ディスクトレイ6の側部を挟持して係合される。また,ガイドレール30には,ストッパー片22が形成される。ストッパー片22は,ガイド部材20の摺動領域を規制し,ディスクトレイ6が所定の長さ以上に筐体8より引き出されることを防止する。
筐体8の本体部8bには,係合凸部36が設けられる。係合凸部36は,略円柱形状で形成され,ディスクトレイ6を筐体8内部に保持するディスクトレイ保持機構18に係合される。また,本体部8bには,背面壁28aと側壁28bと接するように配線基板34が設けられる。配線基板34は,駆動回路が形成され,外部機器との接続をするためのコネクタなどの電子部品が実装される。配線基板34には,光ピックアップユニット10と接続されるFPC(flexible printed
circuit)38が取り付けられる。前面パネル100は,図2に示すように,ディスクトレイ6の前面に設けられる。なお,ディスクトレイ6の前面とは,筐体8の開放端側であり,筐体8からディスクトレイ6が出入する側である。
ディスクトレイ保持機構18は,図3及び図4に示すように,ディスクトレイ6を筐体8内部に係合する係合機構40と,ディスクトレイ6を筐体8外部へ付勢する付勢機構50とを有する。ディスクトレイ保持機構18は,ディスクトレイ6の裏面6c側に形成される。
付勢機構50は,図3及び図4に示すように,ディスクトレイ6の裏面6cに設けられる。付勢機構50は,ばね収容部52とコイルばね54と押し出し部材56とを有する。ばね収容部52は,コイルばね54を収容するように,壁で囲まれて形成されており,さらに収納壁52aと段差部52cとが形成されている。収納壁52aには,押し出し部材56が貫通する挿通孔52bが設けられる。段差部52cは,ばね収容部52の側壁間の幅が異なる部分であり,押し出し部材56のフランジ56aが段差部52cで突き当たるように形成される。
コイルばね54は,ばね収容部52に収容され,ばね収容部52の収容壁52aと押し出し部材56のフランジ56aとの間に設けられる。コイルばね54の中空部には,押し出し部材56が設けられ,押し出し部材56はコイルばね54の中空部を通過できる。押し出し部材56は棒状に形成され,ディスクトレイ6から出入可能となるように設けられる。押し出し部材の軸方向中間部には,他の部分よりも一部径が太く形成されたフランジ56aが形成される。
係合機構40は,図3〜図6に示すように,係合片42と,回動片44と,プランジャー47と,押圧片48とを有する。係合片42は,図5及び図6に示すように,ディスクトレイ6に設けられ,係合凸部36を係合する方向に回動付勢される。係合片42は,先端部に係合部60が形成された胴体部61と,胴体部61の基端側に設けられ,係合片42の回動支点となる支柱部62と,回動片44と接触される接触部63と,イジェクトボタンの裏面に形成されたエマージェンシー解除部64とを有する。係合片42は,胴体部61の先端側から係合凸部36の進行方向に向かって矢印A方向に膨出する傾斜面66が形成され,この傾斜面66の膨出端に鉤状の係合部60が形成される。
回動片44は,係合片42の接触部63を押圧して回動領域を規制する規制突部71と,回動片44の回動支点となる支柱部72と,押圧片48と接触し押圧される接触部73と,プランジャー47と接続された接続部74とからなる。回動片44は,支柱部72に捻りコイルばね75が巻回されることにより,図5及び図6の矢印B方向に常時回動付勢される。規制突部71は,係合片42が図5及び図6の矢印D方向に付勢されることによって,係合片42の接触部63と常に当接される。回動片44が矢印B方向又は反矢印B方向に回動されることにより,接触部63を介して係合片42の回動領域が規制される。
接触部73は,押圧片48との接触箇所に膨出部76が形成される。接続部74は,回動片44の一面側に突起部74aが形成される。突起部74aは,プランジャー47に形成された接続孔47aに挿入される。また,接触部73と接続部74との間には,スリット77が形成される。スリット77が設けられることにより,押圧片48に押圧される接触部73は弾性変形することができる。また,ディスクトレイ6には,ストッパー壁97が形成されており,ストッパー壁97は,回動片44が矢印B方向に付勢されて過剰に回動することを規制することができる。
鉄芯コイル46は,中空状の鉄芯82にコイル80が巻回されて形成され,その中空部にプランジャー47の挿通軸85が挿入される。鉄芯コイル46は,マグネット(図示せず。)を内蔵しており,マグネットは,挿通軸85を図5及び図6の矢印C方向に磁気吸引する。
押圧片48は,筐体8側に設けられた係合凸部36に接触,押圧されるアーム部89と,アーム部89の基端部に設けられ,押圧片48の回動支点となる支柱部90と,回動片44の接触部73を押圧して回動片44を回動させる押圧部91とを有する。押圧片48には,支柱部90に捻りコイルばね92が巻回される。捻りコイルばね92は,一端が押圧片48に係止され,他端がディスクトレイ6の裏面6cに形成された係止部材95に係止されている。係止部材95は,半円形の係止片95aと,矩形の係止片95bとから形成され,係止片95a,95bは互いに間隔を隔てて形成される。捻りコイルばね92は,半円形の係止片95aのほうに掛けられる。
捻りコイルばね92は,押圧片48を定位置に保持させる。この定位置とは,押圧片48のアーム部89が係合凸部36の移動軌跡上に交差する位置である。具体的には,係合凸部36が図5及び図6の矢印E方向に移動し,アーム部89が押圧されて,押圧片48が矢印D方向に回動した後,押圧片48は,捻りコイルばね92によって,上記の定位置に戻される。また,回動片44が矢印B方向に回動して,押圧片48が反矢印D方向に回動して,押圧片48が反矢印D方向に回動した後も,押圧片48は,捻りコイルばね92によって,上記の定位置に戻される。
また,押圧片48付近には,ストッパー96が設けられる。ストッパー96は,例えば円柱形状の突起であり,ディスクトレイ6の裏面6cに設けられる。ストッパー96は,押圧片48が反矢印D方向に過剰に回動されることを防止できる。
光ピックアップユニット10は,ディスクトレイ6の裏面6c側の収納部24に設けられる。光ピックアップユニット10は,光ピックアップユニット10の上面側を覆うカバー部材150と,下面側を覆う底板152とによって挟持される。光ピックアップユニット10は,ユニット本体を構成するベースシャーシと,ベースシャーシと一体的に形成され,光ディスク4が取り付けられるディスクテーブル154と,ディスクテーブル154に載置された光ディスク4に対して情報信号の記録又は再生を行う光ピックアップ装置と,光ピックアップ装置を光ディスク4の径方向にわたって移動させるピックアップ移動機構と,光ピックアップ装置のピックアップ移動機構による移動をガイドする一対のガイド軸と,ガイド軸の傾きを調整することにより光ピックアップ装置に設けられた対物レンズ156と,光ディスク4の信号記録面との相対的な傾きを調整するスキュー調整機構とを有する。なお,本実施形態は,一般的な光ピックアップユニット10を採用することができることから,光ピックアップユニット10の詳細な構成及び動作については省略する。
次に,本発明の第1の実施形態にかかるディスクトレイ6及びディスクトレイ保持機構18の動作について説明する。光ディスク装置1が,光ディスク4を筐体8外へ排出するとき,筐体8は,図5に示すように,回動片44が矢印B方向に付勢されて,ディスクトレイ6に設けられたストッパー壁97に当接される。また,係合片42は,回動片44の規制突部71によって接触部63が反矢印A方向に回動され,係合部60が係合凸部36の移動軌跡上より退避された位置に保持される。従って,係合凸部36が立設された筐体8の本体部8bとディスクトレイ6との係合は解除され,ディスクトレイ6に設けられたコイルばね54の付勢力を受けた押し出し部材56が本体部8bの背面壁28aを付勢してディスクトレイ6が筐体8から排出される。
次に,ディスクトレイ6を筐体8内部に収容する動作について説明する。ディスクトレイ6の収納凹部12に光ディスク4が載置され,ユーザによってディスクトレイ6が筐体8内に挿入されると,本体部8bに立設された係合凸部36が図5中矢印E方向に進み,押圧片48のアーム部89と接触して,アーム部89を図6中矢印D方向に回動させる。アーム部89が回動することにより押圧片48の押圧部91が回動片44の接触部73を押圧して,回動片44を図6中反矢印B方向に回動させる。回動片44の接続部74に接続されているプランジャー47は,挿通軸85が鉄芯コイル46内に深く挿入されて,鉄芯コイル46内に配設されたマグネットに磁気吸着される。
このとき,押圧片48の押圧部91と接触する接触部73には膨出部76が形成されているため,押圧片48は,膨出部76を押圧することにより確実に回動片44を反矢印B方向に回動させ,プランジャー47を鉄芯コイル46に内蔵されたマグネットと吸着させることができる。また,回動片44は,接触部73と接続部74との間にスリット77が形成され,接触部73が弾性変位可能とされているため,接触部73が押圧片48に過剰に押圧されたときにも接触部73を撓ませて押圧力を吸収できる。
これによりプランジャー47及び回動片44は,捻りコイルばね75の付勢力に対抗して図6中反矢印B方向に回動され保持される。係合片42は,回動片44の規制突部71が反矢印B方向に回動されることにより,矢印A方向へ回動領域が広がり,図6に示すように,係合部60が係合凸部36の移動軌跡上に位置される。
さらにディスクトレイ6が筐体8内に挿入されると,係合凸部36は,係合片42の胴体部61の先端に設けられた傾斜面66を反矢印A方向に回動させながら図6中矢印E方向に進み,係合部60に係合される。これにより,ディスクトレイ6と筐体8の本体部8bとが係合される。
このとき,押し出し部材56は,図4に示すように,本体部8bの背面壁28aから押し戻されて,フランジ56aによりコイルばね54を前面6a側に圧縮しながら前面6a側に移動する。コイルばね54は,前面6a側の端部がばね収納部52の収納壁52aに係止されているため,フランジ56aに押圧されて圧縮することにより,フランジ56aを背面6d側に付勢する付勢力を保持している。即ち,ディスクトレイ6は,本体部8bを背面6d側に付勢しながら本体部8bに突設されている係合凸部36を係合片42で係合することにより筐体8内に保持されている。
次に,イジェクト手段,即ち光ディスク4のイジェクトスイッチ(図示せず。)が押圧されたときの動作について説明する。光ディスク装置1全体の動作を制御する制御回路は,イジェクトスイッチが押されたかどうかを判断する。次に,制御回路は,イジェクトスイッチが押されたことを検出すると,光ピックアップ装置(図示せず。)をリードインエリアの開始位置まで移動する。次に,光ピックアップ装置がリードインエリアの開始位置に移動すると,制御回路は,プランジャー47を磁気吸引するマグネットの磁力をキャンセルさせるために鉄芯コイル46に電力を供給してディスクトレイ6の係合機構と筐体8の係合凸部36との係合を解除する。すると,光ディスク4が装着されているディスクトレイ6は,コイルばね54の付勢力によって筐体8外に排出される。
具体的に,ディスクトレイ6を筐体8より排出する際には,ディスクトレイ6の操作部(図示せず。)から操作信号を受けた制御回路によって,鉄芯コイル46に内蔵されたマグネットの磁力をキャンセルするような電流を供給するように制御される。従って,回動片44は,捻りコイルばね75の付勢力によって,図5中矢印B方向に回動される。係合片42は,規制突部71が矢印B方向に回動されることによって,反矢印A方向へ回動され,係合部60が係合凸部36の移動軌跡上から退避される。これにより,係合部60から係合凸部36が外れ,ディスクトレイ6と筐体8の本体部8bとの係合が解除される。
このとき,押し出し部材56は,コイルばね54の付勢力と同等の反力を背面壁28aから受けて,フランジ56aによりコイルばね54を前面6a側に押し戻す。コイルばね54は,前面6a側端部がばね収納部52の収納壁52aに係止されているため,この収納壁52aを前面6a側に押し出しながら伸長していく。これによりディスクトレイ6は筐体8の開放端側に押し出され,前面6a側が筐体8の開放端側に排出される。
なお,回動片44が矢印B方向に回動されることにより,押圧片48の押圧部91が回動片44の接触部73と衝突して反矢印D方向に回動されたときにも,アーム部89がストッパー96に係止されるため,過剰にアーム部89が過剰に回動して係合凸部36の移動軌跡上に位置されなくなる事態は防止される。また,押圧片48に巻回された捻りコイルばね92は,ディスクトレイ6の裏面6cに形成された係止部材95によって係止位置が適正な位置に規制され,最適な付勢力を押圧片48に与えている。従って,押圧片48は,係合凸部36や回動片44に押圧されて矢印D方向又は反矢印D方向に回動されたときにおいても,係合凸部36の移動軌跡上にアーム部89が交差する元の位置に戻される。
次に,エマージェンシー解除手段,即ちエマージェンシー解除部64が押圧されたときの動作について説明する。エマージェンシー解除部64が押圧されると,係合片42は,図5中反矢印A方向に回動される。係合片42が反矢印A方向に回動されると,係合部60は,係合凸部36の移動軌跡上より退避され,係合凸部36との係合が解除される。その結果,ディスクトレイ6と本体部8bとの係合が解除され,ディスクトレイ6は付勢機構50によって本体部8b外へ押し出される。
このように,本実施形態では,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持機構を解除する手段として,イジェクトスイッチ(図示せず。)の押圧によりプランジャー47の磁気吸引を解除する手段(イジェクト手段)と,エマージェンシー解除部64の押圧により解除する手段(エマージェンシー解除手段)の2つを備えている。
次に,図7及び図8を参照して,本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置のイジェクトボタンについて説明する。図7は,本実施形態に係る前面パネルを示す正面図である。図8は,本実施形態に係る前面パネルを示す断面図であって,図7中に示す一点鎖線I−Iに沿った断面を示す図である。ここで,図8(a),(b)は図7(a)の状態に対応しており,図8(c),(d)は図7(b)の状態に対応している。
前面パネル100は,図1に示すように,ディスクトレイ6の前面に設けられる。前面パネル100には,図8に示すように,光ディスク4のイジェクト操作をするためのイジェクトボタン102と,イジェクトボタン102を前面パネル100の面内方向に摺動することができるボタン孔114とが設けられる。
イジェクトボタン102は,前面パネル100の前面に露出したボタン部110と,エマージェンシー解除部64を当接する当接部112と,ボタン部110の裏側に設けられたボタン押さえ材116とを有する。ボタン部110は,前面パネル100の前面側に露出しており,ボタン孔114に挿入されて設けられる。当接部112は,ボタン部110と接続されており,当接部112の先端である先端部118がエマージェンシー解除部64と当接できるように構成されている。当接部112の長さは,後述するイジェクトボタン102の操作に応じて変化する先端部118とエマージェンシー解除部64との位置関係によって決定される。
ボタン押さえ材116は,ボタン孔114の開口面積よりも広い面積を有しており,イジェクトボタン102が前面パネル100より外れないように設けられている。ボタン孔114は,イジェクトボタン102がボタン孔114内部で図7中の左右に摺動できるような大きさで形成される。前面パネル100の裏側には,イジェクト手段を作動させるイジェクトスイッチ(図示せず。)が配置される。イジェクトボタン110がボタン孔114内の所定位置,例えば図7中の左側に位置しているとき,イジェクトボタン110は,外部から押圧されることによって,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチを押圧することができる。
次に,図7及び図8を参照して,本実施形態に係るイジェクトボタン102の動作について説明する。図7(a)は,ボタン部110がボタン孔114内で左側に位置している状態を示す正面図である。図7(b)は,ボタン部110がボタン孔114内で右側に位置している状態を示す正面図である。また,図8(a)は,イジェクトボタン110がボタン孔114内で左側に位置している状態を示す断面図である。図8(b)は,イジェクトボタン110がボタン孔114内の左側で押圧された状態を示す断面図である。図8(c)は,イジェクトボタン110がボタン孔114内で右側に位置している状態を示す断面図である。図8(d)は,イジェクトボタン110がボタン孔114内の右側で押圧された状態を示す断面図である。
イジェクトボタン102が,図7(a)及び図8(a)に示す位置にあるとき,即ち,イジェクトボタン102が,ボタン孔114の左側にあるとき,イジェクトボタン102が押圧されると,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチ(図示せず。)が押圧される。そして,イジェクトスイッチが押圧されて,イジェクト手段が作動することによって,ディスクトレイ6の保持固定が解除され,光ディスク4を取り出すことができる。なお,このとき,イジェクトボタン102を押圧しても,図8(b)に示すように,当接部112の先端部118はエマージェンシー解除部64を当接することができず,エマージェンシー解除手段は作動しない。本実施形態は,このときの動作を通常モードとして,光ディスク4の取り出しを行うことができる。
次に,イジェクトボタン102をボタン孔114内で右側に摺動させて,イジェクトボタン102を図8(c)に示す位置に移動させると,当接部112の先端部118がエマージェンシー解除部64と接触する。さらに,イジェクトボタン102を押圧すると,当接部112が筐体8内部方向に押圧されて,当接部112の先端部118は,図8(d)に示すように,係合機構40のエマージェンシー解除部64を押圧し,エマージェンシー解除手段を作動させることができる。本実施形態は,このときの動作をエマージェンシーモードとして,光ディスク4の取り出しを行うことができる。
以上の説明をまとめると,本実施形態においては,通常モードで,イジェクトボタン102がボタン孔114の図7中の左側に位置するとき,イジェクトボタン102が押圧された場合は,前面パネル100の裏側に配置されたイジェクトスイッチが押圧されて,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。一方,イジェクトボタン102が図7中の右側に摺動され,さらに筐体8内部方向に押圧されたときは,イジェクトボタン102の裏側に設けられた当接部112が移動することによって,エマージェンシー解除部64が押圧されて,エマージェンシーモードにより,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。その結果,通常モードではなく,光ディスク装置1の駆動が異常動作をしているときや光ディスク装置1の電源が遮断されているとき等に,イジェクトボタン102を摺動させることによって,エマージェンシー解除手段を作動させることができ,光ディスク4を取り出すことができる。
従来,エマージェンシー解除手段を作動させるためには,エマージェンシーボタンを押圧するため,別途にピンを用意する必要があり,さらに小さい穴にピンを通す必要があったが,本実施形態によれば,迅速かつ用意にエマージェンシー解除手段を作動させることができる。さらに,通常モードとエマージェンシーモードのいずれにおいてもイジェクトボタン102の操作により光ディスク装置1を取り出すことができる。従って,同一のボタンで通常モードとエマージェンシーモードの2つの機能を果たすことが可能となる。
また,本実施形態においては,エマージェンシー解除部64が隠蔽されているため,エマージェンシー解除部64の位置を外観から認識することができない。従って,本実施形態に係る光ディスク装置1の構造を知らない第三者は,エマージェンシー解除手段によって,光ディスク装置1に収容された光ディスク4を取り出すことができない。そのため,光ディスク4の盗難防止を図ることができる。
次に,本実施形態に係る光ディスク装置のイジェクトボタンの変更例について説明する。図9は,本実施形態に係る前面パネルの変更例を示す正面図である。図10は,本実施形態に係る前面パネルの変更例を示す断面図であって,図7中に示す一点鎖線II−IIに沿った断面を示す図である。ここで,図10(a),(b)は図9(a)の状態に対応しており,図10(c),(d)は図9(b)の状態に対応している。
図7及び図8で説明した実施形態は,イジェクトボタン102が前面パネル100面内で左右に摺動するように構成されているが,以下に示す変形例は,イジェクトボタン104が前面パネル100面内で上下に摺動するように構成される。
前面パネル100には,図10に示すように,光ディスク4のイジェクト操作をするためのイジェクトボタン104と,イジェクトボタン104を前面パネル100面内で摺動することができるボタン孔124とが設けられる。イジェクトボタン102は,前面パネル100の前面に露出したボタン部110と,エマージェンシー解除部64を当接する当接部122と,ボタン部120の裏側に設けられたボタン押さえ材126とを有する。そして,ボタン孔124は,イジェクトボタン104がボタン孔124内部で図9中の上下に摺動するような大きさで形成される。
次に,図9及び図10を参照して,本実施形態に係るイジェクトボタン104の動作について説明する。図9(a)は,ボタン部120がボタン孔124内で上側に位置している状態を示す正面図である。図9(b)は,ボタン部120がボタン孔124内で下側に位置している状態を示す正面図である。また,図10(a)は,イジェクトボタン120がボタン孔124内で上側に位置している状態を示す断面図である。図10(b)は,イジェクトボタン120がボタン孔124内の上側で押圧された状態を示す断面図である。図10(c)は,イジェクトボタン120がボタン孔124内で下側に位置している状態を示す断面図である。図10(d)は,イジェクトボタン120がボタン孔124内の右側で押圧された状態を示す断面図である。
この変更例の場合も,図9(a),図10(a),図10(b)に示す位置にイジェクトボタン104がある場合は,イジェクトボタン104を押圧すると前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチを押圧し,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。一方,図9(b),図10(c),図10(d)に示す位置にイジェクトボタン104がある場合は,イジェクトスイッチは押圧されず,係合機構40のエマージェンシー解除部64が,イジェクトボタン104に形成された当接部122の先端部128によって押圧され,ディスクトレイ保持機構によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。
従来,エマージェンシー解除手段を作動させるためには,エマージェンシーボタンを押圧するため,別途にピンを用意する必要があり,さらに小さい穴にピンを通す必要があったが,本実施形態によれば,迅速かつ用意にエマージェンシー解除手段を作動させることができる。さらに,通常モードとエマージェンシーモードのいずれにおいてもイジェクトボタン102の操作により光ディスク装置1を取り出すことができる。従って,同一のボタンで通常モードとエマージェンシーモードの2つの機能を果たすことが可能となる。
また,本実施形態においては,エマージェンシー解除部64が隠蔽されているため,エマージェンシー解除部64の位置を外観から認識することができない。従って,本実施形態に係る光ディスク装置1の構造を知らない第三者は,エマージェンシー解除手段によって,光ディスク装置1に収容された光ディスク4を取り出すことができない。そのため,光ディスク4の盗難防止を図ることができる。
(第2の実施形態)
次に,図11及び図12を参照して,本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置のイジェクトボタンについて説明する。図11は,本実施形態に係る前面パネルを示す正面図である。図12は,本実施形態に係る前面パネルを示す側面図である。
前面パネル100には,図11及び図12に示すように,光ディスク4のイジェクト操作をするためのイジェクトボタン202と,イジェクトボタン202を前面パネル100面内で摺動することができるボタン孔214とが設けられる。
イジェクトボタン202は,前面パネル100の前面に露出したボタン部210と,エマージェンシー解除部64を当接する連結ピン212と,連結ピン212の一端と当接するカム部材216,218とを有する。ボタン部210は,ボタン孔214に挿入されている。ボタン部210は,ボタン孔214内で図11中の上下方向,及び筐体8に対して内部方向又は外部方向に摺動可能であり,イジェクトボタン202の位置を移動させることができる。
カム部材216,218は,一端がボタン部210と接続されている。カム部材216,218の斜面カム220,222は,連結ピン212の端部224と接するように設けられており,連結ピン212移動方向と斜交するように設けられている。カム部材216の斜面カム220は,イジェクトボタン202を前面から見て,ボタン部210との接続側から次第に上昇するように形成され,カム部材218の斜面カム222は,反対に次第に下降するように形成される。本実施形態では,カム部材216,218は,同形状の斜面カム220,222を有しており,斜面カム220,222は,イジェクトボタン202の中心線を中心として対称となるように互いに向かい合って配置される。
連結ピン212は,筐体8の内部側において,係合機構40のエマージェンシー解除部64とイジェクトボタン202との間に設けれる。連結ピン212の長さは,後述するイジェクトボタン202の操作に応じて移動する斜面カム220,222と,エマージェンシー解除部64との位置関係によって決定される。連結ピン212は,斜面カム220,222と当接しながら,直線状の動作ができるように配置される。ボタン孔214は,図11に示すように,イジェクトボタン202がボタン孔214内部で図11中の上下に摺動するような大きさで形成される。
前面パネル100の裏側には,イジェクト手段を作動させるイジェクトスイッチ(図示せず。)が配置される。イジェクトボタン210がボタン孔214の所定位置,例えば中央部に位置しているとき,イジェクトボタン210は,押圧されることによって,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチを押圧することができる。そして,イジェクトスイッチが押圧されると,イジェクト手段が作動することによって,ディスクトレイ6の保持固定が解除され,光ディスク4を取り出すことができる。
次に,図11及び図12を参照して,本実施形態に係るイジェクトボタン202の動作について説明する。図11(a)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で中間に位置している状態を示す正面図である。図11(b)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で下側に位置している状態を示す正面図である。図11(c)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で上側に位置している状態を示す正面図である。また,図12(a)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で中間に位置している状態を示す側面図である。図12(b)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で中間から下方向へ移動している経過を示す側面図である。図12(c)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で下側に位置している状態を示す側面図である。図12(d)は,イジェクトボタン210がボタン孔214内で上側に位置している状態を示す側面図である。
イジェクトボタン202が,図11(a)及び図12(a)に示す位置にあるとき,即ち,イジェクトボタン202が,ボタン孔214の中間部にあるとき,イジェクトボタン202が押圧されると,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチ(図示せず。)が押圧される。そして,イジェクトスイッチが押圧されて,イジェクト手段が作動することによって,ディスクトレイ6の保持固定が解除され,光ディスク4を取り出すことができる。なお,このとき,イジェクトボタン202を押圧しても,カム部材216,218は連結ピン212を当接することができず,エマージェンシー解除手段は作動しない。このときの動作を通常モードとして,光ディスク装置1における光ディスク4の取り出しを行うことができる。
次に,イジェクトボタン202をボタン孔214内で下側に摺動させて,イジェクトボタン202を図12(b)に示す位置に移動させると,カム部材216の斜面カム220が連結ピン212の一側の端部224と接触する。さらに,イジェクトボタン202を下側に摺動させると,連結ピン212は,カム部材216の斜面カム220によって押圧されて,イジェクトボタン202側から係合機構40側へ直線的に移動する。そして,連結ピン212の他側の端部226は,図12(c)に示すように,係合機構40のエマージェンシー解除部64に当接し,エマージェンシー解除手段を作動させることができる。本実施形態は,このときの動作をエマージェンシーモードとして,光ディスク4の取り出しを行うことができる。
以上,イジェクトボタン202をボタン孔214内で下側に摺動させる場合について説明したが,本実施形態では,図11(c)及び図12(d)に示すように,イジェクトボタン202を上側に摺動させることができる。そして,この場合は,カム部材218の斜面カム222が連結ピン212を押圧する。その結果,上記と同様に,連結ピン212がエマージェンシー解除部64に当接して,エマージェンシー解除手段を作動させることができる。
以上の説明をまとめると,本実施形態においては,通常モードで,イジェクトボタン202がボタン孔214の中間部に位置するとき,イジェクトボタン202が押圧された場合は,前面パネル100の裏側に配置されたイジェクトスイッチが押圧されて,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。一方,イジェクトボタン202が下側又は上側に摺動されたときは,前面パネル100の裏側に配置された連結ピン212が移動することによって,エマージェンシー解除部64が押圧されて,エマージェンシモードにより,ディスクトレイ保持機構18によるディスクトレイ6の保持固定が解除される。その結果,通常モードではなく,光ディスク装置1の駆動が異常動作をしているときや光ディスク装置1の電源が遮断されているとき等に,イジェクトボタン202を摺動させることによって,エマージェンシー解除手段を作動させることができ,光ディスク4を取り出すことができる。
従来,エマージェンシー解除手段を作動させるためには,エマージェンシーボタンを押圧するため,別途にピンを用意する必要があり,さらに小さい穴にピンを通す必要があったが,本実施形態によれば,迅速かつ用意にエマージェンシー解除手段を作動させることができる。さらに,通常モードとエマージェンシーモードのいずれにおいてもイジェクトボタン102の操作により光ディスク装置1を取り出すことができる。従って,同一のボタンで通常モードとエマージェンシーモードの2つの機能を果たすことが可能となる。
また,本実施形態においては,エマージェンシー解除部64が隠蔽されているため,エマージェンシー解除部64の位置を外観から認識することができない。従って,本実施形態に係る光ディスク装置1の構造を知らない第三者は,エマージェンシー解除手段によって,光ディスク装置1に収容された光ディスク4を取り出すことができない。そのため,光ディスク4の盗難防止を図ることができる。
なお,本実施形態では,イジェクトボタン202に2つの斜面カム220,222が設けられる場合について説明したが,この例に限定されず,いずれか1つの斜面カムのみが設けられるとしてもよい。また,本実施形態では,斜面カム220,222をイジェクトボタン202の上下方向に取り付けることにより,イジェクトボタン202をボタン孔214内で上下方向に摺動する場合について説明したが,この例に限定されず,斜面カムをイジェクトボタン202の左右方向に取り付けることにより,イジェクトボタン202をボタン孔214内で左右に摺動することができる構成としてもよい。
(第3の実施形態)
次に,図13を参照して,本発明の第3の実施形態に係る光ディスク装置のイジェクトボタンについて説明する。図13は,本実施形態に係る前面パネルを示す正面図である。前面パネル100には,図13に示すように,光ディスク4のイジェクト操作をするためのイジェクトボタン310と,イジェクトボタン310を前面パネル100面内で摺動することができるボタン孔314とが設けられる。
イジェクトボタン310は,前面パネル100の前面に露出しており,ボタン孔314に接して設けられる。イジェクトボタン310の裏側には,イジェクト手段を作動させるイジェクトスイッチが配置される。イジェクトボタン310がボタン孔314の一側,例えば図13中の右側に位置しているとき,イジェクトボタン310は,押圧されることによって,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチを押圧することができる。ボタン孔314は,図13に示すように,イジェクトボタン310がボタン孔314内部で図13中の左右に摺動するような大きさで形成される。
また,前面パネル100の裏側には,エマージェンシー解除部64を当接することができるエマージェンシーボタン312が配置される。そして,エマージェンシーボタン312は,イジェクトボタン310を摺動することによって,エマージェンシーボタン312を隠蔽したり露出したりできるような位置に配置される。
次に,図13を参照して,本実施形態に係るイジェクトボタン310の動作について説明する。図13(a)は,イジェクトボタン310が,ボタン孔314内で右側に位置しているときを示す図である。図13(b)は,イジェクトボタン310が,ボタン孔314内で左側に位置しているときを示す図である。イジェクトボタン310が,図13(a)に示す状態にあるとき,イジェクトボタン310が押圧されると,前面パネル100の裏側に設けられたイジェクトスイッチ(図示せず。)が押圧される。そして,イジェクトスイッチが押圧されて,イジェクト手段が作動することによって,ディスクトレイ6の保持固定が解除され,光ディスク4を取り出すことができる。なお,このとき,イジェクトボタン310を押圧しても,エマージェンシーボタン312を押圧することはできない。
一方,イジェクトボタン310を図13(a)の状態から図13中の左側に摺動させると,前面パネル100の裏側に設けられたエマージェンシーボタン312が露出する。このとき,別途に用意したピン等によってエマージェンシーボタン312を押圧することによって,エマージェンシー解除手段を作動させることができ,光ディスク装置1の駆動が異常動作をしているときや光ディスク装置1の電源が遮断されているとき等に,光ディスク4を取り出すことができる。
本実施形態において,イジェクトボタン310が図13中の右側にあるときは,エマージェンシーボタン312が隠蔽されているため,エマージェンシーボタン312の位置を外観から認識することができない。そのため,本実施形態に係る光ディスク装置1の構造を知らない第三者は,光ディスク装置1に収容された光ディスク4を取り出すことができず,光ディスク4の盗難を防止することができる。
なお,本実施形態では,イジェクトボタン310を左に摺動することによって,エマージェンシーボタン312が露出する例について説明したが,この例に限定されず,イジェクトボタン310を右側,上側又は下側に摺動することによってエマージェンシーボタン312を露出する構成としてもよい。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。