本発明は,その断面が扁平な矩形状を有する鋼片(以下,単に「扁平矩形鋼片」と称する。)に幅方向に圧下を施すことにより,該扁平矩形鋼片の幅方向両端部にフランジ相当部を生成させたいわゆるドッグボーン形鋼片を造形し,引き続いて,該ドッグボーン形鋼片に対して,H形粗形の形状を有するいわゆる成形孔型により板厚方向に圧下を加えて,H形粗形鋼片を造形するための圧延方法に関し,特に,一対のフランジ断面の寸法・形状が異なるH形粗形鋼片(以下,「非対称H形粗形鋼片」と称する。)を造形するための圧延方法に関する。
扁平矩形鋼片から非対称H形粗形鋼片を製造する手法については,例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の技術について図4及び図5を用いて詳細に説明する。
図4において,一対の上下ロール1,2には,孔底幅を順次広くした3つのエッジング孔型G1,G2,G3(即ち,孔底幅B1T<孔底幅B2T<孔底幅B3T,孔底幅B1B<孔底幅B2B<孔底幅B3B)と,1つの成形孔型G4とが形成されている。
このうちエッジング孔型G1,G2及びG3を形成する部分は,上下ロール1,2間で異なる。まず,下ロール2については,上記エッジング孔型G1,G2,G3を形成する部分は,成形孔型G4を形成する部分と一体構成されており,下ロール軸5Bに固定されている。一方,上ロール1については,上記エッジング孔型G1,G2,G3を形成する部分はスリーブロール3(図4で断面ハッチングを施した部分)であり,該スリーブロール3はベアリング4を介して,上記成形孔型G4を形成する部分と一体構成されている上ロール軸5Aに嵌められている。従って,該スリーブロール3は,図示していないミルモータで駆動される上ロール軸5Aの回転に対して独立で非駆動になっている。
さらに,上記エッジング孔型G1,G2,G3については,これらを形成するロール直径及び孔底幅が上下ロール1,2間で異なっている。ロール直径に関しては,エッジング孔型G1の孔底7−1について「上ロール直径D1T<下ロール直径D1B」,エッジング孔型G2の孔底7−2について「上ロール直径D2T<下ロール直径D2B」,エッジング孔型G3の孔底7−3について「上ロール直径D3T<下ロール直径D3B」のごとく,上ロール1の孔底のロール直径が下ロール2の孔底のロール直径よりも小さくなっており,上下ロール1,2間で直径が異なる(以下,「異径」と称する。)。また,孔底幅に関しては,エッジング孔型G2について「上ロール孔底幅B2T>下ロール孔底幅B2B」,エッジング孔型G3について「上ロール孔底幅B3T>下ロール孔底幅B3B」のごとく,上ロール1の孔底幅が下ロール2の孔底幅よりも大きくなっている。
また,成形孔型G4に関しては,図4の例では「dTL<dTR」,「dBL<dBR」のごとく,フランジ先端圧下部8の深さは左右で異なっており(右側の方が大きい。),左右非対称な形状の孔型に形成してある。
このような上下ロール対1,2を用いることにより,以下のようにして扁平矩形鋼片50から非対称H形粗形鋼片40が造形される。
まず,扁平矩形鋼片50(原形の矩形断面を破線で示す。)は,図5Aのように,孔底7−1に膨出部6−1が設けられたエッジング孔型G1によって,扁平矩形断面50の幅方向に圧下され,最終的にロール隙g1の状態で,膨出部6−1により短辺部に三角形状の溝(以下,「誘導溝」と称する。)が形成されたドッグボーン形鋼片10が造形される。
次に,図5Bのように,該ドッグボーン形鋼片10を,孔底7−2に膨出部6−2が設けられたエッジング孔型G2に導き,上記誘導溝を膨出部6−2によって誘導しつつ,元の扁平矩形鋼片50の断面の幅方向に圧下(幅圧下)を繰り返し,最終的にロール隙g2の状態で,幅F2Tの上フランジ21,幅F2Bの下フランジ22を有するドッグボーン形鋼片20を造形する。
さらに,被圧延材の誘導に利用した誘導溝が後工程で表面疵に進展するのを防止するために,図5Cのように,上記ドッグボーン形鋼片20を,膨出部が設けられていない平坦な孔底7−3のエッジング孔型G3に導き,元の扁平矩形鋼片50の断面の幅方向にさらに圧下を加えて,最終的にロール隙g3の状態で,上記誘導溝が消滅されたドッグボーン形鋼片30を得る。このドッグボーン形鋼片30は,幅F3Tの上フランジ31と,該幅F3Tより小さい幅F3Bの下フランジ32とを有する。
その後,図5Dのように,上記ドッグボーン形鋼片30を,I形からH形の姿勢に転回して成形孔型G4に導き,該ドッグボーン形鋼片30のウェブ33をウェブ圧下部9により,またフランジ31,32の先端部をフランジ先端圧下部8により,元の扁平矩形鋼片50の板厚方向に圧下を加えることにより,最終的にロール隙g4の状態で,非対称H形粗形鋼片40が得られる。該非対称H形粗形鋼片40は,左右のフランジ41,42の寸法・形状が異なる非対称断面であり,右フランジ41の幅はF4T,左フランジ42の幅はF4Bである(F4T>F4B)。
なお,この後の工程については図示していないが,上記H形粗形鋼片40にさらに周知のユニバーサル圧延機などで圧下を加え,フランジ幅が左右で異なる非対称H形鋼が得られる。
次に,上記図5A〜Dのような工程で,非対称H形粗形鋼片40を造形できるメカニズムについて説明する。図6は,エッジング孔型G2によりドッグボーン形鋼片20を幅圧下する様子を示している。図6に示すように,ドッグボーン形鋼片20にロール面から作用する上下方向の力のバランスから,該ドッグボーン形鋼片20の上下フランジ21,22の外面21a,22aはいずれも,エッジング孔型G2の上下の孔底7−2に対して,圧延方向にLd(以下,「投影接触弧長Ld」と称する。)の範囲で接触する。この接触領域でドッグボーン形鋼片20が幅圧下され,フランジ21,22は,元の扁平矩形鋼片50の板厚方向にメタルが排出されることにより,次第にそのフランジ幅が拡大していく。
ここで,幾何学的な関係から,投影接触弧長Ldは,次の数式(1)のように表される。
ただし,図6に示すように,RTは上ロール1の孔底の半径,RBは下ロール2の孔底の半径,ΔhTは上ロール1によるフランジ21の圧下量,ΔhBは下ロール2によるフランジ22の圧下量である。この数式(1)より,次の数式(2)が得られる。
式(2)より,圧下量はロール半径に反比例することが分かる。従って,例えば上ロール孔底半径RT<下ロール孔底半径RBであれば,ΔhT>ΔhBとなり,径小ロール側(この場合上ロール1側)での圧下量が大きい。その結果,上ロール1によって排除されるメタル量の方が,下ロール2によって排除されるメタル量よりも多くなり,上ロール1側のフランジ21の方が下ロール2側のフランジ22よりも断面積が大きくなる。この結果,ドッグボーン形鋼片20の断面は,上下に断面積の異なるフランジ21,22を有する非対称断面となる。さらに,これ以降のエッジング孔型G3及び成形孔型G4の圧延により得られるH形粗形鋼片40は,左右に断面積の異なるフランジ41,42を有する非対称なものとなる。
上記特許文献1の技術において,エッジング孔型G1,G2及びG3を形成する片側のロール,ここでは上ロール1の一部をスリーブロール3で構成し,このスリーブロール3を,ベアリング4を介して上ロール軸5Aに対して回転独立に取り付けて非駆動にするのは,圧延時における鋼材のスリップ及び圧延出側での反りを防止するためである。
なお,図4及び図5の例において,エッジング孔型G1の役割は扁平矩形鋼片50の短辺部に誘導溝を形成することのみであり,その意味では敢えてエッジング孔型G1を成す上下ロール1,2を異径にする必要はないが,この例ではエッジング孔型G1は,上下ロール1,2の異径が必須であるエッジング孔型G2,G3と隣接させて配置されたために,異径となったのである。
上記従来の技術を非対称H形粗形鋼片の製造に適用すれば,確かにエッジング孔型G1,G2及びG3による幅圧下時に鋼材がロールとスリップを起こすことなく,出側での反りもなく非対称なドッグボーン形鋼片30が造形され,成形孔型G4により非対称H形粗形鋼片40が得られる。
ところが,本発明者の研究によると,上記従来の技術を適用するにあたって,新たに以下のような改善すべき問題があることが分かった。
(1)先後部の形状
図5B及び図5Cに示したような幅圧下を行う際には,上ロール1のスリーブロール3は非駆動であるため,該スリーブロール3の回転は,被圧延材(ドッグボーン形鋼片20,30)の上フランジ21や31から受ける圧延方向(即ち,被圧延材が進む方向)の摩擦力によって与えられる。従って,その反作用として当該上フランジ21や31は,圧延方向とは逆の方向に上記スリーブロール3から摩擦力を受ける。一方,被圧延材の下フランジ22や32は,駆動源である下ロール2から圧延方向の摩擦力を受ける。この結果,幅圧下のパスが進むにつれて,例えばエッジング孔型G2の圧延においては,図7のように,上フランジ21が下フランジ22に対してΔLだけ後退する。これは,非対称H形粗形鋼片40にまで成形された段階,及びその後の段階にまで影響を及ぼし,先後端クロップ切り捨て量が増加して歩留を低下させたり,あるいは成形孔型G4での圧延で被圧延材の成型孔型G4への噛み込みが不安定になるなど,生産性を低下させる原因となってしまう。
(2)成形圧延での曲がり
また,成形孔型G4による圧延の際には,図5Dのように,目標とする非対称H形粗形鋼片40は左フランジ42の方が右フランジ41よりも幅狭(F4B<F4T)なので,成形孔型G4のフランジ先端圧下部8によってフランジ41,42の先端部が圧下されるときには,幅狭の左フランジ42の方が,幅広の右フランジ41よりも圧延方向の伸びが大きくなる。この結果,図8に示すように,成形孔型G4により圧延された非対称H形粗形鋼片40の長手方向に,幅広の右フランジ41を内側にした曲がり(曲がり量δ)が発生する。これを防ぐためには,上記特許文献1において3頁左上19行〜右上2行に指摘しているように,成形孔型G4の寸法,形状を,ドッグボーン形鋼片30を該成形孔型G4で圧延した場合,圧延出側で被圧延材に歪(曲がり,反り)などが発生せぬように設定する必要がある。そのために,成形孔型G4の寸法,形状の自由度が限定的なものとなり,一般に非対称の度合いが大きい場合(例えば,左フランジ42と右フランジ41の幅差が極端に大きい場合)には,対処できなくなってしまう。
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,扁平矩形鋼片を素材として,曲がりのない非対称H形粗形鋼片を能率的かつ高い歩留で製造することが可能な,新規かつ改良された非対称H形粗形鋼片の圧延方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明者らは,扁平矩形鋼片を素材として非対称H形粗形鋼片を造形する方法として,エッジング孔型による幅圧下の際に上下ロールの孔底直径を異径にする方法の有効性を考慮した上で,エッジング孔型G2,G3による幅圧下の際に生じる先後端部のフランジ伸び差(図7のΔLを参照。),及び成形孔型G4による成形圧延の際の曲がり(図8のδを参照。)を如何にして抑制するかを,鋭意研究した。
その結果,(1)エッジング孔型G1,G2,G3による幅圧下においては,該エッジング孔型G1,G2,G3を構成する上下ロールをそれぞれ独立に駆動し,かつ,上下異径の孔底の周速度をほぼ一致させて圧延すれば,被圧延材の先後端部のフランジ伸び差を抑制できること,(2)左右非対称度の大きいフランジを有する粗形鋼片を成形圧延する際の曲がりを抑制することは困難であることから,成形孔型G4による圧延の途中(成形孔型G4の最終パス圧下後を含む。以下同じ。)で適宜エッジング孔型G3により軽く幅圧下し,このとき,曲がりの内側にあるフランジを圧下する孔底の周速度を,曲がりの外側にあるフランジを圧下する孔底の周速度よりも大きくすれば,上記成形孔型G4で生じた曲がりを好適に矯正できることを見いだした。
そこで,本発明者らは,かかる知見を基に,以下のような非対称H形粗形鋼片の圧延方法に想到するに至った。
即ち,上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,エッジング孔型により扁平矩形鋼片を幅方向に圧下して,ドッグボーン形鋼片を造形した後,該ドッグボーン形鋼片を成形孔型により板厚方向に圧下して,H形粗形鋼片を造形する圧延方法が提供される。この圧延方法は,エッジング孔型を形成する上下ロール間で孔底直径を相異なる直径とし,かつ該上下ロールの孔底周速度がほぼ等しくなるように該上下ロールを独立に駆動させた状態で,該エッジング孔型を用いて扁平矩形鋼片を幅方向に圧下することにより,断面が非対称なドッグボーン形鋼片を造形する第1工程と;成形孔型を用いて,断面が非対称なドッグボーン形鋼片を板厚方向に繰り返し圧下することにより,断面が非対称なH形粗形鋼片を造形する第2工程と;を含む。そして,第2工程の途中で,エッジング孔型を形成する上下ロールの孔底周速度が相異なるように該上下ロールを独立に駆動させた状態で,該エッジング孔型を用いて,成形孔型により圧延された被圧延材を幅方向に圧下することにより,成形孔型の圧延により該被圧延材の長手方向に生じた曲がりを矯正する。
なお,エッジング孔型(幅圧下孔型ともいう。)は,扁平矩形鋼片等の被圧延材を幅方向に圧下するための孔型であり,孔底が略平坦なものであってもよいし,孔底に膨出部が周方向に沿って突出形成されたものであってもよい。また,成形孔型は,被圧延材を板厚方向に圧下して,所望の非対称断面形状を最終的に得るための成形圧延用の孔型である。また,上記第2工程における被圧延材とは,成形孔型を用いて断面が非対称なドッグボーン形鋼片を板厚方向に繰り返し圧下して,断面が非対称なH形粗形鋼片を得る途中の中間材,または該断面が非対称なH形粗形鋼片である。
上記構成において,第1工程において扁平矩形鋼片を幅圧下してドッグボーン形鋼片を造形する際に,上下ロールをそれぞれ独立に駆動して,エッジング孔型を形成する上下ロールの孔底周速度をほぼ等しくすることで,上下ロールからドッグボーン形鋼片の上下フランジ部に対してほぼ同程度の摩擦力を同一方向に与えることができる。これによって,造形されるドッグボーン形鋼片の先端部及び後端部のフランジ伸び差を抑制できる。また,第2工程において成形孔型によるドッグボーン形鋼片の繰り返し圧延の途中で適宜,曲がりが生じた被圧延材を転回して,エッジング孔型による幅圧下を加えることで,当該曲がりを矯正でき,真っ直ぐな非対称H形粗形鋼片を能率的に造形できる。
また,上記第2工程の途中で,成形孔型の圧延により被圧延材に生じた曲がりの方向が上方になるように該被圧延材を転回した後,該被圧延材に対するエッジング孔型による幅圧下を,エッジング孔型を形成する上ロールの孔底周速度を下ロールの孔底周速度よりも大きくした状態で行い,該被圧延材の曲がりを矯正するようにしてもよい。
かかる構成により,第2工程の途中で適宜,曲がりが生じた被圧延材を,曲がりの方向が上方となるように(即ち,曲がった被圧延材が下方に向けて凸となるように),H形からI形姿勢に転回して,圧下方向を板厚方向から幅方向に変えた上で,エッジング孔型により幅圧下できる。このとき,曲がりの内側にあるフランジを圧下する上ロールの孔底周速度を,曲がりの外側にあるフランジを圧下する下ロールの孔底周速度よりも大きくすることで,下ロール側(曲がりの外側)のフランジよりも,上ロール側(曲がりの内側)を延ばすように圧延して,上記曲がりを好適に矯正できる。さらに,被圧延材を転回する際に,曲がりの方向が下向きとなるように転回してしまうと,ローラテーブル等の搬送手段により搬送することが困難となるが,上記のように曲がりの方向が上向きになるように転回することで,該搬送手段による被圧延材の搬送が可能となる。
以上説明したように本発明によれば,扁平矩形鋼片を素材として,曲がりのない非対称H形粗形鋼片を能率的かつ高い歩留で製造することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下に,図1〜図3を参照して,本発明の第1の実施形態にかかる非対称H形粗形鋼片の圧延方法について詳細に説明する。
まず,図1を参照して,本実施形態にかかる非対称H形粗形鋼片の圧延方法を実行する圧延機(図示せず。)が具備する一対の上ロール11及び下ロール12の構造について説明する。図1は,本実施形態にかかる上下ロール11,12に刻設された第1〜第3のエッジング孔型G1,G2,G3及び成形孔型G4,並びに該孔型G1,G2,G3,G4で造形されるドッグボーン形鋼片10,20,30の断面及び非対称H形粗形鋼片40の断面を示す正面図である。
図1に示すように,上下ロール11,12は,上記図4で説明した従来の上下ロール1,2(図4参照。)と同様に,ロール直径の相異なる異径ロール対であり,例えば,上ロール11の直径が下ロール12の直径よりも小さくなっている。この上下ロール11,12には,孔底幅が順次広くなるような例えば3つのエッジング孔型G1,G2,G3と,例えば1つの成形孔型G4とが形成されている。
一方,本実施形態にかかる上下ロール11,12は,以下の点で上記図4で説明した従来の上下ロール1,2とは異なる。つまり,上記図4で説明した従来の上ロール1では,エッジング孔型G1,G2及びG3を形成するスリーブロール3が,ベアリング4を介して上ロール軸5Aに対して回転独立に取り付けられて非駆動となっていた。これに対して,本実施形態では,下ロール12のみならず上ロール11においても,エッジング孔型G1,G2及びG3を形成する部分と,成形孔型G4を形成する部分とが一体構成されている。そして,これらの上ロール11と下ロール12は,それぞれ,上ロール軸13と下ロール軸14に固定されており,上ロール軸13と下ロール軸14とともに回転する。
さらに,本実施形態にかかる上ロール軸13と下ロール軸14は,例えば,それぞれ別個の駆動装置(例えばミルモータ等)に連結されている。このため,上ロール11と下ロール12は,それぞれ独立に駆動可能であり,相互に同一の回転速度或いは異なる回転速度のいずれでも回転可能に構成されている。以下の説明では,上ロール11の回転数をNT(rpm),下ロール12の回転数をNB(rpm)とする。
このような上ロール11及び下ロール12に形成されるエッジング孔型G1,G2,G3及び成形孔型G4の形状・寸法等の構成は,例えば,上記図4で説明したエッジング孔型G1,G2,G3及び成形孔型G4と同様とすることができる。
即ち,エッジング孔型G1,G2,G3のロール直径については,上ロール11の孔底のロール直径が,下ロール12の孔底のロール直径よりも小さくなっている。具体的には,エッジング孔型G1の孔底17−1について「上ロール直径D1T<下ロール直径D1B」,エッジング孔型G2の孔底17−2について「上ロール直径D2T<下ロール直径D2B」,エッジング孔型G3の孔底17−3について「上ロール直径D3T<下ロール直径D3B」となっている。また,エッジング孔型G2,G3の孔底幅に関しては,上ロール11の孔底幅が下ロール12の孔底幅よりも大きくなっている。具体的には,エッジング孔型G2について「上ロール孔底幅B2T>下ロール孔底幅B2B」,エッジング孔型G3について「上ロール孔底幅B3T>下ロール孔底幅B3B」となっている。さらに,エッジング孔型G1,G2については,孔底17−1,17−2の中央部に,周方向に沿って膨出部16−1,16−2が突設されている。
なお,上記エッジング孔型G1の機能は,扁平矩形鋼片50の短辺部に誘導溝を形成することにあり,従って,上記のようにエッジング孔型G1の孔底17−1について「上ロール直径D1T<下ロール直径D1B」とすることには本質的な意味はなく,「上ロール直径D1T=下ロール直径D1B」としても構わない。
また,成形孔型G4に関しては,図1の例では「dTL<dTR」,「dBL<dBR」のごとく,フランジ先端圧下部18の深さは左右で異なっており(右側の方が大きい),非対称H形粗形鋼片40の最終形状に応じた左右非対称な形状の孔型に形成してある。
以上のような構成の上下ロール対11,12を用いて扁平矩形鋼片50を順次圧延して,ドッグボーン形鋼片10,20,30を経て,非対称H形粗形鋼片40を造形できる。以下に,図2を参照して,本実施形態にかかる上下ロール対11,12を用いた非対称H形粗形鋼片の製造方法について説明する。図2は,上下ロール対11,12を真上から見た状態をしており,説明の便宜上,孔型G1,G2,G3,G4の形状は図示を省略している。
図2に示すように,矢印の順に従って,まず,エッジング孔型G1,G2,G3を用いて扁平矩形鋼片50を幅方向に圧下する(工程S1〜S3)ことにより,断面が非対称なドッグボーン形鋼片30を造形する(第1工程)。その後,成形孔型G4を用いて上記ドッグボーン形鋼片30を板厚方向に繰り返し圧下して成形圧延するとともに(工程S4,S6,S8),この成形孔型G4による成形圧延の途中で適宜,エッジング孔型G3による幅圧下(工程S5,S7)を加えて曲がりを矯正して,非対称H形粗形鋼片40を造形する(第2工程)。
まず,エッジング孔型G1,G2,G3による幅圧下工程(第1工程)について説明する。図2に示すように,扁平矩形鋼片50は,矢印の順に従って,エッジング孔型G1で例えば2パスの幅圧下(工程S1),エッジング孔型G2で例えば8パスの幅圧下(工程S2),エッジング孔型G3で例えば2パスの幅圧下(工程S3)を経て,断面が非対称なドッグボーン形鋼片30に圧延され,成形孔型G4に導かれる。
より詳細には,まず,工程S1では,圧延素材であるスラブ等の扁平矩形鋼片50を,図1に示したような孔底17−1に膨出部16−1が設けられたエッジング孔型G1によって,扁平矩形断面の幅方向に例えば2パス圧下し,膨出部16−1により短辺部に三角形状の誘導溝が形成されたドッグボーン形鋼片10を造形する(図1参照)。なお,このようなエッジング孔型G1による幅圧下は,2パスの例に限られず,1パス或いは3パス以上行ってもよい。
次いで,工程S2では,上記エッジング孔型G1で圧延されたドッグボーン形鋼片10を,図1に示したような孔底17−2に膨出部16−2が設けられたエッジング孔型G2に導き,上記誘導溝を膨出部16−2によって誘導しつつ,例えば8パスの幅圧下を繰り返し加える。これにより,最終的には,幅F2Tの上フランジ21,幅F2Bの下フランジ22を有するドッグボーン形鋼片20が造形される(図1参照)。なお,このようなエッジング孔型G2による幅圧下は,上記8パスの例に限られず,1〜7パス或いは9パス以上行ってもよい。
さらに,工程S3では,上記誘導溝が後工程で表面疵に進展するのを防止するため,上記エッジング孔型G2で圧延されたドッグボーン形鋼片20を,膨出部が設けられていない平坦な孔底7−3のエッジング孔型G3に導き,さらに例えば2パスの幅圧下を加える。これにより,該誘導溝が消滅されたドッグボーン形鋼片30が得られる。このドッグボーン形鋼片30は,幅F3Tの上フランジ31と,該幅F3Tより小さい幅F3Bの下フランジ32とを有する。なお,このようなエッジング孔型G3による幅圧下は,上記2パスの例に限られず,1パス或いは3パス以上行ってもよい。また,このエッジング孔型G3による幅圧下は省略することも可能である。
以上のようなエッジング孔型G2,G3を用いた工程S2,S3により,両側のフランジ幅が異なる非対称ドッグボーン形鋼片20,30が得られる。このように非対称断面となるメカニズムは,上記図6で説明したように,上ロール11と下ロール12とが異径(「上ロール直径D2T<下ロール直径D2B」,「上ロール直径D3T<下ロール直径D3B」)であるため,小径の上ロール11による圧下量ΔhTが,大径の下ロール12による圧下量ΔhBよりも大きくなり,その結果,下ロール12よりも上ロール11の方が排除するメタル量が多くなり,上ロール11側のフランジ21,31の方が下ロール12側のフランジ22,32よりも断面積が大きくなるからである。
また,本実施形態では,上記エッジング孔型G2,G3を用いた工程S2,S3では,上ロール11と下ロール12を独立的に駆動して,エッジング孔型G2,G3を形成する上ロール11の孔底17−2,17−3の周速度(以下,「上ロール11の孔底周速度」という。)と,エッジング孔型G2,G3を形成する下ロール12の孔底17−2,17−3の周速度(以下,「下ロール12の孔底周速度」という。)とが,ほぼ一致するようにして,幅圧下を行う点が特徴的である。
かかる特徴点について説明する。上記のように,本実施形態にかかる上ロール11と下ロール12は,それぞれ独立に駆動可能に構成されている。このため,エッジング孔型G2,G3による幅圧下時(工程S2,S3)に,上ロール11の孔底周速度と下ロール12の孔底周速度をほぼ一致させた状態で,圧延することができる。このように,上下ロール11,12の孔底周速度をほぼ等しくすることで,ドッグボーン形鋼片20,30の上側フランジ部21,31と下側フランジ部22,32に対して,上下ロール11,12からほぼ同程度の摩擦力を同一方向(圧延方向)に与えることができる。これによって,上記図7で説明したような,ドッグボーン形鋼片20,30の先端部又は後端部のフランジ伸び差ΔLを抑制できる。従って,本工程S2,S3で製造されたドッグボーン形鋼片20,30,或いはその後の非対称H形粗形鋼片40に関し,その先後端部のクロップ切り捨て量を低減できるので,歩留を向上できる。さらに,後工程である成形孔型G4での圧延時に,先後端部の伸び差ΔLが少ないドッグボーン形鋼片30を,成形孔型G4に対して安定して噛み込ませることができるので,生産性を向上できる。
次に,成形孔型G4及びエッジング孔型G3による成形圧延工程(第2工程)について説明する。
エッジング孔型G3により幅圧下(工程S3)されたドッグボーン形鋼片30は,I形姿勢からH形姿勢に転向された後に,成形孔型G4に導入される。成形孔型G4では,被圧延材であるドッグボーン形鋼片30は,元の扁平矩形鋼片50の板厚方向に圧下されて,その断面が次第に目的とする非対称H形粗形鋼片40の断面に近づいていく。しかし,該成形孔型G4の圧延における被圧延材のフランジは左右非対称であるから,途中のパスで,被圧延材の長手方向に曲がりが発生する(図8参照)。この曲がり量が小さければ問題はないが,成形孔型G4での圧下パスを進めるにつれて曲がりは累積して次第に大きくなってくる。そこで,該成形孔型G4での成形圧延中(工程S4,S6,S8)に,図2において破線で示すように,適宜,被圧延材をエッジング孔型G3に導いて,エッジング孔型G3で軽く幅圧下することで,上記曲がりを矯正する(工程S5,S7)。
具体的には,まず,図2に示すように,成形孔型G4により,上記ドッグボーン形鋼片30を板厚方向に例えば6パスだけ圧下する(工程S4)。次いで,図3に示すように,この成形孔型G4による圧延によりδだけ曲がった被圧延材35(即ち,ドッグボーン形鋼片30と非対称H形粗形鋼片40との間の中間材)を,成形孔型G4でのH形姿勢からI形姿勢に転回した後に,エッジング孔型G3に導入し,当該被圧延材35をエッジング孔型G3により軽く幅方向に圧下する(工程S5)。これにより,該被圧延材35に生じた曲がりδを矯正して,真っ直ぐな状態にすることができる。さらに,この曲がりが矯正された被圧延材35を,再度,成形孔型G4により板厚方向に例えば2パス圧下し(工程S6),さらに,この工程S6で生じた曲がりを矯正するために,上記工程S5と同様に,エッジング孔型G3により幅圧下を例えば2パス加える(工程S7)。その後,再度,成形孔型G4により被圧延材35を板厚方向に例えば1パス圧下して(工程S8),最終的な非対称H形粗形鋼片40を造形する。
このように,本実施形態では,成形孔型G4による成形圧延の途中に,成形孔型G4により圧延された被圧延材35を,エッジング孔型G3に戻して幅圧下を加えて,曲がりを矯正する点が特徴的である。
かかるエッジング孔型G3による曲がり矯正工程(S5,S7)では,図3に示すように,被圧延材35に生じた曲がりの方向が上向きになるように,即ち,被圧延材35が下方向に向けて凸に湾曲した状態となるように,被圧延材35をH形姿勢からI形姿勢に転回する。これにより,被圧延材35をローラテーブル60上で搬送可能となるので,エッジング孔型G3に好適に導入可能となる。
また,上記曲がり矯正工程(S5,S7)では,図3に示すように,上ロール11と下ロール12を独立に駆動し,それぞれの回転数NT,NBを制御して,エッジング孔型G3を形成する上ロール11の孔底周速度が下ロール12の孔底周速度よりも大きくなるようにする。即ち,被圧延材35の曲がりの内側にあるフランジ36を圧下する上ロール11の孔底周速度を,曲がりの外側にあるフランジ37を圧下する下ロール12の孔底周速度よりも大きくする。これにより,高速回転する上ロール11によって,被圧延材35の上側フランジ36に対し,低速回転する下ロールにより下側フランジ37に与える摩擦力よりも大きな摩擦力を,同一方向(圧延方向)に与えることができる。よって,エッジング孔型G3により,曲がりの内側にある上側のフランジ36を,曲がりの外側にある下側のフランジ37よりも延ばすように圧延できるので,被圧延材35に生じた曲がりを,より効果的に矯正できる。この点,上記図4で説明した従来の上ロール1のスリーブロール3は,ベアリング4を介して取り付けられて非駆動となっているので,本実施形態のようなエッジング孔型G3による曲がり矯正を実行できない。
以上のように,図2において破線で示すようなエッジング孔型G3の幅圧下による曲がり矯正のためのパス(S5,S7)を,成形孔型G4による成形圧延(S4,S6,S8)の途中に適宜実行すれば,成形圧延中の被圧延材35の曲がりを比較的小さい範囲にとどめることができ,非対称H形粗形鋼片40を安定的に造形できる。さらに,エッジング孔型G3による曲がり矯正を採用することで,成形孔型G4の寸法,形状の自由度を高めることができる。さらに,目標とする非対称H形粗形鋼片40の非対称の度合いが大きい場合(例えば,左フランジ42と右フランジ41の幅差が極端に大きい場合)であっても,エッジング孔型G3による曲がり矯正を適宜実施することで,当該非対称の度合いが大きい非対称H形粗形鋼片40を,能率的かつ高い歩留で製造できる。
なお,エッジング孔型G3による曲がり矯正工程を行うタイミング及び回数は,図3の例のS5,S7のような合計4パスの例に限定されず,成形孔型G4における被圧延材35の曲がりの程度に応じて,必要なタイミングで任意の回数(パス)だけ行ってもよい。さらに,成形孔型G4の最終パス圧下後に,目的とする非対称H形粗形鋼片40に曲がりがある場合には,該非対称H形粗形鋼片40に対してエッジング孔型G3による曲がり矯正パスを加えてもよい。また,成形孔型G4の圧延により生じた被圧延材35の曲がりの程度は,例えば,オペレータが目視により判断しても良いし,或いは,成形孔型G4の通板経路上に設けられたセンサにより自動的に判断してもよい。
次に,本発明のより具体的な実施例について説明する。この実施例は,上述したような本発明の実施形態にかかる技術に基づいて,扁平矩形鋼片50から非対称H形粗形鋼片40を造形する例であり,本発明が以下の実施例に限定されるものではない。表1に,本実施例にかかる上ロール11及び下ロール12の寸法値を示す。各寸法諸元を表す記号については,図1に示したとおりである。
まず,エッジング孔型G1,G2,G3の孔底直径(即ち,エッジング孔型G1の上ロール孔底直径D1Tと下ロール孔底直径D1B,エッジング孔型G2の上ロール孔底直径D2Tと下ロール孔底直径D2B,エッジング孔型G3の上ロール孔底直径D3Tと下ロール孔底直径D3B)については,下ロール12の直径が上ロール11の直径より200mmだけ大きくなるように設定し異径とした。
また,エッジング孔型G2,G3の孔底幅(即ち,エッジング孔型G2の上ロール孔底幅B2Tと下ロール孔底幅B2B,エッジング孔型G3の上ロール孔底幅B3Tと下ロール孔底幅B3B)については,上ロール11の方が下ロール12より37.9mmだけ大きくなるように設計した。これにより,エッジング孔型G2,G3による幅圧下では,上ロール11によって圧下される側のフランジ21,31の断面の方が,下ロール12によって圧下される側のフランジ22,32の断面よりも大きくなり,非対称なフランジを有するドッグボーン形鋼片20,30が造形される。これに対応して,成形孔型G4の左右のフランジ先端圧下部18の形状については,右フランジ先端圧下部18の深さdTR,dBRは,左フランジ先端圧下部18の深さdTL,dBLよりも19mm大きくした。
扁平矩形鋼片50の断面寸法は,幅1280mm,厚250mmであり,非対称H形粗形鋼片40を造形するためのパススケジュールを表2の通りとした。
表2に示すように,非対称H形粗形鋼片40を総計25パスの圧延により製造した。フランジを生成するために用いるエッジング孔型G2及びG3の圧延(第3パス〜第12パス)では,圧延時における被圧延材のスリップ及び圧延出側での反りを防止するとともに,先後端において両フランジの先端の不揃い(図7参照)を縮小するために,上下ロール11,12を独立に駆動し,孔底17−2,17−3の周速度が上ロール11と下ロール12でほぼ等しくなるように(即ち,表2で上ロール孔底周速度/下ロール孔底周速度=VT/VB=1となるように),上下ロール11,12の回転数NT,NBを制御した。
第13パス以降の圧延パスは,成形孔型G4による成形圧延である。該成形圧延では,前に述べたように,被圧延材35を元の扁平矩形鋼片50の板厚方向に圧下を繰り返し,非対称H形粗形鋼片40が造形される。しかし,かかる圧下を繰り返すと,断面積が大きい方のフランジを内側にした曲がりが次第に大きくなっていくので(図8参照),第19パスと第20パス,及び第23パスと第24パスにおいて,エッジング孔型G3により,成形孔型G4での成形圧延により被圧延材35に生じた曲がりの方向を上にして,被圧延材35を元の扁平矩形鋼片50の幅方向に軽く圧下を施した。このとき,該エッジング孔型G3の孔底17−3の周速度については。上ロール11と下ロール12を独立に駆動制御して異周速とし,上ロール周速度VT/下ロール周速度VB=1.2又は1.3として,上ロール11を下ロール12より高速で回転させた。
これにより,成形孔型G4の圧延パスで被圧延材35に生じた曲がりは,エッジング孔型G3によって施される異周速幅圧下により,まっすぐに矯正され,再び該成形孔型G4による成形圧延を続行できる。このような圧延法を採用することにより,成形圧延を特に問題なく終えることができ,第25パス仕上がりの断面は,ウェブ高さA=830mm,左フランジ幅F4B=261mm,右フランジ幅F4T=299mm,ウェブ厚tW=90mmの非対称H形粗形鋼片40を造形することができた。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記実施形態では,上ロール11のロール直径が下ロール12のロール直径より小さい異径ロール対としたが,本発明はかかる例に限定されず,上ロール11のロール直径が下ロール12のロール直径より大きい異径ロール対としてもよい。
また,上記実施形態の上下ロール11,12では,エッジング孔型G1,G2,G3が形成される部分と,成形孔型G4が形成される部分とが一体構成されていたが,これらを別体構成してもよい。また,上記実施形態では,上下ロール11,12に,3つのエッジング孔型G1,G2,G3を設けたが,かかる例に限定されず,1つ,2つ或いは4つ以上のエッジング孔型を設けてもよい。
また,上記実施形態では,孔底に膨出部16−1,16−2を有するエッジング孔型G1,G2を用いた例を挙げたが,全てのエッジング孔型の孔底が平坦な場合でも(即ち,膨出部がない場合でも)同様に,本発明の技術的範囲に属する。
また,上記実施形態では,成形孔型G4による成形圧延の途中パス(例えば,表2の第19パス,第20パス,第23パス,第24パス)において,エッジング孔型G3を用いた幅圧下により被圧延材35の曲がりを矯正したが,他に問題がなければ(例えば,フランジ外側部の誘導溝が表面疵に進展するなどの問題がなければ),エッジング孔型G2による幅圧下によって曲がりを矯正してもよく,このような方法を採用することは本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の第1の実施形態にかかる上下ロール,これに形成されたエッジング孔型及び成形孔型,並びに非対称H形粗形鋼片の圧延状況を示す正面図である。
同実施形態にかかる非対称H形粗形鋼片の圧延方法において,各孔型による被圧延材の圧延工程の順序を示す説明図である。
同実施形態にかかるエッジング孔型により,成形圧延の途中で生じた曲がりを矯正する様子を示す側面図である。
従来の非対称H形粗形鋼片の製造に使用する上下ロールを示す正面図である。
従来のエッジング孔型を用いたドッグボーン形鋼片の圧延を示す状況図である。
従来のエッジング孔型を用いたドッグボーン形鋼片の圧延を示す状況図である。
従来のエッジング孔型を用いたドッグボーン形鋼片の圧延を示す状況図である。
従来の成形孔型を用いた非対称H形粗形鋼片の圧延を示す状況図である。
従来のエッジング孔型を形成する上下ロールの直径を異径とすることにより,被圧延材の上下に生じるフランジ部の大きさが異なることを説明するための説明図である。
従来技術を適用して幅圧下を行った際に生じる被圧延材の長さ方向端部における上下フランジ先端のずれを示す説明図である。
従来の成形孔型による成形圧延において発生する被圧延材の曲がりを示す説明図である。
符号の説明
11:上ロール
12:下ロール
13:上ロール軸
14:下ロール軸
16−1,16−2:それぞれエッジング孔型G1,G2の膨出部
17−1,17−2,17−3:それぞれエッジング孔型G1,G2,G3の孔底
18:成形孔型G4のフランジ先端圧下部
19:成形孔型G4のウェブ圧下部
10:エッジング孔型G1でのドッグボーン形鋼片(孔型G1の途中パスでの断面,又は孔型G1パス最終パスでの断面)
20:エッジング孔型G2でのドッグボーン形鋼片(孔型G2の途中パスでの断面,又は孔型G2パス最終パスでの断面)
21,22:エッジング孔型G2でのドッグボーン形鋼片20の両フランジ
30:エッジング孔型G3でのドッグボーン形鋼片(孔型G3の途中パスでの断面,又は孔型G3パス最終パスでの断面)
31,32:エッジング孔型G3でのドッグボーン形鋼片30の両フランジ
33:エッジング孔型G3でのドッグボーン形鋼片30のウェブ
35:成形孔型G4での被圧延材(ドッグボーン形鋼片30と非対称H形粗形鋼片40との間の中間材であり,該非対称H形粗形鋼片40もこれに含まれる)
36,37:成形孔型G4での被圧延材の両フランジ
40:成形孔型G4での非対称H形粗形鋼片(孔型G4パス最終パスでの断面)
41,42:成形孔型G4での非対称H形粗形鋼片40の両フランジ
50:扁平矩形鋼片
60:ローラテーブル
G1,G2,G3:エッジング孔型
G4:成形孔型