JP4554268B2 - 分泌型IgA抗体誘導剤 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック化ホッキ貝粉末、すなわち焼成ホッキ貝粉末をウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原であるワクチンと共にアジュバントとして投与することにより、ウイルスまたは病原菌に特異的な分泌型IgA抗体の産生を誘導させる方法に関する。また本発明は、当該分泌型IgA抗体の産生を誘導させることによりウイルスまたは病原体による感染を防御する方法、さらには分泌型IgA抗体誘導剤に関する。
インフルエンザ等の呼吸器感染症の防御には、粘膜より分泌される特異的IgA抗体が非常に有効であることが知られている。特に型の異なるウイルスに対する交叉防御は、粘膜で分泌されるIgA抗体が主に担っており、インフルエンザウイルスに自然罹患した後に回復したヒトには、このIgA抗体が誘導されており、同亜型の変異型ウイルスの流行に対しても感染防御ができている。
一方、未感染の個体におけるウイルスまたは病原菌からの感染を防御する方法として、ウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原であるワクチンを接種し、意図的に抗体を誘導させる方法があり、そのようなものとしてインフルエンザワクチン、コレラワクチン、チフスワクチン、種痘ワクチン、BCGワクチン等などが知られている。
ところで、そのなかでもインフルエンザ、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)等の呼吸器疾患は、呼吸器官からの感染によるものであり、したがってそのワクチンの投与により呼吸器粘膜での免疫応答が求められている。しかしながら、現在用いられている皮下注射によるワクチンでは、粘膜免疫応答が得られず、交叉防御能を有する、より効果的なワクチンの開発が求められているのが現状である。特に、呼吸器粘膜における分泌型IgA抗体の誘導方法として、鼻腔投与(経鼻投与)による鼻粘膜へ抗原を接種する方法があるが、抗原の接種のみでは十分な抗体応答がみられず、より効果的な免疫応答発現のためには、ワクチンと同時に投与するアジュバントが必要となる。
これまで、そのようなワクチンに対するアジュバント作用を有する物質が種々提案されてきており、例えば、最近では、イノシン酸とシチジル酸とからなるポリヌクレオチドコポリマーであるPoly(I:C)にアジュバント作用があることが報告されている(非特許文献1)。
J. Clinical Investigation, 110(8), 1175-1184 (2002)
本発明者らは、より効果的なアジュバント作用を有する物質の検索を積極的に行ってきており、特に、天然資源によるアジュバント作用物質の検討を行ってきている。その検討のなかで、天然由来の物質として、セラミック化ホッキ貝の粉末に着目した。セラミック化ホッキ貝粉末は、ホッキ貝を焼成して得た粉末であり、多孔質性の微粉末であり、10〜100μm程度の不定形の構造物よりなり、ワクチンのキャリアとして抗原提示細胞の活性化に作用することが期待された。
事実、本発明者らは、粘膜免疫誘導のためのアジュバントとして、セラミック化ホッキ貝粉末を用い、鼻腔粘膜でのIgA抗体分泌と血清中のIgG抗体応答と、致死量のインフルエンザウイルスに対する感染防御を検討した結果、良好な粘膜でのIgA抗体分泌と血清中のIgG抗体応答が得られ、さらに致死量のインフルエンザウイルスに対する感染防御効果が認められた。そのうえ、その免疫応答はワクチン株と亜型の異なるウイルスに対する抗体誘導でもあり、またワクチン株と亜型の異なるウイルスに対する感染防御も認められ、交叉防御能を確認するに至った。
したがって本発明は、セラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして利用した、ウイルスまたは病原菌に特異的な分泌型IgA抗体の産生を誘導させる方法を提供することを課題とする。また、本発明は、当該分泌型IgA抗体を誘導させることによりウイルスまたは病原体による感染を防御する方法、さらには分泌型IgA抗体誘導剤を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その一態様として、具体的には、
(1)ウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原、およびアジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末からなることを特徴とする分泌型IgA抗体誘導剤;
(2)呼吸器粘膜に投与することを特徴とする上記(1)に記載の分泌型IgA抗体誘導剤;
である。
また本発明は別の態様として、具体的には、
(3)ウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原と共にアジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末を投与することを特徴とするウイルスまたは病原菌特異的IgA抗体を誘導させる方法;
(4)呼吸器粘膜に投与することを特徴とする上記(3)に記載の分泌型IgA抗体誘導させる方法であり、さらに、
(5)セラミック化ホッキ貝粉末からなることを特徴とするウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原に対するアジュバント作用物質;
である。
この場合において、ウイルスが水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス(コロナウイルスの一種)およびHIVウイルスであり、当該病原菌が、百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎菌およびコレラ菌である上記(3)ないし(5)に記載の方法等である。
本発明が提供するウイルスまたは病原菌由来の不活化抗原、およびアジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末からなることを特徴とする分泌型IgA抗体誘導剤を投与することにより、ウイルスまたは病原菌に特異的な呼吸器粘膜組織における分泌型IgA抗体の産生が誘導される。分泌型IgA抗体は、外分泌液中の主要な免疫グロブリンであり、粘膜表面の感染防御に役立っている病原菌特異的IgA抗体であって、唾液、鼻汁、腸、気管などの分泌液中、あるいは初乳中に多くみられ、また血清中にも存在する。したがって、本発明が提供する分泌型IgA抗体誘導剤は、このIgA抗体の産生を誘導することにより、ウイルスまたは病原菌になどの病原体による感染を防御する。さらには感染予防のための分泌型IgA抗体誘導剤となる。
本発明が提供する分泌型IgA抗体誘導剤において、ワクチンのアジュバントとして使用されるセラミック化ホッキ貝粉末は、ホッキ貝を焼成して得た粉末であり、多孔質の微粉末である。この溶解液には、除菌作用あるいは殺菌作用を有し、また微量有害物質、例えば残留農薬等の除去効果があるとされており、セラミック化ホッキ貝粉末自体は、すでに製品として市販されているものである。
本発明で使用するアジュバントとしてのかかるセラミック化ホッキ貝粉末の電子顕微鏡写真を図1および図2に示した。図2は、図1における四角く囲った部分の拡大写真であるが、その写真からも判明するように、セラミック化ホッキ貝粉末は、多孔質性の微粉末であり、10〜100μm程度の不定形の構造物よりなる。したがって、その多孔質性によりワクチンのキャリアとして、抗原提示細胞の活性化に作用するものと思われる。
一方、本発明が提供する分泌型IgA抗体誘導剤により、アジュバントとしてのセラミック化ホッキ貝粉末と共に投与されるワクチンとしては、身体中に接種されて、活性な免疫を生成する、通常感染性因子または感染因子のある部分を含む抗原性懸濁液または溶液である。ワクチンを構成する抗原性部分は、微生物(例えば、ウイルスまたは細菌など)または微生物から精製された天然の産生物、合成生成物または遺伝子操作したタンパク質、ペプチド、多糖または同様な産生物であってもよい。
例えば、生ワクチンとしては、具体的には、BCG、種痘、ポリオ、はしか、風疹、おたふく風邪、牛痘、NDV、マレック病などをあげることができる。また、不活化ワクチンとしては、百日咳、ジフテリア(トキソイド)、破傷風(トキソイド)、インフルエンザ(HA)、日本脳炎、リケッチアなどをあげることができる。
また、本発明にいう不活化抗原とは、感染能を失わせた抗原をいい、完全ウイルス粒子であるビリオン、不完全ウイルス粒子、ビリオン構成粒子、その翻訳後修飾体、ビリオン非構成タンパク質、その翻訳後修飾体、感染防御抗原、中和反応のエピトープなどを挙げられることができる。不活化は、例えば、物理的(例えば、X線照射、熱、超音波)、化学的(ホルマリン、水銀、アルコール、塩素)などの操作により行うことができる。
本発明が提供する分泌型IgA抗体誘導剤の投与は、粘膜投与の形態により行うのが好ましい。脊椎動物における粘膜には、消化器、呼吸器、排出器、生殖器などの特に外通性の中腔器官の内壁が含まれる。したがって、本発明の好ましい投与形態である粘膜投与としては、例えば、鼻腔投与(経鼻投与)、口腔投与、膣内投与、上気道投与、肺胞投与などをあげることができる。そのなかでも鼻腔内粘膜投与が好ましい。鼻腔は特に、インフルエンザウイルスなどによる呼吸器感染症疾患の感染経路の門戸であることから、粘膜投与により分泌型IgA抗体反応を引き起こし、粘膜上皮細胞中に分泌型IgA抗体を産生させることは、呼吸器感染症の防御に結びつくものである。
本発明の目的である分泌型IgA抗体の産生が誘導され、免疫防御を発揮する対象としての病原体は、宿主に対して疾患または障害を発生し得る微生物である。具体的には、ヒトに対する病原体としては、例えば、ウイルス、細菌、真菌などをあげることができる。ウイルスはどのような種類のものでもよく、例えば、DNAウイルス、RNAウイルスなどがあげることできる。より具体的には、例えば、水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス(コロナウイルスの一種)、HIVウイルスが挙げられるが、それらに限定されない。このようなウイルスは、好ましくはインフルエンザウイルスである。
また、本発明が対象とする細菌は、どのような細菌であってもよく、グラム陽性菌、グラム陰性菌があげられることができ、例えば、そのような細菌としては、百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎菌およびコレラ菌などがあげられる。
本発明が提供する分泌型IgA抗体誘導剤の投与量は、投与する対象者の年齢、体重、投与方法により一概に限定し得ないが、通常成人1日当たり、経口投与の場合には、10〜500mg程度であり、また粘膜投与、特に経鼻投与の場合には、0.1〜10mg、好ましくは、0.1〜1mg程度である。
以下に本発明を、具体的実施例により、さらに詳細に説明する。
実施例1:アジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末を使用した、経鼻インフルエンザワクチンによる抗体誘導と感染防御作用
1.材料
材料として、以下のものを使用した。
マウス:BALB/cマウス(6週齢、雌性)
ウイルス:インフルエンザウイルスH1N1(A/PR8)株[国立感染症研究所(東京)から入手した。]
ワクチン:インフルエンザウイルスH1N1(A/PR8)株:H1N1(A/Beijing)株(国立感染症研究所);H1N1(A/Yamagata)株(国立感染症研究所);H3N2(A/Guizou)株(国立感染症研究所)エーテル処理不活化HAワクチン(財団法人 阪大微生物研究会、香川)
アジュバント:ポジティブコントロールとしてCTB*[CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、0.1%CT(コレラ毒素)を含む]、セラミックス化ホッキ貝末粉末
2.方法
6週齢のBalb/c雌性マウスを、各群5匹ずつ用いた。PR−8HAワクチン3μgを、アジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末10μgおよび100μgと共に、それぞれの鼻に5μLを接種し、3週後および5週後に、同量のワクチンを同様のアジュバントと共に経鼻接種し、さらに2週間後に100pfuのPR8インフルエンザウイルスを片鼻1.2μLずつ接種し、感染を行った。
アジュバントのポジティブコントロールとして、CTB*[CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、0.1%CT(コレラ毒素)を含む]を1μg投与群、および3μgのPR−8HAワクチンのみの投与群、ならびに処置なしの群をおいた。
感染3日後に鼻腔洗浄液、血清を回収し、鼻腔洗浄液中のIgA抗体および血清中のIgG抗体を、ELISA法を用いて、また鼻腔洗浄液中のウイルス価を、MDCK細胞を用いたプラークアッセイ法で測定した。
同様に、経鼻免疫したマウスに40LD50の致死量のウイルスを20μL感染してその生存を観察した。
3.結果
セラミック化ホッキ貝粉末の粘膜アジュバント能の評価は、6週間前に3μgのPR8ワクチンを、10μg〜100μgに量を振ったセラミックス化ホッキ貝粉末と共に経鼻接種し、更に2週間間隔で2回同量のワクチンを同様のアジュバントと共に経鼻接種した。経鼻粘膜でのIgA抗体応答と血中IgG抗体応答を検討することで行った。
セラミック化ホッキ貝粉末の用量依存的なアジュバント効果をみるために、セラミックス化ホッキ貝粉末の用量を10μgと100μgの2種類とし、そのアジュバント作用を検討した。その結果、セラミック化ホッキ貝粉末を10μg用いた場合に鼻腔粘膜にIgA抗体の応答が認められた。鼻腔粘膜に誘導されるIgA抗体の量は、セラミック化ホッキ貝粉末の用量に依存的であり、100μgに増量すると、そのアジュバント効果がより一層認められていた。
また、同様の免疫条件下で3回目の免疫を行い、その2週間後に100pfuのPR8ウイルスを、片鼻に1.2μLずつ注入し、ウイルス感染を行った。ワクチンを接種しないコントロール群では、鼻腔洗浄液中に10pfu/mL以上のウイルス価にウイルス増殖が認められた。しかし、セラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして併用して経鼻ワクチン接種を3回行った群では、完全にウイルス増殖が抑制されていた。なお、ワクチンのみを単独で3μgずつ3回免疫した群では、全くウイルス増殖抑制効果は認められなかった。
以上の結果から、セラミック化ホッキ貝粉末には強力なアジュバント効果があることが確認された。
これらの結果をまとめて表1に示した。
Figure 0004554268
*:p<0.05
また、誘導される血清中のIgG抗体のクラスは、IgG2a抗体に比較してIgG抗体がより一層誘導されており、Th2型優位の免疫誘導が行われていることが示された。その結果を表2に示した。
Figure 0004554268
実施例2:インフルエンザウイルス感染による肺炎の防御効果
次に、セラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして併用して経鼻ワクチンを接種した場合における、致死量のインフルエンザウイルス感染による肺炎の防御効果について検討した。
1.方法
1群5匹のBALB/cマウス(6週齢、雌性)を用い、8週間前に3μgのPR8ワクチンと、セラミック化ホッキ貝粉末の10μgおよび100μgのそれぞれと併用し、経鼻接種を行い、2および4週間前に追加免疫を行い40LD50の致死量のPR8ウイルスを20μL感染し、肺炎の防御能を検討した。
感染3日後に肺洗浄液、血清を回収し、肺洗浄液中および血清中のIgA抗体およびIgG抗体を、ELISA法を用いて、また肺洗浄液中のウイルス価を、MDCK細胞を用いたプラークアッセイ法で測定した。
2.結果
その結果、ワクチン接種を施さない群では、マウスは1週間以内に5/5が死亡し、3日後の肺洗浄液のウイルス価も10pfu以上にのぼっていた。しかしワクチン接種群では、10μg以上のセラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして併用した場合、全マウスが生存した。
このように、セラミック化ホッキ貝粉末は、アジュバントとして感染防御に十分な粘膜IgA抗体応答を引き出すことが判明した。
それらの結果をまとめて表3に示した。
Figure 0004554268
*:p<0.05
実施例3:セラミックホッキ貝粉末を併用した経鼻ワクチンによる交叉防御
1.材料
材料として、以下のものを使用した。
マウス:BALB/cマウス(6週齢、雌性)
ウイルス:インフルエンザウイルスH1N1(A/PR8)株[国立感染症研究所(東京)から入手した。]
ワクチン:インフルエンザウイルスH1N1(A/PR8)株;H1N1(A/Beijing)株(国立感染症研究所);H1N1(A/Yamagata)株(国立感染症研究所);H3N2(A/Guizou)株(国立感染症研究所)エーテル処理不活化HAワクチン(財団法人 阪大微生物研究会、香川)
アジュバント:ポジティブコントロールとしてCTB*[CTB(コレラ毒素Bサブユニット)、0.1%CT(コレラ毒素)を含む]、セラミックス化ホッキ貝末粉末
2.方法
セラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして用いた経鼻インフルエンザワクチンの交叉防御をみるために、6週齢のBalb/c雌性マウスを、各群5匹ずつ用い、PR8と亜型の異なるインフルエンザウイルスH1N1(A/PR8)株、H1N1(A/Beijing)株、NH1(A/Yamagata)株、H3N2(A/Guizou)株のワクチン3μgを、アジュバントとして100μgのセラミック化ホッキ貝粉末とともに経鼻接種して初回免疫し、4週後および6週後に追加免疫し、さらに2週間後に100pfuのH1N1(A/PR8)株を感染させ、その3日後に鼻腔洗浄後、血清を回収し、鼻腔洗浄液中のPR8と交叉反応するIgA抗体、血清中のIgG抗体を、ELISA法を用いて測定した。また、PR8ウイルスの交叉防御による感染防御として、鼻腔洗浄液中のウイルス価を、MDCK細胞を用いたプラークアッセイ法で測定した。
3.結果
その結果を下記表4に示した。表中に示したように、同じ亜型のH1N1(A/Beijing)株、N1H1(A/Yamagata)株に対しては、IgA、IgG応答ともに認められ、ウイルス感染を完全に抑えた。亜型の違うH3N2(A/Guizou)株に対しては、交叉反応するIgA抗体、IgG抗体が少量みられ、ウイルス感染の部分防御がみられた。
このようにセラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして併用した経鼻インフルエンザワクチンにより、交叉防御が確認された。
Figure 0004554268
*:p<0.05
インフルエンザウイルスの感染防御に粘膜での分泌型IgA抗体が、現行のワクチンで誘導されるIgG抗体よりも有効であることは、数多くの研究結果より明らかである。このように、粘膜でのIgA抗体誘導には、経鼻ワクチンが有効であるが、多くの試みにもかかわらず現在のところヒトで使用できるアジュバントは確立していない。しかしながら、以上の実施例の結果から判断すると本発明が提供するセラミック化ホッキ貝粉末は、アジュバントとしてIgA抗体の誘導に極めて有効なものであり、特に、経鼻インフルエンザワクチンのアジュバントとして有用である。
以上説明したように、本発明は、セラミック化ホッキ貝粉末をアジュバントとして利用した、ウイルスまたは病原菌に特異的な分泌型IgA抗体の産生を誘導させるものであり、当該分泌型IgA抗体を誘導させることによりウイルスまたは病原体による感染を防御し得る。
今日、ワクチンのアジュバントとして効果的なアジュバントが無い現状では、本発明は他の病原体の粘膜ワクチンへの応用しうるものであり、その医療上の貢献度は多大なものである。
本発明でアジュバントとして使用するセラミック化ホッキ貝の電子顕微鏡写真である。 本発明でアジュバントとして使用するセラミック化ホッキ貝の電子顕微鏡写真であり、図1の写真における囲み部分の拡大写真である。

Claims (2)

  1. 水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス(コロナウイルスの一種)およびHIVウイルスから選択されるウイルス、または百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎菌およびコレラ菌から選択される病原菌由来の不活化抗原、およびアジュバントとしてセラミック化ホッキ貝粉末からなることを特徴とする呼吸器粘膜投与用分泌型IgA抗体誘導剤。
  2. セラミック化ホッキ貝粉末からなることを特徴とする、水痘ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、重症急性呼吸器感染症候群(SARS)ウイルス(コロナウイルスの一種)およびHIVウイルスから選択されるウイルス、または百日咳菌、髄膜炎菌、インフルエンザb型菌、肺炎菌およびコレラ菌から選択される病原菌由来の不活化抗原に対する呼吸器粘膜投与用アジュバント組成物
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