JP4218481B2 - 突起付形鋼の製造方法及び形鋼の圧延設備 - Google Patents
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この圧延設備101は、図19中(A)に示すように、ブレークダウン圧延機102、粗ユニバーサル圧延機103、エッジング圧延機104及び仕上ユニバーサル圧延機105からなるものや、図19中(B)に示すように、ブレークダウン圧延機102、第1粗ユニバーサル圧延機103a、エッジング圧延機104、第2粗ユニバーサル圧延機103b及び仕上ユニバーサル圧延機105からなるものがある。このような圧延設備101により、加熱炉で加熱されたスラブやブルーム、或いはビームブランク等の素材を順次に各圧延機で圧延することによって所定の断面寸法の形鋼が製造される。
先ず、加熱炉で加熱された素材はブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延される。このブレークダウン圧延機102は、ロール胴に沿って開孔型または閉孔型を複数個設けた上下ロールが配置された二重式の圧延機である。
そして、ブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延された素材は、粗ユニバーサル圧延機103及びエッジング圧延機104からなる粗ユニバーサル圧延機群で複数回往復圧延され、図20中(B)に示す形状の所定厚みを有するH形断面に圧延される。
図20中(B)に示す形状に圧延された素材Sは、仕上ユニバーサル圧延機105に搬入される。仕上ユニバーサル圧延機105は、図20中(C)に示すように、上下一対の水平ロール109と左右一対の垂直ロール110とを備えている。この仕上ユニバーサル圧延機105により、フランジSFの厚み圧下、ウェブSWの厚み圧下及びフランジSFの角度おこしが行われ、最終製品の寸法に仕上られる。
そこで、熱間圧延によってフランジの内面に突起を付与することがなおも望まれており、いくつか提案されている。
また、特許文献2には、図23に示すように、水平ロール401の側面に溝402を形成し、その水平ロール401を組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機が開示されている。ここで、溝402は、水平ロール401の側面のコーナ部401aを始点としてほぼロール軸403に向かうものとされ、その水平ロール401の側面に複数形成されている。
この仕上ユニバーサル圧延機により、フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行うことで、水平ロール401の側面によるフランジ内面への押圧時にフランジ内面に複数の突起を形成している。
さらに、特許文献3には、図24に示すように水平ロール411の側面に縞状の凹部を刻設し、そのような水平ロール411を組み込んだユニバーサル圧延機が開示されている。
なお、図24及び図25から、ユニバーサル圧延機が、抜け勾配を有する粗ユニバーサル圧延機であることがわかる。
一方、前記特許文献2の技術については、大きな設備投資なしで簡便にフランジ内面等への突起形成が期待できる。しかし、抜け勾配のほとんどない仕上圧延機で突起を形成するので、形成できる健全な突起の長さが制約される。このため、健全な突起を形成するには、圧延条件(例えば圧下率)を限定しなければならないといった問題があった。
また、前記特許文献3の技術は、粗ユニバーサル圧延機でフランジ内面に突起を形成できることが記載されている。しかし、健全な突起形成が行える具体的な水平ロール側面の凹部(すなわち溝)形状や、突起形成後に行う仕上圧延方法について開示が何らされていない。
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、損傷することなく突起を形鋼に形成することができる突起付形鋼の製造方法、及びそれに使用される形鋼の圧延設備の提供を目的とする。
また、請求項3記載の発明に係る突起付形鋼の製造方法は、請求項2記載の発明に係る突起付形鋼の製造方法において、前記仕上圧延では、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅より小さい幅を有する水平ロールを使用し、当該水平ロールの周面で前記ウェブを拘束しつつ前記形鋼のフランジの角度おこしを行うことで、前記仕上圧延前に前記形鋼のフィレッ卜部近傍に形成した複数の突起又は溝を壊さないようにしている。
また、請求項6記載の発明に係る形鋼の圧延設備は、フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行う仕上圧延機の前段又は後段に圧延機を備え、前記圧延機が、前記形鋼のフィレッ卜部近傍を圧下するように配置され、側面又は周面のうちの少なくとも一方に、溝又は突起のうちの少なくとも一方を複数形成した円盤状ロールを備えている。
また、請求項8記載の発明に係る形鋼の圧延設備は、請求項7記載の発明に係る形鋼の圧延設備において、前記水平ロールが、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅より小さい幅となっている。
また、請求項9記載の発明に係る形鋼の圧延設備は、請求項7記載の発明に係る形鋼の圧延設備において、前記水平ロールが、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅とほぼ等しい幅を有し、かつコーナ部近傍に凹部を設けている。
先ず、第1の実施の形態は、本発明に係る突起付形鋼の製造方法を適用した圧延設備である。図1は、圧延設備の概略構成図を示す。
図1に示すように、H形鋼Sを製造するための圧延設備1は、図19(A)に示す圧延設備101と同様に、ブレークダウン圧延機2、粗ユニバーサル圧延機3、エッジング圧延機4及び仕上ユニバーサル圧延機6を備えている。そして、圧延設備1は、仕上ユニバーサル圧延機6の前段に突起形成用圧延機5を設置している。
図2は、突起形成用圧延機5のロールの構成及びロール形状を示す。
この図2に示すように、突起形成用圧延機5は、フィレッ卜部近傍を圧下するように当該ウェブSWを挟むように対向させた1対の円盤状ロールを、ウェブSWの両側に2組配置している。すなわち、図面中、ウェブSWの左側端部を挟むように円盤状ロール11,12を配置し、かつウェブSWの右側端部を挟むように円盤状ロール13,14を配置している。
さらに、図3に示すように、円盤状ロール11,12,13,14は、ウェブSwの内幅を広げるように、各ロール軸Oを圧延方向に対して傾かせて配置することもできる。
そして、円盤状ロール11,12,13,14の周面11a,12a,13a,14aには、図4に示すように、軸方向に延びるように或いは軸方向に平行とされて、溝15が複数形成されている。溝15の形状は、例えばH形鋼Sのフィレット部に当たる部分(図中A部分)で幅が最大になり、先端(上下端)にいくに従い幅が狭くなるような形状である。
この図5に示すように、仕上ユニバーサル圧延機6は、上下一対の水平ロール31,32と左右一対の垂直ロール41,42を組み込んで構成されている。
水平ロール31,32の幅は、ウェブSWの内幅より小さくなっている。そして、水平ロール31,32は、一方の垂直ロール41と他方の垂直ロール42との略中間位置に配置されている。なお、水平ロール31,32の幅は、固定されるものであってもよく、自由に変更できるものであってもよい。
そして、図20中(B)に示す形状と同一の形状に圧延された素材には、図4の突起形成用圧延機5の円盤状ロール11,12,13,14の溝15により、フィレッ卜部近傍に突起が形成される。
その後、図5の仕上ユニバーサル圧延機6の水平ロール31,32でウェブSWを拘束しつつ、垂直ロール41,42により、フランジSFの角度起こしが行われ、最終製品の寸法に仕上られる。
なお、水平ロール31,32の幅が、ウェブSWの内幅より小さいので、フランジSFの厚み圧下は行われない。
次に第1の実施の形態における効果を説明する。
図4のように、円盤状ロール11,12,13,14の周面11a,12a,13a,14aに溝15を設けて、その周面11a,12a,13a,14aでフィレット部近傍を圧下して、突起を形成している。このように溝15を設けた周面11a,12a,13a,14aでフィレット部近傍を圧下しているので、溝15からの突起の抜きをあまり気にせずに突起の形成を行うことができる。この効果について、図7を用いて説明する。
しかし、H形鋼Sの圧延方向の速度に対し水平ロール501,502の回転方向の速度が遅くなった場合や、H形鋼Sの圧延方向の速度に対し水平ロール501,502の回転方向の速度が速くなった場合、領域Bで、溝と突起tとが接触してしまい、突起tが潰されてしまう。
このように領域Bで溝15から突起tを容易に抜くことができるので、溝15の形状或いは突起tの形状を任意の形にすることができる。
また、図4のように、溝15の形状は、例えばH形鋼Sのフィレット部に当たる部分(図中A部分)で幅が最大になり、先端(上下端)にいくに従い幅が狭くなるような形状になっている。これにより、溝15から突起tを容易に抜くことができるようになっている。
次に第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、前述の第1の実施の形態と同様に、本発明に係る突起付形鋼の製造方法を適用した圧延設備である。図8は、第2の実施の形態の圧延設備51の概略構成図を示す。
なお、この第2の実施の形態の圧延設備51において、前述の第1の実施の形態の圧延設備1と同一構成部分については同じ番号を付し、その説明は省略する。
この図9に示すように、突起形成用圧延機52は、フィレッ卜部近傍を圧下するように、当該ウェブSWを挟むように対向させて、1対の円盤状ロールをウェブSWの両側に対応して2組配置している。すなわち、図面中、ウェブSWの左側端部を挟むように円盤状ロール61,62を配置し、かつウェブSWの右側端部を挟むように円盤状ロール63,64を配置している。
ここで、突起形成用圧延機52は、仕上ユニバーサル圧延機6の後段に配置されているので、突起形成用圧延機52に搬入されるH形鋼Sは、フランジSFの角度おこしが行われている。このようなことから、フランジSFの角度おこしがなされたH形鋼Sに対応して、円盤状ロール61,62,63,64の周面61a,62a,63a,64aの形状、又は前記ロール軸Oの傾きが決定されている。
なお、仕上ユニバーサル圧延機6は、当該仕上ユニバーサル圧延機6に搬入されるH形鋼Sが突起が形成されているものではないので、前述の第1の実施の形態と異なり、水平ロール31,32の幅がウェブSWの内幅とほぼ等しくなっている。
以上のように構成されている圧延設備では、ブレークダウン圧延機2、粗ユニバーサル圧延機3及びエッジング圧延機4において、素材が図20中(B)に示す形状と同一の形状に圧延される。
その後、仕上ユニバーサル圧延機6の水平ロール31,32及び垂直ロール41,42により、フランジSFの厚み圧下、ウェブSWの厚み圧下及びフランジSFの角度起こしが行われる(図20中(C)参照)。
なお、この第2の実施の形態のように、仕上ユニバーサル圧延機6の後段に突起形成用圧延機52を設置して、H形鋼Sのフィレット部近傍に突起tを形成する場合、当該突起形成圧延のためにウェブSWの内幅が広がる場合がある。このようなことから、仕上ユニバーサル圧延機6では、そのようなウェブSWの内幅の広がりを見越して仕上圧延を行うことが好ましい。
この第2の実施の形態における効果は前述の第1の実施の形態における効果と同じである。すなわち例えば、溝を設けた周面61a,62a,63a,64aでH形鋼Sのフィレット部近傍を圧下しているので、溝からの突起の抜きをあまり気にせずに突起の形成を行うことができる。これにより、溝の形状或いは突起の形状を任意の形にすることができる。
すなわち、前述の第1の実施の形態では、円盤状ロール11,12,13,14のロール軸OがウェブSwに対して傾いて配置されているが、その傾き角が限定されるものではない。例えば、図10に示すように、円盤状ロール71,72,73,74のロール軸Oの傾き角が、前記図2に示したような角度よりも小さいものであってもよい。
例えば、溝16は図12に示すようなものであってもよい。ここで、溝16は、フランジSFの内面にのみ突起を形成するように円盤状ロール11,12,13,14の周面11a,12a,13a,14aに形成されている。
また、円盤状ロールの周面に突起や凹凸部を形成してもよい。この場合、この突起や凹凸部に対応して、H形鋼Sのフィレット部近傍には溝や凹凸が形成されるようになる。
また、前述の実施の形態では、仕上圧延工程で前段の突起形成用圧延機5,52で形成した突起tを潰してしまうことを防止する目的で、仕上ユニバーサル圧延機6の水平ロール31,32の幅をウェブSWの内幅より小さくしている。しかし、これに限定されるものではない。図13は、他の例を示す。
図14に示すようなフランジSFの内面に余肉x1を形成する手段としては、突起形成用圧延機5よりも前段に存在する水平ロール(例えば粗ユニバーサル圧延機3の水平ロール)81,82の側面に凹部81a,82aを形成しておく。
また、仕上ユニバーサル圧延機6の垂直ロールの周面にも垂直方向に伸びる溝を設け、フランジ外面にも突起を形成してもよい。また、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールの周面に溝を設け、ウェブ面の中央部分にも突起を形成してもよい。
突起形成用圧延機5の円盤状ロール11,12,13,14の配列は図2に示すような配列とした。円盤状ロール11,12,13,14のロール軸Oの傾き角は、水平面(ウェブSw)に対して30°としている。ここで、突起形成用圧延機5に搬入されるH形鋼Sは、仕上圧延前なので、各フランジSFには傾きがある。ここで、傾きは5°である。
一方、比較例(従来例)では、突起形成圧延は第1の適合例と同様とし、仕上ユニバーサル圧延については、図20中(C)のように通常の仕上圧延方法でフランジの厚み圧下、ウェブの厚み圧下及びフランジの角度おこしを行った。
この結果、第1の適合例では、突起が潰されたり剥がされたりすることなく、長さが115mm、平均高さが1.9mmの健全な突起tを形成することができた。一方、比較例では、仕上圧延で突起tが潰されてしまい、健全な突起形成が行えなかった。
この結果、第2の適合例では、突起が潰されたり剥がされたりすることなく、長さが117mm、平均高さが2.0mmの健全な突起tを形成することができた。
突起形成用圧延機52の円盤状ロール75,76,77,78の配列は図11に示すような配列とした。そして、円盤状ロール75,76,77,78には、図18中(A)及び(B)に示すように、コーナ部(側面縁部から周面縁部ににかかる部分)に突起79を形成した。具体的には、図18中(A)及び(B)に示すように、長さL4,L5がそれぞれ20mm、高さd4,d5がそれぞれ4mm、幅Wが8mm、隣接する突起79との間の間隔(ピッチP)が50mmである。また、圧延時におけるフィレット部の目標圧下量は片側2mmとした。
この結果、フランジ内面側の凹部に小さな変形がみられたものの、潰されたり大きな変形を生じたりすることがなく、長さ(前記L4+L5相当)が40mm、平均深さが1.5mmの健全な凹部を形成することができた。フランジの外側への倒れ、すなわちフランジ外面の平坦度も1mmとなり、問題もなかった。
2 ブレークダウン圧延機
3 粗ユニバーサル圧延機
4 エッジング圧延機
5,52 突起形成用圧延機
6 仕上ユニバーサル圧延機
11,12,13,14,61,62,63,64 円盤状ロール
15 溝
31,32 仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール
41,42 仕上ユニバーサル圧延機の垂直ロール
S H形鋼(形鋼)
SF フランジ
SW ウェブ
t 突起
Claims (9)
- フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延前又は仕上圧延後に圧延機を配置して、前記圧延機が、側面又は周面のうちの少なくとも一方に、溝又は突起のうちの少なくとも一方を複数形成した円盤状ロールを備えており、前記圧延機を使用して、前記円盤状ロールの前記溝又は突起が形成してある面で前記形鋼のフィレッ卜部近傍を押圧することで、当該フィレッ卜部近傍に突起又は溝のうちの少なくとも一方を複数形成することを特徴とする突起付形鋼の製造方法。
- 前記圧延機を前記仕上圧延前に配置するとともに、前記仕上圧延では、当該仕上圧延前に前記形鋼のフィレッ卜部近傍に形成した複数の突起又は溝を壊すことなく、前記形鋼のフランジの角度おこしを行うことを特徴とする請求項1記載の突起付形鋼の製造方法。
- 前記仕上圧延では、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅より小さい幅を有する水平ロールを使用し、当該水平ロールの周面で前記ウェブを拘束しつつ前記形鋼のフランジの角度おこしを行うことで、前記仕上圧延前に前記形鋼のフィレッ卜部近傍に形成した複数の突起又は溝を壊さないようにしていることを特徴とする請求項2記載の突起付形鋼の製造方法。
- 前記仕上圧延では、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅とほぼ等しい幅を有し、かつコーナ部近傍に凹部を設けた水平ロールの周面で前記ウェブを拘束し、かつ当該水平ロールの側面と垂直ロールの周面とで前記フランジを拘束しつつ前記形鋼のフランジの角度おこしを行うことで、前記仕上圧延前に前記形鋼のフィレッ卜部近傍に形成した複数の突起又は溝を壊さないようにしていることを特徴とする請求項2記載の突起付形鋼の製造方法。
- 前記突起を形成する前に、当該突起を形成するための余肉を、前記形鋼をなす材料に形成しておくことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の突起付形鋼の製造方法。
- フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行う仕上圧延機の前段又は後段に圧延機を備え、
前記圧延機は、前記形鋼のフィレッ卜部近傍を圧下するように配置され、側面又は周面のうちの少なくとも一方に、溝又は突起のうちの少なくとも一方を複数形成した円盤状ロールを備えていることを特徴とする形鋼の圧延設備。 - 前記圧延機を前記仕上圧延機の前段に備えるとともに、前記仕上圧延前に前記形鋼のフィレッ卜部近傍に形成した複数の突起又は溝を壊すことなく、前記形鋼のフランジの角度おこしを行うことができる水平ロールを備えた仕上圧延機を備えたことを特徴とする請求項6記載の形鋼の圧延設備。
- 前記水平ロールは、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅より小さい幅となっていることを特徴とする請求項7記載の形鋼の圧延設備。
- 前記水平ロールは、前記仕上圧延前の前記形鋼のウェブの内幅とほぼ等しい幅を有し、かつコーナ部近傍に凹部を設けていることを特徴とする請求項7記載の形鋼の圧延設備。
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