JP4555419B2 - 自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板 - Google Patents

自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の座席底板は、底面部とそれと一体の周壁部とを有する箱型の形状からなるものであり、射出成形により製造されている。従って、その全体が充実である。ここで「充実」とは、緻密であって、発泡部分や中空部分を含まないことを意味する。
前記座席底板は、例えば、自動二輪車において、乗員が乗車するための座席シートの基材に用いられる。座席底板として要求されるものは、乗員が乗車した際その形状を維持できる剛性と、表皮加飾する際のステープル打ち込みに耐える耐衝撃性である。これらの要求を両立させるため、剛性の低い高衝撃材料のポリプロピレン樹脂を厚い肉厚でリブ補強することにより対処している。その結果、従来の座席底板は重く、高コストなものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量で、十分な強度を有する前記座席底板を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成よりなる。
(1) 底面からなる底面部とその周辺において底面から立ち上がる周壁部で構成される箱型の形状からなる座席底板において、その底面部は、肉厚方向において内部が平均発泡倍率1.1〜2.1倍の発泡層からなり、それを覆う表面は無発泡または極微発泡層よりなるサンドイッチ構造を持ち、その周壁部は無発泡または極微発泡層からなることを特徴とする自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(2) 底面からなる底面部とその周辺において底面から立ち上がる周壁部で構成される箱型の形状からなる座席底板において、その底面部は、肉厚方向において内部が平均発泡倍率1.1〜2.1倍の発泡層からなり、それを覆う表面は無発泡または極微発泡層よりなるサンドイッチ構造を持ち、その素材が合成樹脂からなり、該合成樹脂が、JIS−K7110に基づくIZOD衝撃値が18kJ/m2以上である自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(3) 合成樹脂が、JIS−K7110に基づくIZOD衝撃値が18kJ/m2以上である(1)項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(4) 合成樹脂が、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である(1)乃至(3)項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(5) 合成樹脂が、JIS−K7210に基づくMFRが1〜5g/10分である(4)項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(6) 発泡層の平均発泡倍率が、1.2〜2倍である(1)乃至(5)項のいずれか1項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
(7) 箱型の形状の内部に碁盤目状のリブが装着されている(1)若しくは(2)項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
【0005】
すなわち、上述したように底面部に内部発泡層を存在させることにより、座席底板は軽量となり、かつ製品性能上必要とされる剛性も底面部は内部発泡層と表面無発泡層または極微発泡からなるサンドイッチ構造で構成されるため実用上十分な構造強度を有することとなる。さらに、周壁部は無発泡または極微発泡で構成されていることから、材料の持つ高い耐衝撃性を維持できることにより、座席組立時の衝撃に十分耐えうるものとなる。
更に、必要なら座席底板内面に碁盤目状のリブを装着することにより、剛性を強化することもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で云う小型車両とは、自動二輪車、自動三輪車、ATV等のことを意味する。
本発明に用いる座席底板は射出成形法又は射出プレス成形法によって一体成形される成形体であり、底面部とその周辺部より立ち上がる周壁部より構成される箱型の形状よりなる。底面部は大略平面からなり、その形状は三角形、正方形、長方形、菱形、その他の多角形、円形、楕円形これらの形状を組み合わせたもの等、何れの形状でもよい。周壁部は上述した形状の底辺部の周辺から立ち上がり、底面部に対して、通常は大体90度の角度である。しかし、必要に応じて90度以外の角度にすることもできる。射出成形後は成形品の表面から冷却固化するため表面部は発泡することなく、固化が遅れる内層のみが発泡するのである。周壁部はキャビティが拡大しないためその内層も発泡しないで固化するのである。しかし、上述した角度が90度以外の場合、キャビティが拡大し、周壁部も発泡するが、その様な場合には必要に応じて金型を工夫して発泡しないようにすることも可能である。尚、必要に応じて底面部及び周壁部の肉厚、かつ、周壁部の角度を適宜選択することにより、底面部と周壁部の発泡の度合いを選択するものである。
【0007】
座席底板に用いる材料として熱可塑性樹脂が用いられる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン樹脂(結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体など)、ポリ4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニリトル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などを例示できる。
【0008】
その中でも構造体の重量を軽量化する必要性から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。該ポリプロピレン樹脂としては、耐衝撃性の高い結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましく、より好ましくは耐衝撃性としてJIS−K7110に基づくIZOD衝撃値が18kJ/m2以上であることが望ましい。また、複雑な形状又は肉厚の薄い成形品の成形を容易にするため高い流動性も必要となるが、耐衝撃性を維持するためJIS−K7210に基づくMFRが10g/10分以下、より好ましくはMFRが1g/10分以上から5g/10分以下である。
【0009】
本発明で用いる熱可塑性樹脂には、耐衝撃性を損なわない範囲で、タルクやマイカ、ガラス繊維などの無機フィラー、熱可塑性樹脂と相溶性のよい合成ゴム、及び一般の熱可塑性樹脂に用いられている公知の酸化防止剤や中和剤、滑剤、帯電防止剤、顔料などを添加することができる。
【0010】
本発明の発泡材料に用いる発泡剤としては、化学発泡法又はガス発泡法に通常用いられている発泡剤であればなんら制限なく使用できる。該発泡剤としては、化学分解することによって気体を発生する物質又は揮発性液体であって、プラスチック又はゴム等に使用されている公知のものであれば問題なく使用できる。具体的には、アゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、重曹及びトリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等が例示でき、アゾジカルボンアミド及びジクロロジフルオロメタン等が好ましい。代表的な発泡剤の添加量は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、化学発泡法の場合には0.01〜10重量部、ガス発泡法の場合には0.1〜100重量部を例示することができる。
【0011】
本発明で云う発泡層の作成は化学発泡法、ガス発泡法の何れによってもよく、射出発泡成形又は射出プレス発泡成形を行うことによって成形できればよい。また、発泡剤は種類を問わず所要の平均発泡倍率を実現できるガス発生量を有するものであれば良い。すなわち、発泡層に用いられる熱可塑性樹脂を溶融状態から射出又は射出プレス成形法により金型に充填し、所要の倍率で発泡させる。これにより本発明の発泡層を得ることができる。
【0012】
本発明で云う無発泡または極微発泡とは、充実に近い状態のことを意味しており、発泡倍率としては1.1倍未満である。このことから、材料物性的には射出成形による充実成形品と同等である。また、本発明で云う発泡層の平均発泡倍率は、金型内空隙に充填した発泡性熱可塑性樹脂の体積で製品の発泡層の体積を除した値で近似的に示すことができる。すなわち、200mlの発泡性溶融熱可塑性樹脂を充填して600mlの空間を発泡熱可塑性樹脂で満たした場合、その平均発泡倍率は600ml÷200ml=3であり、3倍の平均発泡倍率であると云うことができる。
【0013】
しかしながら、射出発泡成形法の特徴としてキャビティが拡大しない部分の発泡倍率は1.0ないし1.05倍、すなわち無発泡若しくはほとんど発泡しない状態となる。従って、平均発泡倍率を計算する場合、上記計算の充填熱可塑性樹脂体積及び発泡層体積からキャビティが拡大しない部分を一律に除外する必要がある。
すなわち、キャビティが拡大しない部分をもつ形状の成形品においては、前記の例においてキャビティが拡大しない部分の体積が50mlであれば、前記式は(600−50)ml÷(200−50)ml=3.666…となり、約3.7倍の平均発泡倍率であると云うことになる。
【0014】
上述したことを前提にして、本発明で云う発泡層の平均発泡倍率は、製品形状又は熱可塑性樹脂における発泡剤の分散状態や発泡性溶融熱可塑性樹脂の熱伝導状態により発泡材層の部分によって発泡倍率が異なる場合であっても、その平均発泡倍率は1.1〜2.1倍であり、好ましくは1.2〜2倍であり、より好ましくは1.3〜1.8倍である。発泡層の平均発泡倍率が1.1倍未満の場合は、製品での軽量化効果がほとんど得られず、製品要求を満たしたものは得られない。また2倍を超えると製品の剛性が低下する傾向にある。
更に、必要により装着する補強用リブは、従来から使用されているものでよく、縦横数個から数十個の辺からなる碁盤目状のものでよい。
【0015】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた材料、射出成形機、金型及び得られた成形品の評価方法を以下に示す。
【0016】
1)材料A:結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体(エチレン含有量10.0重量%、MFRが2.5g/10分、IZOD衝撃強度が30kJ/m2以上)98.8重量%に対してアゾジカルボンアミド(ADCA)を1.2重量%配合して、タンブラーミキサーにて混合撹拌して発泡座席底板材料を得た。
2)射出成形機:スクリュー径が40mmのシリンダー及び型締め制御機構を有し、最大型締め力が300トンである射出成形機である。
3)金型:図1及び図2に示す、縦410mm、横295mmで、高さが47〜60mm、肉厚が1〜14mmに変更可能なリブ付き箱成形用金型である。
4)成形品の評価方法
▲1▼剛性:成形品の底面部から切り出したサンプル(幅20mm×長さ150mm)を用いてJIS−K7210に基づく曲げ試験を行い求めた。この測定値が19.6N以上の場合にはその評価は○とし、19.6N未満の場合は×とした。
▲2▼耐衝撃性:成形品の周壁部に対してマックス社製エアネイラTA−20Aを使用し、4〜8kg/cm2の工業エアを用いて温度23℃または0℃でステープルを1cmおきに10ヶ所打ち込む。使用ステープルはマックス社製1005Fである。評価基準としては、どの試験条件においても割れがない場合は○、1ヵ所でも割れれば×とした。
▲3▼軽量性:成形品の重量を秤量し、同一用途の平均的な市販品の重量と比較して80%以下に軽量化されていた場合は○とし、それ以外の場合は×とした。
【0017】
実施例1
上記材料A及び成形装置を用いて、以下の如く実施した。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004555419
【0018】
肉厚が1.8mmとなるように調節した前記金型を型締めして、発泡座席底板材料を射出充填して基材層(未発泡状態)を形成した。射出充填直後から2秒間の一次冷却後、移動側金型を移動して発泡後の肉厚が2.5mmになるように調整した。該移動側金型の移動と同時に基材層が発泡して発泡層(発泡状態)を形成した。その後、60秒間の冷却を行い成形品を取り出した。成形品の形状は図3、4、5及び6に示した。取り出した成形品は、底面部においては0.5mm肉厚の表面固化層の間に1.5mmの発泡層を包み込んだサンドイッチ構造体であり(1.4倍発泡)、その底面部と一体の周壁部位においては、無発泡または極微発泡である成形品であった。当該成形品を用いて剛性試験及び衝撃試験を行ったところ、底面部においては従来の射出成形品と同等の剛性を有しており、かつ無発泡または極微発泡である底面部と一体の周壁部位においては割れ等の不具合もなく製品性能上差し支えのないものであった。また、得られた成形品は従来品の78%に軽量化されたものであった。
【0019】
比較例1
発泡剤を入れない以外は材料及び成形装置は実施例1と同様のものを使用し、底面部の肉厚が実施例と同一になるように成形した。その形状は図4、5及び7に示した。得られた成形品の重量は平均市販品に対し100%(同一重量)なので表の中では×と記載し、実施例1で得られた本発明品に比較して28%重いものであった。
【0020】
比較例2
材料、成形装置及び肉厚は実施例1と同様で、肉厚が射出充填直後から2秒間の一次冷却後、移動側金型を移動して肉厚が4.0mmになるように調整した。該移動側金型の移動と同時に基材層が発泡して発泡層(発泡状態)を形成した。結果を表1に示す。取り出した成形品は、0.5mm肉厚の表面固化層の間に3.0mmの発泡層を包み込んだサンドイッチ構造体であった(2.2倍発泡)。当該成形品は、部分的に発泡層が断裂し、外観上凹凸が発生しており、製品となり得ないものであり、底面部の剛性としても低くなっており、19.6Nの値を割っていた(14.7N)。衝撃試験においては、使用材料が実施例1と同一であったので、無発泡または極微発泡である底面部と一体の周壁部位に割れは発生しなかった。
【0021】
比較例3
材料、成形装置は実施例1と同様で、肉厚が2.3mmとなるように調節した前記金型を型締めして、発泡座席底板材料を射出充填して基材層(未発泡状態)を形成した。射出充填直後から2秒間の一次冷却後、移動側金型を移動して、肉厚が2.5mmになるように調整した。該移動側金型の移動と同時に基材層が発泡して発泡層(発泡状態)を形成した。結果を表1に示す。取り出した成形品は、0.5mm肉厚の表面固化層の間に1.5mmの発泡層を包み込んだサンドイッチ構造体であった(約1.08倍発泡)。取り出した成形品を用いて剛性試験及び衝撃試験を行ったところ、実施例1の結果と同様に剛性試験及び衝撃試験において不具合はなかった。しかし、当該成形品は従来の成形品に比べ数%の軽量化でしかなく80%を超えており、目的とする軽量化は達成されているとは言えない。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量で低コストでありながら、かつ剛性と耐衝撃性を兼ね備えた自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例で用いた金型の断面図である。
【図2】図1において金型を閉じ成形した状態である(未発泡状態)。
【図3】図2において金型を後退させ発泡させた状態である。
【図4】本実施例で得たリブ付き箱形構造体(または従来品)の表面斜視図である。
【図5】同構造体の裏面斜視図である。
【図6】本実施例で得た箱型構造体の底面部の断面図である。
【図7】従来品の箱型構造体の底面部の断面図である。
【符号の説明】
1 可動型金型
2 固定型金型
3 ゲート
4 成形機ノズル
5 未発泡成形品
6 発泡成形品
7 平面部
8 周壁部
9 リブ
10 表面固化層
11 発泡層

Claims (5)

  1. 底面からなる底面部とその周辺において底面から立ち上がる周壁部で構成される箱型の形状からなる座席底板において、その底面部は、肉厚方向において内部が平均発泡倍率1.1〜2.1倍の発泡層からなり、それを覆う表面は無発泡または極微発泡層よりなるサンドイッチ構造を持ち、その周壁部は無発泡または極微発泡層からなる自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板であって、座席底板の素材が、JIS−K7210に基づくMFRが1〜5g/10分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
  2. 底面からなる底面部とその周辺において底面から立ち上がる周壁部で構成される箱型の形状からなる座席底板において、その底面部は、肉厚方向において内部が平均発泡倍率1.1〜2.1倍の発泡層からなり、それを覆う表面は無発泡または極微発泡層よりなるサンドイッチ構造を持つ自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板であって、座席底板の素材が、JIS−K7110に基づくIZOD衝撃値が18kJ/m 2 以上、JIS−K7210に基づくMFRが1〜5g/10分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
  3. 合成樹脂が、JIS−K7110に基づくIZOD衝撃値が18kJ/m2以上である請求項1に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
  4. 発泡層の平均発泡倍率が、1.2〜2倍である請求項1乃至のいずれか1項に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
  5. 箱型の形状の内部に碁盤目状のリブが装着されている請求項1若しくは2に記載の自動二輪車等の小型車両用合成樹脂製発泡座席底板。
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